JP2018062102A - 離型フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】高温で使用されても転写性に優れ、高性能の電子部品の成型に適した離型フィルムを提供すること。
【解決手段】ポリエステルフィルムの少なくとも片面に離型層を有する離型フィルムであった、前記離型層が金属薄膜層である離型フィルム。更に好ましくは、前記離型層表面の表面自由エネルギーが40mJ/m以上であり、離型層表面の表面粗さ(Sa)が50nm以下であり、160℃で30分熱処理した後の離型フィルムの熱収縮率が1.0%以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は離型フィルムに関し、更に詳しくは、電子部品、特に、固体高分子型燃料電池の構成部材である膜−電極接合体(MEA)を製造するために好適に使用される離型フィルムに関するものである。
例えば固体高分子型燃料電池(PEFC)の構成部材である膜−電極接合体(MEA)は、高分子電解質膜の両面に触媒層が積層された構成になっている。高分子電解質膜は、プロトン伝導性樹脂が使用されており、側鎖にスルホニウム基を有したポリマーが使用されている。その例としては、強酸性であるパーフルオロカーボン(−CF2−)で構成されたスルホン酸系の樹脂が使用されている(例えば、DuPont社製Nafion(登録商標))。また触媒層は、白金担持カーボンをバインダー(プロトン伝導性樹脂)に分散させた構成になっている。
これらMEAの製造方法の一例として、高分子電解質膜と、触媒層をそれぞれ別々の支持フィルムにキャスト法で成型し、150℃以上の高温で熱圧着して両者を接合する方法が提案されている。
前記支持フィルムには、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に代表されるフッ素系樹脂フィルムが従来よく用いられている。前記フッ素系樹脂フィルムは、シリコーンなどの汚染がなく、高い耐薬品性、耐熱性をもつため幅広く使用されている。しかし、かかる従来技術はロール ツー ロール方式で加工するとき、PTFEフィルムの貯蔵弾性率が室温においても低いため、腰感が弱く加工性が必ずしも十分ではないという問題点があった。さらに、フッ素系樹脂フィルムは高価なため、製造コストが高くなるという問題点もあった。
上記事情から、前記支持フィルムとして、PETフィルムに離型層を設けたフィルムを用いた提案がなされている。PETフィルムに離型層を設けたフィルムは、フッ素系フィルムに比べ安価で加工性に優れ、転写性も有することが報告されている(例えば特許文献1〜3参照)。
しかし、報告されているPETフィルムに設けられた離型層には、シリコーン樹脂やオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂などの有機成分が用いられており、電子部品部材用の成型フィルムとして用いた場合には、離型層に用いられる樹脂に含有するオリゴマーなどの低分子量体や、高温処理時に発生する分解物などが成型した電子部品に混入し性能を低下させる恐れがあった。
特開2015−119016号公報 特開2014−154273号公報 特開2003−285396号公報
本発明は、上記事情に鑑み、従来技術の課題を背景になされたものであって、高温で使用されても転写性に優れ、高性能の電子部品の成型に適した離型フィルムを提供することにある。
即ち、本発明は、以下の構成よりなる。
1. ポリエステルフィルムの少なくとも片面に離型層を有する離型フィルムであった、前記離型層が金属薄膜層であることを特徴とする離型フィルム。
2. 離型層表面の表面自由エネルギーが40mJ/m以上であることを特徴とする上記第1に記載の離型フィルム。
3. 160℃で30分熱処理した後の熱収縮率が1.0%以下であることを特徴とする上記第1または第2に記載の離型フィルム。
4. 金属薄膜層の厚みが100nm以下であることを特徴とする上記第1〜第3のいずれかに記載の離型フィルム。
5. 離型層表面の表面粗さ(Sa)が50nm以下であることを特徴とする上記第1〜第4のいずれかに記載の離型フィルム。
6. ヘイズが20%以下かつ全光線透過率が1%以上あることを特徴とする上記第1〜第5のいずれかに記載の離型フィルム。
7. 金属薄膜層が、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Mo、Ru、Pd、Ag、In、Sn、Ta、W、Re、Ir、Pt、Au、Tl及びPbから選ばれる金属を1種以上含んでいることを特徴とする上記第1〜第6のいずれかに記載の離型フィルム。
