JP2018062173A - 滑性および耐ブロッキング性の良好な積層フィルム、および、これを用いた包装材、包装体 - Google Patents

滑性および耐ブロッキング性の良好な積層フィルム、および、これを用いた包装材、包装体 Download PDF

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Abstract

【課題】添加剤種類や滑剤量を増加させることなく、ヒートシール性が良好で、かつ、加工工程での良好な滑性、耐ブロッキング性を有する積層フィルム、及び、積層フィルムを用いた包装材、包装体を提供する。【解決手段】熱可塑性樹脂を主樹脂とした積層フィルムであって、少なくとも第一層(4)および第二層(5)を有しており、第一層は有機滑剤として脂肪酸アミドを含有するとともに、少なくとも有機系粒子または無機系粒子のいずれか1種類を含有しており、前記第一層の平均結晶化度は30%以上〜50%以下で、前記第一層の厚みは5μm以上〜30μm以下であり、前記第二層の平均結晶化度は40%以上〜60%以下であって、前記第一層の平均結晶化度よりも高く、前記第二層の厚みは30μm以上〜100μm以下とする。【選択図】図1

Description

本発明は、低温ヒートシール性、引裂き性、剛性などの各種物性と滑性、耐ブロッキン性の良好な包装材に適した積層フィルム、及び、これを用いた包装材、包装体に関する。
包装材は、食料品や医薬品等を包装する包装袋に使用されており、包装袋の内容物は、液状、粉末状、ペースト状、固形状等、様々な状態を有している。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアミド、ポリエステル等のフィルムを利用したプラスチックフィルム製包装体がよく利用されている。
こうした包装袋には、内容物充填時の充填適性や、包装材料に外力が加わった際の袋の破損が無いこと、気密性、包装袋を開封する際の開封性などの特性が求められる。こうした包装袋を得るために、包装材料には、良好な衝撃耐性、低温ヒートシール性、引裂き性、剛性、バリア性などのほか、加工工程での良好な滑性、耐ブロッキング性、巻取性などの特性も求められている。
包装材の滑り性を向上するには、包装材の表面自由エネルギーを変更する必要がある。例えば、包装材表面に凹凸形状を付与し接触面積を少なくする方法、表面自由エネルギーを低くできるスリップ剤を添加する方法、物質が変形する際のエネルギー損失を少なくするためや接触時の表面積が増加しない様に剛性の高い材料を使用することが挙げられる。
例えば、特許文献1ではシール層のプラスチックフィルムに凹凸形状を付加するという対策がとられている。プラスチックフィルムに凹凸形状を付加することで接触面積を小さくして滑り性を高めると共に、包装体とした際の折れ曲がりを抑制し、フィルムの自立性を向上させている。
また、特許文献2では、包装体全体の引裂き性を向上させるために、二軸延伸ナイロンフィルムを基材とした積層フィルムについて、ラミネート層よりも材料密度の高いシール層を組み合わせることが記載されている。
特許第4871456号公報 特開平10−337828号公報
しかし、特許文献1のようにシール層表面に凹凸形状を付与した場合、十分剛性の高い材料を使用しないと、フィルム同士の接触時の圧力により凹凸形状が変形する。その結果、シール層同士の接触面積が増加してしまうため、滑り性の向上が見込めない。さらに、凹凸形状の付与のためにプレス版工程を通す必要があり、収率低下による製造コスト増などの問題がある。
また、特許文献2のように剛性の高い材料をシール層に用いた場合、滑り性は向上するが、低温でのヒートシール性が見込めず、高速充填適性が十分でないといった問題が挙げられる。
さらに、包装材にスリップ剤を添加する方法で滑り性を向上させる場合、200から400ppm程度のスリップ剤を添加することが一般的である。これらのスリップ剤は樹脂に添加し、フィルム表面に析出するブリードアウト現象によって滑り特性を発現することができるが、保管条件や製品加工条件により滑性の変化を引き起こしてしまう。さらに、それだけでなく、滑剤のブリードアウトした表面に接触した裏面や別のフィルムにも滑剤が転移し、その転移した面の滑性も変化させてしまう。そのため、安定した滑性を得るためには、滑剤量はより少量であることが望まれている。
そこで、本発明は、添加剤種類や滑剤量を増加させることなく、ヒートシール性が良好で、かつ、加工工程での良好な滑性、耐ブロッキング性を有する包装材に適した積層フィルム、及び、該積層フィルムを用いた包装材、包装体を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の代表的なフィルムの一つは、
熱可塑性樹脂を主樹脂とした積層フィルムであって、少なくとも第一層および第二層を
有しており、
第一層は脂肪酸アミドを含有するとともに、
少なくとも有機系粒子または無機系粒子のいずれか1種類を含有しており、
第一層の平均結晶化度は30%以上〜50%以下で、第一層の厚みは5μm以上〜30μm以下であり、
第二層の平均結晶化度は40%以上〜60%以下であって、第一層の平均結晶化度よりも高く、第二層の厚みは30μm以上〜100μm以下であることを特徴とする積層フィルムである。
また、本発明の代表的な包装材は、上記積層フィルムに基材層を積層させている。
さらに、本発明の代表的な包装体は、上記包装材を用いたものである。
