JP6465219B2 - 自己接着性シリコーンゲル組成物及びシリコーンゲル - Google Patents

自己接着性シリコーンゲル組成物及びシリコーンゲル Download PDF

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Description

本発明は、自己接着性に優れたシリコーンゲル組成物、及びその硬化物からなるシリコーンゲルに関し、特に銅、アルミニウムのような基材に対して接着性が良好で、かつ接着後に剥離やボイドの発生が抑制可能な自己接着性シリコーンゲル組成物、及び該組成物の硬化物からなるシリコーンゲルに関する。
シリコーンゲル組成物は、ケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、ケイ素原子に結合したビニル基等のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン及び白金系触媒を含有し、前記ケイ素原子に結合した水素原子のアルケニル基への付加反応により硬化物を得る付加反応硬化型オルガノポリシロキサン組成物として調製される。このシリコーンゲル組成物を加熱することにより硬化したシリコーンゲル硬化物は、耐熱性、耐候性、耐油性、耐寒性、電気絶縁性等に優れ、低弾性率かつ低応力であることにより、車載電子部品、民生用電子部品等の電子部品の保護に用いられている。シリコーンゲル硬化物の特徴である低弾性率かつ低応力であることは、他のエラストマー製品には見られない。また、近年では、車載電子部品や民生用電子部品の高信頼性化などの要求から、封止に用いられるシリコーンゲル材料に対しては、基材との高い接着性が要求されている。
このような要求が高まっていることから、近年では様々な接着性向上技術が研究されている。その中でも特公平07−098902号公報、特許第5025917号公報、特許第5179302号公報、特許第5587148号公報、特許第5602385号公報、特許第5631964号公報、特開2002−338833号公報(特許文献1〜7)などは、高接着性を発現するような接着成分、即ち分子内にメトキシ基、エトキシ基等の加水分解性基と、エポキシ基、イソシアネート基、イソシアヌル基等の官能性基を有するシランカップリング剤を用いて接着性の向上を達成している。しかし、上記のような加水分解性基を有する物質を添加した場合、水分との加水分解により生じた副生成物、即ちメタノールやエタノール等のアルコールが電子材料から放出される熱によりガス化することで、基材との界面から剥離したり、ボイドと呼ばれる空隙が発生するという問題を生じていた。また、使用するシランカップリング剤によっては、硬化触媒として使用する白金触媒の触媒能を低下させるため、経時で柔軟性が変化したり、未硬化となったりしてしまうという問題もあった。
また、特開昭63−199276号公報、特公平04−078655号公報、特公平05−067673号公報、特許第2741460号公報(特許文献8〜11)では、有機過酸化物の添加による接着性向上技術が紹介されているが、こちらも副生成物として発生する酸素により剥離やボイドが発生するという問題が生じる。
更に、特開2000−309711号公報、特開2005−350582号公報、特許第4960620号公報(特許文献12〜14)では、用いるオルガノポリシロキサンの構造やヒドロシリル基(SiH基)等の構造等を変えることで、接着性を向上する技術が紹介されているが、本手法では確かに基材との密着性は高まるものの、接着までは至っていないため、長期間の使用により接着性が低下するという問題を生じていた。
特公平07−098902号公報 特許第5025917号公報 特許第5179302号公報 特許第5587148号公報 特許第5602385号公報 特許第5631964号公報 特開2002−338833号公報 特開昭63−199276号公報 特公平04−078655号公報 特公平05−067673号公報 特許第2741460号公報 特開2000−309711号公報 特開2005−350582号公報 特許第4960620号公報
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、従来の封止材料の特性を維持しつつ、電子基板に存在する銅、アルミニウム等から構成される基材に対して十分な接着性を有し、かつ接着後に剥離やボイドの発生が抑制可能な自己接着性シリコーンゲル組成物、及び該組成物の硬化物からなるシリコーンゲルを提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、付加反応硬化型のシリコーンゲル組成物に、一分子中にイソシアネート基を1個以上有し、かつ加水分解性基を含まない脂肪族有機化合物をある特定量添加することで、基材に対する接着性と接着後の剥離やボイドの発生がない自己接着性シリコーンゲル組成物となり得ることを見出し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は、下記の自己接着性シリコーンゲル組成物及びシリコーンゲルを提供する。
[1]
(A)下記平均組成式(1)
a1 bSiO(4-a-b)/2 (1)
