JP2018056515A - 有孔基板の製造方法及び有孔基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】貫通孔中空部に樹脂を充填し、樹脂を硬化させ、その後、樹脂のうち不要な部分を研磨により除去する工程により、基板に応力が加わり、割れなどの損傷が生じてしまうことを防ぐ。【解決手段】貫通電極基板10は、第1面13及び第2面14を有する。第1面から第2面へ貫通する貫通孔20が設けられた基板12を準備する準備工程と、少なくとも第1面側で貫通孔の内部及び外部に跨がるように樹脂材を位置付けて、貫通孔の内部に樹脂材を充填する充填工程と、基板の法線方向に沿って基板を見た場合に、樹脂材のうちの貫通孔と重なる部分を硬化状態に移行又は維持させるように、基板に向けて電磁波又は荷電粒子線を照射する照射工程と、樹脂材のうちの、照射工程で硬化状態に移行又は維持されていない非硬化状態の部分を除去する除去工程と、樹脂材を熱硬化させる熱硬化工程と、を備える。【選択図】図2

Description

本開示の実施形態は、有孔基板の製造方法及び有孔基板に関する。
第1面及び第2面を含み、第1面から第2面へ貫通する貫通孔が設けられた基板と、基板の第1面側から第2面側へ至るように貫通孔の内部に設けられた貫通電極と、を備える貫通電極基板が知られている。貫通電極基板の貫通電極の例としては、いわゆるフィルドビアやコンフォーマルビアが知られている。フィルドビアの場合、貫通電極は、貫通孔の内部に充填された銅などの導電性材料を含む。コンフォーマルビアの場合、貫通電極は、貫通孔に中空部が存在するよう、貫通孔の側壁に沿って広がっている。
ところで、貫通孔に中空部が存在していると、貫通孔に貫通電極を形成した後の工程において、導電性材料の屑などが残渣として貫通孔の中空部に入ってしまうことがある。このような課題を解決する手段として、中空部に樹脂を充填することが挙げられる。例えば特許文献1,2は、まず、基板の第1面側から中空部に樹脂を充填し、樹脂を硬化させ、その後、樹脂のうち不要な部分を研磨により除去するとともに中空部に充填された樹脂を平坦化する、という手段を開示している。
特開2015−211077号公報 特開2001−15909号公報
樹脂の不要部分を研磨する工程を実施すると、基板に応力が加わり、この結果、基板に割れなどの損傷が生じてしまうことがある。また、研磨装置の大きさによって、研磨を可能な基板のサイズが制約されるため、基板の大型化が阻害されることがある。
本開示の実施形態は、このような課題を解決することができる有孔基板の製造方法及び有孔基板を提供することを目的とする。
本開示の一実施形態は、有孔基板の製造方法であって、第1面及び第2面を含み、前記第1面から前記第2面へ貫通する貫通孔が設けられた基板を準備する準備工程と、少なくとも前記第1面側で前記貫通孔の内部及び外部に跨がるように樹脂材を位置付けて、前記貫通孔の内部に樹脂材を充填する充填工程と、前記基板の法線方向に沿って前記基板を見た場合に、前記樹脂材のうちの前記貫通孔と重なる部分を硬化状態に移行又は維持させるように、前記基板に向けて電磁波又は荷電粒子線を照射する照射工程と、前記樹脂材のうちの、前記照射工程で硬化状態に移行又は維持されていない非硬化状態の部分を除去する除去工程と、前記樹脂材を熱硬化させる熱硬化工程と、を備える、製造方法、である。
本開示の一実施形態による有孔基板の製造方法において、前記充填工程は、前記基板の前記貫通孔を、少なくとも前記第1面側から、前記樹脂材を含むフィルムで覆う工程と、前記フィルムに、前記フィルムによって覆われた前記貫通孔の内部の圧力よりも高い圧力を加えることにより、前記フィルムを記貫通孔の内部及び外部に跨がるように位置付けて、前記樹脂材を前記貫通孔の内部に押し込んで充填する工程と、を含んでいてもよい。
本開示の一実施形態による有孔基板の製造方法において、前記充填工程は、前記フィルムの前記樹脂材を加熱する工程をさらに含んでいてもよい。
本開示の一実施形態による有孔基板の製造方法において、前記充填工程は、加熱された押圧部材を介して、少なくとも前記第1面側の前記フィルムを前記基板の前記第1面に向けて押圧する工程をさらに含んでいてもよい。
