JP2018076407A - 硬化性シリコーンゲル組成物 - Google Patents

硬化性シリコーンゲル組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】比較的低温においても素早く硬化することができる硬化性シリコーンゲル組成物を得ることができ、例えば23℃の条件にて0.1Hzから100Hzのような幅が広いせん断周波数においても損失係数(tanδ)の変動が少ないシリコーンゲル硬化物が得られる硬化性シリコーンゲル組成物を提供する。【解決手段】ベースポリマーとして分子鎖両末端にケイ素原子結合ビニル基を1個ずつ有する直鎖状オルガノポリシロキサンを用い、その中に比較的高粘度である分子鎖両末端にケイ素原子結合ビニル基を3個ずつ有する直鎖状オルガノポリシロキサンを少量加え、さらにケイ素原子結合水素原子を分子鎖末端に有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、付加反応触媒とを有する硬化性シリコーンゲル組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性シリコーンゲル組成物に係り、特に低温においても素早く硬化することができる硬化性シリコーンゲル組成物であり、かつ硬化後に優れた振動耐久性を示すシリコーンゲル硬化物が得られる硬化性シリコーンゲル組成物に関するものである。
硬化性シリコーンゲル組成物は、ケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、ケイ素原子に結合したビニル基等のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン及び付加反応触媒を含有し、前記ケイ素原子に結合した水素原子のアルケニル基への付加反応により硬化物を得る付加反応硬化型オルガノポリシロキサン組成物として調製される。この硬化性シリコーンゲル組成物を加熱することにより硬化したシリコーンゲル硬化物は、耐熱性、耐候性、耐油性、耐寒性、電気絶縁性等に優れ、低弾性率かつ低応力であることにより、車載電子部品、民生用電子部品等の電子部品の保護に用いられている。シリコーンゲル硬化物の特徴である低弾性率かつ低応力であることは、他のエラストマー製品には見られない。また、近年では、車載電子部品や民生用電子部品の高信頼性化などの要求から、封止に用いられるシリコーンゲル材料に対しては、広い温度領域でも低弾性率を維持できる材料の要求が高まっている。
防振特性を有するシリコーンゲル硬化物は電子部品を衝撃や振動から保護するために用いられている。このようなシリコーンゲル硬化物を形成するための硬化性シリコーンゲル組成物として、例えば、特開平3−139565号公報(特許文献1)では、一分子中に2個以上のケイ素原子結合アルケニル基を含有するジオルガノポリシロキサン、R1 3SiO1/2単位(R1はアルキル基)、R1 22SiO1/2単位(R2はアルケニル基)及びSiO4/2単位からなり、R1 3SiO1/2単位とR1 22SiO1/2単位の合計モル数とSiO4/2単位のモル比が(0.6:1)〜(4.0:1)の範囲内であるケイ素原子結合アルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンレジン、少なくとも分子鎖両末端にケイ素原子結合水素原子を含有するジオルガノポリシロキサン及びヒドロシリル化反応用触媒からなる硬化性シリコーンゲル組成物が提案されている。また、特開平6−234922号公報(特許文献2)では、一分子中に含有されるケイ素原子に結合した有機基中、平均0.15〜0.35モル%がアルケニル基であるオルガノポリシロキサン、非官能性オルガノポリシロキサン、ケイ素原子に結合した水素原子を一分子中に平均2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン及び付加反応触媒からなる硬化性シリコーンゲル組成物が提案されている。また、特開平5−209127号公報(特許文献3)では、一分子中に2個以上のケイ素原子結合アルケニル基を含有し、環状ジオルガノシロキサンの含有量が0.5質量%以下であるジオルガノポリシロキサン、ケイ素原子結合アルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンレジン、分子鎖両末端にケイ素原子結合水素原子を含有するジオルガノポリシロキサン、ヒドロシリル化反応用触媒及び無機質充填剤からなる硬化性シリコーンゲル組成物も提案されている。さらに、特開平8−225743号公報(特許文献4)では、一分子中に2個以上のケイ素原子結合アルケニル基を含有するジオルガノポリシロキサン、R3SiO1/2単位とSiO4/2単位を(R3SiO1/2a(SiO4/21.0(Rはアルケニル基を除く一価炭化水素基、aは0.6〜4.0)のように含むオルガノポリシロキサンレジン、一分子中に平均2個以上のケイ素原子結合水素原子を含有するオルガノポリシロキサン、ヒドロシリル化反応用触媒からなる硬化性シリコーンゲル組成物も提案されている。
しかし、特開平3−139565号公報、特開平6−234922号公報、特開平5−209127号公報、特開平8−225743号公報において提案された硬化性シリコーンゲル組成物を硬化して得られるシリコーンゲル硬化物は、高い温度を加えなければ、シリコーンゲル硬化物を得ることができないという問題があるほか、幅広いせん断周波数においての損失係数(以下、tanδと略す場合がある)を確認すると、その値が0.1〜2.0と幅が広いという欠点があり、自動車に代表されるような輸送機器に使用される、周波数が変化するような部品の防振部材としては不向きであった。昨今の省エネ・地球環境による配慮から、低温でも良好に硬化する硬化性シリコーンゲル組成物の要求は日に日に高くなるほか、幅広いせん断周波数においてtanδの変動が少ない防振特性を有する硬化性シリコーンゲル組成物の要求も高まっている。
