JP2018076513A - 硬化性組成物及びこれを用いてなる目地構造 - Google Patents

硬化性組成物及びこれを用いてなる目地構造 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、硬化後に優れたゴム弾性を長期間に亘って維持することができる硬化性組成物を提供することを目的とする。【解決手段】 本発明の硬化性組成物は、加水分解性シリル基を有するポリアルキレンオキサイド(A)、加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体(B)、pHが9.3以上であるコロイダル炭酸カルシウム(C)、及び、ヒンダードアミン系光安定剤(D)を含むことを特徴とし、この硬化性組成物は、「ワーキングジョイント」とも呼ばれる幅の変化が大きい目地部をシーリングするために好適に用いられる。【選択図】 なし

Description

本発明は、周囲の湿気により硬化して、耐候性に優れた硬化物を与える硬化性組成物、及びこれを用いてなる目地構造に関する。
従来から、架橋可能な加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン系重合体を含有する硬化性組成物が知られている(例えば、特許文献1)。硬化性組成物は、雰囲気中に含まれる湿気により架橋可能な加水分解性シリル基が加水分解した後に脱水縮合することによって、接着性に優れた硬化物を生じる。
このような硬化性組成物は、例えば、建築構造物の外壁などにおいて、モルタル板、コンクリート板、ALC(Autoclaved Light-weight Concrete)板、金属板などの外壁部材間の接合部(いわゆる「目地」)に充填することによって、外壁部材同士を接合するために用いられている。このように硬化性組成物を使用することによって、外壁部材間の接合部から建築構造物内部へ雨水が浸入することを抑制している。
建築構造物の外壁では、温度変化に伴って外壁部材が膨張又は収縮したり、地震や強風による振動や外力によって外壁部材が移動したりするために、目地幅は僅かであるが変化を生じる。そのため、硬化性組成物には、硬化後に優れたゴム弾性を有し、伸縮可能とすることによって、目地幅の変化に追随できることが必要とされている。
特開平2008−1833号公報
しかしながら、従来の硬化性組成物では、硬化後、経時的にゴム弾性が低下して硬くなり、目地幅の変化が生じた際に目地幅の変化に追随して伸縮することが困難となり、接着界面での剥離や外壁部材の損傷が生じたり、硬化性組成物の硬化物に亀裂(クラック)が生じたりして、雨水が建築構造物内へ浸入し、漏水を引き起こすといった問題があった。
したがって、本発明は、硬化後に優れたゴム弾性を長期間に亘って維持することができる硬化性組成物を提供することを目的とする。
本発明の硬化性組成物は、加水分解性シリル基を有するポリアルキレンオキサイド(A)、加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体(B)、pHが9.3以上であるコロイダル炭酸カルシウム(C)、及び、ヒンダードアミン系光安定剤(D)を含むことを特徴とする。
本発明の硬化性組成物に含まれているポリアルキレンオキサイド(A)は、加水分解性シリル基を有している。本発明において、加水分解性シリル基とは、珪素原子に1〜3個の加水分解性基が結合してなる基である。
加水分解性シリル基の加水分解性基としては、特に限定されず、例えば、水素原子アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基などが挙げられる。
なかでも、加水分解性シリル基としては、加水分解反応が穏やかであることから、アルコキシシリル基が好ましい。アルコキシシリル基としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、及びトリフェノキシシリル基などのトリアルコキシシリル基;ジメトキシメチルシリル基、及びジエトキシメチルシリル基などのジメトキシシリル基;並びに、メトキシジメトキシシリル基、及びエトキシジメチルシリル基などのモノアルコキシシリル基が挙げられる。なかでも、ジアルコキシシリル基がより好ましく、ジメトキシメチルシリル基が特に好ましい。
ポリアルキレンオキサイド(A)は、1分子中に平均して、1〜2個の加水分解性シリル基を有していることが好ましい。ポリアルキレンオキサイド(A)における加水分解性シリル基の数が少な過ぎると、硬化性組成物が硬化し難くなる虞れがある。また、ポリアルキレンオキサイド(A)における加水分解性シリル基の数が多過ぎると、硬化性組成物の硬化物が脆くなり、硬化物の機械的強度やゴム弾性(伸び性)が低下する虞れがある。また、ポリアルキレンオキサイド(A)は、その分子鎖の両末端のうち少なくとも一方に加水分解性シリル基を有していることが好ましい。
なお、ポリアルキレンオキサイド(A)中における、1分子あたりの加水分解性シリル基の平均個数は、1H−NMRにより求められるポリアルキレンオキサイド(A)中の加水分解性シリル基の濃度、及びGPC法により求められるポリアルキレンオキサイド(A)の数平均分子量に基づいて算出することができる。
ポリアルキレンオキサイド(A)としては、主鎖が、一般式:−(R−O)n−(式中、Rは炭素数が1〜14のアルキレン基を表し、nは、繰り返し単位の数であって正の整数である。)で表される繰り返し単位を含有する重合体が好ましく挙げられる。ポリアルキレンオキサイドの主鎖骨格は一種のみの繰り返し単位からなっていてもよいし、二種以上の繰り返し単位からなっていてもよい。
ポリアルキレンオキサイド(A)の主鎖骨格としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド、ポリテトラメチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド共重合体、及びポリプロピレンオキサイド−ポリブチレンオキサイド共重合体などが挙げられる。なかでも、ポリプロピレンオキサイドが好ましい。ポリプロピレンオキサイドによれば、硬化性組成物の接着性に優れ且つ硬化性組成物を硬化して得られる硬化物のゴム弾性に優れている。
