JP2018057139A - スナバ回路及びパワー半導体モジュール並びに誘導加熱用電源装置 - Google Patents

スナバ回路及びパワー半導体モジュール並びに誘導加熱用電源装置 Download PDF

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Abstract

【課題】汎用性及び耐久性に優れるスナバ回路を提供し、このスナバ回路を用いてパワー半導体素子の保護を強化したパワー半導体モジュール及び誘導加熱用電源装置を提供する。【解決手段】誘導加熱用電源装置1のインバータ部6に用いられるパワー半導体モジュール10は、2つのパワー半導体素子Q1,Q2が直列接続されてなるアームを含み、アームに電気的に接続され第1側面10aに設けられた正負一対の直流入力端子11a,11b及び反対側の第2側面10bに設けられた出力端子12a,12bを有しており、スナバ回路SC1は、パワー半導体モジュール10の側面に沿って延び、正側直流入力端子11aと出力端子12aとの間に架け渡される絶縁性基材21と、絶縁性基材21の上面に設けられ、正側直流入力端子11a及び出力端子12aにそれぞれ接続される回路パターンを形成する導体層22と、を有する回路基板20と、回路基板20に露出した状態で実装された電子部品R,C,Dと、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、スナバ回路及びパワー半導体モジュール並びに誘導加熱用電源装置に関する。
鋼製ワークの熱処理におけるワークの加熱方式として、加熱コイルに交流電力を供給し、加熱コイルによって形成される磁界に置かれたワークに誘起される誘導電流によってワークを加熱する誘導加熱が用いられている。
加熱コイルに交流電力を供給する電源装置は、一般に商用電源の交流電力をコンバータで直流電力に変換し、直流電力の脈流をコンデンサで平滑し、平滑後の直流電力をインバータで交流電力に逆変換して、加熱コイルに供給する高周波の交流電力を生成している(例えば、特許文献1参照)。
インバータは、一般に、直列に接続されたスイッチング動作可能な2つのパワー半導体素子を一つのアームとして、複数のアームが並列に接続されてなるフルブリッジ回路によって構成され、パワー半導体素子の高速なスイッチング動作によって高周波の交流電力を生成する。そして、ブリッジ回路を構成する複数のアームは、典型的には個々にモジュール化されている。
パワー半導体モジュールとしては、アームに電気的に接続された正負一対の直流入力端子がモジュールの上面に隣設され、さらに出力端子もモジュールの上面に設けられたものが知られており(例えば、特許文献2参照)、また、アームに電気的に接続された正負一対の直流入力端子がモジュールの一側面に隣設され且つ出力端子がモジュールの反対側面に設けられたものも知られている(例えば、特許文献3参照)。
特開2009−277577号公報 特開平8−33346号公報 特開2004−135444号公報
パワー半導体素子の高速なスイッチング動作はパワー半導体素子に流れる電流を急激に変化させる。この電流変化di/dtは、パワー半導体素子と電圧源との間の導電路の寄生インダクタンスLにより、パワー半導体素子の両端にサージ電圧L×di/dtを発生させる。過大なサージ電圧はパワー半導体素子を破壊する虞があり、パワー半導体素子を保護するため、サージ電圧を吸収するスナバ回路がパワー半導体モジュールに付加される場合がある(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2に記載されたパワー半導体モジュールのスナバ回路は、正負一対の直流入力端子間に接続され、パワー半導体モジュールに含まれる2つのパワー半導体素子に一括して設けられる簡易的な一括スナバである。このスナバ回路は、コンデンサ及びコンデンサに電気的に接続された一対の端子の一部が樹脂モールドされてモジュール化されており、一対の端子がパワー半導体モジュールの上面に隣設された正負一対の直流入力端子に直結されている。なお、スナバ回路には、簡易的な一括スナバの他に、パワー半導体モジュールの直流入力端子と出力端子との間に接続されてパワー半導体素子毎に設けられる個別スナバもある。
