JP2018062824A - 除荷装置及び除荷方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】許容引張り力や緊張余長の制約を受けても、再利用可能に、長尺施工部材の除荷を行う。【解決手段】除荷装置10は、長尺施工部材のナット84を回転させるためのレンチ12と、レンチ12を着脱可能に軸支する軸着部を有する回転用ジャッキ14と、回転用ジャッキ14の伸縮運動をレンチ12の回転運動へと変換可能に、支圧板86に対して回転用ジャッキ14を固定する固定部材18とを含んでいる。このような構成により、回転用ジャッキ14の伸縮運動を利用して、ナット84を緩める方向に強制的に回転させることで、緊張ジャッキによる長尺施工部材の緊張を行うことなく、長尺施工部材を除荷することが可能となる。しかも、長尺施工部材を切断する必要がないため、除荷後も長尺施工部材を再利用することができる。【選択図】図9

Description

本発明は、施工位置に緊張力によりプレストレスを与えるために用いられる長尺施工部材の除荷装置及び除荷方法に関するものである。
道路斜面の安定対策や、建築構造物の浮き上がり或いは転倒の防止対策等において、事前にプレストレスを作用させて変位を抑えるための長尺施工部材として、グラウンドアンカーが用いられる。このグラウンドアンカーに必要なアンカー力を算出する際に利用される外力は、土質定数や構造物の挙動等についての仮定に基づいて、安定計算が行われる。このため、その仮定と実際の事象とに差異が生じた場合、想定外の外力により、グラウンドアンカーに作用する引張り力(残存引張り力)が、グラウンドアンカーの許容引張り力(許容荷重)を超えるケースがある。このような許容荷重を超えたグラウンドアンカーに関しては、グラウンドアンカーが健全な状態で機能するように、除荷を行って許容荷重以下にする必要がある。
ここで、グラウンドアンカーの頭部定着方式は、「くさび定着方式」と「ナット定着方式」と「くさび定着・ナット調整方式」との、大きく3つに分類される。このうち、「くさび定着方式」のグラウンドアンカーについては、例えば、特許文献1、2に記載されたような除荷装置や除荷方法を利用して、除荷が行われている。一方、図23には、「ナット定着方式」のグラウンドアンカー80Aの頭部近傍を示しており、このグラウンドアンカー80Aは、地盤Gの表面に、支圧板86及び受圧板88を介して、グラウンドアンカー80Aの端部に設けられたネジ構造部82が、ナット84を用いて定着されている。このようなグラウンドアンカー80Aの除荷は、例えば、ネジ構造部82に緊張ジャッキを取り付け、残存引張り力よりも大きな荷重でグラウンドアンカー80Aを緊張し、支圧板86からナット84を浮き上がらせた状態で、ナット84を緩めることで行われる。
他方、グラウンドアンカーと同様に、施工位置にプレストレスを与える別の長尺施工部材として、図24に示すような土木用タイロッド80Bが挙げられる。この土木用タイロッド80Bは、受け側(図24の右側)がナット84を用いて固定され、緊張側(図24の左側)が緊張ジャッキによって緊張された状態で、ナット84を用いて固定されたものである。このような土木用タイロッド80Bについても、残存引張り力が許容引張り力を超えた場合は、除荷を行う必要がある。土木用タイロッド80Bの除荷は、例えば、緊張側のネジ構造部82に緊張ジャッキを取り付け、残存引張り力よりも大きな荷重で土木用タイロッド80Bを緊張し、支圧板86からナット84を浮き上がらせた状態で、ナット84を緩めることで行われる。
特開平06−248649号公報 特開2016−006263号公報
ここで、「ナット定着方式」のグラウンドアンカー80A、或いは、土木用タイロッド80Bに対する、上述した従来の除荷方法には、以下のような制約がある。まず、緊張ジャッキによって付与する荷重は、グラウンドアンカー80Aや土木用タイロッド80Bの、許容荷重以下でなければならない。このため、残存引張り力が許容引張り力を超えている場合は、残存引張り力よりも大きな荷重で緊張することができず、ナット84を浮き上がらせて緩めることができない。次に、ナット84から突出しているネジ構造部82の長さ(緊張余長)Lが、緊張ジャッキを取り付けるために十分な長さ(例えば、ナット84の厚み分以上の長さ)でなければならない。例えば、土木用タイロッド80Bについて、緊張側の直ぐ近傍に建築構造物が建てられたために、緊張側に緊張ジャッキをセットできるだけのスペースが無いとき、受け側を緊張ジャッキで緊張する必要があるが、受け側には緊張余長が十分に残されていないことがある。
上記のような制約により、グラウンドアンカー80Aや土木用タイロッド80Bを緊張できないときは、例えば、以下のような除荷方法が行われる。グラウンドアンカー80Aについては、受圧板88の背面の地盤Gを掘削して受圧板88を背面側に変位させる方法、グラウンドアンカー80Aの頭部や中途部をガス溶断等で切断する方法等が挙げられ、土木用タイロッド80Bについては、台座88や腹起し材90等を壊す方法、土木用タイロッド80Bの頭部をガス溶断等で切断する方法等が挙げられる。しかしながら、これらの方法は、何れも、作業者の安全確保の観点や、切断したグラウンドアンカー80A及び土木用タイロッド80Bが使用できなくなるという理由から、採用が困難である。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、許容引張り力や緊張余長の制約を受けても、再利用可能に、長尺施工部材の除荷を行うことにある。
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
(1)施工位置に緊張力によりプレストレスを与えるために用いられ、前記施工位置の表面に支圧板を介してナットを用いて定着されるネジ構造部を、少なくとも一方の端部に有する長尺施工部材の除荷装置であって、前記ナットを回転させるためのレンチと、該レンチの、前記ナットと係合する側と反対側の端部が、着脱可能に軸支される軸着部を有する回転用ジャッキと、該回転用ジャッキの伸縮運動を前記レンチの回転運動へと変換可能に、前記支圧板に対して前記回転用ジャッキを固定するための固定部材と、を含む除荷装置(請求項1)。
本項に記載の除荷装置は、レンチ、回転用ジャッキ、及び、固定部材を含んでおり、レンチは、長尺施工部材のネジ構造部を施工位置の表面に定着しているナットに係合して、ナットを回転させるためのものである。回転用ジャッキは、例えば油圧を利用して伸縮運動を行うものであり、レンチの、ナットと係合する側と反対側の端部を着脱可能に軸支する軸着部を有している。又、固定部材は、長尺施工部材の定着に利用されている支圧板に対して、回転用ジャッキを固定するためのものであり、この際、回転用ジャッキの伸縮運動をレンチの回転運動へと変換可能に、支圧板に対して回転用ジャッキが固定される。すなわち、回転用ジャッキは、固定部材によって支圧板に固定されることで、その伸縮運動により、ナットに係合しかつ回転用ジャッキの軸着部に軸支された状態のレンチを、支圧板を反力として回転させる。
上記のような構成により、本項に記載の除荷装置は、支圧板を介して施工位置の表面に長尺施工部材を定着させているナットを、回転用ジャッキの伸縮運動を利用して、強制的に回転させるものとなる。このため、ナットを緩める方向に強制的に回転させることで、緊張ジャッキによる長尺施工部材の緊張を行うことなく、長尺施工部材の緊張力を低減して除荷するものとなる。すなわち、緊張ジャッキによる緊張に必要な緊張余長が確保できない場合や、残存引張り力が許容引張り力を超えている場合であっても、それらの制約の影響を受けずに、長尺施工部材が除荷される。しかも、長尺施工部材を切断する必要がないため、除荷後も長尺施工部材が再利用されるものである。
