JP2019203840A - アンモニア濃度検出装置 - Google Patents
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Abstract
Description
前記検出電極と前記基準電極との間に生じる電位差(ΔV)を検出する電位差検出部(51)と、
前記電位差検出部による電位差に基づいて、前記測定ガスにおけるアンモニア濃度を算出するアンモニア濃度算出部(52)と、
前記検出電極と前記基準電極との間に直流電圧(E)を印加する直流電圧印加部(61)と、
前記検出電極と前記基準電極との間に流れる直流電流を検出する電流検出部(62)と、
前記アンモニア濃度検出装置の使用初期である初期時において前記直流電圧印加部によって前記検出電極と前記基準電極との間に直流電圧を印加したときに、前記電流検出部によって検出される直流電流である第1センサ電流(I1)に基づく第1評価値(H1)と、前記アンモニア濃度検出装置の前記使用初期以降である評価時において前記直流電圧印加部によって前記検出電極と前記基準電極との間に前記初期時と同じ大きさの直流電圧を印加したときに、前記電流検出部によって検出される直流電流である第2センサ電流(I2)に基づく第2評価値(H2)と、の差分に基づいて、前記アンモニア素子部の性能劣化量(R1,R2,R3)を算出する劣化算出部(63)と、
前記劣化算出部による性能劣化量と、前記測定ガスにおける酸素濃度とを用いて、前記アンモニア濃度算出部によるアンモニア濃度を補正する劣化補正部(64)と、を備えるアンモニア濃度検出装置にある。
前記検出電極と前記基準電極との間に生じる電位差(ΔV)を検出する電位差検出部(51)と、
前記電位差検出部による電位差に基づいて、前記測定ガスにおけるアンモニア濃度を算出するアンモニア濃度算出部(52)と、
前記検出電極と前記基準電極との間に交流電圧(F)を印加する交流電圧印加部(61X)と、
前記検出電極、又は前記検出電極と前記基準電極との間のインピーダンスを検出するインピーダンス検出部(62X)と、
前記アンモニア濃度検出装置の使用初期である初期時において前記交流電圧印加部によって前記検出電極と前記基準電極との間に交流電圧を印加したときに、前記インピーダンス検出部によって検出される第1インピーダンス(Z1)に基づく第1評価値(H1)と、前記アンモニア濃度検出装置の前記使用初期以降である評価時において前記交流電圧印加部によって前記検出電極と前記基準電極との間に前記初期時と同じ大きさの交流電圧を印加したときに、前記インピーダンス検出部によって検出される第2インピーダンス(Z2)に基づく第2評価値(H2)と、の差分の絶対値に基づいて、前記アンモニア素子部の性能劣化量(R1,R2,R3)を算出する劣化算出部と(63)、
前記劣化算出部による性能劣化量と、前記測定ガスにおける酸素濃度とを用いて、前記アンモニア濃度算出部によるアンモニア濃度を補正する劣化補正部(64)と、を備えるアンモニア濃度検出装置にある。
前記一態様のアンモニア濃度検出装置は、電位差式(起電力式)のものであり、測定ガスにおけるアンモニア濃度を算出する際に、アンモニア素子部の特に検出電極に生じた性能劣化及び測定ガスにおける酸素濃度を反映して、アンモニア濃度を補正するものである。
前記他の態様のアンモニア濃度検出装置も、電位差式(起電力式)のものであり、測定ガスにおけるアンモニア濃度を算出する際に、アンモニア素子部の特に検出電極に生じた性能劣化及び測定ガスにおける酸素濃度を反映して、アンモニア濃度を補正するものである。
なお、アンモニアセンサの使用初期である初期時は、アンモニアセンサの使用が実際に開始される時としてもよく、アンモニアセンサが実際に使用される前に試験的に使用される時としてもよい。そして、第1評価値は、個々のアンモニアセンサについて求めた値としてもよく、同じ仕様のアンモニアセンサについて共通して求めた値としてもよい。
<実施形態1>
本形態のアンモニア濃度検出装置1は、図1〜図4に示すように、電位差式(起電力式)のものであり、測定ガスGにおけるアンモニア濃度を検出するものである。アンモニア濃度検出装置1は、アンモニア素子部2、電位差検出部51、アンモニア濃度算出部52、直流電圧印加部61、電流検出部62、劣化算出部63及び劣化補正部64を備える。
