JP6520851B2 - シリコーンゲル組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、シリコーンゲル組成物に関し、特に−50℃以下の超低温領域においても硬化物の弾性率の変化が少なく、また、基板等にポッティングする際に混入する気泡を脱気等により容易に取り除くことができるシリコーンゲル組成物に関する。
シリコーンゲル組成物は、ケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、ケイ素原子に結合したビニル基等のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン及び付加反応触媒を含有し、前記ケイ素原子に結合した水素原子のアルケニル基への付加反応により硬化物を得る付加反応硬化型オルガノポリシロキサン組成物として調製される。このシリコーンゲル組成物を加熱することにより硬化したシリコーンゲル硬化物は、耐熱性、耐候性、耐油性、耐寒性、電気絶縁性等に優れ、低弾性率かつ低応力であることにより、車載電子部品、民生用電子部品等の電子部品の保護に用いられている。シリコーンゲル硬化物の特徴である低弾性率かつ低応力であることは、他のエラストマー製品には見られない。また、近年では、車載電子部品や民生用電子部品の高信頼性化などの要求から、封止に用いられるシリコーンゲル硬化物に対しては、広い温度領域でも低弾性率を維持できる材料の要求が高まっている。
このような要求が高まっていることから、近年では様々な耐寒性向上技術が研究されている。たとえば、特開2000−169714号公報(特許文献1)においては、ベースポリマーへフェニル基を導入することで、耐寒性の向上を達成している。しかし、このようなフェニル基含有のベースオイルを使用すると、混合や基板へのポッティングの際に混入する気泡を取り除く作業(以下、脱泡性と表現する)が非常に難しいという問題があった。さらに、ベースポリマーへフェニル基を導入することで、不純物としてフェニル基含有低分子が残存し、電子基板の特性に悪影響を与えるといった問題も生じていた。
また、特許第3595731号公報(特許文献2)では、レジン構造のオルガノポリシロキサンを配合することで、耐寒性の向上を達成している。しかしながらレジン構造のオルガノポリシロキサンは、重合度に対する相対的な粘度が高く、作業性の点で劣るという問題があった。さらに、−50℃以下の低温領域では弾性率が急激に上昇する問題も生じていたため、本技術では超低温領域での低弾性率維持は達成できないという問題があった。
さらに特許第5002075号公報(特許文献3)では、ベースポリマーとして分岐状ポリオルガノシロキサンを多量に使用することにより、低温と室温での硬化物の弾性率の急激な変化を抑制し、耐寒性を向上させる技術が報告されている。しかしながら、多量の分岐状ポリオルガノシロキサンが必須であるため、得られるシリコーンゲル組成物の硬化物の硬度が相対的に高くなり、低硬度の硬化物を得る際は、シリコーンゲル組成物に末端未反応性ポリオルガノシロキサンを添加する必要性が生じ、結果としてオイルブリードや高温時の重量減少が大きいシリコーンゲル組成物の硬化物になるという問題があった。その上、分岐状ポリオルガノシロキサンが多量に必要なことから、原料調達やコスト面で不利という問題もあった。
このような特殊な原料を調達せずとも硬化物の耐寒性を有するシリコーンゲル組成物を得る手法としては、特公平08−032785号公報(特許文献4)が知られている。本報は側鎖にアルケニル基を有する重合性ポリマーと単官能性メチルハイドロジェンシロキサンと2官能性メチルハイドロジェンシロキサンとを、付加反応触媒存在下で重合させて硬化物が耐寒性を有するシリコーンゲル組成物を得ている。本方法により確かに脱泡性を悪化せず、硬化物の耐寒性を有するシリコーンゲル組成物を得ることは可能であるが、−50℃以下の低温領域では硬化物の弾性率が急激に上昇する問題は改善できていなかった。
特開2000−169714号公報 特許第3595731号公報 特許第5002075号公報 特公平08−032785号公報
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、特殊な原料を使用せずとも−50℃以下の超低温領域においても硬化物の弾性率の変化が少なく、また、基板等にポッティングする際に混入する気泡の脱泡性も良好であるシリコーンゲル組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、ベースポリマーとして、分子鎖中の側鎖にケイ素原子に結合したアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン(A)と、耐寒性を付与させるための、一分子中にケイ素原子に結合した水素原子を1個有するオルガノハイドロジェンシラン化合物(B)と、架橋させシリコーンゲル硬化物となるための、ケイ素原子に結合した水素原子を分子鎖両末端にのみ有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン(C)と、付加反応触媒(D)とを含有し、かつ(B)成分と(C)成分とを特定割合で有するシリコーンゲル組成物が、脱泡性が良好であり、−50℃以下の超低温領域においても弾性率変化が少ないシリコーンゲル硬化物となり得ることを見出し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は、下記のシリコーンゲル組成物を提供する。