本開示の一実施形態による有孔基板の製造方法において、前記樹脂材は、電磁波又は荷電粒子線によって硬化する硬化性樹脂を含んでいてもよい。
本開示の一実施形態による有孔基板の製造方法において、前記樹脂材は、ポリイミド樹脂又はエポキシ樹脂を含んでいてもよい。
本開示の一実施形態による有孔基板の製造方法において、前記充填工程では、液状の前記樹脂材が少なくとも前記第1面上に塗布されることにより、少なくとも前記第1面側で前記貫通孔の内部及び外部に跨がるように前記樹脂材を位置付けて、前記貫通孔の内部に前記樹脂材を充填してもよい。
本開示の一実施形態による有孔基板の製造方法において、前記準備工程において準備される前記基板の前記貫通孔の側壁には、貫通電極が設けられており、且つ、前記基板の少なくとも前記第1面には、前記貫通電極に接続され、前記第1面に位置する第1配線が設けられており、前記熱硬化工程では、前記樹脂材のうちの前記貫通孔と重なる部分における少なくとも前記第1面側の表面と、これに隣接する前記第1面に位置する前記第1配線の表面とが、前記基板の面方向に沿って連なるように、前記樹脂材を硬化させてもよい。
この場合、前記熱硬化工程では、前記基板の厚み方向における、前記樹脂材のうちの前記貫通孔と重なる部分における少なくとも前記第1面側の表面と、前記第1配線の表面との間の距離が5μm以下になるまで、前記樹脂材を硬化させてもよい。
また、本開示の一実施形態は、第1面及び第2面を含み、前記第1面から前記第2面へ貫通する貫通孔が設けられた基板と、前記基板の前記貫通孔に充填された樹脂材を含む充填部を備え、前記充填部の少なくとも前記第1面側の表面は、凸又は凹のすり鉢状であり、中央部分の領域が平滑面を有している、有孔基板である。
本開示の一実施形態による有孔基板において、前記充填部は、前記樹脂材として、電磁波又は荷電粒子線によって硬化する硬化性樹脂を構成する光重合開始剤を含んでいてもよい。
本開示の一実施形態による有孔基板において、前記充填部は、前記樹脂材として、ポリイミド樹脂又はエポキシ樹脂を含んでいてもよい。
本開示の一実施形態による有孔基板において、前記基板の厚み方向における、前記充填部の少なくとも前記第1面側の表面と前記第1面との表面との位置の差が、10μm以下であってもよい。
本開示の一実施形態による有孔基板において、前記基板の前記貫通孔の側壁には、貫通電極が設けられており、且つ、前記基板の少なくとも前記第1面には、前記貫通電極に接続され、前記第1面に位置する第1配線が設けられており、前記基板の厚み方向における、前記充填部の少なくとも前記第1面側の表面と前記第1配線との表面との位置の差が、10μm以下であってもよい。
本開示の実施形態によれば、基板に割れなどの損傷が生じてしまうことを抑制しつつ、基板の貫通孔を埋めるための樹脂の不要部分を除去できる。また、基板が大型であっても、樹脂の不要部分を除去し易くなることで、適正に樹脂の不要部分が除去された大型の基板を容易に提供することができる。
一実施形態に係る有孔基板を示す平面図である。 図1の有孔基板をII−II方向から見た断面図である。 一実施形態に係る有孔基板の製造方法の一工程を示す断面図である。 一実施形態に係る有孔基板の製造方法の一工程を示す断面図である。 一実施形態に係る有孔基板の製造方法の一工程を示す断面図である。 一実施形態に係る有孔基板の製造方法の一工程を示す断面図である。 一実施形態に係る有孔基板の製造方法の一工程を示す断面図である。 一実施形態に係る有孔基板の製造方法の一工程を示す断面図である。 一実施形態に係る有孔基板の製造方法の一工程を示す断面図である。 一実施形態に係る有孔基板の製造方法の一工程を示す断面図である。 一実施形態に係る有孔基板の製造方法の一工程を示す断面図である。 一実施形態に係る有孔基板の製造方法の一工程を示す断面図である。 一実施形態に係る有孔基板の製造方法の一工程を示す断面図である。 第1の変形例に係る有孔基板の製造方法の一工程を示す断面図である。 第2の変形例に係る有孔基板を示す断面図である。 第3の変形例に係る有孔基板を示す断面図である。 貫通電極基板が搭載される製品の例を示す図である。