ポリアルキレンオキサイド(A)の数平均分子量は、10000〜50000が好ましく、15000〜30000がより好ましい。ポリアルキレンオキサイド(A)の数平均分子量が大き過ぎると、得られる硬化性組成物の粘度が高くなり、上記硬化性組成物の塗工性などが低下する虞れがある。また、ポリアルキレンオキサイド(A)の数平均分子量が小さ過ぎると、得られる硬化性組成物の硬化物が脆くなり、硬化物の機械的強度や伸び性が低下する虞れがある。
なお、本発明において、ポリアルキレンオキサイド(A)の数平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法によって測定されたポリスチレン換算した値を意味する。GPC法による測定においては、例えば、GPCカラムとして東ソー製Shodex KF800Dを用い、溶媒としてクロロホルムなどを用いることができる。
加水分解性シリル基を含有しているポリアルキレンオキサイド(A)は、市販されているものを用いることができる。例えば、主鎖骨格がポリプロピレンオキサイドであり、主鎖骨格の末端にジメトキシメチルシリル基を有しているポリアルキレンオキサイドとしては、旭硝子株式会社製 製品名「エクセスター S2410」、及びカネカ社製 製品名「S203」などが挙げられる。
本発明の硬化性組成物には、加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体(B)が含有されている。
加水分解性シリル基としては、加水分解反応が穏やかであることから、アルコキシシリル基が好ましい。アルコキシシリル基としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、及びトリフェノキシシリル基などのトリアルコキシシリル基;ジメトキシメチルシリル基、及びジエトキシメチルシリル基などのジアルコキシシリル基;並びに、メトキシジメトキシシリル基、及びエトキシジメチルシリル基などのモノアルコキシシリル基が挙げられる。なかでも、ジアルコキシシリル基がより好ましく、ジメトキシメチルシリル基が特に好ましい。
(メタ)アクリル系重合体(B)は、硬化しやすく、機械的強度に優れ且つ長期間に亘って優れたゴム弾性を有する硬化性組成物を得ることができることから、1分子中に平均して、1〜2個の加水分解性シリル基を有しているのが好ましい。(メタ)アクリル系重合体(B)における加水分解性シリル基の数が少な過ぎると、硬化性組成物が硬化し難くなる虞れがある。また、(メタ)アクリル系重合体(B)における加水分解性シリル基の数が多過ぎると、硬化性組成物の硬化物が脆くなり、硬化物の機械的強度や伸び性が低下する虞れがある。(メタ)アクリル系重合体(B)は、1分子中に平均して、1〜2個の加水分解性シリル基を有している(メタ)アクリル系重合体100重量部と、1分子中に平均して、0.1〜0.5個の加水分解性シリル基を有している(メタ)アクリル系重合体100重量部未満とを含有していることが好ましい。また、(メタ)アクリル系重合体(B)は、分子鎖の両末端のうち少なくとも一方に加水分解性シリル基を有している(メタ)アクリル系重合体を含むことが好ましく、分子鎖の両末端に加水分解性シリル基を有している(メタ)アクリル系重合体を含むと、硬化性組成物の硬化物の伸び性が向上するので、分子鎖の両末端のうちの何れか一方にのみ加水分解性シリル基を有している(メタ)アクリル系重合体と、分子鎖の両末端に加水分解性シリル基を有している(メタ)アクリル系重合体とを含むことが好ましい。又、(メタ)アクリル系重合体(B)は、分子鎖の両末端に加水分解性シリル基を有している(メタ)アクリル系重合体を含むと、硬化性組成物の硬化物の伸び性が向上するので、ポリアクリレートの両末端に加水分解性シリル基が導入された加水分解性シリル基変性テレケリックポリアクリレートを含むことが好ましい。分子鎖の両末端に加水分解性シリル基が導入されている加水分解性シリル基変性テレケリックポリアクリレートは、例えば、カネカ社から商品名「KANEKA XMAP」シリーズの「SA100S」、「SA310S」及び「SA420S」にて市販されている。
なお、(メタ)アクリル系重合体(B)中における、1分子あたりの加水分解性シリル基の平均個数は、1H−NMRにより求められる(メタ)アクリル系重合体(B)中の加水分解性シリル基の濃度、及びGPC法により求められる(メタ)アクリル系重合体(B)の数平均分子量に基づいて算出することができる。
(メタ)アクリル系重合体(B)の主鎖骨格としては、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート系モノマーをラジカル重合して得られる(メタ)アクリル系重合体が挙げられる。なお、(メタ)アクリレートは、メタクリレート又はアクリレートを意味する。
(メタ)アクリル系重合体(B)の主鎖を構成する(メタ)アクリレート系モノマーとして、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−3−メチルブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−[アクリロイルオキシ]エチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、及び2−[アクリロイルオキシ]エチル−2−ヒドロキシプロピルフタル酸などが挙げられる。これらの(メタ)アクリレート系モノマーは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
