JP2014221892A - 表示パネル用接着剤及びそれを用いた表示パネル又は表示パネルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】表示パネル用接着剤で接着させる部材から、表示パネル用接着剤がはみ出さない表示パネル用接着剤であって、及び表示パネル用接着剤を用いた表示パネル、及び表示パネル用接着剤を用いた表示パネルの製造方法を提供する。
【解決手段】(A)分子中に重合性の炭素−炭素二重結合を平均して1.5個以上含み、かつ数平均分子量(Mn)が5,000以上のポリマー、(B)分子中に重合性の炭素−炭素二重結合を平均して1個以下含み、かつ数平均分子量(Mn)が5,000以上のポリマー、(C)光重合開始剤、(D)表面がアルキルシリル基で修飾された疎水性シリカを含み、ずり速度D1=2.1における25℃の粘度P1が31,000mPa・s以上、ずり速度D2=21における25℃の粘度P2が30,000mPa・s未満とする表示パネル用接着剤。
【選択図】図1

Description

(A)分子中に重合性の炭素−炭素二重結合を平均して1.5個以上含み、かつ数平均分子量(Mn)が5,000以上のポリマー、(B)分子中に重合性の炭素−炭素二重結合を平均して1個以下含み、かつ数平均分子量(Mn)が5,000以上のポリマー、(C)光重合開始剤、(D)表面がアルキルシリル基で修飾された疎水性シリカを含み、ずり速度D1=2.1における25℃の粘度P1が31,000mPa・s以上、ずり速度D2=21における25℃の粘度P2が30,000mPa・s未満であることを特徴とする表示パネル用接着剤、表示パネル、表示パネルの製造方法に関する。
近年、携帯電話やタブレットPC、パソコン等の画像表示装置の表示パネルには複数の光学部材が使用されている。例えば、タッチパネルが、液晶表示モジュールとは別の部材となっている場合、タッチパネルは、液晶表示モジュール又は有機ELモジュール等の表示モジュールの上に配置され、タッチパネルのさらに上には、透明カバー材が配置されている。また、液晶表示モジュールにタッチパネル機能が組み込まれている場合、液晶モジュールの上に透明カバー材が配置されている。
これらの、表示モジュールとタッチパネルの間、タッチパネルと透明カバー材の間、液晶モジュールと透明カバー材の間は、反射光を低減させるため、光学部材と屈折率が近い、光重合性官能基を有するウレタンアクリレート又は/及びエポキシアクリレートをバインダーポリマーとするエネルギー線(UV)で硬化可能な表示パネル用接着剤が用いられることが多くなってきている。
表示パネル用接着剤の使用方法としては、表示パネル用接着剤を塗布した被塗布体と、被貼合体との距離を狭め、表示パネル用接着剤を被塗布体と被貼合体の間で広げた後、エネルギー線(UV)で表示パネル用接着剤を硬化させ、被塗布体と被貼合体を固定する方法が挙げられる。しかし、表示パネル用接着剤を被塗布体と被貼合体の間で広げた後、エネルギー線(UV)を照射して表示パネル用接着剤が硬化するまでに、表示パネル用接着剤が被塗布体又は被貼合体からはみ出してしまい、周辺を汚染することがあった。
一方、表示パネル用接着剤が被塗布体又は被貼合体からはみ出すことを抑制するため、表示パネル用接着剤を塗布する前に、塗布領域の外側に液止め部(ダム)を形成することが提案されている(特許文献1、2)。しかし、表示部に空気が入らないようにするためには、表示パネル用接着剤が液止め部を乗り越える必要があり、この液止め部を乗り越えた表示パネル用接着剤が、被塗布体又は被貼合体からはみ出してしまい、周辺を汚染することがあった。
被塗布体又は被貼合体からはみ出しそうになった表示パネル用接着剤を硬化させる方法として、被塗布体及び被貼合体の側面からエネルギー線(UV)を照射し、表示パネル用接着剤を硬化させる方法が提案されている(特許文献3、4)。しかし、被塗布体及び被貼合体の側面にエネルギー線(UV)を均一に照射させることが難しく、また表示パネル用接着剤の流動性が高いために、エネルギー線(UV)を照射させて表示パネル用接着剤を硬化させるまでに、表示パネル用接着剤が被塗布体又は被貼合体からはみ出してしまうことがあった。
被貼合体との距離を狭めることで、被塗布体と被貼合体の間に表示パネル用接着剤を広げるためには、表示パネル用接着剤の粘度を低く設定し、表示パネル用接着剤は被貼合体との距離を狭めた際に容易に広がる特徴が必要である。しかし、そのために流動性を高くすると、表示パネル用接着剤が被塗布体と被貼合体の貼合体の端部から流れ出てしまい、その周辺を汚染してしまうことが問題となっていた。
一方、重合性の炭素−炭素二重結合を有するポリマー、光重合開始剤、を含有する表示パネル用接着剤は提案されている(特許文献5)。しかし、特定の疎水シリカを添加すること、2つのずり速度での粘度を調節することについての記載はない。
特開2009−8851号公報 特開2010−66711号公報 特開2009−186955号公報 特開2009−86656号公報 特開2012−41499号公報
本発明は、接着剤で接着させる部材から接着剤がはみ出さない表示パネル用接着剤、前記接着剤を用いた表示パネル、及び前記接着剤を用いた表示パネルの製造方法の提供を目的とする。特に、接着剤を塗布した被塗布体と、被貼合体との距離を狭め、接着剤を被塗布体と被貼合体の間で広げた後、エネルギー線で接着剤を硬化させ、被塗布体と被貼合体を固定する表示パネルの製造方法において、エネルギー線で接着剤を硬化させる前に、被塗布体及び被貼合体から接着剤がはみ出さない表示パネル用接着剤、前記接着剤を用いた表示パネル、及び前期接着剤を用いた表示パネルの製造方法の提供を目的とする。
上述の現状に鑑み、本発明者らが鋭意検討した結果、表面がアルキルシリル基で修飾された疎水性シリカを含み、ずり速度D1=2.1における25℃の粘度P1が31,000mPa・s以上、ずり速度D2=21における25℃の粘度P2が30,000mPa・s未満であることを特徴とする表示パネル用接着剤を使用することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、
(A)分子中に重合性の炭素−炭素二重結合を平均して1.5個以上含み、かつ数平均分子量(Mn)が5,000以上のポリマー、
(B)分子中に重合性の炭素−炭素二重結合を平均して1個以下含み、かつ数平均分子量(Mn)が5,000以上のポリマー、
(C)光重合開始剤、および
(D)表面がアルキルシリル基で修飾された疎水性シリカ、
を含み、
ずり速度D1=2.1における25℃の粘度P1が31,000mPa・s以上、ずり速度D2=21における25℃の粘度P2が30,000mPa・s未満であることを特徴とする表示パネル用接着剤に関する。
(D)成分のアルキルシリル基が、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、又はオクチルシリル基であることが好ましい。
(A)成分、および/または(B)成分が、(メタ)アクリル系重合体であることが好ましい。
(C)成分の量が、(A)成分と(B)成分の総重量を100重量部として、0.001〜10重量部であることが好ましい。
(D)成分の量が、(A)成分と(B)成分の総重量を100重量部として、1〜25重量部であることが好ましい。
上記に記載の表示パネル用接着剤を用いた表示パネルに関する。
本発明は、上記に記載の表示パネル用接着剤を被塗布体に塗布し、それと被貼合体とを貼り合せる表示パネルの製造方法であって、表示パネル用接着剤を塗布した被塗布体と、被貼合体との距離を狭め、表示パネル用接着剤を被塗布体と被貼合体の間で広げた後、エネルギー線で表示パネル用接着剤を硬化させ、被塗布体と被貼合体を固定する表示パネルの製造方法に関する。
本発明によれば、接着剤で接着させる部材から接着剤がはみ出さない表示パネル用接着剤、前記接着剤を用いた表示パネル、及び前記接着剤を用いた表示パネルの製造方法を提供することができる。特に、接着剤を塗布した被塗布体と、被貼合体との距離を狭め、接着剤を被塗布体と被貼合体の間で広げた後、エネルギー線で接着剤を硬化させ、被塗布体と被貼合体を固定する表示パネルの製造方法において、エネルギー線で接着剤を硬化させる前に、被塗布体及び被貼合体から接着剤がはみ出さない表示パネル用接着剤、前記接着剤を用いた表示パネル、及び前期接着剤を用いた表示パネルの製造方法を提供することができる。
表示パネルの貼り合わせ方法の図である。
以下、本発明の表示パネル用接着剤について詳述する。
