JP2018062173A - 滑性および耐ブロッキング性の良好な積層フィルム、および、これを用いた包装材、包装体 - Google Patents
滑性および耐ブロッキング性の良好な積層フィルム、および、これを用いた包装材、包装体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2018062173A JP2018062173A JP2017195812A JP2017195812A JP2018062173A JP 2018062173 A JP2018062173 A JP 2018062173A JP 2017195812 A JP2017195812 A JP 2017195812A JP 2017195812 A JP2017195812 A JP 2017195812A JP 2018062173 A JP2018062173 A JP 2018062173A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- layer
- laminated film
- film
- packaging material
- less
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Wrappers (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
Abstract
Description
熱可塑性樹脂を主樹脂とした積層フィルムであって、少なくとも第一層および第二層を
有しており、
第一層は脂肪酸アミドを含有するとともに、
少なくとも有機系粒子または無機系粒子のいずれか1種類を含有しており、
第一層の平均結晶化度は30%以上〜50%以下で、第一層の厚みは5μm以上〜30μm以下であり、
第二層の平均結晶化度は40%以上〜60%以下であって、第一層の平均結晶化度よりも高く、第二層の厚みは30μm以上〜100μm以下であることを特徴とする積層フィルムである。
また、本発明の代表的な包装材は、上記積層フィルムに基材層を積層させている。
さらに、本発明の代表的な包装体は、上記包装材を用いたものである。
平均結晶化度については、第一層4は30%以上〜50%以下であり、第二層5は40%以上〜60%以下であって、少なくとも第二層5の平均結晶化度は、第一層4の平均結晶化度よりも高いことが好ましい。
このとき、平均結晶化度は全て熱可塑性樹脂層のMD方向における測定である。測定の方法はラマン分光法を用いてフィルムのそれぞれの面を測定しても良いし、各層のみを取り出せるように切削したサンプル片をそれぞれ測定しても良いし、あるいは、フィルム表面から深さ方向へ焦点を合わせて層毎に測定しても良い。また、フィルムを断面切削した後にフィルム断面から測定をしても良いことは言うまでもない。測定方法については、その他、たとえばFT−IRなどの装置で測定しても何ら問題ない。
一方、第二層5の平均結晶化度が40%以下、あるいは厚みが30μm以下である場合、引裂き性や剛性の低下を引き起こし、さらに第二層5の平均結晶化度が60%以上、あるいは厚みが100μm以上ある場合、ヒートシール性、引裂き性、剛性には問題がないが、耐衝撃性が低下したり、必要以上の膜厚であるためにコストが高くなるといった問題がある。
積層フィルム1の材料である熱可塑性樹脂は、適度な柔軟性を有するとともに、例えば押出機による加工適性を有する等、良好な加工性を備えることが好ましい。こうした材料としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、及び、ホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーを持つポリプロピレン、上記オレフィンと酢酸ビニルを共重合して得られるエチレン酢酸ビニルコポリマーやオレフィンの側鎖を変性して得られるエチレン−メチルアクリレート共重合(EMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−ブチルアクリレート共重合体(EBA)、あるいは、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)等が挙げられる。これらの材料は単独で用いられてもよいし、これらのうちの複数の材料が組み合わされて用いられてもよい。
され、前記第一層4の平均密度は0.910g/cm3〜0.930g/cm3であり、前記第二層5の平均密度は0.920g/cm3〜0.940g/cm3、かつ、前記第一層4の平均密度よりも高いとさらに望ましい。
ここで、「主に」とは、積層フィルム1に用いる樹脂のうち、重量割合で70%以上であることを表すものとする。また、平均密度は、JISK7112:1999に準拠した測定方法、もしくは、これと比較できる測定方法により測定する。
加工工程での良好な滑り性、耐ブロッキング性を得るために、第一層4には、アンチ・ブロッキング剤(以下、「AB剤」ということがある)として、熱可塑性樹脂とは異なる有機系粒子もしくは無機系粒子のうち少なくとも1種類が6000ppm〜50000ppm含まれていると良い。
