JP2018083899A - 加飾用フィルム及び加飾成形品 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の加飾用フィルムは、単層又は複数層で構成され、ポリ塩化ビニル系樹脂と、バリウム−亜鉛系の熱安定剤とを含む樹脂層を有し、上記バリウム−亜鉛系の熱安定剤は、芳香族基を有するバリウム化合物を含むことを特徴とする。
本発明の加飾用フィルムは、樹脂層にポリ塩化ビニル系樹脂を含有する。上記ポリ塩化ビニル系樹脂は、フィルムにした際の伸びがよく、破断し難いことから、三次元曲面への貼り付けが容易である。また、ポリ塩化ビニル系樹脂を含むフィルムは、印刷性に優れること、ドライヤー等の熱で軟化することから、加飾用フィルムとして好適である。
本発明の加飾用フィルムは、樹脂層にバリウム−亜鉛系の熱安定剤を含み、上記バリウム−亜鉛系の熱安定剤は、芳香族基を有するバリウム化合物を含む。本発明で用いられる芳香族基を有するバリウム化合物を含むバリウム−亜鉛系の熱安定剤は吸水し難く、ポリ塩化ビニル系樹脂に添加される種々の添加剤が吸水するのを抑制することができるため、長期にわたってフィルムの吸水白化を抑制することができると考えられる。
本発明の加飾用フィルムは、可塑剤を含有することが好ましい。本発明の加飾用フィルムに可塑剤を添加することにより、透明の硬質〜半硬質の加飾用フィルムとすることができ、耐寒衝撃性、対候性、耐傷性等を向上させることができる。上記可塑剤は、フィルムを加工し易くすることができるものであればよく、上記可塑剤としては、フィルムの分野において通常使用されるものを用いることができる。例えば、フタル酸オクチル(ジ−2−エチルヘキシルフタレート)、フタル酸ジブチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル(DINP:Diisononyl phthalate)等のフタル酸ジエステル、アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチル等の脂肪族二塩基酸ジエステル、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート等のリン酸トリエステル、エポキシ化大豆油やエポキシ樹脂等エポキシ系可塑剤、高分子ポリエステル可塑剤等が挙げられる。可塑剤としては、DINPを用いることが好ましい。
本発明の加飾用フィルムは、熱安定性助剤を含んでいてもよい。熱安定性助剤は、熱安定剤と併用することにより、フィルムの熱安定性を高めることができるものであればよく、上記熱安定性助剤としては、フィルムの分野において通常使用されるものを用いることができる。例えば、エポキシ化合物、ホスファイト系化合物、ポリオール系化合物等が挙げられる。上記熱安定性助剤としては、エポキシ化合物が好ましく用いられ、エポキシ樹脂がより好ましく用いられる。
本発明の加飾用フィルムは、アクリル系加工助剤を含んでいてもよい。アクリル系加工助剤は、フィルムの成形性を高めることができるものであればよく、上記アクリル系加工助剤としては、フィルムの分野において通常使用されるものを用いることができる。例えば、(メタ)アクリル酸エステルの1種を重合又は2種以上を共重合させたものを用いることができる。
本発明の加飾用フィルムは、上記のように、熱安定性助剤としてエポキシ樹脂を含有することができる。しかしながら、エポキシ樹脂を含有するフィルムは黄変する場合がある。これを抑制するために、エポキシ樹脂を含有する場合等には、本発明の加飾用フィルムに初着防止剤、紫外線吸収剤(光安定剤)等を含有させ、無色透明のフィルムとすることが好ましい。
本発明の加飾用フィルムは、初着防止剤(初期着色防止剤ともいう)を含んでいてもよい。初着防止剤は、フィルムの初期段階における着色を抑制することができるものであればよく、フィルムの分野において通常使用されるものを用いることができる。
本発明の加飾用フィルムは、紫外線吸収剤を含んでいてもよい。紫外線吸収剤は、紫外線を吸収することができるものであればよく、上記紫外線吸収剤としては、フィルムの分野において通常使用されるものを用いることができ、例えば、ベンゾフェノン系の紫外線吸収剤やベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤を用いることができる。黄色味が抑えられた、無色透明のフィルムを得る観点から、ベンゾフェノン系の紫外線吸収剤が好ましく用いられる。ベンゾフェノン系の紫外線吸収剤としては、株式会社ADEKA製 アデカ1413等が挙げられ、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤としては、株式会社ADEKA製 LA−29等が挙げられる。
本発明の加飾用フィルムの厚みは、150μm〜500μmであることが好ましく、200μm〜400μmであることがより好ましい。上記加飾用フィルムの厚みが150μm未満であると、基材に貼り付ける際に、加飾用フィルムが薄くなり過ぎ、下地が透けてしまうことがある。上記加飾用フィルムの厚みが500μmを超えると、基材に貼り付ける際に、加飾用フィルムの追従性が不充分となることがある。
上記加飾用フィルムは、粘着剤層を有していてもよい。粘着剤層を有することにより、加飾用フィルムを容易に基材へ貼付することができ、加飾用フィルムとしても好適に用いることができる。
本発明の加飾用フィルムは、更に、セパレータを有していることが好ましい。セパレータは、上記粘着剤層に貼着される面に離型処理が施されたものであればよく、特に限定されるものではない。セパレータとしては、離型フィルムや離型紙等が挙げられる。図1は、本発明の加飾用フィルムの一例を示した断面模式図である。図1に示したように、加飾用フィルム1aは、樹脂層10と、粘着剤層20と、セパレータ30が表面から順に積層されていることがより好ましい。このような態様とすることにより、樹脂層10を、粘着剤層20を介して基材へ容易に貼付することが可能となる。
以下、本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
まず、平均重合度が800のポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、芳香族基を有するバリウム化合物を含むバリウム−亜鉛系の熱安定剤を3.3重量部、アクリル系加工助剤を1.5重量部、衝撃強度改質剤を5.0重量部、安定化剤を0.5重量部、可塑剤(フタル酸ジイソノニル:DINP)を25.0重量部、熱安定性助剤を3.0重量部添加し、バンバリーミキサーで溶融混練後、カレンダー加工により、実施例1の加飾用フィルムを得た。フィルムの厚みは110μmであった。なお、実施例1で使用したバリウム−亜鉛系の熱安定剤において、芳香族基を有するバリウム化合物及び芳香族基を有する亜鉛化合物の総含有量(重量%)は、脂肪族基を有するバリウム化合物及び脂肪族基を有する亜鉛化合物の総含有量(重量%)を超えていた。
下記表1に示した通り、配合量を変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜8の加飾用フィルムを得た。
まず、平均重合度が800のポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、バリウム−亜鉛系の熱安定剤を4.0重量部、アクリル系加工助剤を1.5重量部、衝撃強度改質剤を5.0重量部、安定化剤を0.5重量部、可塑剤(DINP)を15.0重量部、可塑剤(エポキシ化大豆油)を3.0重量部添加し、バンバリーミキサーで溶融混練後、カレンダー加工により、比較例1の加飾用フィルムを得た。フィルムの厚みは110μmであった。なお、比較例1で使用したバリウム−亜鉛系の熱安定剤において、脂肪族基を有するバリウム化合物及び脂肪族基を有する亜鉛化合物の総含有量(重量%)は、芳香族基を有するバリウム化合物及び芳香族基を有する亜鉛化合物の総含有量(重量%)を超えていた。
下記表1に示した通り、配合量を変更した以外は、比較例1と同様にして、比較例2〜4の加飾用フィルムを得た。
実施例及び比較例で作製した加飾用フィルムについて、下記の方法により、(1)吸水白化指標の測定、(2)意匠変化の評価、及び、(3)外観の評価を行った。
得られた加飾用フィルムを40℃の水に24時間浸漬した後、ASTM E313−96に準拠した方法で加飾用フィルムの白色度WI(吸水白化指標)を測定した。なお、白色度WIは物体の「白さ」を表す度合であり、完全拡散反射面(理想的な白色)を100とした場合に、この理想的な白色から遠ざかるにしたがって、白色度の数値が低くなる。なお、ASTM規格は、ASTMインターナショナル(ASTM International)、旧称、米国材料試験協会(American Society for Testing and Materials)が設定・発行している規格である。
上記で測定した吸水白化指標の結果を基に、吸水白化指標が14.0以下であるものを○とし、14.0を超えるものを×とした。
実施例及び比較例で作製した加飾用フィルムを目視により無色透明と確認できるものを○とし、それ以外のものを×とした。
ホットメルト接着剤(日立化成ポリマー社製、ハイボン7663)を粘着剤層としての厚さが40μmになるように離型フィルム上に塗工し、これを上記で得られた加飾用フィルムに転写し、粘着剤層及び離型フィルムを備えた加飾用フィルムとした。続いて、離型フィルムを剥離した加飾用フィルムを、120℃で基材へ貼り付けて加飾成形品を作製した。加飾成形品を作製する際における成形加工性を評価した。
2:加飾成形品
10:樹脂層
20:粘着剤層
30:セパレータ
40:基材
Claims (11)
- 単層又は複数層で構成され、
ポリ塩化ビニル系樹脂と、バリウム−亜鉛系の熱安定剤とを含む樹脂層を有し、
前記バリウム−亜鉛系の熱安定剤は、芳香族基を有するバリウム化合物を含むことを特徴とする加飾用フィルム。 - 前記芳香族基を有するバリウム化合物は、炭素数が6以上30以下であることを特徴とする請求項1に記載の加飾用フィルム。
- 前記芳香族基を有するバリウム化合物は、ビス(3−メチル安息香酸)バリウムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の加飾用フィルム。
- 前記樹脂層は、更に、前記ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、5重量部〜45重量部の可塑剤を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の加飾用フィルム。
- 前記可塑剤は、脂肪酸に由来する構造を含まないことを特徴とする請求項5に記載の加飾用フィルム。
- 前記樹脂層は、更に、熱安定性助剤を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の加飾用フィルム。
- 前記熱安定性助剤は、エポキシ化合物であることを特徴とする請求項7に記載の加飾用フィルム。
- 前記樹脂層は、錫系の熱安定剤を含まないことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の加飾用フィルム。
- 前記加飾用フィルムは、更に、粘着剤層と、セパレータとを有し、かつ、
前記樹脂層と、前記粘着剤層と、前記セパレータとが順に積層されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の加飾用フィルム。 - 基材と、前記基材を覆う請求項1〜9のいずれかに記載の加飾用フィルムとを備え、
前記基材と前記加飾用フィルムとは、粘着剤層を介して積層されていることを特徴とする加飾成形品。
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