JP2019203840A - アンモニア濃度検出装置 - Google Patents

アンモニア濃度検出装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2019203840A
JP2019203840A JP2018100253A JP2018100253A JP2019203840A JP 2019203840 A JP2019203840 A JP 2019203840A JP 2018100253 A JP2018100253 A JP 2018100253A JP 2018100253 A JP2018100253 A JP 2018100253A JP 2019203840 A JP2019203840 A JP 2019203840A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ammonia
ammonia concentration
unit
concentration
detection
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018100253A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7071874B2 (ja
Inventor
真哉 寺西
Shinya Teranishi
真哉 寺西
原田 敏彦
Toshihiko Harada
敏彦 原田
健介 瀧澤
Kensuke Takizawa
健介 瀧澤
中村 聡
Satoshi Nakamura
中村  聡
裕明 世登
Hiroaki Seto
裕明 世登
拓巳 岡本
Takumi Okamoto
拓巳 岡本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Soken Inc
Original Assignee
Denso Corp
Soken Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denso Corp, Soken Inc filed Critical Denso Corp
Priority to JP2018100253A priority Critical patent/JP7071874B2/ja
Publication of JP2019203840A publication Critical patent/JP2019203840A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7071874B2 publication Critical patent/JP7071874B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Exhaust Gas After Treatment (AREA)

Abstract

【課題】アンモニア濃度の検出精度を高めることができる電位差式のアンモニア濃度検出装置を提供する。【解決手段】アンモニア濃度検出装置1の劣化算出部63は、初期時における第1センサ電流I1に基づく第1評価値と、評価時における第2センサ電流I2に基づく第2評価値との差分に基づいて、アンモニア素子部2の性能劣化量を算出する。アンモニア濃度検出装置1の劣化補正部64は、性能劣化量と酸素濃度とを用いて、アンモニア濃度を補正する。第1センサ電流I1及び第2センサ電流I2は、いずれも検出電極22と基準電極23との間に直流電圧Eを印加したときに検出される直流電流のことを示す。【選択図】図1