(式中、Rは独立にアルケニル基であり、R1は独立に脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、aは0.0001〜0.2の正数であり、bは1.7〜2.2の正数であり、但しa+bは1.9〜2.4である。)
で表される、一分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも1個有するオルガノポリシロキサン: 100質量部、
(B)下記平均組成式(2)
2 cdSiO(4-c-d)/2 (2)
(式中、R2は独立に脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、cは0.7〜2.2の正数であり、dは0.001〜0.5の正数であり、但しc+dは0.8〜2.7である。)
で表される、一分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン: 組成物全体のケイ素原子に結合したアルケニル基1個あたりケイ素原子に結合した水素原子が0.01〜3個となる量、
(C)白金系触媒: 有効量、
(D)一分子中にイソシアネート基を1個以上有し、かつ加水分解性基を含まない脂肪族有機化合物: 0.001〜1.0質量部
を必須成分としてなることを特徴とする自己接着性シリコーンゲル組成物。
[2]
(D)成分が、下記一般式(3)
X−Cnm−NCO (3)
(式中、nは1〜10の整数であり、mは2〜20の整数であり、但し、nとmはn<mであり、Xは加水分解性基以外の官能基である。)
で示される脂肪族有機化合物であることを特徴とする、[1]に記載の自己接着性シリコーンゲル組成物。
[3]
硬化してJIS K2220で規定される針入度が10〜80であるシリコーンゲル硬化物を与えるものである[1]又は[2]に記載の自己接着性シリコーンゲル組成物。
[4]
[1]〜[3]のいずれかに記載の自己接着性シリコーンゲル組成物の硬化物からなるシリコーンゲル。
本発明の自己接着性シリコーンゲル組成物は、従来よりも接着性がよく、かつ接着後の剥離やボイドの発生が少ないシリコーンゲル硬化物を与えるものである。
本発明の自己接着性シリコーンゲル組成物は、下記の(A)〜(D)成分を必須成分として含有してなるものである。なお、本発明において、シリコーンゲル(シリコーンゲル硬化物)とは、オルガノポリシロキサンを主成分とする架橋密度の低い硬化物であって、JIS K2220(1/4コーン)による針入度が10〜80のものを意味する。これは、JIS K6253によるゴム硬度測定では測定値(ゴム硬度値)が0となり、有効なゴム硬度値を示さない程低硬度(即ち、軟らか)であるものに相当し、この点において、いわゆるシリコーンゴム硬化物(ゴム状弾性体)とは別異のものである。
以下、各成分について詳細に説明する。なお、本明細書において、粘度は25℃における値である。
〔(A)オルガノポリシロキサン〕
本発明の(A)成分は、シリコーンゲル組成物の主剤(ベースポリマー)である。該(A)成分は、下記平均組成式(1)で表される、一分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基(本明細書中において「ケイ素原子結合アルケニル基」という)を、平均して少なくとも1個有するオルガノポリシロキサンである。
a1 bSiO(4-a-b)/2 (1)
(式中、Rは独立にアルケニル基であり、R1は独立に脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、aは0.0001〜0.2の正数であり、bは1.7〜2.2の正数であり、但しa+bは1.9〜2.4である。)
上記式(1)中、Rは独立に、通常炭素原子数2〜6、好ましくは2〜4、より好ましくは2〜3のアルケニル基である。その具体例としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基等が挙げられ、好ましくはビニル基である。R1は独立に脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、その炭素原子数は、通常1〜10、好ましくは1〜6である。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基;これらの基の水素原子の一部又は全部を、塩素、臭素、フッ素等のハロゲン原子で置換したクロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等が挙げられる。中でも合成が容易であることから、メチル基、フェニル基又は3,3,3−トリフルオロプロピル基が好ましい。
また、aは0.0001〜0.2の正数であることが必要であり、好ましくは0.0005〜0.1の正数である。bは1.7〜2.2の正数であることが必要であり、好ましくは1.9〜2.02の正数である。但し、a+bは1.9〜2.4の範囲を満たすことが必要であり、好ましくは1.95〜2.05の範囲である。
(A)成分は、一分子中にケイ素原子結合アルケニル基を、(A)成分全体として平均して、少なくとも1個有することが必要であり、好ましくは2〜50個、より好ましくは2〜10個有する。このケイ素原子結合アルケニル基の条件を満たすように前記a及びbの値を選択すればよい。
