JP6273759B2 - 光硬化性組成物 - Google Patents

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本発明は、光硬化性組成物に関し、特に、低い積算光量でも速硬化であり、短時間で硬化可能な光硬化性組成物に関する。さらには高湿雰囲気下においても十分な硬化速度が得られる光硬化性組成物に関する。
ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素含有基(以下、「架橋性珪素基」ともいう。)を有する有機重合体は、室温においても湿分等による架橋性珪素基の加水分解反応等を伴うシロキサン結合の形成によって架橋し、ゴム状硬化物が得られるという性質を有することが知られている。これらの架橋性珪素基を有する重合体中で、主鎖骨格がポリオキシアルキレン系重合体または(メタ)アクリル酸エステル系重合体である有機重合体は、シーリング材、接着剤、塗料などの用途に広く使用されている。
シーリング材、接着剤、塗料などに用いられる硬化性組成物および硬化によって得られるゴム状硬化物には、硬化性、接着性、貯蔵安定性、モジュラス・強度・伸び等の機械特性等の種々の特性が要求されており、架橋性珪素基を含有する有機重合体に関しても、これまでに多くの検討がなされている。近年、電子部品・電子機器組立分野等の種々の分野において、速硬化性が求められているが、湿気硬化型接着剤の場合、塗布後の貼り合わせ可能時間が短くなるという問題がある。
一方、架橋性珪素基を含有する有機重合体を用いた光架橋性組成物として、特許文献1は、一分子中に2個以上の加水分解性シリル基を有するポリマー、及び光照射により該ポリマーを架橋させる化合物、を含有してなる光架橋性組成物を開示しており、光照射によりポリマーを架橋させる化合物として、光を照射されることにより酸、あるいは塩基を発生させる化合物を含有する光架橋性組成物を例示している(特許文献1、請求項1〜3)。しかしながら、特許文献1記載の組成物は、光照射後、直ちに硬化してしまう為、貼り合わせ可能時間が短く、作業性が悪かった。
さらには、反応性ケイ素基を分子内に有するポリオキシアルキレン系重合体と環状エーテル基を有する化合物と光酸発生剤を含む組成物が知られている(特許文献2)。しかしながら光カチオン重合は、水分による重合阻害が起こることが一般的に知られており、湿度の高い環境や、水分を多く含む基材においては十分な硬化速度を得ることが困難であった。
特開2001−172514号公報 特開2012−144693号公報
本発明は、低い積算光量でも短時間で硬化可能であり、硬化遅延性を有し、接着性、作業性及び被膜物性に優れた速硬化型の光硬化性組成物を提供することを目的とする。さらには高湿雰囲気下においても十分な硬化速度が得られる光硬化性組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の光硬化性組成物は、(A)架橋性珪素基含有(メタ)アクリル系重合体、(B)分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物、(C)水酸基と1個のオキセタニル基とを有するオキセタン化合物、及び(D)光カチオン重合開始剤を含有することを特徴とする。
前記(A)重合体の主鎖が、リビングラジカル重合法により製造されたものであることが好ましく、原子移動ラジカル重合法により製造されたものであることがより好ましい。
前記(A)重合体の架橋性珪素基が、分子鎖末端にあることが好適である。
本発明の光硬化性組成物において、前記(A)重合体100質量部に対して、前記(B)エポキシ化合物を1〜150質量部、前記(C)オキセタン化合物を1〜100質量部配合することが好ましい。
前記(D)光カチオン重合開始剤のカチオン部分が芳香族ヨードニウムであることが好ましい。
前記(D)光カチオン重合開始剤のアニオン部分がPF であることが好ましい。
本発明によれば、UV未照射時は硬化せず、UV照射により硬化する光硬化性組成物であって、低い積算光量でも短時間で硬化可能であり、保存安定性に優れると共に、適当な貼り合わせ可能時間を確保したまま、速硬化性を有する、接着性に優れた光硬化性組成物を提供することができる。
また、本発明の光硬化性組成物は、UV照射後、誘導期間を経てからS字曲線を描いて重合が進むので、例えば、本発明の光硬化性組成物を接着剤として使用した場合、貼り合わせまでの作業時間を十分に取ることができる。
さらに、本発明の光硬化性組成物の硬化物は、被着体の熱収縮に追従するのに十分な柔軟な硬化皮膜を有しており、優れた被膜物性を有している。
さらには高湿雰囲気下においても十分な硬化速度が得られる光硬化性組成物を提供することができる。
以下に本発明の実施の形態を説明するが、これらは例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことはいうまでもない。
本発明の光硬化性組成物は、(A)架橋性珪素基含有(メタ)アクリル系重合体、(B)分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物、(C)水酸基と1個のオキセタニル基とを有するオキセタン化合物、及び(D)光カチオン重合開始剤、を含有するものである。
本発明の光硬化性組成物は、カチオン重合性化合物として、(B)分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物、及び(C)水酸基と1個のオキセタニル基とを有するオキセタン化合物を組み合わせ使用することが必須である。
本発明において、前記(B)エポキシ化合物及び前記(C)オキセタン化合物を組み合わせて用いることにより、貼り合わせ可能時間が充分長く、接着強度発現までの時間が短く、しっかり固まる、といった効果が達成される。
前記(A)架橋性珪素基含有(メタ)アクリル系重合体としては、特に制限はなく、公知の架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル系重合体を広く使用可能である。なお、本願明細書において、メタクリルとアクリルをあわせて(メタ)アクリルと称する。
本発明に用いる(A)重合体の架橋性珪素基は、珪素原子に結合した水酸基又は加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋しうる基である。前記架橋性珪素基としては、例えば、下記一般式(1)で示される基が好適である。
前記式(1)中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基またはR SiO−(Rは、前記と同じ)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、Rが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基を示し、Xが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を、bは0、1または2を、それぞれ示す。またp個の下記一般式(2)におけるbは同一である必要はない。pは0〜19の整数を示す。但し、a+(bの和)≧1を満足するものとする。
