JP2018063300A - 光導波路、光変調デバイスおよび光導波路の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
コーティング法により高分子材料を成膜して逆リッジ型光導波路を形成する手順は次のとおりである。基板上にコア層より屈折率が低い材料を下部クラッド層として成膜する。次いで、下部クラッド層にドライエッチングなどにより、光導波路のリッジ部となるトレンチを加工する。トレンチが形成された下部クラッド層上に、コア層を積層することで下向きのリッジ型光導波路が形成される。さらに、必要に応じて、コア層より屈折率が低い材料を上部クラッド層として積層してもよい。上部クラッド層は、コア層の保護する役割を担い、また、例えば、光導波路上に金属で電極を形成して光導波路を光電素子として利用する場合には、光損失の抑制に有効である。
このようにして作製する逆リッジ型光導波路の光伝搬特性は、材料の光学特性、光導波路の構成に加えて、下部クラッド層に形成するトレンチの出来が、光導波路の特性に対して大きく影響する。
なお、本明細書では、光導波路を構成する各相の積層方向に沿って上下方向を規定して説明する。しかしながら、光導波路の使用時の姿勢は、必ずしもこの上下方向に限定されない。
第1および第2実施形態の光導波路11、12は、略一様な断面で、断面図奥行方向に延びている。
以下の説明で述べる各層は、厚さ方向に垂直な2つの面を有するが、基材10から遠い方の面を主面とする。また、以下の説明で述べるリッジ部とは、凹溝6と下地凹溝31の双方を表す。
以下、各部の構成について、より具体的に説明する。
基体10は、光導波路層を形成するのに十分な平坦性を有しており、かつ基体として機械的に十分な強度を有するものであれば、材質、形状とも特に限定されないが、通常、シリコン基板、石英基板、ガラス基板、セラミック基板等を用いることができる。特にシリコン基板、石英基板などが好ましく用いられる。基体の厚さは特に限定されないが、通常、0.5〜2ミリメートル程度で設計される。
下部クラッド層3は、主層3Aおよび平坦化層3Bからなり、基体10上に順に積層されている。
主層3Aの膜厚は、特に限定されないが、通常、1〜20マイクロメートルに設計される。
平坦化層3Bは、主層3Aの上面に成膜されている。
図3に示すように、平坦化層3Bは、下地凹溝31の表面(すなわち底面部31bおよび側壁部31a)に成膜されている。下地凹溝31は、公知のドライエッチングによりパターニングを行うことで主層3Aを加工して形成される。ドライエッチングにより形成された下地凹溝31は、側壁部31aにサイドエッチSE、底面部31bの側端の近傍にサブトレンチSTが形成される場合がある。平坦化層3Bは、下地凹溝31の表面を覆うことで、底面部31bのサブトレンチSTおよび側壁部31aのサイドエッチSEなどの欠陥部を覆う。平坦化層3Bは、下地凹溝31を覆うことにより円滑な表面を有する凹溝6を形成する。
なお、平坦化層3Bの膜厚は、下地凹溝31の深さおよび幅に対して十分に小さい。したがって、平坦化層3Bは、下地凹溝31を埋込むことはない。一方で、平坦化層3Bの膜厚は、サブトレンチSTおよびサイドエッチSEを埋め込むのに十分な厚さである。より具体的には、平坦化層3Bの膜厚は、下地凹溝31の深さに対して、1/100以上1/10以下であることが好ましい。
また、平坦化層3Bの屈折率は、コア層2の屈折率よりも低い。これにより、光導波領域9の内部を伝播する光を適切に内面反射させて、伝搬効率を高めることができる。
さらに、主層3Aとコア層2、双方との密着性を改善する目的で、平坦化層3Bとしてシランカップリング剤を用いることができる。この場合、コア層2とシランカップリング剤の官能基とが反応して、コア層2と平坦化層3Bとの密着性を高めることができる。シランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシランなどを使用することができる。平坦化層3Bは、これらの材料をアルコールなどの有機溶剤中に溶解もしくは分散させた塗布液を調整し、凹溝が形成された主層3A上に塗布して、溶剤を乾燥させることで形成する。こうすることで、凹溝上には、塗布液の表面張力により平坦化された表面が形成され、前述のドライエッチングによる欠陥の影響を防ぐことができる。