(A)成分のオルガノポリシロキサンの分子構造は特に限定されず、直鎖状であっても、例えば、RSiO3/2単位、R1SiO3/2単位(R、R1は上記と同じ)、SiO2単位等を含む分岐鎖状であってもよいが、下記一般式(1a):
Figure 0006465219
(式中、R3は独立に脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、R4は独立に脂肪族不飽和結合を含まない非置換もしくは置換の1価炭化水素基又はアルケニル基であり、但し少なくとも1個、好ましくは2〜50個、より好ましくは2〜10個のR4はアルケニル基であり、分子鎖両末端のR4のいずれかがアルケニル基である場合には、eは40〜1,200の整数であり、fは0〜50の整数であり、gは0〜50の整数であり、分子鎖両末端のR4のいずれもがアルケニル基でない場合には、eは40〜1,200の整数であり、fは1〜50の整数であり、gは0〜50の整数であり、但しf+gは1以上である。)
で表されるオルガノポリシロキサン、即ち主鎖が基本的にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状のジオルガノポリシロキサンであることが好ましい。
上記式(1a)中、R3の脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の1価炭化水素基は、通常炭素原子数1〜10、好ましくは1〜6のものである。その具体例としては、R1で例示したものが挙げられる。中でも合成が容易であることから、メチル基、フェニル基又は3,3,3−トリフルオロプロピル基が好ましい。
また、R4で表される基のうち、脂肪族不飽和結合を含まない非置換もしくは置換の1価炭化水素基は、通常炭素原子数1〜10、好ましくは1〜6のものである。その具体例としては、R1で例示したものが挙げられる。中でも合成が容易であることから、メチル基、フェニル基又は3,3,3−トリフルオロプロピル基が好ましい。R4で表される基のうち、アルケニル基は、通常炭素原子数2〜6、好ましくは2〜4、より好ましくは2〜3のものである。その具体例としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基等が挙げられ、好ましくはビニル基である。
上記式(1a)中、分子鎖両末端のR4のいずれかがアルケニル基である場合には、eは40〜1,200の整数であり、fは0〜50の整数であり、gは0〜50の整数であり、好ましくはeは100〜1,000の整数であり、fは0〜40の整数であり、gは0である。また、分子鎖両末端のR4のいずれもアルケニル基でない場合には、kは40〜1,200の整数であり、fは1〜50の整数であり、gは0〜50の整数であり、但しf+gは1以上であり、好ましくはkは100〜1,000の整数であり、fは2〜40の整数であり、gは0である。
上記式(1a)で表されるオルガノポリシロキサンとしては、例えば、両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルトリフルオロプロピルポリシロキサン、両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルトリフルオロプロピルシロキサン共重合体、両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルトリフルオロプロピルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ビニルメチルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ビニルメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ビニルメチルシロキサン・メチルトリフルオロプロピルシロキサン共重合体、末端トリメチルシロキシ基・ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、末端トリメチルシロキシ基・ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、末端トリメチルシロキシ基・ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、末端トリメチルシロキシ基・ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、末端トリメチルシロキシ基・ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルトリフルオロプロピルポリシロキサン、末端トリメチルシロキシ基・ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルトリフルオロプロピルシロキサン共重合体、末端トリメチルシロキシ基・ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルトリフルオロプロピルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、両末端メチルジビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端メチルジビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、両末端メチルジビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端メチルジビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端メチルジビニルシロキシ基封鎖メチルトリフルオロプロピルポリシロキサン、両末端メチルジビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルトリフルオロプロピルシロキサン共重合体、両末端メチルジビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルトリフルオロプロピルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、両末端トリビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端トリビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、両末端トリビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリビニルシロキシ基封鎖メチルトリフルオロプロピルポリシロキサン、両末端トリビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルトリフルオロプロピルシロキサン共重合体、両末端トリビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルトリフルオロプロピルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体等が挙げられる。
(A)成分のオルガノポリシロキサンの粘度は特に限定されないが、組成物の取扱作業性、得られる硬化物の強度、及び流動性が良好となる点から、25℃における粘度が50〜100,000mPa・sであることが好ましく、100〜10,000mPa・sであることがより好ましい。なお、粘度は、回転粘度計(例えば、BL型、BH型、BS型、コーンプレート型、レオメータ等)により測定することができる(以下、同じ)。なお、この粘度範囲は、(A)成分のオルガノポリシロキサンの重合度(又は分子中のケイ素原子数)が、通常、30〜1,500、好ましくは50〜1,000、より好ましくは100〜600程度に相当するものである。なお、重合度(又は分子量)は、例えば、トルエン等を展開溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィ分析におけるポリスチレン換算の数平均重合度(又は、数平均分子量)等として求めることができる(以下、同じ)。
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、(A)成分全体として一分子中にケイ素原子結合アルケニル基を平均して少なくとも1個有するという条件を満足する限りにおいて、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、本発明においては、一分子中、特には分子鎖両末端にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個有するオルガノポリシロキサンと、一分子中、特には分子鎖片末端にケイ素原子に結合したアルケニル基を1個有するオルガノポリシロキサン又は1個未満有するオルガノポリシロキサン(例えば、平均重合度や重合度分布が同一で、分子鎖片末端にケイ素原子に結合したアルケニル基を1個有するオルガノポリシロキサンと分子中にアルケニル基を含有しないオルガノポリシロキサンとの均一な混合物等)とを、100:0〜40:60、特には100:0〜60:40程度の質量割合で混合して用いることが、組成物の硬化性が良好で、かつ柔軟な(針入度の大きい)シリコーンゲル硬化物を安定的に得ることができる点から好ましい。
〔(B)オルガノハイドロジェンポリシロキサン〕
次に、本発明の(B)成分は、上記(A)成分と反応し、架橋剤(硬化剤)として作用するものである。該(B)成分は、下記平均組成式(2)
2 cdSiO(4-c-d)/2 (2)
(式中、R2は独立に脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、cは0.7〜2.2の正数であり、dは0.001〜0.5の正数であり、但しc+dは0.8〜2.7である。)
で表される、一分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。このオルガノハイドロジェンポリシロキサンが一分子中に有するケイ素原子結合水素原子(即ち、SiHで表されるヒドロシリル基)は、好ましくは3〜500個、より好ましくは5〜100個、特に好ましくは10〜60個である。このSiH基は分子鎖末端のケイ素原子に結合するものであっても、分子鎖非末端(分子鎖途中)のケイ素原子に結合するものであってもいずれでもよく、これらの両者であってもよい。