[1]
(A)下記一般式(1)で表される、分子鎖中の側鎖にケイ素原子に結合したアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン: 100質量部、
Figure 0006520851
(式中、xは50〜1,000の整数、yは2〜490の整数である。但し、y/xは0.04以上0.50未満である。)
(B)下記一般式(2)で表される、一分子中にケイ素原子に結合した水素原子を1個有するオルガノハイドロジェンシラン化合物: 0.1〜20質量部、
Figure 0006520851
(式中、R1は独立にメチル基又はエチル基であり、R2は非置換又は置換のアリール基又はアラルキル基である。)
(C)下記一般式(3)で表される、ケイ素原子に結合した水素原子を分子鎖両末端にのみ有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン: 0.1〜50質量部、
Figure 0006520851
(式中、zは1〜500の整数である。)
(D)付加反応触媒: 有効量
を必須成分として含有し、かつ、(C)成分中のケイ素原子に結合した水素原子に対する(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子のモル比が[(B)成分のSiHモル数]/[(C)成分のSiHモル数]=3.0〜10.0の比率を満たすものであるシリコーンゲル組成物。
[2]
JIS K2220で規定される針入度が10〜100であるシリコーンゲル硬化物を与えるものである[1]記載のシリコーンゲル組成物。
本発明のシリコーンゲル組成物は、特殊な原料を使用せずに−50℃以下の超低温領域においても弾性率の変化が少ないシリコーンゲル硬化物が得られ、また、基板等にポッティングする際に混入する気泡の脱泡性も良好である。
本発明のシリコーンゲル組成物は、下記の(A)〜(D)成分を必須成分として含有してなるものである。なお、本発明において、シリコーンゲル硬化物とは、オルガノポリシロキサンを主成分とする架橋密度の低い硬化物であって、JIS K2220(1/4コーン)による針入度が10〜100のものを意味する。これは、JIS K6253によるゴム硬度測定では測定値(ゴム硬度値)が0となり、有効なゴム硬度値を示さない程低硬度(即ち、軟らか)であるものに相当し、この点において、いわゆるシリコーンゴム硬化物(ゴム状弾性体)とは別異のものである。
以下、各成分について詳細に説明する。なお、本明細書において、粘度は25℃における値である。
〔(A)オルガノポリシロキサン〕
本発明の(A)成分は、シリコーンゲル組成物の主剤(ベースポリマー)である。該(A)成分は、下記一般式(1)で表される、分子鎖中の側鎖に(即ち、分子鎖途中に存在する2官能性のジオルガノシロキサン単位中のケイ素原子に結合する一価の炭化水素基として)ケイ素原子に結合したアルケニル基(本明細書中において「ケイ素原子結合アルケニル基」という)を有するオルガノポリシロキサンである。
Figure 0006520851
(式中、xは50〜1,000の整数、yは2〜490の整数である。但し、y/xは0.04以上0.50未満である。)
上記式(1)中、xは50〜1,000の整数であることが必要であり、好ましくは60〜500の整数である。xが50未満であると、(A)成分のベースポリマー粘度が低くなってしまい、またxが1,000を超える数値であると、逆に(A)成分のベースポリマー粘度が高くなってしまうため、作業性に悪影響を与える。
yは2〜490の整数であることが必要であり、好ましくは3〜50の整数である。yが2未満となると、硬化物を得ることができなかったり、期待する耐寒性能を得ることができない。また、yが490を超える数値であると、(A)成分のベースポリマー粘度が高くなってしまうため、作業性に悪影響を与える他、ビニル基が多すぎるため硬化物が硬すぎたり、耐熱性が悪くなる。
上記xとyの関係は、y/xは0.04以上0.50未満であることを満たすことが必須であり、好ましくは0.045〜0.150の範囲である。y/xが0.04未満となる場合、期待する耐寒性能が得られなかったり、得られるシリコーンゲル硬化物がやわらかすぎたりする。また、y/xが0.50以上である場合、ビニル基が多すぎるため硬化物が硬すぎたり、耐熱性が悪くなる。
なお、本発明において、分子量(又は重合度)は、例えば、トルエン等を展開溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析におけるポリスチレン換算の数平均分子量(又は数平均重合度)等として求めることができる。
(A)成分のオルガノポリシロキサンの粘度は特に限定されないが、組成物の取扱作業性、得られる硬化物の強度、及び流動性が良好となる点から、25℃における粘度が50〜10,000mPa・sであることが好ましく、100〜5,000mPa・sであることがより好ましい。なお、粘度は、回転粘度計(例えば、BL型、BH型、BS型、コーンプレート型、レオメータ等)により測定することができる(以下、同じ)。
また(A)成分のオルガノポリシロキサンは、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
〔(B)一分子中にケイ素原子に結合した水素原子を1個有するオルガノハイドロジェンシラン化合物〕
