JP2018069317A - 厚鋼板の製造方法および圧延のパススケジュール設定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】形状の良好な厚鋼板の製造方法および圧延のパススケジュール設定方法を提供する。
【解決手段】加熱したスラブを、圧延機により1パス以上の圧延を行って所定の制御圧延開始板厚の制御圧延材とした後、制御圧延材を冷却設備により所定の制御圧延開始温度まで冷却し、さらに圧延機により1パス以上の制御圧延を行って仕上板厚とする厚鋼板の製造方法であって、制御圧延材の圧延幅に従って制御圧延開始板厚を変更する。
【選択図】図4

Description

本発明は、形状が良好な厚鋼板の製造方法および圧延のパススケジュール設定方法に関する。
近年、厚鋼板には、優れた強度および靭性の両立を求められる。優れた強度および靭性を両立した厚鋼板を得るには、鋼板組織の結晶粒微細化を行うことが最も有効とされており、その要求を満たす方法の一例として、圧延材に制御圧延を施す方法が挙げられる。制御圧延とは、1000℃以上に加熱したスラブを所定の温度で所定の板厚まで再結晶温度域で圧延した後、圧延材の温度が未再結晶温度域またはその温度域に近い温度域にある状態で仕上板厚まで圧延を行う圧延方法である。優れた強度を維持しつつ靭性の向上を図るためには、圧延における、圧延温度、圧延機での圧下率およびパス数を適切に制御することが有効とされる。一般に、制御圧延を開始する温度は、主として圧延材の成分により決まる(例えば、非特許文献1を参照)。圧延温度は、製品の材質に影響する。また、制御圧延における圧下率、パス数などの圧延条件は、製品毎に決まる。圧延条件は、製品の材質および形状に影響する。一般的に制御圧延を開始する板厚は製品厚の1.4〜2.0倍以上あれば良いとされており、製品厚毎に決まっている。
上述の圧延温度および圧延条件の制御は、パススケジュールに基づき行われる。パススケジュールとは、圧延のパス配分を決めたものである。制御圧延材では、所定の制御圧延開始板厚および制御圧延開始温度から制御圧延を開始するため、圧延の途中や制御圧延の開始直前に、水冷や空冷等の冷却により制御圧延材の温度を調整する時間を設ける場合がある。この温度調整は未再結晶温度域よりも高い温度で行われるため、圧延による加工歪は減少してしまう。一般的に制御圧延開始板厚に対しては、この加工歪減少による影響は小さい。しかし、冷却を設けていない同じ条件(板厚、板幅および制御圧延開始温度)の制御圧延材と比較すると、冷却後の制御圧延材では、冷却後の圧延に必要な荷重が異なる。このため、パススケジュール通りに制御圧延を行っても目的とする材質、形状を得られない問題がある。加工歪減少を解消するためには、冷却後の適切な荷重予測をできればよいが難しい。実生産では、目的とする材質および適切な形状を確保する為に、パススケジュールのパス数に数パス(例えば4パス)を追加して、上述の問題を解消している。しかし、このような圧延は高荷重圧延のため、パス数の追加により形状不良を招く。そのため、歪不良がなく、形状の良好な厚鋼板の提供を要望されている。また、パス数追加により仕上圧延完了時点での制御圧延材の温度が設定した仕上温度よりも下回るため、目標の材質を得られない問題もあり、この問題の解消も求められている。
特許文献1には、冷却時間予測を正確に行うパススケジュール設定方法の技術を開示している。特許文献2には、圧下率を調整することにより、形状良好な鋼板を提供する製造方法の技術を開示している。
特開2013−151021号公報 特開2000−158008号公報
小指軍夫著「制御圧延・制御冷却」地人書館出版、1997年2月10日、p.28‐29
従来、一般的に、制御圧延では制御圧延開始温度と仕上温度に着目していたため、板幅と板厚の関係に着目していなかった。
また、従来のパス数を追加する方法では、高荷重圧延の増加による形状不良の問題がある。パス数が増加すれば鋼板温度が低下するため、材質にも影響する。