(2)上記(1)項において、前記回転用ジャッキは、該回転用ジャッキのストロークの範囲内の配置間隔で、前記軸着部が前記回転用ジャッキの伸縮方向に直線状に複数配置されている除荷装置(請求項2)。
本項に記載の除荷装置は、回転用ジャッキに、レンチの端部が着脱可能に軸支される軸着部が、回転用ジャッキの伸縮方向に直線状に配置されて複数設けられており、隣接する軸着部の配置間隔が、回転用ジャッキのストロークの範囲内、例えば、最大ストロークと最小ストロークとの長さの差に等しくなっている。この場合には、回転用ジャッキの伸び方向側と縮み方向側との、隣接する2つの軸着部は、回転用ジャッキが最大ストロークのときの、縮み方向側の軸着部の位置が、回転用ジャッキが最小ストロークのときの、伸び方向側の軸着部の位置と同じになる。従って、回転用ジャッキ及びレンチを利用して、長尺施工部材のナットを回転させる際は、次のような手順で作業が行われる。
すなわち、まず、レンチの端部を回転用ジャッキの最も縮み方向側に位置する軸着部に軸支させた状態で、レンチを長尺施工部材のナットに係合させ、回転用ジャッキを最大ストロークまで伸ばして、ナットを回転させる。続いて、レンチをナットに係合したままの状態で、レンチの端部を軸着部から取り外し、回転用ジャッキを最小ストロークまで縮めた後、レンチの端部を、取り外した軸着部の、回転用ジャッキの伸び方向側に隣接する軸着部に軸支させる。以降は、上記と同様の手順で、レンチの端部を軸支させる軸着部を、回転用ジャッキの伸び方向側に順次変更しながら、回転用ジャッキを伸縮させることで、ナットを回転させる。これにより、レンチをナットに掛け変える手間を極力省きながら、回転用ジャッキの直線状に配置された複数の軸着部を利用して、効率よくナットを回転させるものとなる。なお、レンチの端部を、回転用ジャッキの最も伸び方向側の軸着部に軸支させた状態で、回転用ジャッキの最大ストロークまでナットを回転させた後は、必要に応じて、レンチの端部を、回転用ジャッキの最も縮み方向側の軸着部に再度軸支させると共に、レンチをナットに掛け変えればよい。
(3)上記(1)(2)項において、テンションバーと、該テンションバーと前記長尺施工部材の前記ネジ構造部とを連結する連結部材と、前記テンションバー及び前記連結部材を介して、前記長尺施工部材の許容引張り力以下の荷重で前記施工長尺部材を引張するための緊張ジャッキと、前記テンションバー及び前記連結部材が内部に挿通された状態で、前記緊張ジャッキが載置される円筒状のチェアー部材と、該チェアー部材が前記連結部材の周囲に位置する高さに配置されるように、前記支圧板と前記チェアー部材との間に設置される少なくとも1つの嵩上げ部材と、を含む除荷装置(請求項3)。
本項に記載の除荷装置は、長尺施工部材のネジ構造部に、緊張ジャッキで長尺施工部材を緊張させるために必要な緊張余長が確保される場合に用いられるものであり、テンションバー、連結部材、緊張ジャッキ、チェアー部材、及び、少なくとも1つの嵩上げ部材を含んでいる。テンションバーは、連結部材によってネジ構造部の先端と連結され、連結部材は、長尺施工部材のネジ構造部のネジ溝に対応したネジ溝が、一方の端部側の内周部に設けられた雌ネジ構造を有している。又、支圧板上に設置される少なくとも1つの嵩上げ部材の上に、円筒状のチェアー部材と、更にその上に緊張ジャッキとが載置される。この際、円筒状のチェアー部材の内部には、テンションバーと連結部材とが挿通され、少なくとも1つの嵩上げ部材は、連結部材の稼動空間を確保するために、チェアー部材が連結部材の周囲に位置する高さに配置されるように、設置される数量が調整される。
このような設置状態で、テンションバーが緊張ジャッキによって緊張されることで、テンションバーと連結部材とを介して、長尺施工部材が緊張される。更に、緊張ジャッキは、長尺施工部材の許容引張り力以下の荷重で、長尺施工部材を緊張するためのものであるため、残存引張り力が許容引張り力を超えている場合であっても、特に問題なく長尺施工部材が緊張される。この長尺施工部材の緊張によって、ナットと支圧板との間に作用する荷重が、長尺施工部材の残存引張り力と、緊張ジャッキの緊張による荷重との差分まで低減される。従って、緊張ジャッキによって長尺施工部材を緊張させ、緊張ジャッキによる許容引張り力以下の荷重を補助的に作用させながら、長尺施工部材のナットを回転させることで、ナット回転時の摩擦力によるナットや支圧板の損耗が軽減される。これにより、損耗が軽減された状態で、ナットや支圧板が再利用されるものとなる。
(4)上記(3)項において、前記少なくとも1つの嵩上げ部材は、平面視で、環状をなし、かつ、前記レンチの回転運動の動作領域を避けるように切欠きが設けられている除荷装置(請求項4)。
本項に記載の除荷装置は、チェアー部材の高さ位置を調整するための嵩上げ部材が、平面視で環状をなすと共に、レンチの回転運動の動作領域を避けるように切欠きが設けられているものである。すなわち、嵩上げ部材は、平面視で、C字状やコの字状等をなしており、内部にネジ構造部等が配置される空間が確保される。これにより、支圧板とチェアー部材との間に設置されることで、支圧板と接しているナットの周囲に配置されることとなる嵩上げ部材が、ナットを回転させるレンチの回転運動を妨げることなく、緊張ジャッキによる緊張の反力を、チェアー部材から支圧板へと伝えるものとなる。
(5)上記(3)(4)項において、前記ネジ構造部の、前記ナットと前記連結部材との間に、前記連結部材の前記ナット側の端部と接触する位置に取り付けられるナット部材を含み、前記チェアー部材の内部に、連結部材の回転を防止する回転止めが設けられている除荷装置(請求項5)。
本項に記載の除荷装置は、テンションバーを連結するために、ネジ構造部の先端に取り付けられる連結部材と、ネジ構造部を定着しているナットとの間に、ナット部材を含むものである。このナット部材は、連結部材のナット側の端部と接触する位置に取り付けられ、長尺施工部材のネジ構造部に対応する雌ネジ構造を有する連結部材と共に、所謂ダブルナットの回転抑止効果によって、連結部材がネジ構造部から外れないようにするものである。
更に、本項に記載の除荷装置は、チェアー部材の内部に、連結部材の回転を防止する回転止めが設けられていることで、回転方向について連結部材を拘束する。この連結部材の拘束と、ナット部材によるダブルナットの回転抑止効果とによって、ネジ構造部がナットと共回りすることを防止するものである。これにより、レンチによってナットを回転させる際に、ナットと共にネジ構造部が回転することはないため、共回りに起因するネジ構造部内部のPC鋼線等の破断が防止される。
(6)上記(3)から(5)項において、前記ネジ構造部及び前記テンションバーの位置を中心とした、前記少なくとも1つの嵩上げ部材の外周部と、前記チェアー部材の外周部との夫々に、リング部が設けられ、前記少なくとも1つの嵩上げ部材の前記リング部と、前記チェアー部材の前記リング部とに、ポール部材が挿通されている除荷装置(請求項6)。
本項に記載の除荷装置は、ネジ構造部やテンションバーの位置を中心とした、嵩上げ部材の外周部と、チェアー部材の外周部との夫々に、リング部が設けられ、嵩上げ部材のリング部と、チェアー部材のリング部とに、ポール部材が挿通されているものである。すなわち、ポール部材は、嵩上げ部材とチェアー部材との双方のリング部に挿通されることで、嵩上げ部材とチェアー部材との間のズレや、嵩上げ部材が複数設置される場合は全ての嵩上げ部材間のズレをも防止する。これにより、嵩上げ部材やチェアー部材を適正な位置に配置しながら、除荷作業が行われるものとなる。
(7)上記(1)から(6)項において、前記長尺施工部材がグラウンドアンカー或いはタイロッドである除荷装置(請求項7)。
本項に記載の除荷装置は、除荷対象の長尺施工部材が、グラウンドアンカー或いはタイロッドであることで、プレストレスを与える際に比較的多く利用されるグラウンドアンカーやタイロッドを、上記(1)から(6)項に記載した作用を奏しながら除荷するものである。なお、この場合のタイロッドは、土木用や土留め用のタイロッドを意味するものである。
(8)施工位置に緊張力によりプレストレスを与えるために用いられ、前記施工位置の表面に支圧板を介してナットを用いて定着されるネジ構造部を、少なくとも一方の端部に有する長尺施工部材の除荷方法であって、前記ナットにレンチを取り付け、回転用ジャッキの伸縮を利用して前記レンチを介して前記ナットに回転力を加えることで、前記ナットを緩める方向に回転させる除荷方法(請求項8)。
本項に記載の除荷方法は、支圧板を介して施工位置の表面に長尺施工部材を定着させているナットを、回転用ジャッキの伸縮を利用して、レンチを介して緩める方向に強制的に回転させるものである。このため、緊張ジャッキによる長尺施工部材の緊張を行うことなく、長尺施工部材の緊張力を低減して除荷するものとなる。すなわち、緊張ジャッキによる緊張に必要な長さの緊張余長が、長尺施工部材のネジ構造部に確保できない場合や、長尺施工部材の残存引張り力が許容引張り力を超えている場合であっても、長尺施工部材が除荷されるものである。更に、長尺施工部材を切断する必要がないため、除荷後も長尺施工部材が再利用されるものである。
(9)上記(8)項において、前記長尺施工部材の前記少なくとも一方の端部に緊張ジャッキを取り付け、該緊張ジャッキによって前記長尺施工部材を引張する方向に、前記長尺施工部材の許容引張り力以下の荷重を作用させながら、前記ナットを回転させる除荷方法(請求項9)。
本項に記載の除荷方法は、長尺施工部材のネジ構造部に、緊張ジャッキで長尺施工部材を緊張させるために必要な緊張余長が確保される場合に用いられる除荷方法であり、まず、その緊張余長があるネジ構造部に、緊張ジャッキを取り付ける。そして、緊張ジャッキによって長尺施工部材を引張する方向、すなわち、長尺施工部材の残存引張り力と反対の方向に、長尺施工部材の許容引張り力以下の荷重を作用させながら、ナットを回転させるものである。
このため、残存引張り力が許容引張り力を超えている場合であっても、特に問題なく、長尺施工部材が緊張されて残存引張り力と反対方向に荷重が加えられる。この長尺施工部材の緊張によって、ナットと支圧板との間に作用する荷重が、長尺施工部材の残存引張り力と、緊張ジャッキの緊張による反対方向の荷重との差分まで低減される。従って、緊張ジャッキによって長尺施工部材を緊張させ、緊張ジャッキによる許容引張り力以下の荷重を補助的に作用させながら、長尺施工部材のナットを回転させることで、ナット回転時の摩擦力によるナットや支圧板の損耗が軽減される。これにより、長尺施工部材の除荷後に、損耗が軽減された状態で、ナットや支圧板が再利用されるものとなる。
(10)上記(8)(9)項において、前記長尺施工部材がグラウンドアンカー或いはタイロッドである除荷方法(請求項10)。
本項に記載の除荷方法は、除荷対象の長尺施工部材が、グラウンドアンカー或いはタイロッドであることで、プレストレスを与える際に比較的多く利用されるグラウンドアンカーやタイロッドを、上記(8)(9)項に記載した作用を奏しながら除荷するものである。なお、この場合のタイロッドは、上記(7)項と同様に、土木用や土留め用のタイロッドを意味するものである。
本発明は上記のような構成であるため、許容引張り力や緊張余長の制約を受けても、再利用可能に、長尺施工部材の除荷を行うことが可能となる。
本発明の第1の実施の形態に係る除荷装置に含まれるレンチである。 本発明の第1の実施の形態に係る除荷装置に含まれる回転用ジャッキである。 本発明の第1の実施の形態に係る除荷装置に含まれる固定部材の一部を示している。 本発明の第1の実施の形態に係る除荷装置に含まれる固定部材の、図3と異なる一部を示している。 本発明の第1の実施の形態に係る除荷装置を利用した除荷方法を説明するためのイメージ図である。 図5に引き続き、本発明の第1の実施の形態に係る除荷装置を利用した除荷方法を説明するためのイメージ図である。 図6に引き続き、本発明の第1の実施の形態に係る除荷装置を利用した除荷方法を説明するためのイメージ図である。 図7に引き続き、本発明の第1の実施の形態に係る除荷装置を利用した除荷方法を説明するためのイメージ図である。 図8に引き続き、本発明の第1の実施の形態に係る除荷装置を利用した除荷方法を説明するためのイメージ図である。 図9に引き続き、本発明の第1の実施の形態に係る除荷装置を利用した除荷方法を説明するためのイメージ図である。 本発明の第2の実施の形態に係る除荷装置に含まれるテンションバーを示している。 本発明の第2の実施の形態に係る除荷装置に含まれる連結部材を示している。 本発明の第2の実施の形態に係る除荷装置に含まれるナット部材を示している。 本発明の第2の実施の形態に係る除荷装置に含まれるチェアー部材を示している。 本発明の第2の実施の形態に係る除荷装置に含まれる嵩上げ部材を示している。 本発明の第2の実施の形態に係る除荷装置を利用した除荷方法を説明するためのイメージ図である。 図16に引き続き、本発明の第2の実施の形態に係る除荷装置を利用した除荷方法を説明するためのイメージ図である。 図17に引き続き、本発明の第2の実施の形態に係る除荷装置を利用した除荷方法を説明するためのイメージ図である。 図18に引き続き、本発明の第2の実施の形態に係る除荷装置を利用した除荷方法を説明するためのイメージ図である。 図19に引き続き、本発明の第2の実施の形態に係る除荷装置を利用した除荷方法を説明するためのイメージ図である。 図20に引き続き、本発明の第2の実施の形態に係る除荷装置を利用した除荷方法を説明するためのイメージ図である。 図21に引き続き、本発明の第2の実施の形態に係る除荷装置を利用した除荷方法を説明するためのイメージ図である。 グラウンドアンカーの頭部近傍を示すイメージ図である。 土木用タイロッドの両端部近傍を示すイメージ図である。
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面に基づき説明する。ここで、図面の全体にわたって、同一部分又は対応する部分は同一符号で示している。
本発明の第1の実施の形態に係る除荷装置10(図8〜図10参照)は、図23に示したグラウンドアンカー80Aや、図24に示した土木用タイロッド80B等の、施工位置にプレストレスを与えている長尺施工部材80を除荷するものであり、図1〜図4に示すような各構成部品を含んでいる。
図1に示すレンチ12は、長尺施工部材80のナット84(図23、図24参照)を回転させるためのものであり、ナット84に係合する係合部12aと、後述する回転用ジャッキに軸支される軸支端12bとを有している。軸支端12bには、回転用ジャッキに軸支される際に接続用のピンが挿通される穴12cが設けられている。
図2に示す回転用ジャッキ14は、本実施例では、油圧ポンプによって作動されるものであり、油圧によって伸縮運動を行う。この回転用ジャッキ14は、後述する固定部材に軸支される軸支端14cを有するシリンダ部14aと、回転用ジャッキ14の伸縮運動によってシリンダ部14aから変位するラム部14bとで構成されている。ラム部14bには、図1に示したレンチ12を着脱可能に軸支するための貫通孔をなす軸着部16が、複数(本実施例では3つ)設けられている。すなわち、各軸着部16においてレンチ12を軸支する際には、ラム部14bの内部空間C1にレンチ12の軸支端12bが配置された状態で、軸着部16とレンチ12の穴12cとの双方に接続用のピンが挿通される。これら3つの軸着部16は、回転用ジャッキ14の伸縮方向に直線状に配置されており、隣接する軸着部16の間隔が、回転用ジャッキ14のストロークの範囲内に設定されている。本実施例では、隣接する軸着部16の間隔が、回転用ジャッキ14の最大ストロークと最小ストロークとの長さの差Sに等しくなっている。又、軸支端14cには、固定部材に軸支される際に固定用のピンが挿通される穴14dが設けられている。
