JP2018080557A - 防音パネル及び防音壁 - Google Patents
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Abstract
Description
防音パネルは、防音材と吸音材とから構成されており、いずれも夫々の左右両端部を、横方向に隣接するパネル支持用H形鋼の夫々の縦溝内に嵌入させてあり、騒音源となる車両が走行する道路及び線路に面して配置されている。さらに、道路側とは反対側の背面側には孔の開いてない金属板製の遮音板が設けられており、道路側からの発生音を防音壁の背面側には逃がさないように構成してある。
防音材や吸音材が設けられていない遮音板が面する側から生じる音は、遮音板に反射して増幅されることがあり、防音パネルを挟んで両方向からの音の伝播を抑えたいという要望がある。
図1は、敷地と道路との境界に設置された防音壁を一部段面にして示す図である。図2(a)は、防音パネルを正面側から見た図であり、図2(b)は、防音パネルを背面側から見た図である。図3は、図2(a)のIII-III線に沿った断面図である。図4は、上枠の断面図である。図5は、上枠を上方から見た平面図である。図6は、下枠の断面図である。図7は、下枠を下方から見た平面図である。図8は、側壁部近傍の構成を示す図であり、図示の便宜上、仕切材を省いた。図9(a)は、第1の吸音材側の縦枠の断面図であり、図9(b)は、第2の吸音材側の縦枠の断面図である。図10は、防音パネルに水がかかったときの作用効果を説明する図である。
図1に示すように、防音壁300は、例えば、住宅街における住宅同士の敷地の境界、又は、住宅と道路との境界に立設されている。防音壁300は、防音パネル100と、支柱200とを備えている。支柱200は、所定の間隔、具体的には、防音パネル100の幅に相当する間隔をあけて敷地の境界に複数立設されている。支柱200は、例えば、H形鋼で構成されており、防音パネル100の幅方向(長手方向ともいう。)の両端部は、H形鋼のフランジ間に上方から挿入され、支柱200に係止されている。防音パネル100は、支柱200の上下方向(立設方向)に沿って複数段にわたって積み重ねられている。
図1から図3に示すように、防音パネル100は、少なくとも2つの吸音材(吸音部)1と、収容部2と、上枠(上部支持部)3と、下枠(下部支持部)4と、側壁部6と、縦枠7と、を備えている。
図1及び図2に示すように、吸音材1は、防音パネル100のユニットの大きさに合わせて、例えば、平面視矩形状に形成された板状の部材である。図3に示すように、吸音材1は、防音パネル100に少なくとも2つ(図示の実施の形態では2つ)設けられている。以下、2つの吸音材1,1を説明の便宜上、第1の吸音材1a、及び、第2の吸音材1bとも呼ぶ。第1の吸音材1a及び第2の吸音材1bそれぞれの表面(以下、「正面」ともいう。)は、例えば、敷地内及び道路に露出して配置されている。
第1の吸音材1a及び第2の吸音材1bは、互いの間に空気層Asが形成されるように、背面が互いに離間するように配置されている。
吸音材1は、例えば、ポリエステル、グラスウール等の繊維材や、ウレタン等の樹脂から形成されたスポンジ材や、内部に綿や羽毛が詰められたクッション材により、又はこれらの組み合わせにより形成されている。吸音材1は、人等の衝突によるエネルギーを吸収して怪我を防止するように弾性変形可能に形成されている。吸音材1の正面には、吸音材1を保護する保護材11が設けられている。保護材11は、例えば、ポリエステルの特殊撥水クロスから形成されており、耐候性(耐水、耐熱、耐紫外線)に優れ、吸音材1の劣化を抑制する。保護材11は、吸音材1の衝撃吸収性を損なわないよう、吸音材1の変形に追随して変形可能な材料である。
図3に示すように、収容部2は、吸音材1を収容するものであり、防音パネル100の一部として設置した際に、収容部2の上部に設けられ吸音材1の上部を支持して水平に延在する上枠3と、収容部2の下部に設けられ吸音材1の下部を支持して水平に延在する下枠4と、を備えている。