該加水分解性基や水酸基は1個の珪素原子に1〜3個の範囲で結合することができ、a+(bの和)は1〜5の範囲が好ましい。加水分解性基や水酸基が架橋性珪素基中に2個以上結合する場合には、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。架橋性珪素基を形成する珪素原子は1個でもよく、2個以上であってもよいが、シロキサン結合等により連結された珪素原子の場合には、20個程度あってもよい。
前記架橋性珪素基としては、下記一般式(3)で示される架橋性珪素基が、入手が容易である点から好ましい。
前記式(3)中、R、Xは前記におなじ、aは1、2又は3の整数である。硬化性を考慮し、十分な硬化速度を有する硬化性組成物を得るには、前記式(3)においてaは2以上が好ましく、3がより好ましい。
上記Rの具体例としては、たとえばメチル基、エチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基や、R SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基等があげられる。これらの中ではメチル基が好ましい。
上記Xで示される加水分解性基としては、特に限定されず、従来公知の加水分解性基であればよい。具体的には、たとえば水素原子、ハロゲン原子、アルコキシル基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等があげられる。これらの中では、水素原子、アルコキシル基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基およびアルケニルオキシ基が好ましく、アルコキシル基、アミド基、アミノオキシ基がさらに好ましい。加水分解性が穏やかで取扱やすいという観点からアルコキシル基が特に好ましい。アルコキシル基の中では炭素数の少ないものの方が反応性が高く、メトキシ基>エトキシ基>プロポキシ基の順のように炭素数が多くなるほどに反応性が低くなる。目的や用途に応じて選択できるが通常メトキシ基やエトキシ基が使用される。
架橋性珪素基の具体的な構造としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等のトリアルコキシシリル基[−Si(OR)]、メチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基等のジアルコキシシリル基[−SiR(OR)]が挙げられる。ここでRはメチル基やエチル基のようなアルキル基である。
また、架橋性珪素基は1種で使用しても良く、2種以上併用してもかまわない。架橋性珪素基は、主鎖または側鎖あるいはいずれにも存在しうる。
架橋性珪素基を形成する珪素原子は1個以上であるが、シロキサン結合などにより連結された珪素原子の場合には、20個以下であることが好ましい。
高強度、高伸びで、低弾性率を示すゴム状硬化物を得るためには、(A)重合体に含有される架橋性珪素基は重合体1分子中に平均して0.8個以上、好ましくは1.0個以上、より好ましくは1.1〜5個存在するのがよい。分子中に含まれる架橋性珪素基の数が平均して0.8個未満になると、硬化性が不充分になり、良好なゴム弾性挙動を発現しにくくなる。架橋性珪素基は、重合体分子鎖の主鎖の末端あるいは側鎖の末端にあってもよいし、また、両方にあってもよい。特に、架橋性珪素基が分子鎖の主鎖の末端にのみあるときは、最終的に形成される硬化物に含まれる重合体成分の有効網目長が長くなるため、高強度、高伸びで、低弾性率を示すゴム状硬化物が得られやすくなる。
前記(A)重合体の主鎖を構成する(メタ)アクリル系モノマーとしては特に限定されず、各種のものを用いることができる。例えば、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、テトラメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、ペンタメチルピペリジニル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル化o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェニルチオエチル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)ジメトキシメチルシラン、メタクリロイルオキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロイルオキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロイルオキシメチルジメトキシメチルシラン、メタクリロイルオキシメチルジエトキシメチルシラン等のシリル基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物等の(メタ)アクリル酸の誘導体;(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ビス(トリフルオロメチル)メチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチル−2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等のフッ素含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー等が挙げられる。
前記(A)重合体では、(メタ)アクリル系モノマーとともに、ビニル系モノマー等の他のモノマーを共重合することもできる。該ビニル系モノマーを例示すると、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸及びその塩等のスチレン系モノマー;パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニルモノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等の珪素含有ビニル系モノマー;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等が挙げられる。
これらは、単独で用いても良いし、複数を共重合させても構わない。なかでも、生成物の物性等から、(メタ)アクリル系モノマーからなる重合体が好ましい。より好ましくは、1種又は2種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを用い、必要に応じて他の(メタ)アクリル系モノマーを併用した(メタ)アクリル酸エステル系重合体であり、シリル基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを併用することにより、(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)中の珪素基の数を制御することができる。接着性が良いことから特に好ましくはメタクリル酸エステルモノマーからなるメタクリル酸エステル系重合体である。また、低粘度化、柔軟性付与、粘着性付与を行う場合には、アクリル酸エステルモノマーを適時使用することが好適である。
