JP2018062590A - 光硬化性組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】エネルギー線を照射後、一定時間後に十分な硬化性を示す遅延硬化性を有し、開放状態でも、閉鎖状態でも十分に硬化でき、硬化物の透明性を確歩できる光硬化性組成物の提供。【解決手段】(A)〜(E)成分を含む光硬化性組成物。(A)成分:加水分解性シリル基を有するオリゴマー(B)成分:光酸発生剤(C)成分:水(D)成分:分子内に水酸基を1つ有する分子量300未満の化合物(E)成分:分子内に環状エーテル基を有する化合物。好ましくは、(A)成分がポリアリキレンオキサイドを主骨格とする加水分解性シリル基を有するオリゴマー及び/又は(メタ)アクリル重合体を主骨格とする加水分解性シリル基を有するオリゴマーであり、(B)成分がモノスルホニウムカチオンからなる塩であり、ラジカル種を発生しない光開始剤である光硬化性組成物。【選択図】図1
Description
本発明は、エネルギー線を照射した後に一定時間未硬化であるが、その後硬化する遅延硬化性を有する光硬化性組成物に関するものである。
従来、特許文献1に記載の加水分解性シリル基を有する化合物と光酸発生剤を含む光架橋性組成物が知られていた。当該発明は、エネルギー線照射により光酸発生剤が分解してカチオン種が発生して反応が開始するカチオン系光硬化性組成物である。しかしながら、完全硬化までに非常に時間を要するため、実用的に使用できるレベルではなく、さらに最終的な硬化物が不完全硬化になっていた。特許文献2に記載の発明は、特許文献1の発明に対して、(メタ)アクリル樹脂(以下、アクリルとメタクリルを合わせて(メタ)アクリルと呼び、(メタ)アクリル基を有する化合物の総称を(メタ)アクリル樹脂と呼ぶ。)の様な炭素−炭素二重結合を有する化合物とエネルギー線を照射するとラジカル種を発生する光開始剤というラジカル系光硬化性組成物を含ませることで硬化時間の短縮を図っている。しかしながら、特許文献2の発明は、エネルギー線照射後にラジカル系光硬化性組成物は急激に反応し、カチオン系光硬化性組成物は未硬化のままの状態が存在し、当該状態ではカチオン系光硬化組成物とラジカル系光硬化性組成物の硬化性に大きな差が発生するため、時間の経過と共に未硬化成分がブリードアウトする恐れがある。また、カチオン系光硬化性組成物は、硬化性が悪いまま残ってしまう。
従来、カチオン系光硬化性組成物は、光硬化性はあるものの硬化が非常に遅く最終的にも硬化が十分であり硬化物の透明性を確保すると共に、硬化物に対して信頼性試験を行った後に硬化物の透明性を維持することも困難であった。
本発明者は、上記目的を達成するべく鋭意検討した結果、エネルギー線を照射してから一定時間経過した後で十分な硬化性を得ることができる遅延硬化性を有する光硬化性組成物であり、ポッティングの様な開放状態であっても、貼り合わせの様な密閉状態であっても最終的には十分硬化することができる光硬化性組成物に関する手法を完成するに至った。
本発明の要旨を次に説明する。本発明の第一の実施態様は、(A)〜(E)成分を含む光硬化性組成物である。
(A)成分:加水分解性シリル基を有するオリゴマー
(B)成分:光酸発生剤
(C)成分:水
(D)成分:分子内に水酸基を1つ有する分子量300未満の化合物
(E)成分:分子内に環状エーテル基を有する化合物
(A)成分:加水分解性シリル基を有するオリゴマー
(B)成分:光酸発生剤
(C)成分:水
(D)成分:分子内に水酸基を1つ有する分子量300未満の化合物
(E)成分:分子内に環状エーテル基を有する化合物
本発明の第二の実施態様は、前記(A)成分が、ポリアルキレンオキサイドを主骨格とする加水分解性シリル基を有するオリゴマーおよび/または(メタ)アクリル重合体を主骨格とする加水分解性シリル基を有するオリゴマーである第一の実施態様に記載の光硬化性組成物である。
本発明の第三の実施態様は、前記(B)成分が、モノスルホニウムカチオンからなる塩である第一または第二の実施態様のいずれかに記載の光硬化性組成物である。
本発明の第四の実施態様は、エネルギー線を照射するとラジカル種を発生する光開始剤を含まない第一から第三の実施態様のいずれかに記載の光硬化性組成物である。
本発明の第五の実施態様は、窒素原子を有する化合物を含まない第一から第四の実施態様のいずれかに記載の光硬化性組成物である。
本発明の第六の実施態様は、第一から第五の実施態様のいずれかに記載の光硬化性組成物を含む、透明な光硬化性組成物である。
本発明の第七の実施態様は、さらに、(F)成分として、分子内に鎖状エーテル基と水酸基を有する重量平均分子量300以上の化合物を含む第一から第六の実施態様のいずれかに記載の光硬化性組成物である。
本発明の第八の実施態様は、第一から第七の実施態様のいずれかに記載の光硬化性組成物を含む接着剤である。
本発明の第九の実施態様は、第一から第七の実施態様のいずれかに記載の光硬化性組成物を含むポッティング剤である。
本発明の第十の実施態様は、第一から第七の実施態様のいずれかに記載の光硬化性組成物をエネルギー線照射により硬化させた硬化物である。
本発明の第十一の実施態様は、第一から第七の実施態様のいずれかに記載の光硬化性組成物を一方の基材に塗布した後に、光硬化性組成物にエネルギー線を照射して、光硬化性組成物が未硬化の状態でもう一方の基材を貼り合わせることによる硬化方法である。
本発明の第十二の実施態様は、第一から第七の実施態様のいずれかに記載の光硬化性組成物を一方の透明基材に塗布した後に、もう一方の透明基材を貼り合わせてから光硬化性組成物にエネルギー線を照射する硬化方法である。
本発明の第十三の実施態様は、第十一または第十二の実施態様のいずれかに記載の硬化方法を実施した後に、光硬化性組成物が完全硬化する前に基材同士を引きはがすリワーク方法である。
本発明の光硬化性組成物は、エネルギー線照射してから一定時間経過した後で十分な硬化性を得ることができる遅延硬化性を有する光硬化性組成物であり、容器に入れた開放状態であっても、貼り合わせの様な密閉状態であっても最終的には十分硬化することができ、低粘度であると共に硬化前後で高い透明性を可能とし、高温雰囲気や高温高湿雰囲気下での信頼性試験後においてもその透明性を維持することを可能にする。