Description

本発明は、測定ガスにおけるアンモニア濃度を検出するアンモニア濃度検出装置に関する。
例えば、車両においては、内燃機関としてのディーゼルエンジン等から排気される排ガス中のNO、NO2等のNOx(窒素酸化物)を浄化するための触媒が、排気管内に配置される。触媒の一つとしての選択式還元触媒(SCR)においては、NOxを還元するために、尿素水等に含まれるアンモニア(NH3)が触媒担体に付着され、触媒担体においてアンモニアとNOxとを化学反応させて、NOxを窒素(N2)及び水(H2O)に還元することが行われている。
また、排気管内における、選択式還元触媒よりも排ガスの流れの上流側位置には、還元剤としてのアンモニアを、選択式還元触媒へ供給する還元剤供給装置が配置される。また、例えば、排気管内における、選択式還元触媒の排ガスの流れの下流側位置には、排ガスにおけるNOx濃度を検出するNOxセンサと、排ガスにおけるアンモニア濃度を検出するアンモニアセンサとが配置される。そして、NOxセンサ及びアンモニアセンサを用いることにより、選択式還元触媒からのアンモニアの流出を抑えつつ、アンモニアによるNOxの浄化率を向上させる工夫がなされている。
また、例えば、特許文献1のマルチガスセンサにおいては、一つのガスセンサにおいてアンモニア濃度とNOx濃度とを検出可能にし、アンモニア濃度の検出精度を向上させることが記載されている。このマルチガスセンサは、NOx濃度を測定するためのNOxセンサ部と、アンモニア濃度を測定するためのアンモニアセンサ部とを備える。そして、このマルチガスセンサにおいては、NOxセンサ部に用いられる、被測定ガス中の酸素量を調整するポンピングセルに流れる電流に基づいて酸素濃度を算出し、この酸素濃度とアンモニアセンサ部のアンモニア濃度とに基づいて修正アンモニア濃度を算出している。
特開2011−75546号公報
アンモニアガスは反応性が高いため、アンモニアを検出する検出電極に到達するまでに酸化するおそれがある。そのため、検出電極に、アンモニアガスを含む排ガスができるだけ接触しやすくし、アンモニアガスが酸化する前に、このアンモニアガスを検出電極に到達させることが考えられる。
しかし、検出電極にアンモニアを含む排ガスが接触しやすくすると、検出電極が種々の被毒物質によって被毒しやすくなる。そして、検出電極が被毒すると、検出電極と他の電極との間に検出される電位差も小さくなり、アンモニア濃度を精度良く出力することができなくなる。
本願発明者らは、アンモニア濃度を精度良く算出するためには、検出電極における劣化を適切に検知し、この劣化を考慮してアンモニア濃度を補正することが重要であることに着目した。そして、本願発明者らは、アンモニア濃度の検出精度を高めるためには、検出電極に生じる劣化を如何にして検出するかが重要であることを見出した。特許文献1等のマルチガスセンサを含む従来のアンモニアセンサにおいては、検出電極における劣化を適切に検出する工夫はなされていない。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたもので、アンモニア濃度の検出精度を高めることができる電位差式のアンモニア濃度検出装置を提供しようとして得られたものである。
本発明の一態様は、酸素イオンの伝導性を有する固体電解質体(21)、前記固体電解質体における、酸素及びアンモニアが含まれる測定ガス(G)に晒される第1表面(211)に設けられた検出電極(22)、及び前記固体電解質体における、前記第1表面とは反対側の第2表面(212)に設けられた基準電極(23)を有するアンモニア素子部(2)と、
前記検出電極と前記基準電極との間に生じる電位差(ΔV)を検出する電位差検出部(51)と、
前記電位差検出部による電位差に基づいて、前記測定ガスにおけるアンモニア濃度を算出するアンモニア濃度算出部(52)と、
前記検出電極と前記基準電極との間に直流電圧(E)を印加する直流電圧印加部(61)と、
前記検出電極と前記基準電極との間に流れる直流電流を検出する電流検出部(62)と、
前記アンモニア濃度検出装置の使用初期である初期時において前記直流電圧印加部によって前記検出電極と前記基準電極との間に直流電圧を印加したときに、前記電流検出部によって検出される直流電流である第1センサ電流(I1)に基づく第1評価値(H1)と、前記アンモニア濃度検出装置の前記使用初期以降である評価時において前記直流電圧印加部によって前記検出電極と前記基準電極との間に前記初期時と同じ大きさの直流電圧を印加したときに、前記電流検出部によって検出される直流電流である第2センサ電流(I2)に基づく第2評価値(H2)と、の差分に基づいて、前記アンモニア素子部の性能劣化量(R1,R2,R3)を算出する劣化算出部(63)と、
前記劣化算出部による性能劣化量と、前記測定ガスにおける酸素濃度とを用いて、前記アンモニア濃度算出部によるアンモニア濃度を補正する劣化補正部(64)と、を備えるアンモニア濃度検出装置にある。
本発明の他の態様は、酸素イオンの伝導性を有する固体電解質体(21)、前記固体電解質体における、酸素及びアンモニアが含まれる測定ガス(G)に晒される第1表面(211)に設けられた検出電極(22)、及び前記固体電解質体における、前記第1表面とは反対側の第2表面(212)に設けられた基準電極(23)を有するアンモニア素子部(2)と、
前記検出電極と前記基準電極との間に生じる電位差(ΔV)を検出する電位差検出部(51)と、
前記電位差検出部による電位差に基づいて、前記測定ガスにおけるアンモニア濃度を算出するアンモニア濃度算出部(52)と、
前記検出電極と前記基準電極との間に交流電圧(F)を印加する交流電圧印加部(61X)と、
前記検出電極、又は前記検出電極と前記基準電極との間のインピーダンスを検出するインピーダンス検出部(62X)と、
前記アンモニア濃度検出装置の使用初期である初期時において前記交流電圧印加部によって前記検出電極と前記基準電極との間に交流電圧を印加したときに、前記インピーダンス検出部によって検出される第1インピーダンス(Z1)に基づく第1評価値(H1)と、前記アンモニア濃度検出装置の前記使用初期以降である評価時において前記交流電圧印加部によって前記検出電極と前記基準電極との間に前記初期時と同じ大きさの交流電圧を印加したときに、前記インピーダンス検出部によって検出される第2インピーダンス(Z2)に基づく第2評価値(H2)と、の差分の絶対値に基づいて、前記アンモニア素子部の性能劣化量(R1,R2,R3)を算出する劣化算出部と(63)、
前記劣化算出部による性能劣化量と、前記測定ガスにおける酸素濃度とを用いて、前記アンモニア濃度算出部によるアンモニア濃度を補正する劣化補正部(64)と、を備えるアンモニア濃度検出装置にある。
(一態様のアンモニア濃度検出装置)
前記一態様のアンモニア濃度検出装置は、電位差式(起電力式)のものであり、測定ガスにおけるアンモニア濃度を算出する際に、アンモニア素子部の特に検出電極に生じた性能劣化及び測定ガスにおける酸素濃度を反映して、アンモニア濃度を補正するものである。
一態様のアンモニア濃度検出装置は、アンモニア素子部、電位差検出部及びアンモニア濃度算出部の他に、直流電圧印加部、電流検出部、劣化算出部及び劣化補正部を備える。劣化算出部においては、アンモニア濃度検出装置の使用初期である初期時と、使用初期以降である評価時とにおいて、同じ大きさの直流電圧を印加したときに得られるセンサ電流を検出し、このセンサ電流を利用してアンモニア素子部の性能劣化量を算出する。そして、劣化補正部においては、性能劣化量及び酸素濃度を用いて、アンモニア濃度を補正する。
電位差式のアンモニア濃度検出装置は、アンモニア濃度を検出する使用時においては、通常は、検出電極と基準電極との間に電圧が印加されずに使用される。このときに、アンモニア電極と基準電極との間には、これらの間の電位差を検出するための微電流が流れている。そして、初期時及び評価時に、直流電圧印加部によって、検出電極と基準電極との間に直流電圧を印加したときには、固体電解質体を介して検出電極と基準電極との間に酸素イオン(酸化物イオン)の移動が急激に生じ、検出電極と基準電極との間にセンサ電流が流れる。
つまり、直流電圧印加部によって検出電極と基準電極との間に直流電圧を印加することにより、アンモニア素子部が有する性能を、センサ電流の大きさに反映させることができる。これにより、特に検出電極に被毒等による劣化が生じている場合には、初期時における第1センサ電流に比べて、評価時における第2センサ電流が小さくなると考えられる。そのため、劣化算出部においては、第1センサ電流に基づく第1評価値と第2センサ電流に基づく第2評価値との差分に基づいて、アンモニア素子部の性能劣化量を算出することができる。なお、アンモニア素子部の性能には、検出電極の触媒性能の他、固体電解質体、検出電極及び基準電極における酸素イオンの伝導性能等がある。
そして、劣化補正部においては、性能劣化量及び測定ガスにおける酸素濃度を用いて、アンモニア濃度を補正する。測定ガスにおける酸素濃度は、アンモニア濃度検出装置に一体的に設けられた酸素濃度の検出部によって求められたもの、又はアンモニア濃度検出装置とは別の酸素センサによって求められたものとすることができる。
これにより、一態様のアンモニア濃度検出装置においては、酸素濃度だけでなく、アンモニア素子部の特に検出電極に生じた劣化が適切に反映されたアンモニア濃度を求めることができる。
それ故、前記一態様のアンモニア濃度検出装置によれば、電位差式(起電力式)のアンモニア濃度検出装置によるアンモニア濃度の検出精度を高めることができる。
(他の態様のアンモニア濃度検出装置)
前記他の態様のアンモニア濃度検出装置も、電位差式(起電力式)のものであり、測定ガスにおけるアンモニア濃度を算出する際に、アンモニア素子部の特に検出電極に生じた性能劣化及び測定ガスにおける酸素濃度を反映して、アンモニア濃度を補正するものである。
他の態様のアンモニア濃度検出装置は、アンモニア素子部、電位差検出部及びアンモニア濃度算出部の他に、交流電圧印加部、インピーダンス検出部、劣化算出部及び劣化補正部を備える。劣化算出部においては、アンモニア濃度検出装置の使用初期である初期時と、使用初期以降である評価時とにおいて、同じ大きさの交流電圧を印加したときに得られるインピーダンスを検出し、このインピーダンスを利用してアンモニア素子部の性能劣化量を算出する。そして、劣化補正部においては、性能劣化量及び酸素濃度を用いて、アンモニア濃度を補正する。
検出電極と基準電極との間のインピーダンスは、検出電極の触媒性能、アンモニア素子部の酸素イオン(酸化物イオン)の伝導性能等を示す尺度となる。アンモニア素子部のインピーダンスは、検出電極の劣化等によって変化する。そのため、アンモニア素子部のインピーダンスを監視することにより、アンモニア素子部の性能劣化量を監視することができる。
初期時及び評価時においては、交流電圧印加部によって検出電極と基準電極との間に交流電圧を印加したときに、インピーダンス検出部によって、固体電解質体を介する検出電極と基準電極との間のインピーダンスを検出する。このとき、特に検出電極に被毒等による劣化が生じている場合には、初期時における第1インピーダンスに比べて、評価時における第2インピーダンスが大きくなると考えられる。そのため、劣化算出部においては、第1インピーダンスに基づく第1評価値と第2インピーダンスに基づく第2評価値との差分の絶対値に基づいて、アンモニア素子部の性能劣化量を算出することができる。
そして、劣化補正部においては、性能劣化量及び測定ガスにおける酸素濃度を用いて、アンモニア濃度を補正する。測定ガスにおける酸素濃度は、アンモニア濃度検出装置に一体的に設けられた酸素濃度の検出部によって求められたもの、又はアンモニア濃度検出装置とは別の酸素センサによって求められたものとすることができる。
これにより、他の態様のアンモニア濃度検出装置においては、酸素濃度だけでなく、アンモニア素子部の特に検出電極に生じた劣化が適切に反映されたアンモニア濃度を求めることができる。
それ故、前記他の態様のアンモニア濃度検出装置によっても、電位差式(起電力式)のアンモニア濃度検出装置によるアンモニア濃度の検出精度を高めることができる。
(アンモニア濃度検出装置)
なお、アンモニアセンサの使用初期である初期時は、アンモニアセンサの使用が実際に開始される時としてもよく、アンモニアセンサが実際に使用される前に試験的に使用される時としてもよい。そして、第1評価値は、個々のアンモニアセンサについて求めた値としてもよく、同じ仕様のアンモニアセンサについて共通して求めた値としてもよい。
また、第1評価値は、第1センサ電流又は第1インピーダンスの値としてもよく、第1センサ電流又は第1インピーダンスの値を用いて計算した値としてもよい。第2評価値も同様に、第2センサ電流又は第2インピーダンスの値としてもよく、第2センサ電流又は第2インピーダンスの値を用いて計算した値としてもよい。
また、アンモニアセンサの使用時において、電位差検出部によって検出電極と基準電極との間の電位差を検出するときには、検出電極と基準電極との間に微小な電圧を印加しておくこともできる。この場合には、前記一態様のアンモニア濃度検出装置においては、劣化判定部による判定を行うために直流電圧印加部によって検出電極と基準電極との間に印加する直流電圧は、使用時に印加される微小な電圧よりも大きくすることができる。
本発明の一態様及び他の態様において示す各構成要素のカッコ書きの符号は、実施形態における図中の符号との対応関係を示すが、各構成要素を実施形態の内容のみに限定するものではない。
実施形態1にかかる、アンモニア濃度検出装置の構成を示す説明図。 実施形態1にかかる、アンモニア濃度検出装置のセンサ素子を示す、図1のII−II断面図。 実施形態1にかかる、アンモニア濃度検出装置のセンサ素子を示す、図1のIII−III断面図。 実施形態1にかかる、アンモニア濃度検出装置のセンサ素子を示す、図1のIV−IV断面図。 実施形態1にかかる、アンモニア濃度検出装置のセンサ制御ユニットにおけるアンモニア濃度の検出に関する構成を示す説明図。 実施形態1にかかる、アンモニア濃度検出装置が内燃機関に配置された状態を示す説明図。 実施形態1にかかる、アンモニア濃度とNOx濃度との関係による濃度領域を示す説明図。 実施形態1にかかる、検出電極において生じる混成電位を示す説明図。 実施形態1にかかる、アンモニア濃度が変化したときに検出電極において生じる混成電位を示す説明図。 実施形態1にかかる、酸素濃度が変化したときに検出電極において生じる混成電位を示す説明図。 実施形態1にかかる、検出電極のアンモニアの酸化性能が劣化したときに検出電極において生じる混成電位を示す説明図。 実施形態1にかかる、検出電極の酸素の還元性能が劣化したときに検出電極において生じる混成電位を示す説明図。 実施形態1にかかる、初期時及び評価時におけるアンモニア濃度とセンサ電流との関係を示すグラフ。 実施形態1にかかる、初期時及び評価時における直流電圧とセンサ電流との関係を示すグラフ。 実施形態1にかかる、酸素濃度が変化したときの、アンモニア濃度と電位差との関係を示すグラフ。 実施形態1にかかる、酸素濃度が変化したときの、電位差と酸素補正後のアンモニア濃度との関係を示すグラフ。 実施形態1にかかる、アンモニア濃度検出方法を示すフローチャート。 実施形態1にかかる、アンモニア濃度検出方法を示すフローチャート。 実施形態1にかかる、アンモニア濃度検出方法を示すフローチャート。 実施形態2にかかる、電位差と第1センサ電流との関係マップを示すグラフ。 実施形態2にかかる、アンモニア濃度検出方法を示すフローチャート。 実施形態4にかかる、アンモニア濃度検出装置の構成を示す説明図。 実施形態4にかかる、電位差と第1インピーダンスとの関係マップを示すグラフ。 実施形態4にかかる、アンモニア濃度検出方法を示すフローチャート。
前述したアンモニア濃度検出装置にかかる好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
<実施形態1>
本形態のアンモニア濃度検出装置1は、図1〜図4に示すように、電位差式(起電力式)のものであり、測定ガスGにおけるアンモニア濃度を検出するものである。アンモニア濃度検出装置1は、アンモニア素子部2、電位差検出部51、アンモニア濃度算出部52、直流電圧印加部61、電流検出部62、劣化算出部63及び劣化補正部64を備える。
図1に示すように、アンモニア素子部2は、酸素イオンの伝導性を有する第1固体電解質体21と、第1固体電解質体21における、酸素及びアンモニアが含まれる測定ガスGに晒される第1表面211に設けられた検出電極(アンモニア電極)22と、第1固体電解質体21における、第1表面211とは反対側の第2表面212に設けられた基準電極23とを有する。
電位差検出部51は、検出電極22と基準電極23との間に生じる電位差ΔVを検出するよう構成されている。アンモニア濃度算出部52は、電位差検出部51による電位差ΔVに基づいて、測定ガスGにおけるアンモニア濃度を算出するよう構成されている。
直流電圧印加部61は、検出電極22と基準電極23との間に直流電圧Eを印加するよう構成されている。電流検出部62は、検出電極22と基準電極23との間に流れる直流電流としてのセンサ電流I1,I2を検出するよう構成されている。
図5に示すように、劣化算出部63は、アンモニア濃度検出装置1の使用初期である初期時における第1センサ電流I1に基づく第1評価値H1と、アンモニア濃度検出装置1の使用初期以降である評価時における第2センサ電流I2に基づく第2評価値H2との差分に基づいて、アンモニア素子部2の性能劣化量を算出するよう構成されている。劣化補正部64は、劣化算出部63による性能劣化量と、測定ガスGにおける酸素濃度とを用いて、アンモニア濃度算出部52によるアンモニア濃度を補正するよう構成されている。
第1センサ電流I1及び第2センサ電流I2は、いずれも直流電圧印加部61によって検出電極22と基準電極23との間に直流電圧Eを印加したときに、電流検出部62によって検出される直流電流のことを示す。初期時において第1センサ電流I1を検出するとき、及び評価時において第2センサ電流I2を検出するときに、電圧印加部61によって印加される直流電圧Eは同じ大きさとする。
以下に、本形態のアンモニア濃度検出装置1について詳説する。
(アンモニア濃度検出装置1)
図1に示すように、本形態のアンモニア濃度検出装置1は、電位差式としての混成電位式のものである。このアンモニア濃度検出装置1においては、酸素及びアンモニアが含まれる状態の測定ガスGにおけるアンモニアの濃度を検出する。本形態の電位差検出部51は、検出電極22における、酸素の電気化学的還元反応(以下、単に還元反応という。)による還元電流とアンモニアの電気化学的酸化反応(以下、単に酸化反応という。)による酸化電流とが等しくなるときに生じる、検出電極22と基準電極23との間の電位差ΔVを検出するよう構成されている。
図6に示すように、アンモニア濃度検出装置1は、車両の内燃機関(エンジン)7の排気管71において、NOxを還元する触媒72から流出するアンモニアの濃度を検出するものである。測定ガスGは、内燃機関7から排気管71へ排気された排ガスである。排ガスの組成は、内燃機関7における燃焼状態によって変化する。内燃機関7における、空気と燃料との質量比である空燃比が、理論空燃比に比べて燃料リッチな状態にあるときには、排ガスの組成においては、未燃ガスに含まれるHC(炭化水素)、CO(一酸化炭素)、H2(水素)等の割合が多くなる一方、NOx(窒素酸化物)の割合が少なくなる。内燃機関7における空燃比が、理論空燃比に比べて燃料リーンな状態にあるときには、排ガスの組成においては、HC、CO等の割合が少なくなる一方、NOxの割合が多くなる。また、燃料リッチな状態においては、測定ガスGに酸素(空気)がほとんど含まれず、燃料リーンな状態においては、測定ガスGに酸素(空気)がより多く含まれる。
(触媒72)
同図に示すように、排気管71には、NOxを還元するための触媒72と、触媒72へアンモニアを含む還元剤Kを供給する還元剤供給装置73とが配置されている。触媒72は、触媒担体に、NOxの還元剤Kとしてのアンモニアが付着されるものである。触媒72の触媒担体におけるアンモニアの付着量は、NOxの還元反応に伴って減少する。そして、触媒担体におけるアンモニアの付着量が少なくなったときには、還元剤供給装置73から触媒担体へ新たにアンモニアが補充される。還元剤供給装置73は、排気管71における、触媒72よりも排ガスの流れの上流側位置に配置されており、尿素水を噴射して発生するアンモニアガスを排気管71へ供給するものである。アンモニアガスは、尿素水が加水分解されて生成される。還元剤供給装置73には、尿素水のタンク731が接続されている。