本発明において、(A)重合体を得る方法は、特に限定されず、公知の重合法(例えば、特開昭63−112642号、特開2007−230947号、特開2001−40037号、特開2003−313397号等の記載の合成法)を利用することができ、ラジカル重合反応を用いたラジカル重合法が好ましい。ラジカル重合法としては、重合開始剤を用いて所定の単量体単位を共重合させるラジカル重合法(フリーラジカル重合法)や、末端などの制御された位置に架橋性珪素基を導入することが可能な制御ラジカル重合法が挙げられる。但し、重合開始剤としてアゾ系化合物、過酸化物などを用いる通常のフリーラジカル重合法で得られる重合体は、分子量分布、すなわち重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が一般に2以上と大きく、粘度が高くなるという問題を有している。従って、分子量分布が狭く、粘度の低い(メタ)アクリル酸エステル系重合体であって、高い割合で分子鎖末端に架橋性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体を得るためには、制御ラジカル重合法を用いることが好適である。
制御ラジカル重合法としては、特定の官能基を有する連鎖移動剤を用いたフリーラジカル重合法やリビングラジカル重合法が挙げられ、原子移動ラジカル重合法(Atom Transfer Radical Polymerization;ATRP)、付加−開裂移動反応(Reversible Addition-Fragmentation chain Transfer;RAFT)重合法等のリビングラジカル重合法(特開2005-232419号公報、特開2006-291073号公報)がより好ましい。また、架橋性珪素基を有するチオール化合物を用いた反応や、架橋性珪素基を有するチオール化合物及びメタロセン化合物を用いた反応(特開2001−40037号公報)も好適である。
原子移動ラジカル重合では、有機ハロゲン化物、特に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物(例えば、α位にハロゲンを有するカルボニル化合物や、ベンジル位にハロゲンを有する化合物)、あるいはハロゲン化スルホ二ル化合物等が開始剤として用いられることが好ましい。ヒドロシリル化反応可能なアルケ二ル基を1分子内に2つ以上有するビニル系重合体を得るためには、2つ以上の開始点を持つ有機ハロゲン化物、又はハロゲン化スルホニル化合物を開始剤として用いるのが好ましい。
原子移動ラジカル重合において用いられる(メタ)アクリル系モノマーやビニル系モノマーとしては特に制約はなく、例示した(メタ)アクリル系モノマーやビニル系モノマーをすべて好適に用いることができる。
上記の架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル系重合体は、単独で使用してもよいし2種以上併用してもよい。また、本発明において、(A)重合体とともに、架橋性珪素基を有する他の有機重合体、例えば、架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体、架橋性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体等を併用してもよい。
(A)重合体は直鎖状、または分岐を有してもよく、その数平均分子量はGPCにおけるポリスチレン換算において500〜100,000程度、より好ましくは1,000〜50,000であり、特に好ましくは3,000〜30,000である。数平均分子量が500未満では、硬化物の伸び特性の点で不都合な傾向があり、100,000を越えると、高粘度となる為に作業性の点で不都合な傾向がある。
本発明において、(B)分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物は、光硬化性組成物のカチオン硬化成分として作用する。前記(B)エポキシ化合物としては、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有し、カチオン硬化反応する化合物であれば、特に制限なく使用することができる。カチオン硬化反応するエポキシ化合物を化学構造の面から大きく分類すると、芳香環を有するいわゆる芳香族エポキシ化合物;脂環式環を有し、それとは別の部位にエポキシ基を有する化合物;脂肪族基に結合したオキシラン環を有するいわゆる脂肪族エポキシ化合物;脂環式環を有し、そこに直接結合したエポキシ基を有するいわゆる脂環式エポキシ化合物などがある。
前記芳香族エポキシ化合物の典型例としては、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールSのジグリシジルエーテルのようなビスフェノール型エポキシ化合物;フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ヒドロキシベンズアルデヒドフェノールノボラックエポキシ樹脂のようなノボラック型のエポキシ樹脂;テトラヒドロキシフェニルメタンのグリシジルエーテル、テトラヒドロキシベンゾフェノンのグリシジルエーテル、エポキシ化ポリビニルフェノールのような多官能型のエポキシ化合物などを挙げることができる。ビスフェノールAのジグリシジルエーテルをはじめとするビスフェノール型エポキシ化合物は、ビスフェノール自体のジグリシジルエーテル(ジグリシジルエーテルとして分子量が最も小さい、あるいはエポキシ当量が最も大きいもの)のほか、二量体などのオリゴマーになっているもの、さらにはそれらの混合物として入手できるものもあるが、いずれも使用可能である。
前記脂環式環を有し、それとは別の部位にエポキシ基を有する化合物は、例えば、上記の芳香族エポキシ化合物を構成する芳香族ポリヒドロキシ化合物の芳香環を選択的に水素化反応(すなわち核水添)することにより得られる脂環式ポリヒドロキシ化合物をグリシジルエーテル化した化合物や、シクロヘキサンをはじめとするシクロアルカンに、直接又は間接にグリシジルオキシ基が2個以上結合した化合物などであることができる。その典型的な例として、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、水素化ビスフェールFのジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールSのジグリシジルエーテルのような水素化ビスフェノールのジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジオールのジグリシジルエーテルなどを挙げることができる。これらも、水素化ビスフェノール自体のジグリシジルエーテルやシクロヘキサン環と2個の水酸基を有する化合物自体のジグリシジルエーテル(ジグリシジルエーテルとして分子量が最も小さい、あるいはエポキシ当量が最も大きいもの)のほか、二量体などのオリゴマーになっているもの、さらにはそれらの混合物として入手できるものもあるが、いずれも使用可能である。
前記脂肪族エポキシ化合物の典型例としては、脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテル;脂肪族多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル;脂肪族多価アルコールと脂肪族多価カルボン酸とから得られ、末端に水酸基を有するポリエステルポリオールのポリグリシジルエーテル;脂肪族多価カルボン酸のポリグリシジルエステル;脂肪族多価アルコールと脂肪族多価カルボン酸とから得られ、末端にカルボキシル基を有するポリエステルポリカルボン酸のポリグリシジルエステル;グリシジルアクリレート若しくはグリシジルメタクリレートのビニル重合により得られるダイマー、オリゴマー又はポリマー;グリシジルアクリレート若しくはグリシジルメタクリレートと他のビニルモノマーとのビニル重合により得られる共重合オリゴマー又はポリマー;エポキシ化植物油;エポキシ化植物油のエステル交換体;エポキシ化ポリブタジエンなどを挙げることができる。