本発明の詳細を次に説明する。本発明で使用することができる(A)成分としては、加水分解性シリル基を有するオリゴマーである。ここで、加水分解性シリル基とはケイ素にアルコキシ基が付加した官能基などの総称であり、トリメトキシシリル基やトリエトキシシリル基などが挙げられ、分子中に加水分解性シリル基が1個以上有すれば良く、好ましくは2個以上である。(A)成分の主鎖としては、(メタ)アクリル重合体、ポリアルキレンオキサイド、ポリイソブチレンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。加水分解性シリル基は、(A)成分の側鎖および/または末端のいずれに存在していても構わないが、ゴム弾性および柔軟性の点からは、主鎖の両末端に存在することが好ましい。
主鎖が(メタ)アクリル重合体の(A)成分を合成するための(メタ)アクリルモノマーとしては特に限定されず、各種のものを用いることができる。(メタ)アクリルモノマーとは、アクリル基またはメタクリル基を有するモノマーの総称である。例示するならば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ペンチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明においては、前記(メタ)アクリルモノマーより選択して重合させることができるが、好ましくは炭化水素基を有する(メタ)アクリルモノマーを選択することが好ましい。(A)成分は種々の重合法により得ることができ、その方法は特に限定されないが、モノマーの汎用性及び反応制御の容易性の点からラジカル重合法が好ましい。ラジカル重合の中でも制御ラジカル重合が好ましく、リビングラジカル重合がより好ましく、原子移動ラジカル重合が特に好ましい。また、主鎖である(メタ)アクリルモノマーの重合体に対して、(メタ)アクリル基の導入法は既に公知な方法であり、特開平09−272714や特開平11−043512などに記載されている。
(A)成分に使用される主鎖のポリアルキレンオキサイド骨格は、KOHのようなアルカリ触媒による重合法、有機アルミニウム−ポルフィリン錯体触媒による重合法、金属シアン化物錯体触媒による重合法等があげられるが、特に限定されるものではなく、ポリアルキレンオキサイド骨格への加水分解性シリル基の付加は、分子中に不飽和基、水酸基、エポキシ基やイソシアネート基等の官能基を有するポリアルキレンオキサイド骨格に、これらの官能基に対して反応性を示す官能基および加水分解性シリル基を有する化合物を反応させることにより行うが、これらに限定されるものではない。
(A)成分の数平均分子量(Mn)の下限は500好ましくは3000であり、上限は10万好ましくは5万である。数平均分子量が500未満であると組成物の硬化物が有する弾性が発現されにくくなる傾向があり、10万を超えると粘性が高くなりすぎて組成物を塗出する際に糸ひきが発生する。
(A)成分の具体例としては、主鎖が(メタ)アクリル重合体の(A)成分としては株式会社カネカ製のOR110S、OR100S、SA100S、SA110S、SA120Sなどが、主鎖がポリアルキレンオキサイドの(A)成分としては、株式会社カネカ製のSAT030、SAT115、SAT200、SAT350、SAT580、SAX530などが、主鎖がポリアルキレンオキサイドの(A)成分と主鎖が(メタ)アクリル重合体の(A)成分の混合物としては、株式会社カネカ製のMA430、MA440、MA451などが、主鎖がポリイソブチレンの(A)成分としては株式会社カネカ製のEP100S、EP505Sなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明で使用することができる(B)成分としては、光酸発生剤である。エネルギー線照射によりカチオン種が発生する化合物であればよい。(B)成分としてはジアゾニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩等が挙げられ、さらに具体的にはベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロフォスフェート、ベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロボーレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロボーレート、4,4‘−ビス[ビス(2−ヒドロキシエトキシフェニル)スルフォニオ]フェニルスルフィドビスヘキサフルオロフォスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルフォニウムヘキサフルオロフォスフェート等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。エネルギー線に対する感度を考慮すると、一般式1の様なモノスルホニウムカチオンからなる塩であることが好ましい。ここで、Rは無機アニオン種を指し、具体的にはPF6、SbF6、その他リン系アニオンおよびその他アンチモン系アニオンなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、取扱性向上のため、(B)成分はプロピレンカーボネートなどの溶剤で希釈しても良い。
また、本発明の光硬化性組成物には、(B)成分以外の開始剤としてエネルギー線を照射するとラジカル種を発生する光開始剤を含まないことが好ましい。本発明に(メタ)アクリル基を有する化合物が添加されていても問題無い。しかし、(B)成分によるカチオン重合とラジカル種を発生する光開始剤を併用させてラジカル重合を行うと硬化速度の違いから分離する恐れがあるからである。ラジカル種を発生する光開始剤の具体例としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、組成物に窒素原子を有する化合物を含む場合、(B)成分が失活してエネルギー線を照射してもカチオン種が発生せずに未硬化になる恐れがある。そのため、1級アミン化合物、2級アミン化合物または3級アミン化合物などの窒素原子を有する化合物を光硬化組成物中に含まないことが好ましい。
