JP4810914B2 - コンクリート組成物用微粉末並びにフレッシュコンクリート及びその流動性の改善方法 - Google Patents

コンクリート組成物用微粉末並びにフレッシュコンクリート及びその流動性の改善方法 Download PDF

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Description

本発明は、コンクリート組成物用微粉末およびフレッシュコンクリートに関する。
近年、コンクリート構造物の大型化や複雑化に伴い、施工作業の簡素化や振動締め固めによる騒音低減のために、流動性と材料分離抵抗性に優れる高流動コンクリートの使用が増加している。高流動コンクリートは、材料分離を低減する方法によって、1)水溶性高分子を使用する増粘剤系コンクリート、2)セメントや炭酸カルシウム微粉末、高炉スラグ微粉末等の粉体量を多くする粉体系コンクリート、3)1と2を組み合わせた併用系コンクリートの3つの種類に分類される。
粉体系あるいはこれと増粘剤との併用系の高流動コンクリートでは、所要の材料分離抵抗性を得るために、多量の粉体量が必要とされる。この場合は、セメント量を増すと、水和発熱量が大きくなり温度ひび割れが懸念されたり、強度が過剰になると共に経済的でないという問題が生じる。このため、近年では、活性度の低い炭酸カルシウムを主成分とする石灰石等の微粉末の利用が検討されている。
石灰石微粉末を混和したコンクリートは、未混和のコンクリートとは異なるフレッシュ性状を示すことが知られている。石灰石微粉末の品質および混和条件とフレッシュ性状との関係については多くの研究事例があり、それらをとりまとめた内容として、社団法人日本コンクリート工学協会から、「石灰石微粉末を用いたコンクリートの施工マニュアル(案)」が提示されている。(非特許文献1参照)。
該マニュアルによると、コンクリートの流動性に影響を及ぼす石灰石微粉末の品質として、比表面積、粒度分布、粒子形状、不純物(有機物あるいは粘土鉱物)量が挙げられている。また、コンクリートの流動性を向上させる目的で、石灰石微粉末のブレーン比表面積や水溶性アルカリ量を規定した技術が提案されている(特許文献1参照)。
石灰石微粉末の特性とコンクリートへの利用に関するシンポジウム委員会報告書・論文集、日本コンクリート工学協会、(1998) 特開2001−253736号公報
ところで、コンクリートは一般に、練混ぜ、運搬を経て打設される過程を経るが、コンクリートの流動性の経時変化が大きい場合、これにより品質管理が困難となる、あるいはポンプ圧送が困難になるなどのトラブルが生じる。また、所要の材料分離抵抗性が得られない場合は、ポンプ圧送中に輸送管の閉塞、あるいは充填性の不足による施工不良などのトラブルが生じる。
このため、石灰石微粉末を混和したコンクリートについても、流動性の経時変化が小さいこと、所要の材料分離抵抗性を有すること、また、それらの性能が安定的に得られることが望まれている。
そこで、これらのトラブルの対策として、流動性の経時変化を小さくするため、あるいは所要の材料分離抵抗性を確保するために、高性能AE減水剤の添加量の割増、増粘剤量の調整、あるいは石灰石微粉末、セメント、細骨材、粗骨材の単位量等のコンクリート配合あるいは調合の見直しを行うことも考えられる。
しかしながら、これらの方法は、高性能AE減水剤および増粘剤量の増加による材料コストの増大、あるいはコンクリート配合の大幅な見直しを必要とし、これに伴う試験練りの実施を伴うものであった。またコンクリートの材料分離抵抗性を十分に低減することができない場合もあった。
本発明は、コンクリートの混和材として使用した場合に、コンクリートの配合あるいは調合の大幅な見直しを行わずに流動性の経時変化の低減及び材料分離抵抗性の向上を低コストで実現できるコンクリート組成物用微粉末及びフレッシュコンクリートを提供することを目的とする。
