JP2018058685A - ハンドレールのコーティング方法 - Google Patents

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【課題】エスカレーター用ハンドレールが、合成ゴム製基材ではなくウレタン樹脂製基材の場合、基材上の水性ウレタン樹脂コーティングの耐摩耗性と光沢度の両方を満足させる方法を提供する。【解決手段】ハンドレールのウレタン樹脂製基材11を、アルカリ洗剤又は中性洗剤をスプレーしながら粗研磨し、磨き上げ、次いで、シランカップリング剤13を塗布した後に、水性ウレタン樹脂を塗布し、発熱灯で乾燥させた後、最後にシリコーン樹脂を塗布する。【選択図】図2

Description

本発明は、駅構内や各種建築物に設置されるエスカレーター等のウレタン樹脂製ハンドレールのコーティング方法に関するものである。
エスカレーター等のハンドレールの基材は、合成ゴム製又はウレタン樹脂製である。多くの場合、該ハンドレールに、ハンドレール基材の劣化を防止し、さらに清潔感と美観を与えるため、コーティングが施される。コーティングには艶出し剤や抗菌剤が含有されることもある。これらは、利用者がハンドレールを掴むことを躊躇しないようにして、転倒・転落事故を防止し、安全性を高めるためである。
しかしながら、該コーティングと、ハンドレール基材として用いられている合成ゴムやウレタン樹脂との密着性が十分でない場合、コーティングが容易に剥がれたり、ひび割れを呈したりする。
ハンドレール基材が合成ゴムの場合は、合成ゴムが柔軟であることからハンドレール基材に対するコーティングの追従性がよく、ハンドレールの端部が曲げられたりした場合でも、密着性に問題を生じることは比較的少ない。一方、ハンドレール基材がウレタン樹脂製の場合、ウレタンの硬度が硬く、曲げられたりした場合にはコーティングの追従性がよくないため、コーティングに力が加わり、ひび割れを生じたり剥がれやすくなる。そして、環境・リサイクルの問題から、リサイクルが困難な合成ゴム製基材は減少の傾向にあり、今後はウレタン樹脂製基材が増大すると予測されている。
特許文献1は、耐ブラックヒールマーク性、光沢、耐すべり性、耐摩耗性、剥離性等の床用の艶出し剤組成物に要求される性能を満足させるためのものであって、炭素数8〜38の脂肪族または脂環族イソシアネートとヒドロキシル基を有する平均分子量500〜5000の脂肪族ポリエステルまたはヒドロキシル基を有する平均分子量200〜6000の脂肪族ポリエーテルから生成するウレタン樹脂の水分散液または乳濁液を含有して成ることを特徴としたものである。ウレタン樹脂の水分散液は公知である。
特許文献2は、エスカレーター又は動く歩道の手すりベルト(ハンドレール)のためのコーティング方法に関するものである。能率よくコーティング処理し、汚れが付いた場合に除去しやすいコーティング剤として、アクリル系樹脂エマルジョンとウレタン系樹脂エマルジョンとのいずれか一方又は両方を主成分とした手すりベルト用コーティング剤を塗布した後に、加熱処理を行うコーティング方法を開示している。これらコーティングを加熱処理することは公知である。
特許文献2において、ウレタン系樹脂エマルジョンを主成分とする手すりベルト(ハンドレール)コーティング剤の成分が説明されている。それによると、ウレタン系樹脂エマルジョンの他、アルカリ可溶樹脂、高融点ポリエチレンワックス、レべリング剤、可塑剤、防腐剤、消泡剤が含有されている。水性ウレタン分散液にこれら成分を添加することは公知である。
特許文献3は、引火性や吸引有害性などの危険性を有さず、短時間で成膜可能で、摩耗に対する耐久性に優れるとともに、除去が容易な塗膜を形成でき、さらに手すりベルト(ハンドレール)に塗布する際に特別な機器を必要としない手すりベルト用コーティング剤が記載されている。配合物の成膜時の破断強度が20N/mm以上であり且つ破断伸びが100%以上である水系樹脂を主成分とし、さらに配合系の固形分を15%以上としている。水系樹脂の一つとしてウレタン系樹脂が例示されている。
