JP2018060129A - 光学素子、撮像モジュール、撮像装置 - Google Patents

光学素子、撮像モジュール、撮像装置 Download PDF

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【課題】撮像モジュールや撮像装置をより薄型化できる光学部材、及び、これを備える撮像モジュール、撮像装置を提供する。【解決手段】光学素子部10は、集光作用を有する第1レンズシート11及び第2レンズシート12を備えるレンズ部13と、レンズ部13の出光側に設けられ、少なくとも一部が透光性を有し、少なくとも一部に配線パターンが形成された透光性基板14とを備える。この第1レンズシート11及び第2レンズシート12は、シート面に沿って配列され、一方の面側に凸状の単位レンズ形状112,122を有する光透過部111,121と、光透過部111,121と交互に配列され、各レンズシートの厚み方向に沿って延びる光吸収部113,123とを有する。【選択図】図2

Description

本発明は、光学素子、撮像モジュール、撮像装置に関するものである。
近年、スマートフォンやタブレット等の携帯端末に備えられるカメラにおいては、画質の向上等、様々に開発が行われている(例えば、特許文献1参照)。特に、スマートフォン等の携帯端末においては、薄型化が進んでおり、携帯端末に備えられるカメラ(以下、携帯端末用カメラという)においても、薄型化が図られている。
また、ライトフィールドカメラと呼ばれる、撮影後に焦点距離や被写界深度を変更できるカメラが開発され、近年広まっている(例えば、特許文献2参照)。このライトフィールドカメラは、イメージセンサ上に配置されたマイクロレンズアレイにより、入射光を分割して複数の方向の光を撮影することにより、撮影後に光の入射方向や強度に基づいて所定の画像処理を行って、画像の焦点距離や被写界深度を変更することができる。
特開2015−99345号公報 特表2015−520992号公報
携帯端末用カメラでは、高画質な画像を撮影するためには、レンズ収差の補正等が必要となる。そのため、携帯端末用カメラでは、複数枚のレンズにより構成される撮像レンズが用いられている。しかし、この撮像レンズは、複数枚のレンズにより構成されているため、全体としてのカメラの厚さ(約5〜7mm)の約80%(約4mm)を撮像レンズが占めることとなる。
そのため、携帯端末用カメラにおいて、高画質な画像の撮影と薄型化との両立が、大きな課題となっている。また、携帯端末用カメラについては、上述のライトフィールドカメラのような性能を備えることへの要求もあり、さらなる性能の向上も求められている。
ライトフィールドカメラでは、イメージセンサ上に配置される各マイクロレンズアレイの各レンズからの光(像)が、受光面(受光領域)上で重ならないようにするために、前述のような撮像レンズや、各レンズに対応した隔壁を有する隔壁シート等が必要となっている。
前述のように撮像レンズは、複数枚のレンズにより構成されるため、大型であり、ライトフィールドカメラの小型化、薄型化が困難であった。また、隔壁シートを配置する場合には、隔壁とマイクロレンズアレイとの位置合わせが困難であるという問題があった。
本発明の課題は、撮像モジュールや撮像装置をより薄型化できる光学素子、及び、これを備える撮像モジュール、撮像装置を提供することである。
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1の発明は、集光作用を有するレンズシート(11,12,42)を少なくとも一枚備える光学機能部(13,43)と、前記光学機能部の出光側に設けられ、少なくとも一部が透光性を有し、一部に配線パターンが形成された透光性基板(14)と、を備え、前記レンズシートは、シート面に沿って配列され、一方の面側に凸状の単位レンズ形状(112,122,422)を有する光透過部(111,121,421)と、前記光透過部と交互に配列され、前記レンズシートの厚み方向に沿って延びる光吸収部(113,123,423)とを有すること、を特徴とする光学素子(10)である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の光学素子において、前記光学機能部(13)は、第1レンズシート(11)と、その出光側に配置された第2レンズシート(12)とを備え、前記第1レンズシートと前記第2レンズシートは、互いのシート面が平行となるように配置され、前記第1レンズシートは、シート面に沿った第1の方向を長手方向として延在し、この長手方向に交差する第2の方向(R1)に配列され、一方の面側に凸状の第1単位レンズ形状(112)を有する第1光透過部(111)と、前記第1光透過部と交互に配列され、前記第1光透過部の長手方向となる前記第1の方向に延在し、前記第1レンズシートの厚み方向に沿って延びる第1光吸収部(113)と、を有し、前記第2レンズシートは、シート面に沿った第3の方向を長手方向として延在し、この長手方向に交差する第4の方向(R2)に配列され、一方の面側に凸状の第2単位レンズ形状(122)を有する第2光透過部(121)と、前記第2光透過部と交互に配列され、前記第2光透過部の長手方向となる前記第3の方向に延在し、前記第1レンズシートの厚み方向に沿って延びる第2光吸収部(123)と、を備え、前記第1光透過部の配列される第2の方向と、前記第2光透過部の配列される第4の方向とは、シート面の法線方向から見て、角度αをなして交差すること、を特徴とする光学素子(10)である。
請求項3の発明は、請求項2に記載の光学素子において、前記角度αは、80°≦α≦100°を満たすこと、を特徴とする光学素子(10)である。
請求項4の発明は、請求項1に記載の光学素子において、前記光学機能部(43)は、1枚のレンズシート(42)を備え、前記レンズシートは、シート面に沿って複数の方向に配列され、一方の面側に凸状の単位レンズ形状(422)を有する光透過部(421)と、互いに隣り合う前記光透過部の間に、各前記光透過部を囲むようにして設けられた光吸収部(423)と、を備えること、を特徴とする光学素子(10)である。
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の光学素子において、前記透光性基板(14)は、少なくとも一方の面に前記配線パターンが形成された配線領域(142)と、前記配線パターンが両面の対向する領域に形成されていない透光領域(141)とを備え、前記光学機能部(10)は、前記透光領域の入光側の面上に配置されること、を特徴とする光学素子(10)である。
請求項6の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の光学素子において、前記光学機能部(13,43)又は前記透光性基板(14)は、所定の波長領域の赤外線を遮蔽する赤外線遮蔽層を備えること、を特徴とする光学素子である。
請求項7の発明は、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の光学素子(10)と、前記光学素子の出光側に配置され、入射する光を電気信号に変換する複数の画素(212)が配列された受光領域(211)を有する撮像素子部(21)と、を備え、前記透光性基板は、少なくとも一方の面に前記配線パターンが形成された配線領域(142)と、前記配線パターンが両面の対向する領域に形成されていない透光領域(141)とを備え、前記撮像素子部は、前記透光領域の出光側の面に、前記受光領域が対面するように配置され、前記透光性基板の前記配線パターンと電気的に接続されていること、を特徴とする撮像モジュール(20)である。
請求項8の発明は、請求項7に記載の撮像モジュール(20)を備える撮像装置(1)である。
本発明によれば、撮像モジュールや撮像装置をより薄型化できる光学部材、及び、これを備える撮像モジュール、撮像装置を提供することができる。
第1実施形態のカメラ1を説明する図である。 第1実施形態の撮像モジュール20を説明する図である。 第1実施形態のレンズ部13を説明する図である。 第1実施形態のレンズ部13の第1レンズシート11を説明する図である。 第1実施形態のレンズ部13の第2レンズシート12を説明する図である。 第1実施形態の透光性基板14を光軸O方向(Z方向)から見た図である。 イメージセンサ21の受光領域211上での結像の様子等を説明する図である。 第1実施形態のレンズ部13の他の形態を説明する図である。 第1実施形態のレンズ部13の他の形態を説明する図である。 第2実施形態の撮像モジュール20を説明する図である。 第2実施形態のレンズ部43を説明する図である。 第2実施形態のレンズ部43を説明する図である。 第2実施形態のレンズ部43の他の形態を説明する図である。 第1レンズシート11の変形形態を説明する図である。 レンズ部13の変形形態を説明する図である。 第1レンズシート11の変形形態を説明する図である。 レンズ部13の変形形態を説明する図である。
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張している。
本明細書中において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、平行や直交等の用語については、厳密に意味するところに加え、同様の光学的機能を奏し、平行や直交と見なせる程度の誤差を有する状態も含むものとする。