コンデンサ等の電子部品及び端子の一部が樹脂モールドされてなる既存のスナバモジュールは、端子間隔との関係で、正負一対の直流入力端子がモジュールの一側面に隣設され且つ出力端子がモジュールの反対側面に設けられたパワー半導体モジュールにおいて直流入力端子及び出力端子に直結できず、この種のパワー半導体モジュールの個別スナバの用途には適さない。
また、スナバ回路では、パワー半導体素子のスイッチング周波数などに応じてコンデンサ等の電子部品の定数が選定されるが、電子部品が樹脂モールドされてなる既存のスナバモジュールの電子部品を変更することは事実上不能である。このため、電子部品が樹脂モールドされてなるスナバモジュールは、パワー半導体素子のスイッチング周波数の変更といったインバータの設計変更に対し、都度、設計及び製造されるが、既存のスナバモジュールのモールド型を流用する場合には設計の自由度が制限され、新規にモールド型を作製する場合にはモールド型の作製にコストが嵩む。
また、電子部品が樹脂モールドされてなるスナバモジュールでは、電子部品に生じる熱の放散に支障をきたす虞があり、熱による電子部品の劣化が懸念される。
本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、正負一対の直流入力端子が第1側面に設けられ且つ出力端子が第1側面とは反対側の第2側面に設けられているパワー半導体モジュールに好適に用いることができ、汎用性及び耐久性に優れるスナバ回路を提供し、このスナバ回路を用いてパワー半導体素子の保護を強化したパワー半導体モジュール及び誘導加熱用電源装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様のスナバ回路は、スイッチング動作可能な2つのパワー半導体素子が直列接続されてなるアームを含むパワー半導体モジュール用のスナバ回路であって、前記パワー半導体モジュールは、前記アームに電気的に接続された正負一対の直流入力端子及び出力端子を有し、正負一対の前記直流入力端子が該パワー半導体モジュールの第1側面に設けられ且つ前記出力端子が該パワー半導体モジュールの前記第1側面とは反対側の第2側面に設けられているものであり、前記パワー半導体モジュールの側面に沿って延び、前記直流入力端子と前記出力端子との間に架け渡される絶縁性基材と、前記絶縁性基材の上面及び下面の少なくとも一方に設けられ、前記直流入力端子及び前記出力端子にそれぞれ接続される回路パターンを形成する導体層と、を有する回路基板と、前記回路基板に露出した状態で実装された電子部品と、を備える。
また、本発明の一態様のパワー半導体モジュールは、スイッチング動作可能な2つのパワー半導体素子が直列接続されてなるアームを含むパワー半導体モジュールであって、前記アームに電気的に接続された正負一対の直流入力端子及び出力端子と、前記直流入力端子と前記出力端子との間に接続されるスナバ回路と、を備え、正負一対の前記直流入力端子は、該パワー半導体モジュールの第1側面に設けられ且つ前記出力端子が該パワー半導体モジュールの前記第1側面とは反対側の第2側面に設けられており、前記スナバ回路は、該パワー半導体モジュールの側面に沿って延び、前記直流入力端子と前記出力端子との間に架け渡される絶縁性基材と、前記絶縁性基材の上面及び下面の少なくとも一方に設けられ、前記直流入力端子及び前記出力端子にそれぞれ接続される回路パターンを形成する導体層と、を有する回路基板と、前記回路基板に露出した状態で実装された電子部品とを有する。
また、本発明の一態様の誘導加熱用電源装置は、直流電力を交流電力に変換するインバータ部を備え、前記インバータ部は、前記パワー半導体モジュールが複数並列接続されてなるブリッジ回路によって構成される。
本発明によれば、正負一対の直流入力端子が第1側面に設けられ且つ出力端子が第1側面とは反対側の第2側面に設けられているパワー半導体モジュールに好適に用いることができ、汎用性及び耐久性に優れるスナバモジュールを提供することができ、このスナバ回路を用いてパワー半導体素子の保護を強化したパワー半導体モジュール及び誘導加熱用電源装置を提供することができる。
