JP2018072315A - アンモニア濃度測定装置,アンモニア濃度測定システム,排ガス処理システム,及びアンモニア濃度測定方法 - Google Patents
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Description
固体電解質体と、前記固体電解質体に配設された検知電極と、前記固体電解質体に配設された参照電極とを有する混成電位セルを備えたセンサ素子を用いて被測定ガス中のアンモニア濃度を測定するアンモニア濃度測定装置であって、
前記検知電極が前記被測定ガスに晒された状態での前記混成電位セルの起電力に関する情報を取得する起電力取得部と、
前記被測定ガスの酸素濃度に関する情報を取得する酸素濃度取得部と、
前記取得された起電力に関する情報と、前記取得された酸素濃度に関する情報と、下記式(1)の関係と、に基づいて前記被測定ガス中のアンモニア濃度を導出するアンモニア濃度導出部と、
EMF=αloga(pNH3)−βlogb(pO2)+γlogc(pNH3)×logd(pO2)+B (1)
(ただし、
EMF:前記混成電位セルの起電力
α,β,γ,B:定数(ただしα,β,γ≠0)
a,b,c,d:任意の底(ただしa,b,c,d≠1,及びa,b,c,d>0)
pNH3:前記被測定ガス中のアンモニア濃度
pO2:前記被測定ガス中の酸素濃度)
を備えたものである。
固体電解質体と、前記固体電解質体に配設された検知電極と、前記固体電解質体に配設された参照電極とを有する混成電位セルを備えたセンサ素子を用いた被測定ガス中のアンモニア濃度の測定方法であって、
前記検知電極が前記被測定ガスに晒された状態での前記混成電位セルの起電力に関する情報を取得する起電力取得ステップと、
前記被測定ガスの酸素濃度に関する情報を取得する酸素濃度取得ステップと、
前記取得された起電力に関する情報と、前記取得された酸素濃度に関する情報と、下記式(1)の関係と、に基づいて前記被測定ガス中のアンモニア濃度を導出する濃度導出ステップと、
EMF=αloga(pNH3)−βlogb(pO2)+γlogc(pNH3)×logd(pO2)+B (1)
(ただし、
EMF:前記混成電位セルの起電力
α,β,γ,B:定数(ただしα,β,γ≠0)
a,b,c,d:任意の底(ただしa,b,c,d≠1,及びa,b,c,d>0)
pNH3:前記被測定ガス中のアンモニア濃度
pO2:前記被測定ガス中の酸素濃度)
を含むものである。
(ただし、
EMF:前記混成電位セルの起電力
α,β,γ,B:定数(ただしα,β,γ≠0)
a,b,c,d:任意の底(ただしa,b,c,d≠1,及びa,b,c,d>0)
pNH3:前記被測定ガス中のアンモニア濃度
pO2:前記被測定ガス中の酸素濃度)
(ただし、γ'=γ/logac)
EMF=αloga(pNH3)−(β−γ''logc(pNH3))logb(pO2)+B (1b)
(ただし、γ''=γ/logbd)
0.01atm<pH2O<0.2atm (A3)
lnpH2O *≒0 (A9)
|lnpH2O *|<|lnpH2O| (A10)
δ=lnpH2O */lnpH2O (A11)
δ’=lnpNH3 */lnpNH3 (A12)
L=−βlogb(pO2)+B (4)
EMF=K×loga(pNH3)+L (5)
アンモニア濃度測定装置によるアンモニア濃度の測定に用いられるセンサ素子を作製した。まず、基部40の各層として、安定化剤としてイットリアを3mol%添加したジルコニア固体電解質をセラミックス成分として含む4枚の未焼成のセラミックスグリーンシートを用意した。このグリーンシートには印刷時や積層時の位置決めに用いるシート穴や必要なスルーホール等を予め複数形成しておいた。また、スペーサ層43となるグリーンシートには基準ガス導入空間46となる空間を予め打ち抜き処理などによって設けておいた。そして、第1基板層41と、第2基板層42と、スペーサ層43と、固体電解質層44とのそれぞれに対応して、各セラミックスグリーンシートに種々のパターンを形成するパターン印刷・乾燥処理を行った。具体的には、上述したAu−Pt合金からなる検知電極51,Ptからなる補助電極52及び参照電極53,各リード線、及びヒータ部60などのパターンを形成した。パターン印刷は、それぞれの形成対象に要求される特性に応じて用意したパターン形成用ペーストを、公知のスクリーン印刷技術を利用してグリーンシート上に塗布することにより行った。パターン印刷・乾燥が終わると、各層に対応するグリーンシート同士を積層・接着するための接着用ペーストの印刷・乾燥処理を行った。そして、接着用ペーストを形成したグリーンシートをシート穴により位置決めしつつ所定の順序に積層して、所定の温度・圧力条件を加えることで圧着させ、一つの積層体とする圧着処理を行った。