次に、図3に示す反力枠20と、図4に示す延長部材22とは、長尺施工部材80の定着に利用されている支圧板86(図23、図24参照)に対して、回転用ジャッキ14を固定するための固定部材18を構成するものである。反力枠20は、支圧板86に被せられて固定される枠部材であり、本体部20aに、支圧板86が収まる大きさの窓部20bが設けられると共に、延長部材22との組み合わせ時に使用される4つの穴20hが設けられている。更に、本体部20aには、支圧板86への固定時に、支圧板86からの移動を規制する規制部材20c〜20eと、後述する固定用ボルトが挿通される挿通用部材20f、20gとが設けられている。
一方、延長部材22は、本体部22aとジャッキ取付部22bとで構成されており、本体部22aには、補強用の4つのリブ22cと、反力枠20との組み合わせ時に使用される4つの穴22dが設けられている。又、ジャッキ取付部22bには、図2に示した回転用ジャッキ14を軸支するための貫通孔22eが設けられている。すなわち、ジャッキ取付部22bに回転用ジャッキ14を取り付ける際には、ジャッキ取付部22bの内部空間C2に回転用ジャッキ14の軸支端14cが配置された状態で、貫通孔22eと回転用ジャッキ14の穴14dとの双方に固定用のピンが挿通される。なお、固定部材18を構成する反力枠20と延長部材22とは、反力枠20の4つの穴20hと、延長部材22の4つの穴22dとが重なるように位置合わせされて、重なった穴20h、22d毎にボルトが挿通されて組み合わされる。
続いて、図5〜図10を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る除荷装置10の設置手順と、除荷装置10を利用した除荷方法について説明する。なお、図5〜図7では、長尺施工部材80及び除荷装置10を、平面方向と正面方向とから図示しており、図8〜図10では、長尺施工部材80及び除荷装置10を、平面方向のみから図示している。
まず、図5には、除荷対象である長尺施工部材80の頭部近傍を示している。図23及び図24に示したグラウンドアンカー80A及び土木用タイロッド80Bと同様に、長尺施工部材80は、支圧板86を介して施工位置の表面に、ナット84を利用してネジ構造部(マンション)82が定着されている。なお、図5(a)で確認できるナット84に付された黒印は、ナット84が回転する様子を明確に示すために付したものであり、図6〜図10に図示しているナット84にも付している。
そして、上記のような長尺施工部材80に対して、図6に示すように、図3に示した固定部材18の反力枠20を設置する。具体的には、支圧板86に対して、図6における左側寄りに反力枠20を被せ、規制部材20cと規制部材20dとの間に支圧板86が配置されるように、反力枠20を図6における右側へスライドさせて、反力枠20の窓部20b内に支圧板86が収まるようにする。
次に、図7に示すように、支圧板86の背面において、反力枠20の挿通用部材20fと挿通用部材20gとの双方に、固定用ボルト24を挿通して、ナットで固定する。これによって、支圧板86に対して、反力枠20が強固に固定される。なお、支圧板86に対する反力枠20の固定構造及び固定方法は、図3や図7に示した構造や方法に限定されるものではなく、除荷対象の長尺施工部材80の状況等に応じて、適切な固定構造や固定方法が採用される。
続いて、図8(a)に示すように、反力枠20と延長部材22とを組み合わせて、固定部材18を構成する。具体的には、反力枠20の4つの穴20hと、延長部材22の4つの穴22dとの位置が合うように、反力枠20の本体部20aの上に延長部材22の本体部22aを重ねて、夫々の穴20h及び穴22dにボルトを挿通して固定する。
そして、図8(b)に示すように、延長部材22のジャッキ取付部22bに、回転用ジャッキ14を取り付ける。すなわち、上述したように、ジャッキ取付部22bの内部空間C2(図4(a)参照)に、回転用ジャッキ14の軸支端14cを配置し、延長部材22の貫通孔22eと回転用ジャッキ14の穴14d(図2参照)との双方に固定ピン26を挿通して、ジャッキ取付部22bに回転用ジャッキ14を軸着する。これにより、回転用ジャッキ14は、固定ピン26を回転軸として、固定部材18に対して回動可能になる。なお、ここからは、説明の便宜上、回転用ジャッキ14のラム部14bに設けられた3つの軸着部16を、シリンダ部14aの方から順に、軸着部16a〜16cとして示すものとする。
次に、図8(c)に示すように、レンチ12の係合部12aを、長尺施工部材80のナット84に係合させると共に、レンチ12の軸支端12bを、回転用ジャッキ14の、最もシリンダ部14a側に位置する軸着部16aに軸支させる。すなわち、上述したように、回転用ジャッキ14のラム部14bの内部空間C1(図2(b)参照)に、レンチ12の軸支端12bを配置する態様で、軸着部16aと軸支端12bに設けられた穴12c(図1参照)との双方に、接続ピン28を挿通することで、レンチ12を軸着部16aに軸支させる。この際、回転用ジャッキ14のストロークは、ナット84にレンチ12を係合可能、かつ、軸着部16aにレンチ12を軸着可能な範囲で、最も縮んでいることが好ましい。これにより、レンチ12は、接続ピン28を回転軸として、回転用ジャッキ14に対して回動可能になる。なお、図8(c)までの手順により、本発明の第1の実施の形態に係る除荷装置10の各構成部品が組み上げられる。
その後、図9(a)に示すように、図示しない油圧ポンプを利用して、回転用ジャッキ14を最大ストロークまで伸ばす。すると、固定部材18に対する回転用ジャッキ14の回動と、回転用ジャッキ14のラム部14bに対するレンチ12の回動とにより、回転用ジャッキ14の伸び運動が、支圧板86に対するレンチ12の左回りの回転運動へと変換される。このため、レンチ12が係合されたナット84は、支圧板86に対して緩まる方向に回転されることになる。
続いて、回転用ジャッキ14の軸着部16aから接続ピン28を抜き、軸着部16aにおけるレンチ12の軸支を解放した状態で、油圧ポンプを利用して回転用ジャッキ14を最小ストロークまで縮める。すると、軸着部16aとそれに隣接する軸着部16bとの間隔が、回転用ジャッキ14の最大ストロークと最小ストロークとの長さの差S(図2参照)に等しくなっているため、ナット84に係合したままのレンチ12の穴12c(図1参照)の位置と、回転用ジャッキ14の軸着部16bの位置とが一致する。このため、図9(b)に示すように、軸着部16bとレンチ12の穴12cとの双方に、接続ピン28を挿通して、レンチ12を軸着部16bに軸支させる。
そして、図9(c)に示すように、油圧ポンプを利用して回転用ジャッキ14を最大ストロークまで伸ばし、回転用ジャッキ14の伸び運動を、支圧板86に対するレンチ12の左回りの回転運動へと変換させて、ナット84を緩める方向に更に回転させる。
更に、回転用ジャッキ14の軸着部16bから接続ピン28を抜き、軸着部16bにおけるレンチ12の軸支を解放した状態で、油圧ポンプを利用して回転用ジャッキ14を最小ストロークまで縮める。すると、軸着部16bとそれに隣接する軸着部16cとの間隔も、回転用ジャッキ14の最大ストロークと最小ストロークとの長さの差S(図2参照)に等しくなっているため、ナット84に係合したままのレンチ12の穴12c(図1参照)の位置と、回転用ジャッキ14の軸着部16cの位置とが一致する。このため、図10(a)に示すように、軸着部16cとレンチ12の穴12cとの双方に、接続ピン28を挿通して、レンチ12を軸着部16cに軸支させる。