本発明の実施形態を説明するための、誘導加熱用電源装置の一例の回路図である。 図1の誘導加熱用電源装置のインバータ部に用いられるパワー半導体モジュールの構成例を示す斜視図である。 図2パワー半導体モジュールのスナバ回路の断面図である。 図3のスナバ回路の変形例の断面図である。 図3のスナバ回路の他の変形例の断面図である。 図3のスナバ回路の他の変形例の断面図である。
図1は、本発明の実施形態を説明するための、誘導加熱用電源装置の一例を示す。
図1に示す誘導加熱用電源装置1は、商用の交流電源2から供給される交流電力を直流電力に変換するコンバータ部3を含む直流電源部4と、直流電源部4から出力される直流電力の脈流を平滑する平滑部5と、平滑部5によって平滑化された直流電力を高周波の交流電力に逆変換するインバータ部6と、を備える。
インバータ部6は、直列に接続された2つのパワー半導体素子Q1,Q2からなる第1アームと、直列に接続された2つのパワー半導体素子Q3,Q4からなる第2アームとを含み、第1アーム及び第2アームが平滑部5に並列に接続され、第1アームのパワー半導体素子Q1,Q2の直列接続点P1及び第2アームのパワー半導体素子Q3,Q4の直列接続点P2を出力端としたフルブリッジ回路によって構成されている。そして、直列接続点P1,P2の間にトランス8を介して加熱コイル7が接続される。なお、各パワー半導体素子には還流ダイオードが逆並列接続されている。
パワー半導体素子としては、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)や、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)といったスイッチング動作可能な各種のパワー半導体素子が使用可能であり、半導体材料として、例えばSi(シリコン)を用いたものや、SiC(シリコンカーバイト)を用いたものがある。
第1アーム及び第2アームにおいて、平滑部5の正側に接続される側をハイサイドとし、平滑部5の負側に接続される側をローサイドとして、第1アームのハイサイドのパワー半導体素子Q1と第2アームのローサイドのパワー半導体素子Q4とが同期してオン・オフされ、第1アームのローサイドのパワー半導体素子Q2と第2アームのハイサイドのパワー半導体素子Q3とが同期してオン・オフされる。パワー半導体素子Q1,Q4とパワー半導体素子Q2,Q3とが交互にオンされることにより、加熱コイル7に高周波の電力が供給される。
パワー半導体素子Q1〜Q4の高速なスイッチング動作はパワー半導体素子Q1〜Q4に流れる電流を急激に変化させ、パワー半導体素子Q1〜Q4と電圧源である平滑部5との間の導電路の寄生インダクタンスにより、パワー半導体素子Q1〜Q4の両端にサージ電圧を発生させる。このサージ電圧を吸収するため、パワー半導体素子Q1〜Q4に個別にスナバ回路SC1〜SC4が設けられている。
スナバ回路SC1〜SC4は、図示の例では、抵抗R、コンデンサC、及びダイオードDを含んで構成された、いわゆる放電阻止形のRCDスナバ回路である。
第1アームのハイサイドのパワー半導体素子Q1のスナバ回路SC1は、パワー半導体素子Q1の両端間(IGBTではコレクタ−エミッタ間、MOSFETではドレイン−ソース間)にコンデンサC及びダイオードDが直列に接続されており、コンデンサCとダイオードDとの直列接続点と平滑部5の負側との間に抵抗Rが接続されている。
また、第1アームのローサイドのパワー半導体素子Q2のスナバ回路SC2は、パワー半導体素子Q2の両端間にコンデンサC及びダイオードDが直列に接続されており、コンデンサCとダイオードDとの直列接続点と平滑部5の正側との間に抵抗Rが接続されている。
第2アームのハイサイドのパワー半導体素子Q3のスナバ回路SC3は、スナバ回路SC1と同様に構成され、第2アームのローサイドのパワー半導体素子Q4のスナバ回路SC4は、スナバ回路SC2と同様に構成されている。