さらに、収容部2は、上枠3と下枠4との間(防音パネル100の高さ方向)において、収容部2を防音パネル100の長手方向に沿って短手方向(厚さ方向ともいう。)に仕切る仕切材(仕切部)5を備える。仕切材5は、第1の吸音材1aと第2の吸音材1bとの間に配置されている。
図2から図5に示すように、上枠3は、収容部2に収容された第1の吸音材1a及び第2の吸音材1bの上端部を支持するものである。上枠3は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金から形成されている。
上枠3は、防音パネル100の敷地内及び道路を臨む両先端部が下方に向けて折り曲げられており、第1の吸音材1a及び第2の吸音材1bの正面の面方向に対してほぼ平行に延びている。
上枠3は、第1の吸音材1aを正面側から支持する第1の支持部31、第2の吸音材1bを正面側から支持する第2の支持部32と、第1の吸音材1aを背面側から支持する第3の支持部33と、第2の吸音材1bを背面から支持する第4の支持部34と、第1の吸音材1aから第2の吸音材1bにわたって水平方向に延在する天井部35とを一体に備えて形成されている。
第1の当接部31aは、防音パネル100の上下方向、すなわち、第1の吸音材1aの上下方向(面方向)に沿って直線状に延びるように形成されており、その下端部(先端部)は、支持される第1の吸音材1a及び第2の吸音材1bの正面に向けて若干突出している。
防音パネル100の長手方向における上枠3の第1の支持部31側の両端部には、防音パネル100を上下に積み重ねた際に防音パネル100の脱落を防止するワイヤロープ(図示せず)が挿通するための切欠き36が形成されている。
図2、図3、図6及び図7に示すように、下枠4は、収容部2に収容された第1の吸音材1a及び第2の吸音材1bの下端部を支持するものである。下枠4は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金から形成されている。下枠4は、第1の吸音材1aを正面側から支持する第1の支持部41と、第2の吸音材1bを正面側から支持する第2の支持部42と、第1の吸音材1aを背面側から支持する第3の支持部43と、第2の吸音材1bを背面側から支持する第4の支持部44と、第1の吸音材1aと第2の吸音材1bとにわたって水平方向に延在する底部45と、防音パネル100を積み重ねた状態で下側に位置する防音パネル100の上枠3に係合する係合部46とを備えて一体に形成されている。
第1の当接部41aは、防音パネル100の上下方向、すなわち、第1の吸音材1aの上下方向(面方向)に沿って直線状に延びるように形成されており、その上端部(先端部)は、支持される第1の吸音材1aの正面に向けて若干突出している。
係合部46は、複数の防音パネル100が積み重ねられて一方の防音パネル100の上枠3に、他方の防音パネル100の下枠4が重ねられた場合、当該上枠3の第1の支持部31の第1の当接部31aの外面に係合する爪部46aを備えている。爪部46aは、係合部46の下端部から防音パネル100の内側に突出して形成されている。
防音パネル100の長手方向における下枠4の第1の支持部41側の両端部には、防音パネル100を上下に積み重ねた際に防音パネル100の脱落を防止するワイヤロープ(図示せず)が挿通するための切欠き46が形成されている。
図3に示すように、仕切材5は、例えば、鋼製の金属板であり、上枠3と下枠4とに上下方向の端部がそれぞれ連結されており、防音パネル100の長手方向における一端から他端にわたって延在している。
仕切材5は、第1の吸音材1aと第2の吸音材1bとの間で各吸音材1a,1bの背面に沿って延びている。仕切材5は、第1の吸音材1aの背面を支える2つの第1の支持部位51a,51b、第2の吸音材1bの背面を支える第2の支持部位52、及び、第1の吸音材1aと第2の吸音材1bとを互いに離間させる2つの離間部位53a,53bを備える。
第2の吸音材1b側の離間部位53aの端部から第2の支持部位52が、下枠4に向かって第2の吸音材1bの背面に沿いつつ当接して延在し、途中で、第1の吸音材1aに向かって近づく離間部位53bに繋がっている。