(A)成分が100質量部に対して、(B)成分は0.1〜5.0質量部を添加することが好ましい。(B)成分が0.1質量部以上の場合は光硬化性を維持することができる。一方、(B)成分が5.0質量部以下の場合は保存時に増粘すること無く保存安定性を維持することができる。
本発明で使用することができる(C)成分としては、水である。水道水、精製装置によりイオン交換水または蒸留水などを使用することができるが、より好ましい(C)成分は不純物が少ないイオン交換水または蒸留水である。
(A)成分100質量部に対して、(C)成分は0.01〜4.5質量部を添加することが好ましい。さらに好ましくは、0.1〜4.5質量部である。(C)成分が0.01質量部以上の場合は、深部硬化性が良好になる。(C)成分が4.5質量部以下の場合は硬化前後の外観が透明である。
本発明で使用することができる(D)成分としては、分子内に水酸基を1つ有する分子量300未満の化合物である。ここで、分子量とは(D)成分が単分子であることを前提として計算された計算値を指す。(D)成分は、(A)成分と(C)成分を相溶させる性能があれば限定されず、(D)成分の分子内には炭化水素基、エステル基、エーテル基、ビニル基、(メタ)アクリル基などを有していても良い。(D)成分の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、ブチルグリコール、ブチルジグリコール、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルなど挙げられるが、これらに限定されるものではない。(A)成分と(C)成分を相溶させる性能を発現するためには、25℃で液状であることが特に好ましい。さらに好ましくは、25℃で液状であるであることに加え、水酸基が付加している炭素原子は脂肪族炭化水素の炭素原子である。
(A)成分100質量部に対して、(D)成分は0.01〜9.5質量部を添加することが好ましい。さらに好ましくは、0.1〜5.0質量部である。(D)成分が0.01質量部以上の場合は、(C)成分を(A)成分中に相溶させることが出来るため硬化前後の外観を透明に維持することができる。(D)成分が9.5質量部以下の場合は(A)成分と分離すること無く白濁することがない。
本発明で使用することができる(E)成分は分子内に環状エーテル基を有する化合物である。(E)成分は25℃で液状であることが好ましく、可塑剤として使用することができ、(A)成分および(B)成分と相溶すれば使用することができる。ただし、(D)成分を除く。(E)成分は可塑剤として含まれているため、(E)成分の環状エーテルを開環させるアミン化合物などの窒素原子を有する化合物などの硬化剤および/または硬化促進剤は含まないことが好ましい。
ここで、環状エーテル基としては、3員環または4員環が好ましく、エポキシ基、脂環式エポキシ基およびオキセタン基などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。具体的にはエポキシ樹脂や脂環式エポキシ樹脂やオキセタン樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではないく、これらを2種類以上組み合わせてもよい。
エポキシ樹脂としては、1分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物が含まれることが好ましい。1種類だけ使用しても2種類以上を混合して使用しても良い。エポキシ樹脂の具体例としては、エピクロルヒドリンとビスフェノール類などの多価フェノール類や多価アルコールとの縮合によって得られるもので、例えばビスフェノールA型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型、ナフタレン型、フルオレン型、ノボラック型、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型、テトラフェニロールエタン型などのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂を例示することができる。その他エピクロルヒドリンとフタル酸誘導体や脂肪酸などのカルボン酸との縮合によって得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、エピクロルヒドリンとアミン類、シアヌル酸類、ヒダントイン類との反応によって得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、さらには様々な方法で変性したエポキシ樹脂を挙げられるが、これらに限定されるものではない。市販されているビスフェノール型エポキシ樹脂としては、三菱化学株式会社製のjERシリーズとして827、828EL、YL983U等、DIC株式会社製のEPICLONシリーズとして830、EXA−835LV等が挙げられる。新日鉄住金株式会社製のエポトートシリーズとして、YD−128、YDF−170等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、1分子内に1個のエポキシ基を有する化合物を含んでも良い。当該エポキシ樹脂は一般的に反応性希釈剤とも呼ばれ、具体的には、フェニルグリシジルエーテル、クレシルグリシジルエーテル、p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、C12〜C14アルコールグリシジルエーテル、ブタンジグリシジルエーテル、ヘキサンジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメチルジグリシジルエーテル、又はポリエチレングリコールもしくはポリプロピレングリコールをベースとするグリシジルエーテルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。(E)成分は、低粘度化および外観の観点から反応性希釈剤であることが好ましい。