特開平3−139565号公報 特開平6−234922号公報 特開平5−209127号公報 特開平8−225743号公報
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、比較的低温においても素早く硬化することができる硬化性シリコーンゲル組成物を得ることができ、例えば23℃の条件にて0.1Hzから100Hzのような幅が広いせん断周波数においても損失係数(tanδ)の変動が少ないシリコーンゲル硬化物が得られる硬化性シリコーンゲル組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、硬化性シリコーンゲル組成物のベースポリマーとして、一分子鎖中の両末端にケイ素原子に結合したビニル基をそれぞれ1個ずつ有する直鎖状オルガノポリシロキサンを用い、その中に比較的高粘度である、一分子鎖中の両末端にケイ素原子に結合したビニル基をそれぞれ3個ずつ有する直鎖状オルガノポリシロキサンを少量加え、上記2種のオルガノポリシロキサンと、ケイ素原子に結合した水素原子を分子鎖中の末端に有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを、付加反応触媒存在下で硬化させることで、比較的低温においても素早く反応が進行するため、短時間でシリコーンゲル硬化物を得ることができることがわかった。また、直鎖状に架橋が進行するため、得られるシリコーンゲル硬化物の粘性項が高く、かつ比較的高粘度である一分子鎖中の両末端にケイ素原子に結合したビニル基をそれぞれ3個ずつ有する直鎖状オルガノポリシロキサンにより一定の弾性も保てるため、得られるシリコーンゲル硬化物は、幅が広いせん断周波数においても損失係数(tanδ)の変動が少なくなり得ることを見出し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は、下記の硬化性シリコーンゲル組成物を提供する。
[1]
下記(A)〜(D)成分、
(A)下記一般式(1)
Figure 2018076407
(式中、aは30〜500の整数、bは0〜50の整数である。R1はメチル基又はフェニル基であり、(R12SiOで示されるシロキサン単位において2個のR1のうち少なくとも1個はフェニル基である。)
で表される、分子鎖の両末端にケイ素原子に結合したビニル基をそれぞれ1個ずつ有する直鎖状オルガノポリシロキサン: 100質量部、
(B)下記一般式(2)
Figure 2018076407
(式中、cは100〜2,000の整数、dは0〜200の整数である。R1はメチル基又はフェニル基であり、(R12SiOで示されるシロキサン単位において2個のR1のうち少なくとも1個はフェニル基である。)
で表される、分子鎖の両末端にケイ素原子に結合したビニル基をそれぞれ3個ずつ有する直鎖状オルガノポリシロキサン: 0.1〜50質量部、
(C)下記一般式(3)
Figure 2018076407
[式中、eは0又は1、fは1〜500の整数である。Zは下記一般式(4)
Figure 2018076407
(式中、gは1〜500の整数である。)
で示される官能基である。]
で表される、ケイ素原子に結合した水素原子を分子鎖の両末端に有する直鎖状又は分岐鎖状のオルガノハイドロジェンポリシロキサン: 0.1〜50質量部、
(D)付加反応触媒: 有効量
を必須成分として含有する硬化性シリコーンゲル組成物。
[2]
(A)成分である、分子鎖の両末端にケイ素原子に結合したビニル基をそれぞれ1個ずつ有する直鎖状オルガノポリシロキサンと、(B)成分である、分子鎖の両末端にケイ素原子に結合したビニル基をそれぞれ3個ずつ有する直鎖状オルガノポリシロキサンの25℃における粘度の比が、下記の関係を満たすものである[1]記載の硬化性シリコーンゲル組成物。
[25℃における(B)成分の粘度]/[25℃における(A)成分の粘度]=10〜200
[3]
硬化してせん断周波数0.1Hzから100Hzにおける23℃での損失係数(tanδ)が0.2〜0.8の範囲内にあるシリコーンゲル硬化物を与えるものである[1]又は[2]記載の硬化性シリコーンゲル組成物。
[4]
硬化してJIS K2220で規定される針入度が10〜100であるシリコーンゲル硬化物を与えるものである[1]〜[3]のいずれかに記載の硬化性シリコーンゲル組成物。
本発明の硬化性シリコーンゲル組成物は、特に低温においても素早く硬化することができ、かつ硬化後に優れた振動耐久性を示すシリコーンゲル硬化物が得られるものである。
本発明の硬化性シリコーンゲル組成物は、下記の(A)〜(D)成分を必須成分として含有してなるものである。なお、本発明において、シリコーンゲル硬化物とは、オルガノポリシロキサンを主成分とする架橋密度の低い硬化物であって、JIS K2220(1/4コーン)による針入度が10〜100のものを意味する。これは、JIS K6253によるゴム硬度測定では測定値(ゴム硬度値)が0となり、有効なゴム硬度値を示さない程架橋密度が低く、低硬度でかつ低弾性(即ち、軟らか)であるものに相当し、この点において、いわゆるシリコーンゴム硬化物(ゴム状弾性体)とは別異のものである。