このとき、有機系粒子もしくは無機系粒子が直接凸形状を形成していても良いし、粒子の周囲に熱可塑性樹脂が覆うことで凸形状を形成していても良い。もちろん、有機系粒子もしくは無機系粒子が熱可塑性樹脂にほぼ埋もれており、一部分のみが突出しているものでも良い。
さらに、熱可塑性樹脂に比べて、硬い球形の有機系粒子もしくは無機系粒子を用いることが好ましく、このような粒子を用いて凸形状を作製することで、効果的な滑り性を良好にすることができるとともに、摩擦力による凸形状の変形を抑えることができ、適度な摩擦力を維持することもできる。
より適度な滑性を得るために、熱可塑性樹脂には有機滑剤が含まれていると良いが、凸形状のある表面2に存在している有機滑剤量は5mg/m2以下であると良い。さらに好ましくは、3mg/m2以下であると良い。
一般には、滑りやすくするために、有機滑剤を多量に添加するが、本発明においては、適切な凸形状を付加することで、滑性を適度に保つことが可能であるため、表面2に存在している有機滑剤量は5mg/m2以下という少ない量で十分である。これにより、どのような条件においても、適切な滑性で、変化のない包装材用に適した積層フィルム1を得ることができる。添加量としては、積層フィルムに対し30ppm〜150ppm程度で十分である。
有機滑剤表面抽出用治具241は有機溶媒242をとどめておくための筒であり、有機溶媒242の蒸発を防ぐため、上部はあまり開口がないほうが好ましい。有機溶媒242としては、例えば、クロロホルム、アセトン、エタノール、メタノールなどが挙げられる。
また、表面2に存在している有機滑剤量の測定方法は、上記方法に限定させるものではなく、有機溶媒242でフィルム表面を洗浄することができれば測定が可能である。例えば、フィルムを有機溶媒242に数秒〜数分浸漬する方法などでも、表面2に存在している有機滑剤量の測定が可能である。
本発明の包装材に適した積層フィルム1を作製する方法は特に制限されるものではなく、公知の方法を使用することが可能である。例えば、熱可塑性樹脂に、有機系粒子もしくは無機系粒子及び有機滑剤を添加し、押出機を用いてフィルム製膜することで、積層フィルム1を作製することができる。フィルム製膜方法としても、公知の方法であるエアチャンバーやエアナイフ、バキュームチャンバー、それらを複数組み合わせた方法などで製膜することが可能である。
図3に示すように、積層フィルム1に対して、ヒートシール層としての機能を果たす表面2とは反対の裏面3に、基材層7や、さらには、印刷層やバリア層といった機能層8を形成することで、本発明の効果を備えた包装材6を得られることができる。図4では基材層7、機能層8、積層フィルム1の三層構成が示されているが、これに限らず、基材層7、積層フィルム1の二層構成や、4層以上の多層構成としてもよい。
包装材用の積層フィルム1は、包装材を包装体に加工した際に、積層フィルム1全体の平均結晶化度が上昇することとなる。これは、積層フィルム1に使用される熱可塑性樹脂が、フィルム成形した後でも加熱されることで再度軟化する特徴をもつことに起因する。
具体的には、包装材6の加工工程において、積層フィルム1と基材層7および機能層8を積層させる際に有機系の接着剤を用いることが一般である。このとき、接着強度を向上させるために、エージングと呼ばれる30℃〜80℃程度の環境下に数日間静置させる加温工程を経ることが知られている。このエージングの際に与えられる熱は、熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも高い温度であるため、積層フィルム1に使用する熱可塑性樹脂が再軟化するとともに分子鎖運動が活発になり、再結晶化を誘導する。したがって、積層フィルム1を形成した時点において良好な物性、例えば良好なヒートシール性を示したとしても、包装材6のときに結晶化度が上昇してしまって良好な結果が得られないこともある。
このような知見に基づき、本発明においては、積層フィルム1がフィルム形成後に30℃〜80℃程度の加温工程を経た後であっても、平均結晶化度が35%以上〜70%以下の範囲に
したことを特徴としている。
一般にフィルム加工に用いる原料の樹脂密度と成形フィルム結晶化度には正の相関関係があるとされているが、本発明は、そのような樹脂密度と結晶化度の相関関係は、包装材6に加工を施した時点で妥当性が失われるとの新たな知見に基づいている。
基材層7は、包装材6の支持体として機能する層であり、一般的には、プラスチックを主とするフィルムが用いられるが、内容物の種類や充填後の加熱処理の有無など使用条件によって基材層を構成する材料は適宜選択される。基材層7の材料としては、プラスチックを主とするフィルム以外にも、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンなどが使用されることがあり、特に限定されない。
さらに、上記材料のうちの1つの材料からなる単層であってもよいし、こうした単層の積層によって上記材料のうちの複数の材料が組み合わされた層であってもよい。
機能層8としては、例えば印刷層やバリア層が挙げられる。バリア層は、空気中に含まれる酸素等の気体や水蒸気、封入した内容物等から包装材を保護するためのバリア性を高める機能を有する層であり、材料としては、例えば、EVOHやアルミニウム等の金属などが挙げられ、適宜使用することができる。