特許文献1に記載の技術では、冷却や圧延の時間予測を正確に行うため、圧延能率は改善されるが、冷却後の加工歪減少や高荷重圧延による形状不良が改善されるかは不明である。特許文献2に記載の技術では、通常よりも高荷重の圧延を行うため、形状不良改善の向上に繋がるかは不明である。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、形状の良好な厚鋼板の製造方法および圧延のパススケジュール設定方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、次のことを見出した。
従来、成分組成および仕上板厚を同じとする制御圧延材の場合には、圧延材の圧延幅に関わらず、制御圧延開始板厚および制御圧延開始温度を同一に設定したパススケジュールが作成される。しかし、実操業では、圧延を行う際、圧延材の温度、板厚、成分および規格だけでなく、圧延幅も考慮してパススケジュールを決定している。すなわち、制御圧延開始板厚、制御圧延開始温度、仕上板厚が等しい場合、圧延幅が狭ければ仕上板厚までのパス数は少なくなるが、圧延幅が広ければ仕上板厚までのパス数は多くなる。また、シングルスタンドにおいて、制御圧延時に適切な形状を確保するために必要なパス数(以下、適正パス数と称する場合もある)は、仕上板厚までに5パス以上のパス数を確保することが有効とされている。これは、形状制御がオペレータによる介入によって成立しているため、圧延機の前面、後面のどちらで温度調整を行った場合でも、前面にあるオペレータの監視室で、圧延中の形状を確認するパスを、制御圧延開始板厚のパスを除いて、2パス以上要するためである。そこで、本発明では、圧延材の圧延幅によって制御圧延開始板厚を変化させることで、制御圧延開始板厚から仕上板厚までのパス数を適正パス数以上に保つことができることを見出した。
本発明は、以上の知見に基づき完成されたものであり、その要旨は以下の通りである。
[1]加熱したスラブを、圧延機により1パス以上の圧延を行って所定の制御圧延開始板厚の制御圧延材とした後、前記制御圧延材を冷却設備により所定の制御圧延開始温度まで冷却し、さらに圧延機により1パス以上の制御圧延を行って仕上板厚とする厚鋼板の製造方法であって、前記制御圧延材の圧延幅に従って前記制御圧延開始板厚を変更することを特徴とする厚鋼板の製造方法。
[2]加熱したスラブを、圧延機により1パス以上の圧延を行って所定の制御圧延開始板厚の制御圧延材とした後、前記制御圧延材を冷却設備により所定の制御圧延開始温度まで冷却し、さらに圧延機により1パス以上の制御圧延を行って仕上板厚にするための圧延のパススケジュール設定方法であって、制御圧延材の情報を設定する対象材設定ステップと、前記制御圧延材の情報から制御圧延条件を設定してパススケジュールを作成するパススケジュール作成ステップと、前記パススケジュールを確定するパススケジュール設定ステップとを含み、前記パススケジュール作成ステップにより、前記制御圧延材の圧延幅に従って前記制御圧延開始板厚を変更することを特徴とする圧延のパススケジュール設定方法。
[3]前記制御圧延開始板厚の変更は、以下(1)〜(3)の条件を満足するように変更されることを特徴とする[2]に記載の圧延のパススケジュール設定方法。
(1)上位命令の制御圧延開始板厚以上であること
(2)形状制御開始板厚以上であること
(3)制御圧延開始板厚から仕上板厚までのパス数が、予め設定した適正パス数以上であること
[4]さらに、前記制御圧延開始板厚の変更は、以下(4)の条件を満足するように変更されることを特徴とする[3]に記載の圧延のパススケジュール設定方法。
(4)上限の制御圧延開始板厚以内であること
本発明によれば、制御圧延材の圧延幅により制御圧延開始板厚を変化させ、さらに、制御圧延開始板厚から仕上板厚までのパス数を適正パス数以上に保つことにより、形状が良好な厚鋼板が得られる。また、本発明により得られる鋼板は、形状不良による不良品を防止し、歩留まりを向上できる。なお、本発明における形状が良好とは、歪が小さいことをいう。