本発明者は、このような目的を達成するために、炭酸カルシウム微粉末を使用したコンクリートの流動性について鋭意検討した結果、遊離酸化カルシウムを適量含有したコンクリート組成物用微粉末をコンクリートに用いることが、上記目的達成に重要であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
具体的には、コンクリート組成物用微粉末が、ある一定量の遊離酸化カルシウムを含有するよう制御することにより、それを混和したコンクリートについて、コンクリートの配合あるいは調合の大幅な見直しを行わずに流動性の経時変化の低減及び材料分離抵抗性の向上を低コストで実現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、生石灰微粉末及び/又は消石灰微粉末を遊離酸化カルシウム換算で0.0質量%より多く且つ1.0重量%未満含有するコンクリート組成物用微粉末である。
このコンクリート組成物用微粉末によれば、コンクリートの混和材として使用した場合に、コンクリートの配合あるいは調合の大幅な見直しを行わずにコンクリートの流動性の経時変化の低減および材料分離抵抗性の向上を低コストで実現させることができる。
記コンクリート組成物用微粉末は、生石灰微粉末及び/又は消石灰微粉末を含む。これらの生石灰微粉末及び/又は消石灰微粉末は、入手・製造が容易であるという利点がある。
記コンクリート組成物用微粉末は、炭酸カルシウム微粉末を更に含む。炭酸カルシウム微粉末をコンクリート組成物用微粉末に含めることにより、コンクリートの混和材として使用した場合に、流動性の経時変化をより十分低減でき、材料分離抵抗性をより十分に向上させることができる。従って、炭酸カルシウム微粉末を含むコンクリート組成物用微粉末は、特に高流動用コンクリートの混和材として好適に利用可能である。
上記コンクリート組成物用微粉末は、生石灰微粉末及び/又は消石灰微粉末を遊離酸化カルシウム換算で0.08質量%以上1.0質量%未満、前記炭酸カルシウム微粉末を95.0〜99.92質量%含有することが好ましい。この場合、生石灰微粉末及び/又は消石灰微粉末を1.0質量%を超えて含有するか、又は前記炭酸カルシウム微粉末を95.0質量%未満含有するコンクリート組成物用微粉末と比べて、流動性及び材料分離抵抗性の経時変化をより十分に低減できる。
また、本発明は、水、コンクリート組成物用微粉末、セメント、細骨材、粗骨材及び高性能AE減水剤を含むフレッシュコンクリートであって、コンクリート組成物用微粉末が、上記コンクリート組成物用微粉末であることを特徴とするフレッシュコンクリートである。
このフレッシュコンクリートによれば、コンクリートの配合あるいは調合の大幅な見直しを行わずにコンクリートの流動性の経時変化の低減および材料分離抵抗性の向上を低コストで実現させることができる。
このフレッシュコンクリートは、フレッシュコンクリート1m当り、前記水を150〜185kg、前記コンクリート組成物用微粉末を100〜350kg、前記セメントを230〜600kg、前記細骨材を700〜1200kg、前記粗骨材を700〜1000kg、前記高性能AE減水剤を2〜30kg含むことが好ましい。この場合、水、コンクリート組成物用微粉末、セメント、細骨材、粗骨材、高性能AE減水剤の含有率が上記範囲を外れる場合に比べて、材料分離抵抗性および流動性がより優れるという利点がある。
本発明のコンクリート組成物用微粉末及びフレッシュコンクリートによれば、適正量の遊離酸化カルシウムを含有したコンクリート組成物用微粉末をフレッシュコンクリートの構成成分に用いるという簡便な方法で、コンクリートの配合あるいは調合の大幅な見直しを行わずにフレッシュコンクリートの流動性の経時変化の低減および材料分離抵抗性の向上を低コストで実現させることができる。このため、本発明は、フレッシュコンクリートの品質管理の容易化、フレッシュコンクリートの材料分離の防止、施工不良の回避、フレッシュコンクリートの材料コストの低減などに貢献することが期待される。