特許文献4は、エスカレーター或いは動く歩道等の手すりベルト(ハンドレール)を洗浄すると同時に艶出し効果を有し、しかもべたつき感のない手すりベルト用洗浄艶出し剤であって、その主成分が流動パラフィン、テルペノイド、水添ポリイソブテン、ラノリン、植物性油の一つ或いは二つ以上からなり液状界面活性剤で乳化したことを特徴とするものである。
特許文献5は、手すりベルト(ハンドレール)の表面を洗浄した後、この手すりベルト表面を研磨材で平滑に仕上げ、平滑に仕上げた手すりベルトの表面にウレタンディスパージョンを主成分としたコーティング剤を塗布して手すりベルトの表面に保護膜を形成し、この保護膜を、その表面温度が35℃以上となるように加熱することにより、手すりベルトの表面と保護膜との高い密着性を確保し、少ない塗り回数で高い光沢を得る手すりベルトのコーティング方法を開示している。すなわち、ハンドレール基材を平滑に研磨し、コーティング後に加熱するコーティング方法は公知である。
非特許文献1は、ターナー色彩社のウェブページの情報であって、同社のエスカレーター用ラバーペイントYN-1000などが紹介されている。その中で、ゴム素材と塗料との密着性を向上させる密着向上剤が紹介されている。
特公平6−6694号公報 特許第2999981号公報 特開2002−338898号公報 特開2009−13375号公報 特開2009−172516号公報
ターナー色彩社ウェブページhttp://www.turner.co.jp/rubberpaint/product/product03 及びhttp://www.turner.co.jp/rubberpaint/product/product01
前記したように、エスカレーターのハンドレール用コーティング剤やそのコーティング方法としていくつか提案されているが、エスカレーター用ハンドレールが合成ゴム製基材ではなく、ウレタン樹脂製基材の場合、ウレタン樹脂が合成ゴム製基材に比べて硬いことから、耐摩耗性と光沢の両方を満足させるのが依然として困難であるという問題点がある。光沢を出そうとすればコーティングが剥がれやすくなって耐摩耗性が悪化する。コーティングの密着性を上げて耐摩耗性を向上させようとすれば光沢が悪化する。
図1は、エスカレーターの構造を示す図である。図1からわかるように、ハンドレールは上下端部で急激に曲げられるため、コーティングにひびが生じやすく、硬いウレタン樹脂製基材の場合、コーティングが剥がれやすいという問題点があるのである。
また、図1に示されているように、ハンドレールには露出している部分と隠れている部分があって、隠れている部分にはステップと同期した摩擦ローラーによるハンドレールの送り機構が設置されている。摩擦ローラーが強く接触してハンドレールを送ることができるが、この摩擦ローラーとの接触が、汚れをハンドレール表面に転写し、定着させる原因でもある。
前記課題を解決するために本発明は、エスカレーター等のウレタン樹脂製基材からなるハンドレールのコーティング方法であって、
(1)前記ハンドレールの前記ウレタン樹脂製基材の表面をアルカリ洗剤又は中性洗剤で洗浄する第一の工程
(2)前記アルカリ洗剤又は中性洗剤で洗浄後、前記ウレタン樹脂製基材の表面を、アルカリ洗剤又は中性洗剤をスプレーしながら、番手が400番、600番又は800番の耐水ペーパーの、少なくともいずれか一つを用いて、オービタルサンダー又は研磨ローラーで粗研磨する第二の工程
(3)前記粗研磨した表面を、アルカリ洗剤又は中性洗剤をスプレーしながら、番手が1500番以上の耐水ペーパーを用いて、オービタルサンダーで磨き上げる第三の工程
(4)前記番手が1500番以上の耐水ペーパーで磨き上げた前記ウレタン樹脂製基材の表面にシランカップリング剤を塗布する第四の工程
(5)前記シランカップリング剤を塗布した表面に水性ウレタン樹脂をコーティングする第五の工程