脂環式エポキシ基を有する化合物とは、主にエポキシシクロヘキシル基を有するエポキシ化合物である。その具体例としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサノン−m−ジオキサン、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
オキセタン基を有する化合物の具体例としては、3−(メタ)アリルオキシメチル−3−エチルオキセタン、イソボルニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−エチルヘキシル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンタジエン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等の1官能オキセタン化合物、3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン、1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、ジシクロペンテニルビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ブタン、1,6−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ヘキサン等の2官能オキセタン化合物、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等の多官能オキセタン化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(A)成分が100質量部に対して、(E)成分は1〜60質量部を添加することが好ましい。(E)成分が1質量部以上の場合は硬化前後において白濁することが無い。一方、(E)成分が60質量部以下の場合は硬化性を維持することができる。
本発明で使用できる(F)成分は、分子内に鎖状エーテル基と水酸基を有する重量平均分子量300以上の化合物である。ただし、(D)成分および(E)成分を除く。重量平均分子量300以上の成分を可塑剤として添加することで、80℃雰囲気下などに放置される耐熱試験や60℃で95%RH雰囲気下または85℃で85%RH雰囲気下などに放置される耐湿試験において、各試験後の硬化物において透明性を向上させることができる。さらに好ましい重量平均分子量としては300〜5000であり、さらに好ましくは、300〜3000である。(F)成分としては、末端または側鎖に水酸基を有するグリセリンのアルキレンオキサイド変性体やビスフェノールAのアルキレンオキサイド変性体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。(F)成分の具体例としては、株式会社ADEKA製のアデカポリエーテルシリーズP−700、G−1500、BPX−55などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(A)成分が100質量部に対して、(F)成分は1〜60質量部を添加することが好ましい。(F)成分が1質量部以上の場合は信頼性試験において硬化後の外観を透明に維持することができる。一方、(E)成分が60質量部以下の場合は硬化性を維持することができる。
本発明では、光硬化性組成物の透明性を確保できる範囲で、有機充填剤や無機充填剤の充填剤を添加することができる。粘度を調整する目的で、無機充填剤としてヒュームドシリカを添加することができる。表面が未処理でありシラノールが残留している親水性タイプ、前記シラノールをジメチルジクロロシランなどで処理してシリカ表面を疎水化した疎水性タイプなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。親水性タイプの具体的な商品としては、日本アエロジル株式会社製のアエロジル90、130、150、200、255、300、380等が挙げられ、疎水性タイプの具体的な商品としては、日本アエロジル株式会社製のアエロジルR972(ジメチルジクロロシラン処理)、R974(ジメチルジクロロシラン付加)、R104(オクタメチルシクロテトラシロキサン処理)、R106(オクタメチルシクロテトラシロキサン処理)、R202(ポリジメチルシロキサン処理)、R805(オクチルシラン処理)、R812(ヘキサメチルジシラザン処理)、R816(ヘキサデシルシラン処理)、R711(メタクリルシラン処理)などが挙げられる。その他にキャボット株式会社製のヒュームドシリカであるキャボシルシリーズなどが挙げられる。
また、前記の充填剤はスペーサーとしても添加することもできる。特に好ましくは、球状の樹脂ビーズである。板状の被着体を貼り合わせて仮固定する場合、仮固定剤にスペーサーとして球状の樹脂ビーズを添加することで略平行な樹脂層が形成される。当該原料具体的には、(メタ)アクリル樹脂やウレタン樹脂製の樹脂ビーズなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。平均粒径としては1〜100μmが好ましく、特に好ましくは10〜70μmである。10μmより大きいと剥離作業の際に剥離しやすくなり、70μmより小さいと塗膜の厚さが安定する。(メタ)アクリル樹脂製のスペーサーの具体例として、根上工業株式会社製のアートパールSE−050T、ガンツ化成株式会社製のガンツパールGM−4003などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明では、密着付与剤を添加しても良く、エポキシ基、ビニル基、アクリル基またはメタクリル基と加水分解性シリル基を併せ持つシラン系カップリング剤や、フェニル基および加水分解性シリル基を有するポリオルガノシロキサンおよび/またはエポキシ基および加水分解性シリル基を有するポリオルガノシロキサンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。当該化合物は(A)成分には含まれない。