本発明は、熱可塑性樹脂を主樹脂とする積層フィルムの層毎に、適切な平均結晶化度の勾配をつけることにより、低温ヒートシール性、引裂き性、剛性などの各種物性が良好で、さらには添加剤種類や滑剤量を増加させることなく、良好な滑性、耐ブロッキング性を有することができる。
本発明の実施形態の一例を示した斜視図である。 本発明の実施形態の一例を示した斜視図である。 本発明の実施形態の一例を示した斜視図である。 本発明の有機滑材存在量測定方法の概要を示した図である。 本発明の包装材料用シーラントフィルムを用いたスタンディングパウチの断面図である。 本発明の包装材料用シーラントフィルムを用いたスタンディングパウチの製造過程を示す模式図である。
以下に、本発明の包装材用フィルムの実施形態について説明する。なお、各図は模式的に示した図であり、各部の大きさや形状等は理解を容易にするために適宜誇張して示している。また、説明を簡単にするため、各図の対応する部位には同じ符号を付している。
本発明は図1に示されるように、積層フィルム1は、熱可塑性樹脂の第二層5の一方の面上に少なくとも第一層4を備えている。
ここで、第一層4に使用する熱可塑性樹脂と、第二層5に使用する熱可塑性樹脂に平均結晶化度に差を設けている。
平均結晶化度については、第一層4は30%以上〜50%以下であり、第二層5は40%以上〜60%以下であって、少なくとも第二層5の平均結晶化度は、第一層4の平均結晶化度よりも高いことが好ましい。
このとき、平均結晶化度は全て熱可塑性樹脂層のMD方向における測定である。測定の方法はラマン分光法を用いてフィルムのそれぞれの面を測定しても良いし、各層のみを取り出せるように切削したサンプル片をそれぞれ測定しても良いし、あるいは、フィルム表面から深さ方向へ焦点を合わせて層毎に測定しても良い。また、フィルムを断面切削した後にフィルム断面から測定をしても良いことは言うまでもない。測定方法については、その他、たとえばFT−IRなどの装置で測定しても何ら問題ない。
さらに、第一層4の厚みは5μm以上〜30μm以下であり、第二層の厚みは30μm以上〜100μm以下であると良い。
第一層4の平均結晶化度が50%以上、あるいは厚みが5μm以下である場合には、低温でのヒートシール性が低下してしまい、さらに第一層4の平均結晶化度が30%以下、あるいは厚みが30μm以上である場合には、引裂き性や剛性が低下するといった問題が生じる。
一方、第二層5の平均結晶化度が40%以下、あるいは厚みが30μm以下である場合、引裂き性や剛性の低下を引き起こし、さらに第二層5の平均結晶化度が60%以上、あるいは厚みが100μm以上ある場合、ヒートシール性、引裂き性、剛性には問題がないが、耐衝撃性が低下したり、必要以上の膜厚であるためにコストが高くなるといった問題がある。
つまり、本発明のように適切な平均結晶過度の差をつけることで、積層フィルム1は、包装材に適した低温ヒートシール性、引裂き性、剛性などの物性が適度に保つことが可能になる。
以下では、本実施形態における各構成の詳細を説明する。
(積層フィルム)
積層フィルム1の材料である熱可塑性樹脂は、適度な柔軟性を有するとともに、例えば押出機による加工適性を有する等、良好な加工性を備えることが好ましい。こうした材料としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、及び、ホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーを持つポリプロピレン、上記オレフィンと酢酸ビニルを共重合して得られるエチレン酢酸ビニルコポリマーやオレフィンの側鎖を変性して得られるエチレン−メチルアクリレート共重合(EMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−ブチルアクリレート共重合体(EBA)、あるいは、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)等が挙げられる。これらの材料は単独で用いられてもよいし、これらのうちの複数の材料が組み合わされて用いられてもよい。
これらの包装材用の積層フィルム1は、主にポリエチレンもしくはその誘導体から構成
され、前記第一層4の平均密度は0.910g/cm〜0.930g/cmであり、前記第二層5の平均密度は0.920g/cm〜0.940g/cm、かつ、前記第一層4の平均密度よりも高いとさらに望ましい。
ここで、「主に」とは、積層フィルム1に用いる樹脂のうち、重量割合で70%以上であることを表すものとする。また、平均密度は、JISK7112:1999に準拠した測定方法、もしくは、これと比較できる測定方法により測定する。
一般に、熱可塑性樹脂に低密度樹脂を用いることで耐衝撃性、ヒートシール性を良好にすることができるが、一方で、剛性や引裂き性、加工時の滑性、耐ブロッキング性は悪化してしまう。しかし、積層フィルム1を、図2に示すように2層構成とし、第一層4を低密度樹脂、第二層5を中〜高密度樹脂とすることで、耐衝撃性、ヒートシール性を良好にしたまま、曲げ剛性、引裂き性を良好にすることができる。
第一層4、第二層5ともに直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と低密度ポリエチレン(LDPE)を混合していることが好ましい。LLDPEにLDPEを混合させることで、上記各種物性とネックインなどの加工性を両立させることができる。さらに好ましくは、LLDPE:LDPEの重量比を99:1〜70:30の割合で混合させると良い。