次に、本発明の(B)成分は、上記(A)成分と反応し、(A)成分のベースポリマーに耐寒性を付与させるための必須成分である。該(B)成分は、下記一般式(2)で表される、一分子中にケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)を1個有するオルガノハイドロジェンシラン化合物である。
Figure 0006520851
(式中、R1は独立にメチル基又はエチル基であり、R2は非置換又は置換のアリール基又はアラルキル基である。)
この一分子中にケイ素原子に結合した水素原子を1個有するオルガノハイドロジェンシラン化合物において、分子中に2個存在するR1は、それぞれ独立に、炭素数1もしくは炭素数2の1価炭化水素基、すなわちメチル基、エチル基の中から選択され、その中でも特にメチル基であることが好ましい。ここでR1は異種でも同一でも構わない。従って、2個のR1としては、メチル基が2個、メチル基が1個とエチル基が1個、エチル基が2個の組合せがあるが、耐寒性付与の点からは、R1のうち、少なくとも1個はメチル基であることが好ましく、メチル基が2個であることがより好ましい。
また、分子中に1個存在するR2は非置換又は置換のアリール基又はアラルキル基であることが必須である。R2の具体例としては、フェニル基、トリル基、o−キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基やこれらのアリール基又はアラルキル基中の水素原子の一部がハロゲン原子等で置換されたものなどが挙げられ、その中でもフェニル基、p−トリル基が好ましく、より好ましくはフェニル基である。
(B)成分の一分子中にケイ素原子に結合した水素原子を1個有するオルガノハイドロジェンシラン化合物は、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)成分の配合量は、(A)成分であるオルガノポリシロキサン100質量部に対し、0.1〜20質量部であり、1〜10質量部の範囲であることがより好ましい。0.1質量部未満であると、期待する耐寒性を得ることができない。また、20質量部を超えると、コスト的に不利となるほか、(A)成分のビニル基がすべて(B)成分と反応してしまい、硬化物を得ることができなくなる。
〔(C)ケイ素原子に結合した水素原子を分子鎖両末端にのみ有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン〕
次に、本発明の(C)成分は、上記(A)成分と反応し、架橋剤として作用するものである。該(C)成分は、下記一般式(3)で表される、ケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を分子鎖両末端にのみ(即ち、1分子中にSiH基を2個だけ)有する2官能性のオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。
Figure 0006520851
(式中、zは1〜500の整数である。)
上記式(3)中、zは1〜500の整数であることが必要であり、好ましくは5〜300の整数である。zが1未満であると、(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの粘度が低くなり、作業性が悪くなるほか、得られるシリコーンゲル硬化物が硬すぎたりするおそれがある。またzが500を超える数値であると、(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの粘度が高くなってしまうため、作業性に悪影響を与える。
なお、(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサン中のSiH基量は、0.00005〜0.020mol/gであることが好ましく、0.0001〜0.015mol/gであることがより好ましい。
(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの粘度は特に限定されないが、作業性および分散性の点から、25℃における粘度が0.5〜1,000mPa・sであることが好ましく、1〜500mPa・sであることがより好ましい。
ここで、(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1種単独で用いてもよいし、zの数値が全く異なる2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(C)成分の添加量は、(A)成分であるオルガノポリシロキサン100質量部に対し、0.1〜50質量部であり、3〜30質量部の範囲であることが好ましい。0.1質量部未満であると、得られるシリコーンゲル硬化物がやわらかすぎたり、最悪の場合は硬化物が得られない。また、50質量部を超えると、期待する耐寒性能を得ることができなかったり、得られるシリコーンゲル硬化物が硬くなる。
ここで、前述した(B)成分である、一分子中にケイ素原子に結合した水素原子を1個有するオルガノハイドロジェンシラン化合物と、(C)成分である、ケイ素原子に結合した水素原子を分子鎖両末端にのみ有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合比率は、(C)成分中のケイ素原子に結合した水素原子(SiH)に対する(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子(SiH)のモル比が下記の比率を満たすものであることが必要である。