また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
本明細書中において、板、シート等の言葉を使用しているが、これらは、一般的な使い方として、厚さの厚い順に、板、シート、フィルムの順で使用されており、本明細書中でもそれに倣って使用している。しかし、このような使い分けには、技術的な意味は無いので、これらの文言は、適宜置き換えることができるものとする。
また、本明細書中において、シート面とは、シート状の部材において、そのシート全体として見たときにおける、シートの平面方向となる面を示すものであるとする。なお、板面、フィルム面についても同様である。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態のカメラ1を説明する図である。
図2は、第1実施形態の撮像モジュール20を説明する図である。
図1を含め、以下に示す各図において、理解を容易にするために、XYZ直交座標系を適宜設けて示している。この座標系では、撮影者が、カメラ1を基本的な姿勢で支持し、光軸Oを水平として画像を撮影するとき、水平方向(左右方向)をX方向、鉛直方向(上下方向)をY方向とし、光軸Oの軸方向をZ方向とし、撮影者側から見て左側(被写体側から見て右側)に向かう方向を+X方向、鉛直方向上側に向かう方向を+Y方向、光軸O方向をZ方向とし、被写体側に向かう方向を+Z方向とする。
カメラ1は、被写体を撮像することができる撮像装置である。カメラ1は、図1に示すように、開口部31を有する筐体30内に、撮像モジュール20を備えている。
このカメラ1は、スマートフォン等の携帯電話やタブレット端末等の携帯端末に用いられる撮像装置であり、この筐体30は、携帯端末本体の筐体に相当する。カメラ1は、筐体30内に、さらに不図示の制御部、記憶部等を備えている。
開口部31は、被写体側からの光を、カメラ1内の撮像モジュール20へ取り込む部分である。
この開口部31には、カバーシート32が配置されている。カバーシート32は、透光性を有するシート状の部材であり、筐体30の開口部31を塞ぐように配置されている。このカバーシート32は、カメラ1及び撮像モジュール20内への埃やゴミ等の異物の侵入を防止する機能を有している。被写体側からの光は、このカバーシート32を透過して、撮像モジュール20へ入射する。
カバーシート32は、透光性を有し、ガラス又は樹脂により形成された本体層321と、本体層321のイメージセンサ側(−Z側)に形成された赤外線遮蔽層322とを備えている。
図1では、カメラ1は、カバーシート32と撮像モジュール20とが積層されている形態を示しているが、これに限らず、例えば、カバーシート32と撮像モジュール20とが積層されず、光軸O方向(Z方向)に近接して(光軸O方向にわずかに離間して)配置された形態としてもよい。
本実施形態のカバーシート32は、本体層321の厚さが、例えば、0.3mm程度、赤外線遮蔽層の厚さが、例えば、0.3mm程度である。
赤外線遮蔽層322は、所定の波長域の赤外線を遮蔽し、これ以外の波長域の光を透過する機能を有する層である。本実施形態の赤外線遮蔽層322は、特に、波長が700〜1100nmの領域である近赤外線を遮蔽し、これ以外の波長域の光を透過する機能を有している。この赤外線遮蔽層322は、所定の波長域(700〜1100nm)の赤外線を吸収することにより遮蔽する層としてもよいし、所定の波長域の赤外線を反射することにより遮蔽する層としてもよい。
このような赤外線遮蔽層322をイメージセンサ21よりも被写体側(+Z側)に設けることにより、ノイズを発生させて画質の劣化を招く赤外線(特に、近赤外線)を遮蔽することができ、カメラ1及び撮像モジュール20の撮影する画質の向上を図ることができる。
本実施形態の撮像モジュール20は、被写体側(+Z側)から順に、レンズ部13及び透光性基板14を備える光学素子部10と、イメージセンサ21とを備える。この撮像モジュール20は、前述の制御部からの出力信号により、光学素子部10によってイメージセンサ21の被写体側(+Z側)の面に設けられた受光領域211上に結像した像を撮像する。
本実施形態では、理解を容易にするために、光学素子部10及びイメージセンサ21は、光軸O方向(Z方向)から見て正方形状である例を示すが、これに限らず、長方形状等としてもよい。また、本実施形態では、光軸Oは、Z方向(光軸O方向)から見て、光学素子部10(レンズ部13、透光性基板14)及びイメージセンサ21の受光領域211の幾何学的中心に直交している。
図3は、第1実施形態のレンズ部13を説明する図である。図3(a)では、レンズ部13の第1レンズシート11及び第2レンズシート12の斜視図を示している。図3(b)では、光軸O方向(Z方向)から見た第1レンズシート11の光透過部111の配列方向R1及び第2レンズシート12の光透過部121の配列方向R2を示している。なお、図3(a)では、理解を容易にするために、第1レンズシート11と第2レンズシート12とは、光軸O方向(Z方向)に大きく離間させて示している。
図4は、第1実施形態のレンズ部13の第1レンズシート11を説明する図である。
図5は、第1実施形態のレンズ部13の第2レンズシート12を説明する図である。
図4では、第1レンズシート11の光透過部111の配列方向(Y方向)及び第1レンズシート11の厚み方向(Z方向)に平行な断面の一部を拡大して示している。図5では、第2レンズシート12の光透過部121の配列方向(X方向)及び第2レンズシート12の厚み方向(Z方向)に平行な断面の一部を拡大して示している。
レンズ部13は、光軸O方向(Z方向)において、透光性基板14の被写体側(+Z側)に配置されている。
レンズ部13は、光軸O方向(Z方向)に沿って被写体側(+Z側)から順に、第1レンズシート11と、第2レンズシート12とを備える光学機能部である。
第1レンズシート11は、シート面に沿って一方向に延在し、延在方向に交差(直交)する方向に複数配列された光透過部111と、光透過部111の配列方向において、光透過部111と交互に配置される光吸収部113とを備えている。また、第1レンズシート11は、第1の面11aと第2の面11bとを有している。
光透過部111は、光を透過する部分であり、第1の面11a側に、凸形状の単位レンズ形状112を有している。したがって、第1レンズシート11の第1の面11a(本実施形態ではイメージセンサ側(−Z側)の面)には、単位レンズ形状112が複数形成されている。
本実施形態の第1レンズシート11では、光透過部111は、その配列方向R1が上下方向(Y方向)に平行であり、その長手方向(延在方向、稜線方向)が左右方向(X方向)に平行となっている。
単位レンズ形状112は、凸形状である。本実施形態では、第1レンズシート11の単位レンズ形状122は、イメージセンサ側(−Z側)に凸となっている。また、単位レンズ形状112は、光透過部111の配列方向R1(Y方向)及び第1レンズシート11の厚み方向(Z方向)に平行な断面における断面形状が円の一部形状となっている。単位レンズ形状112は、この断面形状が光透過部111の長手方向に沿って延在している。
単位レンズ形状112の表面には、反射防止機能を有する不図示の反射防止層が形成されている。この反射防止層は、反射防止機能を有する材料(例えば、フッ化マグネシウム(MgF)、二酸化ケイ素(SiO)、フッ素系光学用コーティング剤等)を所定の膜厚でコーティングする等により形成される。
光透過部111の他方の面となる第2の面11b側には、光透過部111がシート面(XY面)に平行な方向に連続しているランド部114が形成されている。ランド部114は、その厚みが可能な限り薄い方が好ましく、ランド部114の厚さが0であること(即ち、ランド部114が存在しない形態)が、迷光や後述のクロストーク等を抑制し、高画質の画像を提供する観点から理想的である。
第1レンズシート11の他方の面となる第2の面11b(本実施形態では、被写体側(+Z側)の面)は、略平面状となっている。
光透過部111は、光透過性を有する樹脂により形成され、その屈折率N1は、約1.38〜1.60である。
このような光透過部111は、例えば、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート等の紫外線硬化型樹脂を用いて、紫外線成形法等により形成されている。
なお、これに限らず、光透過部111は、電子線硬化型樹脂等の他の電離放射線硬化型樹脂により形成してもよい。また、光透過部111は、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂等の熱可塑性樹脂等を用いて熱溶融押出成形法等により形成されてもよいし、ガラスにより形成されてもよい。
光吸収部113は、光を吸収する作用を有する部分である。本実施形態の光吸収部113は、第1レンズシート11の厚み方向(Z方向)に沿って、単位レンズ形状112が形成されている第1の面11a側から反対側の第2の面11b側へ延びる壁状の部分である。また、光吸収部113は、光透過部111の長手方向(X方向)に沿って延在している。この光吸収部113の第1の面11a側の端部は、単位レンズ形状112間に位置している。