以下、各成分について詳細に説明する。なお、本明細書において、粘度は25℃における回転粘度計(例えば、BL型、BH型、BS型、コーンプレート型、レオメータ)等によって測定した値である。
〔(A)オルガノポリシロキサン〕
本発明の(A)成分は、硬化性シリコーンゲル組成物の主剤(ベースポリマー)である。該(A)成分は、下記一般式(1)で表される、分子鎖の両末端にケイ素原子に結合したビニル基(本明細書中において「ケイ素原子結合ビニル基」という)をそれぞれ1個ずつ有する直鎖状オルガノポリシロキサン(即ち、分子鎖両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖の直鎖状ジオルガノポリシロキサン)である。
Figure 2018076407
(式中、aは30〜500の整数、bは0〜50の整数である。R1はメチル基又はフェニル基であり、(R12SiOで示されるシロキサン単位において2個のR1のうち少なくとも1個はフェニル基である。)
上記式(1)中、ジメチルシロキサン単位の繰り返し数を示すaは30〜500の整数であり、好ましくは50〜400の整数である。aが30未満であると、(A)成分のベースポリマー粘度が低くなってしまい、またaが500を超える数値であると、逆に(A)成分のベースポリマー粘度が高くなってしまうため、作業性に悪影響を与える。
上記式(1)中、ジフェニルシロキサン単位及び/又はメチルフェニルシロキサン単位の繰り返し数を示すbは0〜50の整数であり、−40℃以下の条件においても弾性率変化が小さいシリコーンゲル硬化物が必要な場合は、bの値が好ましくは3〜30の整数である。ここでbが3未満となると、期待する耐寒性能を得ることができない可能性がある。上記のような低温条件下での使用が想定されない場合は、bの値は0であるほうが好ましい。また、bが50を超える数値であると、(A)成分のベースポリマー粘度が高くなってしまうため、作業性に悪影響を与える他、フェニル基が多すぎるため泡抜けが悪い、即ち脱泡性が悪くなる。
なお、(A)成分の直鎖状ジオルガノポリシロキサン中において、ジメチルシロキサン単位、ジフェニルシロキサン単位及び/又はメチルフェニルシロキサン単位の配列はランダムである。また、本発明において重合度(又は分子量)は、例えば、トルエン等を展開溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析におけるポリスチレン換算の数平均重合度(又は数平均分子量)等として求めることができる(以下、同じ)。
(A)成分のオルガノポリシロキサンの粘度は特に限定されないが、組成物の取扱作業性、得られる硬化物の強度、及び流動性が良好となる点から、25℃における粘度が50〜10,000mPa・sであることが好ましく、100〜5,000mPa・sであることがより好ましい。
また(A)成分のオルガノポリシロキサンは、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
〔(B)オルガノポリシロキサン〕
本発明の(B)成分は、硬化性シリコーンゲル組成物が架橋する際の架橋点となる成分であり、また硬化性シリコーンゲル組成物から得られるシリコーンゲル硬化物において、幅広い周波数領域においてもtanδの変動が少ないシリコーンゲル硬化物となるための必須成分である。該(B)成分は、下記一般式(2)で表される、分子鎖の両末端にケイ素原子に結合したビニル基をそれぞれ3個ずつ有する直鎖状オルガノポリシロキサン(即ち、分子鎖両末端トリビニルシロキシ基封鎖の直鎖状ジオルガノポリシロキサン)である。
Figure 2018076407
(式中、cは100〜2,000の整数、dは0〜200の整数である。R1はメチル基又はフェニル基であり、(R12SiOで示されるシロキサン単位において2個のR1のうち少なくとも1個はフェニル基である。)
上記式(2)中、ジメチルシロキサン単位の繰り返し数を示すcは100〜2,000の整数であり、好ましくは300〜1,800の整数である。cが100未満であると、硬化性シリコーンゲル組成物より得られるシリコーンゲル硬化物が硬くなる、即ちシリコーンゴム硬化物となりうるため、振動耐久性(振動吸収性)が悪くなってしまう。逆にcが2,000を超える数値であると、(B)成分のオルガノポリシロキサンが高粘度になってしまい、得られる硬化性シリコーンゲル組成物の粘度が高くなってしまうため、作業性に悪影響を与える。
上記式(2)中、ジフェニルシロキサン単位及び/又はメチルフェニルシロキサン単位の繰り返し数を示すdは0〜200の整数であり、−40℃以下の条件においても弾性率変化が小さいシリコーンゲル硬化物が必要な場合は、dの値が好ましくは3〜60の整数である。ここでdが3未満となると、期待する耐寒性能を得ることができない可能性がある。上記のような低温条件下での使用が想定されない場合は、dの値は0であるほうが好ましい。また、dが200を超える数値であると、(B)成分のオルガノポリシロキサンが高粘度になってしまい、得られる硬化性シリコーンゲル組成物の粘度が高くなってしまうため、作業性に悪影響を与える他、フェニル基が多すぎるため泡抜けが悪い、即ち脱泡性が悪くなる。
なお、(B)成分の直鎖状ジオルガノポリシロキサン中において、ジメチルシロキサン単位、ジフェニルシロキサン単位及び/又はメチルフェニルシロキサン単位の配列はランダムである。
なお、(B)成分である分子鎖両末端のケイ素原子に結合したビニル基をそれぞれ3個ずつ有する直鎖状オルガノポリシロキサンは、(A)成分である、分子鎖両末端のケイ素原子に結合したビニル基をそれぞれ1個ずつ有する直鎖状オルガノポリシロキサンと、25℃における粘度の比が、下記の関係を満たすものであることが好ましい。