以下に本発明を詳しく説明する。
(コンクリート組成物用微粉末)
本発明のコンクリート組成物用微粉末は、遊離酸化カルシウムを0.0質量%より多く且つ1.0質量%未満含有することが特徴である。このコンクリート組成物用微粉末によれば、コンクリートの混和材として使用した場合に、コンクリートの配合あるいは調合の大幅な見直しを行わずにコンクリートの流動性の経時変化の低減および材料分離抵抗性の向上を低コストで実現させることができる。
なお、遊離酸化カルシウムの含有率が1.0質量%以上であると、材料分離抵抗性は大きくなるものの、初期流動性の低下と流動性の経時変化の増大が生じるため好ましくない。また、遊離酸化カルシウムの含有率が0.0質量%であると、コンクリートの混和材として使用した場合に、流動性の経時変化の低減及び材料分離抵抗性の向上を低コストで実現させるという効果を得ることができない。
ここで、コンクリート組成物用微粉末は、遊離酸化カルシウムを1.0質量%未満含有するものであれば、如何なる材質の微粉末を含んでいてもよく、このような微粉末としては通常は、生石灰微粉末、消石灰微粉末、又はこれらの混合粉末等が挙げられる。
生石灰微粉末としては、酸化カルシウムを主成分とし、石灰石を焼成して得た生石灰を微粉砕したもののほかに、化学合成した酸化カルシウムを微粉砕したもの等が挙げられる。ここで、主成分とは、前記微粉末中に酸化カルシウムが50質量%以上含まれることを言う。
また、消石灰微粉末としては、水酸化カルシウムを主成分とし、上記生石灰に水を加えて消化することにより得た消石灰を微粉砕したもののほかに、化学的に合成した水酸化カルシウムを微粉砕したもの等が挙げられる。
コンクリート組成物用微粉末中に、生石灰微粉末や消石灰微粉末を、遊離酸化カルシウム換算で1.0質量%未満含有するように、各々単独で用いても良いし、適量混合して用いても良い。また、コンクリート組成物用微粉末は、生石灰微粉末が大気中の湿分により消化し、部分的に消石灰微粉末となったものを含んでもよい。
また微粉末とは、JIS Z 8801−1「試験用ふるい 第一部:金属製網ふるい」に規定される公称目開き850μmのふるいを通過する大きさを有するものを言う。
コンクリート組成物用微粉末中の遊離酸化カルシウムの含有率は、例えば生石灰と石灰石との混合比率を変えながら生石灰及び石灰石からなる混合物の粉砕を行うことにより調整することができる。生石灰と石灰石との混合比率は、生石灰中の酸化カルシウム含有率を知ることにより決定することができる。
前記生石灰微粉末や消石灰微粉末の粉末度は、特に限定されないが、JIS Z 8801−1「試験用ふるい 第一部:金属製網ふるい」に規定される公称目開き75×10-6mふるいの通過分が80質量%以上であると、コンクリート調整時のハンドリング性、水和性等の観点から好ましい。
上記コンクリート組成物用微粉末中の遊離酸化カルシウムの含有率は、好ましくは0.02〜0.9質量%、より好ましくは0.05〜0.5質量%である。この場合、遊離酸化カルシウムの含有率が0.02〜0.9質量%の範囲を外れた場合と比べて、コンクリートの混和材として使用した場合にコンクリートの流動性の経時変化をより十分に低減させることができると共に、材料分離抵抗性をより向上させることができる。特に、コンクリート組成物用微粉末中の遊離酸化カルシウムの含有率は、0.07〜0.25質量%であることが好ましい。この場合、上記範囲を外れた場合と比較して、コンクリートの流動性及び材料分離抵抗性の経時変化をより十分に低減させることができる。
また、コンクリート組成物用微粉末は、前記生石灰微粉末や消石灰微粉末等の他に、さらに、炭酸カルシウム微粉末を含めても良い。炭酸カルシウム微粉末をコンクリート組成物用微粉末に含めることにより、コンクリートの混和材として使用した場合に、流動性及び材料分離抵抗性の経時変化をより十分に低減することができる。従って、炭酸カルシウム微粉末を含むコンクリート組成物用微粉末は、特に高流動用コンクリートの混和材として好適に利用可能である。