光吸収部113は、その配列方向(Y方向)及び第1レンズシート11の厚み方向(Z方向)に平行な断面における断面形状が楔形形状、もしくは、矩形形状である。ここでいう楔形形状とは、一方の端部の幅が広く、他方に向けて次第に幅が狭くなる形状をいい、三角形形状や台形形状等を含む。
本実施形態の光吸収部113は、その配列方向及び第1レンズシート11の厚み方向に平行な断面での断面形状が、第1の面11a側の寸法が第2の面11b側の寸法に比べて大きい等脚台形形状となっている。これに限らず、光吸収部113は、その配列方向及び第1レンズシート11の厚み方向に平行な断面での断面形状が、第2の面11b側端部を頂点とする三角形形状としてもよい。
光吸収部113は、光透過部111内を進む光のうち、隣接する他の光透過部111側へ向かうような迷光を吸収する機能を有する。
光吸収部113の屈折率N2は、約1.48〜1.60である。また、光吸収部113の屈折率N2は、光透過部111の屈折率N1に対して、N2≧N1となっていることが好ましい。これは、光吸収部113と光透過部111との界面で、光が全反射する等して、不要な光がイメージセンサ21に到達することを防ぐためである。
このような光吸収部113は、カーボンブラック等の光吸収性を有する材料(以下、光吸収材という)や、光吸収材を含有した樹脂等により形成される。
光吸収部113に用いられる光吸収材は、可視光領域の光を吸収する機能を有する粒子状等の部材が好適である。このような部材としては、カーボンブラック、グラファイト、黒色酸化鉄等の金属塩、顔料や染料、顔料や染料で着色された樹脂粒子等が挙げられる。
光吸収材として顔料や染料で着色された樹脂粒子を用いる場合には、その樹脂粒子は、アクリル系樹脂や、PC(ポリカーボネート)樹脂、PE(ポリエチレン)樹脂、PS(ポリスチレン)樹脂、MBS(メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン)樹脂、MS(メチルメタクリレート・スチレン)樹脂等により形成されたものが用いられる。
また、光吸収材としては、カーボンブラック等と上記のような着色された樹脂粒子とを組み合わせて用いてもよい。
このような光吸収材を含有する樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等の紫外線硬化型樹脂や電子線硬化型樹脂等の電離放射線硬化型樹脂が挙げられる。
本実施形態の光吸収部113は、カーボンブラックを含有するアクリル系樹脂により形成されている。
光吸収部113は、例えば、光透過部111を形成した後に、光透過部111間の光吸収部113が形成される溝状の部分に、第1の面11a側の面側から光吸収部113を形成する材料を塗布し、ワイピング等で光透過部111間の溝状の部分に光吸収部113を充填した後、硬化させる等により形成される。
また、光吸収部113を形成する材料は、光透過部111間の溝状の部分に、例えば、真空充填により充填してもよいし、毛細管現象を利用して充填してもよい。
第1レンズシート11の各部の寸法は、以下の通りである。
光透過部111(単位レンズ形状112)の配列ピッチPは、約10〜230μmとすることが好ましい。
単位レンズ形状112の曲率半径Rは、約10〜180μmとすることが好ましい。
単位レンズ形状112のレンズ開口幅D1(光透過部111の配列方向において、光吸収部113の最も第1の面11a側の端部と光透過部111との境界となる点t1〜点t2間の寸法)は、約10〜200μmとすることが好ましい。
単位レンズ形状112のレンズ高さH1(第1レンズシート11の厚み方向(Z方向)において、光吸収部113の第1の面11a側の面から単位レンズ形状112の最も凸となる点(頂点)t3までの寸法)は、約2〜40μmとすることが好ましい。
光吸収部113の第1の面11a側の幅D2(光透過部111及び光吸収部113の配列方向における、光吸収部113の最も第1の面11a側端部の寸法)は、約1〜30μmとすることが好ましい。
光吸収部113の高さH2(第1レンズシート11の厚み方向(Z方向)における光吸収部113の寸法)は、約20〜470μmとすることが好ましい。
光吸収部113と光透過部111との界面がシート面の法線方向(Z方向)となす角度θは、0〜10°程度とすることが好ましい。
ランド厚D3は、ランド部114の厚さ(第1レンズシート11の厚み方向(Z方向)において、光吸収部113の第2の面11b側先端から第2の面11bまでの寸法)であり、約1〜50μmとすることが、迷光や、所定の光透過部111(単位レンズ形状112)に入射した光が、隣接する他の光透過部111(単位レンズ形状112)側へ光が進んでしまうことを抑制する観点から好ましい。
第1レンズシート11の総厚T(第1レンズシート11の厚み方向(Z方向)における第2の面11bから単位レンズ形状112の頂点となる点t3までの寸法)は、約30〜480μmとすることが好ましい。
第1レンズシート11は、上記寸法範囲で形成されることによって、その焦点距離が約24〜300μm(空気中の換算値)となる。
第2レンズシート12は、第1レンズシート11のイメージセンサ側(−Z側)に位置するレンズシートである。
第2レンズシート12は、前述の第1レンズシート11と略同様の形状であり、単位レンズ形状122を有する光透過部121、光吸収部123等を有している。また、第2レンズシート12は、第1の面12a、第2の面12bを有している。
この第2レンズシート12は、単位レンズ形状122が形成される第1の面12aの位置、及び、光透過部121(単位レンズ形状122)及び光吸収部123の配列方向R2が、前述の第1レンズシート11とは異なっている。
第2レンズシート12では、第1の面12aは、被写体側(+Z側)に位置し、第2の面12bは、イメージセンサ側(−Z側)に位置している。
また、図3(b)に示すように、第2レンズシート12では、光透過部121及び光吸収部123の配列方向R2は、光軸O方向(Z方向)から見て、第1レンズシート11の光透過部111及び光吸収部113の配列方向R1と交差し、角度αをなしている。本実施形態では、この角度α=90°である。即ち、第2レンズシート12の光透過部121(単位レンズ形状122)及び光吸収部123は、長手方向(稜線方向)が上下方向(Y方向)に平行であり、左右方向(X方向)に平行に配列されている。
この第2レンズシート12は、第1レンズシート11と同様の材料を用いて形成することができる。
このような第1レンズシート11及び第2レンズシート12を備える本実施形態のレンズ部13の厚さは、例えば、約0.20mmである。
本実施形態の第1レンズシート11と第2レンズシート12とは、互いのシート面が平行となるように配置され、光軸O方向(Z方向)において単位レンズ形状112の頂点t3と単位レンズ形状122の頂点t3との間にわずかに空気層が存在している。即ち、第1レンズシート11と第2レンズシート12とは、光軸O方向(Z方向)にわずかに離間しており、接していない。単位レンズ形状112の頂点t3と単位レンズ形状122の頂点t3との間のZ方向における寸法は、可能な限り小さいことが好ましい。
なお、これに限らず、第1レンズシート11と第2レンズシート12とは、光軸O方向(Z方向)において単位レンズ形状112,122の頂点(点t3)で互いに接した状態で積層されて配置される形態としてもよい。
このレンズ部13に入射した光は、単位レンズ形状112,122により、後述するイメージセンサ21の被写体側の面に設けられた受光領域211上が焦点となるように集光される。即ち、単位レンズ形状112,122の曲率半径R、光透過部111,121の屈折率N1等は、イメージセンサ21の受光領域211上が焦点となるように設定されている。
図6は、第1実施形態の透光性基板14を光軸O方向(Z方向)から見た図である。
透光性基板14は、透光性を有する材料によって形成された板状の部材である。透光性基板14は、図2に示すように、レンズ部13のイメージセンサ側(−Z側)に配置されている。透光性基板14は、その被写体側(入光側、+Z側)の面14a及びイメージセンサ側(出光側、−Z側)の面14bの少なくとも一部には、電気信号を伝達する不図示の配線パターンや端子を備えている。透光性基板14の両面14a,14bは、互いに平行であり、光軸O方向に対して直交する。
透光性基板14は、光軸O方向(板面の法線方向、Z方向)から見て、中央部に両面14a,14bに配線パターンが形成されていない透光領域141を有し、この透光領域141の外側に少なくとも一方の面に配線パターンや端子が形成された配線領域142を有している。透光性基板14の両面14a,14bの配線パターンは、配線領域142に設けられた不図示の導通孔等により導通が確保されている。
透光領域141の被写体側(入光側、+Z側)の面14a上には、レンズ部13が配置されている。本実施形態では、透光領域141の被写体側(入光側、+Z側)の面14a上に第2レンズシート12が不図示の接合層を介して接合されている。
また、透光領域141のイメージセンサ側(出光側、−Z側)の面14b上には、イメージセンサ21が配置されている。本実施形態では、透光領域141のイメージセンサ側(出光側、−Z側)の面14bとイメージセンサ21の受光領域211とが対面するように配置されている。また、配線領域142に設けられた不図示の端子は、後述するイメージセンサ21の非受光領域に設けられた端子と、半田等の導電性を有する接合部材によって接合され、電気的に接続されている。さらに、透光性基板14の配線領域142に設けられた不図示の端子は、不図示のリードフレームの端子等に電気的に接続されている。
透光性基板14は、絶縁性が十分に確保でき、かつ、高い透光性を得られるという観点から、ガラスにより形成されている。なお、ガラスについては、ガラス中のNaやKがガラス表面に溶出してイメージセンサ21の端子部等を腐食させる可能性が原理的にないという点から、無アルカリガラスを用いることが好ましい。
また、配線パターンは、例えば、銅箔等の金属箔を積層してエッチングしたり、銅等の金属をスパッタ加工、蒸着加工、めっき加工したり、金属ナノペースト等の導電性ペーストを塗布したりする等により形成できる。
透光性基板14の両面14a,14bの配線領域142等には、配線パターン間を絶縁させるための絶縁性を有する樹脂層等が配線パターン間に適宜設けられている。また、配線パターンを保護する目的で、絶縁性を有する樹脂等により、配線パターン上に不図示のカバー膜を設けてもよい。これらの樹脂としては、透光性を有していてもよいし、透光性を有しなくともよい。
この透光性基板14の厚さは、0.4〜1.0mm程度とすることが好ましい。本実施形態の透光性基板14の厚さは、例えば、約0.4mmである。
また、透光性基板14の屈折率(特に、透光領域141の屈折率)は、約1.38〜1.60とすることが好ましい。本実施形態の透光性基板14(透光領域141)の屈折率は、例えば、1.55である。
なお、本実施形態では、透光性基板14は、配線パターンが形成された配線領域142を備える例を挙げて説明したが、これに限らず、透光性基板14上に電子部品等を配置して、回路パターンをその両面14a,14bに備える形態としてもよい。
光軸O方向(Z方向)から見て、透光領域141は、その大きさがレンズ部13及びイメージセンサ21の受光領域211よりも大きく、レンズ部13及び受光領域211は、透光領域141の内側に位置している。したがって、レンズ部13を透過した光は、配線領域142に入射することなく、透光領域141を透過してイメージセンサ21の受光領域211へ到達する。
前述のように、透光性基板14とレンズ部13の第2レンズシート12とは、透光性を有する不図示の接合層により、接合されている。このような形態とすることにより、第2レンズシート12と透光性基板14との光学密着を抑制することができる。
この不図示の接合層は、透光性を有する粘着剤又は接着剤により形成されている。また、この不図示の接合層の屈折率は、透光性基板14の透光領域141の屈折率及び第2レンズシート12の光透過部121の屈折率N1との屈折率差が可能な限り小さいことが好ましい。
また、イメージセンサ21の駆動時の発熱によるレンズ部13の反り等の変形を抑制する観点から、この不図示の接合層は、耐熱性を有することが好ましい。
このような接合層としては、エポキシ樹脂製、ウレタン樹脂製等の粘着剤、接着剤が好適である。
なお、この接合層は、その屈折率が光透過部121の屈折率N1よりも小さいものも適用可能であり、例えば、シリコーン系粘着剤が適用可能である。
イメージセンサ21は、光学素子部10よりも筐体30内部側(−Z側)に設けられており、被写体側(+Z側)の面に設けられた受光領域211で受光した光を電気信号に変換して出力する部分である。イメージセンサ21は、略平板状であり、被写体側の面に、光を受光可能な受光領域211を有している。また、イメージセンサ21において、被写体側の面の受光領域211の外側は、光を受光しない非受光領域となっている。
イメージセンサ21は、非受光領域に、不図示の端子部を有しており、前述のように、この端子部が透光性基板14のイメージセンサ側(出光側)の面14bに設けられた端子部と導電性を有する接合部材である半田等により接続及び接合されている。また、この半田により、イメージセンサ21と透光性基板14とは接合されている。
本実施形態では、透光性基板14とイメージセンサ21とは、フリップチップボンディング法を用いて実装されている。なお、これに限らず、ワイヤーボンディング法等の他の方法により実装されていてもよい。
イメージセンサ21は、受光領域211に複数の画素212(後述する図5(a)参照)が2次元方向に配列されており、各画素212は、その画素212に入射した光の強度を検出可能である。本実施形態では、イメージセンサ21の画素212は、受光領域211において、左右方向及び上下方向(X方向及びY方向)に複数配列されている。
このようなイメージセンサ21としては、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等が好適に用いられる。本実施形態のイメージセンサ21は、CMOSが用いられている。
また、このイメージセンサ21の厚さは、約0.1〜0.2mmである。本実施形態でのイメージセンサ21の厚さは、例えば、約0.15mmである。
本実施形態では、まず、透光性基板14とイメージセンサ21とを半田等で接続及び接合し、さらに透光性基板14の他方の面にレンズ部13を接合層等によって接合して、撮像モジュール20を作製する。そして、撮像モジュール20を筐体30内の所定の位置に配置し、カメラ1を作製する。
なお、透光性基板14とレンズ部13とを接合したのち、透光性基板14の他方の面(出光側となる面14b)にイメージセンサ21を配置し、透光性基板14と接続及び接合してもよい。
ここで、図3(b)に示すように、第1レンズシート11、第2レンズシート12は、光軸O方向(Z方向)から見た場合に、光透過部111(単位レンズ形状112)の配列方向R1と光透過部121(単位レンズ形状122)の配列方向R2とが角度α=90°をなすように配置されている。また、第1レンズシート11、第2レンズシート12は、光透過部111,121間に光吸収部113,123が形成されている。
従って、レンズ部13は、光学的には、マイクロレンズが2次元方向(X方向及びY方向)に配置され、各マイクロレンズ間に遮光壁が形成された状態に略等しい。
被写体からの光は、開口部31のカバーシート32を透過して撮像モジュール20内に入射する。そして、被写体からの光は、レンズ部13に入射し、第1レンズシート11及び第2レンズシート12を透過する。
そして、被写体からの光は、第1レンズシート11の単位レンズ形状112により、その配列方向であるY方向(上下方向)において集光され、また、第2レンズシート12の単位レンズ形状122により、その配列方向であるX方向(左右方向)において集光される。また、光透過部111,121内を光軸O方向に対して大きな角度をなす方向へ進む光の少なくとも一部は、光吸収部113,123に入射して吸収される。そして、レンズ部13を透過した光は、透光性基板14を透過し、イメージセンサ21の受光領域211上で結像する。
図7は、イメージセンサ21の受光領域211上での結像の様子等を説明する図である。
前述のように、レンズ部13は、光学的には、マイクロレンズが2次元方向(X方向及びY方向)に配置され、各マイクロレンズ間に遮光壁が形成された状態に等しい。
したがって、図7(a)に示すように、イメージセンサ21の受光領域211上には、この疑似的な各マイクロレンズにより結像された各像が、それぞれ重なることなく形成される。
本実施形態では、この疑似的なマイクロレンズの1つ1つのレンズに対して、イメージセンサ21の複数の画素212(図7(a)においては、X方向に4行、Y方向に4列の計16個)が対応するように配置されている。そして、撮影時には、各画素212には、対応する疑似的なマイクロレンズにより分割された光が入射し、各画素212により、その画素212に入射した光の強度が検出される。また、各画素212と、その画素に入射した光が透過した単位レンズ形状112,122のXY平面上の位置(XY平面上の疑似的なマイクロレンズの位置)との関係から、その画素212に入射した光の入射方向が検出可能となる。
撮影時に撮像モジュール20により得られた、各画素212が検出した入射光の強度及び入射方向の情報は、カメラ1の不図示の記憶部に記憶される。そして、不図示の制御部により各種演算等が行われることにより、撮影後に、その焦点距離や被写界深度等を変更した(リフォーカス処理を行った)画像データとして生成可能である。
一般的に、ライトフィールドカメラにおいて、マイクロレンズアレイの1つのマイクロレンズに対して、イメージセンサの所定の領域内に位置する複数個の画素が対応している。そして、それぞれのマイクロレンズによる像が、対応する領域内に投影されることが重要である。
このとき、例えば、図7(b)に示すように、各マイクロレンズの像が隣の領域等にも投影され、像が重なると、被写体面上で異なる位置と角度を有する光が同一の画素212に入射するクロストークという現象が生じ、光の入射方向や強度を分解できなくなる。
これを解消するために、従来のライトフィールドカメラでは、マイクロレンズアレイよりも被写体側に設けられた撮像レンズの絞りを利用したり、マイクロレンズアレイの各単位レンズに対応した隔壁を有する隔壁シートをマイクロレンズアレイのイメージセンサ側等に別体で用意したりする必要があった。
しかし、本実施形態では、光吸収部113,123が、光透過部111,121間に形成され、各レンズシートの厚み方向(Z方向)に延びているので、撮像レンズや隔壁シート等を用いることなく、かつ、図7(a)に示すようにクロストークを生じさせることなく、単位レンズ形状112,122により集光された光を、イメージセンサ21の対応する領域の画素212に入射させることができる。これにより、画素212は、入射光の強度と入射方向の情報を高精度で出力することができる。
以上のことから、本実施形態では、撮影後に、その焦点距離や被写界深度等を変更可能であり、焦点距離や被写界深度を変更可能な撮像モジュール20及びカメラ1とすることができる。
従って、本実施形態によれば、従来の撮像モジュールやカメラで必要であった複数枚の光学レンズからなる撮像レンズが不要であるので、撮像モジュール20及びカメラ1の大幅な薄型化、軽量化を図ることができる。具体的には、撮像レンズ等を備える従来の携帯端末用カメラにおけるカバーシートからイメージセンサが接続される基板までの厚さが約5〜7mmであるのに対して、本実施形態では、光軸O方向におけるカバーシート32からイメージセンサ21までの厚みを、例えば、約1.4mmまで薄型化できる。また、撮像レンズやこれを保持するレンズホルダー等が不要となるので、撮像モジュール20及びカメラ1の生産コストを低減できる。さらに、カメラ1が搭載される携帯端末本体等の薄型化を妨げることがなく、意匠性の向上にも寄与できる。
また、本実施形態によれば、イメージセンサ21は、透光性基板14よりも筐体30内部側(−Z側)に配置されるので、従来の携帯端末用カメラに比べて、透光性基板14よりも被写体側(+Z側)の領域の厚みを大幅に薄くすることができ、かつ、透光性基板14よりも筐体30内部側のスペース(バックスペース)を有効利用することができる。
また、本実施形態によれば、イメージセンサ21と透光性基板14とを、ワイヤーボンディング法を用いることなく、フリップチップボンディング法等を用いて接続でき、更なる省スペース化を図ることができる。
また、本実施形態によれば、撮影時に、イメージセンサ21の画素212が入射光の強度と入射方向とを高精度で出力でき、撮影後に、その焦点距離や被写界深度等を変更可能であり、焦点距離や被写界深度を変更可能なライトフィールドカメラとしての機能を携帯端末用カメラに付与することができ、カメラ1の高性能化を図ることができる。
しかも、本実施形態の撮像モジュール20及びカメラ1は、パンフォーカスでの撮影画像も形成可能であり、様々な焦点距離及び被写界深度での撮影画像が形成可能となり、カメラ機能の向上をさらに図ることができる。
また、本実施形態によれば、従来のライトフィールドカメラで必要であった、撮像レンズや、マイクロレンズアレイとは別体の光線分割用の隔壁シート等が不要となり、小型化が困難であったライトフィールドカメラの薄型化及び軽量化、生産コストの低減等を図ることができる。
また、本実施形態によれば、第1レンズシート11,第2レンズシート12内に、光透過部111,121(単位レンズ形状112,122)に対応して光吸収部113,123が一体に形成されているので、従来のライトフィールドカメラで必要であった隔壁シートとマイクロレンズアレイが不要となり、また、マイクロレンズアレイと隔壁シートとの高精度の位置合わせも不要となる。
従って、マイクロレンズアレイと隔壁シートとの位置合わせ精度ずれによる歩留りの低下を抑制できる。また、位置合わせが不要となるので、ハンドリングが容易となり、撮像モジュール20及びカメラ1の製造が容易に行え、さらに、生産コスト低減できる。
また、本実施形態によれば、光透過部111,121のレンズ開口幅D1を小さくしてX方向及びY方向に配列される単位レンズ形状112,122を増やすことも容易であり、かつ、光吸収部113,123が一体に形成されるので、レンズ部13による疑似的なマイクロレンズをより細密化することができ、画像の空間解像度を容易に向上させることができる。
以下、上述の第1実施形態の他の形態を説明する。以下の説明において、上述の第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
<第1レンズシート11の第1の面11a及び第2レンズシート12の第1の面12aの位置について>
図8は、第1実施形態のレンズ部13の他の形態を説明する図である。図8において、第1レンズシート11及び第2レンズシート12は、理解を容易にするために、Z方向(光軸O方向)において大きく離間させて示している。
図8に示すように、レンズ部13の第1レンズシート11及び第2レンズシート12は、その第1の面11a,12aが被写体側(+Z側)であるか、イメージセンサ側(−Z側)であるかは、適宜選択できる。
図8(a)に示すように、第1レンズシート11の第1の面11a及び第2レンズシート12の第1の面12aは、いずれも被写体側(+Z側)となるように配置されていてもよい。
また、図8(b)に示すように、第1レンズシート11の第1の面11a及び第2レンズシート12の第1の面12aは、いずれもイメージセンサ側(−Z側)となるように配置されていてもよい。
さらに、図8(c)に示すように、第1レンズシート11の第1の面11aは、被写体側(+Z側)であり、第2レンズシート12の第1の面12aは、イメージセンサ側(−Z側)となるように配置されていてもよい。
図8(b),(c)に示すように、第2レンズシート12の第1の面12aがイメージセンサ側に位置する場合、第2レンズシート12と透光性基板14とを接合する接合層の屈折率は、光透過部121の屈折率よりも小さいことが好ましい。
また、図8(c)に示すように、第1レンズシート11と第2レンズシート12とが、互いに第2の面11b,12bを対面させて配置される場合には、光学密着による迷光の発生を抑制する観点から、第1レンズシート11及び第2レンズシート12との間に、不図示のスペーサを配置してもよい。
また、図8(c)に示す形態の場合、光学密着を抑制する観点から、第1レンズシート11と第2レンズシート12との間に、不図示の接合層を全面に設けて、第1レンズシート11と第2レンズシート12とを一体に接合してもよい。この場合、第1レンズシート11と第2レンズシート12とを接合する接合層は、その接合層と各第2の面11b,12bとの界面での光の反射を防ぐ観点から、その屈折率が、光透過部111,121の屈折率N1と等しい、もしくは、屈折率差が可能な限り小さいものが好ましい。
<光透過部111,121の配列方向について>
レンズ部13は、第1レンズシート11の光透過部111(単位レンズ形状112)が左右方向(X方向)に配列され、第2レンズシート12の光透過部121(単位レンズ形状122)が上下方向(Y方向)に配列される形態としてもよい。
また、第1レンズシート11の光透過部111(単位レンズ形状112)の配列方向R1と、第2レンズシート12の光透過部121(単位レンズ形状122)の配列方向R2とがなす角度αは、90°±10°の範囲、即ち、80°〜100°の範囲内であれば、レンズ部として所望される光学的機能は維持される。従って、角度αは、90°に限定されず、80°〜100°の範囲内としてもよい。
これにより、第1レンズシート11と第2レンズシート12とによりレンズ部13を形成し、撮像モジュール20を組み立てる際に、第1レンズシート11の光透過部111の配列方向R1と第2レンズシート12の光透過部121の配列方向R2とのなす角度αを厳密に90°として配置しなくともよく、第1レンズシート11と第2レンズシート12との位置合わせや撮像モジュール20の組み立て作業の容易化、作業効率の向上、歩留りの向上を図ることができる。
<光透過部111,121の配列方向R1,R2とイメージセンサ21の画素212の配列方向G1,G2について>
図9は、第1実施形態のレンズ部13の他の形態を説明する図である。図9では、レンズ部13の光透過部111,121の配列方向R1,R2と、イメージセンサ21の画素212の配列方向G1,G2とを光軸O方向(Z方向)から見た様子を示している。
上述の実施形態では、図9(a)に示すように、イメージセンサ21の画素212が光軸O方向(Z方向)に対して直交する2つの方向G1,G2(第1実施形態ではY方向及びX方向)に配列され、第1レンズシート11の光透過部111の配列方向R1は、画素212の配列方向の1つの方向G1(Y方向)に平行であり、第2レンズシート12の光透過部121の配列方向R2は、画素212の配列方向のもう1つの方向G2(X方向)に平行である例を示した。このとき、光軸O方向(Z方向)から見て、配列方向R1と配列方向G1とがなす角度β、配列方向R2と配列方向G2とがなす角度γは、いずれも0°である。
これに限らず、図9(b)に示すように、例えば、光軸O方向(Z方向)から見て、角度β及び角度γは、0〜10°の範囲内であれば、光学的な機能は維持されるので、この範囲内で適宜選択して設定してよい。
このような形態とすることにより、イメージセンサ21の画素212とレンズ部13の各光透過部111,121との位置合わせが容易となり、製造作業の簡略化や作業時間の短縮、歩留りの向上等を図ることができる。
なお、図9(b)では、画素212の配列方向G1,G2は、それぞれY方向及びX方向に平行である例を示しているが、これに限らず、光透過部111,121の配列方向R1,R2がY方向及びX方向に平行であり、画素212の配列方向G1,G2とそれぞれ角度β,γをなす形態としてもよいし、配列方向G1,G2及び配列方向R1,R2が、それぞれ角度β,γをなし、かつ、いずれもY方向及びX方向に平行でない形態としてもよい。