なお、スナバ回路SC1〜SC4は、上記の構成に限定されず、例えばパワー半導体素子に対するコンデンサC及びダイオードDの並びが図示の例とは逆順とされ、且つ抵抗RがダイオードDと並列に接続された、いわゆる充放電形のRCDスナバ回路であってもよく、又はパワー半導体素子の両端間に抵抗R及びコンデンサCが直列に接続された、いわゆるRCスナバ回路であってもよい。
第1アームのパワー半導体素子Q1,Q2及びそれらの還流ダイオードはケースに収納されてモジュール化されており、スナバ回路SC1,SC2は、ケースの外側に露出して設けられた外部接続端子に接続され、ケースの外側に配置される。なお、パワー半導体素子Q1,Q2及びそれらの還流ダイオードを収納したケースの内部にモールド樹脂が充填され、パワー半導体素子Q1,Q2及びそれらの還流ダイオードが封止される場合もある。同様に、第2アームのパワー半導体素子Q3,Q4及びそれらの還流ダイオードもまたケースに収納されてモジュール化されており、スナバ回路SC3,SC4は、ケースの外側に露出して設けられた外部接続端子に接続され、ケースの外側に配置される。
第1アームのパワー半導体素子Q1,Q2を含むパワー半導体モジュールと、第2アームのパワー半導体素子Q3,Q4を含むパワー半導体モジュールとは同一の構成を備え、以下、図2を参照して、第1アームのパワー半導体素子Q1,Q2を含むパワー半導体モジュールについて説明する。
図2は、パワー半導体モジュールの構成例を示す。
パワー半導体モジュール10は、外部接続端子として、正側直流入力端子11a及び負側直流入力端子11bと、2つの出力端子12a,12bと、複数の制御端子13とを有し、これらの外部接続端子は、パワー半導体素子Q1,Q2及びそれらの還流ダイオードを収納したケースの外側に露出して設けられている。
正側直流入力端子11a及び負側直流入力端子11bは、略直方体状に形成されたパワー半導体モジュール10の第1側面10aに配置されており、正側直流入力端子11aは、パワー半導体素子Q1,Q2からなる第1アームのパワー半導体素子Q1側の端に電気的に接続され、負側直流入力端子11bは、第1アームのパワー半導体素子Q2側の端に電気的に接続されている。そして、正側直流入力端子11aは、ブスバー等の配線部材14aを用いて平滑部5の正側に接続され、負側直流入力端子11bは配線部材14bを用いて平滑部5の負側に接続される。
2つの出力端子12a,12bは、パワー半導体モジュール10の第1側面10aとは反対側の第2側面10bに配置されており、いずれも第1アームの出力端であるパワー半導体素子Q1,Q2の直列接続点P1(図1参照)に電気的に接続されている。なお、2つの出力端子12a,12bは1つに纏められていてもよい。そして、2つの出力端子12a,12bは、配線部材15を用いてトランス8(図1参照)に接続され、トランス8を介して加熱コイル7(図1参照)の一端に接続される。
複数の制御端子13はパワー半導体モジュール10の上面10eに配置されており、一部の制御端子13はパワー半導体素子Q1のゲートに電気的に接続され、他の一部の制御端子13はパワー半導体素子Q2のゲートに電気的に接続されている。そして、これらの制御端子13は、パワー半導体素子Q1,Q2のスイッチング動作を制御する制御回路16に接続される。本例では、制御回路16はパワー半導体モジュール10の上面10eに重ね置かれ、制御端子13は制御回路16の回路基板に形成されたスルーホールを介して制御回路16に半田付けされている。
パワー半導体素子Q1のスナバ回路SC1は、上記のとおり抵抗R、コンデンサC、及びダイオードDを有し、これらの電子部品R,C,Dが露出した状態で実装される回路基板20をさらに有する。回路基板20は、絶縁性基材21と、導体層22とで構成されている。
絶縁性基材21は、正負一対の直流入力端子11a,11bが設けられたパワー半導体モジュール10の第1側面10a、2つの出力端子12a,12bが設けられたパワー半導体モジュール10の第2側面10b、及び第1側面10aと第2側面10bとの間のパワー半導体モジュール10の第3側面10cに沿って延び、正側直流入力端子11aと出力端子12aとの間に架け渡されている。