(メタ)アクリル系重合体(B)において、他のモノマーを共重合することも可能である。このようなモノマーとしては、例えば、スチレン、インデン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、ジビニルベンゼンなどのスチレン誘導体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、安息香酸ビニル、珪皮酸ビニルなどのビニルエステル基を持つ化合物、無水マレイン酸、N−ビニルピロリドン、N−ビニルモルフォリン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、tert−アミルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル、安息香酸(4−ビニロキシ)ブチル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ブタン−1,4−ジオール−ジビニルエーテル、ヘキサン−1,6−ジオール−ジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−ジビニルエーテル、イソフタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、グルタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、コハク酸ジ(4−ビニロキシ)ブチルトリメチロールプロパントリビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、3−アミノプロピルビニルエーテル、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルビニルエーテル、ウレタンビニルエーテル、ポリエステルビニルエーテルなどのビニロキシ基を持つ化合物などを挙げることができる。これらのモノマーは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
なかでも、(メタ)アクリル系重合体(B)の主鎖骨格としては、ブチル(メタ)アクリレート及びメチル(メタ)アクリレートの共重合体が好ましく、ブチルアクリレート及びメチルメタアクリレートの共重合体がより好ましい。主鎖骨格が上記共重合体からなる(メタ)アクリル系重合体(B)によれば、硬化後に伸び性及び柔軟性が両立された硬化物を形成することが可能な硬化性組成物が得られる。
(メタ)アクリル系重合体(B)の重合方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができ、例えば、フリーラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法、UVラジカル重合法、リビングアニオン重合法、リビングカチオン重合法、リビングラジカル重合法などの各種重合法が挙げられる。
(メタ)アクリル系重合体(B)への加水分解性シリル基の導入方法としては、特に限定されず、例えば、分子中に不飽和基を導入した(メタ)アクリル系重合体に、加水分解性シリル基を有するヒドロシランを作用させてヒドロシリル化する方法など、公知の方法を利用することができる。
(メタ)アクリル系重合体(B)の数平均分子量は、12000〜50000が好ましく、15000〜30000がより好ましい。(メタ)アクリル系重合体(B)の数平均分子量が大き過ぎると、硬化性組成物の粘度が高くなり、塗工性が低下する虞れがある。また、(メタ)アクリル系重合体(B)の数平均分子量が小さ過ぎると、硬化性組成物の硬化物が脆くなり、硬化物の機械的強度や伸び性が低下する虞れがある。また、(メタ)アクリル系重合体(B)の重量平均分子量が小さ過ぎると、硬化性組成物の接着性が低下する虞れもある。
なお、本発明において、(メタ)アクリル系重合体の数平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法によって測定されたポリスチレン換算した値を意味する。GPC法による測定においては、例えば、GPCカラムとして東ソー製Shodex KF800Dを用い、溶媒としてクロロホルムなどを用いることができる。
硬化性組成物中において、加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体(B)の含有量は、ポリアルキレンオキサイド(A)100重量部に対して30〜200重量部が好ましく、50〜150重量部がより好ましい。硬化性組成物中における加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体(B)の含有量が低過ぎると、硬化性組成物の硬化物が経時的に硬くなり、ゴム弾性が低下する虞れがある。また、硬化性組成物中における加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体(B)の含有量が高過ぎると、硬化性組成物の粘度が高くなり、塗工性が低下する虞れがある。
本発明の硬化性組成物にはコロイダル炭酸カルシウム(C)が含有されている。コロイダル炭酸カルシウムを含有することによって、硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物は、長期間に亘って優れたゴム弾性を維持する。
コロイダル炭酸カルシウムの一次粒子の平均粒径は、硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物が長期間に亘って優れたゴム弾性及び機械的強度を維持することができ且つ優れた接着性を有するので、0.01〜2.5μmが好ましく、0.05〜0.3μmがより好ましい。なお、コロイダル炭酸カルシウムの一次粒子の平均粒径は、透過型電子顕微鏡による画像解析により測定することができる。
コロイダル炭酸カルシウムの表面は、脂肪酸、脂肪酸エステル又は脂肪酸金属塩によって表面処理されていることが好ましい。表面処理されたコロイダル炭酸カルシウムは、硬化性組成物にチキソトロピー性を付与することができ、硬化性組成物の取扱性を向上させることができると共に、コロイダル炭酸カルシウム同士が凝集することを防止することができる。