脂肪族エポキシ化合物の原料となる脂肪族多価アルコールとしては、例えば炭素数2〜20の範囲内のものが例示できる。より具体的な脂肪族多価アルコールの例を挙げると、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、3,5−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールのような脂肪族ジオール;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、テトラメチロールプロパン、ペンチトール類、ヘキシトールのような三価以上のポリオールが挙げられる。
これらの脂肪族多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物とする場合に用いられるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどが挙げられる。
ポリエステルを形成するために上記の脂肪族多価アルコールに反応させる脂肪族多価カルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、2−メチルコハク酸、2−メチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、3−メチルペンタン二酸、2−メチルオクタン二酸、3,8−ジメチルデカン二酸、3,7−ジメチルデカン二酸、1,20−エイコサメチレンジカルボン酸、1,2−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサン二酢酸、
1,2,3−プロパントリカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸などが挙げられる。
エポキシ化植物油には、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油などがある。
前記脂環式エポキシ化合物は、下記式(4)に示すような脂環式環に結合したエポキシ基(−O−)を分子内に少なくとも1個有する化合物であり、下式においてmは2〜5の整数を表す。
上記式(4)における(CH中の水素原子を1個又は複数個取り除いた形の基が他の化学構造に結合した化合物が、脂環式エポキシ化合物となり得る。また、脂環式環を形成する水素がメチル基やエチル基のような直鎖状アルキル基で適宜置換されていてもよい。なかでも、エポキシシクロペンタン環(上記式においてm=3のもの)や、エポキシシクロヘキサン環(上記式においてm=4のもの)を有する化合物が、好ましいものとして挙げられる。脂環式エポキシ化合物の具体例として、次のようなものを挙げることができる。
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ジエチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、エチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、2,3,14,15−ジエポキシ−7,11,18,21−テトラオキサトリスピロ−[5.2.2.5.2.2]ヘンイコサン(また、3,4−エポキシシクロヘキサンスピロ−2',6'−ジオキサンスピロ−3'',5''−ジオキサンスピロ−3''',4'''−エポキシシクロヘキサンとも命名できる化合物)、4−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−2,6−ジオキサ−8,9−エポキシスピロ[5.5]ウンデカン、4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、1,2:8,9−ジエポキシリモネン、ビス−2,3−エポキシシクロペンチルエーテル、ジシクロペンタジエンジオキサイドなど。
前記(B)エポキシ化合物の中でも、芳香族エポキシ化合物、並びに脂環式環を有し、それとは別の部位にエポキシ基を有する化合物は、硬化速度が速すぎず、且つ貼り合わせ可能時間を充分に長くとれる点から特に好ましく、芳香族エポキシ化合物、及び脂環式環を有し、芳香環を含まないもの、とりわけ、脂環式環を有するポリヒドロキシ化合物のグリシジルエーテルがより好ましい。より具体的には、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェールFのジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、水素化ビスフェールFのジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールSのジグリシジルエーテルなどを挙げることができ、なかでも水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテルが好適である。具体的には、YX8000(三菱化学社製)、HBE−100(新日本理化社製)、EP−4080E(ADEKA社製)を使用することが好ましい。
以上説明したエポキシ化合物は、それぞれ単独で用いることもできるし、2種類以上組み合わせて用いることもできる。
前記(B)エポキシ化合物の配合割合は特に制限はないが、(A)重合体100質量部に対して、1〜150質量部が好ましく、10〜100質量部がより好ましく、30〜80質量部がさらに好ましい。
前記(C)オキセタン化合物としては、例えば、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンや3−エチル−3−(4−ヒドロキシブチル)オキシメチル−オキセタン等が挙げられる。なかでも、下記一般式(5)で示される化合物を使用することが、硬化遅延性をもたらすことができ好適である。
(前記一般式(5)中、R11は水素原子またはアルキル基を表し、R12は水素原子またはヒドロキシアルキル基を表す。)
前記一般式(5)中のR11を構成し得るアルキル基としては、炭素原子数1〜8のアルキル基が挙げられ、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、及び2−エチルヘキシル基等が挙げられ、メチル基またはエチル基であることが好ましい。前記アルキル基は、直鎖構造であっても分岐構造であってもよい。
前記一般式(5)中のR12を構成しうるヒドロキシアルキル基としては、炭素原子数1〜6個のヒドロキシアルキル基が挙げられ、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基等が挙げられ、ヒドロキシブチル基であることが好ましい。前記ヒドロキシアルキル基は、直鎖構造であっても分岐構造であってもよい。