[(B)成分のSiHモル数]/[(C)成分のSiHモル数]=3.0〜10.0
この理由は、上記SiH比が3.0より少ない数値になると期待される耐寒性能を得ることができなくなったり、得られるシリコーンゲル硬化物が硬くなる。また、上記SiH比が10.0を超えると、得られるシリコーンゲル硬化物がやわらかすぎたり、最悪の場合は硬化物が得られない。なお、上記モル比率は、3.0〜9.0であることが好ましく、3.5〜8.0であることがより好ましい。
また、本発明のシリコーンゲル組成物において、組成物(特には(A)成分)中のケイ素原子結合アルケニル基1個あたりの組成物(特には(B)成分と(C)成分の合計)中のケイ素原子結合水素原子(SiH基)の個数は、0.30〜1.50であることが好ましく、0.40〜1.30であることがより好ましい。SiH基が少なすぎると得られるシリコーンゲル(硬化物)が柔らか過ぎて物理的強度に欠けるものであったり、組成物自体が硬化せずシリコーンゲル(硬化物)を得ることができない場合があり、多すぎると得られるシリコーンゲル(硬化物)が硬過ぎて十分な低応力性を発揮できなかったり、シリコーンゲル(硬化物)の針入度が安定しなくなるほか、過剰のSiH基が多量に残存するためシリコーンゲル(硬化物)中にボイドが発生する場合がある。
〔(D)付加反応触媒〕
次に、(D)成分の付加反応触媒については、前記アルケニル基とケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)との付加反応を促進するための触媒であり、ヒドロシリル化反応に用いられる触媒として白金族金属系触媒等の周知の触媒が挙げられる。
この白金族金属系触媒としては、ヒドロシリル化反応触媒として公知のものが全て使用できる。例えば、白金黒、ロジウム、パラジウム等の白金族金属単体;H2PtCl4・nH2O、H2PtCl6・nH2O、NaHPtCl6・nH2O、KHPtCl6・nH2O、Na2PtCl6・nH2O、K2PtCl4・nH2O、PtCl4・nH2O、PtCl2、Na2HPtCl4・nH2O(式中、nは0〜6の整数であり、好ましくは0又は6である)等の塩化白金、塩化白金酸及び塩化白金酸塩;アルコール変性塩化白金酸(例えば、米国特許第3,220,972号明細書参照)、塩化白金酸とオレフィンとのコンプレックス(例えば、米国特許第3,159,601号明細書、米国特許第3,159,662号明細書、米国特許第3,775,452号明細書参照)、白金黒、パラジウム等の白金族金属をアルミナ、シリカ、カーボン等の担体に担持させたもの;ロジウム−オレフィンコンプレックス;クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒);塩化白金、塩化白金酸又は塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサン、特にビニル基含有環状シロキサンとのコンプレックス等が挙げられる。これらの中で、好ましいものとして、相溶性の観点及び塩素不純物の観点から、塩化白金酸をシリコーン変性したものが挙げられ、具体的には、例えば、塩化白金酸をテトラメチルジビニルジシロキサンで変性した白金触媒が挙げられる。
(D)成分の添加量は有効量であるが、通常、(A)、(B)、(C)成分の合計量に対し、白金原子の質量換算で0.1〜1,000ppm、好ましくは0.5〜300ppm、より好ましくは1〜100ppmである。
〔その他の任意成分〕
本発明のシリコーンゲル組成物には、上記(A)〜(D)成分以外にも、本発明の目的を損なわない範囲で任意成分を配合することができる。この任意成分としては、例えば、反応抑制剤、無機質充填剤、ケイ素原子結合水素原子及びケイ素原子結合アルケニル基を含有しないオルガノポリシロキサン、耐熱性付与剤、難燃性付与剤、チクソ性付与剤、顔料、染料等が挙げられる。
反応抑制剤は、上記組成物の反応を抑制するための成分であって、具体的には、例えば、アセチレン系、アミン系、カルボン酸エステル系、亜リン酸エステル系等の反応抑制剤が挙げられる。
無機質充填剤としては、例えば、ヒュームドシリカ、結晶性シリカ、沈降性シリカ、中空フィラー、シルセスキオキサン、ヒュームド二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉄、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、層状マイカ、カーボンブラック、ケイ藻土、ガラス繊維等の無機質充填剤;これらの充填剤をオルガノアルコキシシラン化合物、オルガノクロロシラン化合物、オルガノシラザン化合物、低分子量シロキサン化合物等の有機ケイ素化合物で表面疎水化処理した充填剤等が挙げられる。また、シリコーンゴムパウダー、シリコーンレジンパウダー等を配合してもよい。
〔シリコーンゲル組成物の硬化〕
本発明のシリコーンゲル組成物は、上記(A)〜(D)成分(任意成分が配合される場合には、任意成分も含む)を常法に準じて混合することにより調製することができる。その際に、混合される成分を必要に応じて2パート又はそれ以上のパートに分割して混合してもよく、例えば、(A)成分の一部及び(D)成分からなるパートと、(A)成分の残部及び(B)、(C)成分からなるパートとに分割して混合することも可能である。常温(20℃±15℃)にて未硬化組成物を保管する際は、(A)成分の一部及び(D)成分からなるパートと、(A)成分の残部及び(B)、(C)成分からなるパートとに分割することがより好ましい。