シラン系カップリング剤としては、アリルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどが挙げられるがこれらに限定されない。シラン系カップリング剤の具体例としては、KBM−403、KBM−5103などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。フェニル基および加水分解性シリル基を有するポリオルガノシロキサンの具体例としては、信越化学工業(株)製のKR−217、KR−213、KR−9218、KR−510、X−40−9227、X−40−9247、東レダウコーニング製の3037INTERMEDIATE、3074INTERMEDIATEが挙げられるがこれらに限定されるものではない。エポキシ基および加水分解性シリル基を有するポリオルガノシロキサンの具体例としては、信越化学工業(株)製のX−41−1053、X−41−1056が挙げられるがこれらに限定されるものではない。前記エポキシ基には、脂肪族エチレンオキサイドおよび脂環式エポキシ基である環状脂肪族エチレンオキサイドを含む。
本発明では、硬化性を向上させる目的でシリケートを添加することができる。具体的には、エチルシリケート、プロピルシリケート、ブチルシリケートまたはこれらの多量体などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。当該化合物は(A)成分には含まれない。具体的な商品としては、コルコート株式会社製のエチルシリケート28、エチルシリケート28P、n−プロピルシリケート、n−ブチルシリケートなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
さらに、本発明の特性を損なわない範囲において安定剤を添加しても良い。(A)成分が(メタ)アクリル基を有する化合物の場合は、重合禁止剤およびキレート剤などが含まれるがこれらに限定されるものではない。発生したラジカル種を捕捉することで保存安定性を保つために重合禁止剤を使用することもできる。また、発生した金属イオンを捕捉するためにキレート剤を使用することができる。
重合禁止剤の具体例としては、ヒドロキノン、メトキシヒドロキノン、ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール等のキノン系重合禁止剤、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール等のアルキルフェノール系重合禁止剤、アルキル化ジフェニルアミン、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,4−ジヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−ヒドロキシ−4−ベンゾイリオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等のアミン系重合禁止剤、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル等のN−オキシル系重合禁止剤などが上げられるが、これに限定されるものではない。
キレート剤の具体例としては、株式会社同人化学研究所製のEDTA・2Na、EDTA・4Naなどが挙げられ、25℃で液状のキレート剤としてはキレスト株式会社製のMZ−8などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明には、本発明の特性を損なわない範囲において、難燃剤、酸化防止剤、消泡剤、チタン系カップリング剤、レベリング剤、レオロジーコントロール剤等の添加剤を適量配合しても良い。これらの添加により透明性、樹脂強度、接着強さ、作業性、保存安定性等に優れた組成物およびその硬化物が得られる。
本発明の光硬化性組成物の硬化方法としては、光硬化性組成物を一方の基材に塗布した後に光硬化性組成物に紫外線、可視光等のエネルギー線を照射して光硬化性組成物が未硬化の状態でもう一方の基材を貼り合わせることによる硬化方法、光硬化性組成物を一方の透明基材に塗布した後にもう一方の透明基材を貼り合わせてから光硬化性組成物にエネルギー線を照射する硬化方法などが挙げられる。また、光硬化性組成物を塗布した後にエネルギー線を照射する方法や塗布と同時にエネルギー線を照射する方法もある。エネルギー線の光源としては、高圧水銀灯やLEDなどが挙げられ、照射装置としてはベルトコンベアー型照射器やスポット照射器などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。前記基材としては透明または非透明の材料を指しており、材質については限定されない。また、透明基材としては、ガラスやアクリル樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、本発明は内部硬化性が良好であることから、接着剤やポッティング剤にも使用することができる。
本発明の光硬化性組成物は、図1の様にエネルギー線を照射した後、一定時間経過してから粘度変化して粘度上昇が終了つまりは硬化する。一方、ラジカル系光硬化性組成物は照射されている間に急激に粘度上昇して硬化する。さらに、本発明の前記硬化方法において、光硬化性組成物が完全硬化する前に基材同士を引きはがすリワーク方法も行うことができる。リワークの目的としては、貼り合わせ面に泡を含んだり、均一に組成物が広がっていない場合などに行われる。また、基材に点付けやビート塗布と同時にエネルギー線を照射することもできる。
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。以下、光硬化性組成物を単に組成物とも呼ぶ。
[実施例1〜32、比較例1〜10]
光硬化性組成物を調製するために下記成分を準備した。
(A)成分:加水分解性シリル基を有するオリゴマー
・加水分解性シリル基を有するポリプロピレンオキサイドと加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル重合体の混合物(粘度:90Pa・s、加水分解性シリル基=トリメトキシシリル基)(MA451 株式会社カネカ製)