前記(C)オキセタン化合物としては、前記一般式(5)中のR11がエチル基で、R12が水素原子である3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンや、前記一般式(5)中のR11がエチル基で、R12がヒドロキシブチル基である3−エチル−3−(4−ヒドロキシブチル)オキシメチル−オキセタンを使用することが、硬化遅延性をもたらすうえで好ましい。なかでも、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンを使用することが、硬化遅延性をもたらすうえで好ましく、具体的には、アロンオキセタンOXT−101(東亞合成社製)、エタナコールEHO(宇部興産社製)を使用することが好ましい。
(C)オキセタン化合物は、それぞれ単独で用いることもできるし、2種類以上組み合わせて用いることもできる。
前記(C)オキセタン化合物の配合割合は特に制限はないが、(A)重合体100質量部に対して、1〜100質量部が好ましく、2〜60質量部がより好ましく、5〜40質量部がさらに好ましい。
本発明の光硬化性組成物において、本願発明の効果を損なわない範囲で、以下の他のオキセタン化合物をさらに含有してもよい。
前記他のオキセタン化合物としては、例えば、(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルベンゼン,[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)エチル]フェニルエーテル,イソブトキシメチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,イソボルニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,イソボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,2−エチルヘキシル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,エチルジエチレングリコール(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ジシクロペンテニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ジシクロペンテニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,テトラブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,2−テトラブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,トリブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,2−トリブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ブトキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ペンタクロロフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ペンタブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン,3,3’−(1,3−(2−メチレニル)プロパンジイルビス(オキシメチレン))ビス−(3−エチルオキセタン),1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン,1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン,1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン,エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ジシクロペンテニルビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,トリシクロデカンジイルジメチレン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン,1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン,ペンタエリスリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ポリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ジペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン,3−エチル−3−(4−メチルフェノキシ)メチルオキセタン,3−エチル−3−(4−フルオロフェノキシ)メチルオキセタン,3−エチル−3−(1−ナフトキシ)メチルオキセタン,3−エチル−3−(2−ナフトキシ)メチルオキセタン,3−エチル−3−{[3−(エトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン,オキセタニルシルセスキオキセタン及びフェノールノボラックオキセタン等が挙げられる。
また、前記他のオキセタン化合物としては、アロンオキセタンOXT−211、アロンオキセタンOXT−212、アロンオキセタンOXT−213、アロンオキセタンOXT−221、アロンオキセタンOXT−121、アロンオキセタンOXT−223(以上、東亞合成社製)、エタナコールOXBP(以上、宇部興産社製)等を使用することができる。
本発明の光硬化性組成物において、(D)光カチオン重合開始剤は、カチオン重合性化合物のエネルギー線硬化を開始するために用いられる。
前記(D)光カチオン重合開始剤とは、エネルギー線照射によりカチオン重合を開始させる物質を発生させることが可能な化合物であり、公知の光カチオン重合開始剤を使用することができ、特に制限はないが、照射によりルイス酸を発生させるオニウム塩(以下、光酸発生剤とも称する)が好ましい。
前記光酸発生剤としては、例えば、ルイス酸のジアゾニウム塩、ルイス酸のヨードニウム塩、ルイス酸のスルホニウム塩等が挙げられ、これらはカチオン部分がそれぞれ芳香族ジアゾニウム、芳香族ヨードニウム、芳香族スルホニウムであり、アニオン部分がBF 、PF 、SbF 、[BX、[PF6−n(ただし、Xは少なくとも2つ以上のフッ素又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニル基を示し、Yは炭素数1〜9のフッ素化アルキル基又はフッ素化フェニル基を示す。nは1〜6の整数である。)等により構成されたオニウム塩である。なかでもカチオン部分は光硬化性の観点から芳香族スルホニウム、芳香族ヨードニウムが好ましく、芳香族スルホニウムがより好ましい。また、高湿条件下における硬化速度の観点から芳香族ヨードニウムがより好ましい。アニオン部分は人体への安全性が高く、硬化速度が速いことからPF (リン系)、[PF6−n(特殊リン系)が好ましく、[PF6−n(特殊リン系)がより好ましい。また、高湿条件下における硬化速度の観点からPF (リン系)がより好ましい。