(6)前記水性ウレタン樹脂をコーティングした後に、発熱灯を照射して乾燥させる第六の工程
(7)前記発熱灯を照射して乾燥させた前記水性ウレタン樹脂コーティングに、さらにシリコーン樹脂をコーティングする第七の工程
とからなり、前記第七の工程後の表面の光沢度を83以上とすることを特徴とするハンドレール用コーティング方法である。
長期間使用されて人の手垢等の汚れやキズがついたエスカレーター等のハンドレールのウレタン樹脂製基材に、そのまま水性ウレタン樹脂等のコーティングを施しても、汚れが取れていないことから、見栄えは向上しない。従って、本発明の第一の工程は、前記ウレタン樹脂製基材の表面から汚れを除去する工程である。汚れは、主に人の手垢(皮脂)等の有機物系の汚れに、空気中を浮遊する無機物系の塵芥が混ざったものであることから、アルカリ洗剤で分解し除去するのが最も効果的である。また、この工程では、ハンドレールのウレタン樹脂表面に過去にコーティング処理が施されていた場合、このコーティングを、汚れと共に除去する効果も有する。
ここで用いるアルカリ洗剤としては、アルカリ緩衝用のビルダーを含有する市販の油脂用洗剤を用いることができる。また、中性洗剤としては、例えばビルメンテナンス用表面洗浄剤(ユシロ化学製ポリーズクリーナー中性など)を用いることができる。
この第一の工程を省略し、直ちに研磨によってウレタン樹脂基材から汚れを除去しようとすると、汚れと過去に施したコーティング剤とが混ぜ合わされて、逆に表面を汚してしまう。また、混ぜ合わされた汚れとコーティングによって、研磨に用いる耐水ペーパーが滑るようになってしまい、研磨の効率も低下するという問題も生じる。
前記第一の工程で汚れを除去したとしても、前記ウレタン樹脂製基材の表面にキズが存在し、キズの中に汚れが埋まっている場合が多い。そこで、第二の工程として、表面のキズやキズに埋め込まれた汚れを、アルカリ洗剤又は中性洗剤をスプレーしながら粗研磨によって除去することが重要である。
粗研磨は耐水ペーパーを用いて行う。通常は、番手が400番の耐水ペーパーをオービタルサンダー又は研磨ローラーに装着し、エスカレーターを運転状態にしてハンドレールを送りながら、表面を粗研磨する。この時、アルカリ洗剤又は中性洗剤を約20倍程度に希釈したものをスプレーしながら研磨するのが効果的である。なお、耐水ペーパーの番手は、番号が小さいほど耐水ペーパーの目が粗く、番号が大きいほど目が細かい。
ここで、オービタルサンダーとは、取り付けた耐水ペーパーを、高速で楕円(オービタル)振動させる工具であって、取り付ける耐水ペーパーによって、粗研磨及び磨き上げ研磨の両方に適用することができる。一方、研磨ローラーは、耐水ペーパーを輪形状に取り付けて回転研磨する工具であって、粗研磨に用いるものである。
汚れの除去具合を観察しながら、耐水ペーパーの番手を600番、800番と順次取り換えながら粗研磨を継続するのがよい。400番の耐水ペーパーで粗研磨し、後に1500番の耐水ペーパーで磨き上げようとしても、粗面が残存していることが多く、十分な平滑性が得られない。そこで、最終的な粗研磨は800番の耐水ペーパーを用いて行うことが望ましい。
また、耐水ペーパーの番手を400番、600番、800番と順次取り換えた場合、アルカリ洗剤又は中性洗剤の希釈率も、20倍から40倍希釈程度まで順次高めていく。こうすることにより平滑性を向上させることができる。
ハンドレール表面の最終的な光沢度は、表面の研磨仕上がりの状態に大きく影響を受ける。そこで、第三の工程として、1500番以上の番手の耐水ペーパーを用いて磨き上げることが必須である。こうすることにより、ウレタン樹脂製基材の表面の平滑性が一段と向上し、後工程であるコーティングの仕上がりの光沢度が向上するからである。
これらの工程において、希釈したアルカリ洗剤又は中性洗剤をスプレーしながら粗研磨及び磨き上げることにより、ウレタン樹脂製基材の表面が機械的及び化学的な作用で研磨され、効率的に汚れを除去し、かつ平滑な表面を得ることができるのである。