本発明の表示パネル用接着剤は、
(A)分子中に重合性の炭素−炭素二重結合を平均して1.5個以上含み、かつ数平均分子量(Mn)が5,000以上のポリマー、
(B)分子中に重合性の炭素−炭素二重結合を平均して1個以下含み、かつ数平均分子量(Mn)が5,000以上のポリマー、
(C)光重合開始剤、および
(D)表面がアルキルシリル基で修飾された疎水性シリカ、
を含み、ずり速度D1=2.1における25℃の粘度P1が31,000mPa・s以上、ずり速度D2=21における25℃の粘度P2が30,000mPa・s未満であることを特徴とする。
<<(A)成分と(B)成分>>
(A)成分は、分子中に重合性の炭素−炭素二重結合を平均して1.5個以上含み、かつ数平均分子量(Mn)が5,000以上のポリマーであり、(B)成分は、分子中に重合性の炭素−炭素二重結合を平均して1個以下含み、かつ数平均分子量(Mn)が5,000以上のポリマーである。
(A)成分と(B)成分の骨格は同じであっても異なっていても構わないが、相溶性の観点から同型の骨格である方が好ましい。
ポリマーは、ポリシロキサン、ポリエーテル、ビニル系重合体が好ましい。
上記ポリシロキサンとしては、アルキルポリシロキサンが好ましい。
上記ポリエーテルとしては、オキシアルキレン系重合体が好ましく、その中でもポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンがより好ましい。
上記ビニル系重合体としては、炭化水素系重合体である、ポリイソブチレン、水素添加ポリイソプレン、水素添加ポリブタジエン、並びに、(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニル系モノマーからなる群から選ばれるモノマーを主として重合して製造される重合体が好ましい。ここで「主として」とは、ビニル系重合体を構成するモノマー単位のうち、50モル%以上が上記モノマーであることを意味し、好ましくは70モル%以上である。さらに、ビニル系重合体としては、ポリイソブチレン、(メタ)アクリル系モノマーを主として重合して製造された(メタ)アクリル系重合体が好ましく、(メタ)アクリル系重合体がより好ましい。(メタ)アクリル系重合体としては、アクリル系重合体が好ましく、アクリル酸エステル重合体がより好ましい。
上記好ましいポリマーのなかでも、(メタ)アクリル系モノマーを主として重合して製造された(メタ)アクリル系重合体が最も好ましい。
(A)成分と(B)成分のポリマーの分子量および分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定する。本発明でのGPC測定は、移動相としてクロロホルムを用い、測定はポリスチレンゲルカラムにて行い、分子量はポリスチレン換算で求めることができる。
(A)成分と(B)成分の数平均分子量は5,000以上であるが、5,000〜300,000であることが好ましく、5,000〜100,000であることがより好ましい。
分子量分布は特に限定されないが、好ましくは1.8未満であり、より好ましくは1.7以下であり、さらに好ましくは1.6以下であり、よりさらに好ましくは1.5以下であり、特に好ましくは1.4以下であり、最も好ましくは1.3以下である。分子量分布が1.8以上であると粘度が増大し、取り扱いが困難になる傾向にある。
本発明の(A)成分と(B)成分の比は、5:95〜95:5であることが好ましく、20:80〜80:20であることがより好ましい。
(A)成分および(B)成分のポリマーの製造方法としては、公知の方法を用いることができるが、一例として以下に記載する。
<ポリシロキサン>
公知であるオルガノクロロシランを加水分解してオルガノポリシロキサンを製造する方法、特許第2599517号公報、特開昭56−151731号公報、特開昭59−66422号公報、特開昭59−68377号公報に記載のアルコキシシランを塩基性触媒あるいは酸触媒の存在下で加水分解する方法等公知の方法で得られる。ポリマーの末端官能基としては、アルコキシシリル基、シラノール基、水酸基等が挙げられる。
<ポリエーテル>
ポリエーテル(オキシアルキレン系重合体)の合成方法は、特に限定されないが、例えば開始剤と触媒の存在下、モノエポキシドを開環重合することによって得られる。
開始剤の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、メタリルアルコール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、ネオペンチルグリコール、ポリブタジエンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレントリオール、ポリプロピレンテトラオール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の2価アルコールや多価アルコール、水酸基を有する各種のオリゴマー等が挙げられる。
モノエポキシドの具体例としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、α−ブチレンオキサイド、β−ブチレンオキサイド、ヘキセンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイド、α−メチルスチレンオキサイド等のアルキレンオキサイド類や、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル等のアルキルグリシジルエーテル類、アリルグリシジルエーテル類、アリールグリシジルエーテル類等が挙げられる。
触媒及び重合法としては、たとえばKOHのようなアルカリ触媒による重合法、たとえば特開昭61−215623号公報に示される有機アルミニウム化合物とポルフィリンとを反応させて得られる錯体のような遷移金属化合物−ポルフィリン錯体触媒による重合法、たとえば特公昭46−27250号公報および特公昭59−15336号公報などに示される複合金属シアン化物錯体触媒による重合法、セシウム触媒による重合法、ホスファゼン触媒による重合法等があげられるが、特に限定されるものではない。中でも、高分子量でかつ着色の少ない重合体が容易に得られる点からは、複合金属シアン化物錯体触媒による重合法が好ましい。
この他、オキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は、水酸基末端オキシアルキレン重合体を塩基性化合物、例えばKOH、NaOH、KOCH、NaOCH等の存在下、2官能以上のハロゲン化アルキル、例えばCHCl、CHBr等による鎖延長等によっても得ることができる。
さらに、上記オキシアルキレン系重合体の主鎖骨格中にはオキシアルキレン系重合体の特性を大きく損なわない範囲でウレタン結合成分等の他の成分を含んでいてもよい。
<ビニル系重合体>
(炭化水素系重合体)
前記炭化水素系重合体は、芳香族環以外の炭素−炭素不飽和結合を実質的に含有しない重合体であり、たとえば、1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、水素添加ポリブタジエン、水素添加ポリイソプレンなどがあげられる。
本発明に用いる炭化水素系重合体の主鎖骨格をなす重合体は、(1)エチレン、プロピレン、1,2−ブタジエン、1,4−ブタジエン、1−ブテン、イソブチレンなどのような炭素数1〜6のオレフィン系化合物を主成分として単独重合もしくは共重合させるか、(2)ブタジエン、イソプレンなどのようなジエン系化合物を単独重合もしくは共重合させ、あるいは、上記オレフィン系化合物を共重合させた後、水素添加するなどの方法により得ることができる。
中でも、ポリイソブチレン、水素添加ポリイソプレン、水素添加ポリブタジエンは、末端に官能基を導入しやすく、分子量を制御しやすく、また、末端官能基の数を多くすることができるので好ましい。さらに、ポリイソブチレンは液状または流動性を有するので取り扱いやすく、主鎖に芳香族環以外の炭素−炭素不飽和結合を全く含まないため水添の必要が無く、耐候性に極めて優れているので特に好ましい。ポリイソブチレンは、単量体単位のすべてがイソブチレン単位から形成されていてもよいし、イソブチレンと共重合可能な単量体単位をポリイソブチレン中に、好ましくは50重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下、とくに好ましくは10重量%以下の範囲で含有してもよい。