第1の吸音材1a側の離間部位53bの端部から第1の支持部位51bが、下枠4まで第1の吸音材1aの背面に沿いつつ当接して延在する。第1の支持部位51bは、下枠4側の先端部が斜めに延在しており、下枠4の第3の支持部43の第3の張出部43cの斜めに延出している部分と突き合わされて、リベットLにより連結されている。
仕切材5は、上下の2箇所において第1の支持部位51a,51bにより第1の吸音材1aを背面側から支え、中央部付近において第2の支持部位52により第2の吸音材1bを背面側から支えるように構成されている。
なお、収容部2は、第1の吸音材1a及び第2の吸音材1bの正面側に、当該吸音材1a,1bそれぞれを覆うカバーを備えていない。そのため、第1の吸音材1a及び第2の吸音材1bは、その正面側が外部(敷地内又は道路)に露出した状態で収容部2に収容されている。
側壁部6は、収容部2の両側にそれぞれ設けられている。側壁部6は、上枠3と下枠4との間を延在している。図8に示すように、側壁部6は、横断面視コ字状に形成された板状の第1の側壁部材61と、横断面視クランク状に形成された第2の側壁部材62と、を備える。側壁部6は、例えば、合金めっき鋼板から形成されている。
第1の側壁部材61の連結部位61bにおける上下端部には、上枠3及び下枠4の受け部35a,45aに対応する箇所に孔が設けられていて、当該孔にビスが挿通される。
第1の側壁部材61は、収容部2の第1の吸音材1aが収容される側において、防音パネル100の側方に向かって開放した状態で一方の平行部位61aにおいて後述する縦枠71にリベットLを用いて連結されている。他方の平行部位61aは、第2の側壁部材62にリベットLを用いて連結されている。
第2の側壁部材62の一方の平行部位62aは、第1の側壁部材61の他方の平行部位61aに連結される。第2の側壁部材62の他方の平行部位62aは、第2の吸音材1b側の防音パネル100の後述する縦枠72にリベットLを用いて連結されている。
防音パネル100における左右方向両端部は、側壁部6で覆われ、吸音材1a,1bが離脱できないようになっている。
図8及び図9に示すように、縦枠7は、防音パネル100の両面側に露出する側壁部6の正面側を被覆するものであり、側壁部6が見えることによる見映えの悪化を防止する化粧材として用いられる。縦枠7は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金から形成されている。縦枠7は、防音パネル100の第1の吸音材1aの側に設けられる第1の縦枠71(図9(a)参照。)と、第2の吸音材1bの側に設けられる第2の縦枠72(図9(b)参照。)と、を備える。
係止部71bは、化粧部71aに連続して一体に形成されており、側壁部6が折り曲げられている位置で化粧部71aの延在方向に対してほぼ直角をなす方向に折り曲げられており、さらに途中でほぼ直角に折り曲げられて延びている。
防音パネル100を組み立てる際には、収容部2に上枠3、下枠4、仕切材5、縦枠7、及び防音パネル100の左右方向における一方の端部に側壁部6を取り付けた後、側壁部6が取り付けられていない他方の端部側から、収容部2内に第1の吸音材1a及び第2の吸音材1bをスライドさせて収容する。第1の吸音材1a及び第2の吸音材1bの収容後、他方の端部は側壁部6によって閉鎖される。これにより、防音パネル100が完成する。
側壁部6は、第1の側壁部材61及び第2の側壁部材62の孔を、上枠3及び下枠4の受け部35a,45aに対応させて、側壁部6の外側からビス(図示せず)を挿通して、各受け部35a,45aと係合させることで収容部2に取り付ける。かくして、側壁部6は、収容部2に連結される。
吸音材を収容する際には、第1の吸音材1aの上下端部を弾性変形させて縮めて、防音パネル100の左右方向の他方の端部側から上枠3の第1の当接部31aと第3の当接部33aとの間、及び、下枠4の第1の当接部41aと第3の当接部43aとの間に第1の吸音材1aを差し込んで、既に取り付けられた側壁部6に向かってスライドさせて押し込む。第1の吸音材1aは、その復元力で上枠3と下枠4との間で支持される。