本形態の内燃機関7は、軽油の自己着火を利用して燃焼運転を行うディーゼルエンジンである。また、触媒72は、NOx(窒素酸化物)をアンモニア(NH3)と化学反応させて窒素(N2)及び水(H2O)に還元する選択式還元触媒(SCR)である。
なお、図示は省略するが、排気管71における、触媒72の上流側位置には、NOのNO2への変換(酸化)、CO、HC(炭化水素)等の低減を行う酸化触媒(DOC)、微粒子を捕集するフィルタ(DPF)等が配置されていてもよい。
(マルチガスセンサ)
図6に示すように、本形態のアンモニア濃度検出装置1は、排気管71における、触媒72よりも下流側位置に配置される。なお、排気管71に配置されるのは、厳密には、アンモニア濃度検出装置1のセンサ素子10及びセンサ素子10を保持するセンサ本体である。便宜上、本形態においては、センサ本体のことをアンモニア濃度検出装置1ということがある。
本形態のアンモニア濃度検出装置1は、アンモニア濃度の検出だけでなく、酸素濃度及びNOx濃度の検出も可能なマルチガスセンサ(複合センサ)として形成されている。そして、酸素濃度は、アンモニア濃度を補正するために使用される。また、アンモニア濃度検出装置1によるアンモニア濃度及びNOx濃度は、内燃機関7の制御装置としてのエンジン制御ユニット(ECU)50によって、還元剤供給装置73から排気管71へ還元剤Kとしてのアンモニアを供給する時期を決定するために使用される。
なお、制御装置には、エンジンを制御するエンジン制御ユニット(ECU)50、アンモニア濃度検出装置1を制御するセンサ制御ユニット(SCU)5の他、種々の電子制御ユニットがある。制御装置とは、種々のコンピュータ(処理装置)のことをいう。
エンジン制御ユニット50は、アンモニア濃度検出装置1によって、測定ガスG中にNOxが存在することが検出されるときには、触媒72においてアンモニアが不足していると検知し、還元剤供給装置73から尿素水を噴射し、触媒72へアンモニアを供給するよう構成されている。一方、エンジン制御ユニット50は、アンモニア濃度検出装置1によって、測定ガスG中にアンモニアが存在することが検出されるときには、触媒72においてアンモニアが過剰に存在していると検知し、還元剤供給装置73からの尿素水の噴射を停止し、触媒72へのアンモニアの供給を停止するよう構成されている。触媒72においては、NOxを還元するためのアンモニアが過不足なく供給されることが好ましい。
(触媒出口721のアンモニア濃度とNOx濃度との関係)
エンジン制御ユニット50によるアンモニアの供給制御が行われることにより、触媒72の下流側位置(触媒出口721)及びアンモニア濃度検出装置1の配置位置に存在する測定ガスGのNOx及びアンモニアの濃度領域においては、NOxがアンモニアによって適切に還元される状態と、NOxの流出量が多くなる状態と、アンモニアの流出量が多くなる状態とが、時間を変えて生じることになる。
より具体的には、図7に示すように、エンジン制御ユニット50においては、アンモニア(NH3)濃度とNOx濃度との関係を示す濃度領域は、NOx濃度がアンモニア濃度よりも所定濃度(第1濃度差Δn1)以上高い第1濃度領域N1と、アンモニア濃度がNOx濃度よりも所定濃度(第2濃度差Δn2)以上高い第3濃度領域N3と、第1濃度領域N1と第3濃度領域N3との間の第2濃度領域N2とに区分される。この濃度領域は、アンモニア濃度検出装置1によって検出されるNOx濃度とアンモニア濃度とを比較し、測定ガスGにおいていずれの濃度が高いかを示すものである。
ここで、NOx濃度がアンモニア濃度よりも所定濃度以上高い場合とは、NOx濃度がアンモニア濃度よりも高く、かつNOx濃度とアンモニア濃度との差が第1濃度差Δn1以上である場合を示す。また、アンモニア濃度がNOx濃度よりも所定濃度以上高い場合とは、アンモニア濃度がNOx濃度よりも高く、かつアンモニア濃度とNOx濃度との差が第2濃度差Δn2以上である場合を示す。
アンモニア濃度検出装置1によって検出されるNOx濃度は、後述するNOx電極33がNOxだけでなくアンモニアも検出するために、アンモニア濃度を含むと考えられる。そのため、NOx濃度とアンモニア濃度とを比較する際におけるNOx濃度は、電流に基づいて検出された補正前NOx濃度から、電圧に基づいて検出されたアンモニア濃度を差し引いた補正後NOx濃度とすることができる。
同図において、NOx濃度が高い第1濃度領域N1においては、測定ガスG中にアンモニアが少量存在し、アンモニア濃度が高い第3濃度領域N3においては、測定ガスG中にNOxが少量存在すると仮定している。触媒72におけるNOxの還元反応がより適切に行われる場合には、第1濃度領域N1においては、アンモニアがほとんど存在せず、第3濃度領域N3においては、NOxがほとんど存在しなくなる状態が形成されると考えられる。
濃度領域の区分において、アンモニア濃度及びNOx濃度は、いずれも体積%(ppm)で表されることとする。エンジン制御ユニット50は、アンモニア濃度とNOx濃度との関係が、第2濃度領域N2内になるよう、還元剤供給装置73から触媒72へ供給する還元剤Kの量を調整するよう構成することができる。
第1濃度領域N1と第2濃度領域N2とを区分する所定濃度としての、NOx濃度とアンモニア濃度との第1濃度差Δn1は、10〜50ppmとすることができる。そして、エンジン制御ユニット50は、NOx濃度がアンモニア濃度よりも10〜50ppm以上高い場合に、アンモニア濃度とNOx濃度との関係が第1濃度領域N1にあると判定することができる。第1濃度差Δn1は、アンモニア濃度検出装置1の仕様、搭載環境等に応じて、適宜変更することができる。
また、第2濃度領域N2と第3濃度領域N3とを区分する所定濃度としての、アンモニア濃度とNOx濃度との第2濃度差Δn2は、50〜100ppmとすることができる。そして、エンジン制御ユニット50は、アンモニア濃度がNOx濃度よりも50〜100ppm以上高い場合に、アンモニア濃度とNOx濃度との関係が第3濃度領域N3にあると判定することができる。第2濃度差Δn2は、アンモニア濃度検出装置1の仕様、搭載環境等に応じて、適宜変更することができる。
図示は省略するが、アンモニア濃度検出装置1は、アンモニア濃度及びNOx濃度を検出するためのセンサ素子10と、センサ素子10を保持して排気管71に取り付けるためのハウジングと、ハウジングの先端側に取り付けられてセンサ素子10を保護する先端側カバーと、ハウジングの基端側に取り付けられてセンサ素子10の電気配線部分を保護する基端側カバーとを備える。図1及び図2に示すように、センサ素子10は、アンモニア素子部2及び後述する酸素素子部3に対して、後述するヒータ部4を積層して形成されている。
(アンモニア素子部2)
第1固体電解質体21は、板状に形成されており、所定の温度において酸素イオンを伝導させる性質を有するジルコニア材料を用いて構成されている。ジルコニア材料は、ジルコニアを主成分とする種々の材料によって構成することができる。ジルコニア材料には、イットリア(酸化イットリウム)等の希土類金属元素もしくはアルカリ土類金属元素によってジルコニアの一部を置換させた安定化ジルコニア又は部分安定化ジルコニアを用いることができる。
検出電極22は、アンモニア及び酸素に対する触媒活性を有する金(Au)、白金−金合金、白金−パラジウム合金、パラジウム−金合金等の貴金属材料を用いて構成されている。基準電極23は、酸素に対する触媒活性を有する白金(Pt)等の貴金属材料を用いて構成されている。また、検出電極22及び基準電極23は、第1固体電解質体21と焼結する際の共材となるジルコニア材料を含有していてもよい。
図1及び図2に示すように、第1固体電解質体21の、測定ガスGに晒される第1表面211は、アンモニア濃度検出装置1のセンサ素子10における最も外側の表面を形成する。そして、第1表面211に設けられた検出電極22には、測定ガスGが接触しやすい状態が形成されている。本形態の検出電極22の表面には、セラミックスの多孔質体等による保護層が設けられていない。そして、検出電極22には、測定ガスGが拡散律速されずに接触する。なお、検出電極22の表面には、測定ガスGの流速を極力低下させない保護層を設けることも可能である。
第1固体電解質体21の第2表面212及び第2表面212に設けられた基準電極23は、基準ガスAとしての大気に晒されている。第1固体電解質体21の第2表面212には、大気が導入される大気ダクト(基準ガスダクト)24が隣接して形成されている。
(電位差検出部51及び電位差ΔV)
図1に示すように、本形態の電位差検出部51は、検出電極22に混成電位が生じたときの検出電極22と基準電極23との間の電位差ΔVを検出する。検出電極22においては、検出電極22に接触する測定ガスG中にアンモニアと酸素とが存在する場合に、アンモニアの酸化反応と、酸素の還元反応とが同時に進行する。アンモニアの酸化反応は、代表的には、2NH3+3O2-→N2+3H2O+6e-によって表される。酸素の還元反応は、代表的には、O2+4e-→2O2-によって表される。そして、検出電極22における、アンモニアと酸素とによる混成電位は、検出電極22における、アンモニアの酸化反応(速度)と酸素の還元反応(速度)とが等しくなるときの電位として生じる。
図8は、検出電極22において生じる混成電位を説明するための図である。同図においては、横軸に、基準電極23に対する検出電極22の電位(電位差ΔV)をとり、縦軸に、検出電極22と基準電極23との間に流れる電流をとって、混成電位の変化の仕方を示す。また、同図においては、検出電極22においてアンモニアの酸化反応が行われる際の電位と電流の関係を示す第1ラインL1と、検出電極22において酸素の還元反応が行われる際の電位と電流の関係を示す第2ラインL2とを示す。第1ラインL1及び第2ラインL2は、いずれも右肩上がりのラインによって示す。
電位差ΔVが0(ゼロ)の場合は、検出電極22の電位が基準電極23の電位と同じであることを示す。混成電位は、アンモニアの酸化反応を示す第1ラインL1上のプラス側の電流と、酸素の還元反応を示す第2ラインL2上のマイナス側の電流とが釣り合ったときの電位となる。そして、検出電極22における混成電位は、基準電極23に対してマイナス側の電位として検出される。
また、図9に示すように、測定ガスGにおけるアンモニア濃度が高くなるときには、アンモニアの酸化反応を示す第1ラインL1の傾きθaが急になる。この場合には、第1ラインL1上のプラス側の電流と、第2ラインL2上のマイナス側の電流とが釣り合う電位が、よりマイナス側へシフトする。これにより、アンモニア濃度が高くなるほど、基準電極23に対する検出電極22の電位がマイナス側に大きくなる。言い換えれば、アンモニア濃度が高くなるほど、検出電極22と基準電極23との電位差(混成電位)ΔVが大きくなる。そのため、アンモニア濃度が高くなるほど電位差ΔVが大きくなり、電位差ΔVを検出することにより、測定ガスGにおけるアンモニア濃度を検出することが可能になる。
また、図10に示すように、測定ガスGにおける酸素濃度が高くなるときには、酸素の還元反応を示す第2ラインL2の傾きθsが急になる。この場合には、第1ラインL1上のプラス側の電流と、第2ラインL2上のマイナス側の電流とが釣り合う電位が、マイナス側におけるゼロに近い位置へシフトする。これにより、酸素濃度が高くなるほど、基準電極23に対する検出電極22のマイナス側の電位が小さくなる。言い換えれば、酸素濃度が高くなるほど、検出電極22と基準電極23との電位差(混成電位)ΔVが小さくなる。そのため、酸素濃度が高くなるほど、電位差ΔV又はアンモニア濃度を高くする補正を行うことにより、アンモニア濃度の検出精度を高めることができる。
(検出電極22の劣化)
アンモニア素子部2の検出電極22においては、アンモニアの酸化反応と酸素の還元反応とが主に行われる。そのため、検出電極22における触媒性能の劣化は、アンモニアの酸化性能の劣化と、酸素の還元性能の劣化とに分けて考えることができる。
図11は、検出電極22の酸化性能が劣化したときに、検出電極22において生じる混成電位の変化を説明するための図である。同図に示すように、検出電極22の酸化性能が劣化したときには、アンモニアの酸化反応を示す第1ラインL1の傾きθaは小さくなる。このとき、第1ラインL1上のプラス側の電流と、酸素の還元反応を示す第2ラインL2上のマイナス側の電流とが釣り合う電位が、マイナス側におけるゼロに近い位置へシフトする。これにより、検出電極22の酸化性能が劣化するほど、電位差(混成電位)ΔVが小さくなる。そのため、劣化補正部64によって、検出電極22の酸化性能が劣化するほど、アンモニア濃度検出装置1から出力するアンモニア出力濃度を高くする補正が行われることになる。
図12は、検出電極22の還元性能が劣化したときに、検出電極22において生じる混成電位の変化を説明するための図である。同図に示すように、検出電極22の還元性能が劣化したときには、酸素の劣化反応を示す第2ラインL2の傾きθsは小さくなる。このとき、第1ラインL1上のプラス側の電流と、第2ラインL2上のマイナス側の電流とが釣り合う電位が、よりマイナス側へシフトする。これにより、検出電極22の還元性能が劣化するほど、電位差(混成電位)ΔVが大きくなる。そのため、劣化補正部64によって、検出電極22の還元性能が劣化するほど、アンモニア濃度検出装置1から出力するアンモニア出力濃度を低くする補正が行われることになる。
検出電極22において、酸化性能の劣化と還元性能の劣化とは同時に進行すると考えられる。アンモニア濃度検出装置1によってアンモニア濃度を検出する際には、検出電極22には、アンモニア及び酸素が到達する。そのため、初期時及び評価時としてセンサ電流I1,I2を検出するときを、測定ガスGにアンモニア及び酸素が含まれるときとすれば、センサ電流I2を監視することによって、検出電極22における酸化性能の劣化及び還元性能の劣化が反映された状態で、検出電極22の性能劣化量を算出することができると考える。
(アンモニア濃度算出部52)
図1に示すように、本形態のアンモニア濃度算出部52は、電位差検出部51による電位差ΔVに基づいて、測定ガスGにおけるアンモニア濃度を算出する。電位差ΔVとアンモニア濃度との関係は、アンモニア濃度検出装置1の試作・実験時等において、関係マップとして求めておくことができる。そして、アンモニア濃度は、電位差ΔVを関係マップに照合して求めることができる。
電位差検出部51及びアンモニア濃度算出部52は、アンモニア濃度検出装置1に電気接続されたセンサ制御ユニット(SCU)5内に形成されている。電位差検出部51は、検出電極22と基準電極23との電位差ΔVを測定するアンプ等を用いて形成されている。アンモニア濃度算出部52は、コンピュータ等を用いて形成されている。また、センサ制御ユニット5は、内燃機関7のエンジン制御ユニット(ECU)50に接続されており、エンジン制御ユニット50による、内燃機関7、還元剤供給装置73等の動作の制御に利用される。
(酸素素子部3)
図1に示すように、本形態のアンモニア濃度検出装置1は、マルチガスセンサを形成するために、アンモニア素子部2、電位差検出部51、アンモニア濃度算出部52、直流電圧印加部61、電流検出部62、劣化算出部63及び劣化補正部64の他に、酸素素子部3、ポンピング部53、ポンプ電流検出部54、酸素濃度算出部55、NOx検出部56及びNOx濃度算出部57を備える。また、酸素素子部3には、酸素素子部3及びアンモニア素子部2を加熱するヒータ部4が積層されている。
酸素素子部3は、第2固体電解質体(他の固体電解質体)31、測定ガス室35、拡散抵抗部351、ポンプ電極32、NOx電極33及び他の基準電極34を有する。第2固体電解質体31は、第1固体電解質体21に対向して配置されている。第2固体電解質体31は、板状に形成されており、所定の温度において酸素イオンを伝導させる性質を有するジルコニア材料を用いて構成されている。このジルコニア材料は、第1固体電解質体21の場合と同様である。
なお、アンモニア濃度検出装置1がNOxを検出する機能を持たない場合には、酸素素子部3は、NOx電極33を有さず、アンモニア濃度検出装置1はNOx検出部56及びNOx濃度算出部57を備えていなくてもよい。
図1、図2及び図4に示すように、測定ガス室35は、第2固体電解質体31の第3表面311に接して形成されている。測定ガス室35は、ガス室用絶縁体36によって形成されている。ガス室用絶縁体36は、アルミナ等のセラミックス材料からなる。拡散抵抗部351は、多孔質のセラミックス層として形成されており、測定ガス室35へ拡散速度を制限して測定ガスGを導入するための部分である。
ポンプ電極32は、第3表面311における測定ガス室35内に収容されており、測定ガス室35内の測定ガスGに晒される。NOx電極33は、第3表面311における測定ガス室35内に収容されており、ポンプ電極32によって酸素濃度が調整された後の測定ガスGに晒される。他の基準電極34は、第2固体電解質体31における、第3表面311とは反対側の第4表面312に設けられている。
ポンプ電極32は、酸素に対する触媒活性を有する白金−金合金等の貴金属材料を用いて構成されている。NOx電極33は、NOx及び酸素に対する触媒活性を有する白金−ロジウム合金等の貴金属材料を用いて構成されている。他の基準電極34は、酸素に対する触媒活性を有する白金等の貴金属材料を用いて構成されている。また、ポンプ電極32、NOx電極33及び他の基準電極34は、第2固体電解質体31と焼結する際の共材となるジルコニア材料を含有していてもよい。
本形態の他の基準電極34は、第2固体電解質体31を介して、ポンプ電極32と対向する位置及びNOx電極33と対向する位置のそれぞれに設けられている。なお、他の基準電極34は、ポンプ電極32及びNOx電極33と対向する位置の全体に1つ設けられていてもよい。
図1〜図3に示すように、第2固体電解質体31の第4表面312及び第4表面312に設けられた他の基準電極34は、基準ガスAとしての大気に晒されている。第1固体電解質体21と第2固体電解質体31とは、大気ダクト24を形成するダクト用絶縁体25を介して積層されている。ダクト用絶縁体25は、アルミナ等のセラミックス材料からなる。
大気ダクト24は、第1固体電解質体21の第2表面212及び基準電極23と、第2固体電解質体31の第4表面312及び他の基準電極34とに大気を接触させる状態で形成されている。基準電極23及び他の基準電極34は、大気ダクト24内に収容されている。大気ダクト24は、センサ素子10の基端から測定ガス室35に対向する位置まで形成されている。
アンモニア濃度検出装置1の基端側カバー内に導入された基準ガスAは、大気ダクト24の基端側の開口部から大気ダクト24内に導入される。本形態のセンサ素子10は、第1固体電解質体21と第2固体電解質体31との間に大気ダクト24を有することにより、基準電極23及び他の基準電極34の全体をまとめて大気に接触させることができる。
(ヒータ部4)
図1及び図2に示すように、第2固体電解質体31の、第1固体電解質体21が積層された側とは反対側には、酸素素子部3及びアンモニア素子部2を加熱するヒータ部4が積層されている。ヒータ部4は、通電によって発熱する発熱体41と、発熱体41を埋設するヒータ用絶縁体42とによって形成されている。ヒータ用絶縁体42は、アルミナ等のセラミックス材料からなる。
発熱体41は、発熱部と、発熱部に繋がるリード部とによって形成されており、発熱部は、各電極22,23,32,33,34に対向する位置に形成されている。発熱体41には、発熱体41に通電を行うための通電制御部58が接続されている。通電制御部58は、発熱体41に、PWM(パルス幅変調)制御等を行った電圧を印加するドライブ回路等を用いて形成されている。通電制御部58は、センサ制御ユニット5内に形成されている。
アンモニア素子部2とヒータ部4との距離は、酸素素子部3とヒータ部4との距離よりも大きい。そして、ヒータ部4によって酸素素子部3を加熱する温度に比べて、ヒータ部4によってアンモニア素子部2を加熱する温度は低い。酸素素子部3のポンプ電極32及びNOx電極33は、600〜900℃の温度において使用され、アンモニア素子部2の検出電極22は、400〜600℃の温度において使用される。検出電極22の温度は、ヒータ4の加熱によって、400〜600℃の温度範囲内のいずれかの温度を目標として制御される。