それから、図10(b)に示すように、油圧ポンプを利用して回転用ジャッキ14を最大ストロークまで伸ばし、回転用ジャッキ14の伸び運動を、支圧板86に対するレンチ12の左回りの回転運動へと変換させて、ナット84を緩める方向に更に回転させる。
その後、図10(c)に示すように、回転用ジャッキ14の軸着部16cから接続ピン28を抜いて、軸着部16cにおけるレンチ12の軸支を解放すると共に、レンチ12をナット84から取り外す。
以降は、ナット84に作用する荷重(残存引張り力)が、長尺施工部材80の許容引張り力以下になるまで、図8(c)〜図10(c)に示した手順を繰り返し実行して、長尺施工部材80を除荷する。
さて、上記構成をなす本発明の第1の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。すなわち、本発明の第1の実施の形態に係る除荷装置10は、図1〜図4に示すような、レンチ12、回転用ジャッキ14、及び、固定部材18を含んでいる。レンチ12は、図23及び図24に示すような、長尺施工部材80のネジ構造部82を施工位置の表面に定着しているナット84に係合して、ナット84を回転させるためのものである。回転用ジャッキ14は、例えば油圧を利用して伸縮運動を行うものであり、レンチ12の、ナット84と係合する係合部12aと反対側の軸支端12bを、着脱可能に軸支する軸着部16を有している。
又、図3に示す反力枠20と図4に示す延長部材22とで構成される固定部材18は、長尺施工部材80の定着に利用されている支圧板86に対して、回転用ジャッキ14を固定するためのものである。この際、回転用ジャッキ14は、図8(c)〜図10(b)で確認できるように、回転用ジャッキ14の伸縮運動がレンチ12の回転運動へと変換可能に、支圧板86に対して固定される。すなわち、回転用ジャッキ14は、固定部材18によって支圧板86に固定されることで、その伸縮運動により、ナット84に係合しかつ回転用ジャッキ14の軸着部16に軸支された状態のレンチ12を、支圧板86を反力として回転させる。
上記のような構成により、本発明の第1の実施の形態に係る除荷装置10は、支圧板86を介して施工位置の表面に長尺施工部材80を定着させているナット84を、回転用ジャッキ14の伸縮運動を利用して、強制的に回転させることができる。このため、ナット84を緩める方向に強制的に回転させることで、緊張ジャッキによる長尺施工部材80の緊張を行うことなく、長尺施工部材80の緊張力を低減して除荷することが可能となる。すなわち、緊張ジャッキによる緊張に必要な緊張余長が確保できない場合や、残存引張り力が許容引張り力を超えている場合であっても、それらの制約の影響を受けずに、長尺施工部材80を除荷することができる。しかも、長尺施工部材80を切断する必要がないため、除荷後も長尺施工部材80を再利用することができる。
又、本発明の第1の実施の形態に係る除荷装置10は、図2に示されているように、回転用ジャッキ14に、レンチ12の軸支端12bが着脱可能に軸支される軸着部16が、回転用ジャッキ14の伸縮方向に直線状に配置されて複数(図2の例では3つ)設けられている。更に、それらの軸着部16は、隣接する軸着部16の配置間隔が、回転用ジャッキ14のストロークの範囲内、図2の例では最大ストロークと最小ストロークとの長さの差Sに等しくなっている。この場合には、回転用ジャッキ14の伸び方向側と縮み方向側との、隣接する2つの軸着部16は、回転用ジャッキ14が最大ストロークのときの、縮み方向側の軸着部16の位置が、回転用ジャッキ14が最小ストロークのときの、伸び方向側の軸着部16の位置と同じになる。従って、回転用ジャッキ14及びレンチ12を利用して、長尺施工部材80のナット84を回転させる際は、次のような手順で作業が行われる。
すなわち、まず、図8(c)に示すように、レンチ12の軸支端12bを回転用ジャッキ14の最も縮み方向側に位置する軸着部16aに軸支させた状態で、レンチ12を長尺施工部材80のナット84に係合させ、図9(a)に示すように、回転用ジャッキ14を最大ストロークまで伸ばして、ナット84を回転させる。続いて、レンチ12をナット84に係合したままの状態で、レンチ12の軸支端12bを軸着部16aから取り外し、回転用ジャッキ14を最小ストロークまで縮めると、隣接する軸着部16aと軸着部16bとの間隔が、回転用ジャッキ14の最大ストロークと最小ストロークとの長さの差Sに等しいため、レンチ12の軸支端12bの位置が、軸着部16bの位置と一致する。このため、図9(b)に示すように、レンチ12をナット84に係合したままの状態で、レンチ12の軸支端12bを、回転用ジャッキ14の軸着部16bに軸支させることができる。
以降は、上記と同様の手順で、レンチ12の軸支端12bを軸支させる軸着部16を、回転用ジャッキ14の伸び方向側に順次変更しながら、回転用ジャッキ14を伸縮させることで、ナット84を回転させる。これにより、レンチ12をナット84に掛け変える手間を極力省きながら、回転用ジャッキ14の直線状に配置された複数の軸着部16を利用して、効率よくナット84を回転させることが可能となる。なお、図10(b)に示すように、レンチ12の軸支端12bを、回転用ジャッキ14の最も伸び方向側の軸着部16cに軸支させた状態で、回転用ジャッキ14の最大ストロークまでナット84を回転させた後は、必要に応じて、レンチ12の軸支端12bを、回転用ジャッキ14の最も縮み方向側の軸着部16aに再度軸支させると共に、レンチ12をナット84に掛け変えればよい。
ここで、本発明の第1の実施の形態に係る除荷装置10は、図9(a)から図9(b)の状態になるときや、図9(c)から図10(a)の状態になるときに、レンチ12の軸支端12bを回転用ジャッキ14の各軸着部16に軸支させるための、接続ピン28の入れ替え作業が行われる。この入れ替え作業の際は、レンチ12によるナット84の回転が停止しているため、長尺施工部材80に作用荷重やねじれの変化が生じることはない。従って、作業者は、長尺施工部材80の破断等の虞がない状態で、接続ピン28の入れ替え作業を行うことができる。
更に、本発明の第1の実施の形態に係る除荷装置10は、図8(c)から図9(a)の状態、図9(b)から図9(c)の状態、或いは、図10(a)から図10(b)の状態になるとき等の、回転用ジャッキ14が1ストローク伸びきるまでの間、すなわち、ナット84が回転しているときには、作業者が接近して作業を行う必要はない。従って、長尺施工部材80に作用荷重やねじれの変化が生じるタイミングでは、作業者が退避することができる。
そして、本発明の第1の実施の形態に係る除荷装置10を利用した除荷方法は、図8(c)〜図10(b)に示される手順により、長尺施工部材80の除荷を行うことで、本発明の第1の実施の形態に係る除荷装置10と同様の作用効果を奏することができる。
次に、図11〜図22を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る除荷装置10´(図20〜図22参照)について説明する。図16〜図22において、本発明の第1の実施の形態に係る除荷装置10と同一部分、若しくは相当する部分については、同一の符号を付している。なお、本発明の第2の実施の形態に係る除荷装置10´について、本発明の第1の実施の形態に係る除荷装置10との相違部分のみ説明をすることとし、本発明の第1の実施の形態に係る除荷装置10と同様の部分の構成や作用効果については、説明を省略する。
