JP6465219B2 - 自己接着性シリコーンゲル組成物及びシリコーンゲル - Google Patents
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Description
また、特開昭63−199276号公報、特公平04−078655号公報、特公平05−067673号公報、特許第2741460号公報(特許文献8〜11)では、有機過酸化物の添加による接着性向上技術が紹介されているが、こちらも副生成物として発生する酸素により剥離やボイドが発生するという問題が生じる。
[1]
(A)下記平均組成式(1)
RaR1 bSiO(4-a-b)/2 (1)
(式中、Rは独立にアルケニル基であり、R1は独立に脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、aは0.0001〜0.2の正数であり、bは1.7〜2.2の正数であり、但しa+bは1.9〜2.4である。)
で表される、一分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも1個有するオルガノポリシロキサン: 100質量部、
(B)下記平均組成式(2)
R2 cHdSiO(4-c-d)/2 (2)
(式中、R2は独立に脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、cは0.7〜2.2の正数であり、dは0.001〜0.5の正数であり、但しc+dは0.8〜2.7である。)
で表される、一分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン: 組成物全体のケイ素原子に結合したアルケニル基1個あたりケイ素原子に結合した水素原子が0.01〜3個となる量、
(C)白金系触媒: 有効量、
(D)一分子中にイソシアネート基を1個以上有し、かつ加水分解性基を含まない脂肪族有機化合物: 0.001〜1.0質量部
を必須成分としてなることを特徴とする自己接着性シリコーンゲル組成物。
[2]
(D)成分が、下記一般式(3)
X−CnHm−NCO (3)
(式中、nは1〜10の整数であり、mは2〜20の整数であり、但し、nとmはn<mであり、Xは加水分解性基以外の官能基である。)
で示される脂肪族有機化合物であることを特徴とする、[1]に記載の自己接着性シリコーンゲル組成物。
[3]
硬化してJIS K2220で規定される針入度が10〜80であるシリコーンゲル硬化物を与えるものである[1]又は[2]に記載の自己接着性シリコーンゲル組成物。
[4]
[1]〜[3]のいずれかに記載の自己接着性シリコーンゲル組成物の硬化物からなるシリコーンゲル。
本発明の(A)成分は、シリコーンゲル組成物の主剤(ベースポリマー)である。該(A)成分は、下記平均組成式(1)で表される、一分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基(本明細書中において「ケイ素原子結合アルケニル基」という)を、平均して少なくとも1個有するオルガノポリシロキサンである。
RaR1 bSiO(4-a-b)/2 (1)
(式中、Rは独立にアルケニル基であり、R1は独立に脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、aは0.0001〜0.2の正数であり、bは1.7〜2.2の正数であり、但しa+bは1.9〜2.4である。)
で表されるオルガノポリシロキサン、即ち主鎖が基本的にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状のジオルガノポリシロキサンであることが好ましい。
次に、本発明の(B)成分は、上記(A)成分と反応し、架橋剤(硬化剤)として作用するものである。該(B)成分は、下記平均組成式(2)
R2 cHdSiO(4-c-d)/2 (2)
(式中、R2は独立に脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、cは0.7〜2.2の正数であり、dは0.001〜0.5の正数であり、但しc+dは0.8〜2.7である。)
で表される、一分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。このオルガノハイドロジェンポリシロキサンが一分子中に有するケイ素原子結合水素原子(即ち、SiHで表されるヒドロシリル基)は、好ましくは3〜500個、より好ましくは5〜100個、特に好ましくは10〜60個である。このSiH基は分子鎖末端のケイ素原子に結合するものであっても、分子鎖非末端(分子鎖途中)のケイ素原子に結合するものであってもいずれでもよく、これらの両者であってもよい。