また、A、Bは、曲線部6c上に配置されていてもよい。すなわち、曲線部6cは、CからA、Bを超えて形成されていてもよい。さらに、曲線部6cは、Cから凹溝6の開口まで達していてもよい。また、曲線部6cは、凹曲線であることが好ましい。この構成によれば、凹溝6の隅部に角(かど)がない凹曲面が形成される。凹溝6は、隅部に深さHの1/5以上の曲率半径の凹曲面が設けられた構成となる。
図6は、平坦化層3Bを有さない比較例の凹溝31Sの一例の斜視画像である。また、図7は、平坦化層3Bを有さない比較例の凹溝31Sの一例の断面画像である。すなわち、図6および図7に示す比較例は、下地凹溝31に直接的にコア層2を形成する例であると言い換えることができる。図6に示すように、ドライエッチングにより形成された凹溝31S(下地凹溝31に相当)の側壁部31Saには、サイドエッチSEが形成される場合がある。それぞれのサイドエッチSEは不均一な形状を有している。したがって、凹溝31S内に、平坦化層3Bを介さずに直接的にコア層2Sが形成される場合には、光導波領域9Sのリッジ部の側面部が不均一となりコア層2Sと下部クラッド層3Sとの間の境界層で光の散乱を招く虞がある。
また、図7に示すように、ドライエッチングにより形成された凹溝31Sの底面部31Sbには、底面部31Sbの側端の近傍にサブトレンチSTが形成される場合がある。底面部31SbのサブトレンチSTは、底面部31Sbの側端近傍に入射した光を不規則な方向に散乱させる原因となり得る。
図4に示すように、平坦化層3Bが下地凹溝31の表面に成膜されることにより、サイドエッチSEの凹凸形状(図6参照)が埋め込まれて、下地凹溝31の表面が滑らかとされた凹溝6が形成される。
また、図5に示すように、平坦化層3Bが下地凹溝31の表面に成膜されることにより、サブトレンチST(図7参照)が埋め込まれる。なお、図5において、平坦化層3Bと主層3Aとが同種の材料から構成されており、互いの境界が曖昧となっている。
本実施形態の光導波路11、12において、コア層2は光導波路を伝搬させる波長の光に対して、高い透過率を有する高分子材料であり、かつ、クラッド層より高い屈折率を有する材料を構成物の一つとする。
高分子材料の種類としては特に限定されないが、例えば、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリキノリン系樹脂、ポリキノキサリン系樹脂、ポリベンゾオキサゾール系樹脂、ポリベンゾチアゾール系樹脂、ポリベンゾイミダゾール系樹脂等が挙げられる。また、上記ポリマーには必要に応じて、無機微粒子や、他の成分などを添加してポリマーの屈折率や機械特性等を調整することが可能である。
コア層2の膜厚としては、下部クラッド層3に形成されたトレンチ部を埋めるのに十分な厚さを有することが必要である他は、コア層2およびクラッド層の屈折率、膜厚との組み合わせにより異なるが、通常、0.5μm以上10μm以下の範囲に設計される。
第2実施形態の光導波路12(図2)では、上部クラッド層4が、コア層2に対し基体10とは反対側に設けられている。
上部クラッド層4の膜厚は、光導波路に入射させる光の波長等、導波路設計指針に依存するが、1μm以上20μm以下程度の範囲が好ましい。
上部クラッド層4の構成材料としては、コア層2の構成材料よりは屈折率が低いものが用いられる。また、上部クラッド層4の構成材料としては、上部クラッド層4の形成時に、コア層2とインターミキシングを起こさない材料が好ましい。上部クラッド層4の構成材料は、上述した下部クラッド層3の主層3Aに用いた材料等が用いられる。
次に、本実施形態の光導波路11、12の製造方法について説明する。
まず基体10を用意する。
次いで、下部クラッド層3の主層3Aを基体10の上面に形成(積層)する。
主層3Aの構成材料として高分子材料を用いる場合、構成材料を含む溶液を塗布して塗膜を形成し、この塗膜を加熱・硬化して主層3Aとする。構成材料を含む溶液を塗布する方法としては、スピンコート法、ディップ法などの一般的な溶液塗布方法が用いられる。
また、主層3Aの構成材料として無機材料を用いる場合、電子ビーム蒸着法、フラッシュ蒸着法、イオン・プレーティング法、RF(高周波)−マグネトロン・スパッタリング法、DC(直流)−マグネトロン・スパッタリング法、イオン・ビーム・スパッタリング法、レーザー・アブレーション法、MBE(分子線エピタキシャル法)、CVD(気相成長法)、プラズマCVD、MOCVD(有機気相成長法)などより選ばれる気相成長法、またはゾルゲル法、MOD法などのウエット・プロセスによって主層3Aの作製が可能である。