このような炭化水素系重合の単量体成分としては、たとえば、炭素数4〜12のオレフィン、ビニルエーテル、芳香族ビニル化合物、ビニルシラン類、アリルシラン類などがあげられる。たとえば1−ブテン、2−ブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ヘキセン、ビニルシクロヘキセン、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、β−ピネン、インデン、ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリメチルシラン、ジビニルジクロロシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジメチルシラン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、トリビニルメチルシラン、テトラビニルシラン、アリルトリクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルジメチルメトキシシラン、アリルトリメチルシラン、ジアリルジクロロシラン、ジアリルジメトキシシラン、ジアリルジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランなどがあげられる。
水素添加ポリイソプレン、水素添加ポリブタジエンや他の炭化水素系重合体においても、上記ポリイソブチレンの場合と同様に、主成分となる単量体単位の他に他の単量体単位を含有させてもよい。
(炭化水素系重合体以外のビニル系重合体)
本発明における炭化水素系重合体以外のビニル系重合体は、その主鎖を構成するビニル系モノマーとしては特に限定されず、各種のものを用いることができる。具体的には特開2005−232419号公報段落[0018]記載の各種モノマーのような、(メタ)アクリル酸系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー、ケイ素含有ビニル系モノマー、マレイミド系モノマー、ニトリル基含有ビニル系モノマー、アミド基含有ビニル系モノマー、ビニルエステル類、アルケン類、共役ジエン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等が挙げられる。これらは、単独で用いても良いし、複数を共重合させても構わない。ここで、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を表す。
本発明の硬化性組成物に使用される炭化水素系重合体以外のビニル系重合体の主鎖は、(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニル系モノマーからなる群より選ばれる少なくとも1つのモノマーを主として重合して製造されるものであることが好ましい。ここで「主として」とは、ビニル系重合体(b)を構成するモノマー単位のうち、50モル%以上が上記モノマーであることを意味し、好ましくは70モル%以上である。
なかでも、生成物の物性等から、芳香族ビニル系モノマー及び/または(メタ)アクリル酸系モノマーが好ましく、アクリル酸エステルモノマー及び/又はメタクリル酸エステルモノマーがより好ましく、アクリル酸エステルモノマーがさらに好ましい。特に好ましいアクリル酸エステルモノマーとしては、アクリル酸アルキルエステルモノマーが挙げられ、具体的には、アクリル酸エチル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−メトキシブチルである。
本発明においては、これらの好ましいモノマーを他のモノマーと共重合、更にはブロック共重合させても構わなく、その際は、これらの好ましいモノマーが重量比で40重量%以上含まれていることが好ましい。
本発明で使用するビニル系重合体は、種々の重合法により得ることができ、特に限定されないが、モノマーの汎用性、制御の容易性等の点からラジカル重合法が好ましく、ラジカル重合の中でも制御ラジカル重合がより好ましい。この制御ラジカル重合法は「連鎖移動剤法」とリビング重合の一種である「リビングラジカル重合法」とに分類することができる。得られるビニル系重合体の分子量、分子量分布の制御が容易であるリビングラジカル重合がさらに好ましく、原料の入手性、重合体末端への官能基導入の容易さから原子移動ラジカル重合が特に好ましい。上記ラジカル重合、制御ラジカル重合、連鎖移動剤法、リビングラジカル重合法、原子移動ラジカル重合は公知の重合法ではあるが、これら各重合法については、たとえば、特開2005−232419号公報や、特開2006−291073号公報などの記載を参照できる。
本発明における炭化水素系重合体以外のビニル系重合体の好ましい合成法の一つである、原子移動ラジカル重合について以下に簡単に説明する。
原子移動ラジカル重合では、有機ハロゲン化物、特に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物(例えば、α位にハロゲンを有するカルボニル化合物や、ベンジル位にハロゲンを有する化合物)、あるいはハロゲン化スルホニル化合物等が開始剤として用いられることが好ましい。具体的には特開2005−232419号公報段落[0040]〜[0064]記載の化合物が挙げられる。
原子移動ラジカル重合において用いられるビニル系モノマーとしては特に制約はなく、上述したビニル系モノマーをすべて好適に用いることができる。
重合触媒として用いられる遷移金属錯体としては特に限定されないが、好ましくは周期律表第7族、8族、9族、10族、又は11族元素を中心金属とする金属錯体でありより好ましくは0価の銅、1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄又は2価のニッケルを中心金属とする遷移金属錯体、特に好ましくは銅の錯体が挙げられる。銅の錯体を形成するために使用される1価の銅化合物を具体的に例示するならば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅等である。銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるために2,2’−ビピリジル若しくはその誘導体、1,10−フェナントロリン若しくはその誘導体、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン若しくはヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン等のポリアミン等が配位子として添加される。
重合反応は、無溶媒でも可能であるが、各種の溶媒中で行うこともできる。溶媒の種類としては特に限定されず、特開2005−232419号公報段落[0067]記載の溶剤が挙げられる。これらは、単独でもよく、2種以上を併用してもよい。また、エマルジョン系もしくは超臨界流体COを媒体とする系においても重合を行うことができる。
重合温度は、限定はされないが、0〜200℃の範囲で行うことができ、好ましくは、室温〜150℃の範囲である。
<重合性の炭素−炭素二重結合導入法((A)成分と(B)成分)>
(A)成分と(B)成分の重合性の炭素−炭素二重結合は、特に限定されないが、一般式(1)
−OC(O)C(R)=CH (1)
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表わす)
で表される(メタ)アクリロイル基が好ましい。
(A)成分は分子中に重合性の炭素−炭素二重結合を平均して1.5個以上含み、(B)成分は分子中に重合性の炭素−炭素二重結合を平均して1個以下含んでいる。(A)成分と(B)成分の重合性の炭素−炭素二重結合は、分子鎖末端にあることが好ましい。
(ポリシロキサンへの導入方法)
特に限定はないが、例えば、特許第3193866号公報に記載の末端シラノール停止ポリシロキサンに有機金属等を触媒として、加水分解性シリル基含有ビニル化合物、加水分解性シリル基含有(メタ)アクリロイル化合物を加水分解縮合反応させる方法等が挙げられる。
(ポリエーテルへの導入方法)