上記脂肪酸としては、例えば、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アライン酸、ベヘン酸、リグ ノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、オブッシル酸、カルロレイン酸、ウンデシレン酸、リンデル酸、ツズ酸、フィゼテリン酸、モリストレイン酸、パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、オレイン 酸、エライジン酸、アスクレビン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、ゴンドイン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、セラコレイン酸、キシメン酸、ルメ クエン酸、ソルビン酸、リノール酸などが挙げられ、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸 が好ましい。
上記脂肪酸エステルとしては、例えば、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸ラウリル、パルミチン酸ステアリル、パルミチン酸ラウリルなどが挙げられる。
上記脂肪酸金属塩としては、例えば、上記脂肪酸のナトリウム塩及びカリウム塩が挙げられ、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸又はオレイン酸のナトリウム塩が好ましい。
又、コロイダル炭酸カルシウムは、硬化性組成物を硬化して得られる硬化物のゴム弾性に優れているので、水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液などのアルカリ金属水溶液中で処理してもよい。
コロイダル炭酸カルシウムのpHは9.3以上に限定され、9.5以上が好ましく、10.0以上がより好ましい。コロイダル炭酸カルシウムのpHが9.3以上であることによって、硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物は、低モジュラスであるにもかかわらず優れたゴム弾性を有する。
pHが9.3以上であるコロイダル炭酸カルシウムは、例えば、神島化学工業社から製品名「カルシーズPLS−505」(pH=9.5)、白石工業社から製品名「Viscolite EL−20」(pH=10.7)にて市販されている。
コロイダル炭酸カルシウムのpHは以下の要領で測定される。コロイダル炭酸カルシウム5gを三角フラスコに供給した後、三角フラスコに純水100mLを加えて三角フラスコの口を閉止した上で三角フラスコ内のコロイダル炭酸カルシウム及び純水の混合液を10秒間に亘って均一となるように攪拌する。三角フラスコ内の混合液の攪拌を終了後、三角フラスコ内の混合液を30分間に亘って静置してスラリーを作製する。三角フラスコ内のスラリーを軽く攪拌した後、スラリーをビーカーに移しかえて、JIS Z 8802に準拠したガラス電極pH計を用いて23℃、相対湿度50%の雰囲気下にてスラリーのpHを測定し、このpHをコロイダル炭酸カルシウムのpHとする。
硬化性組成物中におけるコロイダル炭酸カルシウム(C)の含有量は、硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物のゴム弾性を更に長期間に亘って維持させることができることから、加水分解性シリル基を有するポリアルキレンオキサイド(A)及び加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体(B)の合計100重量部に対して50〜300重量部が好ましく、100〜200重量部がより好ましい。
本発明の硬化性組成物は、ヒンダードアミン系光安定剤(D)を含んでいる。硬化性組成物がヒンダードアミン系光安定剤を含有していることによって、硬化性組成物を硬化させて得られた硬化物は、ゴム弾性を長期間に亘って維持することができる。
ヒンダードアミン系光安定剤(D)としては、例えば、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート及びメチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケートの混合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重縮合物などが挙げられる。
ヒンダードアミン系光安定剤(D)としては、NOR型ヒンダードアミン系光安定剤が好ましく挙げられる。NOR型ヒンダードアミン系光安定剤によれば、硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物は、経時的なゴム弾性の低下がより高く抑制される。
NOR型ヒンダードアミン系光安定剤は、ピペリジン環骨格に含まれている窒素原子(N)に酸素原子(O)を介してアルキル基(R)が結合しているNOR構造を有している。NOR構造におけるアルキル基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜18がより好ましく、18が特に好ましい。アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル基などの直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基が挙げられる。また、アルキル基を構成している水素原子が、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)又はヒドロキシル基などで置換されていてもよい。
NOR型ヒンダードアミン系光安定剤としては、下記式(I)で示されるヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。