また、酸素素子部3とアンモニア素子部2との間に大気ダクト24が形成されていることにより、ヒータ部4によって酸素素子部3及びアンモニア素子部2を加熱する際に、大気ダクト24を断熱層として作用させることができる。これにより、酸素素子部3のポンプ電極32及びNOx電極33の温度に比べて、アンモニア素子部2の検出電極22の温度を容易に低くすることができる。また、通電制御部58による通電制御を行うことにより、酸素素子部3及びアンモニア素子部2の温度を目標とする温度に制御する。
(ポンピング部53、ポンプ電流検出部54及び酸素濃度算出部55)
図1に示すように、ポンピング部53は、他の基準電極34をプラス側として、ポンプ電極32と他の基準電極34との間に直流電圧を印加して、測定ガス室35内の測定ガスGにおける酸素を汲み出すよう構成されている。ポンプ電極32と他の基準電極34との間に直流電圧が印加されるときには、ポンプ電極32に接触する、測定ガス室35内の測定ガスGにおける酸素が、酸素イオンとなって第2固体電解質体31を他の基準電極34に向けて通過し、基準電極23から大気ダクト24へと排出される。これにより、測定ガス室35内の酸素濃度が、NOxの検出に適した濃度に調整される。
ポンプ電流検出部54は、ポンプ電極32と他の基準電極34との間に流れる直流電流を検出するよう構成されている。酸素濃度算出部55は、ポンプ電流検出部54によって検出された直流電流に基づいて、測定ガスGにおける酸素濃度を算出するよう構成されている。ポンプ電流検出部54においては、ポンピング部53によって測定ガス室35内から大気ダクト24へ排出される酸素の量に比例した直流電流が検出される。
また、ポンピング部53は、測定ガス室35内の測定ガスGにおける酸素濃度が所定の濃度になるまで、測定ガス室35内から大気ダクト24へ酸素を排出する。そのため、酸素濃度算出部55は、ポンプ電流検出部54によって検出される直流電流を監視することにより、アンモニア素子部2及び酸素素子部3に到達する測定ガスGにおける酸素濃度を算出することができる。
酸素濃度算出部55によって算出される酸素濃度は、アンモニア濃度算出部52によるアンモニア濃度を補正するための酸素濃度として利用される。
(NOx検出部56及びNOx濃度算出部57)
図1に示すように、NOx検出部56は、他の基準電極34をプラス側としてNOx電極33と他の基準電極34との間に直流電圧を印加して、NOx電極33と他の基準電極34との間に流れる直流電流を検出するよう構成されている。NOx濃度算出部57は、NOx検出部56によって検出される直流電流に基づいて、測定ガスGにおける補正前NOx濃度を算出し、補正前NOx濃度からアンモニア濃度算出部52によるアンモニア濃度を差し引いて補正後NOx濃度を算出するよう構成されている。NOx検出部56においては、NOxだけでなくアンモニアも検出される。そのため、NOx濃度算出部57においては、アンモニアの検出量を差し引くことにより実際のNOxの検出量が得られる。
NOx濃度算出部57によるNOx濃度は、2種類あるものとする。NOx検出部56に生じる電流に基づくNOx濃度を補正前NOx濃度とする。補正前NOx濃度においては、NOx電極32において反応するアンモニアによるアンモニア濃度が含まれる。一方、NOx濃度算出部57による補正前NOx濃度からアンモニア濃度算出部52によるアンモニア濃度を差し引いた濃度を、補正後NOx濃度とする。補正後NOx濃度は、アンモニアによる影響が除外されたNOx濃度を示す。アンモニア濃度とNOx濃度とが比較される場合には、補正後NOx濃度が用いられる。
NOx電極33には、ポンプ電極32によって酸素濃度が調整された後の測定ガスGが接触する。そして、NOx検出部56においては、NOx電極33と他の基準電極34との間に直流電圧が印加されるときには、NOx電極33に接触する、測定ガス室35内の測定ガスGにおけるNOxが窒素と酸素に分解され、酸素が酸素イオンとなって第2固体電解質体31を他の基準電極34に向けて通過し、基準電極23から大気ダクト24へと排出される。また、NOx検出部56にアンモニアが到達するときには、アンモニアが酸化されて生成されたNOxも同様に窒素と酸素に分解される。そして、NOx濃度算出部57は、NOx検出部56によって検出される直流電流を監視することにより、酸素素子部3に到達する測定ガスGにおける補正前NOx濃度を算出し、補正前NOx濃度からアンモニア濃度を差し引いて、NOx濃度を補正後NOx濃度として算出する。
図7において、触媒出口721のアンモニア濃度とNOx濃度との関係を示す濃度領域におけるNOx濃度は、NOx濃度算出部57によって算出される補正後NOx濃度とすることができる。また、この濃度領域におけるアンモニア濃度は、アンモニア濃度算出部52によって算出されるアンモニア濃度とすることができる。
アンモニア濃度検出装置1を、アンモニア濃度だけでなく酸素濃度及びNOx濃度も検出するマルチガスセンサとしたことにより、アンモニア濃度及びNOx濃度を検出する際に、排気管71に配置するガスセンサの使用数を減らすことができる。また、NOx濃度を検出するために使用されるポンプ電極32及びポンピング部53を利用して、ポンプ電流検出部54及び酸素濃度算出部55によって酸素濃度を検出することができる。
ポンピング部53、ポンプ電流検出部54及びNOx検出部56は、アンプ等を用いてセンサ制御ユニット5内に形成されている。酸素濃度算出部55及びNOx濃度算出部57は、コンピュータ等を用いてセンサ制御ユニット5内に形成されている。
なお、図1においては、便宜的に、電位差検出部51、ポンピング部53、ポンプ電流検出部54及びNOx検出部56を、センサ制御ユニット5と区別して記載する。実際には、これらは、センサ制御ユニット5内に構築されている。
(直流電圧印加部61及び電流検出部62)
図1に示すように、本形態の直流電圧印加部61は、基準電極23をマイナス側として検出電極22と基準電極23との間に直流電圧Eを印加するよう構成されている。「基準電極23をマイナス側として検出電極22と基準電極23との間に直流電圧Eを印加すること」は、基準電極23の電位を検出電極22の電位よりも低くして電圧を印加することを意味する。
電流検出部62は、直流電圧印加部61によって直流電圧Eが印加されたときに、検出電極22と基準電極23との間に流れる直流電流を検出するよう構成されている。電位差検出部51によって電位差(混成電位)ΔVが検出されるときには、検出電極22と基準電極23との間に直流電圧Eが印加されておらず、検出電極22と基準電極23との間には、電位差ΔVを検出するための微小な電流が流れる。一方、直流電圧印加部61によって検出電極22と基準電極23との間に直流電圧Eが印加されたときには、検出電極22と基準電極23との間に大きな直流電流が流れる。そして、電流検出部62は、この大きな直流電流を検出することができる。
電流検出部62によって検出する第1センサ電流I1は、直流電圧Eを印加しているときに収束した電流値とすることができ、直流電圧Eを印加したときに瞬間的に検出される最大電流値とすることもできる。このことは、第2センサ電流I2についても同様である。
(劣化算出部63)
劣化算出部63は、直流電圧Eが印加されずに使用される電位差式のアンモニア濃度検出装置1において、直流電圧Eの印加を利用するものである。劣化算出部63は、検出電極22と基準電極23との間に直流電圧Eを印加することにより、検出電極22と基準電極23との間に強制的にセンサ電流I1,I2を生じさせる。そして、本形態の劣化算出部63は、アンモニア濃度検出装置1がある程度の長期間使用された後の評価時の第2センサ電流I2が、アンモニア濃度検出装置1が使用される前又はアンモニア濃度検出装置1の使用初期である初期時の第1センサ電流I1と比べてどれだけ小さくなったかを見て、検出電極22の触媒性能の性能劣化量を算出する。
(切り替え部60)
図1に示すように、アンモニア濃度検出装置1は、劣化判定を行う際に、検出電極22と基準電極23との間に、直流電圧印加部61及び電流検出部62を接続するための切り替え部60を有する。切り替え部60は、劣化算出部63によって性能劣化量を算出するときには、検出電極22と基準電極23との間に直流電圧印加部61及び電流検出部62を接続し、劣化算出部63によって性能劣化量を算出しないときには、検出電極22と基準電極23との間から直流電圧印加部61及び電流検出部62を切り離すスイッチング回路によって構成されている。
(直流電圧Eの印加方向)
アンモニア素子部2の検出電極22の触媒性能には、アンモニアの酸化性能と、酸素の還元性能とがある。本形態の劣化算出部63によっては、主に、検出電極22におけるアンモニアの酸化性能の性能劣化量を算出する。そのため、劣化算出部63においては、測定ガスGにアンモニアが含まれるときを初期時及び評価時として、性能劣化量を算出する。
検出電極22におけるアンモニアの酸化性能の性能劣化量を主に算出する場合には、直流電圧印加部61は、検出電極22と基準電極23との間に、アンモニアの酸化反応を促進させる直流電圧Eを印加することが好ましい。このために、直流電圧印加部61は、基準電極23をマイナス側として検出電極22と基準電極23との間に直流電圧Eを印加する。この場合には、大気に晒される基準電極23から検出電極22へ酸素イオンが強制的に送り出され、アンモニアの酸化反応が促進され、大きな電流が流れると考えられる。
一方、検出電極22における酸素の還元性能の性能劣化量を算出する場合には、測定ガスGにアンモニアがほとんど含まれないときを初期時及び評価時として、性能劣化量を算出することができる。この場合には、検出電極22と基準電極23との間に印加する直流電圧Eは、検出電極22又は基準電極23のいずれをマイナス側としてもよいと考える。
(他ガスの影響)
測定ガスGとしての排ガスには、酸素、アンモニア、NOxの他に、未燃ガス成分としてのCO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)等が混在する場合もある。検出電極22において検出される混成電位は、アンモニア濃度及び酸素濃度によって変化するだけでなく、他ガスとしてのNOx、CO、HC等の濃度によっても変化することが確認された。ただし、この他ガスによる混成電位の変化は、測定ガスG中にアンモニアが含まれている場合には、あまり生じないことが確認された。
本形態の劣化算出部63は、測定ガスGにアンモニアが含まれる場合に、直流電圧印加部61によって検出電極22と基準電極23との間に直流電圧Eを印加し、アンモニア素子部2における検出電極22の触媒性能の性能劣化量を算出する。これにより、他ガスが性能劣化量の算出に与える影響を少なくすることができる。
(劣化算出部63の初期時及び評価時)
本形態の劣化算出部63における初期時は、アンモニア濃度検出装置1の使用初期であってアンモニア濃度算出部52によるアンモニア濃度がアンモニアの検出を示す濃度である場合として設定する。また、劣化算出部63における評価時は、アンモニア濃度検出装置1の使用初期以降であってアンモニア濃度算出部52によるアンモニア濃度がアンモニアの検出を示す濃度である場合として設定する。
本形態の劣化算出部63は、初期時に、直流電圧印加部61によって検出電極22と基準電極23との間に直流電圧Eを印加する時点における電位差ΔV又はアンモニア濃度と、評価時に、直流電圧印加部61によって検出電極22と基準電極23との間に直流電圧Eを印加する時点における電位差ΔV又はアンモニア濃度とをほぼ同じにする。この初期時及び評価時におけるアンモニア濃度は、酸素濃度による補正を行った後のアンモニア濃度とすることができる。初期時及び評価時を、アンモニア濃度がほぼ同じであるときに設定することにより、アンモニア濃度の違いが第1センサ電流I1と第2センサ電流I2との違いとして生じることを防止することができる。
また、初期時及び評価時における酸素濃度は、ほぼ同じにすることが好ましい。これにより、酸素濃度の違いが電位差ΔVの違いとして生じ、この電位差ΔVの違いが第1センサ電流I1と第2センサ電流I2との違いとして生じることを防止することができる。
図7に示すように、初期時及び評価時における直流電圧Eを印加する時点は、アンモニア濃度と補正後NOx濃度との関係が、測定ガスG中にアンモニアがある程度存在する第2濃度領域N2にあるときとすることができる。また、初期時及び評価時における直流電圧Eを印加する時点は、アンモニア濃度と補正後NOx濃度との関係が、測定ガスG中にアンモニアが多く存在する第3濃度領域N3にあるときとすることもできる。
混成電位式のアンモニア濃度検出装置1は、測定ガスGにおけるアンモニア濃度が高くなるほど、電位差検出部51によって検出される混成電位が飽和しやすく、この混成電位が変化しにくくなるといった性質を有する。測定ガスGにおけるアンモニア濃度が低い場合には、アンモニア濃度のわずかな違いを、混成電位の変化として出力しやすい。これに対し、測定ガスGのアンモニア濃度が高くなると、アンモニア濃度が大きく変化しても、混成電位の変化として出力されにくくなる。
図9において、測定ガスGにおけるアンモニア濃度が高くなるときには、アンモニアの酸化反応を示す第1ラインL1の傾きが急になる。そして、第1ラインL1の傾きが急になるほど、検出電極22と基準電極23との電位差ΔVが大きくなるものの、この電位差ΔVの変化量は小さくなる。
一般的に、アンモニア濃度の検出精度は、アンモニア濃度が低い方が高い。そのため、アンモニア濃度の検出精度を考慮すると、劣化算出部63によって劣化の判定を行うアンモニア濃度の範囲は、アンモニア濃度が、あまり高すぎない適度な濃度で検出される場合とすることが好ましい。
初期時及び評価時は、アンモニア濃度検出装置1において、適度な濃度でアンモニアが検出される場合に設定することができる。初期時及び評価時を設定するときの測定ガスG中のアンモニアの濃度は、例えば、5〜200ppmとすることができる。
初期時と評価時とは、測定ガスG中のアンモニア濃度ができるだけ同じ時点とするために、内燃機関7の運転条件及び還元剤供給装置73の動作状態ができるだけ同じであるときに設定することができる。劣化算出部63は、アンモニア素子部2の検出電極22における性能劣化量を算出するための初期時及び評価時を、次のように設定することができる。
劣化算出部63は、初期時及び評価時を、還元剤供給装置73が触媒72へ還元剤Kを供給している期間を条件として決定することができる。還元剤供給装置73から触媒72へ還元剤Kが供給されるときには、触媒72において、NOxを還元するために使用されないアンモニアが増加することが想定される。このときには、アンモニア濃度検出装置1においてアンモニアが検出されることが想定される。そのため、当該期間に初期時及び評価時を設定することができる。
また、劣化算出部63は、初期時及び評価時を、内燃機関7がフューエルカット運転を行っている期間であって還元剤供給装置73が還元剤Kを供給している期間を条件として決定することもできる。フューエルカット時には、内燃機関7における燃料の燃焼が停止され、内燃機関7か排気管71へのNOxの排出がほとんどなくなる。そして、触媒72には空気中の酸素が充満する。この状況において、還元剤供給装置73から触媒72へ還元剤Kとしてのアンモニアが供給されると、触媒72からアンモニア濃度検出装置1へアンモニアが到達しやすくなる。そのため、当該期間に初期時及び評価時を設定することができる。
また、初期時及び評価時を決定する際の条件として、フューエルカット時とする代わりに、アイドリング時とすることもできる。また、フューエルカット時又はアイドリング時において、還元剤供給装置73から尿素水を一時的に噴射し、この尿素水が一時的に噴射された直後を初期時及び評価時とすることができる。
排気管71へのNOxの排出量は、内燃機関7の回転速度、燃料噴射量、空燃比等に応じて適宜変化する。一般的に、内燃機関7の回転速度が高くなり、燃料噴射量が適度に絞られ、空燃比が理論空燃比に対してリーン燃焼を行う場合に、NOxの排出量は多くなる。そして、内燃機関7の運転を行い、内燃機関7の回転速度、燃料噴射量、空燃比等と、NOxの排出量との関係マップを作成しておく。また、NOxの排出量は、排ガスにおけるNOとNO2との比も考慮する。
内燃機関7の運転が開始された後、初期時又は評価時を決定する際には、現時点の内燃機関7の回転速度、燃料噴射量、空燃比等を関係マップに照合して、NOとNO2との比を考慮したNOxの排出量を読み取り、このNOxを還元するための理論アンモニア量を求める。また、現時点の還元剤供給装置73の尿素水の噴射量から、生成される生成アンモニア量を求める。そして、生成アンモニア量が理論アンモニア量よりも所定量以上多い場合に、初期時及び評価時を設定することができる。
また、初期時は、実際にアンモニア濃度検出装置1の使用が開始された直後又は使用が開始された後の所定の期間内に設定することができる。評価時は、アンモニア素子部2に性能劣化が生じ始めると考えられる所定期間が経過したときに設定することができる。
また、アンモニア素子部2は、検出電極22の温度が高くなるほど、電位差検出部51による電位差(混成電位)ΔVが小さくなる性質を有する。初期時及び評価時における検出電極22の温度は、ヒータ部4によって400〜600℃のうちの特定の目標温度の範囲内に制御される。そして、初期時と評価時とにおいては、検出電極22の温度に違いが生じないようにすることが好ましい。
(性能劣化量の第1の算出方法)
本形態の劣化算出部63においては、第1評価値H1を第1センサ電流I1とし、第2評価値H2を第2センサ電流I2とする。また、第1センサ電流I1を、性能劣化量を求める際の基準値とする。本形態の性能劣化量は、基準値としての初期時の第1センサ電流I1に対する、評価時の第2センサ電流I2の性能劣化割合である性能劣化率R1とする。性能劣化率R1[%]は、R1=(I1−I2)/I1×100[%]として求める。これにより、性能劣化率R1等の性能劣化量を容易に求めることができる。
また、検出電極22において、還元性能の劣化が電位差(混成電位)ΔVに与える影響に比べて、酸化性能の劣化が電位差(混成電位)ΔVに与える影響が大きいときには、性能劣化率R1はプラスの値として算出される。一方、検出電極22において、還元性能の劣化が電位差(混成電位)ΔVに与える影響に比べて、酸化性能の劣化が電位差(混成電位)ΔVに与える影響が小さいときには、性能劣化率R1はマイナスの値として算出される。
検出電極22における触媒性能の劣化においては、還元性能の劣化が電位差(混成電位)ΔVに与える影響に比べて、酸化性能の劣化が電位差(混成電位)ΔVに与える影響が大きいと考えられる。酸化性能の劣化は電位差(混成電位)ΔVを小さくする方向に作用する。そのため、検出電極22が被毒等によって劣化しているときには、評価時の第2センサ電流I2が初期時の第1センサ電流I1よりも小さくなると考えられる。
(性能劣化量の第2の算出方法)
また、劣化算出部63は、アンモニア濃度算出部52によるアンモニア濃度が異なる複数の時点について、直流電圧印加部61によって検知電極と基準電極23との間に直流電圧Eを印加したときの、複数の第1センサ電流I1及び複数の第2センサ電流I2を検出することもできる。そして、劣化算出部63は、第1評価値H1を、複数の第1センサ電流I1に基づいて求めるとともに、第2評価値H2を、複数の第2センサ電流I2に基づいて求めることができる。
具体的には、初期時において、アンモニア濃度算出部52によるアンモニア濃度が適宜異なる複数の時点に、それぞれ直流電圧印加部61によって検知電極と基準電極23との間に直流電圧Eを印加し、電流検出部62によって複数の第1センサ電流I1を検出する。また、評価時において、アンモニア濃度算出部52によるアンモニア濃度が適宜異なる複数の時点に、それぞれ直流電圧印加部61によって検出電極22と基準電極23との間に直流電圧Eを印加し、電流検出部62によって複数の第2センサ電流I2を検出する。
この場合において、初期時及び評価時は、アンモニア濃度が所定の濃度範囲内にあるときに設定することができる。また、この直流電圧Eを印加するときのアンモニア濃度は、酸素濃度によって補正したものとしてもよい。また、アンモニア濃度に代えて、電位差検出部51による電位差ΔVを用いてもよい。