前記光酸発生剤としては、具体的には、四フッ化ホウ素のフェニルジアゾニウム塩、六フッ化リンのジフェニルヨードニウム塩、六フッ化リンのトリフェニルスルホニウム塩、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートのトリフェニルスルホニウム塩、六フッ化アンチモンのジフェニルヨードニウム塩、六フッ化ヒ素のトリ−4−メチルフェニルスルホニウム塩、四フッ化アンチモンのトリ−4−メチルフェニルスルホニウム塩、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素のジフェニルヨードニウム塩、アセチルアセトンアルミニウム塩とオルトニトロベンジルシリルエーテル混合体、フェニルチオピリジウム塩、六フッ化リンアレン−鉄錯体等を挙げることができ、CD−1012(SARTOMER社製)、PCI−019、PCI−021(日本化薬社製)、オプトマーSP−150、オプトマーSP−170(旭電化社製)、UVI−6990(ダウケミカル社製)、CPI−100P、CPI−100A、CPI−200K、IK−1、IK−2(サンアプロ社製)、TEPBI−S(日本触媒社製)、RHODORSILPHOTOINITIATOR2074(Rhodia社製)、Irgacure250(BASF社製)等を用いることができる。
(D)光カチオン重合開始剤は、それぞれ単独で用いることもできるし、2種類以上組み合わせて用いることもできる。(D)光カチオン重合開始剤は、プロピレンカーボネート等の有機溶剤に希釈し、配合してもよい。
前記(D)光カチオン重合開始剤の配合割合は特に制限はないが、(A)重合体100質量部に対して、0.1〜50質量部が好ましく、0.3〜30質量部がより好ましく、0.5〜20質量部がさらに好ましい。
本発明の光硬化性組成物には、必要に応じて、光増感剤、増量剤、可塑剤、接着付与剤、水分吸収剤、硬化触媒、引張特性等を改善する物性調整剤、補強剤、着色剤、難燃剤、タレ防止剤、酸化防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、溶剤、香料、顔料、染料等の各種添加剤を加えてもよい。
なお、本発明の光硬化性組成物は、光酸発生剤等の(D)光カチオン重合開始剤を用いて(A)重合体を架橋させ、硬化せしめる為、アミン化合物等の塩基性化合物は硬化性や触媒能を低下させるおそれがある。よって、本発明の光硬化性組成物に塩基性化合物を配合する場合は、本発明の効果を阻害しない範囲で配合することが好適である。
前記光増感剤としては、例えば、9,10−ジブトキシアントラセン、アントラセン、ペリレン、コロネン、テトラセン、ベンズアントラセン、フェノチアジン、フラビン、アクリジン、ケトクマリン、ベンゾフェノン、アセトフェノン、又は2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチチオキサントン、若しくはイソプロピルチチオキサントン等のチオキサントン誘導体等が挙げられる。
前記増量剤としては、例えば、タルク、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水珪素、含水珪素、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、カーボンブラック等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記可塑剤としては、例えば、リン酸トリブチル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル類、フタル酸ジオクチル等のフタル酸エステル類、グリセリンモノオレイル酸エステル等の脂肪族一塩基酸エステル類、アジピン酸ジオクチル等の脂肪族二塩基酸エステル類、ポリプロピレングリコール類等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記接着付与剤を配合することにより、金属、プラスチック、ガラス等、全般的な被着体に対する接着性を向上させることができる。前記接着付与剤としては、公知のシランカップリング剤が好ましく、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、1,3−ジアミノイソプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シラン類;N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリメトキシシリル)−1−プロパンアミン等のケチミン型シラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等のビニル型不飽和基含有シラン類;γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等の塩素原子含有シラン類;γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン等のイソシアネート含有シラン類;ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等のアルキルシラン類;フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等のフェニル基含有シラン類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、前記アミノ基含有シラン類と前記のシラン類を含むエポキシ基含有化合物、イソシアネート基含有化合物、(メタ)アクリロイル基含有化合物とを反応させて、アミノ基を変性した変性アミノ基含有シラン類を用いてもよい。
前記水分吸収剤としては、前述したシランカップリング剤やシリケートが好適である。前記シリケートとしては、特に限定されず、例えば、テトラアルコキシシランまたはその部分加水分解縮合物があげられ、より具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、エトキシトリメトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、メトキシトリエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−i−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシランなどのテトラアルコキシシラン(テトラアルキルシリケート)、および、それらの部分加水分解縮合物が挙げられる。
前記硬化触媒としては、公知の硬化触媒を広く用いることができ、特に制限はないが、例えば、有機金属化合物やアミン類等が挙げられ、特にシラノール縮合触媒を用いることが好ましい。前記シラノール縮合触媒としては、例えば、スタナスオクトエート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ビストリエトキシシリケート、ジブチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジバーサテート、オクチル酸錫及びナフテン酸錫等の有機錫化合物;ジメチルスズオキサイド、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド等のジアルキルスズオキサイド;ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物等;テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタン酸エステル類;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合物類;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート等のキレート化合物類;オクチル酸鉛及びナフテン酸鉛等の有機酸鉛;オクチル酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマス及びロジン酸ビスマス等の有機酸ビスマス;シラノール縮合触媒として公知のその他の酸性触媒及び塩基性触媒等が挙げられる。しかしながら、有機錫化合物は添加量に応じて、得られる接着剤組成物の毒性が強くなる場合がある。