さらに、例えば図2のように2層以上に複数の層を重ねて積層することで所望の物性を補完した多層構造としても良い。多層構造の例として、積層フィルム1の剛性をより高めるため、第一層4、第二層5に使用する樹脂よりも高密度な樹脂層を第三層44や第四層55に使用しても良いし、包装材用フィルムの熱収縮によるカールを抑えるため、第一層4と同程度の密度の樹脂層を第三層44に使用しても良い。
(アンチ・ブロッキング(AB)剤)
加工工程での良好な滑り性、耐ブロッキング性を得るために、第一層4には、アンチ・ブロッキング剤(以下、「AB剤」ということがある)として、熱可塑性樹脂とは異なる有機系粒子もしくは無機系粒子のうち少なくとも1種類が6000ppm〜50000ppm含まれていると良い。
このとき、有機系粒子もしくは無機系粒子が直接凸形状を形成していても良いし、粒子の周囲に熱可塑性樹脂が覆うことで凸形状を形成していても良い。もちろん、有機系粒子もしくは無機系粒子が熱可塑性樹脂にほぼ埋もれており、一部分のみが突出しているものでも良い。
さらに、第一層4が含有する有機系粒子または無機系粒子は、平均粒径が3μm〜15μmであり、この凸形状を成形した第一層4の表面2の算術平均粗さRa(JISB0601−2001)が0.5μm〜2.0μmであることで、良好な滑り性と耐ブロッキング性を得ることができる。
第二層5は、平均粒径2μm〜8μmの有機系粒子または無機系粒子の少なくとも1種類を1000ppm〜10000ppm含有している。
有機系粒子または無機系粒子としては、例えば、アクリル系粒子、スチレン粒子、スチレンアクリル粒子およびその架橋体、ポリウレタン系粒子、ポリエステル系粒子、シリコン系粒子、フッ素系粒子、これらの共重合体、ゼオライト、パイロフィライト、タルク、スメクタイト、バーミキュライト、雲母、緑泥岩、カオリン鉱物、セピオライトなどの粘土化合物粒子、シリカ、酸化チタン、アルミナ、シリカアルミナ、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化ストロンチウム、水酸化アルミニウム、炭酸ストロンチウム、塩化ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、水酸化ストロンチウム、ガラス粒子等が挙げられる。
有機系粒子は、適切な粒径の選択が容易であるが、熱分解してしまうことがあるので注意が必要である。有機系微粒子の場合には、300℃の温度での重量変化が10%以下であるものが好ましい。包装材用のフィルムの場合には、加熱成形加工を伴うため、重量変化が大きい場合には、分解による臭気発生やヤケ発生の原因、装置劣化の促進などの問題を生じてしまう虞がある。
さらに、熱可塑性樹脂に比べて、硬い球形の有機系粒子もしくは無機系粒子を用いることが好ましく、このような粒子を用いて凸形状を作製することで、効果的な滑り性を良好にすることができるとともに、摩擦力による凸形状の変形を抑えることができ、適度な摩擦力を維持することもできる。
(滑剤)
より適度な滑性を得るために、熱可塑性樹脂には有機滑剤が含まれていると良いが、凸形状のある表面2に存在している有機滑剤量は5mg/m以下であると良い。さらに好ましくは、3mg/m以下であると良い。
熱可塑性樹脂の種類、接着剤の有無や種類、温度条件などによって状況は異なるものの、一般的に、滑剤はフィルム成形後や温度変更後の経時変化によって、フィルム表面へ移行する傾向がある。つまり、ブリードアウト現象が発生する。そのため、保管条件や製品加工条件によっては、フィルムの滑性が変化することになる。さらに、滑剤のブリードアウトした表面に、同じフィルムの裏面や別のフィルムが接触すると、裏面や別のフィルムにも滑剤が転移し、その転移した面の滑性も変化させてしまうことになる。そのため、安定した滑性を得るためには、滑剤量はなるべく少量であることが望まれている点は上述の通りである。
一般には、滑りやすくするために、有機滑剤を多量に添加するが、本発明においては、適切な凸形状を付加することで、滑性を適度に保つことが可能であるため、表面2に存在している有機滑剤量は5mg/m以下という少ない量で十分である。これにより、どのような条件においても、適切な滑性で、変化のない包装材用に適した積層フィルム1を得ることができる。添加量としては、積層フィルムに対し30ppm〜150ppm程度で十分である。
表面2に存在している有機滑剤量の評価は、例えば、図4に示すような方法で行う。まず、表面2に有機滑剤表面抽出用治具241を固定し、その中に有機滑剤の溶け込む有機溶媒242を注入する。注入後数秒〜数分ほど経過したところで有機溶媒242を取出し、取出した有機溶媒を例えばガスクロマトグラフやFT−IRなどの装置で、評価する。有機溶媒には表面2に存在した有機滑剤が溶け込んでいるため、この有機溶媒242を評価分析することで、表面2に存在している有機滑剤量を測定することができる。
有機滑剤表面抽出用治具241は有機溶媒242をとどめておくための筒であり、有機溶媒242の蒸発を防ぐため、上部はあまり開口がないほうが好ましい。有機溶媒242としては、例えば、クロロホルム、アセトン、エタノール、メタノールなどが挙げられる。
また、表面2に存在している有機滑剤量の測定方法は、上記方法に限定させるものではなく、有機溶媒242でフィルム表面を洗浄することができれば測定が可能である。例えば、フィルムを有機溶媒242に数秒〜数分浸漬する方法などでも、表面2に存在している有機滑剤量の測定が可能である。