こうして得られた積層体からセンサ素子31の大きさの積層体を切り出した。そして、切り出した積層体を管状炉を用いて、大気雰囲気下、1100℃で2時間焼成した。これにより、検知電極51,補助電極52,及び参照電極53が固体電解質層44に形成されたセンサ素子31を得た。次に、センサ素子31の表面にアルミナを含むスラリーを用いたディッピング及び焼成により多孔質保護層48を形成した。このようにしてセンサ素子31を作製して、センサ素子1とした。なお、センサ素子1の検知電極51の破断面における貴金属表面の濃化度をAESで測定したところ、値0.99であった。検知電極51の気孔率は45体積%であった。多孔質保護層48の気孔率は40体積%であった。なお、以降の試験では、センサ素子1の使用時の駆動温度は480℃とした。
センサ素子1について、上述した定数導出処理のステップS200,S210を行い、第1〜第6起電力データをそれぞれ複数(13個)取得した。第1起電力データは、被測定ガス中の酸素濃度pO2を1%,H2O濃度pH2Oを5%で固定とし、アンモニア濃度pNH3を表1のように変化させて、それぞれの起電力EMF[mV]を測定した。なお、被測定ガスの上記以外の成分(ベースガス)は、窒素とし、温度は200℃とした。また、被測定ガスは、直径70mmの配管内を流通させ、流量は200L/minとした。第2〜第6起電力データは、被測定ガス中の酸素濃度pO2(固定値)を表1に示すように変更して、第1起電力データと同様に測定した。測定された第1〜第6起電力データのアンモニア濃度pNH3,酸素濃度pO2,及び起電力EMFを、表1に示す。図5は、センサ素子1のアンモニア濃度pNH3[ppm]と起電力EMF[mV]との関係(第1〜第6起電力データ)を示すグラフである。図5の横軸は対数目盛で表記している。図5から、酸素濃度pO2を固定とした場合のアンモニア濃度pNH3の対数と起電力EMFとの関係は、直線で近似できる関係にあることが確認できた。また、この直線の傾きKは、酸素濃度pO2が大きいほど大きい値になることが確認された。この直線の切片Lは、酸素濃度pO2が大きいほど小さい値になることが確認された。また、起電力EMFの実測値に対するNH3感度とO2干渉性との比が(2/3):(1/2)の関係になるとは限らないことも確認できた。これらにより、起電力EMF,アンモニア濃度pNH3,酸素濃度pO2,の関係が式(2)通りにならないことが確認された。
続いて、上述した定数導出処理のステップS220,S230を行い、第1〜第6起電力データにおける傾きK(K1〜K6),及び切片L(L1〜L6)を導出した。例えば、図5にも示した酸素濃度pO2が1%の場合(第1起電力データ)の近似直線の傾きを傾きK1(=34.67)とし、切片を切片L1(=137.92)とした。切片L1は、近似直線におけるloga(pNH3)が値0すなわちpNH3が1ppmのときの起電力EMFの値である。導出した傾きK,切片L及びそれらの値に対応する酸素濃度pO2を表2に示す。図6は、表2に示した酸素濃度pO2と傾きKとの関係を示すグラフである。図7は、表2に示した酸素濃度pO2と切片Lとの関係を示すグラフである。図6及び図7の横軸は対数目盛で表記している。図6から、酸素濃度pO2の対数と傾きKとの関係は、直線で近似できる関係にあることが確認された。図7から、酸素濃度pO2の対数と切片Lとの関係は、直線で近似できる関係にあることが確認された。
実験1,2で得られたデータに基づいて、上述した定数導出処理のステップS240,S250を行ってセンサ素子1の定数α,β,γ,Bを導出した。具体的には、図6に示した酸素濃度pO2の対数と傾きKとの関係を表す近似直線として下記式(6)が導出され、この式(6)から定数γ’=7.09,定数α=33.636が導出された。図7に示した酸素濃度pO2の対数と切片Lとの関係を表す近似直線として下記式(7)が導出され、この式(7)から定数β=54.69,定数B=143.55が導出された。また、今回導出する式では、式(1)の底a〜dはいずれもネイピア数eとした。そのため、γ=γ’=7.09が導出された。
L=−54.69×ln(pO2)+143.55 (7)
第1〜第6起電力データと同じ条件に対して、上記式(8)を用いてアンモニア濃度pNH3及び酸素濃度pO2に対応する起電力EMFを導出した。結果を表3に示す。図8は、第1〜第6起電力データにおける各々の酸素濃度pO2に対応して上記式(8)から導出される式(上記式(5)に相当する式)で表される6本の直線を示すグラフである。図8では、図5に示した第1〜第6起電力データ(実測値)の各点についても示した。表1,3の比較及び図8から、起電力EMFの実測値と、式(8)に基づいて導出された起電力EMFとが精度良く一致することが確認できた。すなわち、図5で説明したように実測値は起電力EMF,アンモニア濃度pNH3,酸素濃度pO2,の関係が式(2)通りにならなかったが、この実測値での関係を式(1)に基づく式(8)では表すことができた。すなわち、式(2)を用いる場合と比べて、式(1)を用いることでアンモニア濃度pNH3をより精度良く導出できることが確認できた。