本発明の第2の実施の形態に係る除荷装置10´は、図23に示したグラウンドアンカー80Aや、図24に示した土木用タイロッド80Bの緊張側(図中左側)等のように、後述する緊張ジャッキによって長尺施工部材80を緊張できるだけの緊張余長Lが、ネジ構造部82に確保される場合に用いられるものである。そして、図1〜図4に示した、本発明の第1の実施の形態に係る除荷装置10に含まれる各構成部品に加えて、図11〜図15に示すような各構成部品を含んでいる。
まず、図11に示すテンションバー40は、長尺施工部材80のネジ構造部82と連結されて、緊張ジャッキによって直接引張される部材であり、長尺施工部材80と連結するためのネジ溝部40aと、緊張ジャッキ側に固定するためのネジ溝部40bとが設けられている。
図12に示す連結部材42は、テンションバー40と長尺施工部材80のネジ構造部82とを連結するものであり、図12(b)における左側の六角柱部42aと、右側の円柱部42bとで構成されている。そして、六角柱部42aの内部に、テンションバー40のネジ溝部40aに対応したネジ溝が設けられたネジ穴42cが、図12(b)における左側に開口して設けられている。又、円柱部42bの内部から六角柱部42aの内部にかけて、長尺施工部材80のネジ構造部82のネジ溝に対応したネジ溝が設けられたネジ穴42dが、図12(b)における右側に開口して設けられている。
図13に示すナット部材44は、ネジ構造部82に螺合される部材であり、テンションバー40と長尺施工部材80のネジ構造部82とを連結した状態の連結部材42と、長尺施工部材80のネジ構造部82を定着させているナット84との間の、連結部材42の円柱部42bに接触する位置に螺合される。すなわち、ナット部材44は、連結部材42とのダブルナットの回転抑止効果を得るための部材である。ナット部材44は、連結部材42の円柱部42bと略同じ外径の円柱状をなしており、長尺施工部材80のネジ構造部82のネジ溝に対応したネジ溝が設けられたネジ穴44aを備えている。又、ナット部材44は、イモネジが締め込めるように、複数の横穴が設けられたものであってもよい。
図14に示すチェアー部材46は、テンションバー40や連結部材42が内部に挿通された状態で、緊張ジャッキが載置されるものであり、本実施例では、緊張ジャッキが載置される載置部46aと、内部に連結部材42が配置される本体部46cと、嵩上げ部46eとで構成されている。載置部46aは、テンションバー40が挿通される挿通孔46bが中心に設けられた円板状の部材である。本体部46cは、窓部46dが2箇所に設けられた円筒状の部材であり、内部に2つの回転止め48が設けられている。嵩上げ部46eは、後述する嵩上げ部材52(図15(a)、(b)参照)と同等のものであり、本実施例では、平面視でC字状をなすと共に、外周部に間隔を空けて2つのリング部50が設けられている。
上記のような構成のチェアー部材46は、本体部46cの内部に連結部材42が配置されるように、後述する嵩上げ部材52、54によって高さ位置が調整される。より詳しくは、図14(a)に仮想的に示すように、本体部46cの内部に設けられた2つの回転止め48が、連結部材42の六角柱部42aの二面幅に対して当接するように調整される。これにより、連結部材42が回転方向について拘束される。なお、図14(a)は、チェアー部材46を、窓部46dを横切る高さで切断して、載置部46a側から示した断面イメージ図、図14(b)は図14(a)におけるA矢視図、図14(c)は図14(a)におけるB矢視図であり、図14(b)、(c)では、リング部50の図示を省略している。
図15(a)、(b)に示す嵩上げ部材52は、上述したように、連結部材42の周囲にチェアー部材46が位置する高さに配置されるように、支圧板86とチェアー部材46との間に設置されるものである。嵩上げ部材52は、平面視で、環状をなし、かつ、レンチ12の回転運動の動作領域を避けるように切欠きが設けられており、本実施例では、平面視でC字状をなしている。より詳しくは、嵩上げ部材52は、平面視でC字状をなす2枚の板状部材52a、52bが、外枠部52cと複数の放射部52dとを介して接続されて構成されており、隣接する放射部52d間の隙間に、補強材52eが配置されている。又、嵩上げ部材52は、外周部に間隔を空けて2つのリング部56が設けられている。一方、図15(c)、(d)に示す嵩上げ部材54は、嵩上げ部材52と厚さのみが異なるものであり、その用途や構造は嵩上げ部材52と同様である。なお、図15(b)、(d)では、リング部56の図示を省略している。
又、詳しくは後述するが、本発明の第2の実施の形態に係る除荷装置10´は、チェアー部材46に載置された状態で、テンションバー40及び連結部材42を介して、長尺施工部材80の許容引張り力以下の荷重で施工長尺部材80を引張するための、緊張ジャッキ60(図20〜図22参照)を含んでいる。本実施例における緊張ジャッキ60には、所謂センタホールジャッキが用いられ、油圧ポンプの油圧によって作動する。
なお、上述したチェアー部材46に設けられているリング部50と、嵩上げ部材52、54に設けられているリング部56とには、チェアー部材46及び嵩上げ部材52、54が設置された後に、図示しないポール部材が挿通される。
続いて、図16〜図22を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る除荷装置10´の設置手順と、除荷装置10´を利用した除荷方法について説明する。なお、図16〜図22では、長尺施工部材80及び除荷装置10´を、平面方向と正面方向とから図示しており、各図における(a)と(b)とが同じタイミングの平面方向と正面方向との図であり、(c)と(d)とが同じタイミングの平面方向と正面方向との図である。
まず、図16、図17に示す各手順は、図5〜図8(b)を参照して説明した、本発明の第1の実施の形態に係る除荷装置10と同じ手順であるため、説明を省略する。
次に、図18(a)、(b)に示すように、連結部材42を利用して、ネジ構造部82とテンションバー40とを連結する。すなわち、ネジ構造部82に連結部材42のネジ穴42dを螺合すると共に、連結部材42のネジ穴42cに、テンションバー40のネジ溝部40aを螺合する。この際、ネジ構造部82の、連結部材42の下端に接触する位置に、ナット部材44を螺合し、ナット部材44にイモネジがある場合にはイモネジも締め込む。なお、図18(a)では、テンションバー40、連結部材42、及び、ナット部材44の図示を省略している。又、図18〜図22の、正面方向から示す各図では、回転用ジャッキ14の図示を省略している。
更に、図18(c)、(d)に示すように、支圧板86の上に、ナット84の周囲に配置される態様で、嵩上げ部材52、54を設置する。この際、平面視でC字状をなす嵩上げ部材52、54の切欠きが、回転用ジャッキ14側(図18における左側)に配置されるように、かつ、全ての嵩上げ部材52、54の2つのリング部56の位置が、平面視で揃うように設置する。本実施例では、厚みが大きい嵩上げ部材54と、厚みが小さい嵩上げ部材52とを1つずつ、支圧板86上に設置しているが、それらの設置数量は、ネジ構造部82の長さ等に応じて適宜調整する。
続いて、図19(a)、(b)に示すように、レンチ12の係合部12aを、長尺施工部材80のナット84に係合させると共に、接続ピン28を利用して、レンチ12の軸支端12bを、回転用ジャッキ14の、最もシリンダ部14a側に位置する軸着部16aに軸支させる。この際、回転用ジャッキ14のストロークは、ナット84にレンチ12を係合可能、かつ、軸着部16aにレンチ12を軸着可能な範囲で、最も縮んでいることが好ましい。これにより、レンチ12は、接続ピン28を回転軸として、回転用ジャッキ14に対して回動可能になる。