本発明の(C)成分は、前記(A)成分のケイ素原子結合アルケニル基と前記(B)成分中のケイ素原子結合水素原子との付加反応を促進させるための触媒(白金族金属触媒)として使用されるものである。該(C)成分は白金系触媒(白金又は白金系化合物)であり、公知のものを使用することができる。その具体例としては、白金ブラック、塩化白金酸、塩化白金酸等のアルコール変性物;塩化白金酸とオレフィン、アルデヒド、ビニルシロキサン又はアセチレンアルコール類等との錯体などが例示される。
本発明の(D)成分は、一分子中にイソシアネート基を1個以上有し、かつ加水分解性基を含まない、分子中にベンゼン環(例えば、フェニレン基)等の芳香族環構造を含有しない脂肪族有機化合物であり、本発明のシリコーンゲル組成物に優れた接着性を付与するための必須成分である。(D)成分としては、下記一般式(3)で示される脂肪族有機化合物であることが好ましい。
X−CnHm−NCO (3)
(式中、nは1〜10の整数であり、mは2〜20の整数であり、但し、nとmはn<mであり、Xは加水分解性基以外の官能基である。)
また、Xは加水分解性基以外の官能基であれば、いずれの官能基のものも使用することができる。その中でも特にイソシアネート基の場合、(D)成分の添加量が微量でも同様の効果が得られるため有効である。
本発明のシリコーンゲル組成物には、上記(A)〜(D)成分以外にも、本発明の目的を損なわない範囲で任意成分を配合することができる。この任意成分としては、例えば、反応抑制剤、無機質充填剤、ケイ素原子結合水素原子及びケイ素原子結合アルケニル基を含有しないオルガノポリシロキサン、耐熱性付与剤、難燃性付与剤、チクソ性付与剤、顔料、染料等が挙げられる。
本発明のシリコーンゲル組成物は、上記(A)〜(D)成分(任意成分が配合される場合には、任意成分も含む)を常法に準じて混合することにより調製することができる。その際に、混合される成分を必要に応じて2パート又はそれ以上のパートに分割して混合してもよく、例えば、(A)成分の一部又は全部及び(C)成分からなるパートと、(A)成分の残部及び(B)、(D)成分からなるパートとに分割して混合することも可能である。常温にて未硬化組成物を保管する際は、(A)成分の一部又は全部及び(C)成分からなるパートと、(A)成分の残部及び(B)、(D)成分からなるパートとに分割することがより好ましい。
下記平均分子式(4)
(ヘキサメチレンジイソシアネート;上記式(3)において、n=6,m=12,n<m,X=NCO)
実施例1において、ヘキサメチレンジイソシアネートを0.01部用いる代わりに、ヘキシルイソシアネートを0.015部用いる以外は同様にして、組成物2を得た。この組成物2を80℃で60分間加熱硬化したところ、針入度42のシリコーンゲル硬化物を得た。
実施例1において、ヘキサメチレンジイソシアネートを用いない以外は同様にして、組成物3を得た。この組成物3を80℃で60分間加熱硬化したところ、針入度40のシリコーンゲル硬化物を得た。
実施例1において、ヘキサメチレンジイソシアネートを0.01部用いる代わりに、トリレンジイソシアネートを0.01部添加する以外は同様にして、組成物4を得た。この組成物4を80℃で60分間加熱硬化したところ、針入度48のシリコーンゲル硬化物を得た。
(トリレンジイソシアネート;上記式(3)において、n=7,m=6,n>m,X=NCO)
実施例1において、ヘキサメチレンジイソシアネートを0.01部用いる代わりに、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを0.01部添加する以外は同様にして、組成物5を得た。この組成物5を80℃で60分間加熱硬化したところ、針入度35のシリコーンゲル硬化物を得た。
実施例1において、ヘキサメチレンジイソシアネートを0.01部用いる代わりに、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランを0.01部添加する以外は同様にして、組成物6を得た。この組成物6を80℃で60分間加熱硬化したところ、針入度45のシリコーンゲル硬化物を得た。
実施例1において、ヘキサメチレンジイソシアネートの配合量を1.5部とした以外は同様にして、組成物7を得た。この組成物7を80℃で60分間加熱硬化したところ、未硬化であったため硬化物を得ることができなかった。
上記実施例1,2及び比較例1〜4で得られたシリコーンゲル硬化物を用いて、以下の試験を実施した。これらの結果を表1に示す。
幅25mm、長さ100mmの無酸素銅及びアルミニウムをそれぞれ用いて接着面積2.5mm2、接着厚さ2mmの剪断接着試験体が作製できるように上記により得られた組成物を流し込み、80℃にて1時間加熱して硬化させた。その後、JIS K6249に準ずる方法にて測定を行い、剪断接着力と凝集破壊率(破断面の面積全体に対する凝集破壊した面積の比率(%))を確認した。なお、凝集破壊率の評価は80%以上を合格とする。