本発明の包装材6を用いて、互いに向かい合う積層フィルム1同士の周縁をヒートシール等により溶着することで、上述した本発明の効果を備えた包装体を得られる。
包装体の一例として、本発明の包装材6をスタンディングパウチに採用した場合の構造並びに製造方法を、図5、図6を参照して説明する。スタンディングパウチとは、液体洗剤、柔軟剤、シャンプー、リンスなどのトイレタリー用品や、食用油、インスタントコーヒー、酒などの食品等、液体、粉体、固体を問わず収納可能な容器の一種である。上述の包装体と同様の製袋方法に加え、シーラントフィルムを底テープとし、本体表面と本体裏面の間に挿入して周縁をシールすることで、容易に自立可能であることを特徴とする。図5はスタンディングパウチ12の断面図を、図6はスタンディングパウチ12形成前のウェブ搬送時の状態を示した模式図である。
積層フィルム1は二層積層フィルムとし、第一層4の熱可塑性樹脂として、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(密度0.913g/cm3、MFR3.8)及び低密度ポリエチレン樹脂(密度0.924g/cm3、MFR1.0)を80:20の割合でブレンドし、さらに、AB剤として平均粒径10μmの有機系粒子(アクリル架橋体)を35000ppm、滑剤としてエルカ酸アミドを100ppm添加した。また、第二層5の熱可塑性樹脂として、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(密度0.931g/cm3、MFR3.2)及び低密度ポリエチレン樹脂(密度0.924g/cm3、MFR1.0)を80:20の割合でブレンドし、さらに、平均粒径5μmサイズの無機系粒子(ゼオライト)を3000ppm、滑剤としてエルカ酸アミドを100ppm添加した。これら第一層4、第二層5を単軸共押出機により、それぞれ260℃に加熱溶融し、Tダイキャスト法にて、第一層4の厚みを15μm、第二層5の厚みを85μmとし、トータル100μm厚みの積層フィルム1を製膜した。
第一層4の主樹脂LLDPEの密度を0.920g/cm3に変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
第二層5の主樹脂LLDPEの密度を0.920g/cm3に変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
第二層5の主樹脂LLDPEの密度を0.940g/cm3に変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
第一層4の厚みを5μmになるように変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
第一層4の厚みを30μmになるように変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
第一層4の主樹脂LLDPEとLDPEの重量比をLLDPE:LDPE=90:10なるように変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
第二層5の主樹脂LLDPEとLDPEの重量比をLLDPE:LDPE=90:10なるように変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
第一層4の主樹脂LLDPEとLDPEの重量比をLLDPE:LDPE=90:10、第二層5の主樹脂LLDPEとLDPEの重量比をLLDPE:LDPE=90:10となるように変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
第一層4に加えるAB剤を同じ平均サイズの無機粒子35000ppmに変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
第一層4に加えるAB剤の有機粒子の添加量を10000ppmに変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
第一層4に加える滑剤を150ppmに変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
第一層4の主樹脂LLDPEとLDPEの重量比をLLDPE:LDPE=95:5になるように変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
第一層4の主樹脂LLDPEとLDPEの重量比をLLDPE:LDPE=5:95になるように変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
第二層5の主樹脂LLDPEとLDPEの重量比をLLDPE:LDPE=95:5になるように変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
第二層5の主樹脂LLDPEとLDPEの重量比をLLDPE:LDPE=5:95になるように変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
第二層5の主樹脂LLDPEの密度を0.913g/cm3に変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