有機滑剤の種類としては、例えばショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、合成樹脂系としては流動パラフィン、パラフィンワックス、合成ポリエチレンワックスなどの炭化水素系、ステアリン酸、ベヘン酸、ステアリルアルコールなどの脂肪酸系、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミドなどの脂肪酸アミド、などが挙げられる。
なかでも、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘン酸アミドなどの分子量250〜350の脂肪酸アミドが適している。これらの有機滑剤は、フィルム表面へのブリードアウトが早く、成形直後から効果を発揮することができるためである。
また、積層フィルム1には、その他の各種の添加剤を含んでいてもよい。例えば、加工安定性を付与するための酸化防止剤などを適宜添加することが可能である。
(製造方法)
本発明の包装材に適した積層フィルム1を作製する方法は特に制限されるものではなく、公知の方法を使用することが可能である。例えば、熱可塑性樹脂に、有機系粒子もしくは無機系粒子及び有機滑剤を添加し、押出機を用いてフィルム製膜することで、積層フィルム1を作製することができる。フィルム製膜方法としても、公知の方法であるエアチャンバーやエアナイフ、バキュームチャンバー、それらを複数組み合わせた方法などで製膜することが可能である。
(包装材)
図3に示すように、積層フィルム1に対して、ヒートシール層としての機能を果たす表面2とは反対の裏面3に、基材層7や、さらには、印刷層やバリア層といった機能層8を形成することで、本発明の効果を備えた包装材6を得られることができる。図4では基材層7、機能層8、積層フィルム1の三層構成が示されているが、これに限らず、基材層7、積層フィルム1の二層構成や、4層以上の多層構成としてもよい。
(積層フィルム)
包装材用の積層フィルム1は、包装材を包装体に加工した際に、積層フィルム1全体の平均結晶化度が上昇することとなる。これは、積層フィルム1に使用される熱可塑性樹脂が、フィルム成形した後でも加熱されることで再度軟化する特徴をもつことに起因する。
具体的には、包装材6の加工工程において、積層フィルム1と基材層7および機能層8を積層させる際に有機系の接着剤を用いることが一般である。このとき、接着強度を向上させるために、エージングと呼ばれる30℃〜80℃程度の環境下に数日間静置させる加温工程を経ることが知られている。このエージングの際に与えられる熱は、熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも高い温度であるため、積層フィルム1に使用する熱可塑性樹脂が再軟化するとともに分子鎖運動が活発になり、再結晶化を誘導する。したがって、積層フィルム1を形成した時点において良好な物性、例えば良好なヒートシール性を示したとしても、包装材6のときに結晶化度が上昇してしまって良好な結果が得られないこともある。
このような知見に基づき、本発明においては、積層フィルム1がフィルム形成後に30℃〜80℃程度の加温工程を経た後であっても、平均結晶化度が35%以上〜70%以下の範囲に
したことを特徴としている。
一般にフィルム加工に用いる原料の樹脂密度と成形フィルム結晶化度には正の相関関係があるとされているが、本発明は、そのような樹脂密度と結晶化度の相関関係は、包装材6に加工を施した時点で妥当性が失われるとの新たな知見に基づいている。
これらのことから、積層フィルム1を包装材6にする加工するときには、一般的に知られている原料樹脂密度と成形フィルム結晶化度の相関関係は妥当でなく、本発明では包装材6の良好な物性を保つために、包装体への加工時に結晶化度が上昇することも考慮した材料設計になっている。
(基材層)
基材層7は、包装材6の支持体として機能する層であり、一般的には、プラスチックを主とするフィルムが用いられるが、内容物の種類や充填後の加熱処理の有無など使用条件によって基材層を構成する材料は適宜選択される。基材層7の材料としては、プラスチックを主とするフィルム以外にも、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンなどが使用されることがあり、特に限定されない。
さらに、上記材料のうちの1つの材料からなる単層であってもよいし、こうした単層の積層によって上記材料のうちの複数の材料が組み合わされた層であってもよい。
(機能層)
機能層8としては、例えば印刷層やバリア層が挙げられる。バリア層は、空気中に含まれる酸素等の気体や水蒸気、封入した内容物等から包装材を保護するためのバリア性を高める機能を有する層であり、材料としては、例えば、EVOHやアルミニウム等の金属などが挙げられ、適宜使用することができる。
(包装体)
本発明の包装材6を用いて、互いに向かい合う積層フィルム1同士の周縁をヒートシール等により溶着することで、上述した本発明の効果を備えた包装体を得られる。
本発明の包装体としては、スタンディングパウチや、包装袋、口栓付きパウチ、ラミチューブ、バックインボックス等が挙げられるが、この他に様々な用途に使用できる。
(スタンディングパウチ)