上記式(2)中、R2は独立に脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、その炭素原子数は、通常1〜10、好ましくは1〜6である。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、へキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;これらの基の水素原子の一部又は全部を、塩素、臭素、フッ素等のハロゲン原子で置換した3,3,3−トリフルオロプロピル基等が挙げられる。中でも好ましくはアルキル基、アリール基、3,3,3−トリフルオロプロピル基であり、より好ましくはメチル基、フェニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基である。
また、cは0.7〜2.2の正数であり、1.0〜2.1の正数であることが好ましい。dは0.001〜0.5の正数であり、0.005〜0.1の正数であることが好ましい。また、c+dは0.8〜2.7であり、1.0〜2.5であることが好ましく、1.5〜2.2であることがより好ましい。
(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は特に制限されず、直鎖状、環状、分岐鎖状、三次元網状(樹脂状)構造のいずれであってもよく、また、一分子中のケイ素原子の数(即ち、重合度)は、通常10〜1,000個であるが、組成物の取扱作業性及び得られる硬化物の特性(低弾性率、低応力)が良好となる点から、好ましくは10〜500個、より好ましくは15〜100個、更に好ましくは20〜60個である。
上記式(2)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン環状重合体、トリス(ジメチルハイドロジェンシロキシ)メチルシラン、トリス(ジメチルハイドロジェンシロキシ)フェニルシラン、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェン・ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等が挙げられる。
(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明においては、分子鎖途中(側鎖)にケイ素原子に結合した水素原子を2個以上、特には3個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、分子鎖両末端にケイ素原子に結合した水素原子を2個(だけ)有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを、100:0〜5:95、特には100:0〜8:92程度の質量割合で混合して用いることが、組成物の硬化性が良好で、かつ柔軟な(針入度の大きい)シリコーンゲル硬化物を安定的に得ることができる点から好ましい。
(B)成分の添加量は、組成物全体(即ち、上記(A)成分)のケイ素原子に結合したアルケニル基1個に対してケイ素原子に結合した水素原子が0.01〜3個、好ましくは0.05〜2個、より好ましくは0.2〜1.5個となる量である。この(B)成分からのケイ素原子に結合した水素原子が、組成物全体のアルケニル基1個に対して、0.01個より少なくなると、硬化物が得られなくなる。また、3個より多い場合は、硬化物の耐熱性が低下する。
〔(C)白金系触媒〕
本発明の(C)成分は、前記(A)成分のケイ素原子結合アルケニル基と前記(B)成分中のケイ素原子結合水素原子との付加反応を促進させるための触媒(白金族金属触媒)として使用されるものである。該(C)成分は白金系触媒(白金又は白金系化合物)であり、公知のものを使用することができる。その具体例としては、白金ブラック、塩化白金酸、塩化白金酸等のアルコール変性物;塩化白金酸とオレフィン、アルデヒド、ビニルシロキサン又はアセチレンアルコール類等との錯体などが例示される。
(C)成分の配合量は有効量でよく、所望の硬化速度により適宜増減することができるが、通常、(A)成分及び(B)成分の合計質量に対して、白金原子の質量で、通常0.1〜1,000ppm、好ましくは1〜300ppmの範囲である。この配合量が多すぎると得られる硬化物の耐熱性が低下する場合がある。
〔(D)一分子中にイソシアネート基を1個以上有し、かつ加水分解性基を含まない脂肪族有機化合物〕
本発明の(D)成分は、一分子中にイソシアネート基を1個以上有し、かつ加水分解性基を含まない、分子中にベンゼン環(例えば、フェニレン基)等の芳香族環構造を含有しない脂肪族有機化合物であり、本発明のシリコーンゲル組成物に優れた接着性を付与するための必須成分である。(D)成分としては、下記一般式(3)で示される脂肪族有機化合物であることが好ましい。
X−Cnm−NCO (3)
(式中、nは1〜10の整数であり、mは2〜20の整数であり、但し、nとmはn<mであり、Xは加水分解性基以外の官能基である。)
上記式(3)中、nは1〜10の整数、好ましくは3〜8の整数であり、mは2〜20の整数、好ましくは6〜16の整数であり、nとmは必ずn<mの関係を満たすものであり、一分子中にイソシアネート基を1個以上、好ましくは2個有し、かつ加水分解性基を含まない脂肪族有機化合物を用いることが、良好な接着性を得るためには必須である。n=mやn>mの場合、分子内に共役又は非共役の2重結合が多く存在することになるため、シリコーンオイルとの相溶性が低下するおそれがある。