オキシアルキレン重合体への重合性の炭素−炭素二重結合を導入する方法としては、特に限定がないが、<1>水酸基末端を有するポリオキシアルキレンに一般式(1)の酸クロライド化合物を反応させる方法、<2>水酸基末端を有するポリオキシアルキレンにイソシアナート基を含む一般式(1)の化合物を反応性させる方法、<3>水酸基末端を有するポリオキシアルキレンに多官能性のイソシアナートおよび水酸基を含有するビニルモノマーを反応させる方法、<4>ヒドロシリル化可能な二重結合末端(例えばアリル基末端)ポリオキシアルキレンに多官能タイプのヒドロシリル化合物を反応させ、更にアリル(メタ)アクリレート等のヒドロシリル化可能な化合物を反応させる方法がある。反応の簡便性の点で<2>、<3>および<4>の方法が好ましく、反応の安定性の点で、<2>および<3>の方法がより好ましい。
(ビニル系重合体への導入方法)
ビニル系重合体への重合性の炭素−炭素二重結合を導入する方法としては、公知の方法を利用することができる。例えば、特開2004−203932号公報段落[0080]〜[0091]記載の方法が挙げられるが、以下の方法が好ましい。
(導入方法1)
一般式(2)のビニル系重合体の末端ハロゲン基を、一般式(3)の重合性の炭素−炭素二重結合を有する化合物で置換する方法。
−CRX (2)
(式中、R、Rは、ビニル系モノマーのエチレン性不飽和基に結合した基。Xは、塩素、臭素、又は、ヨウ素を表す。)
+−OC(O)C(R)=CH (3)
(式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。Mはアルカリ金属、または4級アンモニウムイオンを表す。)
一般式(2)で表される末端構造を有するビニル系重合体は、上述した有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーを重合する方法、あるいは、ハロゲン化合物を連鎖移動剤としてビニル系モノマーを重合する方法により製造されるが、好ましくは前者である。
一般式(3)で表される化合物としては特に限定されないが、Rの具体例としては、例えば、−H、−CH、−CHCH、−(CHCH(nは2〜19の整数を表す)、−C、−CHOH、−CN、等が挙げられ、好ましくは−H、−CHである。
はオキシアニオンの対カチオンであり、Mの種類としてはアルカリ金属イオン、具体的にはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、および4級アンモニウムイオンが挙げられる。4級アンモニウムイオンとしてはテトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラベンジルアンモニウムイオン、トリメチルドデシルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンおよびジメチルピペリジニウムイオン等が挙げられ、好ましくはナトリウムイオン、カリウムイオンである。一般式(3)のオキシアニオンの使用量は、一般式(2)のハロゲン基に対して、好ましくは1〜5当量、更に好ましくは1.0〜1.2当量である。この反応を実施する溶媒としては特に限定はされないが、求核置換反応であるため極性溶媒が好ましく、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、アセトニトリル、等が用いられる。反応を行う温度は限定されないが、一般に0〜150℃で、重合性の末端基を保持するために好ましくは室温〜100℃で行う。
(導入方法2)
末端に水酸基を有するビニル重合体に一般式(4)で示される化合物を反応させる方法。
XC(O)C(R)=CH (4)
(式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。Xは塩素、臭素、または水酸基を表す。)
(導入方法3)
末端に水酸基を有するビニル重合体に、ジイソシアネート化合物を反応させ、残存イソシアネート基と下記一般式(5)で示される化合物とを反応させる方法。
HO−R’−OC(O)C(R)=CH (5)
(式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。R’は炭素数2〜20の2価の有機基を表す。)
これらの方法の中でも、制御が容易である点から、(導入方法1)が最も好ましい。
<<(C)成分>>
本発明の表示パネル用接着剤は、(C)成分として光重合開始剤を含有し、エネルギー線の照射により硬化する。光重合開始剤としては、光ラジカル開始剤、光アニオン開始剤、近赤外光重合開始剤等が挙げられ、光ラジカル開始剤、光アニオン開始剤が好ましく、光ラジカル開始剤が特に好ましい。
光ラジカル開始剤としては、例えば、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、キサントール、フルオレイン、ベンズアルデヒド、アンスラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−メチルアセトフェノン、3−ペンチルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、4−メトキシアセトフェノン、3−ブロモアセトフェノン、4−アリルアセトフェノン、p−ジアセチルベンゼン、3−メトキシベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−クロロ−4’−ベンジルベンゾフェノン、3−クロロキサントーン、3,9−ジクロロキサントーン、3−クロロ−8−ノニルキサントーン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、ベンジルメトキシケタール、2−クロロチオキサントーン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ジベンゾイル、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオイサイド等が挙げられる。
光アニオン開始剤としては、例えば、1,10−ジアミノデカン、4,4’−トリメチレンジピペラジン、カルバメート類及びその誘導体、コバルト−アミン錯体類、アミノオキシイミノ類、アンモニウムボレート類等が挙げられる。
これらの光重合開始剤は、単独、又は2種以上混合して用いても、他の化合物と組み合わせて用いてもよい。
他の化合物との組み合わせとしては、具体的には、ジエタノールメチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンとの組み合わせ、さらにこれにジフェニルヨードニウムクロリド等のヨードニウム塩を組み合わせたもの、メチレンブルー等の色素及びアミンと組み合わせたもの等が挙げられる。
なお、前記光重合開始剤を使用する場合、必要により、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ベンゾキノン、パラターシャリーブチルカテコール等の重合禁止剤類を添加することもできる。
(C)成分の添加量は特に制限はないが、硬化性と貯蔵安定性の点から、(A)成分と(B)成分の総重量を100重量部とした場合、0.001〜10重量部が好ましい。
<<(D)成分>>
本発明の表示パネル用接着剤は、(D)成分として表面がアルキルシリル基で修飾された疎水性シリカを含有する。表面がアルキルシリル基で修飾された疎水性シリカとは、例えば、シリカ表面のシラノール基の−OHをモノアルキルシリル基、ジアルキルシリル基、トリアルキルシリル基で置換したものである。
モノアルキルシリル基としては、メチルシリル基、エチルシリル基、プロピルシリル基、ブチルシリル基、ヘキシルシリル基、オクチルシリル基等が挙げられる。
ジアルキルシリル基としては、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、ジプロピルシリル基、ジブチルシリル基、ジヘキシルシリル基、ジオクチルシリル基等が挙げられる。
トリアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリブチルシリル基、トリヘキシルシリル基、トリオクチルシリル基等が挙げられる。
上記アルキルシリル基のなかでも、メチルシリル基、又はジメチルシリル基、又はトリメチルシリル基、又はオクチルシリル基が分散させやすい点で好ましい。
(D)成分の添加量は特に制限はないが、溶液粘度特性の観点から、(A)成分と(B)成分の総重量を100重量部とした場合、1〜25重量部が好ましく、2〜20重量部がより好ましい。1重量部未満の場合、ずり速度が低い時の粘度と高い時の粘度に差が無く、表示パネル用接着剤を用いて貼合サンプルを作製した際、エネルギー線で硬化させるまでに、貼合サンプルの端部から表示パネル用接着剤が漏れることがあった。25重量部よりも多い場合、表示パネル用接着剤が白濁してしまうことがあった。