包装体の一例として、本発明の包装材6をスタンディングパウチに採用した場合の構造並びに製造方法を、図5、図6を参照して説明する。スタンディングパウチとは、液体洗剤、柔軟剤、シャンプー、リンスなどのトイレタリー用品や、食用油、インスタントコーヒー、酒などの食品等、液体、粉体、固体を問わず収納可能な容器の一種である。上述の包装体と同様の製袋方法に加え、シーラントフィルムを底テープとし、本体表面と本体裏面の間に挿入して周縁をシールすることで、容易に自立可能であることを特徴とする。図5はスタンディングパウチ12の断面図を、図6はスタンディングパウチ12形成前のウェブ搬送時の状態を示した模式図である。
以下、本発明で得られるスタンディングパウチ12について詳細に説明する。図5に示すように、スタンディングパウチ12では、本発明の包装材6の積層フィルム1を内側にして折り曲げることで、パウチ表面13、パウチ裏面14を有する。その際に、図9中の網掛けで表示した左右のサイドシール部22とボトムシール部23からなる周縁シール部をヒ―トシールして包装体を形成する。
さらに、底テープ20を別途形成し、パウチ表面13とパウチ裏面14の間に挿入して周縁をシールすることで自立性を備えることができる。
また、スタンディングパウチ12の上部(底テープ20と反対側)には、パウチ表面13及びパウチ裏面14及び注出ノズルシール部24により、内容物を注ぎ出すための注出ノズル16が形成されている。注出ノズルシール部24は、サイドシール部22に連続して設けられたシール部であり、注出ノズル16の下側に設けられる。
注出ノズル16には、先端をヒートシールした注出ノズル先端シール部25が形成されており、注出ノズルシール部24に設けられた開封用切目線17によって分離形成された開封つまみ18として機能する。即ち、使用者は、開封つまみ18を持ち、予め形成されたハーフカット線19に沿って切り離すことにより注出口(図示せず)を形成することができる。なお、本方法に限らず、樹脂等で形成された口栓付キャップを別途設けておき、口栓を開閉することで抽出口の機能を付与してもかまわない。
ハーフカット線19は、パウチ表面13及びパウチ裏面14の表面それぞれに設けられている。ハーフカット線の形成方法は、刃物によって形成する方法や、レーザー加工によって形成する方法が一般に用いられているが、レーザー加工による方法の方が均一で安定した切れ目を形成できるので好ましい。レーザーの種類としては、炭酸ガスレーザーがさらに好ましい。
スタンディングパウチ12の製造方法の一例としては、図10に示すように、スタンディングパウチ12を自立させた際の高さの約2倍強の幅を持った包装材6をウェブ状に繰り出し、ハーフカット線19を形成する。その後、積層体を折り曲げ部稜線21で折り曲げて、パウチ表面13とパウチ裏面14を形成すると共に底テープ20を挿入して周縁部のヒートシールを行い、所定の形状に打ち抜くことにより、スタンディングパウチ12を構成することができる。
なお、その他にも、注出ノズル16に、折り曲げ部稜線21を経由してパウチ表面13からパウチ裏面14に至る一繋がりのエンボス加工部26を形成する等の他の特徴を備えていてもよい。即ち、本発明の包装材6を使用することで、上述した効果を備えたスタンディングパウチ12を得ることができる。
以上、本発明の実施形態を例示したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本実施形態の技術的思想を逸脱しない限り、包材としての用途を考慮し、要求されるその他の物性である剛性、強度、衝撃性等を向上する目的で、他の層や構造を任意に形成できることはいうまでもない。
以下、本発明の実施例について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
積層フィルム1は二層積層フィルムとし、第一層4の熱可塑性樹脂として、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(密度0.913g/cm、MFR3.8)及び低密度ポリエチレン樹脂(密度0.924g/cm、MFR1.0)を80:20の割合でブレンドし、さらに、AB剤として平均粒径10μmの有機系粒子(アクリル架橋体)を35000ppm、滑剤としてエルカ酸アミドを100ppm添加した。また、第二層5の熱可塑性樹脂として、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(密度0.931g/cm、MFR3.2)及び低密度ポリエチレン樹脂(密度0.924g/cm、MFR1.0)を80:20の割合でブレンドし、さらに、平均粒径5μmサイズの無機系粒子(ゼオライト)を3000ppm、滑剤としてエルカ酸アミドを100ppm添加した。これら第一層4、第二層5を単軸共押出機により、それぞれ260℃に加熱溶融し、Tダイキャスト法にて、第一層4の厚みを15μm、第二層5の厚みを85μmとし、トータル100μm厚みの積層フィルム1を製膜した。
(実施例2)
第一層4の主樹脂LLDPEの密度を0.920g/cmに変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
(実施例3)
第二層5の主樹脂LLDPEの密度を0.920g/cmに変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
(実施例4)
第二層5の主樹脂LLDPEの密度を0.940g/cmに変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
(実施例5)
第一層4の厚みを5μmになるように変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
(実施例6)
