JP6938136B2 - 防音パネル及び防音壁 - Google Patents

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Description

本発明は、騒音源から発せられた騒音の拡散を抑える防音パネル及び防音壁に関する。
例えば車両等の走行に伴う騒音を吸音するために、高速道路や鉄道の沿線等に沿って設置される吸音パネルが知られている。
吸音パネルは、左右方向の幅の大きさが上下の大きさより小さく形成された略縦長矩形の形状に形成させた本体を備えている。本体は、前面を構成する前面板と、その後方に配置させて後面を構成する背面板と、左右の側端にそれぞれ取り付けて側面を構成する側面板とを備え、その内側に中空部を有する中空箱状に形成させている。
背面板は、例えば、亜鉛メッキ鋼板製で矩形板状に形成されており、その上部から前方へ延設させる天板部と、下部から前方へ延設させる底板部とを備える。前面板、背面板、及び各側面板によって囲われる本体の中空部には吸音材が収納されている(特許文献1参照。)。
特開2016−050443号公報
ところで、特許文献1の吸音パネルにおける背面板は鋼板製である。吸音パネルに鋼板を用いることにより、各吸音パネルの重量が増大し、防音パネルの組立て及び搬送に大きな手間を要することになる。
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、組立て及び搬送が容易な防音パネル、及び、当該防音パネルを備えた防音壁を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、騒音源から発せられた騒音の拡散を抑える防音パネルであって、前記騒音源に正面側が露出した状態で吸音材を収容する収容部と、前記収容部の前記吸音材を前記騒音源に対して背面側で支持し、透光性を有する材料により形成される背面支持部と、を備えることを特徴とする。
また、前記透光性を有する材料は、樹脂材料又はガラスであることが好ましい。
また、前記樹脂材料は、ポリカーボネート樹脂及びアクリル樹脂の少なくとも一方を含むことが好ましい。
さらに、上記課題を解決するために、本発明は、騒音源から発せられた騒音の拡散を抑える防音パネルであって、前記騒音源に正面側が露出した状態で吸音材を収容する収容部と、前記吸音材を前記騒音源に対して背面側で支持し、弾性材料により形成される背面支持部と、を備えることを特徴とする。
また、前記弾性材料は、ゴム材料又はエラストマであることが好ましい。
また、記ゴム材料は、クロロプレンゴム又はEPDMゴムであることが好ましい。
さらに、上記課題を解決するために、本発明は、防音壁であって、上記の防音パネルを支柱間に設けたことを特徴とする。
本発明によれば、防音パネルの組立て及び搬送を容易にすることができる。
敷地との境界に設置された第1の実施の形態に係る防音壁を示す概略図である。 防音パネルの正面図である。 図2におけるA−A断面図である。 上枠の断面図である。 下枠の断面図である。 側壁部近傍の構成を示す図である。 縦枠の断面図である。 背壁部の作用効果を説明する図である。 パネルに水がかかったときの作用効果を説明する図である。 壁面に設けられた第2の実施の形態に係る防音壁を示す概略図である。 図10に示す防音壁から吸音部を除いた防音パネルの正面図である。 図11に示す支持材の構成を示す図である。 図11におけるD−D断面図である。 吸音部を除いた他の防音パネルの正面図である。 他の支持材の構成を示す図である。 図14におけるE−E断面図である。
本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す実施の形態は一つの例示であり、本発明の範囲において、種々の形態をとり得る。
[第1の実施の形態]
<防音壁の構成>
図1に示すように、防音壁300は、例えば、運動競技場等における敷地の境界に設けられている。防音壁300は、防音パネル100と、支柱200とを備えている。支柱200は、所定の間隔、具体的には、防音パネル100の幅に相当する間隔をあけて敷地の境界に複数立設されている。防音パネル100は、隣接する支柱200の間に設けられており、幅方向の両端部が支柱200によって支持されている。支柱200は、例えば、H形鋼で構成されており、防音パネル100の幅方向(長手方向ともいう。)の両端部は、H形鋼のフランジ間に上方から挿入され、支柱200に係止されている。防音パネル100は、支柱200の上下方向(立設方向)に沿って複数段にわたって積み重ねられている。