<<配合剤>>
本発明の表示パネル用接着剤においては、目的とする物性に応じて、各種の配合剤を添加しても構わない。
<重合性のモノマー>
本発明の表示パネル用接着剤は、本発明の効果を損なわない範囲でモノマーを添加することができる。ラジカル重合性の基を有するモノマー、あるいは、アニオン重合性の基を有するモノマーが、硬化性の点から好ましい。
前記ラジカル重合性の基としては、(メタ)アクリル基等の(メタ)アクリロイル系基、スチレン基、アクリロニトリル基、ビニルエステル基、N−ビニルピロリドン基、アクリルアミド基、共役ジエン基、ビニルケトン基、塩化ビニル基等が挙げられる。
なかでも、本発明に使用するビニル系重合体と類似する(メタ)アクリロイル系基を有するものが好ましい。
前記アニオン重合性の基としては、(メタ)アクリル基等の(メタ)アクリロイル系基、スチレン基、アクリロニトリル基、N−ビニルピロリドン基、アクリルアミド基、共役ジエン基、ビニルケトン基等が挙げられる。なかでも、本発明に使用するビニル系重合体と類似する(メタ)アクリロイル系基を有するものが好ましい。
前記モノマーの具体例としては、特開2006−265488号公報段落[0123]〜[0131]記載のものが挙げられる。
上記のうち、(メタ)アクリロイル系基を有する、モノマーが好ましい。また、表面硬化性の向上や、作業性向上のための粘度低減のために、モノマーを用いる場合には、分子量が1000以下であることが、相溶性が良好であることが好ましい。
重合性のモノマーの使用量としては、表面硬化性の向上、タフネスの付与、粘度低減による作業性の観点から、(A)成分と(B)成分の総重量を100重量部とした場合、1〜200部が好ましく、5〜100部がより好ましい。
<接着性付与剤>
本発明の表示パネル用接着剤にさらに基材接着性を向上させる目的で接着性付与剤を添加することができる、接着性付与剤としては、架橋性シリル基含有化合物、極性基を有するビニル系単量体が好ましく、更にはシランカップリング剤、酸性基含有ビニル系単量体が好ましい。これらを具体的に例示すると、特開2005−232419号公報段落[0184]記載の接着性付与剤が挙げられる。
シランカップリング剤としては、分子中にエポキシ基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、カルバメート基、アミノ基、メルカプト基、カルボキシル基、ハロゲン基、(メタ)アクリル基等の、炭素原子及び水素原子以外の原子を有する有機基と、架橋性シリル基を併せ持つシランカップリング剤を用いることができる。
これらを具体的に例示すると、特開2005−232419号公報段落[0185]記載の炭素原子及び水素原子以外の原子を有する有機基と、架橋性シリル基を併せ持つシランカップリング剤が挙げられる。これらの中でも、硬化性及び接着性の点から、分子中にエポキシ基あるいは(メタ)アクリル基を有するアルコキシシラン類がより好ましい。
極性基を有するビニル系単量体としては、カルボキシル基含有単量体としては(メタ)アクリル酸、アクリロキシプロピオン酸、シトラコン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸またはそのエステル類、無水マレイン酸およびその誘導体等が挙げられる。上記、ガルボキシル基含有単量体のエステル類としては2−(メタ)アクリロイルキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルキシエチルヘキサヒドロフタル酸等が挙げられる。また、スルホン酸基含有単量体としては、ビニルスルホン酸、(メタ)アクリルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルベンゼンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン類又はその塩類を挙げることができる。更に、リン酸基含有単量体としては、2−((メタ)アクリロイルシエチルホスフェート)、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−3−クロロプロピルフォスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルフォスフェート等が挙げられる。中でもリン酸基含有単量体が好ましい。また、該単量体は2個以上の重合性基を有してしても構わない。
シランカップリング剤、極性基含有ビニル系単量体以外の接着性付与剤の具体例としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、シクロペンタジエン−フェノール樹脂、キシレン樹脂、クマロン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジンエステル、ロジンエステル樹脂硫黄、アルキルチタネート類、芳香族ポリイソシアネート等が挙げられる。
上記接着性付与剤は、(A)成分と(B)成分の総重量を100重量部とした場合、0.01〜20重量部配合するのが好ましい。0.01重量部未満では接着性の改善効果が小さく、20重量部を越えると硬化物物性が低下し易い傾向がある。好ましくは0.1〜15重量部であり、更に好ましくは0.5〜10重量部である。
上記接着性付与剤は1種類のみで使用しても良いし、2種類以上混合使用しても良い。
<可塑剤>
本発明の表示パネル用接着剤には、必要に応じて可塑剤を配合することができる。
可塑剤としては特に限定されないが、物性の調整、性状の調節等の目的により、例えば、特開2005−232419号公報段落[0173]記載の可塑剤が挙げられる。これらの中では、粘度の低減効果が顕著であり、耐熱性試験時における揮散率が低いという点から、ポリエステル系可塑剤、ビニル系重合体が好ましい。また、数平均分子量200〜15000の重合体である高分子可塑剤が、添加することにより、該表示パネル用接着剤の粘度及び該表示パネル用接着剤を硬化して得られる硬化物の引張り強度、伸び等の機械特性が調整できるとともに、重合体成分を分子中に含まない可塑剤である低分子可塑剤を使用した場合に比較して、初期の物性を長期にわたり維持できるため好適である。なお、限定はされないがこの高分子可塑剤は、官能基を有しても有しなくても構わない。
上記高分子可塑剤の数平均分子量は、好ましくは800〜10000であり、より好ましくは1000〜8000である。分子量が低すぎると熱にさらされたり液体に接した場合に可塑剤が経時的に流出し、初期の物性を長期にわたり維持できないことがある。また、分子量が高すぎると粘度が高くなり、作業性が低下する傾向がある。
これらの高分子可塑剤のうちで、ビニル系重合体と相溶するものが好ましい。中でも相溶性及び耐候性、耐熱老化性の点からビニル系重合体が好ましい。ビニル系重合体の中でも(メタ)アクリル系重合体が好ましく、アクリル系重合体がさらに好ましい。このアクリル系重合体の合成法は、従来からの溶液重合で得られるものや、無溶剤型アクリルポリマー等を挙げることができる。後者のアクリル系可塑剤は溶剤や連鎖移動剤を使用せず高温連続重合法(USP4414370、特開昭59−6207号公報、特公平5−58005号公報、特開平1−313522号公報、USP5010166)にて作製されるため、本発明の目的にはより好ましい。その例としては特に限定されないが、東亞合成品UPシリーズ等が挙げられる(工業材料1999年10月号参照)。勿論、他の合成法としてリビングラジカル重合法をも挙げることができる。この方法によれば、その重合体の分子量分布が狭く、低粘度化が可能なことから好ましく、更には原子移動ラジカル重合法がより好ましいが、これに限定されるものではない。
高分子可塑剤の分子量分布は特に限定されないが、狭いことが好ましく、1.8未満が好ましい。1.7以下がより好ましく、1.6以下がなお好ましく、1.5以下がさらに好ましく、1.4以下が特に好ましく、1.3以下が最も好ましい。
上記高分子可塑剤を含む可塑剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよいが、必ずしも必要とするものではない。また必要によっては高分子可塑剤を用い、物性に悪影響を与えない範囲で低分子可塑剤を更に併用しても良い。
なおこれら可塑剤は、重合体製造時に配合することも可能である。