ここで、炭酸カルシウム微粉末とは、炭酸カルシウムを主成分とする微粉末であり、上記炭酸カルシウムとしては、石灰石を微粉砕したいわゆる重質の炭酸カルシウムのほか、化学的に生成した軽質の炭酸カルシウムが用いられる。ここで、主成分とは、炭酸カルシウム微粉末中に炭酸カルシウムが50質量%以上含まれることを言う。前記炭酸カルシウム微粉末の粉末度は、ブレーン比表面積が2500cm/g〜6000cm/gであることが好ましい。この場合、ブレーン比表面積が上記範囲から外れた場合と比較してコンクリートの流動性の経時変化をより低減させることができ、且つ材料分離抵抗性をより十分に向上させることができる。
コンクリート組成物用微粉末中の生石灰微粉末及び/又は消石灰微粉末と、炭酸カルシウム微粉末の含有率は、生石灰微粉末及び/又は消石灰微粉末を生石灰換算で1.0質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、炭酸カルシウム微粉末を95.0質量%以上、好ましくは98.0質量%以上であることが好ましい。コンクリート組成物用微粉末中の生石灰微粉末及び/又は消石灰微粉末と、炭酸カルシウム微粉末の含有率が上記範囲内にあると、上記範囲を外れた場合に比べて、流動性の経時変化をより十分に低減でき、材料分離抵抗性もより大きくすることができる。
ここで、上記生石灰、消石灰、石灰石、炭酸カルシウム等を微粉末化するためには、竪型ローラーミル、ボールミル、振動ミル等の粉砕機器を用いることが可能である。
(フレッシュコンクリート)
また、本発明のフレッシュコンクリートは、水、コンクリート組成物用微粉末、セメント、細骨材、粗骨材及び高性能AE減水剤を含むフレッシュコンクリートであって、コンクリート組成物用微粉末が、上記コンクリート組成物用微粉末であることを特徴とする。
このフレッシュコンクリートによれば、コンクリートの配合あるいは調合の大幅な見直しを行わずにコンクリートの流動性の経時変化の低減および材料分離抵抗性の向上を低コストで実現させることができる。
セメントは、普通、早強、低熱等の各種ポルトランドセメントや高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント等、従来公知のセメントを使用することができる。
また、骨材は、JIS A 0203 「コンクリート用語」で定義される細骨材及び粗骨材で構成されており、これら細骨材および粗骨材としては、JIS A 5308 附属書1「レディーミクストコンクリート用骨材」に記載されたものを使用することができる。具体的に細骨材としては、川砂、山砂、陸砂、海砂、碎砂、高炉スラグ細骨材等が挙げられる。また、粗骨材としては、砂利、砕石、高炉スラグ粗骨材等が挙げられる。
また、本発明のフレッシュコンクリートに混和剤として含まれる高性能AE減水剤としては、例えば、ナフタレン系、メラミン系、ポリカルボン酸系(ポリカルボン酸エーテル化合物系を含む)、アミノスルホン酸系、の高性能AE減水剤がある。
本発明のフレッシュコンクリートは、混和剤として分離低減剤を含むことが好ましい。この場合、フレッシュコンクリートにおける材料分離抵抗性をより高めることができる。このような分離低減剤としては、セルロース系水溶性高分子、アクリル系水溶性高分子、エマルジョン系、β−1,3−グルカンやウェランガム、多糖類ポリマー系等のバイオポリマー系増粘剤等がある。
フレッシュコンクリート中の水、セメント、細骨材、粗骨材、高性能AE減水剤の配合は、通常のフレッシュコンクリートで使用する範囲であれば、公知の配合を利用することができる。フレッシュコンクリート中の水、セメント、細骨材、粗骨材、高性能AE減水剤の配合は好ましくは、フレッシュコンクリート1m当り、水が150〜185kg、コンクリート組成物用微粉末が100kg〜350kg、セメントが230kg〜600kg、細骨材が700kg〜1200kg、粗骨材が700kg〜1000kg、高性能AE減水剤が2kg〜30kgの範囲である。この場合、水、コンクリート組成物用微粉末、セメント、細骨材、粗骨材、高性能AE減水剤の含有率が上記範囲を外れる場合に比べて、材料分離抵抗性および流動性がより優れるという利点がある。