Figure 2018076513
NOR型ヒンダードアミン系光安定剤を用いる場合、NOR型ヒンダードアミン系光安定剤と、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤又はトリアジン系紫外線吸収剤とを組み合わせて用いることが好ましい。これにより、硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物は、経時的なゴム弾性の低下がより高く抑制される。
硬化性組成物中におけるヒンダードアミン系光安定剤(D)の含有量は、加水分解性シリル基を有するポリアルキレンオキサイド(A)及び加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体(B)の合計100重量部に対して0.01〜20重量部が好ましく、0.1〜10重量部がより好ましい。
本発明の硬化性組成物はアルコキシシランオリゴマー(E)を含んでいることが好ましい。アルコキシシランオリゴマー(E)は、アルキルアルコキシシランとアミノアルコキシシランとの加水分解縮合物であり、アルキルアルコキシシランとアミノアルコキシシランとを加水分解させた後に縮合させて得られる。
アルキルアルコキシシランとは、少なくとも1個のアルキル基と、少なくとも2個のアルコキシ基とがケイ素原子に直接結合している化合物を意味する。このようなアルキルアルコキシシランとして、具体的には、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、及びヘキシルトリメトキシシランなどが挙げられる。
アミノアルコキシシランとは、1分子中に少なくとも1個のアミノ基を有し、且つ少なくとも2個のアルコキシ基がケイ素原子に直接結合している化合物を意味する。このようなアミノアルコキシシランとして、具体的には、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N’−ビス−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(メチルジメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミン、及びN,N’−ビス−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。
アルコキシシランオリゴマー(E)は、例えば、アルキルアルコキシシランとしてメチルトリメトキシシランと、アミノアルコキシシランとして3−アミノプロピルトリメトキシシランとの加水分解縮合物が好ましい。
アルコキシシランオリゴマー(E)は、アルキルアルコキシシランが有するアルコキシ基と、アミノアルコキシシランが有するアルコキシ基とを加水分解させてシラノール基を形成させた後、これらのシラノール基同士を縮合させることにより得られる。なお、シラノール基とは、ケイ素原子に直接結合しているヒドロキシ基(≡Si−OH)を意味する。
また、アルコキシシランオリゴマー(E)は、市販されているものを用いることができる。例えば、エボニックデクサ社製 製品名「ダイナシラン1146」などが挙げられる。
硬化性組成物中におけるアルコキシシランオリゴマー(E)の含有量は、加水分解性シリル基を有するポリアルキレンオキサイド(A)100重量部に対して1〜10重量部が好ましく、1.5〜5重量部がより好ましい。硬化性組成物中におけるアルコキシシランオリゴマー(E)の含有量が少な過ぎると、硬化性組成物の接着性が低下する虞れがある。また、硬化性組成物中におけるアルコキシシランオリゴマー(E)の含有量が多過ぎると、硬化性組成物の硬化物が経時的に硬くなり、ゴム弾性が低下する虞れがある。
アルコキシシランオリゴマー(E)中における窒素原子の含有量は、1重量%以上が好ましく、3〜10重量%がより好ましく、5〜10重量%が特に好ましい。窒素原子の含有量が上記範囲内であるアルコキシシランオリゴマー(E)によれば、硬化性組成物の耐湿接着性をより向上させることができ、このような硬化性組成物は長期間に亘って優れたゴム弾性を維持することが可能な硬化物を形成することができる。なお、アルコキシシランオリゴマー(E)中における窒素原子の含有量は、アミノアルコキシシランなどの窒素原子を分子中に含むアルコキシシランにより調整することができる。
本発明の硬化性組成物は、可塑剤をさらに含んでいてもよい。可塑剤として、具体的には、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ブチルベンジルフタレートなどのフタル酸エステル類、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレンオキサイド類などが挙げられる。
硬化性組成物中における可塑剤の含有量は、加水分解性シリル基を有するポリアルキレンオキサイド(A)及び加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体(B)の合計100重量部に対して100重量部以下が好ましく、70重量部以下がより好ましく、1〜70重量部が特に好ましい。硬化性組成物中における可塑剤の含有量が多過ぎると、可塑剤がブリードを起こす虞れがある。
本発明の硬化性組成物は、充填剤をさらに含んでいるのが好ましい。充填剤によれば、機械的強度に優れている硬化物を得ることが可能な硬化性組成物を提供することができる。
充填剤としては、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、含水ケイ酸、無水ケイ酸、微粉末シリカ、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、クレー、タルク、カーボンブラック、及びガラスバルーンなどを挙げることができる。これらの充填剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。なかでも、充填剤としては重質炭酸カルシウムが好ましく用いられる。