第一層4の厚みを30μmになるように変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
(実施例7)
第一層4の主樹脂LLDPEとLDPEの重量比をLLDPE:LDPE=90:10なるように変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
(実施例8)
第二層5の主樹脂LLDPEとLDPEの重量比をLLDPE:LDPE=90:10なるように変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
(実施例9)
第一層4の主樹脂LLDPEとLDPEの重量比をLLDPE:LDPE=90:10、第二層5の主樹脂LLDPEとLDPEの重量比をLLDPE:LDPE=90:10となるように変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
(実施例10)
第一層4に加えるAB剤を同じ平均サイズの無機粒子35000ppmに変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
(実施例11)
第一層4に加えるAB剤の有機粒子の添加量を10000ppmに変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
(実施例12)
第一層4に加える滑剤を150ppmに変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
(実施例13)
第一層4の主樹脂LLDPEとLDPEの重量比をLLDPE:LDPE=95:5になるように変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
(実施例14)
第一層4の主樹脂LLDPEとLDPEの重量比をLLDPE:LDPE=5:95になるように変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
(実施例15)
第二層5の主樹脂LLDPEとLDPEの重量比をLLDPE:LDPE=95:5になるように変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
(実施例16)
第二層5の主樹脂LLDPEとLDPEの重量比をLLDPE:LDPE=5:95になるように変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
(比較例1)
第二層5の主樹脂LLDPEの密度を0.913g/cmに変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
(比較例2)
第一層4の主樹脂密度を0.931g/cmに変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
(比較例3)
第一層4の厚みを0μmになるように変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
(比較例4)
第一層4の厚みを50μmになるように変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
(比較例5)
第一層4の厚みを100μmになるように変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
(比較例6)
第一層4に加えるAB剤の有機粒子を0ppmに変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
(比較例7)
第一層4に加えるAB剤の有機粒子の添加量を100000ppmに変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
(比較例8)
第一層4に加える滑剤のエルカ酸アミドを0ppmに変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
(比較例9)
第一層4に加える滑剤のエルカ酸アミドを500ppmに変更し、その他の構成は実施例1と同様にして包装材用フィルムを作製した。
(評価実験)
各実施例及び各比較例によって得られた熱可塑性樹脂の積層フィルム1に関して各種包装材に求められる性能の評価としての曲げ剛性評価実験、引裂き性評価実験、ヒートシール性評価実験、耐衝撃性評価実験、滑性評価実験、滑剤表面存在量評価実験、表面粗さ評価実験、耐ブロッキング性評価実験を実施した。さらに、これを包装材6に加工とした際の、ヒートシール性評価も併せて実施した。
また、製作したフィルムの平均結晶化度評価は顕微レーザーラマンを用いて評価している。このとき、結晶化度が30%〜42%の範囲に入る場合を低、43%〜49%の範囲に入る場合を中、50%〜70%以上の範囲に入る場合を高としている。測定方法は以下の通りである。
ナノフォトン製の顕微レーザーラマン分光装置(RAMAN touch)を用いて、フィルムのMD方向に対してそれぞれ3回測定を実施して各層の平均結晶化度を評価した。今回はポリエチレンを対象にしていたので、結晶部と非晶部の骨格振動が重ね合わさって観察されるramanshiftが1300/cmのピーク面積を基準とし、それに対する結晶部の骨格振動が観察されるramanshiftが1130/cm付近のピーク面積の比率算出することで平均結晶化度としている。
[実施評価実験]
(フィルム成形性評価)