その後、図19(c)、(d)に示すように、嵩上げ部材52の上に、チェアー部材46を設置する。このとき、チェアー部材46の挿通孔46bにテンションバー40を挿通し、又、図14(a)に示したように、チェアー部材46の内部に設けられた回転止め48によって、回転方向について連結部材42を拘束させる。更に、チェアー部材46の嵩上げ部46eに設けられた2つのリング部50の位置が、嵩上げ部材52、54の2つのリング部56の夫々の位置と、平面視で揃うように、チェアー部材46の設置向きを合わせる。そして、この状態で、図19(a)、(c)における上側に位置する、嵩上げ部材52、54のリング部56と、チェアー部材46のリング部50とに、図示しないポール部材を挿通し、更に、図19(a)、(c)における下側に位置する、嵩上げ部材52、54のリング部56と、チェアー部材46のリング部50とに、同じくポール部材を挿通する。
次に、図20(a)、(b)に示すように、チェアー部材46の載置部46aの上に、内部にテンションバー40を挿通する態様で、緊張ジャッキ60を設置し、緊張ジャッキ60から上方に突出したテンションバー40の上端部を、留めナット62によって固定する。この図20(a)、(b)までの手順により、本発明の第2の実施の形態に係る除荷装置10´の各構成部品が組み上げられる。なお、説明の便宜上、図20〜図22の正面方向から示す各図において、緊張ジャッキ60は、テンションバー40を通る断面で示している。
続いて、図20(c)、(d)に示すように、連結部材42を介して長尺施工部材80のネジ構造部82に連結されているテンションバー40を、緊張ジャッキ60により、長尺施工部材80の許容引張り力以下の荷重にて、図20(d)における上方向に緊張する。緊張ジャッキ60による緊張は、図示しない油圧ポンプによって行う。この緊張によって、緊張ジャッキ60内部のシリンダが伸びた状態になる。これにより、長尺施工部材80に対して、残存引張り力と反対方向の、許容引張り力以下の緊張力が作用することになる。
そして、緊張ジャッキ60による緊張力を作用させたままの状態で、図21(a)、(b)に示すように、図示しない油圧ポンプを利用して、回転用ジャッキ14を最大ストロークまで伸ばす。すると、固定部材18に対する回転用ジャッキ14の回動と、回転用ジャッキ14のラム部14bに対するレンチ12の回動とにより、回転用ジャッキ14の伸び運動が、支圧板86に対するレンチ12の左回りの回転運動へと変換される。このため、レンチ12が係合されたナット84は、支圧板86に対して緩まる方向に回転されることになる。このとき、ナット84が回転して緩まることで、長尺施工部材80が、図21(b)における下方向へ僅かに引き込まれるが、この引き込まれた分の長さは、緊張ジャッキ60内部のシリンダが縮まることで吸収される。
その後は、本発明の第1の実施の形態に係る除荷装置10について、図9(b)〜図10(b)を参照して説明した手順と同様に、レンチ12を軸支させる回転用ジャッキ14の軸着部16を、軸着部16aから軸着部16b、軸着部16bから軸着部16cへと順次変更しながら、回転用ジャッキ14の伸び運動を利用して、ナット84を回転させる。
そして、図21(c)、(d)に示すように、レンチ12を回転用ジャッキ14の軸着部16cに軸支させた状態で、回転用ジャッキ14を最大ストロークまで伸ばした後、ナット84を更に回転させる場合は、図22(a)、(b)に示すように、回転用ジャッキ14の軸着部16cから接続ピン28を抜いて、軸着部16cにおけるレンチ12の軸支を解放する。更に、レンチ12を図22(b)における上方へ移動して、ナット84に係合していた状態から、ナット部材44の周囲及び/又は連結部材42の円柱部42bの周囲へと移動させる。このとき、ナット84とナット部材44との間に、レンチ12の厚み以上にネジ構造部82が露出していれば、その露出したネジ構造部82の周囲にレンチ12を移動させてもよい。これによって、レンチ12が、円柱状のナット部材44、連結部材42の円柱部42b、及び/又は、ネジ構造部82を回転軸として回転可能になるので、レンチ12を回転させて、レンチ12を回転用ジャッキ14の軸着部16aに軸支させることができる回転位置にて、レンチ12をナット84に再度係合させる。
以降は、ナット84に作用する荷重(残存引張り力)が、長尺施工部材80の許容引張り力以下になるまで、図20(c)、(d)〜図22(a)、(b)に示した手順を繰り返し実行して、長尺施工部材80を除荷する。
さて、上記構成をなす本発明の第2の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。すなわち、本発明の第2の実施の形態に係る除荷装置10´は、図23及び図24に示すように、長尺施工部材80のネジ構造部82に、緊張ジャッキ60で長尺施工部材80を緊張させるために必要な緊張余長Lが確保される場合に用いられるものである。このため、除荷装置10´は、図11、図12、図14、図15に示すような、テンションバー40、連結部材42、チェアー部材46、及び、少なくとも1つの嵩上げ部材52、54と、緊張ジャッキ60(図20〜図22参照)とを含んでいる。
テンションバー40は、連結部材42によってネジ構造部82の先端と連結され、連結部材42は、長尺施工部材80のネジ構造部82のネジ溝に対応したネジ溝が設けられたネジ穴42dを、図12(b)における右側に備えた雌ネジ構造を有している。又、図18(c)、(d)〜図20(a)、(b)で確認できるように、支圧板86上に設置される少なくとも1つの嵩上げ部材52、54の上に、円筒状のチェアー部材46と、更にその上に緊張ジャッキ60とが載置される。この際、円筒状のチェアー部材46の内部には、テンションバー40と連結部材42とが挿通され、少なくとも1つの嵩上げ部材52、54は、連結部材42の稼動空間を確保するために、チェアー部材46が連結部材42の周囲に位置する高さに配置されるように、設置される数量が調整される。図18〜図20の例では、比較的厚みが大きい嵩上げ部材54と、比較的厚みが小さい嵩上げ部材52とが、1つずつ設置されている。
このような設置状態で、図20(c)、(d)に示すように、テンションバー40が緊張ジャッキ60によって緊張されることで、テンションバー40と連結部材42とを介して、長尺施工部材80が緊張される。更に、緊張ジャッキ60は、長尺施工部材80の許容引張り力以下の荷重で、長尺施工部材80を緊張するためのものであるため、残存引張り力が許容引張り力を超えている場合であっても、特に問題なく長尺施工部材80を緊張することができる。この長尺施工部材80の緊張によって、ナット84と支圧板86との間に作用する荷重を、長尺施工部材80の残存引張り力と、緊張ジャッキ60の緊張による荷重との差分まで低減することができる。従って、緊張ジャッキ60によって長尺施工部材80を緊張させ、緊張ジャッキ60による許容引張り力以下の荷重を補助的に作用させながら、長尺施工部材80のナット84を回転させることで、ナット84回転時の摩擦力によるナット84や支圧板86の損耗を軽減することができる。これにより、長尺施工部材80の除荷後に、損耗を軽減した状態で、ナット84や支圧板86を再利用することが可能となる。
又、本発明の第2の実施の形態に係る除荷装置10´は、図15に示すように、チェアー部材46の高さ位置を調整するための嵩上げ部材52、54が、平面視で環状をなすと共に、レンチ12の回転運動の動作領域を避けるように切欠きが設けられているものである。すなわち、嵩上げ部材52、54は、平面視で、図15の例ではC字状をなしており、内部にネジ構造部82等が配置される空間が確保される。これにより、支圧板86とチェアー部材46との間に設置されることで、支圧板86と接しているナット84の周囲に配置されることとなる嵩上げ部材52、54が、図21等で確認できるように、ナット84を回転させるレンチ12の回転運動を妨げることなく、緊張ジャッキ60による緊張の反力を、チェアー部材46から支圧板86へと伝えることができる。