(アンモニア濃度検出装置1)
図1に示すように、本形態のアンモニア濃度検出装置1は、電位差式としての混成電位式のものである。このアンモニア濃度検出装置1においては、酸素及びアンモニアが含まれる状態の測定ガスGにおけるアンモニアの濃度を検出する。本形態の電位差検出部51は、検出電極22における、酸素の電気化学的還元反応(以下、単に還元反応という。)による還元電流とアンモニアの電気化学的酸化反応(以下、単に酸化反応という。)による酸化電流とが等しくなるときに生じる、検出電極22と基準電極23との間の電位差ΔVを検出するよう構成されている。
同図に示すように、排気管71には、NOxを還元するための触媒72と、触媒72へアンモニアを含む還元剤Kを供給する還元剤供給装置73とが配置されている。触媒72は、触媒担体に、NOxの還元剤Kとしてのアンモニアが付着されるものである。触媒72の触媒担体におけるアンモニアの付着量は、NOxの還元反応に伴って減少する。そして、触媒担体におけるアンモニアの付着量が少なくなったときには、還元剤供給装置73から触媒担体へ新たにアンモニアが補充される。還元剤供給装置73は、排気管71における、触媒72よりも排ガスの流れの上流側位置に配置されており、尿素水を噴射して発生するアンモニアガスを排気管71へ供給するものである。アンモニアガスは、尿素水が加水分解されて生成される。還元剤供給装置73には、尿素水のタンク731が接続されている。
図6に示すように、本形態のアンモニア濃度検出装置1は、排気管71における、触媒72よりも下流側位置に配置される。なお、排気管71に配置されるのは、厳密には、アンモニア濃度検出装置1のセンサ素子10及びセンサ素子10を保持するセンサ本体である。便宜上、本形態においては、センサ本体のことをアンモニア濃度検出装置1ということがある。
エンジン制御ユニット50によるアンモニアの供給制御が行われることにより、触媒72の下流側位置(触媒出口721)及びアンモニア濃度検出装置1の配置位置に存在する測定ガスGのNOx及びアンモニアの濃度領域においては、NOxがアンモニアによって適切に還元される状態と、NOxの流出量が多くなる状態と、アンモニアの流出量が多くなる状態とが、時間を変えて生じることになる。
第1固体電解質体21は、板状に形成されており、所定の温度において酸素イオンを伝導させる性質を有するジルコニア材料を用いて構成されている。ジルコニア材料は、ジルコニアを主成分とする種々の材料によって構成することができる。ジルコニア材料には、イットリア(酸化イットリウム)等の希土類金属元素もしくはアルカリ土類金属元素によってジルコニアの一部を置換させた安定化ジルコニア又は部分安定化ジルコニアを用いることができる。
図1に示すように、本形態の電位差検出部51は、検出電極22に混成電位が生じたときの検出電極22と基準電極23との間の電位差ΔVを検出する。検出電極22においては、検出電極22に接触する測定ガスG中にアンモニアと酸素とが存在する場合に、アンモニアの酸化反応と、酸素の還元反応とが同時に進行する。アンモニアの酸化反応は、代表的には、2NH3+3O2-→N2+3H2O+6e-によって表される。酸素の還元反応は、代表的には、O2+4e-→2O2-によって表される。そして、検出電極22における、アンモニアと酸素とによる混成電位は、検出電極22における、アンモニアの酸化反応(速度)と酸素の還元反応(速度)とが等しくなるときの電位として生じる。
アンモニア素子部2の検出電極22においては、アンモニアの酸化反応と酸素の還元反応とが主に行われる。そのため、検出電極22における触媒性能の劣化は、アンモニアの酸化性能の劣化と、酸素の還元性能の劣化とに分けて考えることができる。
図1に示すように、本形態のアンモニア濃度算出部52は、電位差検出部51による電位差ΔVに基づいて、測定ガスGにおけるアンモニア濃度を算出する。電位差ΔVとアンモニア濃度との関係は、アンモニア濃度検出装置1の試作・実験時等において、関係マップとして求めておくことができる。そして、アンモニア濃度は、電位差ΔVを関係マップに照合して求めることができる。