前記工程により、表面の平滑度が増大し、後工程であるコーティングの仕上がりの光沢度が向上するが、平滑性を向上させればさせるほど、その後に塗布する水性ウレタン樹脂の密着性が低下することが多い。これは、研磨された表面の平滑性の増大により、コーティングの基材へのアンカー効果が失われるためであると考えられる。アンカー効果とは、コーティングを、基材の凹凸の中に食い込ませて、剥がれにくくする効果のことである。基材表面が平滑であればあるほど、アンカー効果が失われる。
そこで本発明の第四の工程は、前記第三の工程によって磨き上げられたウレタン樹脂製基材の表面に、シランカップリング剤を塗布する。こうすることによって、アンカー効果が失われても、基材であるウレタン樹脂とコーティングである水性ウレタン樹脂膜との密着性を向上させることができる。特に効果の大きいシランカップリング剤として、エポキシ系のシランカップリング剤が挙げることができる。
本発明の第五の工程は、水性ウレタン樹脂のコーティングである。このコーティングは、シランカップリング剤を塗布した表面に、ウレタン樹脂の水性エマルジョンを塗布することにより行う。コーティングのウレタン樹脂製基材への濡れをよくするため、トリエチルアミン等の界面活性剤、リン酸エステル等の可塑剤が添加されているものを用いることができる。また、塗布後の硬化を早めるために多価カルボジイミド等の架橋剤が添加されているものを用いることができる。コーティングはスプレー又は布(例えば、INNOVA社製コーティングパッド)を用いて行うことができる。
前記水性ウレタン樹脂のコーティングは、一回塗りより二回塗り、二回塗りより三回塗りが望ましい。各塗りの後に十分乾燥させる必要がある。そこで、第六の工程として、第五の工程で塗布した水性ウレタン樹脂コーティングに発熱灯を照射して乾燥させる。発熱灯を用いることにより、乾燥を短時間化することができ、空気中を浮遊する塵芥の付着を抑えることができる。また、空気の対流を起こすこともないので、塵芥を吹き上げることもない。発熱灯としては、赤外線を照射する市販の発熱灯を用いることができる。
本発明の最終工程である第七の工程は、水性ウレタン樹脂コーティングの保護剤としてシリコーン樹脂を塗布する工程である。塗布方法としては、布を用いた手塗りでよい。こうすることにより、水性ウレタン樹脂コーティングがシリコーン樹脂によって保護され、耐久性が向上する。また、シリコーン樹脂の潤滑作用により、ハンドレールの、摩擦ローラー等に対する摩擦が減少し、キズの発生を抑えることができる。
本発明は、前記した第一〜第七の工程を順次適用して、ウレタン樹脂製基材の表面にコーティングを形成する方法で、これによりコーティング表面の光沢度を83以上とすることができる。なお、光沢度とは、ものの表面に光を当てたときの反射の程度を表す量であって、数値が高いほど輝いた表面であることを示す。一般には、JIS Z 8741(鏡面光沢度−測定方法)によって測定される。光沢度計は、通常の設定では、入射角60°で入射させた光束の、鏡面反射側の光束を受光器で測定し、その強度から光沢度を算出するものである。本発明の評価においても、入射角が60°に設定された光沢度計を用いて評価した。
本発明のハンドレール用コーティング方法は、アルカリ洗剤又は中性洗剤によって汚れを除去した後、アルカリ洗剤又は中性洗剤をスプレーしながら粗研磨し、さらに磨き上げを行うので、艶出し剤を添加することなく、83以上の光沢度が得られる。また、平滑にしたウレタン樹脂製基材に直接水性ウレタン樹脂のコーティングを施すのではなく、シランカップリング剤を塗布してから水性ウレタン樹脂のコーティングを施すので、得られたウレタン樹脂塗膜の耐摩耗性が高い。また、前記ウレタン樹脂コーティングをシリコーン樹脂で保護することから、摩耗を受け難く、汚れも付きにくく、付着した汚れが除去しやすく、キズも発生しにくいという効果を有する。