<防音パネル>
図1から図9に示すように、防音パネル100は、吸音材1(吸音部)と、収容部2と、上枠3と、下枠4と、側壁部5と、縦枠6とを備えている。
[吸音材]
図1から図3に示すように、吸音材1は、防音パネル100のユニットの大きさに合わせて、例えば、平面視矩形状に形成された板状の部材である。吸音材1は、正面側が敷地内に面するように配置される。
吸音材1は、例えば、ポリエステル、グラスウール等の繊維材や、ウレタン等の樹脂から形成されたスポンジ材や、内部に綿や羽毛が詰められたクッション材により、又はこれらの組み合わせにより形成されている。吸音材1は、人等の衝突によるエネルギーを吸収して怪我を防止するように弾性変形可能に形成されている。吸音材1の正面には、吸音材1を保護する保護材11が設けられている。保護材11は、例えば、ポリエステルの特殊撥水クロスから形成されており、耐候性(耐水、耐熱、耐紫外線)に優れ、吸音材1の劣化を抑制する。保護材11は、吸音材1の衝撃吸収性を損なわないよう、吸音材1の変形に追随して変形可能な材料である。
なお、保護材11は、図3に示すような吸音材1の正面だけに設ける場合に限らず、吸音材1の正面と背面に保護材11を設けてもよい。保護材11を吸音材1の両面に設けておけば、正面側の保護材11が経年劣化などにより機能が低下した場合でも、吸音材1の表裏を入れ替えることにより、背面に設けられた保護材11を正面側に配置することができる。かくして、吸音材1の機能を簡易に改修することができ、吸音材1の交換サイクルを延ばすことができるので経済的である。
(収容部)
図1から図3に示すように、収容部2は、吸音材1を収容するものであり、断面視略コ字状に形成された板状の部材である。
収容部2は、防音パネル100の一部として設置した際に、吸音材1の背面側(敷地内とは反対側の外側の面)に配置される背壁部(背面支持部)21と、背壁部21の上端部から吸音材1に向けて斜め上方に延出する上部延出部22と、背壁部21の下端部から吸音材1に向けて斜め上方に延出する下部延出部23と、を備えている。
背壁部21は、透光性を有する材料により形成されており、吸音材1の背面に沿って延びて当該吸音材1を背面側で支持している。背壁部21は、吸音材1の背面に沿って延在する主面部21aと、中央部付近において吸音材1に向けて近づくように屈曲形成されている屈曲部21bと、を有する。
背壁部21の材料は、透光性を有していれば特に限定されず、例えば、樹脂材料や、ガラス等の無機材料等が挙げられる。
なお、ここで「透光性」とは、少なくとも可視光の波長領域の光が透過する性質のことをいい、透明性を備えていることが好ましい。
樹脂材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミド(PA)、ポリエーテルサルフォン(PES)、塩化ビニル樹脂、およびポリプロピレン(PP)等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも特に、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂であるのが好ましい。
上部延出部22は、その先端部が下方に向けて折り曲げられており、吸音材1の正面の面方向に対してほぼ平行に延びている。
下部延出部23は、その先端部が下方に向けて折り曲げられており、吸音材1の正面の面方向に対してほぼ平行に延びている。
ここで、上部延出部22と下部延出部23とは、その延出方向がほぼ平行となるように形成されている。また、下部延出部23は、上部延出部22よりも走行路側に突出するように形成されている。
このように、収容部2は、吸音材1の正面側に、吸音材1を覆うカバーを備えていない。そのため、吸音材1は、その正面側が外部(敷地内)に露出した状態で収容部2に収容される。
(上枠)
図2から図4に示すように、上枠3は、収容部2に収容された吸音材1の上端部を支持するものである。上枠3は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金から形成されている。上枠3は、吸音材1を支持する支持部31と、収容部2に嵌め込まれる嵌合部32と、を備えている。