図1に示すように、本形態のアンモニア濃度検出装置1は、マルチガスセンサを形成するために、アンモニア素子部2、電位差検出部51、アンモニア濃度算出部52、直流電圧印加部61、電流検出部62、劣化算出部63及び劣化補正部64の他に、酸素素子部3、ポンピング部53、ポンプ電流検出部54、酸素濃度算出部55、NOx検出部56及びNOx濃度算出部57を備える。また、酸素素子部3には、酸素素子部3及びアンモニア素子部2を加熱するヒータ部4が積層されている。
図1及び図2に示すように、第2固体電解質体31の、第1固体電解質体21が積層された側とは反対側には、酸素素子部3及びアンモニア素子部2を加熱するヒータ部4が積層されている。ヒータ部4は、通電によって発熱する発熱体41と、発熱体41を埋設するヒータ用絶縁体42とによって形成されている。ヒータ用絶縁体42は、アルミナ等のセラミックス材料からなる。
図1に示すように、ポンピング部53は、他の基準電極34をプラス側として、ポンプ電極32と他の基準電極34との間に直流電圧を印加して、測定ガス室35内の測定ガスGにおける酸素を汲み出すよう構成されている。ポンプ電極32と他の基準電極34との間に直流電圧が印加されるときには、ポンプ電極32に接触する、測定ガス室35内の測定ガスGにおける酸素が、酸素イオンとなって第2固体電解質体31を他の基準電極34に向けて通過し、基準電極23から大気ダクト24へと排出される。これにより、測定ガス室35内の酸素濃度が、NOxの検出に適した濃度に調整される。
図1に示すように、NOx検出部56は、他の基準電極34をプラス側としてNOx電極33と他の基準電極34との間に直流電圧を印加して、NOx電極33と他の基準電極34との間に流れる直流電流を検出するよう構成されている。NOx濃度算出部57は、NOx検出部56によって検出される直流電流に基づいて、測定ガスGにおける補正前NOx濃度を算出し、補正前NOx濃度からアンモニア濃度算出部52によるアンモニア濃度を差し引いて補正後NOx濃度を算出するよう構成されている。NOx検出部56においては、NOxだけでなくアンモニアも検出される。そのため、NOx濃度算出部57においては、アンモニアの検出量を差し引くことにより実際のNOxの検出量が得られる。
図1に示すように、本形態の直流電圧印加部61は、基準電極23をマイナス側として検出電極22と基準電極23との間に直流電圧Eを印加するよう構成されている。「基準電極23をマイナス側として検出電極22と基準電極23との間に直流電圧Eを印加すること」は、基準電極23の電位を検出電極22の電位よりも低くして電圧を印加することを意味する。
劣化算出部63は、直流電圧Eが印加されずに使用される電位差式のアンモニア濃度検出装置1において、直流電圧Eの印加を利用するものである。劣化算出部63は、検出電極22と基準電極23との間に直流電圧Eを印加することにより、検出電極22と基準電極23との間に強制的にセンサ電流I1,I2を生じさせる。そして、本形態の劣化算出部63は、アンモニア濃度検出装置1がある程度の長期間使用された後の評価時の第2センサ電流I2が、アンモニア濃度検出装置1が使用される前又はアンモニア濃度検出装置1の使用初期である初期時の第1センサ電流I1と比べてどれだけ小さくなったかを見て、検出電極22の触媒性能の性能劣化量を算出する。
図1に示すように、アンモニア濃度検出装置1は、劣化判定を行う際に、検出電極22と基準電極23との間に、直流電圧印加部61及び電流検出部62を接続するための切り替え部60を有する。切り替え部60は、劣化算出部63によって性能劣化量を算出するときには、検出電極22と基準電極23との間に直流電圧印加部61及び電流検出部62を接続し、劣化算出部63によって性能劣化量を算出しないときには、検出電極22と基準電極23との間から直流電圧印加部61及び電流検出部62を切り離すスイッチング回路によって構成されている。