以下、本開示の実施形態に係る有孔基板の構成及びその製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明の実施形態の一例であって、本開示はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。また、本明細書において、「基板」、「基材」、「シート」や「フィルム」など用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「基板」や「基材」は、シートやフィルムと呼ばれ得るような部材も含む概念である。更に、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」や「直交」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。また、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
以下、図1乃至図13を参照して、本開示の実施形態について説明する。ここでは、有孔基板が、貫通孔の側壁に設けられた貫通電極を備える貫通電極基板である例について説明する。
貫通電極基板
図1及び図2を参照して、本実施形態に係る貫通電極基板10について説明する。図1は、貫通電極基板10を示す平面図である。図2は、一点鎖線に沿って切断した図1の貫通電極基板10をII−II方向から見た断面図である。
図1及び図2に示すように、貫通電極基板10は、複数の貫通孔20が設けられた基板12、貫通電極22、第1配線25、第2配線27、及び充填部30を備える。以下、貫通電極基板10の各構成要素について説明する。
(基板)
基板12は、第1面13及び第1面13の反対側に位置する第2面14を含む。基板12は、一定の絶縁性を有する材料から構成されている。例えば、基板12は、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、樹脂基板、シリコン基板、炭化シリコン基板、アルミナ(Al2O3)基板、窒化アルミ(AlN)基板、酸化ジリコニア(ZrO2)基板など、又は、これらの基板が積層されたものである。基板12は、アルミニウム基板、ステンレス基板など、導電性を有する材料から構成された基板を含んでいてもよい。
基板12の厚さは特に制限はないが、例えば、100μm以上且つ600μm以下の厚さの基板12を使用することが好ましい。より好ましくは、基板12は、200μm以上且つ500μm以下の厚さを有する。基板12の厚さを100μm以上とすることにより、基板12のたわみが大きくなることを抑制できる。このため、製造工程における基板12のハンドリングが困難になったり、基板12上に形成する薄膜等の内部応力に起因して基板12が反ってしまったりすることを抑制できる。また、基板12の厚さを500μm以下とすることにより、基板12に貫通孔20を形成する工程に要する時間が長くなって貫通電極基板10の製造コストが上昇してしまうことを抑制できる。
図2に示すように、貫通孔20は、基板12の第1面13から第2面14に至るよう基板12に設けられる。第1面13の面方向D1における貫通孔20の寸法S1は、例えば40μm以上且つ200μm以下の範囲内である。なお、面方向D1とは、第1面13及び第2面14に平行な方向である。
(貫通電極)
貫通電極22は、貫通孔20の内部に設けられた、導電性を有する部材である。貫通電極22は、図2に示すように、貫通孔20の側壁21に沿って広がっている。すなわち、貫通電極22はいわゆるコンフォーマルビアである。
貫通電極22が導電性を有する限りにおいて、貫通電極22の形成方法は特には限定されない。例えば、貫通電極22は、蒸着法やスパッタリング法などの物理成膜法で形成されていてもよく、化学成膜法やめっき法で形成されていてもよい。また、貫通電極22は、導電性を有する単一の層から構成されていてもよく、若しくは、導電性を有する複数の層を含んでいてもよい。以下、貫通電極22が、シード層と、シード層上に設けられためっき層と、を含む例について説明する。
シード層は、めっき層を形成するめっき工程の際に、めっき液中の金属イオンを析出させてめっき層を成長させるための土台となる、導電性を有する層である。シード層の材料としては、例えば、銅などの、めっき層と同一の金属材料を用いることができる。また、シード層の材料として、めっき層に比べて基板12の材料に対する高い密着性を有する導電性材料を用いてもよい。例えば、シード層の材料として、チタン、モリブデン、タングステン、タンタル、ニッケル、クロム、アルミニウム、これらの化合物、これらの合金など、又はこれらを積層したものを使用することができる。