第一層4の主樹脂密度を0.931g/cm3に変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
第一層4の厚みを0μmになるように変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
第一層4の厚みを50μmになるように変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
第一層4の厚みを100μmになるように変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
第一層4に加えるAB剤の有機粒子を0ppmに変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
第一層4に加えるAB剤の有機粒子の添加量を100000ppmに変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
第一層4に加える滑剤のエルカ酸アミドを0ppmに変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
第一層4に加える滑剤のエルカ酸アミドを500ppmに変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
各実施例及び各比較例によって得られた熱可塑性樹脂の積層フィルム1に関して各種包装材に求められる性能の評価としての曲げ剛性評価実験、引裂き性評価実験、ヒートシール性評価実験、耐衝撃性評価実験、滑性評価実験、滑剤表面存在量評価実験、表面粗さ評価実験、耐ブロッキング性評価実験を実施した。さらに、これを包装材6に加工とした際の、ヒートシール性評価も併せて実施した。
ナノフォトン製の顕微レーザーラマン分光装置(RAMAN touch)を用いて、フィルムのMD方向に対してそれぞれ3回測定を実施して各層の平均結晶化度を評価した。今回はポリエチレンを対象にしていたので、結晶部と非晶部の骨格振動が重ね合わさって観察されるramanshiftが1300/cmのピーク面積を基準とし、それに対する結晶部の骨格振動が観察されるramanshiftが1130/cm付近のピーク面積の比率算出することで平均結晶化度としている。
(フィルム成形性評価)
フィルム成形性評価は、厚み100μmをねらいとして成形した積層フィルム1の幅を測定し、Tダイ幅を比較することで成形性を評価した。具体的には、Tダイ幅とフィルム幅が同じだった場合100%としたときに、フィルム幅が75%以上のときに○、70%以上のときに△、それ以外を×とした。
曲げ剛性評価は、東洋精機製作所製のループステフネステスタを用いて、圧縮速度3.3mm/sec、サンプル幅を15mm、ループ長を85mmとし、曲げ応力を評価した。このとき、MD方向に対してそれぞれ3回測定を実施した。測定したときの曲げ剛性評価として、15g以上を○、10g以上を△、それ以外を×とした。
引裂き性評価では、JISK7128−2に記載されているエルメンドルフによる引裂法を用いて測定した。このとき、フィルムのMD方向に対してそれぞれ3回測定を実施した。引裂き性評価として、5N以下を○、10N以下を△、それ以外を×として評価した。
ヒートシール性評価は、テスター産業製のヒートシーラー(型番TP−701−B)を用いてシール圧力0.2MPa、シール時間を1秒、シール幅を10mmとし、シール温度を100℃から10℃間隔で、積層フィルム1の凸形状を有する面同士を重ね、シールした。シールしたフィルムを15mm幅×100mmに切出し、チャック間距離を50mm、引張り速度を300mm/minとして島津製作所株式会社製引張試験機(型番AGS−500NX)を用いてT字剥離強度を測定し、シール強度とした。その結果、シール強度が10N以上になる最低温度をヒートシール発現温度とした。このとき、120℃以下を○、140℃以下を△、それ以外の温度を×とした。
これについては包装材用フィルムおよび包装材の2つについて実験を実施した。
衝撃耐性の測定では、テスター産業製ダートインパクトテスター(型番IM−302)を用いてJISK7124−1自由落下のダート法、第1部ステアケース法のA法による衝撃試験方法を実施した。このとき、50%破壊重量が350g以上を○、250g以上を△、それ以外を×とした。
滑性評価は、東洋精機製作所製の滑り傾斜角測定装置を用いて、傾斜角測定法により、静摩擦係数を評価した。実施例及び比較例記載のフィルムを幅100mm×長さ240mm及び幅30mm×長さ80mmに切出した。幅100mm×長さ240mmに切出したフィルムを、静摩擦係数測定装置に撓みがないように固定し、幅30mm×長さ80mmに切出したフィルムを幅30mm×長さ40mm×高さ30mmで重量197gの錘に対して、測定面を全て被覆する様に固定した。3回測定し、静摩擦係数が1.2を超えるものは測定できず、さらに0.1以下のものを表中では×を表記している。また、静摩擦係数が0.1〜1.2の範囲にあるものを△とし、その中でも0.15〜0.90の範囲にあるものを○とした。