又、本発明の第2の実施の形態に係る除荷装置10´は、テンションバー40を連結するために、ネジ構造部82の先端に取り付けられる連結部材42と、ネジ構造部82を定着しているナット84との間に、図13に示すようなナット部材44を含むものである。このナット部材44は、図18(b)で確認できるように、連結部材46のナット84側の端部と接触する位置に取り付けられ、長尺施工部材80のネジ構造部82に対応する雌ネジ構造を有する連結部材46と共に、所謂ダブルナットの回転抑止効果によって、連結部材46がネジ構造部82から外れないようにするものである。
更に、本発明の第2の実施の形態に係る除荷装置10´は、図14に示すように、チェアー部材46の内部に、連結部材42の回転を防止する回転止め48が設けられていることで、回転方向について連結部材42を拘束する。この連結部材42の拘束と、ナット部材44によるダブルナットの回転抑止効果とによって、ネジ構造部82がナット84と共回りすることを防止することができる。これにより、レンチ12によってナット84を回転させる際に、ナット84と共にネジ構造部82が回転することはないため、共回りに起因するネジ構造部82内部のPC鋼線等の破断を防止することができる。
又、本発明の第2の実施の形態に係る除荷装置10´は、図14及び図15に示すように、ネジ構造部82やテンションバー40の位置を中心とした、嵩上げ部材52、54の外周部に、リング部56が設けられると共に、チェアー部材46の嵩上げ部46eの外周部に、リング部50が設けられている。そして、嵩上げ部材52、54のリング部56と、チェアー部材46のリング部50とに、ポール部材が挿通されているものである。すなわち、ポール部材は、嵩上げ部材52、54とチェアー部材46との双方のリング部56、50に挿通されることで、嵩上げ部材52、54とチェアー部材46との間のズレや、嵩上げ部材52、54が複数設置される場合は全ての嵩上げ部材52、54間のズレをも防止する。これにより、嵩上げ部材52、54やチェアー部材46を適正な位置に配置しながら、除荷作業を行うことが可能となる。
そして、本発明の第2の実施の形態に係る除荷装置10´を利用した除荷方法は、図20〜図22に示される手順により、長尺施工部材80の除荷を行うことで、本発明の第2の実施の形態に係る除荷装置10´と同様の作用効果を奏することができる。
更に、上述した本発明の第1及び第2の実施の形態に係る除荷装置10、10´は、除荷対象の長尺施工部材80が、図23に示すようなグラウンドアンカー80A、或いは、図24に示すような土木用タイロッド80Bであることで、プレストレスを与える際に比較的多く利用されるグラウンドアンカー80Aや土木用タイロッド80Bを、上述したような様々な作用効果を奏しながら除荷することができる。
なお、本発明の第1及び第2の実施の形態に係る除荷装置10、10´は、「ナット定着方式」のグラウンドアンカー80Aのみではなく、「くさび定着・ナット調整方式」のグラウンドアンカーにも適用可能なものである。この場合には、「くさび定着・ナット調整方式」のグラウンドアンカーで、調整に用いられているナットを回転させることができる、上述したレンチ12に対応する適切な回転手段を用いればよい。
10、10´:除荷装置、12:レンチ、14:回転用ジャッキ、16:軸着部、18:固定部材、40:テンションバー、42:連結部材、44:ナット部材、46:チェアー部材、48:回転止め、50:チェアー部材のリング部、52、54:嵩上げ部材、56:嵩上げ部材のリング部、60:緊張ジャッキ、80:長尺施工部材、80A:グラウンドアンカー、80B:土木用タイロッド、82:ネジ構造部、84:ナット、86:支圧板

Claims (10)

  1. 施工位置に緊張力によりプレストレスを与えるために用いられ、前記施工位置の表面に支圧板を介してナットを用いて定着されるネジ構造部を、少なくとも一方の端部に有する長尺施工部材の除荷装置であって、
    前記ナットを回転させるためのレンチと、
    該レンチの、前記ナットと係合する側と反対側の端部が、着脱可能に軸支される軸着部を有する回転用ジャッキと、
    該回転用ジャッキの伸縮運動を前記レンチの回転運動へと変換可能に、前記支圧板に対して前記回転用ジャッキを固定するための固定部材と、を含むことを特徴とする除荷装置。
  2. 前記回転用ジャッキは、該回転用ジャッキのストロークの範囲内の配置間隔で、前記軸着部が前記回転用ジャッキの伸縮方向に直線状に複数配置されていることを特徴とする請求項1記載の除荷装置。
  3. テンションバーと、
    該テンションバーと前記長尺施工部材の前記ネジ構造部とを連結する連結部材と、
    前記テンションバー及び前記連結部材を介して、前記長尺施工部材の許容引張り力以下の荷重で前記施工長尺部材を引張するための緊張ジャッキと、
    前記テンションバー及び前記連結部材が内部に挿通された状態で、前記緊張ジャッキが載置される円筒状のチェアー部材と、
    該チェアー部材が前記連結部材の周囲に位置する高さに配置されるように、前記支圧板と前記チェアー部材との間に設置される少なくとも1つの嵩上げ部材と、を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の除荷装置。
  4. 前記少なくとも1つの嵩上げ部材は、平面視で、環状をなし、かつ、前記レンチの回転運動の動作領域を避けるように切欠きが設けられていることを特徴とする請求項3記載の除荷装置。
  5. 前記ネジ構造部の、前記ナットと前記連結部材との間に、前記連結部材の前記ナット側の端部と接触する位置に取り付けられるナット部材を含み、
    前記チェアー部材の内部に、連結部材の回転を防止する回転止めが設けられていることを特徴とする請求項3又は4記載の除荷装置。
  6. 前記ネジ構造部及び前記テンションバーの位置を中心とした、前記少なくとも1つの嵩上げ部材の外周部と、前記チェアー部材の外周部との夫々に、リング部が設けられ、前記少なくとも1つの嵩上げ部材の前記リング部と、前記チェアー部材の前記リング部とに、ポール部材が挿通されていることを特徴とする請求項3から5のいずれか1項記載の除荷装置。
  7. 前記長尺施工部材がグラウンドアンカー或いはタイロッドであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の除荷装置。
  8. 施工位置に緊張力によりプレストレスを与えるために用いられ、前記施工位置の表面に支圧板を介してナットを用いて定着されるネジ構造部を、少なくとも一方の端部に有する長尺施工部材の除荷方法であって、
    前記ナットにレンチを取り付け、回転用ジャッキの伸縮を利用して前記レンチを介して前記ナットに回転力を加えることで、前記ナットを緩める方向に回転させることを特徴とする除荷方法。
  9. 前記長尺施工部材の前記少なくとも一方の端部に緊張ジャッキを取り付け、該緊張ジャッキによって前記長尺施工部材を引張する方向に、前記長尺施工部材の許容引張り力以下の荷重を作用させながら、前記ナットを回転させることを特徴とする請求項8記載の除荷方法。
  10. 前記長尺施工部材がグラウンドアンカー或いはタイロッドであることを特徴とする請求項8又は9記載の除荷方法。
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