センサ素子1について、被測定ガス中のアンモニア濃度pNH3を100ppm,酸素濃度pO2を10%で固定とし、H2O濃度pH2Oを表4のように1%から12%まで変化させて、それぞれの起電力EMFを測定した。それ以外の条件は実験1と同じとした。図9は、センサ素子1のH2O濃度pH2O[%]と起電力EMF[mV]との関係を示すグラフである。図9から、被測定ガス中のH2O濃度pH2Oが変化しても起電力EMFはほとんど変化しない(H2O干渉性がほとんどない)ことが確認できた。すなわち、式(2)のH2O濃度pH2Oの項は実際の起電力EMFとH2O濃度pH2Oとの関係と整合していないことが確認できた。
Claims (8)
- 固体電解質体と、前記固体電解質体に配設された検知電極と、前記固体電解質体に配設された参照電極とを有する混成電位セルを備えたセンサ素子を用いて被測定ガス中のアンモニア濃度を測定するアンモニア濃度測定装置であって、
前記検知電極が前記被測定ガスに晒された状態での前記混成電位セルの起電力に関する情報を取得する起電力取得部と、
前記被測定ガスの酸素濃度に関する情報を取得する酸素濃度取得部と、
前記取得された起電力に関する情報と、前記取得された酸素濃度に関する情報と、下記式(1)の関係と、に基づいて前記被測定ガス中のアンモニア濃度を導出するアンモニア濃度導出部と、
EMF=αloga(pNH3)−βlogb(pO2)+γlogc(pNH3)×logd(pO2)+B (1)
(ただし、
EMF:前記混成電位セルの起電力
α,β,γ,B:定数(ただしα,β,γ≠0)
a,b,c,d:任意の底(ただしa,b,c,d≠1,及びa,b,c,d>0)
pNH3:前記被測定ガス中のアンモニア濃度
pO2:前記被測定ガス中の酸素濃度)
を備えたアンモニア濃度測定装置。 - 前記センサ素子と、
請求項1に記載のアンモニア濃度測定装置と、
を備えたアンモニア濃度測定システム。 - 前記検知電極は、Au−Pt合金を主成分とする、
請求項2に記載のアンモニア濃度測定システム。 - 前記検知電極は、X線光電子分光法(XPS)とオージェ電子分光法(AES)との少なくとも一方を用いて測定された濃化度(=Auの存在量[atom%]/Ptの存在量[atom%])が値0.3以上である、
請求項3に記載のアンモニア濃度測定システム。 - 前記センサ素子は、前記混成電位セルを450℃以上650℃以下の駆動温度に昇温するヒータを備えている、
請求項2〜4のいずれか1項に記載のアンモニア濃度測定システム。 - 前記被測定ガスとしての内燃機関の排ガスの経路である排ガス経路と、
請求項2〜5のいずれか1項に記載のアンモニア濃度測定システムと、
を備え、
前記センサ素子は、前記排ガス経路に配設されている、
排ガス処理システム。 - 請求項6に記載の排ガス処理システムであって、
前記排ガス経路中に配設された1以上の酸化触媒、
を備え、
前記センサ素子は、前記1以上の酸化触媒のうち最上流に配置されたものよりも前記排ガス経路の下流側に配設されている、
排ガス処理システム。 - 固体電解質体と、前記固体電解質体に配設された検知電極と、前記固体電解質体に配設された参照電極とを有する混成電位セルを備えたセンサ素子を用いた被測定ガス中のアンモニア濃度の測定方法であって、
前記検知電極が前記被測定ガスに晒された状態での前記混成電位セルの起電力に関する情報を取得する起電力取得ステップと、
前記被測定ガスの酸素濃度に関する情報を取得する酸素濃度取得ステップと、
前記取得された起電力に関する情報と、前記取得された酸素濃度に関する情報と、下記式(1)の関係と、に基づいて前記被測定ガス中のアンモニア濃度を導出する濃度導出ステップと、
EMF=αloga(pNH3)−βlogb(pO2)+γlogc(pNH3)×logd(pO2)+B (1)
(ただし、
EMF:前記混成電位セルの起電力
α,β,γ,B:定数(ただしα,β,γ≠0)
a,b,c,d:任意の底(ただしa,b,c,d≠1,及びa,b,c,d>0)
pNH3:前記被測定ガス中のアンモニア濃度
pO2:前記被測定ガス中の酸素濃度)
を含むアンモニア濃度測定方法。
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