エスカレーター及びハンドレールの構造を示す図である。 本発明のハンドレール用コーティング方法を適用して得られたハンドレールの断面図である。
本発明のハンドレールのコーティング方法は、エスカレーターや動く歩道などのハンドレールを、それらが設置された現場で用いられる。通常は、それらエスカレーターや動く歩道が作動していない夜間に行うことが多い。まず、作業に用いる資材、薬品等の不足がないか確認を行う。次いで、エスカレーターや動く歩道の周辺に、薬品や汚れ等が飛び散らないように養生を行う。つまり、エスカレーターのハンドレールの周辺を保護シート(塩化ビニルなど)で覆うのである。以下、実施例に基づき、本発明を説明する。
まず、作業中の洗剤や汚れの飛び散りによる汚染を防止するため、エスカレーターの左右欄干の内側及び外側、乗降客が乗り降りするランディングプレート部分及びエスカレーター周囲の床部分に養生シートを貼付した。そして、ハンドレールの光沢度、摩耗、クラック・汚れ・キズ等の状態を確認し、拡大写真を撮影し、それらに基づいて洗剤の希釈率、使用する耐水ペーパーの番手や使用機材を決定した。
第一の工程として、水で5倍に希釈したアルカリ洗剤(リンレイ社製商品名:オイルハンター)を含ませたスポンジで、ハンドレールの表面を洗浄し、アルカリ洗剤を拭き取ることなく、そのまま約5分間放置した。その後、グリドルパッド(3M社製)で表面に浮き上がってきた汚れを拭き上げた。
次に、第二の工程として、400番の耐水ペーパーを研磨ローラー(マイン社製ローラーミニコHMB-E)に装着し、エスカレーターを運転状態にして、研磨ローラーをハンドレールに押し当てながら、表面を粗研磨した。この時、前記アルカリ洗剤を約20倍に希釈したものをスプレーしながら粗研磨を行った。400番の耐水ペーパーでの粗研磨の後、さらに800番の耐水ペーパーをオービタルサンダー(RYOBI社製MS-30)に装着して粗研磨を行った。なお、エスカレーターの運転速度は、1分間に30mとした。これにより、ハンドレールも30m/分の速度で送られる。また、前記アルカリ洗剤は、約2秒間に1回スプレーした。粗研磨によって、汚れ及び過去に施されたコーティングが除去され、ハンドレールのウレタン樹脂製基材が剥き出しの状態となった。
次に、第三の工程として、前記と同様に、ハンドレールの送り速度を30m/分にして、エスカレーターを運転し、1500番の番手の耐水ペーパーを装着したオービタルサンダーをハンドレールに押し当てて、60倍に希釈した前記アルカリ洗剤をスプレーしながら、まんべんなく磨き上げを行った。磨き残しが目視で観察された箇所については、1500番の耐水ペーパーを用いて、手磨きで仕上げ研磨を行った。
次に、第四の工程として、剥き出しになったウレタン樹脂基材の表面に、エポキシ系シランカップリング剤(信越化学製KBM-403)をまんべんなく塗布した。
次に、第五の工程として、水性ウレタン樹脂(株式会社リンレイ製E-0381とEBC-200助剤を8:1の割合で混合した分散液)をスプレーにより塗布した。E-0381には、ウレタン樹脂エマルジョンの他、界面活性剤、可塑剤、防腐剤、消泡剤が含まれている。また、EBC-200助剤は、多価カルボジイミドの水性架橋剤である。
塗布は、まず露出したハンドレール表面にスプレーし、その後、第六の工程として、発熱灯(Shinyu Spot Heater 2 SH-650)で乾燥させ、この作業を3回繰り返した。そして、エスカレーターを運転して隠れていた部分のハンドレールを露出させて、前記と同様の方法で、第五及び第六の工程により、水性ウレタン樹脂を3回塗りで塗布した。
最後に第七の工程として、エスカレーターを運転して、30m/分の速度でハンドレールを送りながら、シリコーン樹脂(信越化学社製KR401)を薄くスプレーし、乾布で拭き上げた。