導体層22は、抵抗R、コンデンサC、及びダイオードDが配置される絶縁性基材21の上面に設けられており、正側直流入力端子11a及び出力端子12aにそれぞれ接続される回路パターンを形成している。
導体層22は、典型的には銅箔で形成される。絶縁性基材21には、例えばベークライト、紙をフェノール樹脂で固めた紙フェノール、ガラス繊維をエポキシ樹脂で固めたガラスエポキシ、等の種々の材料を用いることができるが、単位厚み当たりの曲げ剛性が銅より高い材料が好ましく、上記列挙した材料ではガラスエポキシが好適である。
そして、回路パターンに応じた回路基板20の適宜な箇所には、抵抗R、コンデンサC、及びダイオードDがそれぞれ取り付けられる電子部品取り付け部が設けられている。電子部品取り付け部は、対応する電子部品の形式に応じて形成される。
図3は、スナバ回路SC1の構成を示す。
図示の例では、コンデンサCはリードタイプのコンデンサであり、コンデンサCに対応する電子部品取り付け部23a,23bはスルーホールとされており、コンデンサCの両方のリード24a,24bが電子部品取り付け部23a,23bにそれぞれ挿し込まれ、導体層22からなるランドに半田付けされている。
抵抗Rもリードタイプの抵抗であり、抵抗Rに対応する電子部品取り付け部25はスルーホールとされており、抵抗Rの一方のリード26aが電子部品取り付け部25に挿し込まれ、導体層22からなるランドに半田付けされている。
ダイオードDは、モールド樹脂に封止されたダイオードチップの一端に電気的に接続されているピン27a,27bと、ダイオードチップの他端に電気的に接続され且つパッケージの裏面に露出されたフレーム27cとを有する。ピン27a,27bに対応する電子部品取り付け部28a,28bはスルーホールとされ、ピン27a,27bは、電子部品取り付け部28a,28bにそれぞれ挿し込まれ、導体層22からなるランドに半田付けされている。また、フレーム27cに対応する電子部品取り付け部28cもまたスルーホールとされているが、フレーム27cは、導体層22からなるランドと接触した状態で、電子部品取り付け部28cにネジ止めされている。
なお、上記の抵抗R、コンデンサC、及びダイオードD、並びにそれらの電子部品取り付け部の構成は一例であって適宜変更可能である。例えば、抵抗Rにネジ止めタイプの抵抗を用いてもよく、コンデンサCにネジ止めタイプのコンデンサを用いてもよい。また、ダイオードDに、全ての電気接続部がピンで構成されるフルモールドパッケージタイプのダイオードを用いてもよく、又はリードタイプのダイオードを用いてもよい。さらに、抵抗RやコンデンサCやダイオードDに表面実装タイプのものを用いてもよく、この場合、回路基板20の電子部品取り付け部は、スルーホールに替えて、パッドとされる。さらにまた、図示の例では、抵抗RやコンデンサCやダイオードDが半田付け又はネジ止めなどによって回路基板20に直接取り付けられて実装されているが、抵抗RやコンデンサCやダイオードDは回路基板20に電気的に接続されていればよく、接続端子や配線材を介して回路基板20に実装されていてもよい。例えば抵抗Rのリード26aに接続端子を圧着し、配線材の両端にも接続端子を圧着し、配線材の一方の接続端子を抵抗Rの接続端子と接続し、配線材の他方の接続端子を電子部品取り付け部25にネジ止めして、抵抗Rを回路基板20に実装してもよい。
以上のように構成されたスナバ回路SC1は、回路基板20の一方の端部が配線部材14aと共にねじで正側直流入力端子11aに共締めされ、回路基板20の他方の端部が配線部材15と共にねじで出力端子12aに共締めされ、併せて抵抗Rのリード26bが負側直流入力端子11bに電気的に接続されて、パワー半導体モジュール10に装着される。
図2を再び参照して、パワー半導体素子Q2のスナバ回路SC2は、上記のとおり抵抗R、コンデンサC、及びダイオードDを有し、これらの電子部品R,C,Dが実装される回路基板30をさらに有する。
回路基板30は、スナバ回路SC1の回路基板20と同様に、絶縁性基材31と、導体層32とで構成されており、絶縁性基材31はパワー半導体モジュール10の第1側面10a、第2側面10b、及び第1側面10aと第2側面10bとの間の第4側面10dに沿って延び、負側直流入力端子11bと出力端子12bとの間に架け渡されている。