また、Xは加水分解性基以外の官能基であれば、いずれの官能基のものも使用することができる。その中でも特にイソシアネート基の場合、(D)成分の添加量が微量でも同様の効果が得られるため有効である。
(D)成分の一分子中にイソシアネート基を1個以上有し、かつ加水分解性基を含まない脂肪族有機化合物の具体例としては、ブチルイソシアネート、tert−ブチルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、ヘプチルイソシアネート、シクロペンチルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート等の分子中に1個のイソシアネート基を有する化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソフォロンジイソシアネート等の式(3)中のXがイソシアネート基で示される化合物、即ち分子中に2個のイソシアネート基を有する化合物、2−クロロエチルイソシアネート、2−フロロエチルイソシアネート等の式(3)中のXとしてハロゲン基を有するイソシアネート化合物等が例示されるが、その中でも式(3)中のXがイソシアネート基である化合物、特にヘキサメチレンジイソシアネートを使用することが好ましい。
なお、(D)成分の添加量は、前記(A)成分100質量部に対し0.001〜1.0質量部の範囲であり、好ましくは0.005〜0.2質量部、より好ましくは0.01〜0.1質量部の範囲である。(D)成分の添加量が0.001質量部未満である場合、銅やアルミニウムに対して期待する接着性を発現させることができない。また、(D)成分の添加量が1.0質量部を超える場合、(C)成分の白金系触媒が(D)成分のイソシアネート基によりより安定化されるため、硬化が遅くなったり、得られるシリコーンゲルが軟らかすぎたり、最悪の場合は未硬化となる。
〔その他の任意成分〕
本発明のシリコーンゲル組成物には、上記(A)〜(D)成分以外にも、本発明の目的を損なわない範囲で任意成分を配合することができる。この任意成分としては、例えば、反応抑制剤、無機質充填剤、ケイ素原子結合水素原子及びケイ素原子結合アルケニル基を含有しないオルガノポリシロキサン、耐熱性付与剤、難燃性付与剤、チクソ性付与剤、顔料、染料等が挙げられる。
反応抑制剤は、上記組成物の反応を抑制するための成分であって、具体的には、例えば、アセチレン系、アミン系、カルボン酸エステル系、亜リン酸エステル系等の反応抑制剤が挙げられる。
無機質充填剤としては、例えば、ヒュームドシリカ、結晶性シリカ、沈降性シリカ、中空フィラー、シルセスキオキサン、ヒュームド二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉄、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、層状マイカ、カーボンブラック、ケイ藻土、ガラス繊維等の無機質充填剤;これらの充填剤をオルガノアルコキシシラン化合物、オルガノクロロシラン化合物、オルガノシラザン化合物、低分子量シロキサン化合物等の有機ケイ素化合物で表面疎水化処理した充填剤等が挙げられる。また、シリコーンゴムパウダー、シリコーンレジンパウダー等を配合してもよい。
〔シリコーンゲル組成物の硬化〕
本発明のシリコーンゲル組成物は、上記(A)〜(D)成分(任意成分が配合される場合には、任意成分も含む)を常法に準じて混合することにより調製することができる。その際に、混合される成分を必要に応じて2パート又はそれ以上のパートに分割して混合してもよく、例えば、(A)成分の一部又は全部及び(C)成分からなるパートと、(A)成分の残部及び(B)、(D)成分からなるパートとに分割して混合することも可能である。常温にて未硬化組成物を保管する際は、(A)成分の一部又は全部及び(C)成分からなるパートと、(A)成分の残部及び(B)、(D)成分からなるパートとに分割することがより好ましい。
その後、本発明のシリコーンゲル組成物を常温(25℃±10℃)もしくは用途に応じた加熱温度条件下(例えば、35〜150℃、特には50〜130℃程度)で、10〜120分、特には30〜60分程度硬化させることによりシリコーンゲル硬化物が得られる。
本発明のシリコーンゲル組成物は、電気・電子部品の封止もしくは充填に用いることが好適である。
本発明のシリコーンゲル組成物の硬化物(シリコーンゲル又はシリコーンゲル硬化物)は、JIS K2220で規定される1/4コーンによる針入度が10〜80であることが好ましく、より好ましくは20〜70、更に好ましくは30〜60である。針入度が10未満になると、シリコーンゲル組成物が硬化する際の応力に耐えきれず、電子回路の一部が破断したり、シリコーンゲル内部にクラックが生成したりする場合がある。また、針入度が80を超えると、柔らかすぎるためシリコーンゲル硬化物に大変形を与えた場合、剥離しやすくなったり、基材との接着性が低下する場合がある。