本発明によれば、固体高分子燃料電池部材成型用途に代表される電子部品製造用途等に好適に使用される離型フィルムとして、高温処理後でも離型層中のオリゴマーや分解物の析出が少ないため転写性にも優れた離型フィルムを提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の離型フィルムは、基材であるポリエステルフィルムの少なくとも片面に離型層を有しており、前記離型層が金属薄膜層からなる離型フィルムである。発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に金属薄膜層を離型層として設けたフィルムが上記課題を解決することを見出した。すなわち、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に金属薄膜層を積層することで高温処理後でも転写性に優れ、金属薄膜層と成型した電子部品との界面で剥離する離型フィルムを得ることができることを見出した。さらに、金属はそれ自体の耐熱性が高いため、高温下でも分解しにくく成型した電子部品の性能が低下する可能性が低くなることを見出した。
これらポリエステルフィルム上に金属薄膜層を積層したフィルムは多く知られているが、これらが離型フィルムとして使用できることを示唆した報告例はほとんど知られていない。例えば、特開2010−76405号公報には、フィルムの少なくとも片面にシリカまたはアルミナを蒸着したフィルムの蒸着面にインキ層が形成された転写印刷シートが提案されているが、インキ層を蒸着面から剥離するためには、インキ層を延伸させインキ層を変形させることが必要であり、延伸なしでは、剥離することができない。そのため、これまでの知見からは本発明のように離型層として金属薄膜層を設けたポリエステルフィルムが固体高分子燃料電池部材成型用途に代表される電子部品製造用途の離型フィルムとして用いることができるとは想像もできなかった。それに対し本発明者らは金属の耐薬品性、耐溶剤、耐熱性に着目し検討を重ねた結果、本発明に至ったものである。さらに、本発明の離型フィルムは、その特に好ましい態様として、表面自由エネルギーが高く、固体高分子型燃料電池成型部材のスラリーを塗工する際に、塗工性に優れることから均一な膜が形成でき、成型部材の厚み均一性が向上し、固体高分子型燃料電池の性能を向上させることができるものである。
(ポリエステルフィルム)
本発明で基材として用いるポリエステルフィルムは、主としてポリエステル樹脂より構成されるフィルムである。ここで、「主としてポリエステル樹脂より構成されるフィルム」とは、ポリエステル樹脂を50質量%以上含有する樹脂組成物から形成されるフィルムであり、他のポリマーとブレンドする場合は、ポリエステル樹脂が50質量%以上含有していることを意味し、他のモノマーが共重合されている場合は、ポリエステルの繰り返し構造単位を50モル%以上含有することを意味する。好ましくは、ポリエステルフィルムは、フィルムを構成する樹脂組成物中において、ポリエステル樹脂を90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは100質量%含有する。
ポリエステル樹脂としては、材料は特に限定されないが、ジカルボン酸成分とジオール成分とが重縮合して形成される共重合体、又は、そのブレンド樹脂を用いることができる。ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルスルホンカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、3,3−ジエチルコハク酸、グルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、ダイマー酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカジカルボン酸等が挙げられる。
ポリエステル樹脂を構成するジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等が挙げられる。
ポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸成分とジオール成分はそれぞれ1種又は2種以上を用いても良い。また、トリメリット酸などのその他の酸成分やトリメチロールプロパンなどのその他の水酸基成分を適宜添加しても良い。ジカルボン酸成分やジオール成分が複数共重合されている場合は、エチレンテレフタレートの繰り返し構造単位を50モル%以上含有していることが好ましい。
ポリエステル樹脂としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどが挙げられ、これらの中でも物性とコストのバランスからポリエチレンテレフタレートが好ましい。
ポリエステルフィルムの滑り性、巻き性などのハンドリング性を改善するために、フィルム中に不活性粒子を含有させてもよい。
本発明においてポリエステルフィルムの厚みは特に限定されないが、12〜125μmの範囲であることが好ましい。12〜75μmがより好ましく、16〜50μmがさらに好ましい。12μm以上であると樹脂層の成型、転写時にシワが入るおそれがなく、125μm以下であるとコスト的に有利である。