また、収容部2への第2の吸音材1bの収容も第1の吸音材1aの場合と同様に、上下端部を弾性変形させて縮めて上枠3の第2の当接部32aと第4の当接部34aとの間、及び、下枠4の第2の当接部42aと第4の当接部44aとの間に、第2の吸音材1bを防音パネル100の左右方向の他方の端部から差し込んで、既に取り付けられた側壁部6に向かってスライドさせて押し込む。第2の吸音材1bは、その復元力で上枠3と下枠4との間で支持される。
かくして、第1の吸音材1a及び第2の吸音材1bは、防音パネル100の上下方向においては上枠3及び下枠4により挟まれ、左右方向においては側壁部6により長手方向におけるずれが防がれており、そして正面側からは縦枠71,72により固定されている。
防音パネル100は、音源の脇に所定間隔で設置された支柱200間に嵌め込まれ、防音パネル100を含む複数の防音パネルを数段積み重ねることで防音壁が完成する。
なお、長期間の使用により、吸音材1a,1bが破損、劣化してきた場合には、吸音材1a,1bを弾性変形させて上枠3及び下枠4から取り外し、新しい吸音材1a,1bと交換する。
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、本発明の範囲を超えない範囲で適宜変更が可能である。例えば、防音パネルの各構成の形状は任意であり、上述した機能を有しているものであれば、自由に設計変更可能である。
なお、防音壁300は、例えば、対面通行型の道路の中央分離部に立設することもできる。
また、吸音材は、1つの部材により構成されていてもよく、この場合、吸音材の内部に空気層Asが形成される空洞部が設けられている。
2 収容部
3 上枠(上部支持部)
31 第1の支持部
32 第2の支持部
33 第3の支持部
34 第4の支持部
35 天井部
35a 受け部
4 下枠(下部支持部)
41 第1の支持部
42 第2の支持部
43 第3の支持部
44 第4の支持部
45 底部
45a 受け部
46 係合部
5 仕切材
51 第1の支持部位
52 第2の支持部位
53 離間部位
6 側壁部
100 防音パネル
200 支柱
300 防音壁
Claims (10)
- 音源から発せられた音の拡散を抑える防音パネルであって、
正面と背面に露出する吸音部と、
前記吸音部の正面及び背面を外部に露出させた状態で前記吸音部を収容する収容部と、
を備えることを特徴とする防音パネル。 - 前記吸音部は、前記正面と前記背面との間に空気層を有していることを特徴とする請求項1に記載の防音パネル。
- 前記吸音部は、正面側で前記音源に面し、背面側で互いに向かい合うようにして少なくとも2つ設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の防音パネル。
- 2つの吸音部は、互いに離間して配置されていることを特徴とする請求項3に記載の防音パネル。
- 前記収容部の上部に設けられ、前記吸音部の上部を支持する上部支持部と、
前記収容部の下部に設けられ、前記吸音部の下部を支持する下部支持部と、
を備え、
前記上部支持部と前記下部支持部との間にわたって延在して、前記少なくとも2つの吸音部の間を背面側で仕切る仕切部を有することを特徴とする請求項3又は4に記載の防音パネル。 - 前記仕切部は、一方の前記吸音部と他方の前記吸音部とを互いに離間させて当該吸音部の間に空気層を形成する離間部位と、前記一方の吸音部及び前記他方の吸音部を背面側から支える支持部位と、を備えることを特徴とする請求項5に記載の防音パネル。
- 前記離間部位は、少なくとも2つ設けられていることを特徴とする請求項6に記載の防音パネル。
- 前記収容部の側部に設けられた側壁部を備え、
前記上部支持部及び前記下部支持部は、該上部支持部及び該下部支持部に前記側壁部を固定する固定具が挿入される受け部を備えることを特徴とする請求項5から7までのいずれか一項に記載の防音パネル。 - 前記吸音部は、弾性材料により形成されていることを特徴とする請求項1から8までのいずれか一項に記載の防音パネル。
- 請求項1から9までのいずれか一項に記載の防音パネルを支柱間に設けたことを特徴とする防音壁。
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