そして、劣化算出部63は、複数の第1センサ電流I1の平均値を第1評価値H1とし、複数の第2センサ電流I2の平均値を第2評価値H2とすることができる。この場合には、初期時と評価時とにおけるアンモニア濃度の違いが各センサ電流I1,I2に与える影響を考慮して、性能劣化量(性能劣化率)を算出することができる。
(性能劣化量の第3の算出方法)
また、図13に示すように、劣化算出部63は、アンモニア濃度算出部52によるアンモニア濃度が異なる複数の時点について第1センサ電流I1及び第2センサ電流I2を検出し、複数のアンモニア濃度と複数の第1センサ電流I1との関係を直線回帰したときの第1関係直線の傾きθ1を、第1評価値H1として求めるとともに、複数のアンモニア濃度と複数の第2センサ電流I2との関係を直線回帰したときの第2関係直線の傾きθ2を、第2評価値H2として求めることもできる。同図には、この場合の第1関係直線の傾きθ1及び第2関係直線の傾きθ2を示す。
この場合には、劣化算出部63は、性能劣化量を、基準値としての初期時の第1関係直線の傾きθ1に対する、評価時の第2関係直線の傾きθ2の性能劣化割合である性能劣化率R2とする。性能劣化率R2は、R2=(θ1−θ2)/θ1×100[%]として求める。検出電極22が被毒等によって劣化しているときには、評価時の第2関係直線の傾きθ2が初期時の第1関係直線の傾きθ1よりも小さくなると考えられる。これにより、性能劣化率R2等の性能劣化量を求めることが容易になる。
この場合においても、初期時及び評価時は、アンモニア濃度が所定の濃度範囲内にあるときに設定することができる。また、この直流電圧Eを印加するときのアンモニア濃度は、酸素濃度によって補正したものとしてもよい。また、アンモニア濃度に代えて、電位差検出部51による電位差ΔVを用いてもよい。
(性能劣化量の第4の算出方法)
また、劣化算出部63は、直流電圧印加部61によって検出電極22と基準電極23との間に印加する直流電圧Eを大きさが異なる複数の値に変化させたときの、複数の第1センサ電流I1及び複数の第2センサ電流I2を検出することもできる。そして、劣化算出部63は、第1評価値H1を、複数の直流電圧Eと複数の第1センサ電流I1との関係に基づいて求めるとともに、第2評価値H2を、複数の直流電圧Eと複数の第2センサ電流I2との関係に基づいて求めることができる。
具体的には、図14に示すように、初期時において、直流電圧印加部61によって検出電極22と基準電極23との間に大きさが異なる複数の直流電圧Eを順次印加し、このとき検出電極22と基準電極23との間に流れる第1センサ電流I1を電流検出部62によってそれぞれ検出する。そして、劣化算出部63は、複数の直流電圧Eと複数の第1センサ電流I1との関係を直線回帰したときの第1関係直線の傾きθ1を、第1評価値H1として求める。
また、評価時において、直流電圧印加部61によって検出電極22と基準電極23との間に大きさが異なる複数の直流電圧Eを順次印加し、このとき検出電極22と基準電極23との間に流れる第2センサ電流I2を電流検出部62によってそれぞれ検出する。そして、劣化算出部63は、複数の直流電圧Eと複数の第2センサ電流I2との関係を直線回帰したときの第2関係直線の傾きθ2を、第2評価値H2として求める。
初期時及び評価時において、直流電圧印加部61による複数の大きさの直流電圧Eの印加は、所定の時間間隔で連続して行うことができる。また、この場合においても、初期時及び評価時は、アンモニア濃度が所定の濃度範囲内にあるときに設定することができる。さらに、初期時におけるアンモニア濃度と評価時におけるアンモニア濃度とは、できるだけ同じにすることが好ましい。
この場合には、劣化算出部63は、性能劣化量を、基準値としての初期時の第1関係直線の傾きθ1に対する、評価時の第2関係直線の傾きθ2の性能劣化割合である性能劣化率R3とする。性能劣化率R3は、R3=(θ1−θ2)/θ1×100[%]として求める。検出電極22が被毒等によって劣化しているときには、評価時の第2関係直線の傾きθ2が初期時の第1関係直線の傾きθ1よりも小さくなると考えられる。これにより、性能劣化率R3等の性能劣化量を求めることが容易になる。
(劣化補正部64)
図5に示すように、劣化補正部64は、劣化算出部63による性能劣化量(性能劣化率)と、酸素濃度算出部55によって算出された測定ガスGにおける酸素濃度とを用いて、アンモニア濃度算出部52によるアンモニア濃度を補正し、アンモニア濃度検出装置1から出力するアンモニア出力濃度を決定するよう構成されている。性能劣化量によるアンモニア濃度の補正と、酸素濃度によるアンモニア濃度の補正とは、同時に行うことができ、順次行うこともできる。なお、同図は、センサ制御ユニット5におけるアンモニア濃度の検出に関する構成を示す。
なお、アンモニア濃度算出部52によるアンモニア濃度を補正することと、電位差検出部51による電位差ΔVを補正することとは等価である。つまり、電位差検出部51による電位差ΔVを補正することによって、アンモニア濃度算出部52によるアンモニア濃度を補正することができる。
図15は、混成電位式のアンモニア素子部2において、測定ガスGにおけるアンモニア濃度の変化に応じて検出される、電位差検出部51による検出電極22と第1基準電極23との間の電位差(混成電位)ΔVが、酸素濃度の影響を受けて変化することを示す。同図に示すように、電位差検出部51によって検出される電位差(混成電位)ΔVは、酸素濃度が高くなるほど小さく検出される(マイナス側のゼロに近い位置で検出される)。この理由は、図10における傾きθsによって説明したとおりである。
図16に示すように、本形態の劣化補正部64は、酸素濃度をパラメータとして、電位差検出部51による電位差ΔVと、酸素濃度による補正が行われた酸素補正後アンモニア濃度C1との関係を示す関係マップM1を使用する。この関係マップM1は、酸素濃度が所定の値にあるときの電位差ΔVとアンモニア濃度C1との関係として作成されている。同図においては、測定ガスG中の酸素濃度が、例えば、5[体積%]、10[体積%]、20[体積%]である場合の関係マップM1を示す。この関係マップM1を用いることにより、酸素濃度によるアンモニア濃度又は電位差ΔVの補正を容易にすることができる。
本形態の劣化補正部64は、酸素濃度算出部55による酸素濃度と、電位差検出部51による電位差ΔVとを、関係マップM1の酸素濃度及び電位差ΔVにそれぞれ照合する。そして、関係マップM1から、電位差ΔVのときの酸素補正後のアンモニア濃度C1を読み取る。そして、劣化補正部64は、酸素濃度が高いほど、酸素補正後のアンモニア濃度C1が高くなるように補正する。
また、劣化補正部64は、酸素補正後のアンモニア濃度C1及び性能劣化率R1[%]を用い、酸素・劣化補正後のアンモニア濃度C2[ppm]を、C2=C1×100/(100−R1)として求める。
検出電極22において、還元性能の劣化が電位差(混成電位)ΔVに与える影響に比べて、酸化性能の劣化が電位差(混成電位)ΔVに与える影響が大きく、性能劣化率R1がプラスの値として算出されるときには、酸素・劣化補正後のアンモニア濃度C2は、酸素補正後のアンモニア濃度C1に比べて大きくなるよう補正される。
一方、検出電極22において、還元性能の劣化が電位差(混成電位)ΔVに与える影響に比べて、酸化性能の劣化が電位差(混成電位)ΔVに与える影響が小さく、性能劣化率R1がマイナスの値として算出されるときには、酸素・劣化補正後のアンモニア濃度C2は、酸素補正後のアンモニア濃度C1に比べて小さくなるよう補正される。
こうして、酸素・劣化補正後のアンモニア濃度C2は、酸素濃度及び性能劣化量(性能劣化率)に応じて補正された、アンモニア濃度検出装置1から出力されるアンモニア出力濃度となる。
なお、性能劣化率R1を用いて劣化補正後の電位差(又はアンモニア濃度)を求めた後、この劣化補正後の電位差(又はアンモニア濃度)を関係マップに照合して、酸素・劣化補正後のアンモニア濃度を読み取ってもよい。
具体的には、劣化補正部64は、電位差検出部51によって検出される電位差ΔVをΔV0[V]としたとき、性能劣化率R1[%]を用い、劣化補正後の電位差ΔV1[V]を、ΔV1=ΔV0×100/(100−R1)として求める。そして、劣化補正後の電位差ΔV1を、関係マップM1の電位差ΔVに照合し、関係マップM1から、劣化補正後の電位差ΔV1のときの酸素・劣化補正後のアンモニア濃度を読み取ることができる。
また、関係マップは、図15に示すものとは異なるものとし、性能劣化量(性能劣化率)及び酸素濃度に応じたアンモニア濃度の補正は、前述した方法とは異なる方法で行ってもよい。関係マップM1は、例えば、酸素濃度をパラメータとして、アンモニア濃度算出部52によるアンモニア濃度と、酸素濃度による補正が行われた酸素補正後のアンモニア濃度との関係を示す関係マップとしてもよい。
切り替え部60、直流電圧印加部61、電流検出部62、劣化算出部63及び劣化補正部64は、センサ制御ユニット5内に形成されている。直流電圧印加部61は、直流電源等を用いて構成されている。電流検出部62は、検出電極22と基準電極23との間に流れる電流を測定するアンプ等を用いて形成されている。劣化算出部63及び劣化補正部64は、コンピュータ等を用いて形成されている。
なお、劣化補正部64は、酸素濃度及び性能劣化量によるアンモニア濃度の補正を行う際には、NOx検出部56による補正前NOx濃度又は補正後NOx濃度も加味してアンモニア濃度を補正することもできる。酸素素子部3におけるNOx電極33は、NOxに対する触媒活性を有するだけでなく、アンモニアに対する触媒活性も有する。そのため、アンモニア濃度は、NOx電極33において、補正前NOx濃度として検出することが可能である。これにより、劣化補正部64においては、NOx濃度に基づいて、アンモニア濃度を更に補正することもできる。
劣化補正部64によるアンモニア濃度の補正は、劣化算出部63による性能劣化量が所定の閾値以上になった場合にのみ行うことができる。また、劣化補正部64によるアンモニア濃度の補正は、劣化算出部63による性能劣化量に応じて常時行うこともできる。
(アンモニア濃度検出方法)
次に、アンモニア濃度検出装置1を用いたアンモニア濃度検出方法の一例を、図17〜図19のフローチャートを参照して説明する。
内燃機関7の燃焼運転が開始されたときには、アンモニア濃度検出装置1、還元剤供給装置73等が動作する。アンモニア濃度検出装置1においては、電位差検出部51によって、検出電極22と基準電極23との間に生じる電位差ΔVが検出されるとともに、ポンプ電流検出部54によって、ポンプ電極32と他の基準電極34との間に流れる直流電流が検出される。
まず、アンモニア濃度算出部52によって、電位差検出部51による電位差ΔVに基づいて、測定ガスGにおけるアンモニア濃度C0が算出される(図17のステップS101)。また、酸素濃度算出部55によって、ポンプ電流検出部54による直流電流に基づいて、測定ガスGにおける酸素濃度が算出される(ステップS101)。
次いで、酸素濃度のみに基づいてアンモニア濃度C0が補正される。具体的には、図16に示すように、酸素濃度及びアンモニア濃度C0が、酸素濃度をパラメータとした、アンモニア濃度C0と酸素補正後のアンモニア濃度C1との関係マップM1に照合され、関係マップM1から、アンモニア濃度C0であるときの酸素補正後のアンモニア濃度C1が読み取られる(ステップS102)。そして、酸素濃度に応じた酸素補正後のアンモニア濃度C1が、アンモニア出力濃度としてアンモニア濃度検出装置1から出力される(ステップS103)。
次いで、アンモニア濃度及び酸素濃度が特定条件にあるか否かが判定される(ステップS104)。この特定条件は、アンモニア濃度が所定の濃度範囲内にあるとともに、酸素濃度が所定の濃度範囲内にある場合とする。アンモニア濃度及び酸素濃度が特定条件にない場合には、ステップS101〜S103が繰り返し実行される。
一方、アンモニア濃度及び酸素濃度が特定条件にある場合には、性能劣化量の算出のための初期時が認定される(ステップS105)。そして、初期時において、直流電圧印加部61によって、検出電極22と基準電極23との間に所定の印加電圧値の直流電圧Eが印加され、電流検出部62によって、検出電極22と基準電極23との間に流れる直流電流が第1センサ電流I1として検出される(ステップS106)。この第1センサ電流I1は、第1評価値H1となる。また、劣化算出部63による性能劣化率を0[%]に設定する(ステップS107)。
なお、第1電流値I1(評価値H1)は、同じ仕様のアンモニア濃度検出装置1に共通の値として、マップ部59として記憶させておくこともできる。このマップ部59を用いる場合は、実施形態3において詳説する。また、図17における「a」は、図18における「a」に続くことを示す。
次いで、アンモニア濃度及び酸素濃度が特定条件にあるか否かが再び判定される(図18のステップS108)。アンモニア濃度及び酸素濃度が特定条件にない場合には、アンモニア濃度算出部52によって、電位差検出部51による電位差ΔVに基づいて、測定ガスGにおけるアンモニア濃度C0が再び算出される(ステップS109)。また、酸素濃度算出部55によって、ポンプ電流検出部54による直流電流に基づいて、測定ガスGにおける酸素濃度が再び算出される(ステップS109)。
次いで、図16に示すように、アンモニア濃度C0が、酸素濃度をパラメータとした、アンモニア濃度C0と酸素補正後のアンモニア濃度C1との関係マップM1に照合され、関係マップM1から、アンモニア濃度C0であるときの酸素補正後のアンモニア濃度C1が読み取られる(ステップS110)。また、劣化補正部64は、性能劣化率0[%]を用い、酸素・劣化補正後のアンモニア濃度C2を、C2=C0として求める(ステップS111)。そして、この酸素・劣化補正後のアンモニア濃度C2が、アンモニア出力濃度としてアンモニア濃度検出装置1から出力される(ステップS112)。
一方、ステップS108において、アンモニア濃度及び酸素濃度が特定条件にある場合には、劣化量算出ルーチンに移動する。そして、劣化量算出ルーチンにおいて、性能劣化量の算出のための評価時が認定される(図19のステップS113)。そして、評価時において、直流電圧印加部61によって、検出電極22と基準電極23との間に所定の印加電圧値の直流電圧Eが印加され、電流検出部62によって、検出電極22と基準電極23との間に流れる直流電流が第2センサ電流I2として検出される(ステップS114)。この第2センサ電流I2は、第2評価値H2となる。
次いで、劣化算出部63は、初期時の第1センサ電流I1に対する、評価時の第2センサ電流I2の性能劣化割合である性能劣化率R1を、R1=(I1−I2)/I1×100[%]として求める(ステップS115)。このとき、性能劣化率が、劣化算出後の性能劣化率R1に置き換えられる(ステップS116)。
次いで、ステップS109に戻り、アンモニア濃度C0及び酸素濃度が再び算出される。次いで、図16に示すように、アンモニア濃度C0が、酸素濃度をパラメータとした、アンモニア濃度C0と酸素補正後のアンモニア濃度C1との関係マップM1に照合され、関係マップM1から、アンモニア濃度C0であるときの酸素補正後のアンモニア濃度C1が読み取られる(ステップS110)。
また、劣化補正部64は、酸素・劣化補正後のアンモニア濃度C2を、酸素補正後のアンモニア濃度C1及び性能劣化率R1[%]を用い、C2=C1×100/(100−R1)として求める(ステップS111)。
こうして、酸素濃度及び性能劣化率に応じた酸素・劣化補正後のアンモニア濃度C2が算出され、このアンモニア濃度C2が、アンモニア出力濃度としてアンモニア濃度検出装置1から出力される(ステップS112)。
また、ステップS112の後には、アンモニア濃度検出装置1の制御を終了する信号があるか否かを判定する(ステップS117)。制御を終了する信号がある場合には、アンモニア濃度検出装置1の制御を終了する。一方、制御を終了する信号がない場合には、ステップS108に戻って、再び、ステップS108〜S117が繰り返し実行される。
また、ステップS108における、アンモニア濃度及び酸素濃度が特定条件を満たすごとに、性能劣化率R1が置き換えられる。そして、酸素濃度及び性能劣化率R1に応じて、アンモニア濃度の補正が行われる。
なお、劣化量算出サブルーチンは、所定の時間間隔ごと、又は車両の走行距離が所定の距離になるごとに実行することもできる。
(作用効果)
本形態のアンモニア濃度検出装置1は、混成電位式のものであり、測定ガスGにおけるアンモニア濃度を算出する際に、アンモニア素子部2の特に検出電極22に生じた触媒性能の劣化及び測定ガスGにおける酸素濃度を反映して、アンモニア濃度を補正するものである。
アンモニア濃度検出装置1は、アンモニア素子部2、電位差検出部51及びアンモニア濃度算出部52の他に、直流電圧印加部61、電流検出部62、劣化算出部63及び劣化補正部64を備える。劣化算出部63においては、アンモニア濃度検出装置1の使用初期である初期時と、使用初期以降である評価時とにおいて、同じ大きさの直流電圧Eを印加したときに得られるセンサ電流I1,I2を検出し、このセンサ電流I1,I2を利用して検出電極22の触媒性能の性能劣化量(性能劣化率)を算出する。そして、劣化補正部64においては、性能劣化量及び酸素濃度を用いて、アンモニア濃度を補正する。
電位差式のアンモニア濃度検出装置1は、アンモニア濃度を検出する使用時においては、通常は、検出電極22と基準電極23との間に電圧が印加されずに使用される。このときに、検出電極22と基準電極23との間に流れる電流は小さい。そして、初期時及び評価時に、直流電圧印加部61によって、検出電極22と基準電極23との間に直流電圧Eを印加したときには、第1固体電解質体21を介して検出電極22と基準電極23との間に酸素イオン(酸化物イオン)の移動が急激に生じ、検出電極22と基準電極23との間にセンサ電流が流れる。
つまり、検出電極22にアンモニアの酸化反応が生じる状態において、直流電圧印加部61によって検出電極22と基準電極23との間に直流電圧Eを印加することにより、検出電極22が有する触媒性能を、センサ電流の大きさに反映させることができる。これにより、検出電極22に被毒等による劣化が生じている場合には、初期時における第1センサ電流I1に比べて、評価時における第2センサ電流I2が小さくなると考えられる。そのため、劣化算出部63においては、第1センサ電流I1に基づく第1評価値H1と第2センサ電流I2に基づく第2評価値H2との差分に基づいて、検出電極22の触媒性能の性能劣化量を算出することができる。
そして、劣化補正部64においては、性能劣化量及び測定ガスGにおける酸素濃度を用いて、アンモニア濃度を補正する。これにより、アンモニア濃度検出装置1においては、酸素濃度だけでなく、検出電極22の触媒性能に生じた劣化が適切に反映されたアンモニア濃度を求めることができる。
それ故、本形態のアンモニア濃度検出装置1によれば、混成電位式のアンモニア濃度検出装置1によるアンモニア濃度の検出精度を高めることができる。
<実施形態2>
本形態は、初期時の第1評価値H1としての第1センサ電流I1が、劣化算出部63に記憶された関係マップM2によって決定される場合について示す。
図20に示すように、本形態のアンモニア濃度検出装置1のセンサ制御ユニット5は、電位差ΔV(又はアンモニア濃度)と第1センサ電流I1との関係が関係マップM2として求められたマップ部59を更に備える。マップ部59における関係マップM2は、アンモニア濃度検出装置1の使用の初期時として、アンモニア濃度検出装置1が実際に使用される前の試験時に、電位差検出部51による電位差ΔV(アンモニア濃度算出部52によるアンモニア濃度)が異なる複数の場合について、検出電極22と基準電極23との間に一定の直流電圧Eを印加したときに生じる第1センサ電流I1を検出して作成されたものである。
アンモニア濃度検出装置1の試験時において、関係マップM2を作成する際には、電位差検出部51によって検出される電位差ΔVが異なる複数の場合について、直流電圧印加部61によって検出電極22と基準電極23との間に直流電圧Eを印加して、第1センサ電流I1を測定する。そして、各電位差ΔVと各第1電流値I1とについて回帰分析等を行って、関係マップM2を求める。
図20に示すように、劣化算出部63は、評価時に直流電圧印加部61によって直流電圧Eを印加する直前に、電位差検出部51によって検出された電位差ΔVを、関係マップM2に照合して、関係マップM2から当該電位差ΔVにおける第1センサ電流I1を読み取る。この第1センサ電流I1は、劣化が生じていない検出電極22について求められたものである。そして、劣化算出部63は、第1評価値H1としての第1センサ電流I1と、第2評価値H2としての第2センサ電流I2との差分に基づいて、検出電極22の性能劣化量を算出するよう構成されている。