[25℃における(B)成分の粘度]/[25℃における(A)成分の粘度]=10〜200
[25℃における(B)成分の粘度]/[25℃における(A)成分の粘度]<10の場合、即ち(B)成分の粘度が(A)成分の粘度の10倍未満の場合、硬化性シリコーンゲル組成物から得られるシリコーンゲル硬化物において、幅広い周波数領域におけるtanδの変動が大きくなってしまうおそれがある。逆に、[25℃における(B)成分の粘度]/[25℃における(A)成分の粘度]>200の場合、即ち(B)成分の粘度が(A)成分の粘度の200倍を超える場合、(B)成分のオルガノポリシロキサンの粘度が高すぎるため、他の成分との混合時に不具合を与えたり、得られる硬化性シリコーンゲル組成物の粘度が高くなってしまうため、作業性に悪影響を与えるおそれがある。より好ましくは、[25℃における(B)成分の粘度]/[25℃における(A)成分の粘度]=20〜150、さらに好ましくは50〜120である。
より具体的な(B)成分のオルガノポリシロキサンの粘度は特に限定されないが、組成物の取扱作業性、得られる硬化物の強度、及び流動性が良好となる点から、25℃における粘度が700〜200,000mPa・sであることが好ましく、1,000〜150,000mPa・sであることがより好ましい。なお、粘度は、回転粘度計により測定することができる。
また(B)成分のオルガノポリシロキサンは、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)成分の添加量は、(A)成分であるオルガノポリシロキサン100質量部に対し、0.1〜50質量部であり、そのなかでも3〜45質量部の範囲がより好ましい。0.1質量部未満であると、得られるシリコーンゲル硬化物が柔らかすぎたり、最悪の場合は硬化物が得られない。また、50質量部を超えると、得られる硬化性シリコーンゲル組成物の粘度が高くなってしまうため、作業性に悪影響を与えたり、得られるシリコーンゲル硬化物が硬くなる。
なお、本発明の硬化性シリコーンゲル組成物において、(A)成分と(B)成分中におけるケイ素原子結合ビニル基の合計モル数に対する(B)成分中のケイ素原子結合ビニル基のモル数の比率は、得られるシリコーンゲルの柔軟性(針入度)の観点から、0.001〜0.5モル/モル、特に0.01〜0.35モル/モルであることが好ましい。
〔(C)ケイ素原子に結合した水素原子を分子鎖の両末端に有する直鎖状又は分岐鎖状のオルガノハイドロジェンポリシロキサン〕
次に、本発明の(C)成分は、上記(A)、(B)成分と反応し、相互を架橋させる架橋剤として作用するものである。該(C)成分は、下記一般式(3)
Figure 2018076407
[式中、eは0又は1、fは1〜500の整数である。また、Zは下記一般式(4)
Figure 2018076407
(式中、gは1〜500の整数である。)
で示される、ジメチル(ポリ)シロキサン単位の繰り返しからなる分岐鎖の末端がジメチルハイドロジェンシロキシ基で封鎖されたSiH官能基である。]
で表される、ケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を分子鎖の両末端に有する直鎖状又は分岐鎖状のオルガノハイドロジェンポリシロキサン(即ち、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖の直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン又は分子鎖両末端及び分岐鎖の末端がジメチルハイドロジェンシロキシ基で封鎖された分岐鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン)である。
上記式(3)中、分子中に含まれる分岐鎖状SiH官能基Zの個数を示すeは0もしくは1のどちらかである。これは、使用する(B)成分のオルガノポリシロキサンの粘度や添加量により、得られる硬化性シリコーンゲル組成物より得られるシリコーンゲル硬化物の硬度を調整しやすくするためである。eが2以上の場合は得られる硬化性シリコーンゲル組成物より得られるシリコーンゲル硬化物の硬度が硬くなるほか、幅広い周波数領域におけるtanδの変動が大きくなってしまう。
また、上記式(3)、(4)中、ジメチルシロキサン単位の個数を示すf、gはそれぞれ1〜500の整数であり、好ましくは5〜300の整数である。f、gが1未満であると、(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの粘度が低くなり、作業性が悪くなるほか、得られるシリコーンゲル硬化物が硬すぎたりする。またf、gが500を超える数値であると、(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの粘度が高くなってしまうため、作業性に悪影響を与える。
(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの粘度は特に限定されないが、作業性及び分散性の点から、25℃における粘度が0.5〜1,000mPa・sであることが好ましく、1〜500mPa・sであることがより好ましい。
