JP2018058748A - アルミニウム化合物溶液の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
酸濃度が1.0〜3.0mol/Lの範囲にある酸溶液を保持した槽に、アルミニウムを含有するアルカリ排水を30分以上かけてpH4〜8になるように添加して水酸化アルミニウムを回収し、その回収物に塩酸及び/又は硫酸を混合することによりアルミニウム化合物溶液を製造する。
【選択図】図1
Description
(1)酸濃度が1.0〜3.0mol/Lの範囲にある酸溶液を保持した槽に、当該排水を30分以上の時間をかけて添加し、pH4〜8になるように中和することで水酸化アルミニウムを析出させた後固液分離する第1工程
(2)(1)で分離した固体と塩酸および/又は硫酸を混合することにより塩化アルミニウムおよび/又は硫酸アルミニウムを合成する第2工程
からなる、アルミニウム化合物溶液の製造方法である
図2に示すように、第1工程においては、特定の酸濃度を示す溶液を保持した反応槽1に、アルミニウム含有アルカリ排水を供給し中和反応を行うことで、水酸化アルミニウムを析出させる。反応液は固液分離装置で固体と液体に分離され、液体は含有する成分と量を確認し再利用または廃液として適正処理を行う。固形分は洗浄後第2工程へ移送される。なお固液分離装置としては、一般的に使用されるものであれば特に制限を受けないが、フィルタープレス、遠心分離機、スクリューデカンターやシックナーなど、反応液の性状にあわせて適宜選択することができる。
図3に示すように、第2工程では第1工程で得られた水酸化アルミニウムからなる固形物を反応槽2に供給するとともに、塩酸または硫酸を添加する。反応槽2に投入する順は限定されないが、図4に示すようにあらかじめ製造されたアルミニウム化合物溶液を第1工程で得られた水酸化アルミニウムの分散媒として使用することも可能である。この場合、反応槽2に第1工程で得られた水酸化アルミニウムとともに、アルミニウム化合物溶液を添加して撹拌し、そののち塩酸または硫酸を添加することで反応を行うことができる。アルミニウム化合物溶液の添加割合は水酸化アルミニウムの分散状態と生産性を鑑みて適宜選択することが可能であるが、最終反応液量の1/4〜1/2を目安とすることができる。アルミニウム化合物溶液の量が最終反応液量の1/4よりも少ないと水酸化アルミニウムを分散させることが困難であり添加効果に欠け、最終反応液量の1/2よりも多い場合は1回当たりで製造できるアルミニウム化合物溶液の量が少なくなるため、生産性に問題を及ぼす可能性がある。
1000mL容ビーカーに硫酸濃度6.9wt%(酸濃度=1.5mol/L)に希釈した希硫酸400gを入れ、卓上撹拌機・pH計を挿入する。滴下ロートからAl濃度が7.8wt%、NaOH濃度が5.7wt%のアルミニウム含有アルカリ排水106gを60分かけて定量的に上記希硫酸へ添加した。反応液のpHが6になれば添加を止め、減圧濾過によって反応液を固液分離し、水酸化アルミニウム(1)(含水率73.6wt%,Al=31.6wt%(dryベース))122gを得た。
・工程2
500mL容ビーカーに上記工程1で得た水酸化アルミニウム(1)110gを準備し、卓上撹拌機を挿入する。このビーカーに35%塩酸110gを添加し、180分攪拌することで、アルミニウム化合物溶液(1)(Al=4.7wt%)220gを得た。なお、この際の最高温度は70℃であり、初期温度からの温度変化は44℃であった。
1000mL容ビーカーに硫酸濃度6.9wt%(酸濃度=1.5mol/L)に希釈した希硫酸400gを入れ、卓上撹拌機・pH計を挿入する。滴下ロートからAl濃度が7.8wt%、NaOH濃度が5.7wt%のアルミニウム含有アルカリ排水106gを60分かけて定量的に上記希硫酸へ添加した。反応液のpHが6になれば添加を止め、減圧濾過によって反応液を固液分離し、水酸化アルミニウム(2)(含水率74.2wt%,Al=31.8wt%(dryベース))125gを得た。
・工程2
500mL容ビーカーに上記工程1で得た水酸化アルミニウム(2)100gと実施例1で得たアルミニウム化合物溶液(1)(Al=4.7wt%)200gを準備し、卓上撹拌機を挿入、アルミニウム化合物が分散するまで約30分攪拌する。このビーカーに35%塩酸100gを添加し、120分攪拌することで、アルミニウム化合物溶液(2)(Al=4.8wt%)400gを得た。なお、この際の最高温度は45.0℃であり、初期温度からの温度変化は17.1℃であった。
500mL容ビーカーに硫酸濃度12.0wt%(酸濃度=2.6mol/L)に希釈した希硫酸200gを入れ、卓上撹拌機・pH計を挿入する。滴下ロートからAl濃度が7.8wt%、NaOH濃度が5.7wt%のアルミニウム含有アルカリ排水93gを60分かけて定量的に上記希硫酸へ添加した。反応液のpHが6になれば添加を止め、減圧濾過によって反応液を固液分離し、水酸化アルミニウム(3)(含水率75.5wt%,Al=31.6wt%(dryベース))112gを得た。