(第2実施形態)
図10は、第2実施形態の撮像モジュール20を説明する図である。
第2実施形態の撮像モジュール20は、光学素子部10のレンズ部43が異なる以外は、前述の第1実施形態の撮像モジュール20と同様の形態である。従って、第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
第2実施形態の撮像モジュール20は、光学素子部10と、イメージセンサ21とを備えており、前述の第1実施形態に示したカメラ1に適用され、第1実施形態の撮像モジュールと同様にカメラ1の筐体30内に配置されている。
第2実施形態の光学素子部10は、レンズ部43と、透光性基板14とを備えている。
図11及び図12は、第2実施形態のレンズ部43を説明する図である。
図11は、第2実施形態のレンズ部43を被写体側(+Z側)見た正面図である。図12(a)は、図11に示す矢印A1−A2に沿ったレンズ部43の断面(YZ断面)の一部を拡大した拡大図であり、図12(b)は、図10に示す矢印B1−B2に沿ったレンズ部43の断面(XZ断面)の一部を拡大した拡大図である。
本実施形態のレンズ部43は、1枚のレンズシート42により形成されている。
レンズシート42は、光軸O方向(Z方向)において、透光性基板14の被写体側(+Z側)に配置され、そのイメージセンサ側(−Z側)の面が不図示の接合層により透光性基板14の透光領域141の被写体側(+Z側)の面に接合されている。
レンズシート42は、図11及び図12に示すように、シート面に沿ってX方向及びY方向に等間隔に配列される複数の光透過部421と、互いに隣り合う光透過部421間に、各光透過部421を囲むようにして設けられる光吸収部423とを備えている、いわゆるマイクロレンズアレイシートである。
光透過部421は、光を透過する透明な部分であり、第1の面42a側(本実施形態では、被写体側(+Z側))に、凸形状の単位レンズ形状422を有している。また、レンズシート42の第2の面42b(本実施形態のイメージセンサ側(−Z側)の面)は、略平面状となっている。
単位レンズ形状422は、略半球状の形状に形成されており、鉛直方向(Y方向)及び左右方向(X方向)に対称な形状に形成されている。即ち、単位レンズ形状422は、YZ断面における断面形状とXZ断面における断面形状とが、円の一部形状(円弧形状)となっている。また、単位レンズ形状422(光透過部421)は、レンズシート42のシート面の法線方向(光軸O方向、Z方向)から見た形状が円形状に形成されている。ここで、略半球状とは、半球だけでなく、球の一部形状や回転楕円体の一部形状を含む形状をいう。
単位レンズ形状422の表面には、不図示の反射防止層が形成されている。この反射防止層は、前述の第1実施形態において単位レンズ形状112,122の表面に形成される反射防止層と同様の材料、方法により形成される。
光透過部421の第2の面42b側には、シート面(XY面)に平行な方向に連続しているランド部424が形成されている。
このランド部424は、その厚みが可能な限り薄い方が好ましく、ランド部424の厚さが0であること(即ち、ランド部424が存在しない形態)が、迷光等を防止し、高画質の画像を提供する観点から理想的である。
光透過部421は、前述の第1実施形態に示した第1レンズシート11及び第2レンズシート12の光透過部111,121と同様の材料により形成可能である。
光吸収部423は、光を吸収する作用を有する部分であり、互いに隣り合う光透過部421間に、各光透過部421を囲むようにして設けられている。光吸収部423は、レンズシート42の厚み方向(Z方向)に沿って、単位レンズ形状422が形成された第1の面42aから反対側の第2の面42b側に延びるようにして形成されている。
光吸収部423は、図11及び図12に示すように、レンズシート42の厚み方向(Z方向)に平行な断面における断面形状が楔形形状、又は、矩形形状に形成されている。
本実施形態の光吸収部423は、レンズシート42の厚み方向(Z方向)に平行な面における断面形状において、第1の面42a側の寸法が第2の面42b側の寸法に比べて大きい等脚台形形状に形成されている。なお、これに限らず、光吸収部423は、厚み方向(Z方向)に平行な面における断面形状が、第2の面42b側を頂点とする三角形形状としてもよい。
光吸収部423は、前述の第1実施形態の第1レンズシート11及び第2レンズシート12の光吸収部113,123と同様の材料により形成可能である。
本実施形態においても、光吸収部423の屈折率N2は、光透過部421の屈折率N1に対して、N2≧N1となっていることが好ましい。これは、光吸収部423と光透過部421との界面で、光が全反射する等し、不要な光がイメージセンサ21に到達することを防ぐためである。
本実施形態のレンズ部43のレンズシート42の各部の寸法は、以下の通りである。
光透過部421(単位レンズ形状422)の配列ピッチPは、約10〜230μmとすることが好ましい。
単位レンズ形状422の曲率半径Rは、約10〜180μmとすることが好ましい。
単位レンズ形状422のレンズ開口幅(開口径)D1(シート面の法線方向(Z方向)から見た場合の単位レンズ形状422の直径)は、約10〜200μmとすることが好ましい。
単位レンズ形状422のレンズ高さH1(レンズシート42の厚み方向(Z方向)において、光吸収部423の第1の面42a側の面から単位レンズ形状422の最も凸となる頂点t3までの寸法)は、約2〜40μmとすることが好ましい。
光吸収部423の幅D2(第1の面42a側端部の幅)は、約1〜30μmとすることが好ましい。
光吸収部423の高さH2(レンズシート42の厚み方向(Z方向)における光吸収部423の寸法)は、約20〜470μmとすることが好ましい。
光吸収部423と光透過部421との界面がシート面の法線方向となす角度θは、0〜10°程度とすることが好ましい。
ランド厚D3は、ランド部424の厚さ(レンズシート42の厚み方向において、光吸収部423のイメージセンサ側端部から第2の面42bまでの寸法)であり、約1〜50μmとすることが、迷光や、所定の光透過部421(単位レンズ形状422)に入射した光が、隣接する他の光透過部421(単位レンズ形状422)側へ光が進んでしまうことを抑制する観点から好ましい。
レンズシート42の総厚T(レンズシート42の厚み方向(Z方向)における単位レンズの頂点t3から第2の面42bまでの寸法)は、約30〜480μmとすることが好ましい。本実施形態では、レンズシート42の総厚Tは、レンズ部43の厚さに相当する。
レンズシート42は、上記寸法範囲で形成されることによって、その焦点距離が約24〜300μm(空気中の換算値)となる。
本実施形態においても、前述の図7(a)に示すように、クロストークを生じさせることなく、単位レンズ形状422により集光された光を、イメージセンサ21の対応する領域の画素212(画素群)に入射させることができる。これにより、画素212は、入射光の強度と入射方向の情報を高精度で出力することができる。
以上のことから、本実施形態によれば、前述の第1実施形態と同様に、焦点距離や被写界深度を変更可能なライトフィールドカメラとしての機能を携帯端末用カメラに付与することができ、カメラ1の高性能化を図ることができる。また、本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、撮像モジュール20及びカメラ1の薄型化、軽量化や生産コストの低減等の効果を奏することができる。
さらに、本実施形態によれば、上記効果に加えて、レンズ部43として用いる部材は1枚のレンズシート42のみであるので、撮像モジュール20及びカメラ1のさらなる薄型化、軽量化を実現でき、生産コストも低減できる。
次に、第2実施形態のレンズ部43の別の形態について説明する。
上述の第2実施形態において、単位レンズ形状422(光透過部421)は、Y方向及びX方向に複数が配列される例、即ち、正方格子状に配置される例を示したが、これに限定されるものでない。例えば、単位レンズ形状422(光透過部421)は、光軸O方向(Z方向)から見て、六方格子状や、長方格子状等に配置されるようにしてもよい。
図13は、第2実施形態のレンズ部43の他の形態を説明する図である。図13(a)は、レンズシート42の厚み方向(Z方向)の被写体側(+Z側)から見た正面図である。図13(b)は、図13(a)に示す矢印C1−C2に沿った断面を示す図(YZ断面図)であり、図13(c)は、図13(a)に示す矢印D1−D2に沿った断面を示す図(XZ断面図)である。
単位レンズ形状422(光透過部421)は、図13(a)に示すように、レンズシート42のシート面の法線方向(Z方向,光軸O方向)から見た形状が矩形状(正方形状)に形成されるようにしてもよい。この場合、単位レンズ形状422は、被写体側(+Z側)に膨らんだ略四角錐形状に形成される。具体的には、単位レンズ形状422は、図13(b)及び図13(c)に示すように、四角錐形状の角部(頂部や稜線)が面取りされ、曲面状に形成された形態となる。