可塑剤を用いる場合の使用量は、限定されないが、(A)成分と(B)成分の総重量を100重量部とした場合、好ましくは1〜100重量部、より好ましくは5〜50重量部である。1重量部未満では可塑剤としての効果が発現しにくい傾向があり、100重量部を越えると硬化物の機械強度が不足する傾向がある。
<酸化防止剤>
本発明の表示パネル用接着剤には、各種酸化防止剤を必要に応じて用いてもよい。これらの酸化防止剤としては、p−フェニレンジアミン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤や、二次酸化防止剤としてリン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられる。
<反応性希釈剤>
上記可塑剤以外に、本発明においては、次に述べる反応性希釈剤を用いても構わない。反応性希釈剤として、硬化養生中に揮発し得るような低沸点の化合物を用いた場合は、硬化前後で形状変化を起こしたり、揮発物により環境にも悪影響を及ぼしたりすることから、常温での沸点が100℃以上である有機化合物が特に好ましい。
反応性希釈剤の具体例としては、1−オクテン、4−ビニルシクロヘキセン、酢酸アリル、1,1−ジアセトキシ−2−プロペン、1−ウンデセン酸メチル、8−アセトキシ−1,6−オクタジエン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
反応性希釈剤の添加量は、(A)成分と(B)成分の総重量を100重量部とした場合、好ましくは0.1〜100重量部、より好ましくは0.5〜70重量部、さらに好ましくは1〜50重量部である。
<光安定剤>
本発明の表示パネル用接着剤には、必要に応じて光安定剤を添加しても良い。光安定剤は各種のものが知られており、例えば大成社発行の「酸化防止剤ハンドブック」、シーエムシー化学発行の「高分子材料の劣化と安定化」(235〜242)等に記載された種々のものが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
特に限定はされないが、光安定剤の中でも、紫外線吸収剤が好ましく、具体的には、チヌビンP、チヌビン234、チヌビン320、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン329、チヌビン213(以上いずれも日本チバガイギー社製)等のようなベンゾトリアゾール系化合物やチヌビン1577等のようなトリアジン系化合物、CHIMASSORB81等のようなベンゾフェノン系化合物、チヌビン120(日本チバガイギー社製)等のようなベンゾエート系化合物、ホスタビンPR−25、ホスタビンB−CAP(クラリアント社製)等のようなα、β−不飽和カルボン酸エステル系化合物、ホスタビンVSU等のようなシュウ酸アミド系化合物等が例示できる。
また、ヒンダードアミン系化合物も好ましく、そのような化合物は具体的には特開2006−274084号公報記載のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
更には紫外線吸収剤とヒンダードアミン系化合物の組み合わせはより効果を発揮することがあるため、特に限定はされないが併用しても良く、併用することが好ましいことがある。
光安定剤は前述した酸化防止剤と併用してもよく、併用することによりその効果を更に発揮し、特に耐候性が向上することがあるため特に好ましい。予め光安定剤と酸化防止剤を混合してあるチヌビンC353、チヌビンB75(以上いずれも日本チバガイギー社製)などを使用しても良い。
光安定剤の使用量は、(A)成分と(B)成分の総重量を100重量部とした場合、0.1〜10重量部の範囲であることが好ましい。0.1重量部未満では耐候性を改善の効果が少なく、10重量部超では効果に大差がなく経済的に不利である。
<溶剤>
本発明の表示パネル用接着剤には、必要に応じて溶剤を配合することができる。配合できる溶剤としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸セロソルブ等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶剤等が挙げられる。これらの溶剤は重合体の製造時に用いてもよい。
<その他の添加剤>
本発明の表示パネル用接着剤には、表示パネル用接着剤又はその硬化物の諸物性の調整を目的として、必要に応じて各種添加剤を添加してもよい。このような添加物の例としては、たとえば、難燃剤、老化防止剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、発泡剤、などがあげられる。これらの各種添加剤は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。このような添加物の具体例は、たとえば、特公平4−69659号公報、特公平7−108928号公報、特開昭63−254149号公報、特開昭64−22904号公報の各明細書などに記載されている。
<<表示パネル用接着剤>>
本発明の表示パネル用接着剤は、全ての配合成分を予め配合密封した1液型として調製でき、また、重合開始剤だけを抜いたA液と、開始剤を充填材、可塑剤、溶剤等と混合したB液を成形直前に混合する2液型としても調製できる。
<<粘度>>
前記表示パネル用接着剤のずり速度D1=2.1における25℃の粘度P1は31,000mPa・s以上、ずり速度D2=21における25℃の粘度P2は30,000mPa・s未満である。本発明では、貼り合せる2つの対象物の間に表示パネル用接着剤を広げた後、エネルギー線で硬化させて表示パネル用接着剤の流動性を無くし、2つの対象物を固定するが、P1が31,000mPa・s未満の場合、表示パネル用接着剤を広げた後、エネルギー線で硬化させるまでに、表示パネル用接着剤が流動し、2つの対象物の端部から表示パネル用接着剤が流れ出て、周辺を汚染することがあった。また、P2が30,000mPa・s以上の場合、2つの対象物の間に表示パネル用接着剤が均一に広がらず泡が噛むことがあった。特に、表示パネル用接着剤を塗布した被塗布体と、被貼合体との距離を狭め、表示パネル用接着剤を被塗布体と被貼合体の間で広げた後、エネルギー線で表示パネル用接着剤を硬化し、被塗布体と被貼合体を固定する表示パネルの製造方法において、効果が顕著となる。表示パネル用接着剤を塗布した塗布体と、被貼合体との距離を狭める際、塗布体から表示パネル用接着剤が自重で垂れる。被貼合体に表示パネル用接着剤の凸部先端が接地し、被塗布体と被貼合体の距離をさらに狭めることで、表示パネル用接着剤を被塗布体と被貼合体の間で広げることができる(図1)。ずり速度D1=2.1における25℃の粘度P1が31,000mPa・s以上の場合、表示パネル用接着剤が被塗布体と被貼合体の間で十分に広げた後(図1(3))、表示パネル用接着剤が流れることが無いため、周辺を汚染することが無い。ずり速度D2=21における25℃の粘度P2が30,000mPa・s未満の場合、表示パネル用接着剤を被塗布体と被貼合体の間で広げる際、均一に広げることができる。
<<表示パネル用接着剤の塗布方法>>
表示パネル用接着剤の塗布方法としては、貼り合わせる2つの対象物が最初に固定されている場合と固定されていない場合で大別できる。
貼り合わせる2つの対象物が最初に固定されている場合、その間に表示パネル用接着剤を押し込むことができる。また、その間を真空にして表示パネル用接着剤を吸い込むこともできる。
貼り合わせる2つの対象物が最初に固定されていない場合、一方の対象物に表示パネル用接着剤を塗布した後、もう一方の対象物に貼り合わせることができる。また、双方の対象物に表示パネル用接着剤を塗布した後、対象物を貼り合わせることができる。対象物に表示パネル用接着剤を塗布する前に塗布領域の周辺にダムを設けることができる。
特に、表示パネル用接着剤を塗布した被塗布体と、被貼合体との距離を狭め、表示パネル用接着剤を被塗布体と被貼合体の間で広げた後、エネルギー線で表示パネル用接着剤を硬化し、被塗布体と被貼合体を固定する表示パネルの製造方法は、装置を簡略化できる点で好ましい。
また、塗布方法は特に制限されないが、先端が円形又は四角形のノズルを用い、塗布する対象物とノズル先端の距離を一定に保ちながら塗布することが均一に接着できる点で好ましい。
<<硬化方法>>