基材となるポリエステルフィルムは、単層であっても、2種以上の層が積層されたものであってもよい。また、本発明の効果を奏する範囲内であれば、必要に応じて、フィルム中に各種添加剤を含有させることができる。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、耐光剤、ゲル化防止剤、有機湿潤剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤などが挙げられる。フィルムが積層構成を有する場合は、必要に応じて各層の機能に応じて添加剤を含有させることも好ましい。
ポリエステルフィルムは、例えば上記のポリエステル樹脂をフィルム状に溶融押出、キャスティングドラムで冷却固化させてフィルムを形成させる方法等によって得られる。本発明のポリエステルフィルムとしては、無延伸フィルム、延伸フィルムのいずれも用いることができるが、機械強度や耐薬品性といった耐久性の点からは延伸フィルムであることが好ましい。ポリエステルフィルムが延伸フィルムである場合、その延伸方法は特に限定されず、縦一軸延伸法、横一軸延伸法、縦横逐次二軸延伸法、縦横同時二軸延伸法等を採用することができる。
ポリエステルフィルムの表層には、無機薄膜層の密着性を向上させるため、アンカーコート層、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理などの表面処理を行うこともできる。アンカーコート層を設ける場合は、コストなどの観点からインラインコーティングで行うことが好ましい。
(金属薄膜層)
本発明における金属薄膜層は特に限定ずに金属化合物であればどのようなものでも使用することができる。金属とは、周期表における遷移金属や典型金属に属する単体もしくはそれらの酸化物や窒化物、合金などのことをいう。例えば、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Mo、Ru、Pd、Ag、In、Sn、Ta、W、Re、Ir、Pt、Au、Tl、Pbなどの元素記号で表される遷移金属や典型金属などを使用することができ、各単体で用いても、それらの酸化物などを使用してもよいが、単体で用いる方が金属独自の性質を反映しやすく好ましい。金属薄膜層には本特性が失われない範囲で他成分が含まれてもよい。
本発明の金属薄膜層には、特に固体高分子型燃料電池の触媒層を形成する用途では、触媒層中に用いられるカーボンとの親和性が少ない金属が好適に使用できる。理論的には明確ではないが、本発明者らは、各種実験によりカーボンとの親和性が少ない金属として例えばAl、Ti、Cr、Ta、W、Pt、Au、Moなどが好ましく使用できる。Cu、Niなど他の金属も使用可能である。固体高分子型燃料電池の触媒層は、例えば触媒であるPtを担持したカーボン粒子に電解質高分子(例えば、パーフルオロカーボン(−CF2−)で構成されたスルホン酸系の樹脂)をバインダーとして用いた構成になっている。近年、触媒層は、発電効率の観点から触媒層中のPt担持カーボンの比率を高くした構成になっており、触媒層の強度が弱く、脆くなってきている。そのため、離型層にPt担持カーボンが残りやすく、カーボンと親和性の低い金属を離型層に使用することで固体高分子型燃料電池成型用離型フィルムとして好適に使用することができる。
本発明の金属薄膜層に用いている金属の同定は、ICP発光分光分析法や蛍光X線分析法などの分析方法を使用することで定性または定量分析することができる。また、これらに限定されず、その他の無機分析の手法を用いることもできる。
本発明の金属薄膜層の膜厚としては、特に限定するものではないが、転写性や生産性の点から、5〜400nmが好ましく、更に好ましくは7〜100nmであり、より好ましくは7~30nmである。5nm以上であると、膜が均一になりやすく、十分な転写性が得られて好ましい。また400nm以下であると製造コストを抑えることができ好ましい。透明性が必要な用途であれば、薄膜の上限は100nm以下とすることが好ましい。100nm以上になると金属特有の光沢で透明性が低下する。
本発明の金属薄膜層の膜厚は、透過電子顕微鏡で断面を観察することで測定することができる。また、ICP発光分光分析法や原子吸光分析法、蛍光X線分析法などのその他無機分析を用いることでも測定することができる。
金属薄膜層の形成には、本発明の目的を損なわない限り公知の製造方法が使える。例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンブレーティング法などのPVD法(物理蒸着法)、あるいは、CVD法(化学蒸着法)などが挙げられる。特に生産の速度や安定性の面から真空蒸着法やスパッタリング法が好ましい。真空蒸着法においては、蒸着源材料としてはそれぞれ単体の金属(AlやAu,Tiなど)を用いることができ、また、加熱方式としては、抵抗加熱、高周波誘導加熱、電子ビーム加熱等を用いることができる。また、反応性ガスとして、酸素、窒素、水蒸気等を導入したり、オゾン添加、イオンアシスト等の手段を用いた反応性蒸着を用いることもできるが、金属特有の性質を出すためには、反応させないことが好ましい。また、基板にバイアス等を加えたり、基板温度を上昇、あるいは、冷却したり等、本発明の目的を損なわない限りにおいて、成膜条件を変更してもよい。