このような形態としても、上述の第2実施形態の図11,図12等に示す半球状の単位レンズ形状422と同様の効果を奏することができる。また、シート面の法線方向から見た形状を矩形状にすることで、前述の図11,図12等に示す形態に比べて、レンズシート42に対する光の入射面積を増やすことができ、光の利用効率を向上させることができる。
また、単位レンズ形状422(光透過部421)は、レンズシート42のシート面の法線方向(Z方向)から見た形状が多角形状となる略多角錐形状に形成され、その略多角錐形状がシート面の被写体側(+Z側)に膨らみ、角部(頂部や稜線)が面取りされた形態となるようにしてもよい。
また、上述の第2実施形態において、レンズシート42は、第1の面42aが被写体側(+Z側)に位置し、第2の面42bが不図示の接合層により透光性基板14に接合される形態を示したが、これに限らず、第2の面42bが被写体側に位置し、第1の面42aが不図示の接合層によって透光性基板14に接合される形態としてもよい。
この場合、単位レンズ形状422の集光作用を発揮する観点から、接合層は、その屈折率が光透過部421の屈折率N1よりも小さいものとすることが好ましい。
(変形形態)
以上説明した各実施形態等に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)各実施形態において、カバーシート32のイメージセンサ側(−Z側)に設けられた赤外線遮蔽層322は、カバーシート32とは別体のシート状等の部材であって、例えば、不図示の接合層等によりカバーシート32に接合された形態としてもよい。また、カバーシート32が、赤外線遮蔽層322を備えず、カバーシート32全体が所定の領域(700〜1100nm)の波長域の赤外線を遮蔽する材料を含有する材料により形成される等して、赤外線を遮蔽する機能を有していてもよい。
また、透光性基板14の被写体側又はイメージセンサ側の面に、赤外線遮蔽層が形成される形態、又は、透光性基板14自体が赤外線を遮蔽する材料を含有して赤外線遮蔽機能を有する形態としてもよい。
また、例えば、第1実施形態において、レンズ部13の第1レンズシート11の第2の面11bに赤外線遮蔽層が形成される形態としてもよい。
また、レンズ部13,43と透光性基板14とを接合する接合層等、各部材を接合する接合層が、赤外線を吸収する材料を含有して赤外線遮蔽機能を有する形態としてもよい。
上述のように、赤外線遮蔽層は、光軸O方向(Z方向)において、イメージセンサ21よりも被写体側(+Z側)であれば、特にその位置を限定されない。
(2)各実施形態において、光透過部111,121,421と、光吸収部113,123,423との界面は、複数の平面からなる折れ面状となっていてもよいし、複数の平面と曲面とが複数組み合わされている形態としてもよい。
(3)各実施形態において、光吸収部113,123,423は、第2の面11b,12b,42b側から第1の面11a,12a,42a側へ厚み方向に沿って形成される形態としてもよい。
図14は、第1レンズシート11の変形形態を説明する図である。
図14に示すように、第1レンズシート11を、光吸収部113が第2の面11b側から第1の面11a側へ厚み方向に沿って形成される形態とする場合、ランド部114が第1の面11a側に位置し、単位レンズ形状112は連続して配列され、第2の面11bに光吸収部113の第2の面側端部が位置している。
このような形態とすることにより、単位レンズ形状112の谷底部分に光吸収部113を形成する材料が付着する等して単位レンズ形状112のレンズ開口幅D1が狭まり、光量が低下することを防止できる。
なお、第1実施形態の第2レンズシート12、第2実施形態のレンズシート42についても同様に、光吸収部123,423を第2の面12b,42b側から第1の面12a,42a側へ延びる形態としてもよい。
(4)各実施形態において、レンズ部13,43とカバーシート32とは積層されている例を示したが、これに限らず、例えば、レンズ部13,43とが透光性を有する粘着剤や接着剤等により形成された接合層等により接合された形態としてもよい。
(5)各実施形態において、透光性基板14の透光領域141は、板面の法線方向(光軸O方向、Z方向)から見て、中央に形成され、その周囲に配線領域142が形成される形態を示したが、これに限らず、透光領域141がレンズ部13,43及びイメージセンサ21の受光領域211に対応するならば、透光領域141及び配線領域142の位置や形状等は特に限定しない。
(6)第1実施形態において、単位レンズ形状112,122は、凸形状である例を示したがこれに限らず、凹形状としてもよい。
図15は、レンズ部13の変形形態を説明する図である。
図15に示すように、単位レンズ形状112,122は、その配列方向及び厚み方向に平行な断面形状が凹形状であり、円の一部形状等である形態としてもよい。このような形態とする場合には、図15に示すように、光吸収部113,123は第2の面11b,12b側から第1の面11a,12a側へ厚み方向(Z方向)に沿って延びる形態とすることが好ましい。
また、このとき、第1レンズシート11と第2レンズシート12との間に、光透過部111,121よりも屈折率が高い樹脂層56が充填され、この樹脂層56により第1レンズシート11と第2レンズシート12とが接合される形態とすることが好ましい。
(7)第1実施形態において、単位レンズ形状112,122の配列ピッチPやレンズ開口幅D1、曲率半径R、光透過部111,121の屈折率N1、光吸収部113,123の屈折率N2、光吸収部113,123の高さH2等は、第1レンズシート11と第2レンズシート12とで異なっていてもよい。
また、第2実施形態において、単位レンズ形状422の配列ピッチPやレンズ開口径D1、曲率半径R等は、レンズシート42の垂直方向(Y方向)と左右方向(X方向)とにおいて同様である例を示したが、これに限定されるものでなく、垂直方向と左右方向で各寸法が相違するようにしてもよい。
(8)各実施形態において、レンズ部13,43と透光性基板14とを接合する接合層を備えず、レンズ部13,43が透光性基板14の被写体側の面の透光領域141上に配置され、レンズ部13,43及び透光性基板14は、それぞれ不図示の支持部材で支持され、所定の位置で保持される形態としてもよい。
このとき、光学密着等を防止する観点から、レンズ部13,43と透光性基板14との間に不図示のスペーサを配置する等してもよい。
(9)第1実施形態において、レンズ部13は、第1レンズシート11と第2レンズシート12とが、例えば、第1レンズシート11及び第2レンズシート12の有効部分(光が透過する領域)以外の領域や、光学的に影響の小さい領域(例えば、四隅の角部分)や、第1レンズシート11及び第2レンズシート12の周縁部等に外側へ凸となるように設けられた領域等に形成された接合層により一体に接合された形態としてもよい。このとき、接合層は、上述のような位置に設けることが、良好な画像を得る観点から好ましい。
(10)各実施形態において、第1レンズシート11及び第2レンズシート12、レンズシート42は、ランド部114,124,424よりも第2の面11b,12b,42b側にさらに基材層を備える形態としてもよい。以下、第1レンズシート11を例に挙げて説明するが、第2レンズシート12やレンズシート42においても同様である。
図16は、第1レンズシート11の変形形態を説明する図である。
基材層115は、光透過性を有する樹脂製のシート状の部材であり、光透過部111を紫外線成形等で形成する際に、基材(ベース)となる部材である。
第1レンズシート11は、クロストーク等を抑制する観点から、光吸収部113の第2の面側端部から第2の面11bまでの厚みD4が小さい方が好ましい。従って、表面に剥離性を有する基材層115を用い、基材層115上に光透過部111及び光吸収部113を成形後に、この基材層115を剥離することが好ましい。しかし、クロストーク等が十分抑制できる程度に基材層115が薄い場合等には、基材層115を積層した形態のままとしてもよい。
また、基材層115が剥離性を有していない場合には、基材層115に相当する部分を削る等により、光吸収部113の第2の面側端部から第2の面11bまでの厚みを薄くしてもよい。
なお、このような基材層115を有する場合には、光吸収部113の第2の面側先端から第2の面11bまでの寸法D4(基材層115及びランド部114を含む)は、約1〜250μmにすることが、迷光やクロストーク等を抑制する観点から好ましい。
このような基材層115を備える形態とすることにより、第1レンズシート11のハンドリングが容易になる。
(11)第1実施形態において、レンズ部13は、図17に示すようなレンズシート55を備える形態としてもよい。
図17は、レンズ部13の変形形態を説明する図である。
レンズシート55は、基材層551の両面に、単位レンズ形状112,122を有する光透過部111,121及び光吸収部113,123が形成されている。このレンズシート55は、第1レンズシート11と第2レンズシート12とが、基材層551の両面にそれぞれ一体に形成された形態に等しい。
この基材層551は、樹脂製のシート状の部材であり、光透過性を有している。このような基材層551としては、PET樹脂やトリアセチルセルロース(TAC)製のシート状の部材等が挙げられる。また、基材層551の厚さは、可能な範囲で薄いことが、迷光を抑制し、クロストークを低減して、各画素に入射する光の強度や光の入射方向の精度を向上させる観点から好ましい。