(C)成分として光重合開始剤を用いるため、エネルギー線源により光又は電子線を照射して、硬化させることができる。エネルギー線源としては特に限定はないが、用いる光重合開始剤の性質に応じて、例えば高圧水銀灯、低圧水銀灯、電子線照射装置、ハロゲンランプ、発光ダイオード、半導体レーザー、メタルハライド等が挙げられる。積算光量は500mJ/cm以上とすることが好ましいが、硬度、反応性二重結合の転化率、硬化挙動から積算光量を決定することができる。
エネルギー線は、被塗布体と被貼合体を貼り合わせた貼合体の被塗布体側又は/及び貼合体側から照射することが可能であり、前記貼合体の側面から照射することもできる。
<<用途>>
本発明の表示パネル用接着剤は、携帯電話やタブレットPC、パソコン等の画像表示装置の表示パネルにおいて、タッチパネルと透明カバー材、液晶表示モジュール又は有機ELモジュールと透明カバー材、液晶表示モジュール又は有機ELモジュールと貼り合わせるような透明性の高い接着剤用途で使用することができる。
タッチパネルとは別の部材となっている場合、タッチパネルは、液晶表示モジュール又は有機ELモジュール等の表示モジュールの上に配置され、タッチパネルのさらに上には、透明カバー材が配置されている。また、液晶表示モジュールにタッチパネル機能が組み込まれている場合、液晶モジュールの上に透明カバー材が配置されている。
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
下記実施例中、「数平均分子量」及び「分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。ただし、GPCカラムとしてポリスチレン架橋ゲルを充填したもの(shodex GPC K−804およびK−802.5;昭和電工(株)製)、GPC溶媒としてクロロホルムを用いた。
「重合体の1分子あたりに導入されたアクリロイル基数」は、H−NMR分析及びGPCにより求められた数平均分子量より算出した。(ただし、H−NMRはBruker社製ASX−400(400MHz)を使用し、溶媒として重クロロホルムを用いて23℃にて測定した。)
<末端に(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリル系重合体の製造>
(製造例1、2、3)
各原料の使用量を表1に示す。
(1)重合工程
アクリル酸n−ブチル(予め混合されたアクリル酸n−ブチル)を脱酸素した。攪拌機付ステンレス製反応容器の内部を脱酸素し、臭化第一銅、全アクリル酸n−ブチルの一部(表1では初期仕込みモノマーとして記載)を仕込み、加熱攪拌した。アセトニトリル(表1では重合用アセトニトリルと記載)、開始剤としてジエチル−2,5−ジブロモアジペート(DBAE)または2−ブロモブチル酸エチル(EBB)を添加、混合し、混合液の温度を約80℃に調節した段階でペンタメチルジエチレントリアミン(以下、トリアミンと略す)を添加し、重合反応を開始した。残りのアクリル酸n−ブチル(表1では追加モノマーとして記載)を逐次添加し、重合反応を進めた。重合途中、適宜トリアミンを追加し、重合速度を調整した。重合時に使用したトリアミンの総量を重合用トリアミンとして表1に示す。重合が進行すると重合熱により内温が上昇するので内温を約80℃〜約90℃に調整しながら重合を進行させた。
(2)酸素処理工程
モノマー転化率(重合反応率)が約95%以上の時点で反応容器気相部に酸素−窒素混合ガスを導入した。内温を約80℃〜約90℃に保ちながらしながら反応液を数時間加熱攪拌して反応液中の重合触媒と酸素を接触させた。アセトニトリル及び未反応のモノマーを減圧脱揮して除去し、重合体を含有する濃縮物を得た。濃縮物は著しく着色していた。
(3)第一粗精製
酢酸ブチルを重合体の希釈溶媒として使用した。重合体100kgに対して100〜150kg程度の酢酸ブチルで(2)の濃縮物を希釈し、ろ過助剤(ラジオライトR900、昭和化学工業(株)製)および/または吸着剤(キョーワード700SEN、キョーワード500SH)を添加した。反応容器気相部に酸素−窒素混合ガスを導入した後、約80℃で数時間加熱攪拌した。不溶な触媒成分をろ過除去した。ろ液は重合触媒残渣によって着色および若干の濁りを有していた。
(4)第二粗精製
ろ液を攪拌機付ステンレス製反応容器に仕込み、吸着剤(キョーワード700SEN、キョーワード500SH)を添加した。気相部に酸素−窒素混合ガスを導入して約100℃で数時間加熱攪拌した後、吸着剤等の不溶成分をろ過除去した。ろ液はほとんど無色透明な清澄液であった。ろ液を濃縮し、ほぼ無色透明の重合体を得た。
(5)(メタ)アクリロイル基導入工程
重合体100kgをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)約100kgに溶解し、アクリル酸カリウム(末端Br基に対して約2モル当量)、熱安定剤(H−TEMPO:4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−n−オキシル)、吸着剤(キョーワード700SEN)、を添加し、約70℃で数時間加熱攪拌した。DMACを減圧留去し、重合体濃縮物を重合体100kgに対して約100kgのトルエンで希釈し、ろ過助剤を添加して固形分をろ別し、ろ液を濃縮し、末端にアクリロイル基を有する重合体[P1]、[P2]、[P3]を得た。得られた重合体の1分子あたりに導入されたアクリロイル基数、数平均分子量、分子量分布を併せて表1に示す。
<評価方法>
(粘度)
粘度測定は表示パネル用接着剤をサンプル瓶に入れ、密閉にした状態で25℃、24時間以上放置した後に粘度を測定した。回転粘度計(共軸円筒型)におけるずり速度(1/s)は、粘度計のロータの半径R1(mm)と表示パネル用接着剤を入れたガラス瓶の内径R2(mm)、ロータの回転数N(rpm)を用い下式から算出した。
ずり速度(D)=0.2094N/(1−(R1/R2)
本願ではR1が1.5mmのロータを用い、内径16mmのガラス瓶に表示パネル用接着剤を入れ、Mが10rpm(ずり速度が2.1)と100rpm(ずり速度が21)の時の粘度を、25℃でB型粘度計を用い計測した。
(貼合サンプルの外観)
厚さ1mm、半径2.5cmのアルカリガラスに表示パネル用接着剤を垂らした。そのガラスをひっくり返して、下に準備した同じガラスに近づけていき、表示パネル用接着剤を均一に広げ、20秒放置した後に、UV光の照射を開始した。UV光照射は、UV照射装置(ライトハンマー6;Fusion UV system Japan社製)を用いて積算光量3000mJ/cmのUV光を照射し、表示パネル用接着剤の硬化層の厚さが200μmの貼合サンプルを得た。得た貼合サンプルの常温時の外観は、前記方法で作製した貼合サンプルを25℃で24時間以上放置した後、目視で確認した。耐湿熱試験後の外観は、65℃、90%RH、240時間放置した後、目視で確認した。
(液広がり)
前記貼合サンプル作製において、表示パネル用接着剤を均一に広げた際に泡が噛んでしまったものを「不十分」とし、泡が噛まなかったものを「十分」とした。
(液漏れ)
前記貼合サンプル作製において、表示パネル用接着剤を均一に広げた際の外周が、20秒放置、UV光照射終了後に、1mm以上広がっているものを「漏れ有り」とし、液の広がりが1mm未満のものを「漏れ無し」とした。
(実施例1)
(A)成分として製造例1で得られた重合体[P1]20重量部と製造例2で得られた重合体[P2]10重量部に、(B)成分として製造例3で得られた重合体[P3]70重量部を混合した後、(D)成分として疎水性シリカアエロジルR805(表面処理:オクチルシリル基)(エボニック社製)12.5重量部を混合し、三本ロールで疎水性シリカを粉砕して均一に分散した分散液を取得した。分散液に、(C)成分として、DAROCUR1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製))0.8重量部とTPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキシド(BASF社製))0.1重量部を混合した。その際、HOA(2−ヒドロキシエチル−アクリレート(大阪有機化学工業社製))7重量部、ISTA(イソステアリルアクリレート(大阪有機化学工業社製))10重量部、KE−100(荒川化学工業社製)10重量部、RS−107S(アデカ社製)15重量部も合わせて混合し、最後に脱泡して表示パネル用接着剤を得た。