また、本発明のシリコーンゲル組成物の硬化物は、25℃、剪断周波数1Hzにおける損失係数が、好ましくは0.1〜1.0、より好ましくは0.12〜0.8、更に好ましくは0.5〜0.8であり、25℃、剪断周波数10Hzにおける損失係数が、好ましくは0.3〜1.5、より好ましくは0.35〜1.2、更に好ましくは0.4〜1.0である。25℃、剪断周波数1Hzにおける損失係数が0.1未満となると、シリコーンゲル組成物が硬化する際の応力に耐えきれず、電子回路の一部が破断したり、シリコーンゲル内部にクラックが生成したりする場合がある。また、25℃、剪断周波数10Hzにおける損失係数が1.5を超えると、十分な形状保持能力を持ったシリコーンゲル硬化物が得られない他、前述同様の理由にて基材との密着性が低下する場合がある。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、下記の実施例は本発明を何ら制限するものではない。なお、実施例中、「部」は「質量部」を表し、「%」は「質量%」を表し、「Vi」は「ビニル基」を表す。また、針入度は、JIS K2220で規定される1/4コーンによる針入度であり、離合社製自動針入度計RPM−101を用いて測定した。
[実施例1]
下記平均分子式(4)
Figure 0006465219
で示される25℃での粘度が1,000mPa・sの両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体を60部、下記平均分子式(5)
Figure 0006465219
で示され、25℃での粘度が700mPa・sのトリメチルシロキシ基・ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体を40部、下記平均分子式(6)
Figure 0006465219
で示され、25℃での粘度が100mPa・sの両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体を0.55部、下記平均分子式(7)
Figure 0006465219
で示され、25℃での粘度が18mPa・sの両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサンを5.6部(このとき、組成物中のケイ素原子結合ビニル基1個あたりの(B)成分中のケイ素原子結合水素原子の個数(以下、H/Viという)は1.15であった。)、及び(C)成分である白金原子を1%含有する塩化白金酸ビニルシロキサン錯体のジメチルポリシロキサン溶液を0.05部、任意成分であるエチニルシクロヘキサノールを0.02部、及び(D)成分であるヘキサメチレンジイソシアネートを0.01部均一に混合した組成物1を得た。得られた組成物1を80℃で60分間加熱硬化したところ、針入度45のシリコーンゲル硬化物を得た。
(ヘキサメチレンジイソシアネート;上記式(3)において、n=6,m=12,n<m,X=NCO)
[実施例2]
実施例1において、ヘキサメチレンジイソシアネートを0.01部用いる代わりに、ヘキシルイソシアネートを0.015部用いる以外は同様にして、組成物2を得た。この組成物2を80℃で60分間加熱硬化したところ、針入度42のシリコーンゲル硬化物を得た。
[比較例1]
実施例1において、ヘキサメチレンジイソシアネートを用いない以外は同様にして、組成物3を得た。この組成物3を80℃で60分間加熱硬化したところ、針入度40のシリコーンゲル硬化物を得た。
[比較例2]
実施例1において、ヘキサメチレンジイソシアネートを0.01部用いる代わりに、トリレンジイソシアネートを0.01部添加する以外は同様にして、組成物4を得た。この組成物4を80℃で60分間加熱硬化したところ、針入度48のシリコーンゲル硬化物を得た。
(トリレンジイソシアネート;上記式(3)において、n=7,m=6,n>m,X=NCO)
[比較例3]
実施例1において、ヘキサメチレンジイソシアネートを0.01部用いる代わりに、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを0.01部添加する以外は同様にして、組成物5を得た。この組成物5を80℃で60分間加熱硬化したところ、針入度35のシリコーンゲル硬化物を得た。
[比較例4]
実施例1において、ヘキサメチレンジイソシアネートを0.01部用いる代わりに、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランを0.01部添加する以外は同様にして、組成物6を得た。この組成物6を80℃で60分間加熱硬化したところ、針入度45のシリコーンゲル硬化物を得た。
[比較例5]
実施例1において、ヘキサメチレンジイソシアネートの配合量を1.5部とした以外は同様にして、組成物7を得た。この組成物7を80℃で60分間加熱硬化したところ、未硬化であったため硬化物を得ることができなかった。
[試験]
上記実施例1,2及び比較例1〜4で得られたシリコーンゲル硬化物を用いて、以下の試験を実施した。これらの結果を表1に示す。
接着性の評価;
幅25mm、長さ100mmの無酸素銅及びアルミニウムをそれぞれ用いて接着面積2.5mm2、接着厚さ2mmの剪断接着試験体が作製できるように上記により得られた組成物を流し込み、80℃にて1時間加熱して硬化させた。その後、JIS K6249に準ずる方法にて測定を行い、剪断接着力と凝集破壊率(破断面の面積全体に対する凝集破壊した面積の比率(%))を確認した。なお、凝集破壊率の評価は80%以上を合格とする。