関係マップM2は、電位差ΔVと第1評価値H1との関係として求めることもできる。この場合には、劣化算出部63は、関係マップM2に電位差ΔVを照合して、この電位差ΔVにおける第1評価値H1を読み取る。この場合には、劣化算出部63は、第1評価値H1と第2評価値H2との差分に基づいて、アンモニア素子部2の性能劣化量を算出する。
また、関係マップM2は、アンモニア濃度算出部52によるアンモニア濃度と、第1センサ電流I1又は第1評価値H1との関係として求めることもできる。
また、関係マップM2は、電位差ΔV又はアンモニア濃度と、実施形態1の図14に示した、第1関係直線の傾きθ1としての第1評価値H1との関係として求めることもできる。この第1関係直線の傾きθ1は、電位差ΔVが異なる複数の場合について、複数の直流電圧Eと複数の第1センサ電流I1との関係を直線回帰して求めた傾きθ1に基づくものである。この場合には、劣化算出部63は、第2評価値H2を、複数の直流電圧Eと複数の第2センサ電流I2との関係を直線回帰したときの第2関係直線の傾きθ2とする。この場合には、劣化補正部64による劣化補正の精度を向上させることができる。
(アンモニア濃度検出方法)
次に、本形態のアンモニア濃度検出装置1を用いたアンモニア濃度検出方法を、図21のフローチャートを参照して説明する。
アンモニア濃度検出装置1の試験時において、電位差ΔVと第1センサ電流I1との関係マップM2を求める際には、電位差検出部51によって検出される電位差ΔVが適宜異なる複数の時点において、直流電圧印加部61によって検出電極22と基準電極23との間に直流電圧Eを印加して、電流検出部62によって第1センサ電流I1を検出する。印加する直流電圧Eは、複数の大きさの電位差ΔVが検出される場合において常に一定とする。
また、複数の大きさの電位差ΔVが検出される場合の各第1センサ電流I1について、各電位差ΔVと各第1センサ電流I1との関係について回帰分析等を行って関係式を作成し、この関係式を関係マップM2として記憶する。
本形態においては、劣化補正部64は、アンモニア濃度検出装置1を使用する際に、酸素濃度及び性能劣化量に応じたアンモニア濃度の補正を常時行う。具体的には、評価時において、電位差検出部51によって検出電極22と基準電極23との間の電位差ΔVが検出される(図21のステップS201)。この電位差ΔVは関係マップM2に照合される電位差ΔVとなる。
次いで、直流電圧印加部61によって、検出電極22と基準電極23との間に所定の印加電圧値の直流電圧Eが印加され、電流検出部62によって、検出電極22と基準電極23との間に流れる直流電流が第2センサ電流I2として検出される(ステップS202)。この第2センサ電流I2は、第2評価値H2となる。
次いで、劣化算出部63は、検出された電位差ΔVを、関係マップM2の電位差ΔVに照合し、関係マップM2から、当該電位差ΔVのときの第1センサ電流I1を読み取る(ステップS203)。次いで、劣化算出部63は、関係マップM2から読み取った初期時の第1センサ電流I1に対する、評価時の第2センサ電流I2の性能劣化割合である性能劣化率R1を、R1=(I1−I2)/I1×100[%]として求める(ステップS204)。
次いで、アンモニア濃度算出部52によって、電位差検出部51による電位差ΔVに基づいて、測定ガスGにおけるアンモニア濃度C0が算出される(ステップS205)。また、酸素濃度算出部55によって、ポンプ電流検出部54による直流電流に基づいて、測定ガスGにおける酸素濃度が算出される(ステップS205)。
次いで、図16に示すように、アンモニア濃度C0が、酸素濃度をパラメータとした、アンモニア濃度C0と酸素補正後のアンモニア濃度C1との関係マップM1に照合され、関係マップM1から、アンモニア濃度C0であるときの酸素補正後のアンモニア濃度C1が読み取られる(ステップS206)。
また、劣化補正部64は、酸素・劣化補正後のアンモニア濃度C2を、酸素補正後のアンモニア濃度C1及び性能劣化率R1[%]を用い、C2=C1×100/(100−R1)として求める(ステップS207)。
こうして、酸素濃度及び性能劣化率に応じた酸素・劣化補正後のアンモニア濃度C2が算出され、このアンモニア濃度C2が、アンモニア出力濃度としてアンモニア濃度検出装置1から出力される(ステップS208)。
次いで、アンモニア濃度検出装置1の制御を終了する信号があるか否かを判定する(ステップS209)。制御を終了する信号がある場合には、アンモニア濃度検出装置1の制御を終了する。一方、制御を終了する信号がない場合には、ステップ201に戻って、再び、ステップS201〜S209が繰り返し実行される。
本形態においては、ステップS201〜S204が実行されるごとに、性能劣化率R1が変更される。そして、酸素濃度及び性能劣化率に応じて、アンモニア濃度の補正が行われる。
なお、ステップS201〜S204の性能劣化率R1の変更は、所定の時間間隔ごと、又は車両の走行距離が所定の距離になるごとに行うこともできる。
本形態においては、関係マップM2を作成する必要があるものの、関係マップM2を用いることにより、劣化算出部63による劣化の判定精度を容易に高めることができる。本形態のアンモニア濃度検出装置1における、その他の構成、アンモニア濃度検出方法、作用効果等については、実施形態1の場合と同様である。また、本形態においても、実施形態1に示した符号と同一の符号が示す構成要素は、実施形態1の場合と同様である。
<実施形態3>
本形態は、検出電極22における酸素の還元性能の劣化を監視する場合について示す。
アンモニア素子部2の検出電極22においては、アンモニアの酸化反応と酸素の還元反応とが同時に生じる。実施形態1においては、検出電極22にアンモニアが到達する場合に、アンモニアの酸化性能の劣化及び酸素の還元性能の劣化を含む検出電極22の触媒性能の劣化を監視した。本形態においては、検出電極22に酸素が到達し、アンモニアがほとんど到達しない場合に、特に、検出電極22における酸素の還元性能の劣化を主に監視する。
具体的には、本形態の劣化算出部63は、初期時及び評価時を、内燃機関7がフューエルカット運転を行っている期間、又は所定の低速回転速度でアイドリング運転を行っている期間であって、還元剤供給装置73が尿素水の噴射を行っていない期間を条件として決定する。
フューエルカット時には、内燃機関7における燃料の燃焼が停止され、内燃機関7か排気管71へのNOxの排出がほとんどなくなる。そして、例えば、NOx検出部においてNOxによる電流が検出されないときには、還元剤供給装置73から触媒72へ還元剤Kとしてのアンモニアが供給されないことが想定される。
このときには、触媒72には空気中の酸素が充満し、アンモニア濃度検出装置1の検出電極22へ供給される測定ガスG中には、酸素が多く含まれ、アンモニア及びNOxがほとんど含まれない状態が形成される。そのため、当該期間に初期時及び評価時を設定することにより、劣化算出部63は、検出電極22における酸素の還元性能の性能劣化量を算出することができる。
本形態においては、直流電圧印加部61によって検出電極22と基準電極23との間に印加する直流電圧Eは、検出電極22をマイナス側とする。アンモニア濃度検出装置1のその他の構成は、実施形態1の場合と同様である。なお、直流電圧印加部61によって検出電極22と基準電極23との間に印加する直流電圧Eは、検出電極22をプラス側とすることも可能である。
検出電極22の還元性能の性能劣化量は、初期時におけるセンサ電流I1と評価時におけるセンサ電流I2とを比較することにより、容易に算出することができる。そして、実施形態1に示した劣化算出部63による性能劣化量に、還元性能の性能劣化量を加味して、劣化算出部63による最終的な性能劣化量を決定することができる。
本形態のアンモニア濃度検出装置1における、その他の構成、作用効果等については、実施形態1,2の場合と同様である。また、本形態においても、実施形態1,2に示した符号と同一の符号が示す構成要素は、実施形態1の場合と同様である。
<実施形態4>
本形態は、検出電極22と基準電極23との間に生じるセンサ電流I1,I2の代わりに、検出電極22と基準電極23との間のインピーダンスZ1,Z2を用いる場合について示す。
本形態のアンモニア濃度検出装置1は、図22に示すように、実施形態1等に示した直流電圧印加部61の代わりに、検出電極22と基準電極23との間に交流電圧Fを印加する交流電圧印加部61Xを備える。また、アンモニア濃度検出装置1は、実施形態1等に示した電流検出部62の代わりに、検出電極22と基準電極23との間のインピーダンスZ1,Z2を検出するインピーダンス検出部62Xを備える。
検出電極22と基準電極23との間のインピーダンスZ1,Z2は、検出電極22と基準電極23との間に交流電圧Fを印加したときのアンモニア素子部2の抵抗値を示す。検出電極22が、排ガスに含まれる被毒物質によって被毒されるときには、検出電極22の触媒性能が低下し、検出電極22のインピーダンスが大きくなると考えられる。検出電極22のインピーダンスの変化は、検出電極22と基準電極23との間のインピーダンスZ1,Z2の変化として生じる。
インピーダンス検出部62Xによって検出したインピーダンスを、分析によって、検出電極22、基準電極23及び第1固体電解質体21の成分に分解する場合には、インピーダンス検出部62Xによって検出電極22のインピーダンスを検出することも可能である。検出電極22と基準電極23との間のインピーダンスであるアンモニア素子部2のインピーダンスは、アンモニア素子部2における、検出電極22及び基準電極23が設けられた検知部位の温度によって変化する。そのため、初期時と評価時とにおけるアンモニア素子部2の検知部位の温度はできるだけ同じにすることが好ましい。
本形態の劣化算出部63は、アンモニア濃度検出装置1の使用初期である初期時において、インピーダンス検出部62Xによって検出される第1インピーダンスZ1に基づいて第1評価値H1を求める。また、劣化算出部63は、アンモニア濃度検出装置1の使用初期以降である評価時において、インピーダンス検出部62Xによって検出される第2インピーダンスZ2に基づいて第2評価値H2を求める。交流電圧印加部61Xは、初期時と評価時とにおいては、同じ大きさの交流電圧Fを印加する。
劣化算出部63は、第1インピーダンスZ1に基づく第1評価値H1と、第2インピーダンスZ2に基づく第2評価値H2との差分の絶対値に基づいて、アンモニア素子部2の性能劣化量を算出する。アンモニア素子部2の性能劣化量には、主に検出電極22の性能劣化量が反映される。
本形態においても、劣化算出部63による各評価値H1,H2及び性能劣化量は、実施形態1に示した「性能劣化量の第1〜第4の算出方法」によって求めることができる。性能劣化量の第1〜第4の算出方法は、センサ電流I1,I2をインピーダンスZ1,Z2に置き換えることにより、そのまま適用することができる。
例えば、劣化算出部63は、電位差検出部51による電位差ΔV又はアンモニア濃度算出部52によるアンモニア濃度が異なる複数の時点について、交流電圧印加部61Xによって検出電極22と基準電極23との間に交流電圧Fを印加したときの、複数の第1インピーダンスZ1及び複数の第2インピーダンスZ2を検出し、各評価値H1,H2を求めることができる。
また、劣化算出部63は、交流電圧印加部61Xによって検出電極22と基準電極23との間に印加する交流電圧を大きさが異なる複数の値に変化させたときの、複数の第1インピーダンスZ1及び複数の第2インピーダンスZ2を検出し、各評価値H1,H2を求めることもできる。
また、図23に示すように、アンモニア濃度検出装置1は、初期時において、電位差検出部51による電位差ΔVが異なる複数の場合の第1インピーダンスZ1に基づいて、電位差ΔVと第1インピーダンスZ1との関係が関係マップM3として求められたマップ部59を備えていてもよい。そして、劣化算出部63は、評価時に交流電圧印加部61Xによって交流電圧Fを印加する直前に、電位差検出部51による電位差ΔVを、関係マップM3の電位差ΔVに照合して、関係マップM3から当該電位差ΔVにおける第1インピーダンスZ1を読み取って第1評価値H1を求めることができる。
なお、この場合には、電位差検出部51による電位差ΔVの代わりにアンモニア濃度算出部52によるアンモニア濃度を用いてもよい。また、関係マップM3においては、第1インピーダンスZ1の代わりに第1評価値H1を用いてもよい。
(アンモニア濃度検出方法)
次に、本形態のアンモニア濃度検出装置1を用いたアンモニア濃度検出方法を、図24のフローチャートを参照して説明する。
本形態のアンモニア濃度検出方法においては、関係マップM3を用いて第1評価値H1としての第1インピーダンスZ1を決定する。
アンモニア濃度検出装置1の試験時において、電位差ΔVと第1インピーダンスZ1との関係マップM3を求める際には、電位差検出部51によって検出される電位差ΔVが適宜異なる複数の時点において、交流電圧印加部61Xによって検出電極22と基準電極23との間に交流電圧Fを印加して、インピーダンス検出部62Xによって第1インピーダンスZ1を検出する。印加する交流電圧Fは、複数の大きさの電位差ΔVが検出される場合において常に一定とする。
また、複数の大きさの電位差ΔVが検出される場合の各第1インピーダンスZ1について、各電位差ΔVと各第1インピーダンスZ1との関係について回帰分析等を行って関係式を作成し、この関係式を関係マップM3として記憶する。
本形態においては、劣化補正部64は、アンモニア濃度検出装置1を使用する際に、酸素濃度及び性能劣化量に応じたアンモニア濃度の補正を常時行う。具体的には、評価時において、電位差検出部51によって検出電極22と基準電極23との間の電位差ΔVが検出される(図24のステップS301)。この電位差ΔVは関係マップM3に照合される電位差ΔVとなる。
次いで、交流電圧印加部61Xによって、検出電極22と基準電極23との間に所定の印加電圧値の交流電圧Fが印加され、インピーダンス検出部62Xによって、検出電極22と基準電極23との間のインピーダンスが第2インピーダンスZ2として検出される(ステップS302)。この第2インピーダンスZ2は、第2評価値H2となる。
次いで、劣化算出部63は、検出された電位差ΔVを、関係マップM3の電位差ΔVに照合し、関係マップM3から、当該電位差ΔVのときの第1インピーダンスZ1を読み取る(ステップS303)。次いで、劣化算出部63は、関係マップM3から読み取った初期時の第1インピーダンスZ1に対する、評価時の第2インピーダンスZ2の性能劣化割合である性能劣化率R1を、R1=|Z1−Z2|/Z1×100[%]として求める(ステップS304)。
次いで、アンモニア濃度算出部52によって、電位差検出部51による電位差ΔVに基づいて、測定ガスGにおけるアンモニア濃度C0が算出される(ステップS305)。また、酸素濃度算出部55によって、ポンプ電流検出部54による直流電流に基づいて、測定ガスGにおける酸素濃度が算出される(ステップS305)。
次いで、図14に示すように、アンモニア濃度C0が、酸素濃度をパラメータとした、アンモニア濃度C0と酸素補正後のアンモニア濃度C1との関係マップM1に照合され、関係マップM1から、アンモニア濃度C0であるときの酸素補正後のアンモニア濃度C1が読み取られる(ステップS306)。
また、劣化補正部64は、酸素・劣化補正後のアンモニア濃度C2を、酸素補正後のアンモニア濃度C1及び性能劣化率R1[%]を用い、C2=C1×100/(100−R1)として求める(ステップS307)。
こうして、酸素濃度及び性能劣化率に応じた酸素・劣化補正後のアンモニア濃度C2が算出され、このアンモニア濃度C2が、アンモニア出力濃度としてアンモニア濃度検出装置1から出力される(ステップS308)。
次いで、アンモニア濃度検出装置1の制御を終了する信号があるか否かを判定する(ステップS309)。制御を終了する信号がある場合には、アンモニア濃度検出装置1の制御を終了する。一方、制御を終了する信号がない場合には、ステップ201に戻って、再び、ステップS301〜S309が繰り返し実行される。
本形態においては、ステップS301〜S304が実行されるごとに、性能劣化率R1が変更される。そして、酸素濃度及び性能劣化率に応じて、アンモニア濃度の補正が行われる。
なお、ステップS301〜S304の性能劣化率R1の変更は、所定の時間間隔ごと、又は車両の走行距離が所定の距離になるごとに行うこともできる。
関係マップM3は、実施形態1に示した、電位差ΔV又はアンモニア濃度と、第1関係直線の傾きθ1としての第1評価値H1との関係として求めることもできる。第1関係直線の傾きθ1は、複数の交流電圧と複数の第1インピーダンスZ1との関係を直線回帰したものとすることができる。この場合には、劣化算出部63は、第2評価値H2を、複数の交流電圧と複数の第2インピーダンスZ2との関係を直線回帰したときの第2関係直線の傾きθ2とする。
また、実施形態4の劣化算出部63がインピーダンスZ1,Z2を用いて性能劣化量を算出する場合にも、実施形態1〜3に示した、劣化算出部63がセンサ電流I1,I2を用いて性能劣化量を算出する場合と同様の構成を採用することができる。
(作用効果)
本形態のアンモニア濃度検出装置1は、アンモニア素子部2、電位差検出部51及びアンモニア濃度算出部52の他に、交流電圧印加部61X、インピーダンス検出部62X、劣化算出部63及び劣化補正部64を備える。劣化算出部63においては、アンモニア濃度検出装置1の使用初期である初期時と、使用初期以降である評価時とにおいて、同じ大きさの交流電圧Fを印加したときに得られるインピーダンスZ1,Z2を検出し、このインピーダンスZ1,Z2を利用して検出電極22の性能劣化量(性能劣化率)を算出する。そして、劣化補正部64においては、性能劣化量及び酸素濃度を用いて、アンモニア濃度を補正する。
検出電極22と基準電極23との間のインピーダンスは、検出電極22の劣化等によって変化し、検出電極22の触媒性能を反映した値となる。そのため、検出電極22と基準電極23との間のインピーダンスを監視することにより、検出電極22の性能劣化量を監視することができる。
初期時及び評価時においては、交流電圧印加部61Xによって検出電極22と基準電極23との間に交流電圧Fを印加したときに、インピーダンス検出部62Xによって、第1固体電解質体21を介する検出電極22と基準電極23との間のインピーダンスZ1,Z2を検出する。このとき、特に検出電極22に被毒等による劣化が生じている場合には、初期時における第1インピーダンスZ1に比べて、評価時における第2インピーダンスZ2が大きくなると考えられる。そのため、劣化算出部63においては、第1インピーダンスZ1に基づく第1評価値H1と第2インピーダンスZ2に基づく第2評価値H2との差分の絶対値に基づいて、検出電極22の性能劣化量を算出することができる。
そして、劣化補正部64においては、性能劣化量、及び酸素濃度算出部55による測定ガスGにおける酸素濃度を用いて、アンモニア濃度を補正する。これにより、本形態のアンモニア濃度検出装置1においても、酸素濃度だけでなく、アンモニア素子部2の特に検出電極22に生じた劣化が適切に反映されたアンモニア濃度を求めることができる。
それ故、本形態のアンモニア濃度検出装置1によっても、混成電位式のアンモニア濃度検出装置1によるアンモニア濃度の検出精度を高めることができる。また、本形態においても、関係マップM3を作成する必要があるものの、関係マップM3を用いることにより、劣化算出部63による劣化の判定精度を容易に高めることができる。
本形態のアンモニア濃度検出装置1における、その他の構成、アンモニア濃度検出方法、作用効果等については、実施形態1〜3の場合と同様である。また、本形態においても、実施形態1〜3に示した符号と同一の符号が示す構成要素は、実施形態1〜3の場合と同様である。
本発明は、各実施形態のみに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲においてさらに異なる実施形態を構成することが可能である。また、本発明は、様々な変形例、均等範囲内の変形例等を含む。
1 アンモニア濃度検出装置
2 アンモニア素子部
51 電位差検出部
52 アンモニア濃度算出部
61 直流電圧印加部
62 電流検出部
63 劣化算出部
64 劣化補正部