その後、本発明のシリコーンゲル組成物を常温(20℃±15℃)もしくは用途に応じた加熱温度条件下、例えば50〜200℃、特に80〜180℃にて10〜500分間、特に30〜120分間程度で硬化させることによりシリコーンゲル硬化物が得られる。
本発明のシリコーンゲル組成物は、電気・電子部品の封止もしくは充填に用いることが好適である。
本発明のシリコーンゲル組成物の硬化物(シリコーンゲル硬化物)は、JIS K2220で規定される1/4コーンによる針入度が10〜100であることが好ましく、より好ましくは15〜90、さらに好ましくは20〜60である。針入度が10未満になると、シリコーンゲル組成物が硬化する際の応力に耐えきれず、電子回路の一部が破断したり、シリコーンゲル硬化物内部にクラックが生成したりする場合がある。また、針入度が100を超えると、柔らかすぎるためシリコーンゲル硬化物に大変形を与えた場合、剥離しやすくなったり、基材との接着性が低下する場合がある。
以下、合成例、実施例、比較例及び参考例により本発明を具体的に説明するが、下記の実施例は本発明を何ら制限するものではない。なお、実施例中、「部」は「質量部」を表し、「%」は「質量%」を表し、「Vi」は「ビニル基」を表す。粘度は回転粘度計による測定値であり、重合度はトルエンを展開溶媒としたGPC分析におけるポリスチレン換算の数平均重合度を示す。
[実施例1]
下記式(4);[(A)成分]
Figure 0006520851
で示される25℃での粘度が700mPa・sの両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチル・メチルビニルシロキサン共重合体を100部、下記式(5);[(B)成分]
Figure 0006520851
で示される、ジメチルフェニルシラン(SiH量;0.00734mol/g)を6.7部、下記式(6);[(C)成分]
Figure 0006520851
で示される、25℃での粘度が45mPa・sの両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(SiH量;0.00072mol/g)を11.4部、及び(D)成分である白金原子を1%含有する塩化白金酸ビニルシロキサン錯体のジメチルポリシロキサン溶液を0.10部均一に混合したのち、真空脱泡機にて脱気し、混合物1を得た。得られた混合物1を150℃で60分間加熱硬化したところ、針入度38の硬化物を得た。
このとき、(A)成分の式(1)におけるy/xは0.05、組成物中の(A)成分のケイ素原子結合アルケニル基1個あたりの(B)成分と(C)成分中のケイ素原子結合水素原子の個数(以下、H/Viという)は0.864であり、[(B)成分のSiHモル数]/[(C)成分のSiHモル数]=6.0であった。
[実施例2]
下記式(7);[(A)成分]
Figure 0006520851
で示される25℃での粘度が700mPa・sの両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチル・メチルビニルシロキサン共重合体を100部、下記式(8);[(B)成分]
Figure 0006520851
で示される、ジメチルフェニルシラン(SiH量;0.00734mol/g)を6.7部、下記式(9);[(C)成分]
Figure 0006520851
で示される、25℃での粘度が45mPa・sの両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(SiH量;0.00072mol/g)を11.4部、及び(D)成分である白金原子を1%含有する塩化白金酸ビニルシロキサン錯体のジメチルポリシロキサン溶液を0.10部均一に混合したのち、真空脱泡機にて脱気し、混合物2を得た。得られた混合物2を150℃で60分間加熱硬化したところ、針入度50の硬化物を得た。
このとき、(A)成分の式(1)におけるy/xは0.10、組成物中のH/Viは0.44であり、[(B)成分のSiHモル数]/[(C)成分のSiHモル数]=6.0であった。
[実施例3]
下記式(10);[(A)成分]
Figure 0006520851
で示される25℃での粘度が700mPa・sの両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチル・メチルビニルシロキサン共重合体を100部、下記式(11);[(B)成分]
Figure 0006520851
で示される、ジメチルフェニルシラン(SiH量;0.00734mol/g)を6.7部、下記式(12);[(C)成分]
Figure 0006520851
で示される、25℃での粘度が18mPa・sの両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(SiH量;0.00136mol/g)を7.4部、及び(D)成分である白金原子を1%含有する塩化白金酸ビニルシロキサン錯体のジメチルポリシロキサン溶液を0.10部均一に混合したのち、真空脱泡機にて脱気し、混合物3を得た。得られた混合物3を150℃で60分間加熱硬化したところ、針入度42の硬化物を得た。
このとき、(A)成分の式(1)におけるy/xは0.05、組成物中のH/Viは0.892であり、[(B)成分のSiHモル数]/[(C)成分のSiHモル数]=4.9であった。
[実施例4]
下記式(13);[(A)成分]
Figure 0006520851