図4に示すように、表面2に有機滑剤表面抽出用治具241を固定し、その中に有機溶媒242としてクロロホルムを注入した。注入後1分経過したところでクロロホルムを取り出し、アジレントテクノロジー(株)製のガスクロマトグラフ/水素炎イオン化検出器にて、表面2に存在していた有機滑剤の量を測定した。カラムはHP-5MSを使用した。なお、事前にいくつかの濃度の異なるエルカ酸アミドの溶けたクロロホルム溶液を標準液とし測定を行い、ピーク面積と濃度の検量線を引くことで、表面存在量に換算している。
このとき、表面2の滑剤存在量が5mg/m2のときに○、それ以上を×とした。
表面粗さ評価実験は、キーエンス製のレーザーマイクロスコープ(型番VK−X200)を用いて、JISB0601−2001を参考に、表面2の算術平均粗さRaを評価した。このときRaの値が、0.3μm〜2.0μmの範囲に入るものを△、その中でもRaの値が、0.5μm〜1.5μmの範囲に入るものを○、それ以外を×とした。
耐ブロッキング性評価は、作成した積層フィルム1を10枚重ね、テスター産業製の圧縮試験装置にて0.3MPaの荷重をかけた状態で2日保持した後に、ブロッキングしているかどうかを目視評価した。ブロッキングしているものを×、していなかったものを○とした。
全体平均結晶化度評価は、層毎の平均結晶化度評価と同様の方法で評価を実施した。
このとき全体平均結晶化度が35%〜70%の範囲に入るものを○、それ以外を×とし
た。
総合判定として、以下の4つ全てを満たすものを○とした。即ち、平均結晶化度評価が○であること、フィルム成形性が○であること、ヒートシール性評価が△以上であること、静摩擦係数評価が△以上であること、である。これらの評価項目が1つでも×であった場合、総合判定も×とした。
また、総合評価が○だった結果の中で、その他の評価項目も含めて4つ以上△があった場合には、本効果を得ているが多少劣るものとして総合評価を△とした。
各実施例、各比較例について上述の評価試験を実施した結果を表1乃至5に記載する。表2、3、4、5は表1の評価結果を比較しやすいように並べ替えたものである。即ち、表2は第一層4および第二層5の主樹脂密度を変化させたものを示しており、表3は第一層4および第二層5の厚みを変化させてものを示しており、表4は第一層4および第二層5のLLDPE:LDPEの混合比を変化させてものを示しており、表5は第一層4のAB剤の種類と添加量、および第一層4の滑剤の添加量を変化させたものを示している。
2…表面
3…裏面
4…第一層
5…第二層
6…包装材
7…基材層
8…機能層
12…スタンディングパウチ
13…パウチ表面
14…パウチ裏面
16…注出ノズル
17…開封用切目線
18…開封つまみ
19…ハーフカット線
20…底テープ
21…折り曲げ部稜線
22…サイドシール部
23…ボトムシール部
24…注出ノズルシール部
25…注出ノズル先端シール部
26…エンボス加工部
241…有機滑剤表面抽出用治具
242…有機溶媒
Claims (10)
- 熱可塑性樹脂を主樹脂とした積層フィルムであって、少なくとも第一層および第二層を有しており、
前記第一層は有機滑剤として脂肪酸アミドを含有するとともに、
少なくとも有機系粒子または無機系粒子のいずれか1種類を含有しており、
前記第一層の平均結晶化度は30%以上50%以下であって、前記第一層の厚みは5μm以上30μm以下であり、
前記第二層の平均結晶化度は40%以上60%以下であって、前記第一層の平均結晶化度よりも高く、前記第二層の厚みは30μm以上100μm以下であることを特徴とする積層フィルム。 - 前記積層フィルムは、30℃以上80℃以下の加温工程を経た後も、前記第一層および前記第二層の平均結晶化度は35%以上〜70%以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
- 前記熱可塑性樹脂は、主にポリエチレンもしくはその誘導体から構成され、
前記第一層の平均密度は0.910g/cm3以上0.930g/cm3以下であり、
前記第二層の平均密度は0.920g/cm3以上〜0.940g/cm3以下、かつ、前記第一層の平均密度よりも高いことを特徴とする請求項1又は2に記載の積層フィルム。 - 前記第一層および前記第二層は、いずれも直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と低密度ポリエチレン(LDPE)を重量比で99:1〜70:30の割合で混合して形成されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層フィルム。
- 前記第一層に含まれる前記脂肪酸アミドは、分子量が50以上〜350以下であり、前記第一層の含有量は30ppm以上150ppm以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の積層フィルム。
- 前記第一層に含まれる前記有機系粒子または無機系粒子は、平均粒径が3μm以上15μm以下であり、前記第一層の含有量は6000ppm以上50000ppm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずか一項に記載の積層フィルム。
- 前記第一層の表面は凸形状部を有しており、前記表面の算術平均粗さRa(JISB0601−2001)が0.5μm以上2.0μm以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の積層フィルム。