図1は、制御圧延開始板厚/仕上板厚と強度を説明する関係図である。 図2は、制御圧延開始板厚/仕上板厚と0℃におけるシャルピー吸収エネルギーを説明する関係図である。 図3は、圧延幅と制御圧延開始板厚〜仕上板厚までのパス数を説明する関係図である。 図4は、パススケジュール設定装置の構成例を示すブロック図である。 図5は、パススケジュール設定処理の処理手順を示すフローチャートである。 図6は、実施例および比較例における制御圧延開始板厚と歪、寸法不合格率の関係を示す図である。
以下、本発明の一実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
まず、本発明の基本的な技術思想について説明する。
制御圧延開始板厚を厚くすることについては、材質上の問題点は少ないとされている。本発明者らは、板厚と、強度および靭性との関係を鋭意調査し、その結果を図1、2に示す。図1は、制御圧延開始板厚と仕上板厚の比に対する、降伏強度および引張強度(以下、強度と称する)の関係を示すものである。図1より、強度は、この範囲(制御圧延開始板厚と仕上板厚の比が、約2.0〜3.2の範囲)では制御開始板厚に依存していないことが分かる。図2は、制御圧延開始板厚と仕上板厚の比に対する、0℃におけるシャルピー吸収エネルギー(以下、vE0℃と称する。)の関係を示すものである。図2より、vE0℃では制御圧延開始板厚に対する依存が小さいことが分かる。以上より、制御圧延開始板厚を厚くまたは薄く変化させても、ある範囲では、製品の強度およびvE0℃に影響を与えないことを見出した。
また、本発明者らは、制御圧延開始板厚から仕上板厚までのパス数(以下、制御圧延パス数と称する)、制御圧延開始板厚、および圧延幅の関係が図3のようになっていることを見出した。図3は、仕上板厚を8mmとした場合の圧延幅(m)に対する制御圧延パス数と制御圧延開始板厚との関係を示すものである。なお、ここでは、制御圧延パス数:5を適正パス数として予め設定した。
従来は、上述のように、パススケジュールの作成に際し、制御圧延開始温度および制御圧延開始板厚は、圧延材の圧延幅によらず決定されていた。そのため、図3に示すように、例えば、仕上板厚:8mm、制御圧延開始板厚:16mmとした場合、圧延幅:2.5m以上5.5m以下の圧延材では、制御圧延パス数は適正パス数以上となるが、圧延幅:2.5m未満の圧延材では、制御圧延パス数は適正パス数未満となる。この場合、圧延幅2.5m未満の圧延材では、制御圧延開始板厚が厚くなるように変更すれば、適正パスの確保が可能となることがわかる。
以上より、本発明では、制御圧延材の圧延幅により制御圧延開始板厚を変更させることで、制御圧延パス数を適正パス数以上に保つことができることを見出した。
次に、本発明の厚鋼板の製造方法について説明する。
本発明は、加熱したスラブを、圧延機により1パス以上の圧延を行って所定の制御圧延開始板厚の制御圧延材とした後、制御圧延材を冷却設備により所定の制御圧延開始温度まで冷却し、さらに圧延機により1パス以上の制御圧延を行って仕上板厚とする厚鋼板の製造方法であって、制御圧延材の圧延幅に従って制御圧延開始板厚を変更し、制御圧延開始板厚から仕上板厚までのパス数を適正パス数以上にするように制御圧延のパススケジュールを設定する。
本発明の厚鋼板を製造する装置は、熱間圧延ライン上に粗圧延機と仕上圧延機との2機の可逆式圧延機と、これら圧延機の中間に圧延材(厚鋼板)を冷却する冷却装置を備える。さらに、本発明の厚鋼板を製造する装置は、これら全体を制御するプロセスコンピュータを備える。プロセスコンピュータは、後述の図4、5で説明するパススケジュール設定の処理を行う装置の制御も行う。
厚鋼板を製造する装置は、例えば、厚さ200〜300mmのスラブを1100〜1200℃程度まで加熱後、所定の制御圧延開始板厚まで圧延(粗圧延)し、その後、未再結晶温度域である850℃以下の所定の制御圧延開始温度まで冷却し、制御圧延開始温度になった時点で仕上板厚(例えば、8mm)まで圧延(仕上圧延)を行うものである。この圧延工程における温度および圧延条件などの制御は、パススケジュールに基づき行われる。パススケジュールは、前述の制御が行われる前に、後述の図5に示す処理を行うことにより設定される。パススケジュール設定の処理は、後述の図4に示す処理部により実行される。
次に、本発明の圧延のパススケジュール設定の処理を行う装置について説明する。図4は、パススケジュール設定装置の構成例を説明するブロック図である。
本発明の圧延のパススケジュールを設定する装置は、例えばビジネスコンピュータやプロセスコンピュータを用いて、対象材を選択し、制御圧延材の圧延幅に応じて制御圧延開始板厚を変更し、さらに制御圧延パス数が適正パス数以上である制御圧延材のパススケジュール作成などを行う。図4に示すように、上述の装置は少なくとも入力部1、出力部2、処理部3、記憶部4から構成される。
入力部1は、例えばキーボードなどの入力装置であり、仕上温度や仕上板厚などの対象材を選択するための情報が入力される。入力された情報は処理部3へ出力される。出力部2は、例えばディスプレイなど表示装置であり、処理部3からの情報を表示する。記憶部4は、例えばハードディスク等の記録媒体や書き込み装置などであり、上述の装置の実行に必要なデータおよび各処理のデータが保存される。記憶部4は、少なくとも、対象材毎の制御圧延開始板厚、制御圧延開始温度および規格などの情報を保存する対象材データベース41と、パススケジュールを都度一時的または確定データとして保存するパススケジュールデータベース42を有する。処理部3は、例えばCPUなどであり、入力部1から出力された対象材の情報をもとに、パススケジュールの作成、パススケジュールの設定などを行い、確定されたパススケジュールをもとに圧延設備の動作を制御する。処理部3は、対象材設定部31、パススケジュール作成部32、およびパススケジュール設定部33を有する。
本発明では、入力された仕上板厚および仕上温度などの情報を処理部3へ送り、処理部3を用いて後述するパススケジュール設定処理を行う。そして、処理部3を用いて設定されたパススケジュールに基づき、圧延設備の圧延機等を制御する。
次に、本発明のパススケジュール設定方法について説明する。図5は圧延のパススケジュール設定処理の処理手順の一例を示すものである。
本発明のパススケジュール設定方法とは、加熱したスラブを、圧延機により1パス以上の圧延を行って所定の制御圧延開始板厚の制御圧延材とした後、制御圧延材を冷却設備により所定の制御圧延開始温度まで冷却し、さらに圧延機により1パス以上の制御圧延を行って仕上板厚にするためのパススケジュール設定方法であって、入力された仕上温度および仕上板厚のデータより対象材情報を設定し、前記仕上板厚および前記対象材情報のデータより上位命令の制御圧延開始板厚を算出し、前記仕上温度、前記仕上板厚、前記対象材情報、前記上位命令の制御圧延開始板厚のデータなどの制御圧延材の情報を後続の処理へ渡す対象材設定ステップと、前記制御圧延材の情報から上限の制御圧延開始板厚および形状制御圧延開始板厚を算出して制御圧延条件を設定し、前記制御圧延条件を用いて制御圧延開始板厚から仕上板厚までのパス数が予め設定した適正なパス数以上であるように、前記制御圧延材の圧延幅に従って制御圧延開始板厚を変更し、パススケジュールを作成するパススケジュール作成ステップと、前記パススケジュールを確定するパススケジュール設定ステップと、を含むものである。
先ず、対象材設定ステップ(ステップS1)が行われる。
ステップS1では、処理部3の対象材設定部31が、入力部より入力された仕上温度および仕上板厚のデータを用いて対象材情報の設定を行う。続いて、仕上板厚と対象材情報のデータを用いて上位命令の制御圧延開始板厚を算出する。ここで、対象材情報とは、スラブ寸法、圧延幅などの圧延寸法、材質に関するデータなどである。対象材情報として、ビジネスコンピュータなどの上位システムから圧延に必要な情報のみが送られる。仕上板厚とは、仕上圧延終了時の板厚であり、例えば顧客からの依頼時に指定された数値である。仕上温度とは、仕上圧延終了時の鋼板表面の温度であり、例えば要求される材質により決まる数値である。上位命令の制御圧延開始板厚とは、上位システムから送られる制御圧延開始板厚であり、制御圧延開始板厚の下限を表す。
そして、仕上温度、仕上板厚、対象材情報、上位命令の制御圧延開始板厚などの各データが、後続の処理へ渡される。
次いで、パススケジュール作成ステップ(ステップS2)が行われる。
まず、ステップS2では、パススケジュール作成部32が、仕上板厚を用いて、制御圧延開始板厚の上限(以下、上限の制御圧延開始板厚と称する)を算出する。また、仕上板厚および対象材情報の圧延幅を用いて、形状制御圧延開始板厚を算出する。形状制御圧延開始板厚は、板厚が厚いほど、もしくは板幅が狭いほど形状制御開始板厚と仕上板厚との差を小さく設定される。そして、制御圧延条件の設定を行う。ここで、形状制御開始板厚とは、板クラウンの変化が形状に現れ始める板厚のことである。制御圧延条件とは、例えば、上位命令の制御圧延開始板厚、上限の制御圧延開始板厚、形状制御開始板厚、制御圧延開始温度、パス数、各パスの圧延温度および各パスの圧下率、仕上板厚、仕上温度などのパススケジュール作成に必要となるデータである。また、制御圧延条件には適正パス数を含む。適正パス数とは、制御圧延材が適切な形状を確保するために必要なパス数であり、制御圧延開始板厚から仕上板厚までのパス数をいう。例えば、適正パス数は、製品の仕上板厚毎に予め設定し、データベースに記憶しておいてもよく、ここではZパス(固定値)として設定される。
続いて、パススケジュール作成部32が、上述の制御圧延条件のデータを用いて、パススケジュールの制御圧延開始板厚、各パスの圧延温度および圧下率などを算出する。その後、算出結果に基づきパススケジュールの作成を行う。なお、作成されるパススケジュールは、パススケジュールデータベースに都度一時的に保存されるようにしてもよい。本発明では、パススケジュールの制御圧延開始板厚の算出に際し、次の条件を満足することを特徴とする。以下に、各条件とその限定理由について説明する。
(1)パススケジュールの制御圧延開始板厚が、上位命令の制御圧延開始板厚以上であること
パススケジュールの制御圧延開始板厚が、上位命令の制御圧延開始板厚(制御圧延開始板厚の下限)未満の場合、必要とされる材質を確保できない可能性がある。よって、上位命令の制御圧延開始板厚以上とする。
(2)パススケジュールの制御圧延開始板厚が、形状制御開始板厚以上であること
パススケジュールの制御圧延開始板厚が、形状制御開始板厚以下になる場合、板クラウンの変化が形状に出る恐れがある。特に、制御圧延の場合、温度調整時間中に加工歪が解放されて形状制御が難しくなるため、板クラウンの変化が予測と大きく外れるパスを回避する必要がある。よって、形状制御開始板厚以上とする。
(3)パススケジュールの制御圧延開始板厚から仕上板厚までのパス数(制御圧延パス数)が、予め設定した適正パス数(Zパス)以上であること
制御圧延パス数が、適正パス数未満の場合、制御圧延材の目的とする材質や形状を得られない恐れがある。この場合、制御圧延材の圧延幅に従って制御圧延開始板厚を変更し、さらに変更後の制御圧延開始板厚から仕上板厚までの制御圧延パス数が適正パス数以上であるように調整する必要がある。例えば、制御圧延パス数が適正パス数を下回る場合、適正パス数を確保するために、制御圧延開始板厚の上限あるいは下限を用いて、パススケジュールの制御圧延開始板厚を変更する。
(4)パススケジュールの制御圧延開始板厚が、上限の制御圧延開始板厚以内であること
パススケジュールの制御圧延開始板厚が、設定した上限の制御圧延開始板厚を超える場合、パス数をむやみに増やす恐れがある。よって、パス数増加を防止するため、上限の制御圧延開始板厚以内とするとよい。
本発明では、上記(1)〜(3)の条件を満足する制御圧延開始板厚を用いてパススケジュールを作成すれば、上記した本発明の効果を得られる。さらに上記(4)の条件を満足することにより、パス数をむやみに増やすことの防止につながり、生産コストの面でもより有利な効果を得られる。