で示される25℃での粘度が700mPa・sの両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチル・メチルビニルシロキサン共重合体を100部、下記式(14);[(B)成分]
Figure 0006520851
で示される、メチルエチルフェニルシラン(SiH量;0.00665mol/g)を7.4部、下記式(15);[(C)成分]
Figure 0006520851
で示される、25℃での粘度が45mPa・sの両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(SiH量;0.00072mol/g)を11.4部、及び(D)成分である白金原子を1%含有する塩化白金酸ビニルシロキサン錯体のジメチルポリシロキサン溶液を0.10部均一に混合したのち、真空脱泡機にて脱気し、混合物4を得た。得られた混合物4を150℃で60分間加熱硬化したところ、針入度50の硬化物を得た。
このとき、(A)成分の式(1)におけるy/xは0.05、組成物中のH/Viは0.866であり、[(B)成分のSiHモル数]/[(C)成分のSiHモル数]=6.0であった。
[比較例1]
下記式(16);[(A)成分]
Figure 0006520851
で示される25℃での粘度が700mPa・sの両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチル・メチルビニルシロキサン共重合体を100部、下記式(17);[(B’)成分]
Figure 0006520851
で示される、ペンタメチルジシロキサン(SiH量;0.00676mol/g)を6.9部、下記式(18);[(C)成分]
Figure 0006520851
で示される、25℃での粘度が18mPa・sの両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(SiH量;0.00136mol/g)を6.6部、及び(D)成分である白金原子を1%含有する塩化白金酸ビニルシロキサン錯体のジメチルポリシロキサン溶液を0.10部均一に混合したのち、真空脱泡機にて脱気し、混合物5を得た。得られた混合物5を150℃で60分間加熱硬化したところ、針入度36の硬化物を得た。
このとき、(A)成分の式(1)におけるy/xは0.05、組成物中のH/Viは0.838であり、[(B’)成分のSiHモル数]/[(C)成分のSiHモル数]=5.2であった。
[比較例2]
下記式(19);[(A)成分]
Figure 0006520851
で示される25℃での粘度が700mPa・sの両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチル・メチルビニルシロキサン共重合体を100部、下記式(20);[(B)成分]
Figure 0006520851
で示される、ジメチルフェニルシラン(SiH量;0.00734mol/g)を1.3部、下記式(21);[(C)成分]
Figure 0006520851
で示される、25℃での粘度が45mPa・sの両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(SiH量;0.00072mol/g)を3.0部、及び(D)成分である白金原子を1%含有する塩化白金酸ビニルシロキサン錯体のジメチルポリシロキサン溶液を0.10部均一に混合したのち、真空脱泡機にて脱気し、混合物6を得た。得られた混合物6を150℃で60分間加熱硬化したところ、針入度90の硬化物を得た。
このとき、(A)成分の式(1)におけるy/xは0.01、組成物中のH/Viは0.866であり、[(B)成分のSiHモル数]/[(C)成分のSiHモル数]=4.4であった。
[比較例3]
下記式(22);[(A)成分]
Figure 0006520851
で示される25℃での粘度が700mPa・sの両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチル・メチルビニルシロキサン共重合体を100部、下記式(23);[(B’)成分]
Figure 0006520851
で示される、トリエチルシラン(SiH量;0.00862mol/g)を6.0部、下記式(24);[(C)成分]
Figure 0006520851
で示される、25℃での粘度が45mPa・sの両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(SiH量;0.00072mol/g)を11.1部、及び(D)成分である白金原子を1%含有する塩化白金酸ビニルシロキサン錯体のジメチルポリシロキサン溶液を0.10部均一に混合したのち、真空脱泡機にて脱気し、混合物7を得た。得られた混合物7を150℃で60分間加熱硬化したところ、針入度22の硬化物を得た。
このとき、(A)成分の式(1)におけるy/xは0.05、組成物中のH/Viは0.90であり、[(B’)成分のSiHモル数]/[(C)成分のSiHモル数]=6.5であった。
[比較例4]
下記式(25);[(A)成分]
Figure 0006520851
で示される25℃での粘度が700mPa・sの両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチル・メチルビニルシロキサン共重合体を100部、下記式(26);[(B)成分]
Figure 0006520851