コーティングの仕上がりを確認するため、光沢計(TASCO社製グロスチェッカーTMS724)を用いて、表面の光沢度を測定したところ、83という高い値が得られた。測定は、JIS Z8741に準じて行った。良好なコーティングであることを確認した後、養生シートなどを剥がし、後片付けをして作業を完了した。
図2は、本発明のハンドレールのコーティング方法を適用して得られたハンドレールの断面図である。ハンドレールのウレタン樹脂製基材11は、まず粗研磨され、次いで磨き上げられることによって研磨仕上げされた表面12が得られる。そして、この表面12に直接、水性ウレタン樹脂14が塗布されるのではなく、まずシランカップリング剤13が塗布され、その後、水性ウレタン樹脂14が塗布される。そして、発熱灯で乾燥させた後、シリコーン樹脂15が塗布される。
このような方法で水性ウレタン樹脂をコーティングしたエスカレーター用ハンドレールは、コーティング後1年を経過しても良好な美観を維持し、汚れやキズを防止することができた。
(比較例1)
某駅エスカレーターのウレタン樹脂製ハンドレールにコーティングを施した事例では、水性ウレタン樹脂をコーティングする前に、シランカップリング剤を用いた処理を行わなかった。この場合、本発明の第三の工程である磨き上げを省略し、第二の工程において番手が600番の耐水ペーパーを用いて、オービタルサンダーによって粗研磨をした後、水性ウレタン樹脂を塗布した。塗布後約1年が経過した時点でコーティングが剥がれるという問題が発生した。
(比較例2)
某駅エスカレーターに本発明を適用するための事前評価において、アルカリ洗剤をスプレーしないで研磨した場合、皮脂等の有機物汚れの除去が十分ではなく、コーティング後の光沢度として80を達成することができなかった。光沢度が83以上のものと比較して外観上の美観が劣っていた。
(比較例3)
前記比較例1の対策における事前検討で、水性ウレタン樹脂をコーティングした後、シリコーン樹脂をコーティングしない場合は、エスカレーター内部の送りローラーの摩擦によって、送りローラーに付着していた汚れがハンドレールに転写される事例が観察された。また、シリコーン樹脂を塗布した場合、転写された汚れが拭き取りやすいことも確認された。
11・・ウレタン樹脂製ハンドレール基材
12・・研磨仕上げしたハンドレールの表面
13・・シランカップリング剤
14・・ウレタン樹脂被膜(コーティング)
15・・シリコーン樹脂被膜(コーティング)

Claims (1)

  1. エスカレーター等のウレタン樹脂製基材からなるハンドレールのコーティング方法であって、
    (1)前記ハンドレールの前記ウレタン樹脂製基材表面をアルカリ洗剤又は中性洗剤で洗浄する第一の工程
    (2)前記アルカリ洗剤又は中性洗剤で洗浄後、前記ウレタン樹脂製基材の表面を、アルカリ洗剤又は中性洗剤をスプレーしながら、番手が400番、600番又は800番の耐水ペーパーの、少なくともいずれか一つを用いて、オービタルサンダー又は研磨ローラーで粗研磨する第二の工程
    (3)前記粗研磨した表面を、アルカリ洗剤又は中性洗剤をスプレーしながら、番手が1500番以上の耐水ペーパーを用いて、オービタルサンダーで磨き上げる第三の工程
    (4)前記番手が1500番以上の耐水ペーパーで磨き上げた前記ウレタン樹脂製基材の表面にシランカップリング剤を塗布する第四の工程
    (5)前記シランカップリング剤を塗布した表面に水性ウレタン樹脂をコーティングする第五の工程
    (6)前記水性ウレタン樹脂をコーティングした後に、発熱灯を照射して乾燥させる第六の工程
    (7)前記発熱灯を照射して乾燥させた前記水性ウレタン樹脂コーティングに、さらにシリコーン樹脂をコーティングする第七の工程
    とからなり、前記第七の工程後の表面の光沢度を83以上とすることを特徴とするハンドレール用コーティング方法。
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