アンモニア素子部2の検出電極22の触媒性能には、アンモニアの酸化性能と、酸素の還元性能とがある。本形態の劣化算出部63によっては、主に、検出電極22におけるアンモニアの酸化性能の性能劣化量を算出する。そのため、劣化算出部63においては、測定ガスGにアンモニアが含まれるときを初期時及び評価時として、性能劣化量を算出する。
測定ガスGとしての排ガスには、酸素、アンモニア、NOxの他に、未燃ガス成分としてのCO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)等が混在する場合もある。検出電極22において検出される混成電位は、アンモニア濃度及び酸素濃度によって変化するだけでなく、他ガスとしてのNOx、CO、HC等の濃度によっても変化することが確認された。ただし、この他ガスによる混成電位の変化は、測定ガスG中にアンモニアが含まれている場合には、あまり生じないことが確認された。
本形態の劣化算出部63における初期時は、アンモニア濃度検出装置1の使用初期であってアンモニア濃度算出部52によるアンモニア濃度がアンモニアの検出を示す濃度である場合として設定する。また、劣化算出部63における評価時は、アンモニア濃度検出装置1の使用初期以降であってアンモニア濃度算出部52によるアンモニア濃度がアンモニアの検出を示す濃度である場合として設定する。
本形態の劣化算出部63においては、第1評価値H1を第1センサ電流I1とし、第2評価値H2を第2センサ電流I2とする。また、第1センサ電流I1を、性能劣化量を求める際の基準値とする。本形態の性能劣化量は、基準値としての初期時の第1センサ電流I1に対する、評価時の第2センサ電流I2の性能劣化割合である性能劣化率R1とする。性能劣化率R1[%]は、R1=(I1−I2)/I1×100[%]として求める。これにより、性能劣化率R1等の性能劣化量を容易に求めることができる。
また、劣化算出部63は、アンモニア濃度算出部52によるアンモニア濃度が異なる複数の時点について、直流電圧印加部61によって検知電極と基準電極23との間に直流電圧Eを印加したときの、複数の第1センサ電流I1及び複数の第2センサ電流I2を検出することもできる。そして、劣化算出部63は、第1評価値H1を、複数の第1センサ電流I1に基づいて求めるとともに、第2評価値H2を、複数の第2センサ電流I2に基づいて求めることができる。
また、図13に示すように、劣化算出部63は、アンモニア濃度算出部52によるアンモニア濃度が異なる複数の時点について第1センサ電流I1及び第2センサ電流I2を検出し、複数のアンモニア濃度と複数の第1センサ電流I1との関係を直線回帰したときの第1関係直線の傾きθ1を、第1評価値H1として求めるとともに、複数のアンモニア濃度と複数の第2センサ電流I2との関係を直線回帰したときの第2関係直線の傾きθ2を、第2評価値H2として求めることもできる。同図には、この場合の第1関係直線の傾きθ1及び第2関係直線の傾きθ2を示す。
また、劣化算出部63は、直流電圧印加部61によって検出電極22と基準電極23との間に印加する直流電圧Eを大きさが異なる複数の値に変化させたときの、複数の第1センサ電流I1及び複数の第2センサ電流I2を検出することもできる。そして、劣化算出部63は、第1評価値H1を、複数の直流電圧Eと複数の第1センサ電流I1との関係に基づいて求めるとともに、第2評価値H2を、複数の直流電圧Eと複数の第2センサ電流I2との関係に基づいて求めることができる。
図5に示すように、劣化補正部64は、劣化算出部63による性能劣化量(性能劣化率)と、酸素濃度算出部55によって算出された測定ガスGにおける酸素濃度とを用いて、アンモニア濃度算出部52によるアンモニア濃度を補正し、アンモニア濃度検出装置1から出力するアンモニア出力濃度を決定するよう構成されている。性能劣化量によるアンモニア濃度の補正と、酸素濃度によるアンモニア濃度の補正とは、同時に行うことができ、順次行うこともできる。なお、同図は、センサ制御ユニット5におけるアンモニア濃度の検出に関する構成を示す。
次に、アンモニア濃度検出装置1を用いたアンモニア濃度検出方法の一例を、図17〜図19のフローチャートを参照して説明する。