で示される、ジメチルフェニルシラン(SiH量;0.00734mol/g)を3.8部、下記式(27);[(C)成分]
Figure 0006520851
で示される、25℃での粘度が45mPa・sの両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(SiH量;0.00072mol/g)を15.5部、及び(D)成分である白金原子を1%含有する塩化白金酸ビニルシロキサン錯体のジメチルポリシロキサン溶液を0.10部均一に混合したのち、真空脱泡機にて脱気し、混合物8を得た。得られた混合物8を150℃で60分間加熱硬化したところ、針入度25の硬化物を得た。
このとき、(A)成分の式(1)におけるy/xは0.05、組成物中のH/Viは0.588であり、[(B)成分のSiHモル数]/[(C)成分のSiHモル数]=2.5であった。
[比較例5]
下記式(28);[(A)成分]
Figure 0006520851
で示される25℃での粘度が700mPa・sの両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチル・メチルビニルシロキサン共重合体を100部、下記式(28);[(B)成分]
Figure 0006520851
で示される、ジメチルフェニルシラン(SiH量;0.00734mol/g)を7.3部、下記式(30);[(C)成分]
Figure 0006520851
で示される、25℃での粘度が45mPa・sの両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(SiH量;0.00072mol/g)を7.2部、及び(D)成分である白金原子を1%含有する塩化白金酸ビニルシロキサン錯体のジメチルポリシロキサン溶液を0.10部均一に混合したのち、真空脱泡機にて脱気し、混合物9を得た。得られた混合物9を150℃で60分間加熱硬化したところ、針入度120の硬化物を得た。
このとき、(A)成分の式(1)におけるy/xは0.05、組成物中のH/Viは0.885であり、[(B)成分のSiHモル数]/[(C)成分のSiHモル数]=10.3であった。
[比較例6]
下記式(31);[(A)成分]
Figure 0006520851
で示される25℃での粘度が700mPa・sの両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチル・メチルビニルシロキサン共重合体を100部、下記式(32);[(B)成分]
Figure 0006520851
で示される、ジメチルフェニルシラン(SiH量;0.00734mol/g)を6.7部、下記式(33);[(C’)成分]
Figure 0006520851
で示される、25℃での粘度が45mPa・sの両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(SiH量;0.00545mol/g)を3.0部、及び(D)成分である白金原子を1%含有する塩化白金酸ビニルシロキサン錯体のジメチルポリシロキサン溶液を0.10部均一に混合したのち、真空脱泡機にて脱気し、混合物10を得た。得られた混合物10を150℃で60分間加熱硬化したが、表面のみ硬化しており、内部が未硬化であった。
このとき、(A)成分の式(1)におけるy/xは0.05、組成物中のH/Viは0.987であり、[(B)成分のSiHモル数]/[(C’)成分のSiHモル数]=3.0であった。
[参考例1]
下記平均分子式(34)
Figure 0006520851
で示される25℃での粘度が1,000mPa・sの両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体を60部、下記平均分子式(35)
Figure 0006520851
で示され、25℃での粘度が700mPa・sのトリメチルシロキシ基・ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体を40部、下記式(36)
Figure 0006520851
で示され、25℃での粘度が45mPa・sの両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(SiH量;0.00545mol/g)を0.55部、下記式(37)
Figure 0006520851
で示され、25℃での粘度が18mPa・sの両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(SiH量;0.00136mol/g)を5.6部(このとき、H/Viは1.15であった。)、及び白金原子を1%含有する塩化白金酸ビニルシロキサン錯体のジメチルポリシロキサン溶液を0.05部、任意成分であるエチニルシクロヘキサノールを0.02部添加し、均一に混合したのち、真空脱泡機にて脱気し、混合物11を得た。得られた混合物11を150℃で60分間加熱硬化したところ、針入度45の硬化物を得た。
[試験]
上記実施例1〜4、比較例1〜6、参考例1で得られた組成物及び硬化物を用いて、以下の試験を実施した。これらの結果を表1、2に示す。
脱泡性の評価;
上記各成分を均一に混合して組成物を調製したのち、混合時に巻き込んだ気泡を真空脱泡機にて脱気する際の時間を計測し、60秒以内であるものを合格と判定した。
針入度の評価;
離合社製自動針入度計RPM−101を用い、JIS K2220で規定される1/4コーンにて、150℃において60分間加熱硬化を行った硬化物の針入度を測定した。
