JP4662114B2 - 鉄道における防音材およびそれを用いた防音構造 - Google Patents
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Description
そこで、騒音対策として、沿線に防音壁が設置されてきた。これら防音壁の鉄道線路側には、より高い防音効果を得るために、ガラス繊維やロックウール等の吸音材を、コンクリート壁に取り付けて防音壁を構成している(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。さらに、現在使用されている防音壁の主構造物は、石膏やモルタル材が主流であり、これらの材料にはアスベストが多く組み込まれて使用されている。
構造物騒音対策としては、主に、(1)レールやまくらぎ等の橋上構造と桁の下部構造の間に防振材を介在させる。(2)桁に制振材を適用する。(3)桁全体を桁カバーで覆う。(4)上記(3)の桁カバー内に吸音材を設ける。等の対策が講じられてきたが、(1)や(2)は効果が限定的であり、10dB以下にするような抜本的な効果を期待するには(3)や(4)の対策が必要となる。
また、吸音材の材料にはアスベストやロックウ−ルが使用されているため、施工時の労働衛生上および設置後の沿線住民に対しての衛生上の問題がある。
さらに、この桁カバーは非常なる重量物となるために、在来線にはその重量に耐えられない橋梁も少なくないという問題がある。
また、鋼鉄道橋の両側と底部をその防音材で覆うことにより、鋼鉄道橋の防音効果を容易にはかることができる。
さらに、このように防音材の鉄道の沿線沿いおよび鋼鉄道橋への設置は、新しく取り付けるのは勿論のこと、既存の枠や鋼鉄道橋への取り付けが可能であり、保守・点検も容易である。
図1は拡大説明図であり、図において、1は弾性材製の板状の高分子材であり、適度な比重および振動減衰性を有する。この高分子材としては、天然ゴム、スチレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム等の合成ゴム、熱可塑性エラストマー、オレフェン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等の熱可塑性エラストマーおよびウレタンやクロロプレン等の発泡ゴム等である。そこで、この高分子材1は自動車タイヤや鉄道における車両および軌道施設から発生する使用済の高分子材料を再生処理したものでもよい。
高分子材1の厚さは、材料の比重との兼ね合いはあるが、3〜30mm程度であり、望ましくは、沿線防音材に関しては5〜20mm、鋼鉄道橋に関しては3〜10mm程度である。
さらに、高分子材1は、図2に示す如く、異なる高分子材料を合わせた複合層から構成してもよい。その場合の組み合わせ状態は自由であり、例えば、一方側の層は材質を代えたり発泡等によって低比重の材料とし、他方側の層は高比重の材料とする等の組み合わせであり、その各層の厚さは任意に定め、一方の材料がシート状程度であってもよい。
2はこの高分子材内に埋設した補強材であり、その埋設位置は厚さ方向のどこでもよいが、厚さ方向の一側に片寄らせておくとよい。以上によって防音材3が構成される。
この補強材2の材料としては、鉄、ステンレス、アルミニウム等の金属系、セラミック等の無機系の線材や板材が適用できる。線材の場合は、0.3〜5mm程度であり、望ましくは0.5〜2mmである。板材の場合は、厚さ0.3〜2mm程度である。
本発明の防音材3とモルタル材の厚さを共に5mmとした。試験は図6に示すように、約500×500mmの開口を設けた箱101内にスピーカ102を設置し、開口を各試験体103で覆った。104は音響インテンシティーマイクである。
つぎに、このような防音材3を鉄道沿線の防音壁として設置する場合を説明する。
図7に示す如く、所定間隔、例えば10〜200cm間隔に沿線に沿ってH型鋼等による枠柱4をそのH溝が対向するように設け、その枠柱4間にH溝に防音材3を嵌めて設置して構成する。
また、作業性を考慮して、一枚の重量を軽くするために図8に示す如く、高さを短くし、中程に仕切り材5を嵌めて(なくても可)2段以上に分割して設置するようにしてもよい。
また、必ずしも上下方向の全長を二重構造にしなくてもよく、上部だけを折り曲げて重ね、その重なった部分の両側を係止具8で係止し、その下方は一枚のみの構成として設置してもよい。
このように枠体はどのような形式の枠体でもよく、既存の使用可能な枠体やフェンスがあったらそれを利用することができる。