内燃機関7の燃焼運転が開始されたときには、アンモニア濃度検出装置1、還元剤供給装置73等が動作する。アンモニア濃度検出装置1においては、電位差検出部51によって、検出電極22と基準電極23との間に生じる電位差ΔVが検出されるとともに、ポンプ電流検出部54によって、ポンプ電極32と他の基準電極34との間に流れる直流電流が検出される。
なお、劣化量算出サブルーチンは、所定の時間間隔ごと、又は車両の走行距離が所定の距離になるごとに実行することもできる。
本形態のアンモニア濃度検出装置1は、混成電位式のものであり、測定ガスGにおけるアンモニア濃度を算出する際に、アンモニア素子部2の特に検出電極22に生じた触媒性能の劣化及び測定ガスGにおける酸素濃度を反映して、アンモニア濃度を補正するものである。
本形態は、初期時の第1評価値H1としての第1センサ電流I1が、劣化算出部63に記憶された関係マップM2によって決定される場合について示す。
図20に示すように、本形態のアンモニア濃度検出装置1のセンサ制御ユニット5は、電位差ΔV(又はアンモニア濃度)と第1センサ電流I1との関係が関係マップM2として求められたマップ部59を更に備える。マップ部59における関係マップM2は、アンモニア濃度検出装置1の使用の初期時として、アンモニア濃度検出装置1が実際に使用される前の試験時に、電位差検出部51による電位差ΔV(アンモニア濃度算出部52によるアンモニア濃度)が異なる複数の場合について、検出電極22と基準電極23との間に一定の直流電圧Eを印加したときに生じる第1センサ電流I1を検出して作成されたものである。
次に、本形態のアンモニア濃度検出装置1を用いたアンモニア濃度検出方法を、図21のフローチャートを参照して説明する。
アンモニア濃度検出装置1の試験時において、電位差ΔVと第1センサ電流I1との関係マップM2を求める際には、電位差検出部51によって検出される電位差ΔVが適宜異なる複数の時点において、直流電圧印加部61によって検出電極22と基準電極23との間に直流電圧Eを印加して、電流検出部62によって第1センサ電流I1を検出する。印加する直流電圧Eは、複数の大きさの電位差ΔVが検出される場合において常に一定とする。
なお、ステップS201〜S204の性能劣化率R1の変更は、所定の時間間隔ごと、又は車両の走行距離が所定の距離になるごとに行うこともできる。
本形態は、検出電極22における酸素の還元性能の劣化を監視する場合について示す。
アンモニア素子部2の検出電極22においては、アンモニアの酸化反応と酸素の還元反応とが同時に生じる。実施形態1においては、検出電極22にアンモニアが到達する場合に、アンモニアの酸化性能の劣化及び酸素の還元性能の劣化を含む検出電極22の触媒性能の劣化を監視した。本形態においては、検出電極22に酸素が到達し、アンモニアがほとんど到達しない場合に、特に、検出電極22における酸素の還元性能の劣化を主に監視する。
本形態は、検出電極22と基準電極23との間に生じるセンサ電流I1,I2の代わりに、検出電極22と基準電極23との間のインピーダンスZ1,Z2を用いる場合について示す。
本形態のアンモニア濃度検出装置1は、図22に示すように、実施形態1等に示した直流電圧印加部61の代わりに、検出電極22と基準電極23との間に交流電圧Fを印加する交流電圧印加部61Xを備える。また、アンモニア濃度検出装置1は、実施形態1等に示した電流検出部62の代わりに、検出電極22と基準電極23との間のインピーダンスZ1,Z2を検出するインピーダンス検出部62Xを備える。
次に、本形態のアンモニア濃度検出装置1を用いたアンモニア濃度検出方法を、図24のフローチャートを参照して説明する。
本形態のアンモニア濃度検出方法においては、関係マップM3を用いて第1評価値H1としての第1インピーダンスZ1を決定する。
なお、ステップS301〜S304の性能劣化率R1の変更は、所定の時間間隔ごと、又は車両の走行距離が所定の距離になるごとに行うこともできる。