また、基材層551の屈折率は、光透過部111,121の屈折率N1に等しい、もしくは、可能な限り屈折率差が小さいことが好ましい。
(12)レンズ部13は、3枚以上のレンズシートが光軸O方向(Z方向)に沿って配列された形態としてもよい。
例えば、不図示の3枚目のレンズシート(以下、第3レンズシートという)は、第1レンズシート11及び第2レンズシート12と同様の形状のレンズシートであり、その光透過部の配列方向が、第1レンズシート11及び第2レンズシート12の光透過部111,121の配列方向R1,R2に対して、それぞれ45°±10°をなしているものとすることが好ましい。第3レンズシートの第1の面は、被写体側(+Z側)であっても、イメージセンサ側(−Z側)であってもよい。
さらに、第1レンズシート11及び第2レンズシート12と同様の形状のレンズシートである4枚目のレンズシート(第4レンズシート)をレンズ部13に配置する場合には、その光透過部の配列方向が、第1レンズシート11及び第2レンズシート12の光透過部111,121の配列方向R1,R2に対して、それぞれ45°±10°をなし、第3レンズシートの光透過部の配列方向に対してそれぞれ90°±10°をなしているものとすることが好ましい。第4レンズシートの第1の面は、被写体側(+Z側)であっても、イメージセンサ側(−Z側)であってもよい。
なお、レンズ部13内において、第3レンズシート、第4レンズシートの光軸O方向(Z方向)の位置については、特に限定しない。
(13)第2実施形態において、撮像モジュール20は、レンズシート42と透光性基板14との間に、レンズシート42と同様な形態を有するレンズシートをさらに配置した形態としてもよい。この場合、撮像モジュール20は、レンズシート42のイメージセンサ側(−Z側)に配置された不図示のレンズシートが接合層により透光性基板14に接合される形態となる。また、レンズシート42よりも被写体側に、レンズシート42と同様な形態を有する不図示のレンズシートを配置してもよい。
このような形態は、例えば、レンズの収差の補正等が必要な場合に有効である。
この場合、不図示のレンズシートは、単位レンズ形状が設けられる第1の面を、レンズシート42側(+Z側)に向くようにして配置されてもよいし、イメージセンサ側を向くようにして配置されてもよい。また、不図示のレンズシートの単位レンズ形状の各寸法は、レンズシート42と同等としてもよいし、相違してもよい。
(14)各実施形態において、単位レンズ形状112,122,422は、例えば、光透過部111,121,421の配列方向及び各レンズシートの厚さ方向(Z方向)における断面形状が、所望する光学性能等に応じて、シート面に長軸が直交する楕円の一部形状や、多角形形状等としてもよいし、頂部が円弧等の曲線であり、単位レンズ形状の谷部側が直線からなる形状としてもよい。
(15)各実施形態において、第1レンズシート11及び第2レンズシート12、レンズシート42には、その表裏面(第1の面11a,12a,42aと第2の面11b,12b,42b)とを区別しやすくするために、表裏判別用の切欠きを設けてもよい。
また、レンズ部13,43の配置や撮像モジュール20の組み立てを容易にするために、アライメントマークを第1レンズシート11及び第2レンズシート12、レンズシート42に設けてもよい。
(16)各実施形態において、カメラ1は、スマートフォン等の携帯端末用カメラである例を示したが、これに限らず、例えば、デジタルカメラ等としてもよいし、PC(Personal Computer)内蔵型又は外付型のPC用カメラや、インターフォン用カメラ、車載用カメラ等としてもよいし、携帯型ゲーム機用カメラ等としてもよい。
(17)各実施形態において、イメージセンサ21の受光領域211の大きさは、撮像モジュール20が用いられるカメラ1の大きさや、所望する画質やカメラ性能等に応じて、適宜採用してよい。
イメージセンサ21の受光領域211の大きさは、例えば、スマートフォン等の携帯端末に搭載される場合には横×縦のサイズが、4.8×3.6mmや4.4×3.3mm等、カメラ(主にコンパクトデジタルカメラ)等に搭載される場合には、6.2×4.7mm、7.5×5.6mm等が挙げられる。
また、例えば、23.6×15.8mm、36×24mm、43.8×32.8mm等の大きな受光領域211を有するイメージセンサ21を使用することにより、ノイズの低減や取得する焦点距離や被写界深度等の情報の精度や情報量の向上を図り、画質のさらなる向上や、カメラ1の性能向上を図ってもよい。また、このような大きな受光領域を有するイメージセンサ21を備えたカメラにおいても、薄型化、軽量化等を実現することができる。
なお、本実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した各実施形態によって限定されることはない。
1 カメラ
10 光学素子部
11 第1レンズシート
12 第2レンズシート
111,121 光透過部
112,122 単位レンズ形状
113,123 光吸収部
13 レンズ部
20 撮像モジュール
21 イメージセンサ
30 筐体
31 開口部
32 カバーシート
43 レンズ部
42 レンズシート
421 光透過部
422 単位レンズ形状
423 光吸収部

Claims (8)

  1. 集光作用を有するレンズシートを少なくとも一枚備える光学機能部と、
    前記光学機能部の出光側に設けられ、少なくとも一部が透光性を有し、一部に配線パターンが形成された透光性基板と、
    を備え、
    前記レンズシートは、
    シート面に沿って配列され、一方の面側に凸状の単位レンズ形状を有する光透過部と、
    前記光透過部と交互に配列され、前記レンズシートの厚み方向に沿って延びる光吸収部とを有すること、
    を特徴とする光学素子。
  2. 請求項1に記載の光学素子において、
    前記光学機能部は、第1レンズシートと、その出光側に配置された第2レンズシートとを備え、
    前記第1レンズシートと前記第2レンズシートは、互いのシート面が平行となるように配置され、
    前記第1レンズシートは、シート面に沿った第1の方向を長手方向として延在し、この長手方向に交差する第2の方向に配列され、一方の面側に凸状の第1単位レンズ形状を有する第1光透過部と、
    前記第1光透過部と交互に配列され、前記第1光透過部の長手方向となる前記第1の方向に延在し、前記第1レンズシートの厚み方向に沿って延びる第1光吸収部と、
    を有し、
    前記第2レンズシートは、シート面に沿った第3の方向を長手方向として延在し、この長手方向に交差する第4の方向に配列され、一方の面側に凸状の第2単位レンズ形状を有する第2光透過部と、
    前記第2光透過部と交互に配列され、前記第2光透過部の長手方向となる前記第3の方向に延在し、前記第1レンズシートの厚み方向に沿って延びる第2光吸収部と、
    を備え、
    前記第1光透過部の配列される第2の方向と、前記第2光透過部の配列される第4の方向とは、シート面の法線方向から見て、角度αをなして交差すること、
    を特徴とする光学素子。
  3. 請求項2に記載の光学素子において、
    前記角度αは、80°≦α≦100°を満たすこと、
    を特徴とする光学素子。
  4. 請求項1に記載の光学素子において、
    前記光学機能部は、1枚のレンズシートを備え、
    前記レンズシートは、
    シート面に沿って複数の方向に配列され、一方の面側に凸状の単位レンズ形状を有する光透過部と、
    互いに隣り合う前記光透過部の間に、各前記光透過部を囲むようにして設けられた光吸収部と、
    を備えること、
    を特徴とする光学素子。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の光学素子において、
    前記透光性基板は、少なくとも一方の面に前記配線パターンが形成された配線領域と、前記配線パターンが両面の対向する領域に形成されていない透光領域とを備え、
    前記光学機能部は、前記透光領域の入光側の面上に配置されること、
    を特徴とする光学素子。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の光学素子において、
    前記光学機能部又は前記透光性基板は、所定の波長領域の赤外線を遮蔽する赤外線遮蔽層を備えること、
    を特徴とする光学素子。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の光学素子と、
    前記光学素子の出光側に配置され、入射する光を電気信号に変換する複数の画素が配列された受光領域を有する撮像素子部と、
    を備え、
    前記透光性基板は、少なくとも一方の面に前記配線パターンが形成された配線領域と、前記配線パターンが両面の対向する領域に形成されていない透光領域とを備え、
    前記撮像素子部は、前記透光領域の出光側の面に、前記受光領域が対面するように配置され、前記透光性基板の前記配線パターンと電気的に接続されていること、
    を特徴とする撮像モジュール。
  8. 請求項7に記載の撮像モジュールを備える撮像装置。
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