フィルム成形性評価は、厚み100μmをねらいとして成形した積層フィルム1の幅を測定し、Tダイ幅を比較することで成形性を評価した。具体的には、Tダイ幅とフィルム幅が同じだった場合100%としたときに、フィルム幅が75%以上のときに○、70%以上のときに△、それ以外を×とした。
(曲げ剛性評価実験)
曲げ剛性評価は、東洋精機製作所製のループステフネステスタを用いて、圧縮速度3.3mm/sec、サンプル幅を15mm、ループ長を85mmとし、曲げ応力を評価した。このとき、MD方向に対してそれぞれ3回測定を実施した。測定したときの曲げ剛性評価として、15g以上を○、10g以上を△、それ以外を×とした。
(引裂き性評価試験)
引裂き性評価では、JISK7128−2に記載されているエルメンドルフによる引裂法を用いて測定した。このとき、フィルムのMD方向に対してそれぞれ3回測定を実施した。引裂き性評価として、5N以下を○、10N以下を△、それ以外を×として評価した。
(ヒートシール性評価実験)
ヒートシール性評価は、テスター産業製のヒートシーラー(型番TP−701−B)を用いてシール圧力0.2MPa、シール時間を1秒、シール幅を10mmとし、シール温度を100℃から10℃間隔で、積層フィルム1の凸形状を有する面同士を重ね、シールした。シールしたフィルムを15mm幅×100mmに切出し、チャック間距離を50mm、引張り速度を300mm/minとして島津製作所株式会社製引張試験機(型番AGS−500NX)を用いてT字剥離強度を測定し、シール強度とした。その結果、シール強度が10N以上になる最低温度をヒートシール発現温度とした。このとき、120℃以下を○、140℃以下を△、それ以外の温度を×とした。
これについては包装材用フィルムおよび包装材の2つについて実験を実施した。
(衝撃耐性評価実験)
衝撃耐性の測定では、テスター産業製ダートインパクトテスター(型番IM−302)を用いてJISK7124−1自由落下のダート法、第1部ステアケース法のA法による衝撃試験方法を実施した。このとき、50%破壊重量が350g以上を○、250g以上を△、それ以外を×とした。
(滑性評価実験)
滑性評価は、東洋精機製作所製の滑り傾斜角測定装置を用いて、傾斜角測定法により、静摩擦係数を評価した。実施例及び比較例記載のフィルムを幅100mm×長さ240mm及び幅30mm×長さ80mmに切出した。幅100mm×長さ240mmに切出したフィルムを、静摩擦係数測定装置に撓みがないように固定し、幅30mm×長さ80mmに切出したフィルムを幅30mm×長さ40mm×高さ30mmで重量197gの錘に対して、測定面を全て被覆する様に固定した。3回測定し、静摩擦係数が1.2を超えるものは測定できず、さらに0.1以下のものを表中では×を表記している。また、静摩擦係数が0.1〜1.2の範囲にあるものを△とし、その中でも0.15〜0.90の範囲にあるものを○とした。
(滑剤表面存在量評価実験)
図4に示すように、表面2に有機滑剤表面抽出用治具241を固定し、その中に有機溶媒242としてクロロホルムを注入した。注入後1分経過したところでクロロホルムを取り出し、アジレントテクノロジー(株)製のガスクロマトグラフ/水素炎イオン化検出器にて、表面2に存在していた有機滑剤の量を測定した。カラムはHP-5MSを使用した。なお、事前にいくつかの濃度の異なるエルカ酸アミドの溶けたクロロホルム溶液を標準液とし測定を行い、ピーク面積と濃度の検量線を引くことで、表面存在量に換算している。
このとき、表面2の滑剤存在量が5mg/mのときに○、それ以上を×とした。
(表面粗さ評価実験)
表面粗さ評価実験は、キーエンス製のレーザーマイクロスコープ(型番VK−X200)を用いて、JISB0601−2001を参考に、表面2の算術平均粗さRaを評価した。このときRaの値が、0.3μm〜2.0μmの範囲に入るものを△、その中でもRaの値が、0.5μm〜1.5μmの範囲に入るものを○、それ以外を×とした。
(耐ブロッキング性評価実験)
耐ブロッキング性評価は、作成した積層フィルム1を10枚重ね、テスター産業製の圧縮試験装置にて0.3MPaの荷重をかけた状態で2日保持した後に、ブロッキングしているかどうかを目視評価した。ブロッキングしているものを×、していなかったものを○とした。
(包装材に加工した際の全体平均結晶化度評価)
全体平均結晶化度評価は、層毎の平均結晶化度評価と同様の方法で評価を実施した。
このとき全体平均結晶化度が35%〜70%の範囲に入るものを○、それ以外を×とし
た。
(総合評価)
総合判定として、以下の4つ全てを満たすものを○とした。即ち、平均結晶化度評価が○であること、フィルム成形性が○であること、ヒートシール性評価が△以上であること、静摩擦係数評価が△以上であること、である。これらの評価項目が1つでも×であった場合、総合判定も×とした。
また、総合評価が○だった結果の中で、その他の評価項目も含めて4つ以上△があった場合には、本効果を得ているが多少劣るものとして総合評価を△とした。
(評価結果)
各実施例、各比較例について上述の評価試験を実施した結果を表1乃至5に記載する。表2、3、4、5は表1の評価結果を比較しやすいように並べ替えたものである。即ち、表2は第一層4および第二層5の主樹脂密度を変化させたものを示しており、表3は第一層4および第二層5の厚みを変化させてものを示しており、表4は第一層4および第二層5のLLDPE:LDPEの混合比を変化させてものを示しており、表5は第一層4のAB剤の種類と添加量、および第一層4の滑剤の添加量を変化させたものを示している。