本形態のアンモニア濃度検出装置1は、アンモニア素子部2、電位差検出部51及びアンモニア濃度算出部52の他に、交流電圧印加部61X、インピーダンス検出部62X、劣化算出部63及び劣化補正部64を備える。劣化算出部63においては、アンモニア濃度検出装置1の使用初期である初期時と、使用初期以降である評価時とにおいて、同じ大きさの交流電圧Fを印加したときに得られるインピーダンスZ1,Z2を検出し、このインピーダンスZ1,Z2を利用して検出電極22の性能劣化量(性能劣化率)を算出する。そして、劣化補正部64においては、性能劣化量及び酸素濃度を用いて、アンモニア濃度を補正する。
2 アンモニア素子部
51 電位差検出部
52 アンモニア濃度算出部
61 直流電圧印加部
62 電流検出部
63 劣化算出部
64 劣化補正部
Claims (13)
- 酸素イオンの伝導性を有する固体電解質体(21)、前記固体電解質体における、酸素及びアンモニアが含まれる測定ガス(G)に晒される第1表面(211)に設けられた検出電極(22)、及び前記固体電解質体における、前記第1表面とは反対側の第2表面(212)に設けられた基準電極(23)を有するアンモニア素子部(2)と、
前記検出電極と前記基準電極との間に生じる電位差(ΔV)を検出する電位差検出部(51)と、
前記電位差検出部による電位差に基づいて、前記測定ガスにおけるアンモニア濃度を算出するアンモニア濃度算出部(52)と、
前記検出電極と前記基準電極との間に直流電圧(E)を印加する直流電圧印加部(61)と、
前記検出電極と前記基準電極との間に流れる直流電流を検出する電流検出部(62)と、
前記アンモニア濃度検出装置の使用初期である初期時において前記直流電圧印加部によって前記検出電極と前記基準電極との間に直流電圧を印加したときに、前記電流検出部によって検出される直流電流である第1センサ電流(I1)に基づく第1評価値(H1)と、前記アンモニア濃度検出装置の前記使用初期以降である評価時において前記直流電圧印加部によって前記検出電極と前記基準電極との間に前記初期時と同じ大きさの直流電圧を印加したときに、前記電流検出部によって検出される直流電流である第2センサ電流(I2)に基づく第2評価値(H2)と、の差分に基づいて、前記アンモニア素子部の性能劣化量(R1,R2,R3)を算出する劣化算出部(63)と、
前記劣化算出部による性能劣化量と、前記測定ガスにおける酸素濃度とを用いて、前記アンモニア濃度算出部によるアンモニア濃度を補正する劣化補正部(64)と、を備えるアンモニア濃度検出装置。 - 前記劣化算出部は、
前記電位差検出部による電位差又は前記アンモニア濃度算出部によるアンモニア濃度が異なる複数の時点について、前記直流電圧印加部によって前記検知電極と前記基準電極との間に直流電圧を印加したときの、複数の前記第1センサ電流及び複数の前記第2センサ電流を検出し、
前記第1評価値を、複数の前記第1センサ電流に基づいて求めるとともに、前記第2評価値を、複数の前記第2センサ電流に基づいて求めるよう構成されている、請求項1に記載のアンモニア濃度検出装置。 - 前記劣化算出部は、
前記直流電圧印加部によって前記検知電極と前記基準電極との間に印加する直流電圧を大きさが異なる複数の値に変化させたときの、複数の前記第1センサ電流及び複数の前記第2センサ電流を検出し、
前記第1評価値を、複数の前記直流電圧と複数の前記第1センサ電流との関係に基づいて求めるとともに、前記第2評価値を、複数の前記直流電圧と複数の前記第2センサ電流との関係に基づいて求めるよう構成されている、請求項1に記載のアンモニア濃度検出装置。 - 前記アンモニア濃度検出装置は、前記初期時において、前記電位差検出部による電位差又は前記アンモニア濃度算出部によるアンモニア濃度が異なる複数の場合の前記第1センサ電流に基づいて、前記アンモニア濃度と前記第1センサ電流との関係が関係マップ(M)として求められたマップ部(59)を更に備え、
前記劣化算出部は、
前記評価時に前記直流電圧印加部によって直流電圧を印加する直前に、前記電位差検出部による電位差又は前記アンモニア濃度算出部によって算出されたアンモニア濃度を、前記関係マップに照合して、前記関係マップから当該電位差又は当該アンモニア濃度における前記第1センサ電流を読み取って前記第1評価値を求め、