・工程2
500mL容ビーカーに上記工程1で得た水酸化アルミニウム(3)100gと実施例2で得たアルミニウム化合物溶液(2)(Al=4.8wt%)200gを準備し、卓上撹拌機を挿入、アルミニウム化合物が分散するまで約30分攪拌する。このビーカーに35%塩酸100gを添加し、120分攪拌することで、アルミニウム化合物溶液(3)(Al=4.7wt%)400gを得た。なお、この際の最高温度は44.3℃であり、初期温度からの温度変化は16.4℃であった。
500mL容ビーカーに硫酸濃度12.0wt%(酸濃度=2.6mol/L)に希釈した希硫酸200gを入れ、卓上撹拌機・pH計を挿入する。滴下ロートからAl濃度が4.3wt%、NaOH濃度が11.0wt%のアルミニウム含有アルカリ排水84gを30分かけて定量的に上記希硫酸へ添加した。反応液のpHが6になれば添加を止め、減圧濾過によって反応液を固液分離し、水酸化アルミニウム(4)(含水率76.5wt%,Al=31.0wt%(dryベース))116gを得た。
・工程2
500mL容ビーカーに上記工程1で得た水酸化アルミニウム(4)100gと実施例3で得たアルミニウム化合物溶液(3)(Al=4.7wt%)200gを準備し、卓上撹拌機を挿入、アルミニウム化合物が分散するまで約30分攪拌する。このビーカーに35%塩酸100gを添加し、120分攪拌することで、アルミニウム化合物溶液(4)(Al=4.6wt%)400gを得た。なお、この際の最高温度は50.6℃であり、初期温度からの温度変化は16.6℃であった。
1000mL容ビーカーに硫酸濃度6.9wt%(酸濃度=1.5mol/L)に希釈した希硫酸400gを入れ、卓上撹拌機・pH計を挿入する。滴下ロートからAl濃度が7.8wt%、NaOH濃度が5.7wt%のアルミニウム含有アルカリ排水104gを120分かけて定量的に上記希硫酸へ添加した。反応液のpHが6になれば添加を止め、減圧濾過によって反応液を固液分離し、水酸化アルミニウム(5)(含水率72.8wt%,Al=30.5wt%(dryベース))110gを得た。
・工程2
500mL容ビーカーに上記工程1で得た水酸化アルミニウム(5)100gと実施例4で得たアルミニウム化合物溶液(4)(Al=4.6wt%)200gを準備し、卓上撹拌機を挿入、アルミニウム化合物が分散するまで約30分攪拌する。このビーカーに35%塩酸100gを添加し、120分攪拌することで、アルミニウム化合物溶液(5)(Al=4.7wt%)400gを得た。なお、この際の最高温度は48.0℃であり、初期温度からの温度変化は18.2℃であった。
500mL容ビーカーにHCl濃度が8.2wt%(酸濃度=2.7mol/L)、Fe濃度が6.0wt%の塩化鉄水溶液200gを入れ、卓上撹拌機・pH計を挿入する。滴下ロートからAl濃度が10.9wt%、NaOH濃度が8.0wt%のアルミニウム含有アルカリ排水78gを60分かけて定量的に上記酸性水溶液に添加した。反応液のpHが4になれば添加を止め、減圧ろ過によって反応液を固液分離し、水酸化アルミニウム(6)(含水率74.9wt%,Al=30.7wt%(dryベース),Fe=9.7wt%(dryベース))106gを得た。
・工程2
500mL容ビーカーに上記工程1で得た水酸化アルミニウム(6)100gと実施例4で得たアルミニウム化合物溶液(4)(Al=4.6wt%)100g及び実施例5で得たアルミニウム化合物溶液(5)(Al=4.7wt%)100gを準備し、卓上撹拌機を挿入、アルミニウム化合物が分散するまで約30分攪拌する。このビーカーに35%塩酸100gを添加し、120分攪拌することで、アルミニウム化合物溶液(6)(Al=4.0wt%,Fe=0.5wt%)400gを得た。なお、この際の最高温度は49.0℃であり、初期温度からの温度変化は12.8℃であった。
1000mL容ビーカーに濃度37.0wt%(酸濃度=2.4mol/L)のp‐トルエンスルホン酸水溶液400gを入れ、卓上撹拌機・pH計を挿入する。滴下ロートからAl濃度が8.6wt%、NaOH濃度が6.0wt%のアルミニウム含有アルカリ排水126gを120分かけて定量的に上記酸性水溶液へ添加した。反応液のpHが8になれば添加を止め、減圧濾過によって反応液を固液分離し、水酸化アルミニウム(7)(含水率68.8wt%,Al=32.2wt%(dryベース))138gを得た。
・工程2
500mL容ビーカーに上記工程1で得た水酸化アルミニウム(7)100gと実施例5で得たアルミニウム化合物溶液(5)(Al=4.7wt%)200gを準備し、卓上撹拌機を挿入、アルミニウム化合物が分散するまで約30分攪拌する。このビーカーに35%塩酸100gを添加し、120分攪拌することで、アルミニウム化合物溶液(7)(Al=5.0wt%)400gを得た。なお、この際の最高温度は47.5℃であり、初期温度からの温度変化は15.2℃であった。