本発明に用いる離型フィルムは、小さい熱収縮率を有していることが好ましい。例えば、後述の熱収縮率測定方法によって、160℃で30分処理したときの収縮率が、1.0%以下であることが好ましく、より好ましくは、0.8%以下であり、さらに好ましくは0.4%以下であり、特に好ましくは0.3%以下である。熱収縮率が1.0%以下であると熱処理時に離型フィルムの変形が少なくなり成型した電子部品の変形が抑えられ性能低下を招く恐れがなく好ましい。そのため、固体高分子型燃料電池部材成型用の離型フィルムとして用いた場合に150℃以上の高温がかかる工程でも触媒層の割れを効果的に抑制することができ好適である。熱収縮率の下限については、若干のマイナスデータになる場合もあるが、ゼロ%が最も好ましく、0.1%以上でも構わない。
本発明の離型フィルムの熱収縮率を抑制するためには、ポリエステルフィルムを製膜中に(即ち、インラインで)アニール処理を行ってもよいし、オフラインでアニール処理を行ってもよい。
本発明に用いる離型フィルムの離型層表面の領域表面平均粗さ(Sa)は、50nm以下の範囲にあることが好ましく、より好ましくは30nm以下であり、さらに好ましくは10nm以下である。離型フィルムの離型層表面の領域表面平均粗さ(Sa)は小さいほど良いといえるが、1nm以上でよく、2nm以上でも構わない。最大突起高さ(P)は、2μm以下であることが好ましく、より好ましくは1.5μm以下である。Saが50nm以下であり、Pが2μm以下であれば、離型フィルムを用いて得られた成型品にピンホールなどが発生しにくいため好適に使用できる。
本発明に用いる離型フィルムの離型層の反対面の領域表面平均粗さ(Sa)は、特に限定されないが、1〜50nmの範囲にあることが好ましい。
本発明の離型フィルムは、透明性が高い方が好ましく、フィルムヘイズは20%以下であることが好ましい。さらに好ましくは10%以下であり、8%以下であるとなお好ましい。フィルムヘイズが20%以下であると電子部品など成型した時に欠点検知や外観検査などを精度よく行えるため好ましい。
本発明の離型フィルムの全光線透過率は1%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、40%以上がさらに好ましく、60%以上あるとなお好ましい。全光線透過率が1%よりも低い場合は、離型フィルムの透明性が低下するため、透過型の欠点検査装置などで欠点の検出が難しくなるため好ましくない。
本発明の離型フィルムは、離型フィルムへスラリーを塗布成型するときの濡れ性を良くし均一な膜を形成するために、水などの液体に対する接触角が低い方が好ましい。例えば、水であれば、70度以下が好ましく、50度以下がさらに好ましく、30度以下がなお好ましい。また、ジヨードメタンであれば、50度以下が好ましい。1−ブロモナフタレンでは、50度以下が好ましく、35度以下がさらに好ましく、25度以下がなお好ましい。下限は測定精度も問題もあるが、それぞれの液体に対して、3度以上で構わず、5度以上でも構わず、8度以上であっても構わない。
本発明の離型フィルムの離型層の表面自由エネルギーは、40mJ/m以上であることが好ましい。より好ましくは、60mJ/m以上である。表面自由エネルギーが40mJ/m以上であると塗布成型時にスラリーの塗工性が良くなるため、成型した固体高分子型燃料電池部材の厚み均一性が向上するため好ましい。一般的な離型フィルムとしては、シリコーン系やオレフィンなどのノンシリコーン系の材料が使用されるが、それらを用いた離型フィルムの表面自由エネルギーは40mJ/mよりも低いものが多く、スラリー塗工時に弾きやすいなどの課題があるが、本発明の離型フィルムではそのような課題を解決することができる。
本発明の離型フィルムは、本発明の機能を有する限り、離型層以外に機能層を積層してもよい。積層する機能層としては、例えば、帯電防止層、ブロッキング防止層、易滑層、ハードコート層、紫外線吸収層、易接着層、粘着層などが挙げられる。機能層を積層する場合は、本発明の離型性を阻害させないようにする必要があり、積層する場所は、離型層とポリエステルフィルムの間、もしくは、ポリエステルフィルムの離型層が積層された反対面である。これらの層は、1層でも2層以上でも構わない。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、もちろん本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、本発明に用いた評価方法は以下の通りである。