なお、本発明のフレッシュコンクリートは、混和剤として分離低減剤、高性能AE減水剤のほか、高性能減水剤、AE減水剤、凝結・硬化調整剤、防錆剤、収集低減剤、水和熱低減剤等を含んでいてもよい。ここで、例えばAE減水剤としては、リグニンスルホン酸塩およびその誘導体、オキシカルボン酸塩が挙げられる。
本発明のコンクリート組成物用微粉末は、特に、粉体量の多い高流動コンクリートにおいて優れた効果を発揮する。特に、フレッシュコンクリートの運搬時間、打設時間が長く、流動性の保持性能が要求される施工、高流動コンクリートにおける材料分離抵抗性の確保に好適である。また、該コンクリートの用途としては、一般の土木構造物および建築構造物への施工、二次製品の製造等が挙げられる。これ以外に、本発明のコンクリート組成物用微粉末は、石灰石フィラーセメント、セメント系固化材、セルフレベリング材等の混合材としても好適に使用することができる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明する。なお、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
(実施例1〜4)
[使用材料]
以下に示す材料を使用した。
(1)セメント(C):
・低熱ポルトランドセメント(ブレーン比表面積 3700cm2/g、宇部三菱セメント(株)製)
(2)骨 材
(i)細骨材(S)
・山砂(表乾密度 2.60g/cm3
(ii)粗骨材(G)
・石灰砕石(表乾密度 2.70g/cm3、実積率 61.0%)
(3)混 和 剤
(i)分離低減剤(SI)
・多糖類ポリマー系増粘剤
(ii)高性能AE減水剤(SP)
・ポリカルボン酸エーテル系化合物および分子内架橋ポリマーの複合体
(iii)AE剤(AE)
・変成アルキルカルボン酸化合物系陰イオン界面活性剤
(4)練混ぜ水(W)
・上水道水
(5)コンクリート組成物用微粉末(CP):生石灰と石灰石の混合物

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[フレッシュコンクリートの調製]
実施例1〜4に使用したコンクリート組成物用微粉末は、生石灰と石灰石との混合物を粉砕したものであり、遊離酸化カルシウムの含有量を変えるため石灰石と生石灰の混合比率を変えながら粉砕を行い、連続的に竪型ローラーミルから排出されるコンクリート組成物用微粉末を断続的にサンプリングして得た。なお、混合した生石灰は、粉砕、サンプリングあるいは保管中に一部潮解し、消石灰に変化していると考えられる。
実施例1〜4に使用したコンクリート組成物用微粉末中の遊離酸化カルシウム量、並びにコンクリート組成物用微粉末のブレーン比表面積を表1に示す。ここで、コンクリート組成物用微粉末中の遊離酸化カルシウム量は、セメント協会標準試験方法 JCAS I-01-1997「遊離酸化カルシウムの定量方法(グリセリン−アルコール法(B法))」により測定した。
上記遊離酸化カルシウムの定量方法を用いれば、生石灰、消石灰及び/又は生石灰が一部消化した消石灰等の混合物中の生石灰及び消石灰の生石灰換算量を定量できる。この方法により算出したコンクリート組成物用微粉末中の石灰石と生石灰換算量の質量%を表1に併記した。
フレッシュコンクリートはJIS A 1138「試験室におけるコンクリートの作り方」に準拠して調製した。即ちフレッシュコンクリートは、表2に示す配合でセメント、コンクリート組成物用微粉末および骨材をミキサへ一括投入し、30秒間空練りした後、予め混和材を溶かした水を加え180秒間練混ぜることにより調製した。