・加水分解性シリル基を有するポリプロピレンオキサイド(粘度:7Pa・s、加水分解性シリル基=トリメトキシシリル基)(SAX530 株式会社カネカ製)
(B)成分:光酸発生剤
・一般式1のR=PF6の光酸発生剤を含有するプロピレンカーボネート希釈溶液(固形分:50質量%)(CPI−100P サンアプロ株式会社製)
・一般式1のR=特殊リン系アニオンの光酸発生剤を含有するプロピレンカーボネート希釈溶液(固形分:50質量%)(CPI−200K サンアプロ株式会社製)
(C)成分:水
・純水製造装置(Milli−Q メルク株式会社製)によりイオン交換された水
(D)成分:分子内に水酸基を1つ有する分子量300未満の化合物
・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(アクリエステルHO 三菱レイヨン株式会社製)
(E)成分:分子内に環状エーテル基を有する化合物
・p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル(ED−509E 株式会社ADEKA製)
・1,6−ヘキシレングリコールジグリシジルエーテル(ED−503 株式会社ADEKA製)
・グリセロールトリグリシジルエーテル(ED−505 株式会社ADEKA製)
・ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(ED−523T 株式会社ADEKA製)
(E’)成分:(E)成分以外の化合物
・セバシン酸ジ2−エチルヘキシル(サンソサイザーDOS 新日本理化株式会社製)
・水酸基を含む25℃で12000mPa・sの(メタ)アクリル重合体(アルフォンUH−2041 東亞合成株式会社製)
・極性を有する官能基や反応性官能基を含まない25℃で1000mPa・sの(メタ)アクリル重合体(アルフォンUP−1000 東亞合成株式会社製)
・重量平均分子量700で水酸基価が267mgKOH/gのプロピレングリコール/プロピレンオキサイド系(アデカポリエーテルP−700 株式会社ADEKA製)
・重量平均分子量3000で水酸基価が37mgKOH/gのプロピレングリコール/プロピレンオキサイド系(アデカポリエーテルP−3000 株式会社ADEKA製)
・重量平均分子量360で水酸基価が310mgKOH/gのビスフェノールA/プロピレンオキサイド系(アデカポリエーテルBPX−11 株式会社ADEKA製)
・重量平均分子量800で水酸基価が141mgKOH/gのビスフェノールA/プロピレンオキサイド系(アデカポリエーテルBPX−55 株式会社ADEKA製)
(F)成分:分子内に鎖状エーテル基と水酸基を有する分子量300以上の化合物
・重量平均分子量700で水酸基価が155mgKOH/gのプロピレンオキサイド系ジオール(アデカポリエーテルP−700 株式会社ADEKA製)
・重量平均分子量1500で水酸基価が109mgKOH/gのグリセリン/プロピレンオキサイド系ジオール(アデカポリエーテルG−1500 株式会社ADEKA製)
・重量平均分子量800で水酸基価が141mgKOH/gのビスフェノールA/プロピレンオキサイド系ジオール(アデカポリエーテルBPX−55 株式会社ADEKA製)
その他成分(シラン系カップリング剤)
・3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103 信越化学工業株式会社製)
光硬化性組成物を調製するために下記成分を準備した。
(A)成分:加水分解性シリル基を有するオリゴマー
・加水分解性シリル基を有するポリプロピレンオキサイドと加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル重合体の混合物(粘度:90Pa・s、加水分解性シリル基=トリメトキシシリル基)(MA451 株式会社カネカ製)
・加水分解性シリル基を有するポリプロピレンオキサイド(粘度:7Pa・s、加水分解性シリル基=トリメトキシシリル基)(SAX530 株式会社カネカ製)
(B)成分:光酸発生剤
・一般式1のR=PF6の光酸発生剤を含有するプロピレンカーボネート希釈溶液(固形分:50質量%)(CPI−100P サンアプロ株式会社製)
・一般式1のR=特殊リン系アニオンの光酸発生剤を含有するプロピレンカーボネート希釈溶液(固形分:50質量%)(CPI−200K サンアプロ株式会社製)
(C)成分:水
・純水製造装置(Milli−Q メルク株式会社製)によりイオン交換された水
(D)成分:分子内に水酸基を1つ有する分子量300未満の化合物
・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(アクリエステルHO 三菱レイヨン株式会社製)
(E)成分:分子内に環状エーテル基を有する化合物
・p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル(ED−509E 株式会社ADEKA製)
・1,6−ヘキシレングリコールジグリシジルエーテル(ED−503 株式会社ADEKA製)
・グリセロールトリグリシジルエーテル(ED−505 株式会社ADEKA製)
・ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(ED−523T 株式会社ADEKA製)
(E’)成分:(E)成分以外の化合物
・セバシン酸ジ2−エチルヘキシル(サンソサイザーDOS 新日本理化株式会社製)
・水酸基を含む25℃で12000mPa・sの(メタ)アクリル重合体(アルフォンUH−2041 東亞合成株式会社製)
・極性を有する官能基や反応性官能基を含まない25℃で1000mPa・sの(メタ)アクリル重合体(アルフォンUP−1000 東亞合成株式会社製)
・重量平均分子量700で水酸基価が267mgKOH/gのプロピレングリコール/プロピレンオキサイド系(アデカポリエーテルP−700 株式会社ADEKA製)
・重量平均分子量3000で水酸基価が37mgKOH/gのプロピレングリコール/プロピレンオキサイド系(アデカポリエーテルP−3000 株式会社ADEKA製)