ここで、用いる(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1種単独で用いてもよいし、e、fもしくはgの数値が全く異なる2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(C)成分の添加量は、(A)成分であるオルガノポリシロキサン100質量部に対し、0.1〜50質量部であり、そのなかでも1〜30質量部の範囲がより好ましい。0.1質量部未満であると、得られるシリコーンゲル硬化物が柔らかすぎたり、最悪の場合は硬化物が得られない。また、50質量部を超えると、得られるシリコーンゲル硬化物が硬くなったり、幅広い周波数領域におけるtanδの変動が大きくなってしまう。
なお、本発明の硬化性シリコーンゲル組成物において、(A)、(B)成分中のケイ素原子結合ビニル基の合計モル数に対する(C)成分中のケイ素原子結合水素原子(SiH基)のモル数(以下、H/Viという)は、得られるシリコーンゲルの柔軟性(針入度)等の観点から、0.3〜1.3モル/モル、特に0.4〜1.1モル/モルであることが好ましい。
〔(D)付加反応触媒〕
次に、(D)成分の付加反応触媒については、前記(A)、(B)成分中のケイ素原子に結合したビニル基と前記(C)成分中のケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)との付加反応を促進するための触媒であり、ヒドロシリル化反応に用いられる触媒として白金族金属系触媒等の周知の触媒が挙げられる。
この白金族金属系触媒としては、ヒドロシリル化反応触媒として公知のものが全て使用できる。例えば、白金黒、ロジウム、パラジウム等の白金族金属単体;H2PtCl4・yH2O、H2PtCl6・yH2O、NaHPtCl6・yH2O、KHPtCl6・yH2O、Na2PtCl6・yH2O、K2PtCl4・yH2O、PtCl4・yH2O、PtCl2、Na2HPtCl4・yH2O(式中、yは0〜6の整数であり、好ましくは0又は6である)等の塩化白金、塩化白金酸及び塩化白金酸塩;アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸とオレフィンとのコンプレックス、白金黒、パラジウム等の白金族金属をアルミナ、シリカ、カーボン等の担体に担持させたもの;ロジウム−オレフィンコンプレックス;クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒);塩化白金、塩化白金酸又は塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサン、特にビニル基含有環状シロキサンとのコンプレックス等が挙げられる。これらの中で、好ましいものとして、相溶性の観点及び塩素不純物の観点から、塩化白金酸をシリコーン変性したものが挙げられ、具体的には、例えば塩化白金酸をテトラメチルジビニルジシロキサンで変性した白金触媒が挙げられる。
(D)成分の添加量は、白金原子にして(A)、(B)、(C)成分の合計量に対し、質量換算で0.1〜1,000ppm、好ましくは0.5〜300ppm、より好ましくは1〜100ppmである。
〔その他の任意成分〕
本発明の硬化性シリコーンゲル組成物には、上記(A)〜(D)成分以外にも、本発明の目的を損なわない範囲で任意成分を配合することができる。この任意成分としては、例えば、反応抑制剤、無機質充填剤、ケイ素原子結合水素原子及びケイ素原子結合アルケニル基を含有しないオルガノポリシロキサン、耐熱性付与剤、難燃性付与剤、チクソ性付与剤、顔料、染料等が挙げられる。
反応抑制剤は、上記組成物の反応を抑制するための成分であって、具体的には、例えば、アセチレン系、アミン系、カルボン酸エステル系、亜リン酸エステル系等の反応抑制剤が挙げられる。
無機質充填剤としては、例えば、ヒュームドシリカ、結晶性シリカ、沈降性シリカ、中空フィラー、シルセスキオキサン、ヒュームド二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉄、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、層状マイカ、カーボンブラック、ケイ藻土、ガラス繊維等の無機質充填剤;これらの充填剤をオルガノアルコキシシラン化合物、オルガノクロロシラン化合物、オルガノシラザン化合物、低分子量シロキサン化合物等の有機ケイ素化合物で表面疎水化処理した充填剤等が挙げられる。また、シリコーンゴムパウダー、シリコーンレジンパウダー等を配合してもよい。
〔組成物の硬化〕
本発明の硬化性シリコーンゲル組成物は、上記(A)〜(D)成分を必須成分とする硬化性シリコーンゲル組成物である。本発明の硬化性シリコーンゲル組成物は、上記(A)〜(D)成分(任意成分が配合される場合には、任意成分も含む)を常法に準じて混合することにより調製することができる。その際に、混合される成分を必要に応じて2パート又はそれ以上のパートに分割して混合してもよく、例えば、(A)成分及び(B)成分の一部及び(D)成分からなるパートと、(A)成分、(B)成分の残部と、(C)成分からなるパートとに分割して混合することも可能である。常温(20℃±15℃)にて未硬化組成物を保管する際は、(A)成分及び(B)成分の一部及び(D)成分からなるパートと、(A)成分、(B)成分の残部及び(C)成分からなるパートとに分割することがより好ましい。その後、本発明の硬化性シリコーンゲル組成物を常温(20℃±15℃)もしくは用途に応じた温度条件下、例えば40〜230℃、特に80〜180℃で10〜500分間、特に30〜120分間加熱硬化させることによりシリコーンゲル硬化物が得られる。本発明の硬化性シリコーンゲル組成物は、0〜30℃程度の低温においても硬化性が良好である。
本発明の硬化性シリコーンゲル組成物は、電気・電子部品の封止もしくは充填に用いることが好適である。
本発明の硬化性シリコーンゲル組成物から得られるシリコーンゲル硬化物は、せん断周波数0.1Hzから100Hzにおける23℃での損失係数(tanδ)が0.2〜0.8、特に0.20〜0.80の範囲内にあることが好ましい。tanδが0.2より下回る場合、得られるシリコーンゲル硬化物の粘性項が低すぎるため、振動吸収性が悪くなるおそれがある。逆にtanδが0.8を超える場合、得られるシリコーンゲル硬化物の粘性項が高すぎ、振動によるシリコーンゲル硬化物の脱落や流動が起こる危険性が高くなる。なお、本発明において、シリコーンゲル硬化物の損失係数(tanδ)は、ユービーエム社製動的粘弾性測定装置Reogel−E4000を用いて測定することができる。
本発明の硬化性シリコーンゲル組成物の硬化物は、JIS K2220で規定される1/4コーンによる針入度が10〜100であることが好ましく、より好ましくは15〜90、さらに好ましくは20〜60である。針入度が10未満になると、硬化性シリコーンゲル組成物が硬化する際の応力に耐えきれず、電子回路の一部が破断したり、シリコーンゲル硬化物内部にクラックが生成したりする場合がある。また、針入度が100を超えると、柔らかすぎるためシリコーンゲル硬化物に大変形を与えた場合、剥離しやすくなったり基材との接着性が低下する場合がある。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、下記の実施例は本発明を何ら制限するものではない。なお、実施例中、「部」は「質量部」を表し、「%」は「質量%」を表し、「Vi」は「ビニル基」を表す。針入度は、JIS K2220で規定される1/4コーンによる針入度であり、離合社製自動針入度計RPM−101を用いて測定した。
[実施例1]
下記式(5);[(A)成分]
Figure 2018076407
で示される25℃での粘度が1,000mPa・sの両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサンを100部、下記式(6);[(B)成分]
Figure 2018076407
で示される25℃での粘度が100,000mPa・sの両末端トリメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサンを3.0部、下記式(7);[(C)成分]
Figure 2018076407
で示される25℃での粘度が45mPa・sの両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサンを9.4部、及び(D)成分である白金原子を1%含有する塩化白金酸ビニルシロキサン錯体のジメチルポリシロキサン溶液を0.05部均一に混合したのち、真空脱泡機にて脱気し、硬化性シリコーンゲル組成物1を得た。得られた硬化性シリコーンゲル組成物1を120℃で30分間加熱硬化したところ、針入度27のシリコーンゲル硬化物を得た。(このとき、H/Vi=0.51、(A)、(B)成分中のビニル基の合計モル数に対する(B)成分中のビニル基のモル数の比=0.017であり、[25℃における(B)成分の粘度]/[25℃における(A)成分の粘度]=100である。)
[実施例2]
下記式(8);[(A)成分]
Figure 2018076407
で示される25℃での粘度が1,000mPa・sの両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体を100部、下記式(9);[(B)成分]
Figure 2018076407
で示される25℃での粘度が120,000mPa・sの両末端トリメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサンを43部、下記式(10);[(C)成分]
Figure 2018076407
で示される25℃での粘度が45mPa・sの両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサンを10.9部、及び(D)成分である白金原子を1%含有する塩化白金酸ビニルシロキサン錯体のジメチルポリシロキサン溶液を0.07部均一に混合したのち、真空脱泡機にて脱気し、硬化性シリコーンゲル組成物2を得た。得られた硬化性シリコーンゲル組成物2を120℃で30分間加熱硬化したところ、針入度45のシリコーンゲル硬化物を得た。(このとき、H/Vi=0.55、(A)、(B)成分中のビニル基の合計モル数に対する(B)成分中のビニル基のモル数の比=0.23であり、[25℃における(B)成分の粘度]/[25℃における(A)成分の粘度]=120である。)
[実施例3]
下記式(11);[(A)成分]
Figure 2018076407
で示される25℃での粘度が1,000mPa・sの両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体を100部、下記式(12);[(B)成分]
Figure 2018076407
で示される25℃での粘度が100,000mPa・sの両末端トリメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサンを45部、下記式(13);[(C)成分]
Figure 2018076407