重質炭酸カルシウムの平均粒径は、0.01〜5μmが好ましく、0.05〜2.5μmがより好ましい。このような平均粒子径を有している重質炭酸カルシウムによれば、機械的強度及びゴム弾性(伸び性)に優れている硬化物を得ることができ、且つ優れた接着性を有している硬化性組成物を提供することができる。
また、重質炭酸カルシウムは、脂肪酸や脂肪酸エステルなどにより表面処理されているのが好ましい。脂肪酸や脂肪酸エステルなどにより表面処理されている重質炭酸カルシウムによれば、硬化性組成物にチキソトロピー性を付与できると共に重質炭酸カルシウムが凝集することを抑制することができる。
硬化性組成物中における充填剤の含有量は、加水分解性シリル基を有するポリアルキレンオキサイド(A)及び加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体(B)の合計100重量部に対して1〜700重量部が好ましく、10〜200重量部がより好ましい。硬化性組成物中における充填剤の含有量が少な過ぎると、充填剤の添加により得られる効果が十分ではない虞れがある。また、硬化性組成物中における充填剤の含有量が多過ぎると、硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物のゴム弾性(伸び性)が低下する虞れがある。
本発明の硬化性組成物は、脱水剤をさらに含んでいるのが好ましい。脱水剤によれば、硬化性組成物を保存している際に、空気中などに含まれている水分によって硬化性組成物が硬化することを抑制することができる。
脱水剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、及びジフェニルジメトキシシランなどのシラン化合物;並びにオルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルト酢酸メチル、及びオルト酢酸エチル等のエステル化合物などを挙げることができる。これらの脱水剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。なかでも、脱水剤としてはビニルトリメトキシシランが好ましい。
硬化性組成物中における脱水剤の含有量は、加水分解性シリル基を有するポリアルキレンオキサイド(A)及び加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体(B)の合計100重量部に対して0.5〜20重量部が好ましく、1〜15重量部がより好ましい。硬化性組成物中における脱水剤の含有量が低過ぎると、脱水剤により得られる効果が十分ではない虞れがある。また、硬化性組成物中における脱水剤の含有量が高過ぎると、硬化性組成物の硬化性が低下する虞れがある。
本発明の硬化性組成物は、シラノール縮合触媒を含有していることが好ましい。シラノール縮合触媒とは、ポリアルキレンオキサイド(A)が含有する加水分解性シリル基、(メタ)アクリル系重合体(B)が有する加水分解性シリル基、及びアルコキシシランオリゴマー(E)が含有するアルコキシシリル基などが加水分解することにより形成されたシラノール基同士の脱水縮合反応を促進させるための触媒である。
シラノール縮合触媒としては、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジラウリルオキシカルボニル−ジスタノキサン、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫フタレート、ビス(ジブチル錫ラウリン酸)オキサイド、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)、ジブチル錫ビス(モノエステルマレート)、オクチル酸錫、ジブチル錫オクトエート、ジオクチル錫オキサイド、ジブチル錫ビス(トリエトキシシリケート)、ビス(ジブチル錫ビストリエトキシシリケート)オキサイド、及びジブチル錫オキシビスエトキシシリケートなどの有機錫系化合物;テトラ−n−ブトキシチタネート、及びテトライソプロポキシチタネートなどの有機チタン系化合物などが挙げられる。これらのシラノール縮合触媒は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
シラノール縮合触媒としては、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジラウリルオキシカルボニル−ジスタノキサンが好ましい。このようなシラノール縮合触媒によれば、硬化性組成物の硬化速度を容易に調整することができる。
硬化性組成物中におけるシラノール縮合触媒の含有量は、加水分解性シリル基を有するポリアルキレンオキサイド(A)及び加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体(B)の合計100重量部に対して1〜10重量部が好ましく、1〜5重量部がより好ましい。硬化性組成物中におけるシラノール縮合触媒の含有量が少な過ぎると、硬化性組成物の硬化速度が低く、硬化性組成物の硬化に要する時間が長くなる虞れがある。また、硬化性組成物中におけるシラノール縮合触媒の含有量が多過ぎると、硬化性組成物の硬化速度が速くなり過ぎ、硬化性組成物の貯蔵安定性や取扱性が低下する虞れがある。
本発明の硬化性組成物は、チキソ性付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、沈降防止剤、及び溶剤など他の添加剤を含んでいてもよい。なかでも、チキソ性付与剤、紫外線吸収剤、及び酸化防止剤が好ましく挙げられる。
チキソ性付与剤は、硬化性組成物にチキソトロピー性を発現せることができるものであればよい。チキソ性付与剤としては、水添ひまし油、脂肪酸ビスアマイド、ヒュームドシリカなどが好ましく挙げられる。