導体層32は、絶縁性基材31の上面に設けられており、負側直流入力端子11b及び出力端子12にそれぞれ接続される回路パターンを形成している。そして、回路パターンに応じた回路基板30の適宜な箇所には、抵抗R、コンデンサC、及びダイオードDがそれぞれ取り付けられる電子部品取り付け部が設けられている。
以上のように構成されたスナバ回路SC2は、回路基板30の一方の端部が配線部材14bと共にねじで負側直流入力端子11bに共締めされ、回路基板30の他方の端部が配線部材15と共にねじで出力端子12bに共締めされ、併せて抵抗Rの一方のリードが正側直流入力端子11aに電気的に接続されて、パワー半導体モジュール10に装着される。
上述したパワー半導体モジュール10によれば、パワー半導体素子Q1,Q2のスイッチング動作に伴ってパワー半導体素子Q1,Q2の両端に発生するサージ電圧は、パワー半導体素子Q1,Q2に個別に設けられたスナバ回路SC1,SC2によってそれぞれ吸収される。これにより、サージ電圧に起因してパワー半導体素子Q1,Q2が破壊されることを抑制できる。
スナバ回路SC1に含まれる抵抗R、コンデンサC、及びダイオードDは露出された状態で回路基板20に実装されており、スナバ回路SC2に含まれる抵抗R、コンデンサC、及びダイオードDもまた露出された状態で回路基板30に実装されており、これらの電子部品R,C,Dの変更が容易である。これにより、パワー半導体素子Q1,Q2のスイッチング周波数の変更といったインバータ部6の設計変更に対し、回路基板20,30を汎用し、回路基板20,30に実装される電子部品R,C,Dには適切な定数のものを用い、効果的にサージ電圧を吸収することができる。
また、抵抗R、コンデンサC、及びダイオードDが露出した状態で回路基板20,30に実装されていることにより、これらの電子部品R,C,Dに生じる熱の放散に優れ、電子部品R,C,Dの熱による劣化を抑制してスナバ回路の耐久性を高めることができる。
さらにまた、スナバ回路自体にも配線インダクタンスが存在するところ、スナバ回路SC1の回路基板20は、パワー半導体モジュール10の第1側面10a、第3側面10c、及び第2側面10bに沿って延びて設けられ、第1側面10aに設けられた正側直流入力端子11a及び反対側の第2側面10bに設けられた出力端子12aに直結されており、スナバ回路SC1の導電路長が極力短縮されている。これにより、スナバ回路SC1の低インダクタンス化を図ってサージ電圧を抑制することができ、スナバ回路SC1に流れるサージ電流に起因して放射されるノイズを抑制することができる。
そして、スナバ回路SC1の回路基板20を、パワー半導体モジュール10の第1側面10a、第3側面10c、及び第2側面10bに沿って延ばすことにより、回路基板20は平板状となり、厚み方向に折り曲げられた箇所が存在しないことから、絶縁性基材21上の導体層22の形成が容易となる。
同様に、スナバ回路SC2の回路基板30もまた、パワー半導体モジュール10の第1側面10a、第4側面10d、及び第2側面10bに沿って延びて設けられ、第1側面10aに設けられた負側直流入力端子11b及び反対側の第2側面10bに設けられた出力端子12bに直結されており、スナバ回路SC2の導電路長が極力短縮され、低インダクタンス化が図られていると共に、回路基板30が平板状に形成され、絶縁性基材31上の導体層32の形成が容易とされている。
スナバ回路SC1,SC2のインダクタンスを低減する観点では、回路基板20,30の導体層22,32の厚みを大きくしてもよく、回路基板20,30の絶縁性基材21,31の上下両面に導体層を設けてもよい。
図4は、スナバ回路SC1の変形例を示す。
図4に示す例は、絶縁性基材21の上下両面に導体層22a,22bを設けたものである。コンデンサC等の電子部品が配置されている絶縁性基材21の上面側の導体層22aと、絶縁性基材21の下面側の導体層22bとは、互いに同一の回路パターンを形成している。