・重量平均分子量360で水酸基価が310mgKOH/gのビスフェノールA/プロピレンオキサイド系(アデカポリエーテルBPX−11 株式会社ADEKA製)
・重量平均分子量800で水酸基価が141mgKOH/gのビスフェノールA/プロピレンオキサイド系(アデカポリエーテルBPX−55 株式会社ADEKA製)
(F)成分:分子内に鎖状エーテル基と水酸基を有する分子量300以上の化合物
・重量平均分子量700で水酸基価が155mgKOH/gのプロピレンオキサイド系ジオール(アデカポリエーテルP−700 株式会社ADEKA製)
・重量平均分子量1500で水酸基価が109mgKOH/gのグリセリン/プロピレンオキサイド系ジオール(アデカポリエーテルG−1500 株式会社ADEKA製)
・重量平均分子量800で水酸基価が141mgKOH/gのビスフェノールA/プロピレンオキサイド系ジオール(アデカポリエーテルBPX−55 株式会社ADEKA製)
その他成分(シラン系カップリング剤)
・3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103 信越化学工業株式会社製)
実施例1〜20、比較例1〜10を調製する。(A)成分、(B)成分、(E)成分(または(E’)成分)およびその他の成分を秤量して攪拌釜に投入して、25℃雰囲気下で真空脱泡をしながら1時間撹拌した。その後、(C)成分および(D)成分を秤量して攪拌釜に投入し、25℃雰囲気下で30分攪拌した。詳細な調製量は表1に従い、数値は全て質量部で表記する。
実施例1〜20、比較例1〜10に対して、外観確認、粘度測定、タックフリータイム測定、内部硬化性確認を行った。その結果を表2にまとめた。
[外観確認]
深さ6mmの透明な容器に組成物を充填し、組成物の調製後の状態を目視で確認し、下記の評価基準で評価して「外観(硬化前)」とする。その後、高圧水銀灯を取り付けたベルトコンベアー型紫外線照射器により、積算光量1000mJ/cm2を組成物に照射する。照射後、1時間放置した時の外観を下記の評価基準で評価して「外観(硬化後)」とする。光硬化性に対する観点や硬化物の透明性を考慮すると、硬化前後の外観は「透明」であることが好ましい。
評価基準
透明:均一で透明な状態
白濁:濁っている状態(一部を濁っている状態を含む)
深さ6mmの透明な容器に組成物を充填し、組成物の調製後の状態を目視で確認し、下記の評価基準で評価して「外観(硬化前)」とする。その後、高圧水銀灯を取り付けたベルトコンベアー型紫外線照射器により、積算光量1000mJ/cm2を組成物に照射する。照射後、1時間放置した時の外観を下記の評価基準で評価して「外観(硬化後)」とする。光硬化性に対する観点や硬化物の透明性を考慮すると、硬化前後の外観は「透明」であることが好ましい。
評価基準
透明:均一で透明な状態
白濁:濁っている状態(一部を濁っている状態を含む)
[粘度測定]
循環高温槽を用いて25℃に調整したコーンプレート型回転粘度計(E型粘度計)を用いる。組成物を0.5cc採取して、サンプルカップの中心部に吐出する。サンプルカップを本体に取り付け、3°×R14のコーンプレートにより50rpm(比較例6は20rpm)3分間測定を行い、「粘度(Pa・s)」とする。作業性を考慮すると、粘度は20Pa・s以下であることが好ましい。
循環高温槽を用いて25℃に調整したコーンプレート型回転粘度計(E型粘度計)を用いる。組成物を0.5cc採取して、サンプルカップの中心部に吐出する。サンプルカップを本体に取り付け、3°×R14のコーンプレートにより50rpm(比較例6は20rpm)3分間測定を行い、「粘度(Pa・s)」とする。作業性を考慮すると、粘度は20Pa・s以下であることが好ましい。
[タックフリータイム測定]
スライドガラスに250μm厚で組成物を塗布し、高圧水銀灯を取り付けたベルトコンベアー型紫外線照射器により、積算光量1000mJ/cm2を組成物に照射する。その後、25℃雰囲気下に放置し、木製の棒により組成物表面を触り、組成物の糸ひきが無くなるまでの時間を「タックフリータイム(分)」とする。1時間以内にタックフリータイムを測定出来なかった時は、「未硬化」と記載する。タックフリータイムは30分以内であることが好ましく、さらに好ましくは10分以内である。
スライドガラスに250μm厚で組成物を塗布し、高圧水銀灯を取り付けたベルトコンベアー型紫外線照射器により、積算光量1000mJ/cm2を組成物に照射する。その後、25℃雰囲気下に放置し、木製の棒により組成物表面を触り、組成物の糸ひきが無くなるまでの時間を「タックフリータイム(分)」とする。1時間以内にタックフリータイムを測定出来なかった時は、「未硬化」と記載する。タックフリータイムは30分以内であることが好ましく、さらに好ましくは10分以内である。
[内部硬化性確認]
密閉状態での硬化状態も確認を行った。縦100mm×横100mm×厚さ0.7mmのガラス板に組成物を0.7g塗布し、同型のガラス板を貼り合わせて組成物を挟み込む。その状態でガラス板に対して、高圧水銀灯を取り付けたベルトコンベアー型紫外線照射器により、積算光量1000mJ/cm2を照射する。25℃雰囲気下で1時間放置した後、ガラス板同士の隙間に存在する硬化物を刃物で切って内部の硬化状態を確認し、以下の評価基準で「内部硬化性」とした。
評価基準
○:均一に硬化物が形成されている
×:中心部分に液状の組成物が残っており未硬化になっている
密閉状態での硬化状態も確認を行った。縦100mm×横100mm×厚さ0.7mmのガラス板に組成物を0.7g塗布し、同型のガラス板を貼り合わせて組成物を挟み込む。その状態でガラス板に対して、高圧水銀灯を取り付けたベルトコンベアー型紫外線照射器により、積算光量1000mJ/cm2を照射する。25℃雰囲気下で1時間放置した後、ガラス板同士の隙間に存在する硬化物を刃物で切って内部の硬化状態を確認し、以下の評価基準で「内部硬化性」とした。
評価基準
○:均一に硬化物が形成されている
×:中心部分に液状の組成物が残っており未硬化になっている