ここでフレッシュコンクリートの練混ぜには容量50Lの水平二軸強制練りミキサを使用し、コンクリートの配合は、コンクリート標準示方書[施工編]「高流動コンクリート」に準拠した。なお、表2には、目標スランプフロー、粗骨材最大寸法、水結合剤比、水粉体容積比、目標空気量、単位粗骨材容積を示した。
(比較例1)
石灰石単独で粉砕したコンクリート組成物用微粉末とし、遊離酸化カルシウムの含有率を0.0質量%としたこと以外は実施例1〜3と同様にしてフレッシュコンクリートを調製した。なお、比較例1に使用したコンクリート組成物用微粉末中の遊離酸化カルシウム量、並びにコンクリート組成物用微粉末のブレーン比表面積を表1に示す。ここで、コンクリート組成物用微粉末中の遊離酸化カルシウム量は、実施例1〜3と同様にして測定した。
またコンクリート組成物用微粉末中の石灰石と生石灰換算量の質量%を表1に併記した。



Figure 0004810914
[フレッシュコンクリートの流動性評価]
(社)土木学会編、「コンクリートライブラリ93 高流動コンクリートの施工指針」、第1版、丸善株式会社、平成10年7月、p101 によれば、一般に高流動コンクリートの流動性は、スランプフローで評価されることが多いといわれている。そこで、上記方法で調製したフレッシュコンクリートについて、JIS A 1150「コンクリートのスランプフロー試験方法」に記載される方法により、混練から5分後、15分後、30分後、60分後、90分後および120分後のスランプフローを測定し、流動性の評価を行った。評価試験結果を表3及び図1に示す。なお、流動性及び材料分離抵抗性は現場到着から打設まで(一般に現場到着は混練から15分以降、打設は混練から120分後程度までと考えられる。)の性状が重要であることから、表3には、15分後〜120分後におけるスランプフローの差(120分値−15分値、最大値−最小値)、平均値を記載した。また、図3には、実施例1〜4及び比較例1のコンクリート組成物用微粉末を用いた場合のそれぞれについて、15分後、30分後、60分後、90分後および120分後のスランプフローを記載した。

Figure 0004810914
表3及び図1に示すように、実施例1〜4では、120分値−15分値、最大値−最小値が小さく、流動性の経時変化を十分に低減できることが分かった。特に実施例1及び2では、120分値−15分値、最大値−最小値がより小さく、流動性の経時変化をより十分に低減できることが分かった。また実施例1及び2では、スランプフローの平均値が大きく、流動性自体も優れていることが分かった。
これに対し、比較例1では、120分値−15分値、最大値−最小値が大きく、流動性の経時変化が大きいことから、流動性の経時変化を十分に低減できないことが分かった。また、スランプフローの平均値が小さく、流動性自体も悪いことが分かった。
[フレッシュコンクリートの材料分離抵抗性評価]
材料分離抵抗性は各種の評価方法が提案されているが、(社)土木学会編、「コンクリートライブラリ93 高流動コンクリートの施工指針」、第1版、丸善株式会社、平成10年7月によれば、フレッシュコンクリートの材料分離抵抗性は一般に、漏斗流下試験の流下時間およびスランプフロー試験の50cmフロー到達時間で評価することが多いといわれている。そこで、50cmフロー到達時間を測定し、材料分離抵抗性の評価を行った。評価試験結果を表4及び図2に示す。
Figure 0004810914
表4及び図2に示すように、実施例1〜4では、120分値−15分値、最大値−最小値が小さく、材料分離抵抗性の経時変化が小さいことが分かった。特に、実施例1及び2では、120分値−15分値、最大値−最小値がより小さく、材料分離抵抗性の経時変化がより小さいことが分かった。
これに対し、比較例1では、120分値−15分値、最大値−最小値が大きく、材料分離抵抗性の経時変化が大きいことから、材料分離抵抗性の経時変化を十分に低減できないことが分かった。