Claims (13)

  1. 酸素イオンの伝導性を有する固体電解質体(21)、前記固体電解質体における、酸素及びアンモニアが含まれる測定ガス(G)に晒される第1表面(211)に設けられた検出電極(22)、及び前記固体電解質体における、前記第1表面とは反対側の第2表面(212)に設けられた基準電極(23)を有するアンモニア素子部(2)と、
    前記検出電極と前記基準電極との間に生じる電位差(ΔV)を検出する電位差検出部(51)と、
    前記電位差検出部による電位差に基づいて、前記測定ガスにおけるアンモニア濃度を算出するアンモニア濃度算出部(52)と、
    前記検出電極と前記基準電極との間に直流電圧(E)を印加する直流電圧印加部(61)と、
    前記検出電極と前記基準電極との間に流れる直流電流を検出する電流検出部(62)と、
    前記アンモニア濃度検出装置の使用初期である初期時において前記直流電圧印加部によって前記検出電極と前記基準電極との間に直流電圧を印加したときに、前記電流検出部によって検出される直流電流である第1センサ電流(I1)に基づく第1評価値(H1)と、前記アンモニア濃度検出装置の前記使用初期以降である評価時において前記直流電圧印加部によって前記検出電極と前記基準電極との間に前記初期時と同じ大きさの直流電圧を印加したときに、前記電流検出部によって検出される直流電流である第2センサ電流(I2)に基づく第2評価値(H2)と、の差分に基づいて、前記アンモニア素子部の性能劣化量(R1,R2,R3)を算出する劣化算出部(63)と、
    前記劣化算出部による性能劣化量と、前記測定ガスにおける酸素濃度とを用いて、前記アンモニア濃度算出部によるアンモニア濃度を補正する劣化補正部(64)と、を備えるアンモニア濃度検出装置。
  2. 前記劣化算出部は、
    前記電位差検出部による電位差又は前記アンモニア濃度算出部によるアンモニア濃度が異なる複数の時点について、前記直流電圧印加部によって前記検知電極と前記基準電極との間に直流電圧を印加したときの、複数の前記第1センサ電流及び複数の前記第2センサ電流を検出し、
    前記第1評価値を、複数の前記第1センサ電流に基づいて求めるとともに、前記第2評価値を、複数の前記第2センサ電流に基づいて求めるよう構成されている、請求項1に記載のアンモニア濃度検出装置。
  3. 前記劣化算出部は、
    前記直流電圧印加部によって前記検知電極と前記基準電極との間に印加する直流電圧を大きさが異なる複数の値に変化させたときの、複数の前記第1センサ電流及び複数の前記第2センサ電流を検出し、
    前記第1評価値を、複数の前記直流電圧と複数の前記第1センサ電流との関係に基づいて求めるとともに、前記第2評価値を、複数の前記直流電圧と複数の前記第2センサ電流との関係に基づいて求めるよう構成されている、請求項1に記載のアンモニア濃度検出装置。
  4. 前記アンモニア濃度検出装置は、前記初期時において、前記電位差検出部による電位差又は前記アンモニア濃度算出部によるアンモニア濃度が異なる複数の場合の前記第1センサ電流に基づいて、前記アンモニア濃度と前記第1センサ電流との関係が関係マップ(M)として求められたマップ部(59)を更に備え、
    前記劣化算出部は、
    前記評価時に前記直流電圧印加部によって直流電圧を印加する直前に、前記電位差検出部による電位差又は前記アンモニア濃度算出部によって算出されたアンモニア濃度を、前記関係マップに照合して、前記関係マップから当該電位差又は当該アンモニア濃度における前記第1センサ電流を読み取って前記第1評価値を求め、
    かつ、前記第1評価値と、前記第2センサ電流に基づく前記第2評価値との差分に基づいて、前記アンモニア素子部の性能劣化量を算出するよう構成されている、請求項1に記載のアンモニア濃度検出装置。
  5. 前記アンモニア濃度検出装置は、前記初期時において、前記電位差検出部による電位差又は前記アンモニア濃度算出部によるアンモニア濃度が異なる複数の場合の前記第1評価値に基づいて、前記アンモニア濃度と前記第1評価値との関係が関係マップ(M)として求められたマップ部(59)を更に備え、
    前記劣化算出部は、
    前記評価時に前記直流電圧印加部によって直流電圧を印加する直前に、前記電位差検出部による電位差又は前記アンモニア濃度算出部によって算出されたアンモニア濃度を、前記関係マップに照合して、前記関係マップから当該電位差又は当該アンモニア濃度における前記第1評価値を読み取り、
    かつ、前記第1評価値と、前記第2センサ電流である前記第2評価値との差分に基づいて、前記アンモニア素子部の性能劣化量を算出するよう構成されている、請求項1に記載のアンモニア濃度検出装置。
  6. 酸素イオンの伝導性を有する固体電解質体(21)、前記固体電解質体における、酸素及びアンモニアが含まれる測定ガス(G)に晒される第1表面(211)に設けられた検出電極(22)、及び前記固体電解質体における、前記第1表面とは反対側の第2表面(212)に設けられた基準電極(23)を有するアンモニア素子部(2)と、
    前記検出電極と前記基準電極との間に生じる電位差(ΔV)を検出する電位差検出部(51)と、
    前記電位差検出部による電位差に基づいて、前記測定ガスにおけるアンモニア濃度を算出するアンモニア濃度算出部(52)と、
    前記検出電極と前記基準電極との間に交流電圧(F)を印加する交流電圧印加部(61X)と、
    前記検出電極、又は前記検出電極と前記基準電極との間のインピーダンスを検出するインピーダンス検出部(62X)と、
    前記アンモニア濃度検出装置の使用初期である初期時において前記交流電圧印加部によって前記検出電極と前記基準電極との間に交流電圧を印加したときに、前記インピーダンス検出部によって検出される第1インピーダンス(Z1)に基づく第1評価値(H1)と、前記アンモニア濃度検出装置の前記使用初期以降である評価時において前記交流電圧印加部によって前記検出電極と前記基準電極との間に前記初期時と同じ大きさの交流電圧を印加したときに、前記インピーダンス検出部によって検出される第2インピーダンス(Z2)に基づく第2評価値(H2)と、の差分の絶対値に基づいて、前記アンモニア素子部の性能劣化量(R1,R2,R3)を算出する劣化算出部と(63)、
    前記劣化算出部による性能劣化量と、前記測定ガスにおける酸素濃度とを用いて、前記アンモニア濃度算出部によるアンモニア濃度を補正する劣化補正部(64)と、を備えるアンモニア濃度検出装置。
  7. 前記劣化算出部は、
    前記電位差検出部による電位差又は前記アンモニア濃度算出部によるアンモニア濃度が異なる複数の時点について、前記交流電圧印加部によって前記検知電極と前記基準電極との間に交流電圧を印加したときの、複数の前記第1インピーダンス及び複数の前記第2インピーダンスを検出し、
    前記第1評価値を、複数の前記第1インピーダンスに基づいて求めるとともに、前記第2評価値を、複数の前記第2インピーダンスに基づいて求めるよう構成されている、請求項6に記載のアンモニア濃度検出装置。
  8. 前記劣化算出部は、
    前記交流電圧印加部によって前記検知電極と前記基準電極との間に印加する交流電圧を大きさが異なる複数の値に変化させたときの、複数の前記第1インピーダンス及び複数の前記第2インピーダンスを検出し、
    前記第1評価値を、複数の前記交流電圧と複数の前記第1インピーダンスとの関係に基づいて求めるとともに、前記第2評価値を、複数の前記交流電圧と複数の前記第2インピーダンスとの関係に基づいて求めるよう構成されている、請求項6に記載のアンモニア濃度検出装置。
  9. 前記アンモニア濃度検出装置は、前記初期時において、前記電位差検出部による電位差又は前記アンモニア濃度算出部によるアンモニア濃度が異なる複数の場合の前記第1インピーダンスに基づいて、前記アンモニア濃度と前記第1インピーダンスとの関係が関係マップ(M)として求められたマップ部(59)を更に備え、
    前記劣化算出部は、
    前記評価時に前記交流電圧印加部によって交流電圧を印加する直前に、前記電位差検出部による電位差又は前記アンモニア濃度算出部によって算出されたアンモニア濃度を、前記関係マップに照合して、前記関係マップから当該電位差又は当該アンモニア濃度における前記第1インピーダンスを読み取って前記第1評価値を求め、
    かつ、前記第1評価値と、前記第2インピーダンスに基づく前記第2評価値との差分に基づいて、前記アンモニア素子部の性能劣化量を算出するよう構成されている、請求項6に記載のアンモニア濃度検出装置。
  10. 前記アンモニア濃度検出装置は、前記初期時において、前記電位差検出部による電位差又は前記アンモニア濃度算出部によるアンモニア濃度が異なる複数の場合の前記第1評価値に基づいて、前記アンモニア濃度と前記第1評価値との関係が関係マップ(M)として求められたマップ部(59)を更に備え、
    前記劣化算出部は、
    前記評価時に前記交流電圧印加部によって交流電圧を印加する直前に、前記電位差検出部による電位差又は前記アンモニア濃度算出部によって算出されたアンモニア濃度を、前記関係マップに照合して、前記関係マップから当該電位差又は当該アンモニア濃度における前記第1評価値を読み取り、
    かつ、前記第1評価値と、前記第2インピーダンスに基づく前記第2評価値との差分に基づいて、前記アンモニア素子部の性能劣化量を算出するよう構成されている、請求項6に記載のアンモニア濃度検出装置。
  11. 前記アンモニア濃度検出装置は、NOxを還元する触媒(72)及び前記触媒へアンモニアを含む還元剤(K)を供給する還元剤供給装置(73)が配置された、内燃機関(7)の排気管(71)において、前記触媒から流出するアンモニアの濃度を検出するものであり、
    前記劣化算出部は、前記初期時及び前記評価時を、前記内燃機関がアイドリング運転を行っている期間、前記内燃機関がフューエルカット運転を行っている期間、及び前記還元剤供給装置が前記還元剤を供給している期間の少なくとも1つを条件として決定する、請求項1〜10のいずれか1項に記載のアンモニア濃度検出装置。
  12. 前記アンモニア濃度検出装置は、NOxを還元する触媒(72)及び前記触媒へアンモニアを含む還元剤(K)を供給する還元剤供給装置(73)が配置された、内燃機関(7)の排気管(71)において、前記触媒から流出するアンモニアの濃度を検出するものであり、
    前記劣化算出部は、前記初期時及び前記評価時を、前記内燃機関がフューエルカット運転を行っている期間であって前記還元剤供給装置が前記触媒へ前記還元剤を供給している期間を条件として決定する、請求項1〜10のいずれか1項に記載のアンモニア濃度検出装置。
  13. 前記電位差検出部は、
    前記アンモニア電極における、酸素の還元反応とアンモニアの酸化反応とが等しくなるときに生じる、前記アンモニア電極と前記基準電極との間の電位差を検出するよう構成されており、
    前記アンモニア濃度検出装置は、
    前記固体電解質体に対向して配置された、酸素イオンの伝導性を有する他の固体電解質体(31)、前記他の固体電解質体の第3表面(311)に接して形成された測定ガス室(35)、前記測定ガス室へ拡散速度を制限して前記測定ガスを導入する拡散抵抗部(351)、前記第3表面における前記測定ガス室内の位置に設けられたポンプ電極(32)、及び前記他の固体電解質体における、前記第3表面とは反対側の第4表面(312)に設けられた他の基準電極(34)を有する酸素素子部(3)と、
    前記他の基準電極をプラス側として前記ポンプ電極と前記他の基準電極との間に直流電圧を印加して、前記測定ガス室内の前記測定ガスにおける酸素を汲み出すポンピング部(53)と、
    前記ポンプ電極と前記他の基準電極との間に流れる直流電流を検出するポンプ電流検出部(54)と、
    前記ポンプ電流検出部によって検出された直流電流に基づいて、前記測定ガスにおける酸素濃度を算出する酸素濃度算出部(55)と、を更に備え、
    前記アンモニア濃度算出部は、前記酸素濃度算出部による酸素濃度に基づいて、前記アンモニア濃度を補正するよう構成されている、請求項1〜12のいずれか1項に記載のアンモニア濃度検出装置。
JP2018100253A 2018-05-25 2018-05-25 アンモニア濃度検出装置 Active JP7071874B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018100253A JP7071874B2 (ja) 2018-05-25 2018-05-25 アンモニア濃度検出装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018100253A JP7071874B2 (ja) 2018-05-25 2018-05-25 アンモニア濃度検出装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019203840A true JP2019203840A (ja) 2019-11-28
JP7071874B2 JP7071874B2 (ja) 2022-05-19