(金属薄膜の膜厚)
切り出した離型フィルムを樹脂包埋し、ウルトラミクロトームを用いて超薄切片化した。その後、日本電子製JEM2100透過電子顕微鏡を用いて、直接倍率20,000倍で観察を行い、観察したTEM画像から金属薄膜層の膜厚を測定した。
(表面粗さ)
非接触表面形状計測システム(VertScan R550H−M100)を用いて、下記の条件で測定した値である。領域表面平均粗さ(Sa)は、5回測定の平均値を採用し、最大突起高さ(P)は5回測定の最大値を採用した。
(測定条件)
・測定モード:WAVEモード
・対物レンズ:10倍
・0.5×Tubeレンズ
なお、表1の(Sa)及び(P)は基材ポリエステルフィルムの離型層を積層する面のデータを示している。
(熱収縮率の測定)
離型フィルムを10cm×10cmの正方形に裁断し、熱風オーブンにて160℃30分熱処理を行った。熱処理後、試料フィルムの縦および横方向の寸法を測定し、下記(1)式に従い熱収縮率を求めた。測定はn=5回行い、試料フィルムの縦方向及び横方向の熱収縮率データの各々の平均値のうち、大きい方の熱収縮率データを採用し、その離型フィルムの熱収縮率データとする。なお、熱処理前後の寸法を測定するときは、サンプルフィルムを25℃の部屋で12時間以上エージング後に測定を行った。
熱収縮率={(収縮前の長さ−収縮後の長さ)/ 収縮前の長さ}×100 (%) (1)式
(接触角)
25℃、50%RHの条件下で接触角計(協和界面科学株式会社製: 全自動接触角計 DM−701)を用いて離型フィルムの離型面に水(液滴量1.8μL)、ジヨードメタン(液適量0.9μL)、1−ブロモナフタレン(液適量0.9μL)の液滴を作成しその接触角を測定した。接触角は、各液を離型フィルムに滴下後10秒後の接触角を採用した。
(表面自由エネルギー)
前記方法で得られた、水、ジヨードメタン、1−ブロモナフタレンの接触角データを「北崎−畑」理論より計算し離型フィルムの表面自由エネルギーの分散成分γsd、極性成分γsp、水素結合成分γshを求め、各成分を合計したものを表面自由エネルギーγsとした。本計算には、本接触角計ソフトウェア(FAMAS)内の計算ソフトを用いて行った。
(離型フィルムのヘイズ、全光線透過率)
本発明のフィルムヘイズはJIS K 7136に、全光線透過率はJIS K 7361に準拠し、濁度計(日本電色製、NDH2000)を用いて測定した。
(転写性評価)
転写性については、以下の方法で行った。20%Nafion(登録商標)Dispersion Solution DE2021 CS type(和光純薬工業社製)の固形分とカーボンブラック(CABOT社製、VERCANX72R)を質量比で1/9になるように混合し、総固形分が10%になるようにイソプロパノール/水(質量比8/2)で調整後、遠心攪拌機にて30分間分散を行い擬似触媒層用スラリーを得た。得られた擬似触媒層スラリーをアプリケーターを用いて、乾燥後の膜厚が10μmになるように離型フィルムの上に塗工し、熱風オーブンで90℃2分乾燥を行った。その後、熱風オーブンで所定の温度で10分間熱処理後に室温に戻した後にメンディングテープを用いてメンディングテープが180°の角度で剥離した。転写性を以下の基準で評価した。前記所定温度として、120℃、140℃、160℃、180℃の4水準で行った。

○:離型フィルム上に擬似触媒層は残らなかった。
△:離型フィルム上に擬似触媒層はうっすらと残った。
(白色台紙上で観察すると擬似触媒層が残っていることがなんとか認識できるレベル)
×:離型フィルム上に擬似触媒層ははっきりと残った。
(白色台紙上で観察すると黒く残った擬似触媒層がはっきりと認識できるレベル)
(触媒層の割れ性評価)
触媒層の割れなどの外観評価は以下のように行った。まず、20%Nafion(登録商標)Dispersion Solution DE2021 CS type(和光純薬工業社製)と、カーボンブラックを重量比で3/7になるように混合し、遠心攪拌機にて分散を行い擬似触媒層用スラリーを得た。得られた擬似触媒層スラリーをアプリケーターを用いて、乾燥後の膜厚が5μmになるように離型フィルムの上に塗工し、熱風オーブンで90℃1分乾燥を行った。作成した擬似触媒層付き離型フィルムを10cm×10cmの大きさに裁断し熱風オーブンで150℃で5分間熱処理し擬似触媒層の状態を以下の基準で評価した。

○:擬似触媒層にほとんどひび割れがなく良好
△:擬似触媒層の一部(全面積の10%未満)にひび割れなどの外観不良が見られた
×:擬似触媒層の大部分(全面積の10%以上)にひび割れなどの外観不良が見られた
(実施例1〜11)