かつ、前記第1評価値と、前記第2センサ電流に基づく前記第2評価値との差分に基づいて、前記アンモニア素子部の性能劣化量を算出するよう構成されている、請求項1に記載のアンモニア濃度検出装置。 - 前記アンモニア濃度検出装置は、前記初期時において、前記電位差検出部による電位差又は前記アンモニア濃度算出部によるアンモニア濃度が異なる複数の場合の前記第1評価値に基づいて、前記アンモニア濃度と前記第1評価値との関係が関係マップ(M)として求められたマップ部(59)を更に備え、
前記劣化算出部は、
前記評価時に前記直流電圧印加部によって直流電圧を印加する直前に、前記電位差検出部による電位差又は前記アンモニア濃度算出部によって算出されたアンモニア濃度を、前記関係マップに照合して、前記関係マップから当該電位差又は当該アンモニア濃度における前記第1評価値を読み取り、
かつ、前記第1評価値と、前記第2センサ電流である前記第2評価値との差分に基づいて、前記アンモニア素子部の性能劣化量を算出するよう構成されている、請求項1に記載のアンモニア濃度検出装置。 - 酸素イオンの伝導性を有する固体電解質体(21)、前記固体電解質体における、酸素及びアンモニアが含まれる測定ガス(G)に晒される第1表面(211)に設けられた検出電極(22)、及び前記固体電解質体における、前記第1表面とは反対側の第2表面(212)に設けられた基準電極(23)を有するアンモニア素子部(2)と、
前記検出電極と前記基準電極との間に生じる電位差(ΔV)を検出する電位差検出部(51)と、
前記電位差検出部による電位差に基づいて、前記測定ガスにおけるアンモニア濃度を算出するアンモニア濃度算出部(52)と、
前記検出電極と前記基準電極との間に交流電圧(F)を印加する交流電圧印加部(61X)と、
前記検出電極、又は前記検出電極と前記基準電極との間のインピーダンスを検出するインピーダンス検出部(62X)と、
前記アンモニア濃度検出装置の使用初期である初期時において前記交流電圧印加部によって前記検出電極と前記基準電極との間に交流電圧を印加したときに、前記インピーダンス検出部によって検出される第1インピーダンス(Z1)に基づく第1評価値(H1)と、前記アンモニア濃度検出装置の前記使用初期以降である評価時において前記交流電圧印加部によって前記検出電極と前記基準電極との間に前記初期時と同じ大きさの交流電圧を印加したときに、前記インピーダンス検出部によって検出される第2インピーダンス(Z2)に基づく第2評価値(H2)と、の差分の絶対値に基づいて、前記アンモニア素子部の性能劣化量(R1,R2,R3)を算出する劣化算出部と(63)、
前記劣化算出部による性能劣化量と、前記測定ガスにおける酸素濃度とを用いて、前記アンモニア濃度算出部によるアンモニア濃度を補正する劣化補正部(64)と、を備えるアンモニア濃度検出装置。 - 前記劣化算出部は、
前記電位差検出部による電位差又は前記アンモニア濃度算出部によるアンモニア濃度が異なる複数の時点について、前記交流電圧印加部によって前記検知電極と前記基準電極との間に交流電圧を印加したときの、複数の前記第1インピーダンス及び複数の前記第2インピーダンスを検出し、
前記第1評価値を、複数の前記第1インピーダンスに基づいて求めるとともに、前記第2評価値を、複数の前記第2インピーダンスに基づいて求めるよう構成されている、請求項6に記載のアンモニア濃度検出装置。 - 前記劣化算出部は、
前記交流電圧印加部によって前記検知電極と前記基準電極との間に印加する交流電圧を大きさが異なる複数の値に変化させたときの、複数の前記第1インピーダンス及び複数の前記第2インピーダンスを検出し、
前記第1評価値を、複数の前記交流電圧と複数の前記第1インピーダンスとの関係に基づいて求めるとともに、前記第2評価値を、複数の前記交流電圧と複数の前記第2インピーダンスとの関係に基づいて求めるよう構成されている、請求項6に記載のアンモニア濃度検出装置。 - 前記アンモニア濃度検出装置は、前記初期時において、前記電位差検出部による電位差又は前記アンモニア濃度算出部によるアンモニア濃度が異なる複数の場合の前記第1インピーダンスに基づいて、前記アンモニア濃度と前記第1インピーダンスとの関係が関係マップ(M)として求められたマップ部(59)を更に備え、
前記劣化算出部は、