そして、絶縁性基材21の上面側の導体層22aと、絶縁性基材21の下面側の導体層22bとは、スルーホールとされた電子部品取り付け部23a,23b,25,28a,28b,28cを介して、電気的及び熱的に互いに接続されている。
絶縁性基材21の上下両面に同一パターンで且つスルーホールを介して電気的に接続された導体層22a,22bを設けることにより、絶縁性基材21の上面の導体層22のみの場合に比べて回路基板20の導電路の断面積を拡大でき、スナバ回路SC1のインダクタンスを低減することができる。さらに、導体層22a,22bがスルーホールを介して熱的にも接続されていることにより、絶縁性基材21の上面の導体層22のみの場合に比べて放熱面積も拡大でき、コンデンサC等の電子部品に生じる熱の放散を促進して電子部品の熱による劣化を抑制し、スナバ回路SC1の耐久性を一層高めることができる。
スナバ回路SC1のインダクタンスを低減する観点から、導体層の厚みの合計、即ち絶縁性基材21の上面にのみ導体層22が設けられている場合の導体層22の厚み、又は絶縁性基材21の上下両面に導体層22a,22bが設けられている場合の導体層22a,22bそれぞれの厚みの合計は0.1mm以上あることが好ましい。回路基板20が平板状に形成されていることにより、このような比較的厚い導体層であっても、絶縁性基材21上に導体層を容易に形成することができる。
また、コンデンサCのリード24a,24b等が導体層からなるランドに手半田付けされる場合に、導体層の厚みの合計が過度に大きいと、ランドを半田鏝によって半田溶融温度まで昇温させるのに時間を要するので、半田付けの作業性を考慮すれば、導体層の厚みの合計は2.0mm未満であることが好ましい。
図5は、スナバ回路SC1の他の変形例を示す。
図5に示す例は、コンデンサC等の半田付け部品が半田付けされる回路基板20の電子部品取り付け部23a,23b,25,28a,28bの周囲において、導体層22の表面に半田レジスト膜29を形成したものである。
上記のとおり、コンデンサCのリード24a,24bは、スルーホールとされた電子部品取り付け部23a,23bにそれぞれ挿し込まれ、導体層22からなるランドに半田付けされる。半田レジスト膜29は、リード24a,24bが半田付けされるランドを包囲するように、導体層22の表面に円環状に形成されている。
同様に、抵抗Rのリード26aが半田付けされる電子部品取り付け部25の周囲、及びダイオードDのピン27a,27bが半田付けされる電子部品取り付け部28a,28bの周囲においても、導体層22の表面に円環状の半田レジスト膜29が形成されている。
このように、半田付け部品が半田付けされる電子部品取り付け部23a,23b,25,28a,28bの周囲において、導体層22の表面に半田レジスト膜29を形成しておくことにより、これらの電子部品取り付け部の周囲の導体層22からの表面放熱を抑制することができる。これにより、導体層22の厚みを大きくしても、電子部品取り付け部23a,23b,25,28a,28bそれぞれのランドを半田鏝で効率よく昇温させることができ、手半田付けの作業効率を高めることができる。
なお、図5に示した例は、絶縁性基材21の上面にのみ導体層22が設けられているものであるが、図4に示したように絶縁性基材21の上下両面に導体層22a,22bが設けられる場合には、電子部品取り付け部23a,23b,25,28a,28bの周囲において、絶縁性基材21の上面側の導体層22a及び下面側の導体層22bそれぞれの表面に半田レジスト膜29を形成すればよい。
図6は、スナバ回路SC1の他の変形例を示す。
図6に示す例は、コンデンサC等の電子部品が取り付けられる回路基板20の電子部品取り付け部23a,23b,25,28a,28b,28cを除き、導体層22の表面一面に半田レジスト膜29を形成したものである。この場合、手半田付けに替えて、コンデンサC等の半田付け部品が載せられた回路基板20を半田槽に浸漬させて半田付け部品を一括して半田付けすることが可能となり、スナバ回路SC1の生産性を高めることができる。
1 誘導加熱用電源装置
2 交流電源
3 コンバータ部
4 直流電源部
5 平滑部