で示される25℃での粘度が45mPa・sの両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサンを10.0部、及び(D)成分である白金原子を1%含有する塩化白金酸ビニルシロキサン錯体のジメチルポリシロキサン溶液を0.07部均一に混合したのち、真空脱泡機にて脱気し、硬化性シリコーンゲル組成物3を得た。得られた硬化性シリコーンゲル組成物3を120℃で30分間加熱硬化したところ、針入度40のシリコーンゲル硬化物を得た。(このとき、H/Vi=0.55、(A)、(B)成分中のビニル基の合計モル数に対する(B)成分中のビニル基のモル数の比=0.24であり、[25℃における(B)成分の粘度]/[25℃における(A)成分の粘度]=100である。)
[比較例1]
実施例1において(B)成分である両末端トリメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサンを除いた他は、実施例1と同様にしてシリコーンゲル組成物4を得た。(このとき、H/Vi=0.61である。)得られたシリコーンゲル組成物4を120℃で30分間加熱硬化したところ、粘度の上昇は確認されたが、未硬化であった。
[比較例2]
実施例1において、(A)成分である両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサンを除き、下記式(14);[(B)成分]
Figure 2018076407
で示される25℃での粘度が100,000mPa・sの両末端トリメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサンを100部、下記式(15);[(C)成分]
Figure 2018076407
で示される25℃での粘度が45mPa・sの両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサンを5.5部、及び(D)成分である白金原子を1%含有する塩化白金酸ビニルシロキサン錯体のジメチルポリシロキサン溶液を0.05部均一に混合したのち、真空脱泡機にて脱気し、硬化性シリコーンゲル組成物5を得た。(このとき、H/Vi=0.53である。)得られた硬化性シリコーンゲル組成物5を120℃で30分間加熱硬化したところ、針入度2のシリコーンゲル硬化物を得た。
[比較例3]
下記式(16);[(A)成分]
Figure 2018076407
で示される25℃での粘度が1,000mPa・sの両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体を100部、下記式(17);[(B)成分]
Figure 2018076407
で示される25℃での粘度が100,000mPa・sの両末端トリメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサンを15部、下記式(18);[(C)成分]
Figure 2018076407
で示される25℃での粘度が45mPa・sの両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体を2.3部、及び(D)成分である白金原子を1%含有する塩化白金酸ビニルシロキサン錯体のジメチルポリシロキサン溶液を0.07部均一に混合したのち、真空脱泡機にて脱気し、硬化性シリコーンゲル組成物6を得た。得られた硬化性シリコーンゲル組成物6を120℃で30分間加熱硬化したところ、針入度15のシリコーンゲル硬化物を得た。(このとき、H/Vi=1.03、(A)、(B)成分中のビニル基の合計モル数に対する(B)成分中のビニル基のモル数の比=0.093であり、[25℃における(B)成分の粘度]/[25℃における(A)成分の粘度]=100である。)
[比較例4]
実施例1において(D)成分である付加反応触媒を除いた他は、実施例1と同様にしてシリコーンゲル組成物7を得た。(このとき、H/Vi=0.51、(A)、(B)成分中のビニル基の合計モル数に対する(B)成分中のビニル基のモル数の比=0.017であり、[25℃における(B)成分の粘度]/[25℃における(A)成分の粘度]=100である。)得られたシリコーンゲル組成物7を120℃で30分間加熱硬化したが、未硬化であった。
[試験]
上記実施例1〜3、比較例1〜4で得られた硬化性シリコーンゲル組成物及びシリコーンゲル硬化物を用いて以下の試験を実施した。これらの結果を表1に示す。
粘度の評価;
硬化性シリコーンゲル組成物の粘度を、25℃の条件において回転粘度計により測定した。その時の粘度が10,000mPa・sを超える値になった場合、作業性の観点から不合格と判定した。
針入度の評価;
硬化性シリコーンゲル組成物を120℃において30分硬化させたシリコーンゲル硬化物の針入度、及び硬化性シリコーンゲル組成物を80℃において30分硬化させたシリコーンゲル硬化物の針入度を、離合社製自動針入度計RPM−101を用い、JIS K2220で規定される1/4コーンにて測定した。
低温硬化性の評価;
硬化性シリコーンゲル組成物を硬化させたシリコーンゲル硬化物において、80℃において30分硬化させた時の針入度と、120℃において30分硬化させた時の針入度とを比較し、下記条件を満たした場合、合格と判定した。
[120℃×30分硬化の針入度]/[80℃×30分硬化の針入度]≧0.80
損失係数(tanδ)の評価;
硬化性シリコーンゲル組成物を、ユービーエム社製動的粘弾性測定装置Reogel−E4000を用い、120℃において30分間加熱硬化を行った後、23℃においてせん断周波数0.1Hzから100Hzに周波数を変化させた時の損失係数(tanδ)測定を行った。その際、tanδ=0.2〜0.8の範囲内であるものを振動吸収性合格と判定した。