支持部31は、吸音材1の正面側から当接する第1の当接部31aと、吸音材1の背面側から当接する第2の当接部31bと、第1の当接部31aと第2の当接部31bとを連結し、吸音材1の上端面に対向する連結部31cと、第1の当接部31aに連続し、正面側に張り出した張出部31dと、を備えており、これらは一体に形成されている。
第1の当接部31aは、防音パネル100の上下方向、すなわち、吸音材1の上下方向(面方向)に沿って直線状に延びるように形成されており、その下端部(先端部)は、支持される吸音材1の正面に向けて若干突出している。
第2の当接部31bは、防音パネル100の上下方向、すなわち、吸音材1の上下方向(面方向)に沿って直線状に延びるように形成されている。すなわち、第2の当接部31bは、第1の当接部31aとほぼ平行に延びている。第2の当接部31bは、その先端部が第1の当接部31aの先端部よりも下方に位置するように形成されている。
連結部31cは、防音パネル100の厚さ方向、すなわち、吸音材1の厚さ方向に沿って延びるように形成されており、第1の当接部31aに突き当たる直前で下方に向けて屈曲し、さらに、その途中で吸音材1の厚さ方向に沿って第1の当接部31aに向けて屈曲するように形成されている。これにより、連結部31cにおける第1の当接部31a側の端部には、上方に開口する凹部32bが形成されている。連結部31cは、吸音材1の正面側の端部で第1の当接部31aに連続しており、吸音材1の背面側の端部で第2の当接部31bに連続している。連結部31cは、第1の当接部31aの内面と第2の当接部31bの内面との間隔が吸音材1の厚さ以下となるような長さに形成されている。
張出部31dは、第1の当接部31aの上端及び下端に連続しており、正面側に張り出している。これにより、第1の当接部31aと張出部31dとで閉構造を形成している。
嵌合部32は、上部延出部22に係合する係合部32aと、上部延出部22と上枠3との係合が外れることを防止する凹部32bとを備えており、これらは支持部31と共に一体に形成されている。
係合部32aは、支持部31の第1の当接部31aの上端から連続して上方に向けて延び、その途中で支持部31の第2の当接部31b側に向けて折り返すように形成されている。係合部32aは、途中までは第1の当接部31aと同一直線上に延び、先端部は、防音パネル100の背面側に向けて斜め下方に延びている。係合部32aの先端部の下り傾斜は、上部延出部22の先端部の上り傾斜とほぼ同じ勾配である。
凹部32bは、吸音材1の幅方向に沿った幅(開口幅)が、少なくとも上部延出部22を嵌め込むことができるような幅を有するように形成されている。また、凹部32bは、防音パネル100の上下方向に沿った深さが、上部延出部22を係止するのに十分な深さを有するように形成されている。
このように、上枠3を上部延出部22に嵌め込むと、上部延出部22の先端部は、上枠3の係合部32aの内面に沿って当接すると共に、凹部32bによって移動が規制されるため、外れることなくしっかりと嵌め込むことができる。
(下枠)
図2、図3及び図5に示すように、下枠4は、収容部2に収容された吸音材1の下端部を支持するものである。下枠4は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金から形成されている。下枠4は、吸音材1を支持する支持部41と、収容部2に嵌め込まれる嵌合部42と、を備えている。
支持部41は、吸音材1の正面側から当接する第1の当接部41aと、吸音材1の背面側から当接する第2の当接部41bと、第1の当接部41aと第2の当接部41bとを連結し、吸音材1の下端面に対向する連結部41cと、第1の当接部41aに連続し、正面側に張り出した第1の張出部41dと、連結部41cの内面から内側(上方)に向けて張り出した第2の張出部41eとを備えており、これらは一体に形成されている。
第1の当接部41aは、防音パネル100の上下方向、すなわち、吸音材1の上下方向(面方向)に沿って直線状に延びるように形成されており、その上端部(先端部)は、支持される吸音材1の正面に向けて若干突出している。
連結部41cは、第2の当接部41bから第1の当接部41aに向かうにつれて上方に傾斜するように形成されている。連結部41cは、吸音材1の正面側で第1の当接部41aに連続しており、吸音材1の背面側で第2の当接部41bに連続している。連結部41cは、第1の当接部41aの内面と第2の当接部41bの内面との間隔が吸音材1の厚さ以下となるような長さに形成されている。連結部41cの上り傾斜は、下部延出部23の上り傾斜とほぼ同じ勾配である。
第1の張出部41dは、第1の当接部41aの上端及び連結部41cの正面側の端部に連続しており、正面側に張り出しており、その上部が第1の当接部41aに向けて滑らかに湾曲するように形成されている。これにより、第1の当接部41aと第1の張出部41dとで閉構造を形成している。
第2の張出部41eは、第2の当接部41b及び連結部41cに連続しており、収容される吸音材1側(上方)に張り出している。これにより、第2の当接部41bと連結部41cと第2の張出部41eとで閉構造を形成している。
嵌合部42は、下部延出部23に係合する係合部42aと、下部延出部23と下枠4との係合が外れることを防止する爪部42bとを備えており、これらは支持部41と共に一体に形成されている。
係合部42aは、支持部41の第1の張出部41dから連続して下方に向けて延びるように形成されている。係合部42aは、第1の当接部41a及び第2の当接部41bと平行に延びている。すなわち、下部延出部23は、係合部42aの内面と、連結部41cの下面に当接することで、下枠4に係合する。
爪部42bは、係合部42aの先端部(下端部)から上方に向かって折り返すように折り曲げられて形成されている。爪部42bは、係合部42aから下部延出部23の厚さに相当する間隔をあけて係合部42aよりもパネル100の背面側に設けられている。
このように、下枠4を下部延出部23に嵌め込むと、下部延出部23の先端部は、下枠4の係合部42aの内面に沿って当接するとともに、爪部42bによって移動が規制されるため、外れることなくしっかりと嵌め込むことができる。
また、下部延出部23と下枠4は、リベットで連結されている(図10参照。)。リベットLは、外側に位置する下部延出部23から差し込まれており、その先端が第2の当接部41bと連結部41cと第2の張出部41eとで形成された閉構造空間内に向けて挿通されている。リベットLは、例えば、ステンレスから形成されている。
また、上枠3の上面側に位置する嵌合部32は、下枠4の下面側に位置する嵌合部42に嵌合自在とされている。すなわち、上枠3に下枠4を積み重ねることができるように、上枠3及び下枠4が形成されている。さらに、上枠3と下枠4とは、吸音材1の厚さ方向に沿った長さが等しくなるように形成されており、積み重ねた際に、上枠3及び下枠4の正面及び裏面がほぼ面一となる。これにより、上枠3及び下枠4によって支持される吸音材1も、積み重ねた際に正面及び背面がほぼ面一となる。よって、複数の防音パネル100を上下方向(高さ方向)に積み重ねて壁体として用いることができる。
(側壁部)
図6に示すように、側壁部5は、収容部2の両側にそれぞれ設けられている。側壁部5は、横断面視コ字状に形成された板状の部材である。側壁部5は、例えば、合金めっき鋼板から形成されている。
側壁部5は、短手方向(吸音材1の厚さ方向)一端部が背壁部21にリベットL2を用いて連結されており、他端部が縦枠6にリベットL3を用いて連結されている。これにより、防音パネル100における左右方向両端部は、側壁部5で覆われ、吸音材1が離脱できないようになっている。
(縦枠)
図6及び図7に示すように、縦枠6は、パネル100の正面側に露出する側壁部5の正面側を被覆するものであり、側壁部5が見えることによる見映えの悪化を防止する化粧材として用いられる。縦枠6は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金から形成されている。縦枠6は、化粧部61と、係止部62とを備えている。
化粧部61は、側壁部5の正面を覆うものであり、側壁部5に連結した状態において、側壁部5の正面に沿って直線状に延びている。化粧部61は、その一端部近傍でリベットL3により側壁部5と連結されている。化粧部61の正面における側壁部5との連結領域には、シール材Sが貼り付けられている。シール材Sは、例えば、5倍に発泡されたクロロプレンゴムから形成されている。
係止部62は、化粧部61に連続して一体に形成されており、側壁部5が折り曲げられている位置で化粧部61の延在方向に対してほぼ直角をなす方向に折り曲げられており、さらに途中でほぼ直角に折り曲げられて上枠3及び下枠4の背面側に沿うように延びている。
<防音パネルの組立て及び防音壁の施工方法>
防音パネル100を組み立てる際には、収容部2に上枠3、下枠4、縦枠6、及び防音パネル100の左右方向の一方の端部に側壁部5を取り付け、側壁部5が取り付けられていない左右方向の他方の端部側から、収容部2内に吸音材1をスライドさせて収容する。吸音材1を収容後、他方の端部は側壁部5によって閉鎖される。これにより、防音パネル100が完成する。
吸音材1を収容する際には、吸音材1の上下端部を弾性変形させて縮め、防音パネル100の左右方向の他方の端部側から上枠3の第1の当接部31aと第2の当接部31bとの間、及び、下枠4の第1の当接部41aと第2の当接部41bとの間に差し込んで、既に取り付けられた側壁部5に向かって吸音材1をスライドさせて押し込む。吸音材1は、その復元力で上枠3と下枠4との間で支持される。
吸音材1は、防音パネル100の上下方向においては上枠3及び下枠4により挟まれ、左右方向においては側壁部5により長手方向におけるずれが防がれており、そして正面側からは縦枠6により固定されている。
これによって、防音パネル100が完成する。防音パネル100は、敷地の境界に所定間隔で設置された支柱200間に嵌め込まれ、防音パネル100を数段積み重ねることで壁体300が完成する。
なお、長期間の使用により、吸音材1が破損、劣化してきた場合には、吸音材1を弾性変形させて上枠3及び下枠4から取り外し、新しい吸音材1と交換する。
以上のような構成を有する防音パネル100は、透光性を有する材料、例えば、樹脂材料又はガラスにより背壁部21を形成しているので、従来の防音パネルのように背壁部を鋼板により形成した場合と比べて軽量化を達成することができる。これにより、鋼板製の背壁部を備えた防音パネルに比べて、防音パネル100の組立て及び搬送が容易になると共に、防音壁300の施工がより容易になる。
さらに、運動競技場等の敷地が使用されている場合には、図1(a)及び図8(a)に示すように防音パネル100には吸音材1が収容されて高い吸音効果を発揮する。これに対して、競技場等の敷地が使用されていない場合には、図1(b)及び図8(b)に示すように、吸音材1を防音パネル100から取り外すことで、防音壁300の背後にある住宅等の採光(図8(b)に矢印で示す。)が可能になる。これにより、住宅側から見た防音壁300の景観性も向上する。
また、防音壁を道路脇に設置した場合、従来の防音パネルにおいては吸音材を取り外した場合であっても道路側からその反対側への視界が鋼板製の背壁部により遮られていた。したがって、例えば、防音壁が壁高欄に設置されている場合、道路側とは反対側にある防護壁の基礎部等の点検は、防音パネルを越えて行う必要があり、オーバフェンス型の作業車を用いて作業員を道路側からその背面側へ搬送して点検しなければならない場合があった。
これに対して、防音パネル100を用いた防音壁300を道路脇に設置した場合、吸音材1を取り外すことにより(図8(b)参照。)、道路側とは反対側にある防護壁300の基礎部等を目視により容易に点検することができる。
また、背壁部21の材料として、ポリカーボネート系樹脂又はアクリル系樹脂を用いることにより、当該背壁部21は、透明性に優れると共に衝突に対する耐衝撃性に優れている。
また、防音パネル100は、吸音材1の正面側が露出されているため、図9に示すように、雨水、紫外線等を防音材1で直接受けることになる。しかし、防音材1の表面には、保護材11が設けられているため、保護材11が耐候性を発揮し、水や紫外線等から緩衝材1を保護する。従って、正面壁がなくてもパネルとして十分な機能を発揮することができる。また、防音材1が破損、劣化して交換する際には、正面壁を取り外すような作業も必要ないため、防音パネル100を現場に設置した状態のまま交換作業を行うことができる。
[第2の実施の形態]
次に、図10〜13を用いて、第2の実施の形態に係る防音壁300Aついて説明する。図10は、壁面に設けられた第2の実施の形態に係る防音壁の概略図である。以下では、第2の実施の形態が第1の実施の形態と異なる点、特に収容部2Aについて説明し、第1の実施の形態と同じ構成については、同一符号を付して説明を省略する。
図10に示すように、防音壁300Aは、例えば、船舶の機関室Eの壁面に立設されている。
防音パネル100Aは、吸音材1(吸音部)と、収容部2Aと、上枠3と、下枠4と、側壁部5と、縦枠6と、支持材7とを備えている。
収容部2Aは、吸音材1を収容するものであり、断面視略コ字状に形成された板状の部材である。
収容部2Aは、防音パネル100Aの一部として設置した際に、吸音材1の背面側(機関室Eの壁面側)に配置される背壁部21Aと、背壁部21Aの上端部から吸音材1に向けて斜め上方に延出する上部延出部22Aと、背壁部21Aの下端部から吸音材1に向けて斜め上方に延出する下部延出部23Aと、を備えている。背壁部21Aは、例えば、弾性材料により形成されている。
背壁部21Aの弾性材料としては弾性を有していれば特に限定されず、例えば、ゴム材又はエラストマ等が挙げられる。
ゴム材としては、例えば、天然ゴム(NR)、エチレンプロピレンゴム(EPM)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等を用いることが可能である。
エラストマとしては軟質性であることが好ましく、例えば、熱可塑性オレフィン系エラストマ、熱可塑性スチレン系エラストマ、熱可塑性ビニル系エラストマ等の熱可塑性エラストマが挙げられる。
以上のような構成を有する防音パネル100Aは、弾性材料、例えば、ゴム材又はエラストマにより背壁部21Aを形成しているので、従来の防音パネルのように背壁部を鋼板により形成した場合と比べて軽量化を達成することができる。これにより、鋼板製の背壁部を備えた防音パネルを用いた防音壁に比べて、防音パネル100Aの組立て及び運搬が容易になると共に、防音壁300の施工がより容易になる。
さらに、内燃機関、ボイラ、発電機、ポンプ等の種々の機器(図示せず)が設置されている船舶の機関室Eの壁面に防音パネル100Aを備え付けた場合、吸音性に加えて吸振性が向上する。鋼板製の背壁部を備えた防音パネルの場合、機関室内に設けられた機器の稼働による振動が防音パネルに伝播し、防音パネルの背壁部が振動して隣接する防音パネルの背壁部との間で衝突を繰り返して防音壁から大きな音が発生することがある。
これに対して、防音パネル100Aの弾性材料により形成された背壁部21Aは、機関室内の機器からの振動を吸振し、隣接する防音パネル100Aの背壁部21A同士の衝突による衝撃を吸収することができる。かくして、背壁部21A同士の衝突による騒音の発生を最大限に抑えることができる。
(支持材)
図11から図13に示すように、防音パネル100Aは、支持材7を備えている。支持材7は、吸音材1が収容部2A内部に向かって押し込まれないように、吸音材1をその背面から支える板状の部材である。より具体的には、支持材7は、例えば横断面視コ字状に形成された部材である(図12参照。)。支持材7は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金から形成されている。
支持材7は、防音パネル100の厚さ方向、すなわち、吸音材1の厚さ方向において、吸音材1と収容部2Aの背壁部21Aとの間に設けられている。支持材7は、防音パネル100の上下方向、すなわち、吸音材1の上下方向において、上枠3から下枠4にわたって架け渡されている。支持材7は、防音パネル100の左右方向において、互いに等間隔を置いて3つ設けられているが、支持材7の数は自由に設定可能である。
支持材7は、コ字状に形成された屈曲板部分71と、平板部分72とを有している。具体的には、支持材7は、防音パネル100の上下方向において、上側から屈曲板部分71、平板部分72、次いで屈曲板部分71の順に連なっている。つまり、支持材7は、2つの屈曲板部分71と、2つの屈曲板部分71の間で延びる平板部分72とを有する。
支持材7は、屈曲板部分71が、防音パネル100の外部に向かって、言い換えれば背壁部21Aに向かって開口しているように、上枠3及び下枠4に取り付けられている。
図13に示すように、支持材7は、上側の屈曲板部分71の上端部が上枠3の第2の当接部31bにリベットL4で連結されており、下側の屈曲板部分71の下端部が下枠4の第2の当接部41bにリベットL5で連結されている。屈曲板部分71は、上枠3及び下枠4との連結箇所から、背壁部21の主面部21Aaとほぼ平行に、背壁部21Aの屈曲部21Abと接触する手前まで延在している。
支持材7の平板部分72は、上側及び下側の屈曲板部分71の間で、背壁部21Aの屈曲部21Abに対向した位置にある。なお、支持材7が設けられていない箇所においては、吸音材1は、その背面から背壁部21Aの屈曲部21Abによって支持されていてもよい。
また、支持材7は、図13においては、防音パネル100の左右方向における両端部の間に3つ設けられているが、支持材7の設置個数は適宜選択することができる。
<その他>
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、本発明の範囲を超えない範囲で適宜変更が可能である。例えば、防音パネルの各構成の形状は任意であり、上述した機能を有しているものであれば、自由に設計変更可能である。
支持材7は、上記の構成に限定されない。図14から図16に示すように、例えば断面視L字状に形成された支持材7Aを用いてもよい。この場合、支持材7Aは、上枠3及び下枠4に個別に取り付けられ、防音パネル100Bの左右方向に沿って延在しており防音パネル100Bの厚さ方向、すなわち、吸音材1の厚さ方向において、吸音材1と収容部2Aの背壁部21Aとの間に設けられている。具体的には、支持材7Aは、上枠3の第2の当接部31bの複数箇所にリベットL6で、また、下枠4の第2の当接部41bの複数箇所にリベットL7で、連結されている。
支持材7Aは、防音パネル100Bの左右方向、すなわち、吸音材1の左右方向に沿って、防音パネル100Bの両端部と、防音パネル100Bの中央部との間を延在している。
支持材7Aは、防音材1の上下方向に沿って、防音材1の背面に部分的に直接当接して防音材1を支持する支持部71Aと、この支持部71Aの幅方向(パネルの上下方向)の一端が、背壁部21Aに向かって折り曲げられている折曲げ部72Aとを有する。支持材8Aの支持部71Aは、折曲げ部72Aを有する側とは反対側の端部で、上枠3及び下枠4にそれぞれ取り付けられている。折曲げ部72Aは、支持材7A全体の剛性を高める。
上枠3に取り付けられた支持材7Aと、下枠4に取り付けられた支持材7Aとは、防音パネル100Bの上下方向において、屈曲部21Abを挟んで互いに離間されている。2つの支持材7Aの間において背壁部21A側に露出している吸音材1の背面には、背壁部21Aの屈曲部21Abが当接していてもよい。
支持材7A,7Bは、上枠3及び下枠4の少なくとも一方にのみ設けられていてもよい。
なお、透光性の背壁部21は、光の透過を可能にすれば半透明性であってもよく、背壁部21Aは、透光性を有する材料により形成されていてもよい。
吸音材1と接触することがある背壁部21,21Aの屈曲部21b,21Abは、平坦に形成されている構成に限られず、湾曲して形成されていてもよい。
1 吸音材(吸音部)
2 収容部
21 背壁部(背面支持部)
3 上枠支持部
4 下枠支持部
5 側壁部
6 縦枠
7 支持材
100,100A 防音パネル
300 防音壁

Claims (7)

  1. 騒音源から発せられた騒音の拡散を抑える防音パネルであって、
    前記騒音源に正面側が露出した状態で弾性変形可能な吸音材を収容する収容部と、
    前記騒音源に対して背面側で前記収容部の前記吸音材の背面に沿って延び、前記吸音材を部分的に接触することにより支持し、透光性を有する材料により形成される背面支持部と、
    を備え、
    前記吸音材が前記収容部に収容された状態では、前記騒音源側と前記背面側との間で光の透過は妨げられ、前記吸音材を前記収容部から取り外すことにより、前記騒音源側と前記背面側との間で光の透過が可能になることを特徴とする防音パネル。
  2. 前記透光性を有する材料は、樹脂材料又はガラスであることを特徴とする請求項1に記載の防音パネル。
  3. 前記樹脂材料は、ポリカーボネート樹脂及びアクリル樹脂の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項2に記載の防音パネル。
  4. 騒音源から発せられた騒音の拡散を抑える防音パネルであって、
    前記騒音源に正面側が露出した状態で弾性変形可能な吸音材を収容する収容部と、
    前記騒音源に対して背面側で前記収容部の前記吸音材の背面に沿って延び、前記吸音材を部分的に接触することにより支持し、弾性材料により形成される背面支持部と、
    を備えることを特徴とする防音パネル。
  5. 前記弾性材料は、ゴム材料又はエラストマであることを特徴とする請求項4に記載の防音パネル。
  6. 前記ゴム材料は、クロロプレンゴム又はEPDMゴムであることを特徴とする請求項5に記載の防音パネル。
  7. 請求項1から6までのいずれか一項に記載の防音パネルを支柱間に設けたことを特徴とする防音壁。
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