6 インバータ部
7 加熱コイル
10 パワー半導体モジュール
10a 第1側面
10b 第2側面
10c 第3側面
10d 第4側面
10e 上面
11a 正側直流入力端子
11b 負側直流入力端子
12a,12b 出力端子
13 制御端子
14a,14b 配線部材
15 配線部材
16 制御回路
20,30 回路基板
21,31 絶縁性基材
22,32 導体層
22a,22b 導体層
23a,23b,26,28a,28b,28c 電子部品取り付け部
24a,24b,26a,26b リード
27a,27b ピン
27c フレーム
29 半田レジスト膜
C コンデンサ
R 抵抗
D ダイオード
Q1,Q2,Q3,Q4 パワー半導体素子
SC1,SC2,SC3,SC4 スナバ回路

Claims (7)

  1. スイッチング動作可能な2つのパワー半導体素子が直列接続されてなるアームを含むパワー半導体モジュール用のスナバ回路であって、
    前記パワー半導体モジュールは、前記アームに電気的に接続された正負一対の直流入力端子及び出力端子を有し、正負一対の前記直流入力端子が該パワー半導体モジュールの第1側面に設けられ且つ前記出力端子が該パワー半導体モジュールの前記第1側面とは反対側の第2側面に設けられているものであり、
    前記パワー半導体モジュールの側面に沿って延び、前記直流入力端子と前記出力端子との間に架け渡される絶縁性基材と、前記絶縁性基材の上面及び下面の少なくとも一方に設けられ、前記直流入力端子及び前記出力端子にそれぞれ接続される回路パターンを形成する導体層と、を有する回路基板と、
    前記回路基板に露出した状態で実装された電子部品と、
    を備えるスナバ回路。
  2. 請求項1記載のスナバ回路であって、
    前記導体層は、前記絶縁性基材の上面及び下面の両方に設けられ、前記絶縁性基材の上面側の前記導体層及び下面側の前記導体層は、互いに同一の回路パターンを形成しており、
    前記回路基板の電子部品取り付け部はスルーホールとされ、前記絶縁性基材の上面側の前記導体層と下面側の前記導体層とが前記スルーホールを介して電気的及び熱的に互いに接続されているスナバ回路。
  3. 請求項1又は2記載のスナバ回路であって、
    前記導体層の厚みの合計が0.1mm以上2.0mm未満であるスナバ回路。
  4. 請求項1から3のいずれか一項記載のスナバ回路であって、
    前記電子部品に半田付け部品を含み、
    前記半田付け部品が半田付けされる前記回路基板の電子部品取り付け部の周囲において、前記導体層の表面に半田レジスト膜が形成されているスナバ回路。
  5. 請求項4記載のスナバ回路であって、
    前記回路基板の電子部品取り付け部を除き、前記導体層の表面に半田レジスト膜が形成されているスナバ回路。
  6. スイッチング動作可能な2つのパワー半導体素子が直列接続されてなるアームを含むパワー半導体モジュールであって、
    前記アームに電気的に接続された正負一対の直流入力端子及び出力端子と、
    前記直流入力端子と前記出力端子との間に接続されるスナバ回路と、
    を備え、
    正負一対の前記直流入力端子は、該パワー半導体モジュールの第1側面に設けられ且つ前記出力端子が該パワー半導体モジュールの前記第1側面とは反対側の第2側面に設けられており、
    前記スナバ回路は、該パワー半導体モジュールの側面に沿って延び、前記直流入力端子と前記出力端子との間に架け渡される絶縁性基材と、前記絶縁性基材の上面及び下面の少なくとも一方に設けられ、前記直流入力端子及び前記出力端子にそれぞれ接続される回路パターンを形成する導体層と、を有する回路基板と、前記回路基板に露出した状態で実装された電子部品とを有するパワー半導体モジュール。
  7. 直流電力を交流電力に変換するインバータ部を備え、
    前記インバータ部は、請求項6記載のパワー半導体モジュールが複数並列接続されてなるブリッジ回路によって構成される誘導加熱用電源装置。
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