以上のように枠柱や枠体を沿線に沿って配置するだけで防音材3を設けることができるために、既設の沿線沿の通信ケーブル等も、それらを移動させることなく、枠柱や枠体を適宜にずらして設置することにより、その移動に合わせて防音材3の柔軟性によって曲げることができ、既存の施設をいじることなく防音壁を設置することが可能である。
図11は上路プレートガーダ橋の場合であり、図は構造説明図を示し、図において、10は主桁、11は上フランジ、12は下フランジであり、この上フランジ11間にまくらぎ13が配置され、レール25が敷設される。
そこで、図12に示す如く、両主桁10の側部および底部(下フランジ間)を外側から覆うように防音材3を溝形に曲げてその両上端を上フランジ11の長手方向に固定することにより、橋の両側と底部の3方を覆うことができる。
図13は、防音材3の上端部がまくらぎ13の上面より上方に位置するように高く延ばした構造である。この場合、本防音材3は自立性があるために支持材によって直立状態を支持しなくてもよいが、確実な支持を保つ場合には必要に応じて所定間隔に支持材を上フランジ11に立ててそれに防音材3を係止具等によって係止するようにすればよい。
上記の構造は側部および底部の3方をまとめて覆う構造であるが、図14に示す如く、両主桁10の下フランジ12間の下部と、両主桁10の上下フランジ11、12間の側部を、それぞれ独立して個別に防音材3を固定して3方を覆う構造としてもよい。なお、上記図13に示した防音材3の上端部がまくらぎ13の上面より上方に位置するように高く延ばす構成をこの構造によって行ってもよい。
図15は下路トラス橋の構造説明図であり、図において、14は端柱、15は垂直材、16は横桁、17は中間横桁、18は縦桁、19は中間縦桁であり、この中間縦桁19間にまくらぎ13が配置される。
そこで、図16に示す如く、両垂直材15および縦桁18を外側から覆うように防音材3を断面形状を溝型に曲げてその両端を垂直材15に固定することにより、橋の両側部と底部の3方を覆うものである。
このように垂直材15の上部まで防音材3で覆ってしまうのが防音効果はよいが、景色が見えなくなってしまうことになる。そこで、図17に示す如く、防音材3の上端部がまくらぎ13の上面より上方に位置するような高さで止めた構造としてもよく、この高さで上記よりは劣るが十分な防音効果がある。
つぎに、下路プレートガーダ橋に用いる場合について説明する。
図18は下路プレートガーダ橋の構造説明図であり、図において、20は主桁、21は中間横桁、22は中間縦桁であり、この中間縦桁22間にまくらぎ13が配置される。
なお、上記の主桁20への防音材3端部の固定方法は、ボルト止め、係止具止め、接着等適宜に定める。
つぎに、合成桁橋に用いる場合について説明する。
図21は合成桁橋の構造説明図であり、図において、23は主桁、24はこの主桁23間に渡した床板であり、その床板24上にまくらぎ13が配置される。 そこで、図22に示す如く、両主桁23を外側から覆うように防音材3を断面形状を溝型に曲げてその両上端を主桁23もしくは床板24に固定することにより、橋の両側部と底部の3方を覆うものである。
また、図23に示す如く、両主桁23の下フランジ間の下部と、両主桁23の上下フランジ間の側部にそれぞれ独立して個別に防音材3を固定して3方を覆う構造としてもよい。
また、本発明は、新築構造の橋梁はもとより、既存の鋼鉄橋梁にも容易に施工することができる。
2 補強材
3 防音材
4 枠柱
5 仕切り材
6 枠体
7 横材
8 係止具
9 フェンス
10 主桁
11 上フランジ
12 下フランジ
13 まくらぎ
14 端柱
15 垂直材
16 横桁
17 中間横桁
18 縦桁
19 中間縦桁
20 主桁
21 中間横桁
22 中間縦桁
23 主桁
24 床板
Claims (3)
- 3mm以上の厚さで、弾性率1〜8MPa、比重0.5〜5程度の高分子製の可撓性板材内に厚さ方向の一側に片寄らせて0.3mm以上の厚さを有する補強材を埋設させて自立性と可撓性とを合わせもたせたことを特徴とする鉄道における防音材。
- 請求項1において、高分子材内に金属粉体を配合したことを特徴とする鉄道における防音材。
- 鋼鉄道橋の両側外面および底部下面を請求項1に示した防音材で覆ったことを特徴とする鉄道における防音構造。
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