表2より、第一層4の主樹脂密度が第二層5と同等あるいは高くなると、平均結晶化度が上昇する傾向があり、ヒートシール性、引裂き性に影響が出てくる傾向にあることが分かる。ここで第一層4の主樹脂密度が第二層5よりも低いことであれば本発明による効果を得られ、第一層4の主樹脂密度が0.920g/cm以下、第二層5の主樹脂密度が0.930g/cm以上の際に最も評価結果が良好になることが分かる。
表3より、第一層4の層厚みが0μmのときには低温ヒートシール性を担保できなくなり、一方で第二層5の厚みが0μmのとき、さらに第一層4と第二層5の厚みが1:1のときには引裂き性や曲げ剛性が劣る傾向にあることが分かる。ここで第一層4の厚みが5μm〜30μmの範囲であって、さらに第二層5の厚みが70μm〜95μmの範囲にあると本発明による効果を得られ、それぞれ評価した物性結果が良好になることが分かる。
表4より、第一層4と第二層5のLLDPEとLDPEのブレンドを行わないと、加工性をはじめ、曲げ剛性や耐衝撃性が低下する傾向にあることが分かる。ここで各層の熱可塑性樹脂のブレンド比を80:20〜90:10の範囲で行うことで、本発明による効果を得られ、良好な加工性が得られることが分かる。
表5より、第一層4にAB剤を加えないと滑り性や耐ブロッキング性が低下する傾向がみられる。一方でAB剤の添加量を過剰にしても、良好な滑り性が得られていないことが分かる。また、滑剤についても、全く加えない場合でも過剰に加えた場合にも、滑り性が低下する傾向にあることが分かる。ここで、AB剤は10000ppm〜35000ppmの範囲であり、滑剤も100ppm程度含まれていれば、本発明による効果を得られ、良好な滑り性を担保できることが分かる。さらにこのとき、AB剤の種類は有機粒子であっても無機粒子であっても問題ないことも分かる。
1…積層フィルム
2…表面
3…裏面
4…第一層
5…第二層
6…包装材
7…基材層
8…機能層
12…スタンディングパウチ
13…パウチ表面
14…パウチ裏面
16…注出ノズル
17…開封用切目線
18…開封つまみ
19…ハーフカット線
20…底テープ
21…折り曲げ部稜線
22…サイドシール部
23…ボトムシール部
24…注出ノズルシール部
25…注出ノズル先端シール部
26…エンボス加工部
241…有機滑剤表面抽出用治具
242…有機溶媒

Claims (10)

  1. 熱可塑性樹脂を主樹脂とした積層フィルムであって、少なくとも第一層および第二層を有しており、
    前記第一層は有機滑剤として脂肪酸アミドを含有するとともに、
    少なくとも有機系粒子または無機系粒子のいずれか1種類を含有しており、
    前記第一層の平均結晶化度は30%以上50%以下であって、前記第一層の厚みは5μm以上30μm以下であり、
    前記第二層の平均結晶化度は40%以上60%以下であって、前記第一層の平均結晶化度よりも高く、前記第二層の厚みは30μm以上100μm以下であることを特徴とする積層フィルム。
  2. 前記積層フィルムは、30℃以上80℃以下の加温工程を経た後も、前記第一層および前記第二層の平均結晶化度は35%以上〜70%以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記熱可塑性樹脂は、主にポリエチレンもしくはその誘導体から構成され、
    前記第一層の平均密度は0.910g/cm以上0.930g/cm以下であり、
    前記第二層の平均密度は0.920g/cm以上〜0.940g/cm以下、かつ、前記第一層の平均密度よりも高いことを特徴とする請求項1又は2に記載の積層フィルム。
  4. 前記第一層および前記第二層は、いずれも直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と低密度ポリエチレン(LDPE)を重量比で99:1〜70:30の割合で混合して形成されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  5. 前記第一層に含まれる前記脂肪酸アミドは、分子量が50以上〜350以下であり、前記第一層の含有量は30ppm以上150ppm以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  6. 前記第一層に含まれる前記有機系粒子または無機系粒子は、平均粒径が3μm以上15μm以下であり、前記第一層の含有量は6000ppm以上50000ppm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずか一項に記載の積層フィルム。
  7. 前記第一層の表面は凸形状部を有しており、前記表面の算術平均粗さRa(JISB0601−2001)が0.5μm以上2.0μm以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  8. 前記第一層の表面に存在している有機滑剤量は5mg/m以下であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  9. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の積層フィルムに、基材層が積層されていることを特徴とする包装材。
  10. 請求項9に記載の包装材を用いたことを特徴とする包装体。
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