- 前記第一層の表面に存在している有機滑剤量は5mg/m2以下であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の積層フィルム。
- 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の積層フィルムに、基材層が積層されていることを特徴とする包装材。
- 請求項9に記載の包装材を用いたことを特徴とする包装体。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016199890 | 2016-10-11 | ||
JP2016199890 | 2016-10-11 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018062173A true JP2018062173A (ja) | 2018-04-19 |
JP7003550B2 JP7003550B2 (ja) | 2022-01-20 |
Family
ID=61966369
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017195812A Active JP7003550B2 (ja) | 2016-10-11 | 2017-10-06 | 滑性および耐ブロッキング性の良好な積層フィルム、および、これを用いた包装材、包装体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7003550B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020217931A1 (ja) * | 2019-04-26 | 2020-10-29 | 東洋紡株式会社 | ポリエチレン系樹脂フィルム |
JPWO2023033158A1 (ja) * | 2021-09-03 | 2023-03-09 | ||
JP7473040B1 (ja) | 2023-03-03 | 2024-04-23 | Toppanホールディングス株式会社 | スタンディングパウチ及び包装物品 |
Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH08300581A (ja) * | 1995-04-28 | 1996-11-19 | Toyobo Co Ltd | ポリエチレン系無延伸フィルム、ラミネートフィルム及び袋 |
JPH11221887A (ja) * | 1998-02-06 | 1999-08-17 | Sekisui Chem Co Ltd | シーラントフィルム |
JP2000056432A (ja) * | 1998-08-11 | 2000-02-25 | Fuji Photo Film Co Ltd | 写真感光材料用包装材料 |
JP2001334617A (ja) * | 2000-05-25 | 2001-12-04 | Sekisui Chem Co Ltd | 積層用シーラントフィルム、複合フィルム及び複合包装袋 |
JP2002127333A (ja) * | 2000-10-30 | 2002-05-08 | Ube Ind Ltd | 多層フィルム及び積層体 |
JP2004074586A (ja) * | 2002-08-19 | 2004-03-11 | Ube Ind Ltd | 積層フィルム及び積層体 |
JP2008254758A (ja) * | 2007-04-03 | 2008-10-23 | Toppan Printing Co Ltd | 包装袋 |
-
2017
- 2017-10-06 JP JP2017195812A patent/JP7003550B2/ja active Active
Patent Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH08300581A (ja) * | 1995-04-28 | 1996-11-19 | Toyobo Co Ltd | ポリエチレン系無延伸フィルム、ラミネートフィルム及び袋 |
JPH11221887A (ja) * | 1998-02-06 | 1999-08-17 | Sekisui Chem Co Ltd | シーラントフィルム |
JP2000056432A (ja) * | 1998-08-11 | 2000-02-25 | Fuji Photo Film Co Ltd | 写真感光材料用包装材料 |
JP2001334617A (ja) * | 2000-05-25 | 2001-12-04 | Sekisui Chem Co Ltd | 積層用シーラントフィルム、複合フィルム及び複合包装袋 |
JP2002127333A (ja) * | 2000-10-30 | 2002-05-08 | Ube Ind Ltd | 多層フィルム及び積層体 |
JP2004074586A (ja) * | 2002-08-19 | 2004-03-11 | Ube Ind Ltd | 積層フィルム及び積層体 |