前記酸化防止剤としては、特に限定されず、例えば、ヒンダードフェノール系、モノフェノール系、ビスフェノール系、ポリフェノール系の酸化防止剤があげられ、これらの中でも、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。同様に、チヌビン622LD,チヌビン144,CHIMASSORB944LD,CHIMASSORB119FL(以上、いずれもBASF社製);MARK
LA−57,MARK LA−62,MARK LA−63,MARK LA−67,MARK LA−68(以上、いずれも株式会社ADEKA製);サノールLS−770,サノールLS−765,サノールLS−292,サノールLS−2626,サノールLS−1114,サノールLS−744(以上、いずれもBASF社製)に示されたヒンダードアミン系光安定剤を使用することもできる。酸化防止剤の具体例は、特開平4−283259号公報や特開平9−194731号公報にも記載されている。
本発明の光硬化性組成物は、必要に応じて1液型とすることもできるし、2液型とすることもできるが、特に1液型として好適に用いることができる。本発明の光硬化性組成物は光照射により硬化する光硬化性組成物であって、常温(例えば、23℃)で硬化することが可能であり、常温光硬化型硬化性組成物として好適に用いられるが、必要に応じて、適宜、加熱により硬化を促進させてもよい。
硬化時に活性エネルギー線を照射する場合、活性エネルギー線としては、紫外線、可視光線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波の他、電子線、プロトン線、中性子線等が利用できるが、硬化速度、照射装置の入手のしやすさ及び価格、太陽光や一般照明下での取扱の容易性等から紫外線または電子線照射による硬化が好ましく、紫外線照射による硬化がより好ましい。活性エネルギー線源としては、特に限定されないが、使用する光酸発生剤の性質に応じて、例えば、高圧水銀灯、低圧水銀灯、電子線照射装置、ハロゲンランプ、発光ダイオード、半導体レーザー、メタルハライド等があげられる。
照射エネルギーとしては、例えば紫外線の場合、10〜20,000mJ/cmが好ましく、50〜10,000mJ/cmがより好ましい。10mJ/cm未満では硬化性が不十分となる場合があり、10,000mJ/cmより大きいと必要以上に光を当てても時間とコストの無駄となるばかりか、基材を傷めてしまう場合がある。
本発明の光硬化性組成物を製造する方法は特に制限はなく、例えば、前記成分(A)〜(D)を所定量配合し、また必要に応じて他の配合物質を配合し、脱気攪拌することにより製造することができる。成分(A)〜(D)、及び他の配合物質の配合順は特に制限はなく、適宜決定すればよい。
本発明の光硬化性組成物は、遅延硬化性を有し、作業性及び接着性に優れた速硬化型の光硬化性組成物であり、特に、粘・接着性組成物として有用であり、接着剤、シーリング材、粘着材、コーティング材、ポッティング材、塗料、パテ材及びプライマー等として好適に用いることができる。本発明の光硬化性組成物は、例えば、実装回路基板等の防湿や絶縁を目的とするコーティング、ソーラー発電のパネルやパネルの外周部分のコーティング等に用いられるコーティング剤;複層ガラス用シーリング剤、車両用シーリング剤等建築用および工業用のシーリング剤;太陽電池裏面封止剤などの電気・電子部品材料;電線・ケーブル用絶縁被覆材などの電気絶縁材料;粘着剤;接着剤;弾性接着剤;コンタクト接着剤などの用途に好適に利用可能である。また、本発明の光硬化性組成物の塗布方法は特に制限はないが、スクリーン印刷、ステンシル印刷、ロール印刷、スピンコート等の塗布方法が好適に用いられる。
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例は例示的に示されるもので限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。
(合成例1)
末端にハロゲンを有するポリ(アクリル酸n−ブチル)の合成(原子移動ラジカル重合法)
50mlフラスコに臭化第一銅0.63g(4.4mmol)、ペンタメチルジエチレントリアミン0.76g(4.4mmol)、アセトニトリル5ml、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル1.6g(4.4mmol)、アクリル酸n−ブチル44.7g(349mmol)を仕込み、凍結脱気をおこなった後、窒素雰囲気下で70℃7時間反応させた。活性アルミナのカラムを通して銅触媒を除去精製することにより末端にBr基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル)を得た。得られた重合体の数平均分子量は10700、分子量分布1.15であった。
末端にアルケニル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル)の合成
窒素雰囲気下、200mlフラスコに上記で得た末端にBr基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル)35g、ペンテン酸カリウム2.2g(16.1mmol)、DMAc35mLを仕込み、70℃で4時間反応させた。反応混合液中の未反応のペンテン酸カリウムおよび生成した臭化カリウムを水抽出精製により除去し、末端にアルケニル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル)を得た。得られた重合体の数平均分子量は11300、分子量分布1.12であった。また1H−NMR分析より求めた重合体1分子あたりのアルケニル基の個数は1.82個であった。
末端にメチルジメトキシシリル基を有するポリ(アクリル酸−n−ブチル)の合成
200mL耐圧反応管に上記で得た末端にアルケニル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル)15g、メチルジメトキシシラン1.8mL(14.5mmol)、オルトギ酸メチル0.26mL(2.4mmol)、白金ビス(ジビニルテトラメチルジシロキサン)10-4mmolを仕込み、100℃で4時間反応させ、末端にメチルジメトキシシリル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル)A1(以下、アクリル系重合体A1と称する)を得た。得られた重合体の粘度は44Pa・sであり、数平均分子量は11900、分子量分布1.12であった。また1H−NMR分析により重合体1分子あたりのメチルジメトキシシリル基の個数は1.46個であった。
(実施例1)