ボイド試験;
直径60mm×深さ10mmのアルミニウムシャーレ内に上記により得られた組成物を約5g程度流し込み、80℃にて1時間加熱して硬化させた。その後、85℃×85%RH環境下に24時間放置したのち、直ちに110℃のホットプレート上に曝し、1時間後にアルミニウムシャーレとの界面に剥離やボイドが発生したかを目視にて確認した。剥離やボイドが確認されなかったものを合格とした。
保存安定性の評価;
実施例及び比較例を2成分化し、未硬化液を25℃環境下にて12か月放置し、その後両者を実施例及び比較例と同様の混合比になるように調合・混合したのち、上記と同様にして針入度及び接着性の評価を行った。なお、2成分化する際、下記のように分割し、湿気を遮断できる容器にて保管した。
(第1成分)(A)、(C)成分
(第2成分)(B)、(D)成分及び任意成分
Figure 0006465219
[評価]
実施例1,2の組成物は、本発明の要件を満たすものであり、該組成物の硬化物は、良好な接着性を有し、かつ接着後に剥離やボイドは確認されていないことがわかる。また、成分を分割し保存安定性を評価したところ、針入度及び接着性の変化もないことを確認した。
これに対し、比較例1の組成物は、本発明の(D)成分を含まないため、該組成物の硬化物は、無酸素銅やアルミニウムに対する接着性が悪いことがわかる。
また、比較例2の組成物は、本発明の(D)成分の条件である、脂肪族有機化合物(具体的には、式(3)においてn<m)の要件を満たしていないため、該組成物の硬化物は、無酸素銅に対する接着性が悪い。これはn>mの場合、即ち分子内に共役又は非共役の2重結合が多く存在するため、シリコーンオイルとの相溶性が低下するためと推定する。
また、比較例3の組成物の場合、本発明の(D)成分の代わりにエポキシ基含有シランカップリング剤が添加されているため、該組成物の硬化物は、ボイド試験により剥離やボイドが確認されること、ならびに期待する接着性までには至らない結果となっている。
イソシアネート基及び加水分解性基を含有している化合物を配合した比較例4の組成物の場合も上記と同様で、該組成物の硬化物は、ボイド試験により剥離やボイドが確認されること、ならびに期待する接着性までには至らない結果となっている。
更に、本発明の(D)成分を多く添加した比較例5の組成物の場合は、(C)成分の白金系触媒が(D)成分により安定化されてしまったため、所定温度・時間において硬化物を得ることができなかった。このことより、本発明の有効性が確認できる。
本発明のシリコーンゲル組成物を硬化することにより得られるシリコーンゲル硬化物は、電子基板に用いられる基材、特に銅、アルミニウムのような基材に対して良好に接着し、かつ接着後に剥離やボイドの発生が少なく、長期信頼性が向上した電子部品を製造することが可能となる。そのため、ICやハイブリッドIC等の電子部品の保護用途で信頼性の向上が期待される。

Claims (4)

  1. (A)下記平均組成式(1)
    a1 bSiO(4-a-b)/2 (1)
    (式中、Rは独立にアルケニル基であり、R1は独立に脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、aは0.0001〜0.2の正数であり、bは1.7〜2.2の正数であり、但しa+bは1.9〜2.4である。)
    で表される、一分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも1個有するオルガノポリシロキサン: 100質量部、
    (B)下記平均組成式(2)
    2 cdSiO(4-c-d)/2 (2)
    (式中、R2は独立に脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、cは0.7〜2.2の正数であり、dは0.001〜0.5の正数であり、但しc+dは0.8〜2.7である。)
    で表される、一分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン: 組成物全体のケイ素原子に結合したアルケニル基1個あたりケイ素原子に結合した水素原子が0.01〜3個となる量、
    (C)白金系触媒: 有効量、
    (D)一分子中にイソシアネート基を1個以上有し、かつ加水分解性基を含まない脂肪族有機化合物: 0.001〜1.0質量部
    を必須成分としてなることを特徴とする自己接着性シリコーンゲル組成物。
  2. (D)成分が、下記一般式(3)
    X−Cnm−NCO (3)
    (式中、nは1〜10の整数であり、mは2〜20の整数であり、但し、nとmはn<mであり、Xは加水分解性基以外の官能基である。)
    で示される脂肪族有機化合物であることを特徴とする請求項1に記載の自己接着性シリコーンゲル組成物。
  3. 硬化してJIS K2220で規定される針入度が10〜80であるシリコーンゲル硬化物を与えるものである請求項1又は2に記載の自己接着性シリコーンゲル組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の自己接着性シリコーンゲル組成物の硬化物からなるシリコーンゲル。
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