下記のアニール条件(1)でアニールした幅500mm、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(品番E5100、東洋紡社製を使用)を真空槽に投入し、1.5×10−4Paまで真空引きを行った。次に、アルゴンを導入し全圧を0.5Paに調整した。表1に記載の金属種のターゲットに2W/cm2の電力密度で電力を投入し、フィルム温度は25℃で、DCマグネトロンスパッタリング法により、金属薄膜層を成膜した。金属薄膜層の膜厚についてはフィルムが金属ターゲット上を通過するときの速度を変更することで制御を行った。フィルム温度は、フィルムが接触走行しているロールの温度を制御する温調機の温媒の温度を代用した。
・アニール条件(1)
乾燥炉内張力:40N/m(単位は幅1mあたりの張力(N))
乾燥温度:170℃
乾燥時間:9秒
(実施例12)
使用する厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムをコスモシャイン(商標登録)品番A4300(東洋紡社製)に変更した以外は実施例1と同様にして離型フィルムを作成した。
コスモシャイン(登録商標)品番A4300は、両面に易接着層がコーティングされた平滑性の高いフィルムである。このフィルムを使用して作成した離型フィルムの離型面も平滑性は高くなり、触媒層などを成型してもピンホールなどの欠点が発生しにくくなる。
(実施例13)
金属薄膜層を形成する前に、アニール加工しない以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを作成した。
(実施例14)
金属薄膜層を形成する前に、以下のアニール条件(2)でアニール加工した以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを作成した。
・アニール条件(2)
乾燥炉内張力:40N/m(単位は幅1mあたりの張力(N))
乾燥温度:130℃
乾燥時間:9秒
(実施例15)
金属薄膜層を形成する前に、以下のアニール条件(3)でアニール加工した以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを作成した。
・アニール条件(3)
乾燥炉内張力:40N/m(単位は幅1mあたりの張力(N))
乾燥温度:130℃
乾燥時間:5秒
(比較例1)
金属薄膜層を設けていない厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名E5100、東洋紡社製)の非コロナ処理面を用いた。
(比較例2)
環状ポリオレフィン系樹脂(TOPAS(登録商標)6017S ポリプラスチックス社製)2質量部をトルエン78質量部に溶解させ、さらにテトラヒドロフラン20質量部を加えて塗布液1を調整した。幅500mm、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名E5100、東洋紡社製)のコロナ処理面に、塗布液1を乾燥後の膜厚が100nmになるようにグラビアコーターで塗工し140℃で30秒間乾燥させて離型フィルムを作成した。
(参考例1)
厚み50μmのPTFEシート(ニチアス社製 ナフロン(登録商標)PTFEシート TOMBO No.9000)を用いて評価を行った。
本発明によれば、固体高分子燃料電池部材成型用途に代表される電子部品製造用途等に好適に使用される離型フィルムとして、高温処理後でも離型層中のオリゴマーや分解物の析出が少ないため、転写性にも優れた離型フィルムを提供することができる。

Claims (7)

  1. ポリエステルフィルムの少なくとも片面に離型層を有する離型フィルムであった、前記離型層が金属薄膜層であることを特徴とする離型フィルム。
  2. 離型層表面の表面自由エネルギーが40mJ/m以上であることを特徴とする請求項1に記載の離型フィルム。
  3. 160℃で30分熱処理した後の熱収縮率が1.0%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の離型フィルム。
  4. 金属薄膜層の厚みが100nm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の離型フィルム。
  5. 離型層表面の表面粗さ(Sa)が50nm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の離型フィルム。
  6. ヘイズが20%以下かつ全光線透過率が1%以上あることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の離型フィルム。
  7. 金属薄膜層が、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Mo、Ru、Pd、Ag、In、Sn、Ta、W、Re、Ir、Pt、Au、Tl及びPbから選ばれる金属を1種以上含んでいることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の離型フィルム。
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