Family

ID=68726744

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018100253A Active JP7071874B2 (ja) 2018-05-25 2018-05-25 アンモニア濃度検出装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7071874B2 (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000258387A (ja) * 1999-03-04 2000-09-22 Toyota Motor Corp 空燃比センサの制御装置
JP2017116438A (ja) * 2015-12-25 2017-06-29 株式会社デンソー ガスセンサの制御装置
JP2017187403A (ja) * 2016-04-06 2017-10-12 日本特殊陶業株式会社 ガスセンサ素子の劣化判定装置
JP2018072315A (ja) * 2016-10-24 2018-05-10 日本碍子株式会社 アンモニア濃度測定装置,アンモニア濃度測定システム,排ガス処理システム,及びアンモニア濃度測定方法
JP2019203839A (ja) * 2018-05-25 2019-11-28 株式会社Soken アンモニアセンサの劣化判定装置

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000258387A (ja) * 1999-03-04 2000-09-22 Toyota Motor Corp 空燃比センサの制御装置
JP2017116438A (ja) * 2015-12-25 2017-06-29 株式会社デンソー ガスセンサの制御装置
JP2017187403A (ja) * 2016-04-06 2017-10-12 日本特殊陶業株式会社 ガスセンサ素子の劣化判定装置
JP2018072315A (ja) * 2016-10-24 2018-05-10 日本碍子株式会社 アンモニア濃度測定装置,アンモニア濃度測定システム,排ガス処理システム,及びアンモニア濃度測定方法
JP2019203839A (ja) * 2018-05-25 2019-11-28 株式会社Soken アンモニアセンサの劣化判定装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP7071874B2 (ja) 2022-05-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1077375B1 (en) Method and apparatus for measuring NOx gas concentration
JP5469553B2 (ja) アンモニア濃度検出センサ
JP6757794B2 (ja) 排ガス浄化システム及び排ガス浄化方法
EP2442099B1 (en) Gas concentration measuring apparatus designed to compensate for output error
US11530665B2 (en) Deterioration determination apparatus for ammonia sensor
JP3664558B2 (ja) ガスセンサ
WO2020145042A1 (ja) ガス濃度検出装置
JP6966348B2 (ja) 特定ガス濃度測定装置及び特定ガス濃度測定システム
JP3481344B2 (ja) 排ガス浄化用触媒の劣化検知方法及びそのためのシステム
US20210262974A1 (en) Gas sensor
JP7085897B2 (ja) アンモニア濃度検出装置
JP7071873B2 (ja) マルチガスセンサ
JP2009175014A (ja) NOxセンサ及びその劣化診断装置
JP7075818B2 (ja) マルチガスセンサ
CN111946432A (zh) 用于监控气体传感器的方法
JP2001133429A (ja) 車載用noxセンサのオフセット再校正方法
JP7071874B2 (ja) アンモニア濃度検出装置
JP7146619B2 (ja) アンモニアセンサ
JP7089942B2 (ja) アンモニア濃度検出装置
JP7304317B2 (ja) アンモニア濃度検出装置
JP2020056670A (ja) ガスセンサ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210317

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220118

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220125

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220322

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220412

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220509

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7071874

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150