次いで、パススケジュール設定ステップ(ステップS3)が行われる。
ステップS3では、パススケジュール設定部33が、処理部3により作成されたパススケジュールの確定し、設定する処理を行う。なお、図示はしないが、確定されたパススケジュールは、パススケジュールデータベースに保存してもよい。そして、処理部により、確定されたパススケジュールを用いて、圧延設備の圧延機等の制御が行われる。
以下、本発明を実施例により説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
発明例として、図5の圧延のパススケジュール設定処理に従い、圧延幅により上位命令の制御圧延開始板厚を変更し、さらに制御圧延パス数が適正パス数の範囲になるようにパススケジュールを作成した。このパススケジュールを用い、制御圧延材の制御圧延を行った。一方、比較例として、圧延幅により制御圧延開始板厚を変更せずにパススケジュールを作成した。このパススケジュールを用い、制御圧延材の制御圧延を行った。
例えば、制御圧延材は、圧延幅4000mm、仕上板厚12mmである。比較例のパススケジュールは、仕上板厚に対して制御圧延開始板厚を3.0倍の厚みとして作成した。一方、発明例のパススケジュールは、仕上板厚に対して制御圧延開始板厚を2.5倍に変更し、さらに制御圧延パス数が適正パス数の範囲となるように作成した。
図6に、発明例と比較例における、歪および寸法不良による不合格率変化を示す。図6に示すように、制御圧延開始板厚を圧延幅により変更させることで、寸法や歪不合格率が改善されていることが分かる。寸法や歪不合格率は、比較例が12.4%であり、発明例が10.8%であることから、1.6%歩留が向上した。
1 入力部
2 出力部
3 処理部
4 記憶部
31 対象材設定部
32 パススケジュール作成部
33 パススケジュール設定部
41 対象材データベース
42 パススケジュールデータベース

Claims (4)

  1. 加熱したスラブを、圧延機により1パス以上の圧延を行って所定の制御圧延開始板厚の制御圧延材とした後、前記制御圧延材を冷却設備により所定の制御圧延開始温度まで冷却し、さらに圧延機により1パス以上の制御圧延を行って仕上板厚とする厚鋼板の製造方法であって、
    前記制御圧延材の圧延幅に従って前記制御圧延開始板厚を変更することを特徴とする厚鋼板の製造方法。
  2. 加熱したスラブを、圧延機により1パス以上の圧延を行って所定の制御圧延開始板厚の制御圧延材とした後、前記制御圧延材を冷却設備により所定の制御圧延開始温度まで冷却し、さらに圧延機により1パス以上の制御圧延を行って仕上板厚にするための圧延のパススケジュール設定方法であって、
    制御圧延材の情報を設定する対象材設定ステップと、前記制御圧延材の情報から制御圧延条件を設定してパススケジュールを作成するパススケジュール作成ステップと、前記パススケジュールを確定するパススケジュール設定ステップとを含み、
    前記パススケジュール作成ステップにより、前記制御圧延材の圧延幅に従って前記制御圧延開始板厚を変更することを特徴とする圧延のパススケジュール設定方法。
  3. 前記制御圧延開始板厚の変更は、以下(1)〜(3)の条件を満足するように変更されることを特徴とする請求項2に記載の圧延のパススケジュール設定方法。
    (1)上位命令の制御圧延開始板厚以上であること
    (2)形状制御開始板厚以上であること
    (3)制御圧延開始板厚から仕上板厚までのパス数が、予め設定した適正パス数以上であること
  4. さらに、前記制御圧延開始板厚の変更は、以下(4)の条件を満足するように変更されることを特徴とする請求項3に記載の圧延のパススケジュール設定方法。
    (4)上限の制御圧延開始板厚以内であること
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