Figure 2018076407
[評価]
実施例1〜3の硬化性シリコーンゲル組成物は、本発明の要件を満たすものであり、硬化性シリコーンゲル組成物を硬化して得られるシリコーンゲル硬化物のtanδが、0.1Hzから100Hzにおいて0.2以上0.8以下であることから、周波数依存性の少ないシリコーンゲル硬化物であることがわかる。
これに対し、比較例1のシリコーンゲル組成物は、本発明に必須である(B)成分の一分子鎖中の両末端にケイ素原子に結合したビニル基をそれぞれ3個ずつ有する直鎖状オルガノポリシロキサンが配合されておらず、オルガノポリシロキサン成分がすべて2官能性であって3官能性以上のオルガノポリシロキサン成分が組成物中に存在しないため、シリコーンゲル組成物を加熱しても3次元架橋することができず、未硬化となっている。
また、比較例2の硬化性シリコーンゲル組成物においては、本発明に必須である(A)成分の一分子鎖中の両末端にケイ素原子に結合したビニル基をそれぞれ1個ずつ有する直鎖状オルガノポリシロキサン(ベースポリマー)が配合されていないため、硬化性シリコーンゲル組成物の粘度が高すぎて作業性に劣るほか、硬化性シリコーンゲル組成物を硬化して得られるシリコーンゲル硬化物は、(A)成分が未添加であることから込み合った状態となってしまい、結果として幅広いせん断周波数においてtanδの変動が大きいシリコーンゲル硬化物であることがわかる。
さらに比較例3の硬化性シリコーンゲル組成物においては、本発明に必須である(C)成分が指定の構造以外の多官能なオルガノハイドロジェンポリシロキサンであるため、低温では反応が進行しにくく、結果として80℃にて硬化させた場合の針入度と、120℃で硬化させた場合の針入度の差が大きいものとなっているほか、硬化性シリコーンゲル組成物を硬化して得られるシリコーンゲル硬化物は、架橋が込み合った状態となってしまい、結果として幅広いせん断周波数においてtanδの変動が大きいシリコーンゲル硬化物であることがわかる。
またさらに比較例4のシリコーンゲル組成物においては、本発明に必須である(D)成分の付加反応触媒が未添加であることから、シリコーンゲル組成物を加熱しても架橋することができず、未硬化となっていることがわかる。
上記の結果から、本発明で得られる硬化性シリコーンゲル組成物が有効であることがわかる。
本発明の硬化性シリコーンゲル組成物を硬化することにより得られるシリコーンゲル硬化物は、幅広い周波数においても損失係数(tanδ)の変動が少ないため、自動車産業等や電子部品等の電子基板保護材としての使用が期待できる。また、低温においても硬化性が良好であるため、ポッティング材としての信頼性向上や製造性向上も期待できる。本発明の硬化性シリコーンゲル組成物は非常に有効な技術となり得る。

Claims (4)

  1. 下記(A)〜(D)成分、
    (A)下記一般式(1)
    Figure 2018076407
    (式中、aは30〜500の整数、bは0〜50の整数である。R1はメチル基又はフェニル基であり、(R12SiOで示されるシロキサン単位において2個のR1のうち少なくとも1個はフェニル基である。)
    で表される、分子鎖の両末端にケイ素原子に結合したビニル基をそれぞれ1個ずつ有する直鎖状オルガノポリシロキサン: 100質量部、
    (B)下記一般式(2)
    Figure 2018076407
    (式中、cは100〜2,000の整数、dは0〜200の整数である。R1はメチル基又はフェニル基であり、(R12SiOで示されるシロキサン単位において2個のR1のうち少なくとも1個はフェニル基である。)
    で表される、分子鎖の両末端にケイ素原子に結合したビニル基をそれぞれ3個ずつ有する直鎖状オルガノポリシロキサン: 0.1〜50質量部、
    (C)下記一般式(3)
    Figure 2018076407
    [式中、eは0又は1、fは1〜500の整数である。Zは下記一般式(4)
    Figure 2018076407
    (式中、gは1〜500の整数である。)
    で示される官能基である。]
    で表される、ケイ素原子に結合した水素原子を分子鎖の両末端に有する直鎖状又は分岐鎖状のオルガノハイドロジェンポリシロキサン: 0.1〜50質量部、
    (D)付加反応触媒: 有効量
    を必須成分として含有する硬化性シリコーンゲル組成物。
  2. (A)成分である、分子鎖の両末端にケイ素原子に結合したビニル基をそれぞれ1個ずつ有する直鎖状オルガノポリシロキサンと、(B)成分である、分子鎖の両末端にケイ素原子に結合したビニル基をそれぞれ3個ずつ有する直鎖状オルガノポリシロキサンの25℃における粘度の比が、下記の関係を満たすものである請求項1記載の硬化性シリコーンゲル組成物。
    [25℃における(B)成分の粘度]/[25℃における(A)成分の粘度]=10〜200
  3. 硬化してせん断周波数0.1Hzから100Hzにおける23℃での損失係数(tanδ)が0.2〜0.8の範囲内にあるシリコーンゲル硬化物を与えるものである請求項1又は2記載の硬化性シリコーンゲル組成物。
  4. 硬化してJIS K2220で規定される針入度が10〜100であるシリコーンゲル硬化物を与えるものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性シリコーンゲル組成物。
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