500mL容ビーカーに硫酸濃度5.0wt%(酸濃度=1.0mol/L)に希釈した希硫酸200gを入れ、卓上撹拌機・pH計を挿入する。滴下ロートからAl濃度が8.3wt%、NaOH濃度が5.8wt%のアルミニウム含有アルカリ排水74gを120分かけて定量的に上記希硫酸へ添加した。反応液のpHが6になれば添加を止め、減圧濾過によって反応液を固液分離し、水酸化アルミニウム(8)(含水率68.1wt%,Al=30.0wt%(dryベース))130gを得た。
・工程2
500mL容ビーカーに上記工程1で得た水酸化アルミニウム(8)130gを準備し、卓上撹拌機を挿入する。このビーカーに35.0%硫酸100gを添加し、300分攪拌することで、アルミニウム化合物溶液(8)(Al=3.6wt%)400gを得た。なお、この際の最高温度は52.8℃であり、初期温度からの温度変化は15.8℃であった。
さらに、アルミニウム化合物溶液(2)に関して、添加量を2倍にした条件で同様にHBF4分解試験を行うと98.7%のF減少率となった。
1000mL容ビーカーにAl濃度が7.8wt%、NaOH濃度が5.7wt%のアルミニウム含有アルカリ排水100gを入れ、卓上撹拌機およびpH計を挿入する。滴下ロートから硫酸濃度6.9wt%(酸濃度=1.5mol/L)に希釈した希硫酸を60分かけて定量的に、上記アルカリ廃液への添加を試みた。しかし、およそpH=10で反応液がゲル化し攪拌できなくなった。
500mL容ビーカーに硫酸濃度24.7wt%(酸濃度=5.0mol/L)に希釈した希硫酸200gを入れ、卓上撹拌機・pH計を挿入する。滴下ロートからAl濃度が4.3wt%、NaOH濃度が10.1wt%のアルミニウム含有アルカリ排水を60分かけて定量的に、上記希硫酸への添加を試みた。しかし、およそpH=3.5で反応液がゲル化し撹拌できなくなった。
1000mL容ビーカーに硫酸濃度6.9wt%(酸濃度=1.5mol/L)に希釈した希硫酸400gを入れ、卓上撹拌機・pH計を挿入する。滴下ロートからAl濃度が7.8wt%、NaOH濃度が5.7wt%のアルミニウム含有アルカリ排水106gを10分かけて定量的に上記希硫酸へ添加した。添加終了後約1分を経過した時点で反応液がゲル化し攪拌ができなくなった。
・工程1
最終pH=10とする以外は実施例6工程1と同様の方法で水酸化アルミニウムの合成を行い、比較水酸化アルミニウム(2)(含水率70.76wt%,Al=25.6wt%,Fe=25.9wt%)を得た。
・工程2
500mL容ビーカーに上記工程1で得た比較水酸化アルミニウム(2)100gと[実施例2]工程2で得たアルミニウム化合物溶液(2)(Al=4.8wt%)100g及び[実施例3]工程2で得たアルミニウム化合物溶液(3)(Al=4.7wt%)100gを準備し、卓上撹拌機を挿入、水酸化アルミニウムが分散するまで約30分攪拌する。このビーカーに35%塩酸100gを添加し、120分攪拌することで、比較アルミニウム化合物溶液(1)(Al=4.0wt%,Fe=1.7wt%)400gを得た。なお、この際の最高温度は44.1℃であり、初期温度からの温度変化は12.0℃であった。この比較アルミニウム化合物溶液(1)を実施例9と同様にHBF4分解薬品として使用したところ、Fe濃度が高いため、分解処理後の中和によって水酸化鉄汚泥が多量に発生した。
Claims (4)
- アルミニウムを含有するアルカリ排水において、
(1)酸濃度が1.0〜3.0mol/Lの範囲にある酸溶液を保持した槽に、当該排水を30分以上の時間をかけて添加し、pH4〜8になるように中和することで水酸化アルミニウムを析出させた後固液分離する第1工程
(2)(1)で分離した固体と塩酸及び/又は硫酸を混合することにより塩化アルミニウム及び/又は硫酸アルミニウムを合成する第2工程
からなる、アルミニウム化合物溶液の製造方法。 - 第2工程において、製造されたアルミニウム化合物溶液の一部を水酸化アルミニウムの分散媒として用いて塩酸及び/又は硫酸を混合することを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム化合物溶液の製造方法。
- アルカリ排水中のアルミニウム含有量が2wt%以上である請求項1または請求項2に記載のアルミニウム化合物溶液の製造方法。
- アルミニウム化合物溶液がホウフッ化物の分解に用いられることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のアルミニウム化合物溶液の製造方法。
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