下地凹溝31は、反応性イオンエッチングなどの公知のドライエッチングにより主層3Aを加工して下地凹溝31を形成する。より具体的には、まず光導波領域9のリッジ部のレイアウト形状を除いた部分にエッチングマスクを形成する。さらに、エッチングマスクを介して、エッチングを行うことで、所望の深さだけ主層3Aを掘り込んでエッチングする。次いで、エッチングマスクを除去する。これらの工程を経て光導波領域9のリッジ部のレイアウト形状を有する下地凹溝31を形成する。
平坦化層3Bは、構成材料を溶剤に溶解させたコーティング液(すなわち、溶剤を含む構成材料)を主層3Aの上面に塗布した後に、溶剤を除去することで主層3Aの上面に定着させる。コーティング液を塗布する方法としては、十分に薄い層を形成することを目的として、スピンコートが好ましいが、スプレーコート、ブレードコート、ディップコート、など公知の方法を採用してもよい。塗布した後には、溶剤が除去され主層3Aの上面に定着される。溶剤除去の方法は、送風乾燥機などで加熱乾燥してもよいし、減圧(真空)乾燥機などで乾燥してもよい。なお、溶剤の種類としては、コート時にコーティング液に十分な粘性を付与させるために常温で揮発しないことが望まれ、高沸点溶剤を用いることが好ましい。
本実施形態の光導波路11、12の製造方法によれば、主層3Aの下地凹溝31の表面に平坦化層3Bを形成して、下地凹溝31表面の欠陥を平坦化層3Bにより覆うことができる。これにより、光導波領域9のリッジ部を伝播する光の散乱を抑制し、光導波領域9を通過する光の伝搬効率を高めることができる。
非線形光学有機化合物を、特性を付与したい層の中に、物理的に分散させる、もしくは化学的に結合させることで、電気光学特性をもたせることが可能である。「非線形光学有機化合物」とは、非線形光学効果を示す有機化合物のことである。
図8の光変調デバイス1は、本実施形態の光導波路に、電極としてマイクロストリップ線路を組み合わせた構成である。基材10側に接地電極7、上部クラッド4の上面に信号電極8を積層している。
本発明の光変調デバイス1では、電極の種類は限定されないが、光導波路との組み合わせの容易さ、ならびに、光導波路に効率よく電界を作用させることができるものとして、図8に示したマイクロストリップ線路を用いることが好ましい。
Claims (8)
- 主面に凹溝が形成されたクラッド層と、
前記クラッド層の主面側に積層され前記凹溝を埋め込むコア層と、を備え、
前記凹溝は、前記凹溝の延伸方向と直交する前記凹溝の断面形状において、前記凹溝の深さの1/2の位置をA、Bとし、AとBを結んだ線分の中央から深さ方向へ直線を伸ばした位置をCとした場合、AからCの部分の少なくとも一部に前記凹溝の深さの1/5以上の曲率半径を持つ曲線部を有し、BからCの部分の少なくとも一部に前記凹溝の深さの1/5以上の曲率半径を持つ曲線部を有する、
光導波路。 - 前記クラッド層は、下地凹溝が形成された主層と、少なくとも前記下地凹溝の表面に成膜された平坦化層と、を有する、
請求項1に記載の光導波路。 - 前記平坦化層の屈折率は、前記主層の屈折率より高い又は同じであり、前記コア層の屈折率より低い、
請求項2に記載の光導波路。 - 前記コア層は、高分子材料を構成材料の一つとする、請求項1〜3の何れか一項に記載の光導波路。
- 請求項1〜4の何れか一項に記載の光導波路と、前記光導波路を積層方向から挟むように配置された一対の電極層と、を備える、光変調デバイス。
- 主層を形成する工程と、
前記主層の主面にドライエッチングにより下地凹溝を形成する工程と、
前記主層の主面側において少なくとも前記下地凹溝の表面に前記主層の屈折率より高い又は同じ屈折率の平坦化層を成膜する工程と、
前記主層の主面側にコア層を積層する工程と、を含む、
光導波路の製造方法。 - 前記平坦化層を成膜する工程は、溶剤を含む構成材料を塗布した後に溶剤を除去する工程を含む、
請求項6に記載の光導波路の製造方法。 - 前記平坦化層を成膜する工程において前記構成材料を塗布する方法がスピンコートである、
請求項7に記載の光導波路の製造方法。
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