前記評価時に前記交流電圧印加部によって交流電圧を印加する直前に、前記電位差検出部による電位差又は前記アンモニア濃度算出部によって算出されたアンモニア濃度を、前記関係マップに照合して、前記関係マップから当該電位差又は当該アンモニア濃度における前記第1インピーダンスを読み取って前記第1評価値を求め、
かつ、前記第1評価値と、前記第2インピーダンスに基づく前記第2評価値との差分に基づいて、前記アンモニア素子部の性能劣化量を算出するよう構成されている、請求項6に記載のアンモニア濃度検出装置。 - 前記アンモニア濃度検出装置は、前記初期時において、前記電位差検出部による電位差又は前記アンモニア濃度算出部によるアンモニア濃度が異なる複数の場合の前記第1評価値に基づいて、前記アンモニア濃度と前記第1評価値との関係が関係マップ(M)として求められたマップ部(59)を更に備え、
前記劣化算出部は、
前記評価時に前記交流電圧印加部によって交流電圧を印加する直前に、前記電位差検出部による電位差又は前記アンモニア濃度算出部によって算出されたアンモニア濃度を、前記関係マップに照合して、前記関係マップから当該電位差又は当該アンモニア濃度における前記第1評価値を読み取り、
かつ、前記第1評価値と、前記第2インピーダンスに基づく前記第2評価値との差分に基づいて、前記アンモニア素子部の性能劣化量を算出するよう構成されている、請求項6に記載のアンモニア濃度検出装置。 - 前記アンモニア濃度検出装置は、NOxを還元する触媒(72)及び前記触媒へアンモニアを含む還元剤(K)を供給する還元剤供給装置(73)が配置された、内燃機関(7)の排気管(71)において、前記触媒から流出するアンモニアの濃度を検出するものであり、
前記劣化算出部は、前記初期時及び前記評価時を、前記内燃機関がアイドリング運転を行っている期間、前記内燃機関がフューエルカット運転を行っている期間、及び前記還元剤供給装置が前記還元剤を供給している期間の少なくとも1つを条件として決定する、請求項1〜10のいずれか1項に記載のアンモニア濃度検出装置。 - 前記アンモニア濃度検出装置は、NOxを還元する触媒(72)及び前記触媒へアンモニアを含む還元剤(K)を供給する還元剤供給装置(73)が配置された、内燃機関(7)の排気管(71)において、前記触媒から流出するアンモニアの濃度を検出するものであり、
前記劣化算出部は、前記初期時及び前記評価時を、前記内燃機関がフューエルカット運転を行っている期間であって前記還元剤供給装置が前記触媒へ前記還元剤を供給している期間を条件として決定する、請求項1〜10のいずれか1項に記載のアンモニア濃度検出装置。 - 前記電位差検出部は、
前記アンモニア電極における、酸素の還元反応とアンモニアの酸化反応とが等しくなるときに生じる、前記アンモニア電極と前記基準電極との間の電位差を検出するよう構成されており、
前記アンモニア濃度検出装置は、
前記固体電解質体に対向して配置された、酸素イオンの伝導性を有する他の固体電解質体(31)、前記他の固体電解質体の第3表面(311)に接して形成された測定ガス室(35)、前記測定ガス室へ拡散速度を制限して前記測定ガスを導入する拡散抵抗部(351)、前記第3表面における前記測定ガス室内の位置に設けられたポンプ電極(32)、及び前記他の固体電解質体における、前記第3表面とは反対側の第4表面(312)に設けられた他の基準電極(34)を有する酸素素子部(3)と、
前記他の基準電極をプラス側として前記ポンプ電極と前記他の基準電極との間に直流電圧を印加して、前記測定ガス室内の前記測定ガスにおける酸素を汲み出すポンピング部(53)と、
前記ポンプ電極と前記他の基準電極との間に流れる直流電流を検出するポンプ電流検出部(54)と、
前記ポンプ電流検出部によって検出された直流電流に基づいて、前記測定ガスにおける酸素濃度を算出する酸素濃度算出部(55)と、を更に備え、
前記アンモニア濃度算出部は、前記酸素濃度算出部による酸素濃度に基づいて、前記アンモニア濃度を補正するよう構成されている、請求項1〜12のいずれか1項に記載のアンモニア濃度検出装置。
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