硬化性組成物中におけるチキソ性付与剤の含有量は、加水分解性シリル基を有するポリアルキレンオキサイド(A)及び加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体(B)の合計100重量部に対して0.1〜200重量部が好ましく、1〜150重量部がより好ましい。硬化性組成物中におけるチキソ性付与剤の含有量が少な過ぎると、硬化性組成物にチキソトロピー性を付与することができない虞れがある。また、硬化性組成物中におけるチキソ性付与剤の含有量が多過ぎると、硬化性組成物の粘度が高くなり、硬化性組成物の取扱性が低下する虞れがある。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤などが挙げられ、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましい。硬化性組成物中における紫外線吸収剤の含有量は、加水分解性シリル基を有するポリアルキレンオキサイド(A)及び加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体(B)の合計100重量部に対して0.1〜20重量部が好ましく、0.1〜10重量部がより好ましい。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、モノフェノール系酸化防止剤、ビスフェノール系酸化防止剤、及びポリフェノール系酸化防止剤などが挙げられ、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。硬化性組成物中における酸化防止剤の含有量は、加水分解性シリル基を有するポリアルキレンオキサイド(A)及び加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体(B)の合計100重量部に対して0.1〜20重量部が好ましく、0.3〜10重量部がより好ましい。
本発明の硬化性組成物は、加水分解性シリル基を有するポリアルキレンオキサイド(A)、加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体(B)、pHが9.3以上であるコロイダル炭酸カルシウム(C)、及び、ヒンダードアミン系光安定剤(D)、並びに、必要に応じて添加される化合物を公知の攪拌装置に供給して混合することによって製造することができる。
本発明の硬化性組成物は、周囲(空気中)に存在する湿気により硬化することによって、接着性に優れると共に、優れたゴム弾性を長期間に亘って維持することができる硬化物を形成することができることから、シーリング材、コーティング材、接着剤、及び塗料など各種用途に使用することができる。なかでも、シーリング材として用いられることが好ましく、目地構造用シーリング材として用いられることがより好ましい。
本発明の硬化性組成物を目地部に施工して目地構造を得る方法としては、硬化性組成物を目地部に充填した後に養生させて硬化させる方法が用いられる。
目地部は、特に制限されないが、建築構造物の外壁、内壁、及び天井における目地部などが挙げられる。本発明の硬化性組成物は、硬化後に優れたゴム弾性を長期間に亘って維持することができることから、気温や日照等の温度変化による部材の膨張や収縮による、或いは振動や風圧などの作用による目地部の幅の変化に対して優れた追随性を呈し、部材の損傷や建築構造物内への漏水を高く防止することができる。従って、建築構造物の外壁における目地部など、所謂、「ワーキングジョイント」とも呼ばれる幅の変化が大きい目地部をシーリングするために好適に用いられる。
建築構造物の外壁における目地部としては、例えば、モルタル板、コンクリート板、窯業系サイディングボード、金属系サイディングボード、ALC板、及び金属板などの外壁部材間の接合部にできる目地部が挙げられる。
本発明の硬化性組成物は、上述の如き構成を有しているので、接着性に優れると共に、長期間に亘って優れたゴム弾性を維持することができる硬化物を形成することができる。
以下に、本発明を実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
(実施例1〜6及び比較例1)
ジメトキシメチルシリル基を含有し且つ主鎖骨格がポリプロピレンオキサイドからなるポリアルキレンオキサイド(A)(旭硝子株式会社製 製品名「エクセスター S2410」、ジメトキシメチルシリル基の1分子あたりの平均個数:1.7個、数平均分子量:21000)と、加水分解性シリル基としてジメトキシメチルシリル基を分子鎖の両末端に有する加水分解性シリル基変性テレケリックポリアクリレート及び加水分解性シリル基としてジメトキシメチルシリル基を分子鎖の何れか一方の末端にのみ有する加水分解性シリル基変性ポリアクリレートを含むアクリル系重合体(B)(数平均分子量:28000、カネカ社製 製品名「SA310S」、ジメトキシメチルシリル基の1分子あたりの平均個数:1.7個)と、脂肪酸によって表面処理されたコロイダル炭酸カルシウム(C1)(白石工業社製 製品名「Visolite EL−20」、コロイダル炭酸カルシウムのpH:10.7、一次粒子の平均粒径:0.1μm)と、脂肪酸によって表面処理されたコロイダル炭酸カルシウム(C2)(神島化学工業社製 製品名「カルシーズPLS−505」、コロイダル炭酸カルシウムのpH:9.5、一次粒子の平均粒径:0.1μm)と、脂肪酸によって表面処理されたコロイダル炭酸カルシウム(C3)(白石工業社製 製品名「白艶華CC−R」、コロイダル炭酸カルシウムのpH:9.2)と、NH型ヒンダードアミン系光安定剤(セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル、BASFジャパン社製 製品名「チヌビン770」)と、NR型ヒンダードアミン系光安定剤(セバシン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル、BASFジャパン社製 