実施例1〜20と比較例1〜7を比較すると、分子内に環状エーテル基を有する化合物が(E)成分として含まれている実施例において、粘度を低くすることができると共に外観(硬化前)と外観(硬化後)が透明であることが分かる。また、実施例1〜20と比較例8〜10を比較すると、(C)成分と(D)成分を両方含んでいることが必要であることが分かり、比較例8〜10ではタックフリータイムは30分以内であるものの内部硬化性が発現しない。
実施例21〜32を調製する。(A)成分、(B)成分、(E)成分、(F)成分(または(F’)成分)およびその他の成分を秤量して攪拌釜に投入して、25℃雰囲気下で真空脱泡をしながら1時間撹拌した。その後、(C)成分および(D)成分を秤量して攪拌釜に投入し、25℃雰囲気下で30分攪拌した。詳細な調製量は表1に従い、数値は全て質量部で表記する。
実施例21〜32に対して、前記の外観確認、前記の粘度測定、前記のタックフリータイム測定、前記の内部硬化性確認および信頼性試験を行った。その結果を表4にまとめた。
[信頼性試験]
深さ6mmの透明な容器に組成物を充填し、高圧水銀灯を取り付けたベルトコンベアー型紫外線照射器により、積算光量1000mJ/cm2を組成物に照射する。その後、下記の信頼性条件にてそれぞれ放置した後、下記の評価基準に従い外観を確認して「信頼性」とする。光硬化性に対する観点や硬化物の透明性を考慮すると、硬化前後の外観は「透明」であることが好ましい。
信頼性条件
条件1:80℃雰囲気下にて24時間後
条件2:60℃で95%RH雰囲気下にて24時間後
条件3:85℃で85%RH雰囲気下にて24時間後
評価基準
透明:均一で透明な状態
白濁:濁っている。
深さ6mmの透明な容器に組成物を充填し、高圧水銀灯を取り付けたベルトコンベアー型紫外線照射器により、積算光量1000mJ/cm2を組成物に照射する。その後、下記の信頼性条件にてそれぞれ放置した後、下記の評価基準に従い外観を確認して「信頼性」とする。光硬化性に対する観点や硬化物の透明性を考慮すると、硬化前後の外観は「透明」であることが好ましい。
信頼性条件
条件1:80℃雰囲気下にて24時間後
条件2:60℃で95%RH雰囲気下にて24時間後
条件3:85℃で85%RH雰囲気下にて24時間後
評価基準
透明:均一で透明な状態
白濁:濁っている。
実施例21〜32では、(A)〜(E)成分の他に(F)成分も可塑剤として添加している。実施例1〜20でも外観は透明を維持していたが、実施例21〜32では条件1〜条件3による信頼性試験も行った。初期でも外観が透明であるが、いずれの信頼性試験の条件でも硬化物が透明を維持していることがわかる。また、タックフリータイムは30分以内であると共に内部硬化性も維持している。
本発明の光硬化性組成物は、可塑剤の添加により自由に粘度を調整でき、硬化物が透明性に優れていることから表示素子等の用途に適している。また、エネルギー線照射後に一定時間が経過してから硬化が終了するため、事前に照射してから非透明部材を貼り合わせることも可能であり、さらには貼り合わせた後に確認された不具合に対処するため硬化する前にリワークをすることもできる。
1:紫外線照射の時間
2:ラジカル系光硬化性組成物の粘度変化
3:本発明の光硬化性組成物の粘度変化
4:透明基材
5:吐出された光硬化性組成物
6:圧力
7:紫外線照射
8:押し広げられた光硬化性組成物
9:光硬化性組成物の硬化物
2:ラジカル系光硬化性組成物の粘度変化
3:本発明の光硬化性組成物の粘度変化
4:透明基材
5:吐出された光硬化性組成物
6:圧力
7:紫外線照射
8:押し広げられた光硬化性組成物
9:光硬化性組成物の硬化物
Claims (13)
- (A)〜(E)成分を含む光硬化性組成物。
(A)成分:加水分解性シリル基を有するオリゴマー
(B)成分:光酸発生剤
(C)成分:水
(D)成分:分子内に水酸基を1つ有する分子量300未満の化合物
(E)成分:分子内に環状エーテル基を有する化合物 - 前記(A)成分が、ポリアルキレンオキサイドを主骨格とする加水分解性シリル基を有するオリゴマーおよび/または(メタ)アクリル重合体を主骨格とする加水分解性シリル基を有するオリゴマーである請求項1に記載の光硬化性組成物。
- 前記(B)成分が、モノスルホニウムカチオンからなる塩である請求項1または2のいずれかに記載の光硬化性組成物。
- エネルギー線を照射するとラジカル種を発生する光開始剤を含まない請求項1〜3のいずれかに記載の光硬化性組成物。
- 窒素原子を有する化合物を含まない請求項1〜4のいずれかに記載の光硬化性組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の光硬化性組成物を含む、透明な光硬化性組成物。
- さらに、(F)成分として、分子内に鎖状エーテル基と水酸基を有する重量平均分子量300以上の化合物を含む請求項1〜6のいずれかに記載の光硬化性組成物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の光硬化性組成物を含む接着剤。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の光硬化性組成物を含むポッティング剤。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の光硬化性組成物をエネルギー線照射により硬化させた硬化物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の光硬化性組成物を一方の基材に塗布した後に、光硬化性組成物にエネルギー線を照射して、光硬化性組成物が未硬化の状態でもう一方の基材を貼り合わせることによる硬化方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の光硬化性組成物を一方の透明基材に塗布した後に、もう一方の透明基材を貼り合わせてから光硬化性組成物にエネルギー線を照射する硬化方法。
- 請求項11または12のいずれかに記載の硬化方法を実施した後に、光硬化性組成物が完全硬化する前に基材同士を引きはがすリワーク方法。
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