表1に示す配合割合にて、攪拌機、温度計、窒素導入口、モノマー装入管および水冷コンデンサーを装着した300mLのフラスコに、合成例1で得たアクリル系重合体A1、及びYX8000[三菱化学社製、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂]、を混合した。該混合物を加熱(100℃)、脱気、撹拌を2時間することによって混練及び脱水をした。冷却後、その混合物にEHO(3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン)、CPI−200K[サンアプロ社製、光酸発生剤]、及び微粉末シリカ、をそれぞれ添加し、混合撹拌することにより光硬化性組成物を調製した。
表1において、各配合物質の配合量はgで示され、アクリル系重合体A1は合成例1で得たアクリル系重合体A1であり、他の配合物質の詳細は下記の通りである。
YX8000;三菱化学社製、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(官能基数:2個、エポキシ当量:205)
EHO;3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、宇部興産社製、商品名:エタナコールEHO。
CPI−200K;サンアプロ社製、光酸発生剤[トリス(フルオロエチル)トリフルオロホスフェートのスルホニウム塩]。
微粉末シリカ;東ソー社製、商品名:ニプシルLP。
得られた光硬化性組成物に対して下記方法により可使時間、初期接着強度発現時間、後硬化性、被膜物性、及び遅延倍率の各試験を行った。その結果を表1に示した。
1)可使時間の試験方法
ステンレス板(25mm×100mm×1.5mm)上に光硬化性組成物を約50μm厚に塗布し、UV照射[照射条件:メタルハライドランプ(照度50mW/cm)、積算光量:200mJ/cm]し、23℃50%RH、照度550ルクス(蛍光灯)の条件で静置する。UV照射後、指触により試料の流動性がなくなるまでに要した時間を測定した。
2)初期接着強度発現時間の試験方法
ステンレス板(25mm×100mm×1.5mm)上に光硬化性組成物を約50μm厚に塗布し、UV照射[照射条件:メタルハライドランプ(照度50mW/cm)、積算光量:200mJ/cm]する。23℃50%RHの環境下、UV照射後直ちに、同じ大きさのステンレス板の中央部と重ねて十字になるように貼り合わせ、手で動かなくなるまでの時間を測定した。
3)後硬化性試験
前記可使時間が30秒以上、かつ、前記初期接着強度発現時間が前記可使時間の3倍以下の場合は○と評価する。前記可使時間が30秒未満である場合、又は前記初期接着強度発現時間が前記可使時間の3倍を超える場合は×と評価する。
4)被膜物性試験
フロートガラス(5×50×50mm)上に光硬化性組成物を120μm厚に塗布し、UV照射[照射条件:メタルハライドランプ(照度:50mW/cm)、積算光量:200mJ/cm]する。照射後すぐに、光硬化性組成物の厚みが100μmになるように、アルミニウム板(5×50×50mm)を貼り合せる。23℃50%RHにて1週間養生し、試験体を作製する。
二つのビーカーを用意し、第一のビーカー内に煮沸水を用意する。第二のビーカー内にメタノールを用意し、−20℃になるようにドライアイスを用いて温度調整する。試験体を第一のビーカーに5分間浸漬させる。取り出し後すぐに第二のビーカーに5分間浸漬させ、下記評価を行った。
ガラスが割れなかった場合もしくは被着体が剥がれなかった場合は、光硬化性組成物の硬化物が被着体の熱収縮に追従するのに十分な柔軟な硬化皮膜を有すると判断し、〇と評価する。ガラスが割れた場合もしくは被着体が剥がれた場合、光硬化性組成物の硬化物が被着体の熱収縮に追従できなかった、もしくは内部応力を緩和できなかったとして、×と評価する。
5)遅延倍率の試験方法
28℃70%RH環境下における初期接着強度発現時間を、23℃50%RH環境下における初期接着強度発現時間で割ることにより算出した。
(実施例2〜6)
表1に示した如く配合物質を変更した以外は実施例1と同様の方法により光硬化性組成物を調製した。該光硬化性組成物の可使時間、初期接着強度発現時間、後硬化性、被膜物性、及び遅延倍率の各試験を実施例1と同様の方法により行い、その結果を表1に示した。
(実施例7〜13)
表2に示した如く配合物質を変更した以外は実施例1と同様の方法により光硬化性組成物を調製した。該光硬化性組成物の可使時間、初期接着強度発現時間、後硬化性、被膜物性、及び遅延倍率の各試験を実施例1と同様の方法により行い、その結果を表2に示した。
表2において、各配合物質の配合量はgで示され、配合物質の詳細は表1と同じである。表1にない配合物質の詳細は下記の通りである。
#828:三菱化学(株)製、商品名JER828、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、官能基数:2、エポキシ当量:184〜194。
CPI−100P:サンアプロ(株)製の商品名、光酸発生剤、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート。
IK−1:サンアプロ(株)製、光酸発生剤、アニオン部分が特殊リン系のヨードニウム塩。
イルガキュア250:BASF社製、光酸発生剤、((4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ヨードニウム−ヘキサフルオロフォスフェートとプロピレンカーボネート溶剤との3:1の混合物。
(比較例1〜6)
表3に示した如く配合物質を変更した以外は実施例1と同様の方法により光硬化性組成物を調製した。該光硬化性組成物の可使時間、初期接着強度発現時間、後硬化性、被膜物性、及び遅延倍率の各試験を実施例1と同様の方法により行い、その結果を表3に示した。
表3において、各配合物質の配合量はgで示され、配合物質の詳細は表1と同じである。表1にない配合物質の詳細は下記の通りである。
OXT−121;東亞合成社製、キシリレンビスオキセタン。
OXT−212;東亞合成社製、2−エチルヘキシルオキセタン。
OXT−221;東亞合成社製、3−エチル−3{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン。
IPA:イソプロピルアルコール。
表1及び表2に示した如く、本発明の光硬化性組成物は、低い積算光量でも短時間で硬化可能であり、且つ遅延硬化性を有し、UV照射直後には硬化せず、所定時間経過後に硬化させることが可能であり、作業性及び接着性に優れていた。また、本発明の光硬化性組成物の硬化物は、被着体の熱収縮に追従するのに十分な柔軟な硬化皮膜を有しており、優れた被膜物性を有していた。
さらに、光カチオン重合開始剤としてカチオン部分が芳香族ヨードニウムの光カチオン重合開始剤を用いると、高湿雰囲気下においても十分な硬化速度が得られることが確認された。

Claims (2)

  1. (A)架橋性珪素基含有(メタ)アクリル系重合体、
    (B)分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物、
    (C)水酸基と1個のオキセタニル基とを有するオキセタン化合物、及び
    (D)カチオン部分が芳香族ヨードニウムである光カチオン重合開始剤
    を含有する、光硬化性組成物。
  2. 前記(D)カチオン部分が芳香族ヨードニウムである光カチオン重合開始剤のアニオン部分がPF である、請求項記載の光硬化性組成物。
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