耐寒性の評価;
ユービーエム社製動的粘弾性測定装置Reogel−E4000を用い、150℃において60分間加熱硬化を行った硬化物を−100℃から30℃まで2℃/min昇温しながら、弾性率の温度依存性測定を行った。その際、−70℃と25℃の複素せん断弾性率(以下、G*と略す)を測定し、[(−70℃におけるG*(G*1))/(25℃におけるG*(G*2))]が10以下であるシリコーンゲル組成物の硬化物を耐寒性合格と判定した。
Figure 0006520851
Figure 0006520851
実施例1〜4の組成物は、本発明の要件を満たすものであり、混合時に巻き込んだ気泡の脱泡性が良好で、かつ該硬化物の−70℃におけるG*と25℃におけるG*の比が10を超えない、すなわち急激な弾性率変化がないため、硬化物の耐寒性が良好であることがわかる。
これに対し、比較例1及び3の組成物は、本発明の(B)成分が指定の構造以外である(本発明の(B)成分を含まない)ため、該硬化物の−70℃におけるG*と25℃におけるG*の比が大きく、上述した実施例1〜4の組成物と比較すると硬化物の耐寒性が悪いことがわかる。
また、比較例2の組成物は、本発明の(A)成分の式(1)におけるy/xが0.04未満、すなわち、分子鎖中の側鎖にケイ素原子に結合したアルケニル基が少ないことから、硬化させる際に(B)成分との反応率が低いため、上述した実施例1〜4の組成物と比較すると硬化物の耐寒性が悪い結果となっている。
さらに、比較例4及び5の組成物は、[(B)成分のSiHモル数]/[(C)成分のSiHモル数]が3.0〜10.0の範囲外であるため、[(B)成分のSiHモル数]/[(C)成分のSiHモル数]の数値が3.0より小さい比較例4においては、該硬化物の−70℃におけるG*と25℃におけるG*の比が大きく、上述した実施例1〜4の組成物と比較すると硬化物の耐寒性が悪く、[(B)成分のSiHモル数]/[(C)成分のSiHモル数]の数値が10.0より大きい比較例5においては、該硬化物の−70℃におけるG*と25℃におけるG*の比が大きく、上述した実施例1〜4の組成物と比較すると硬化物の耐寒性が悪いほか、針入度も大きく、非常に柔らかいシリコーンゲル硬化物となってしまっている。
また、比較例6の組成物は、本発明の(C)成分であるケイ素原子に結合した水素原子を分子鎖両末端にのみ有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンではなく、ケイ素原子に結合した水素原子を分子鎖中の側鎖のみに有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを用いている(本発明の(C)成分を含まない)ため、表面は硬化しているが、深部が未硬化状態になってしまうという、産業使用できない組成物となってしまっている。
また参考例1として、分子内にフェニル基を有する両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体を用いた組成物を記載したが、得られる組成物は、硬化物の耐寒性に優れるものの、脱泡性が著しく悪化していることがわかる。
本発明のシリコーンゲル組成物を硬化することにより得られるシリコーンゲル硬化物は、特殊な原料を使用せずとも−50℃以下の超低温領域においても弾性率の変化が少ないため、自動車産業等や電子部品等の電子基板保護材としての使用が期待できる。また、本発明のシリコーンゲル組成物は、基板等にポッティングする際に混入する気泡の脱泡性も良好であり、ポッティング材としての信頼性向上や製造性向上も期待できるため、非常に有効な技術となる。

Claims (2)

  1. (A)下記一般式(1)で表される、分子鎖中の側鎖にケイ素原子に結合したアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン: 100質量部、
    Figure 0006520851
    (式中、xは50〜1,000の整数、yは2〜490の整数である。但し、y/xは0.04以上0.50未満である。)
    (B)下記一般式(2)で表される、一分子中にケイ素原子に結合した水素原子を1個有するオルガノハイドロジェンシラン化合物: 0.1〜20質量部、
    Figure 0006520851
    (式中、R1は独立にメチル基又はエチル基であり、R2は非置換又は置換のアリール基又はアラルキル基である。)
    (C)下記一般式(3)で表される、ケイ素原子に結合した水素原子を分子鎖両末端にのみ有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン: 0.1〜50質量部、
    Figure 0006520851
    (式中、zは1〜500の整数である。)
    (D)付加反応触媒: 有効量
    を必須成分として含有し、かつ、(C)成分中のケイ素原子に結合した水素原子に対する(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子のモル比が[(B)成分のSiHモル数]/[(C)成分のSiHモル数]=3.0〜10.0の比率を満たすものであるシリコーンゲル組成物。
  2. JIS K2220で規定される針入度が10〜100であるシリコーンゲル硬化物を与えるものである請求項1記載のシリコーンゲル組成物。
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