直径60mm×深さ10mmのアルミニウムシャーレ内に上記により得られた組成物を約5g程度流し込み、80℃にて1時間加熱して硬化させた。その後、85℃×85%RH環境下に24時間放置したのち、直ちに110℃のホットプレート上に曝し、1時間後にアルミニウムシャーレとの界面に剥離やボイドが発生したかを目視にて確認した。剥離やボイドが確認されなかったものを合格とした。
実施例及び比較例を2成分化し、未硬化液を25℃環境下にて12か月放置し、その後両者を実施例及び比較例と同様の混合比になるように調合・混合したのち、上記と同様にして針入度及び接着性の評価を行った。なお、2成分化する際、下記のように分割し、湿気を遮断できる容器にて保管した。
(第1成分)(A)、(C)成分
(第2成分)(B)、(D)成分及び任意成分
実施例1,2の組成物は、本発明の要件を満たすものであり、該組成物の硬化物は、良好な接着性を有し、かつ接着後に剥離やボイドは確認されていないことがわかる。また、成分を分割し保存安定性を評価したところ、針入度及び接着性の変化もないことを確認した。
これに対し、比較例1の組成物は、本発明の(D)成分を含まないため、該組成物の硬化物は、無酸素銅やアルミニウムに対する接着性が悪いことがわかる。
また、比較例2の組成物は、本発明の(D)成分の条件である、脂肪族有機化合物(具体的には、式(3)においてn<m)の要件を満たしていないため、該組成物の硬化物は、無酸素銅に対する接着性が悪い。これはn>mの場合、即ち分子内に共役又は非共役の2重結合が多く存在するため、シリコーンオイルとの相溶性が低下するためと推定する。
また、比較例3の組成物の場合、本発明の(D)成分の代わりにエポキシ基含有シランカップリング剤が添加されているため、該組成物の硬化物は、ボイド試験により剥離やボイドが確認されること、ならびに期待する接着性までには至らない結果となっている。
イソシアネート基及び加水分解性基を含有している化合物を配合した比較例4の組成物の場合も上記と同様で、該組成物の硬化物は、ボイド試験により剥離やボイドが確認されること、ならびに期待する接着性までには至らない結果となっている。
更に、本発明の(D)成分を多く添加した比較例5の組成物の場合は、(C)成分の白金系触媒が(D)成分により安定化されてしまったため、所定温度・時間において硬化物を得ることができなかった。このことより、本発明の有効性が確認できる。
Claims (4)
- (A)下記平均組成式(1)
RaR1 bSiO(4-a-b)/2 (1)
(式中、Rは独立にアルケニル基であり、R1は独立に脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、aは0.0001〜0.2の正数であり、bは1.7〜2.2の正数であり、但しa+bは1.9〜2.4である。)
で表される、一分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも1個有するオルガノポリシロキサン: 100質量部、
(B)下記平均組成式(2)
R2 cHdSiO(4-c-d)/2 (2)
(式中、R2は独立に脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、cは0.7〜2.2の正数であり、dは0.001〜0.5の正数であり、但しc+dは0.8〜2.7である。)
で表される、一分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン: 組成物全体のケイ素原子に結合したアルケニル基1個あたりケイ素原子に結合した水素原子が0.01〜3個となる量、
(C)白金系触媒: 有効量、
(D)一分子中にイソシアネート基を1個以上有し、かつ加水分解性基を含まない脂肪族有機化合物: 0.001〜1.0質量部
を必須成分としてなることを特徴とする自己接着性シリコーンゲル組成物。 - (D)成分が、下記一般式(3)
X−CnHm−NCO (3)
(式中、nは1〜10の整数であり、mは2〜20の整数であり、但し、nとmはn<mであり、Xは加水分解性基以外の官能基である。)
で示される脂肪族有機化合物であることを特徴とする請求項1に記載の自己接着性シリコーンゲル組成物。 - 硬化してJIS K2220で規定される針入度が10〜80であるシリコーンゲル硬化物を与えるものである請求項1又は2に記載の自己接着性シリコーンゲル組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の自己接着性シリコーンゲル組成物の硬化物からなるシリコーンゲル。
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