前記表示パネル用接着剤のずり速度(D1)2.1における粘度(測定温度25℃)は51,000mPa・sであり、前記表示パネル用接着剤のずり速度(D2)21における粘度(測定温度25℃)は17,200mPa・sであった。貼合サンプルの外観は常温、耐湿熱試験後はいずれも透明であった。また、貼合サンプル作製時に十分に液が広がり、サンプル端部からの液漏れは発生しなかった。表2に結果をまとめる。
(実施例2)
疎水性シリカとしてアエロジルR812(表面処理:トリメチルシリル基)(エボニック社製)を、表示パネル用接着剤に15重量部混合したこと以外は実施例1と同様の方法で表示パネル用接着剤を得た。粘度、貼合サンプルの外観、液漏れ・液広がりについては表2に示す。
(実施例3)
疎水性シリカとしてアエロジルR974(表面処理:ジメチルシリル基)(エボニック社製)を、表示パネル用接着剤に12.5重量部混合したこと以外は実施例1と同様の方法で表示パネル用接着剤を得た。粘度、貼合サンプルの外観、液漏れ・液広がりについては表2に示す。
(比較例1)
疎水性シリカとしてアエロジルRY200S(表面処理:ジメチルポリシロキサンで表面被覆)(エボニック社製)を、表示パネル用接着剤に10重量部混合したこと以外は実施例1と同様の方法で表示パネル用接着剤を得た。
前記表示パネル用接着剤のずり速度(D1)2.1における粘度(測定温度25℃)は22,000mPa・sであり、前記表示パネル用接着剤のずり速度(D2)21における粘度(測定温度25℃)は12,000mPa・sであった。貼合サンプルの外観は常温、耐湿熱試験後はいずれも白濁した。また、貼合サンプル作製時に十分に表示パネル用接着剤が広がったものの、サンプル端部からの液漏れが発生した。表2に結果をまとめる。
(比較例2)
表面未処理シリカであるアエロジル300(表面処理:未処理)(エボニック社製)を表示パネル用接着剤に6.25重量部混合したこと以外は実施例1と同様の方法で表示パネル用接着剤を得た。
前記表示パネル用接着剤のずり速度(D1)2.1における粘度(測定温度25℃)は170,000mPa・sであり、前記表示パネル用接着剤のずり速度(D2)21における粘度(測定温度25℃)は28,600mPa・sであった。貼合サンプルの外観は、常温時は透明だったが、耐湿熱試験後は白濁した。また、貼合サンプル作製時に十分に表示パネル用接着剤が広がり、サンプル端部からの液漏れは発生しなかった。表2に結果をまとめる。
(比較例3)
(A)成分として製造例1で得られた重合体[P1]20重量部と製造例2で得られた重合体[P2]10重量部、(B)成分として製造例3で得られた重合体[P3]70重量部、(C)成分として、DAROCUR1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製))0.8重量部とTPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキシド(BASF社製))0.1重量部を混合した。その際、HOA(2−ヒドロキシエチル−アクリレート(大阪有機化学工業社製))7重量部、ISTA(イソステアリルアクリレート(大阪有機化学工業社製))10重量部、KE−100(荒川化学工業社製)10重量部、RS−107S(アデカ社製)15重量部も合わせて混合し、最後に脱泡して表示パネル用接着剤を得た。
前記表示パネル用接着剤のずり速度(D1)2.1における粘度(測定温度25℃)は3,500mPa・sであり、前記表示パネル用接着剤のずり速度(D2)21における粘度(測定温度25℃)は3,600mPa・sであった。貼合サンプルの外観は常温、耐湿熱試験後はいずれも透明であった。また、貼合サンプル作製時に十分に液が広がったものの、サンプル端部からの液漏れが発生した。表2に結果をまとめる。
(比較例4)
(A)成分として製造例1で得られた重合体[P1]100重量部、(C)成分として、DAROCUR1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製))0.8重量部とTPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキシド(BASF社製))0.1重量部を混合した。その際、HOA(2−ヒドロキシエチル−アクリレート(大阪有機化学工業社製))7重量部も合わせて混合し、最後に脱泡して表示パネル用接着剤を得た。
前記表示パネル用接着剤のずり速度(D1)2.1における粘度(測定温度25℃)は40,000mPa・sであり、前記表示パネル用接着剤のずり速度(D2)21における粘度(測定温度25℃)は40,100mPa・sであった。貼合サンプルの外観は常温、耐湿熱試験後はいずれも透明であった。また、貼合サンプル作製時に泡が噛み十分に液が広がらなかったものの、サンプル端部からの液漏れは発生しなかった。表2に結果をまとめる。
(比較例5)
疎水性シリカとしてアエロジルRY200S(表面処理:ジメチルポリシロキサンで表面被覆)(エボニック社製)表示パネル用接着剤に30重量部混合したこと以外は実施例1と同様の方法で表示パネル用接着剤を得た。
前記表示パネル用接着剤のずり速度(D1)2.1における粘度(測定温度25℃)と、前記表示パネル用接着剤のずり速度(D2)21における粘度(測定温度25℃)はいずれも200,000mPa・s以上となった。貼合サンプルの外観は、常温時で白濁しており、耐湿熱試験後は白濁したままであった。また、貼合サンプル作製時に泡が噛み十分に液が広がらなかったものの、サンプル端部からの液漏れは発生しなかった。表2に結果をまとめる。
本発明によれば、接着剤で接着させる部材から接着剤がはみ出さない表示パネル用接着剤、前記接着剤を用いた表示パネル、及び前記接着剤を用いた表示パネルの製造方法の提供することができる。特に、接着剤を塗布した被塗布体と、被貼合体との距離を狭め、接着剤を被塗布体と被貼合体の間で広げた後、エネルギー線で接着剤を硬化し、被塗布体と被貼合体を固定する表示パネルの製造方法において、エネルギー線で接着剤を硬化させる前に、被塗布体及び被貼合体から接着剤がはみ出さない表示パネル用接着剤、前記接着剤を用いた表示パネル、及び前期接着剤を用いた表示パネルの製造方法を提供することができる。

Claims (7)

  1. (A)分子中に重合性の炭素−炭素二重結合を平均して1.5個以上含み、かつ数平均分子量(Mn)が5,000以上のポリマー、
    (B)分子中に重合性の炭素−炭素二重結合を平均して1個以下含み、かつ数平均分子量(Mn)が5,000以上のポリマー、
    (C)光重合開始剤、および
    (D)表面がアルキルシリル基で修飾された疎水性シリカ、
    を含み、
    ずり速度D1=2.1における25℃の粘度P1が31,000mPa・s以上、ずり速度D2=21における25℃の粘度P2が30,000mPa・s未満であることを特徴とする表示パネル用接着剤。
  2. (D)成分のアルキルシリル基が、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、又はオクチルシリル基であることを特徴とする請求項1に記載の表示パネル用接着剤。
  3. (A)成分、および/または(B)成分が、(メタ)アクリル系重合体であることを特徴とする請求項1または2に記載の表示パネル用接着剤。
  4. (C)成分の量が、(A)成分と(B)成分の総重量を100重量部として、0.001〜10重量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の表示パネル用接着剤。
  5. (D)成分の量が、(A)成分と(B)成分の総重量を100重量部として、1〜25重量部であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の表示パネル用接着剤。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の表示パネル用接着剤を用いた表示パネル。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の表示パネル用接着剤を被塗布体に塗布し、それと被貼合体とを貼り合せる表示パネルの製造方法であって、
    表示パネル用接着剤を塗布した被塗布体と、被貼合体との距離を狭め、表示パネル用接着剤を被塗布体と被貼合体の間で広げた後、エネルギー線で表示パネル用接着剤を硬化させ、被塗布体と被貼合体を固定する表示パネルの製造方法。
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