製品名「チヌビン765」と、上記式(I)で示されるNOR型ヒンダードアミン系光安定剤(デカン二酸ビス[2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)ピペリジン−4−イル]、BASFジャパン社製 製品名「チヌビン123」)と、重質炭酸カルシウム(日東粉化工業株式会社製 製品名「NCC2310」、平均粒径:0.97μm)と、アミノシランカップリング剤(モノマータイプ)(N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業社製 製品名「KBM−603」)と、アミノシランカップリング剤(オリゴマータイプ)(エボニックデグサジャパン社製 製品名「ダイナシラン1146」)と、可塑剤としてポリプロピレングリコール(旭硝子社製 商品名「エクセノール3020」)と、脱水剤としてビニルトリメトシシラン(信越化学工業株式会社製 製品名「KBM−1003」)と、シラノール縮合触媒として1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジラウリルオキシカルボニル−ジスタノキサン(日東化成株式会社製 製品名「ネオスタンU−130」)と、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(BASFジャパン社製 製品名「チヌビン326」)と、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASFジャパン社製 製品名「イルガノックス1010」)とをそれぞれ表1に示した配合量となるようにして、密封した攪拌機中で減圧しながら均一になるまで混合することにより硬化性組成物を得た。
上記コロイダル炭酸カルシウムのpHを下記の要領で測定した。コロイダル炭酸カルシウム5gを三角フラスコに供給した後、三角フラスコに純水100mLを加えて三角フラスコの口を閉止した上で三角フラスコ内のコロイダル炭酸カルシウム及び純水の混合液を10秒間に亘って均一となるように攪拌した。三角フラスコ内の混合液の攪拌を終了後、三角フラスコ内の混合液を30分間に亘って静置してスラリーを作製した。三角フラスコ内のスラリーを軽く攪拌した後、スラリーをビーカーに移しかえて、JIS Z 8802に準拠したガラス電極pH計を用いて23℃、相対湿度50%の雰囲気下にてスラリーのpHを測定し、このpHをコロイダル炭酸カルシウムのpHとし、その結果を表1に示した。
(評価)
硬化性組成物を用いて、JIS A1439 4.21に準拠して、H型試験体を作製した。具体的には、アルマイト処理を施したアルミニウム板(縦50mm×横50mm×厚み3mm)2枚を用い、これらのアルミニウム板の間にスペーサーを挟むことによってアルミニウム板間の中央部に直方体状の空間(縦12mm×横50mm×高さ12mm)を形成し、この空間に硬化性組成物を空気が入らないように充填し、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下で14日間放置した後、さらに温度30℃の雰囲気下で14日間放置することにより、硬化性組成物を養生させて硬化させることにより、2枚のアルミニウム板が硬化性組成物の硬化物によって接着一体化されてなるH型試験体を作製した。
そして、作製直後のH型試験体について、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下で、引張速度50mm/分での引張試験をJIS A1439に準拠して行い、50%モジュラス[N/cm2]及び最大荷重時伸び[%]を測定した。得られた結果を、表1における「初期」の欄にそれぞれ記載した。
次に、H型試験体を、さらに温度90℃の雰囲気下で70日間放置した。この放置後のH型試験体について、上記と同様にして、50%モジュラス[N/cm2]及び最大荷重時伸び[%]を測定し、得られた結果を、表1における「90℃、70日後」の欄にそれぞれ記載した。
Figure 2018076513

Claims (5)

  1. 加水分解性シリル基を有するポリアルキレンオキサイド(A)、加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体(B)、pHが9.3以上であるコロイダル炭酸カルシウム(C)、及び、ヒンダードアミン系光安定剤(D)を含むことを特徴とする硬化性組成物。
  2. コロイダル炭酸カルシウム(C)のpHが10.0以上であることを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. ヒンダードアミン系光安定剤(D)がNOR型ヒンダードアミン系光安定剤を含有していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の硬化性組成物。
  4. 加水分解性シリル基を有するポリアルキレンオキサイド(A)100重量部に対して加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体(B)を30〜200重量部含んでいると共に、加水分解性シリル基を有するポリアルキレンオキサイド(A)及び加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体(B)の合計100重量部に対して、pHが9.3以上であるコロイダル炭酸カルシウム(C)50〜300重量部及びヒンダードアミン系光安定剤(D)0.01〜20重量部を含むことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の硬化性組成物
  5. 目地部と、この目地部に充填された、請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性組成物の硬化物とを含むことを特徴とする目地構造。
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