JP2008254758A (ja) * | 2007-04-03 | 2008-10-23 | Toppan Printing Co Ltd | 包装袋 |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020217931A1 (ja) * | 2019-04-26 | 2020-10-29 | 東洋紡株式会社 | ポリエチレン系樹脂フィルム |
CN113767137A (zh) * | 2019-04-26 | 2021-12-07 | 东洋纺株式会社 | 聚乙烯系树脂薄膜 |
CN113767137B (zh) * | 2019-04-26 | 2023-12-22 | 东洋纺株式会社 | 聚乙烯系树脂薄膜 |
JPWO2023033158A1 (ja) * | 2021-09-03 | 2023-03-09 | ||
JP7473040B1 (ja) | 2023-03-03 | 2024-04-23 | Toppanホールディングス株式会社 | スタンディングパウチ及び包装物品 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP7003550B2 (ja) | 2022-01-20 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6731951B2 (ja) | 積層構造体及びそれから作製されるスタンドアップパウチ | |
JP5790497B2 (ja) | 多層積層易開封包装体 | |
JP5262134B2 (ja) | 直線カット性を有するバリア性包装材料及び包装袋 | |
JP6241113B2 (ja) | 包装材料 | |
JP5741935B2 (ja) | 多層フィルム及び該フィルムからなる包装材 | |
JP7040025B2 (ja) | 紫外線遮蔽性包装材用シーラントフィルム、包装材、及び包装体 | |
JP2018135139A (ja) | 包装材用フィルム、包装材及び包装体 | |
JP2018062173A (ja) | 滑性および耐ブロッキング性の良好な積層フィルム、および、これを用いた包装材、包装体 | |
JP6160340B2 (ja) | 包装材料 | |
JP2012236382A (ja) | 易開封性多層フィルム及び該フィルムを用いた包装材 | |
JP2015016666A (ja) | 多層共押出フィルム | |
KR102451964B1 (ko) | 성형용 포장재, 축전 디바이스용 외장 케이스 및 축전 디바이스 | |
WO2016148076A1 (ja) | ヒートシール用積層体 | |
JP7005888B2 (ja) | 滑性、耐ブロッキング性、ヒートシール性の良好なフィルム、及び、これを用いた包装材、包装体 | |
JP7005889B2 (ja) | 滑性、耐ブロッキング性、ヒートシール性の良好なフィルム、及び、これを用いた包装材、包装体 | |
EP2928778B1 (en) | Method for forming a package | |
CN108472938A (zh) | 多功能纸板结构 | |
KR20140067842A (ko) | 직선형 절취 특성을 갖는 라미네이트 필름 및 이를 이용하여 제조된 포장체 | |
JP4872344B2 (ja) | ヒートシール性積層ポリプロピレン系樹脂フイルム及び包装体 | |
JP6103302B2 (ja) | 易開封性共押出多層フィルム | |
JP6801352B2 (ja) | 滑性、耐ブロッキング性の良好な積層フィルム、及び、これを用いた包装材、包装体 | |
JP6988190B2 (ja) | 包装材用フィルム、およびこれを用いた包装材、包装体 | |
JP6801351B2 (ja) | 滑性、耐ブロッキング性の良好な積層フィルム、及び、これを用いた包装材、包装体 | |
JP2017177565A (ja) | 包装材用フィルム、これを用いた包装材及び包装体 | |
JP6344012B2 (ja) | 紙基材シート及びこれを用いたハーフクリアパック |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20200916 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20210628 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20210803 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20210930 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20211130 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20211213 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7003550 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |