JP2018062824A - 除荷装置及び除荷方法 - Google Patents
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Abstract
Description
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
本項に記載の除荷装置は、回転用ジャッキに、レンチの端部が着脱可能に軸支される軸着部が、回転用ジャッキの伸縮方向に直線状に配置されて複数設けられており、隣接する軸着部の配置間隔が、回転用ジャッキのストロークの範囲内、例えば、最大ストロークと最小ストロークとの長さの差に等しくなっている。この場合には、回転用ジャッキの伸び方向側と縮み方向側との、隣接する2つの軸着部は、回転用ジャッキが最大ストロークのときの、縮み方向側の軸着部の位置が、回転用ジャッキが最小ストロークのときの、伸び方向側の軸着部の位置と同じになる。従って、回転用ジャッキ及びレンチを利用して、長尺施工部材のナットを回転させる際は、次のような手順で作業が行われる。
本項に記載の除荷装置は、チェアー部材の高さ位置を調整するための嵩上げ部材が、平面視で環状をなすと共に、レンチの回転運動の動作領域を避けるように切欠きが設けられているものである。すなわち、嵩上げ部材は、平面視で、C字状やコの字状等をなしており、内部にネジ構造部等が配置される空間が確保される。これにより、支圧板とチェアー部材との間に設置されることで、支圧板と接しているナットの周囲に配置されることとなる嵩上げ部材が、ナットを回転させるレンチの回転運動を妨げることなく、緊張ジャッキによる緊張の反力を、チェアー部材から支圧板へと伝えるものとなる。
本項に記載の除荷装置は、テンションバーを連結するために、ネジ構造部の先端に取り付けられる連結部材と、ネジ構造部を定着しているナットとの間に、ナット部材を含むものである。このナット部材は、連結部材のナット側の端部と接触する位置に取り付けられ、長尺施工部材のネジ構造部に対応する雌ネジ構造を有する連結部材と共に、所謂ダブルナットの回転抑止効果によって、連結部材がネジ構造部から外れないようにするものである。
本項に記載の除荷装置は、ネジ構造部やテンションバーの位置を中心とした、嵩上げ部材の外周部と、チェアー部材の外周部との夫々に、リング部が設けられ、嵩上げ部材のリング部と、チェアー部材のリング部とに、ポール部材が挿通されているものである。すなわち、ポール部材は、嵩上げ部材とチェアー部材との双方のリング部に挿通されることで、嵩上げ部材とチェアー部材との間のズレや、嵩上げ部材が複数設置される場合は全ての嵩上げ部材間のズレをも防止する。これにより、嵩上げ部材やチェアー部材を適正な位置に配置しながら、除荷作業が行われるものとなる。
本項に記載の除荷装置は、除荷対象の長尺施工部材が、グラウンドアンカー或いはタイロッドであることで、プレストレスを与える際に比較的多く利用されるグラウンドアンカーやタイロッドを、上記(1)から(6)項に記載した作用を奏しながら除荷するものである。なお、この場合のタイロッドは、土木用や土留め用のタイロッドを意味するものである。
本項に記載の除荷方法は、長尺施工部材のネジ構造部に、緊張ジャッキで長尺施工部材を緊張させるために必要な緊張余長が確保される場合に用いられる除荷方法であり、まず、その緊張余長があるネジ構造部に、緊張ジャッキを取り付ける。そして、緊張ジャッキによって長尺施工部材を引張する方向、すなわち、長尺施工部材の残存引張り力と反対の方向に、長尺施工部材の許容引張り力以下の荷重を作用させながら、ナットを回転させるものである。
本項に記載の除荷方法は、除荷対象の長尺施工部材が、グラウンドアンカー或いはタイロッドであることで、プレストレスを与える際に比較的多く利用されるグラウンドアンカーやタイロッドを、上記(8)(9)項に記載した作用を奏しながら除荷するものである。なお、この場合のタイロッドは、上記(7)項と同様に、土木用や土留め用のタイロッドを意味するものである。
本発明の第1の実施の形態に係る除荷装置10(図8〜図10参照)は、図23に示したグラウンドアンカー80Aや、図24に示した土木用タイロッド80B等の、施工位置にプレストレスを与えている長尺施工部材80を除荷するものであり、図1〜図4に示すような各構成部品を含んでいる。
図1に示すレンチ12は、長尺施工部材80のナット84(図23、図24参照)を回転させるためのものであり、ナット84に係合する係合部12aと、後述する回転用ジャッキに軸支される軸支端12bとを有している。軸支端12bには、回転用ジャッキに軸支される際に接続用のピンが挿通される穴12cが設けられている。
まず、図5には、除荷対象である長尺施工部材80の頭部近傍を示している。図23及び図24に示したグラウンドアンカー80A及び土木用タイロッド80Bと同様に、長尺施工部材80は、支圧板86を介して施工位置の表面に、ナット84を利用してネジ構造部(マンション)82が定着されている。なお、図5(a)で確認できるナット84に付された黒印は、ナット84が回転する様子を明確に示すために付したものであり、図6〜図10に図示しているナット84にも付している。
次に、図7に示すように、支圧板86の背面において、反力枠20の挿通用部材20fと挿通用部材20gとの双方に、固定用ボルト24を挿通して、ナットで固定する。これによって、支圧板86に対して、反力枠20が強固に固定される。なお、支圧板86に対する反力枠20の固定構造及び固定方法は、図3や図7に示した構造や方法に限定されるものではなく、除荷対象の長尺施工部材80の状況等に応じて、適切な固定構造や固定方法が採用される。
そして、図8(b)に示すように、延長部材22のジャッキ取付部22bに、回転用ジャッキ14を取り付ける。すなわち、上述したように、ジャッキ取付部22bの内部空間C2(図4(a)参照)に、回転用ジャッキ14の軸支端14cを配置し、延長部材22の貫通孔22eと回転用ジャッキ14の穴14d(図2参照)との双方に固定ピン26を挿通して、ジャッキ取付部22bに回転用ジャッキ14を軸着する。これにより、回転用ジャッキ14は、固定ピン26を回転軸として、固定部材18に対して回動可能になる。なお、ここからは、説明の便宜上、回転用ジャッキ14のラム部14bに設けられた3つの軸着部16を、シリンダ部14aの方から順に、軸着部16a〜16cとして示すものとする。
更に、回転用ジャッキ14の軸着部16bから接続ピン28を抜き、軸着部16bにおけるレンチ12の軸支を解放した状態で、油圧ポンプを利用して回転用ジャッキ14を最小ストロークまで縮める。すると、軸着部16bとそれに隣接する軸着部16cとの間隔も、回転用ジャッキ14の最大ストロークと最小ストロークとの長さの差S(図2参照)に等しくなっているため、ナット84に係合したままのレンチ12の穴12c(図1参照)の位置と、回転用ジャッキ14の軸着部16cの位置とが一致する。このため、図10(a)に示すように、軸着部16cとレンチ12の穴12cとの双方に、接続ピン28を挿通して、レンチ12を軸着部16cに軸支させる。
その後、図10(c)に示すように、回転用ジャッキ14の軸着部16cから接続ピン28を抜いて、軸着部16cにおけるレンチ12の軸支を解放すると共に、レンチ12をナット84から取り外す。
以降は、ナット84に作用する荷重(残存引張り力)が、長尺施工部材80の許容引張り力以下になるまで、図8(c)〜図10(c)に示した手順を繰り返し実行して、長尺施工部材80を除荷する。
そして、本発明の第1の実施の形態に係る除荷装置10を利用した除荷方法は、図8(c)〜図10(b)に示される手順により、長尺施工部材80の除荷を行うことで、本発明の第1の実施の形態に係る除荷装置10と同様の作用効果を奏することができる。
まず、図11に示すテンションバー40は、長尺施工部材80のネジ構造部82と連結されて、緊張ジャッキによって直接引張される部材であり、長尺施工部材80と連結するためのネジ溝部40aと、緊張ジャッキ側に固定するためのネジ溝部40bとが設けられている。
なお、上述したチェアー部材46に設けられているリング部50と、嵩上げ部材52、54に設けられているリング部56とには、チェアー部材46及び嵩上げ部材52、54が設置された後に、図示しないポール部材が挿通される。
まず、図16、図17に示す各手順は、図5〜図8(b)を参照して説明した、本発明の第1の実施の形態に係る除荷装置10と同じ手順であるため、説明を省略する。
その後は、本発明の第1の実施の形態に係る除荷装置10について、図9(b)〜図10(b)を参照して説明した手順と同様に、レンチ12を軸支させる回転用ジャッキ14の軸着部16を、軸着部16aから軸着部16b、軸着部16bから軸着部16cへと順次変更しながら、回転用ジャッキ14の伸び運動を利用して、ナット84を回転させる。
以降は、ナット84に作用する荷重(残存引張り力)が、長尺施工部材80の許容引張り力以下になるまで、図20(c)、(d)〜図22(a)、(b)に示した手順を繰り返し実行して、長尺施工部材80を除荷する。
そして、本発明の第2の実施の形態に係る除荷装置10´を利用した除荷方法は、図20〜図22に示される手順により、長尺施工部材80の除荷を行うことで、本発明の第2の実施の形態に係る除荷装置10´と同様の作用効果を奏することができる。
なお、本発明の第1及び第2の実施の形態に係る除荷装置10、10´は、「ナット定着方式」のグラウンドアンカー80Aのみではなく、「くさび定着・ナット調整方式」のグラウンドアンカーにも適用可能なものである。この場合には、「くさび定着・ナット調整方式」のグラウンドアンカーで、調整に用いられているナットを回転させることができる、上述したレンチ12に対応する適切な回転手段を用いればよい。
Claims (10)
- 施工位置に緊張力によりプレストレスを与えるために用いられ、前記施工位置の表面に支圧板を介してナットを用いて定着されるネジ構造部を、少なくとも一方の端部に有する長尺施工部材の除荷装置であって、
前記ナットを回転させるためのレンチと、
該レンチの、前記ナットと係合する側と反対側の端部が、着脱可能に軸支される軸着部を有する回転用ジャッキと、
該回転用ジャッキの伸縮運動を前記レンチの回転運動へと変換可能に、前記支圧板に対して前記回転用ジャッキを固定するための固定部材と、を含むことを特徴とする除荷装置。 - 前記回転用ジャッキは、該回転用ジャッキのストロークの範囲内の配置間隔で、前記軸着部が前記回転用ジャッキの伸縮方向に直線状に複数配置されていることを特徴とする請求項1記載の除荷装置。
- テンションバーと、
該テンションバーと前記長尺施工部材の前記ネジ構造部とを連結する連結部材と、
前記テンションバー及び前記連結部材を介して、前記長尺施工部材の許容引張り力以下の荷重で前記施工長尺部材を引張するための緊張ジャッキと、
前記テンションバー及び前記連結部材が内部に挿通された状態で、前記緊張ジャッキが載置される円筒状のチェアー部材と、
該チェアー部材が前記連結部材の周囲に位置する高さに配置されるように、前記支圧板と前記チェアー部材との間に設置される少なくとも1つの嵩上げ部材と、を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の除荷装置。 - 前記少なくとも1つの嵩上げ部材は、平面視で、環状をなし、かつ、前記レンチの回転運動の動作領域を避けるように切欠きが設けられていることを特徴とする請求項3記載の除荷装置。
- 前記ネジ構造部の、前記ナットと前記連結部材との間に、前記連結部材の前記ナット側の端部と接触する位置に取り付けられるナット部材を含み、
前記チェアー部材の内部に、連結部材の回転を防止する回転止めが設けられていることを特徴とする請求項3又は4記載の除荷装置。 - 前記ネジ構造部及び前記テンションバーの位置を中心とした、前記少なくとも1つの嵩上げ部材の外周部と、前記チェアー部材の外周部との夫々に、リング部が設けられ、前記少なくとも1つの嵩上げ部材の前記リング部と、前記チェアー部材の前記リング部とに、ポール部材が挿通されていることを特徴とする請求項3から5のいずれか1項記載の除荷装置。
- 前記長尺施工部材がグラウンドアンカー或いはタイロッドであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の除荷装置。
- 施工位置に緊張力によりプレストレスを与えるために用いられ、前記施工位置の表面に支圧板を介してナットを用いて定着されるネジ構造部を、少なくとも一方の端部に有する長尺施工部材の除荷方法であって、
前記ナットにレンチを取り付け、回転用ジャッキの伸縮を利用して前記レンチを介して前記ナットに回転力を加えることで、前記ナットを緩める方向に回転させることを特徴とする除荷方法。 - 前記長尺施工部材の前記少なくとも一方の端部に緊張ジャッキを取り付け、該緊張ジャッキによって前記長尺施工部材を引張する方向に、前記長尺施工部材の許容引張り力以下の荷重を作用させながら、前記ナットを回転させることを特徴とする請求項8記載の除荷方法。
- 前記長尺施工部材がグラウンドアンカー或いはタイロッドであることを特徴とする請求項8又は9記載の除荷方法。
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