また、表3と表4より、各経過時間(15分後〜120分後)におけるスランプフローと50cmフロー到達時間との関係を求めた。結果を図3に示す。なお、スランプフローと50cmフロー到達時間との関係を示すグラフにおいては、同一スランプフローでは一般に、50cmフロー到達時間が大きいほど材料分離抵抗性が大きいとされる。
図3において、同一スランプフローで比較した場合、実施例1〜4は、比較例1よりも50cmフロー到達時間が長くなっている。即ち、実施例1〜4の50cmフロー到達時間はいずれも、50cmフロー到達時間をY、スランプフローをXとした場合の比較例1の相関関係式Y=−1.02X+71.1よりも上方にある。このことから、材料分離抵抗性が優れていることがわかる。また表2に示すように、コンクリートの配合は、従来一般の配合から変更されていない。以上のことから、本発明のコンクリート組成物用微粉末によれば、コンクリートの配合あるいは調合の大幅な見直しを行うことなくフレッシュコンクリートの流動性の経時変化の低減及び材料分離抵抗性の向上を実現させることができることが確認された。
フレッシュコンクリートのスランプフローと経過時間との関係を示すグラフである。 フレッシュコンクリートの50cmフロー到達時間と経過時間との関係を示すグラフである。 フレッシュコンクリートのスランプフローと50cmフロー到達時間との関係を示すグラフである。

Claims (7)

  1. 生石灰微粉末及び/又は消石灰微粉末を遊離酸化カルシウム換算で0.0質量%より多く且つ1.0質量%未満含有し、炭酸カルシウム微粉末を95.0質量%以上含有することを特徴とするコンクリート組成物用微粉末。
  2. 前記炭酸カルシウム微粉末の含有量が98.0質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート組成物用微粉末。
  3. 前記生石灰微粉末及び/又は消石灰微粉末を遊離酸化カルシウム換算で0.08質量%以上1.0質量%未満含有し、前記炭酸カルシウム微粉末95.0〜99.92質量%含有することを特徴とする請求項に記載のコンクリート組成物用微粉末。
  4. 水、コンクリート組成物用微粉末、セメント、細骨材、粗骨材及び高性能AE減水剤を含むフレッシュコンクリートであって、
    前記コンクリート組成物用微粉末は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のコンクリート組成物用微粉末であることを特徴とするフレッシュコンクリート。
  5. 前記フレッシュコンクリート1m当り、前記水を150〜185kg、前記コンクリート組成物用微粉末を100〜350kg、前記セメントを230〜600kg、前記細骨材を700〜1200kg、前記粗骨材を700〜1000kg、前記高性能AE減水剤を2〜30kg含むことを特徴とする請求項4に記載のフレッシュコンクリート。
  6. 水、コンクリート組成物用微粉末、セメント、細骨材、粗骨材及び高性能AE減水剤を含むフレッシュコンクリートの流動性の改善方法であって、
    前記コンクリート組成物用微粉末は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のコンクリート組成物用微粉末であることを特徴とするフレッシュコンクリートの流動性の改善方法。
  7. 前記フレッシュコンクリート1m当り、前記水を150〜185kg、前記コンクリート組成物用微粉末を100〜350kg、前記セメントを230〜600kg、前記細骨材を700〜1200kg、前記粗骨材を700〜1000kg、前記高性能AE減水剤を2〜30kg含むことを特徴とする請求項6に記載のフレッシュコンクリートの流動性の改善方法。
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