シード層に堆積されるめっき層が銅を含む場合、シード層の材料としては、好ましくは、銅が基板12の内部に拡散することを抑制する材料を使用する。例えば、窒化チタン、窒化モリブデン、窒化タンタル等、又はこれらを積層したものを用いることができる。シード層の厚さは、例えば、20nm以上且つ1000nm以下の範囲内である。
めっき層は、貫通電極22の導電性を高めるためにシード層上に設けられる、導電性を有する層である。めっき層の材料としては、好ましくは、シード層に対する高い密着性を有し、且つ高い導電性を有する導電性材料が用いられる。例えば、めっき層の材料として、銅、金、銀、白金、ロジウム、スズ、アルミニウム、ニッケル、クロムなどの金属又はこれらを用いた合金など、あるいはこれらを積層したものを使用することができる。めっき層の厚さは、例えば、1μm以上且つ20μm以下の範囲内である。
めっき層の厚みは、貫通電極22に対して求められる導電性に応じて定められる。例えば、貫通電極22が電源ラインや接地ラインを導通させるための部材である場合、十分な厚さを有するめっき層が用いられる。また、貫通電極22が微弱な電気信号を導通させるための部材である場合、小さな厚みを有するめっき層を用いてもよい。又は、図示はしないが、めっき層を設けることなくシード層のみを貫通孔20に設けてもよい。
(第1配線)
第1配線25は、基板12の第1面13に設けられた、導電性を有する部材である。第1配線25は、図2に示すように、貫通電極22の第1面13側の端部に接続されている。また、図1に示すように、基板12の第1面13の法線方向に沿って第1配線25を見た場合、第1配線25は、貫通孔20を囲っている。言い換えると、第1配線25は、貫通孔20を囲う内縁25xと、内縁25xを囲う外縁25yとを有する。
なお、第1面13に位置し、且つ導電性を有する限りにおいて、第1配線25の具体的な構成が特に限られることはない。例えば、図1においては、複数の第1配線25が離散的に設けられているが、これに限られることはなく、隣り合う第1配線25が互いに接続されていてもよい。
第1配線25が導電性を有する限りにおいて、第1配線25の形成方法は特には限定されない。例えば、第1配線25を構成する導電層が、貫通電極22を構成する導電層に連続していてもよい。この場合、第1配線25は、貫通電極22と同時に一体的に形成される。
(第2配線)
第2配線27は、基板12の第2面14に設けられた、導電性を有する部材である。第2配線27は、図2に示すように、貫通電極22の第2面14側の端部に接続されている。図示はしないが、第1配線25の場合と同様に、基板12の第2面14の法線方向に沿って第2配線27を見た場合、第2配線27は、貫通孔20を囲っている。
なお、第2面14に位置し、且つ導電性を有する限りにおいて、第2配線27の具体的な構成が特に限られることはない。
第2配線27が導電性を有する限りにおいて、第2配線27の形成方法は特には限定されない。例えば、第2配線27を構成する導電層が、貫通電極22を構成する導電層に連続していてもよい。この場合、第2配線27は、第1配線25の場合と同様に、貫通電極22と同時に一体的に形成される。
(充填部)
充填部30は、貫通孔20に充填された、樹脂材を含む部材である。充填部30は、図2に示すように、第1面13側の第1樹脂層31と、第2面14側の第2樹脂層32とを含む。第1樹脂層31と第2樹脂層32とは、貫通孔20の内部において界面35で接する。貫通孔20に充填部30を設けることにより、導電性材料の屑などが残渣として貫通孔20の内部に入ってしまうことを抑制することができる。
第1樹脂層31と第2樹脂層32は、本実施形態では、樹脂材として、電磁波又は荷電粒子線によって硬化する硬化性樹脂を含んでいる。例えば、第1樹脂層31と第2樹脂層32に含まれる硬化性樹脂は、ポリイミド樹脂やエポキシ樹脂などの、絶縁性を有する有機材料、及び、光重合開始剤を含んでいてもよい。また、第1樹脂層31及び第2樹脂層32に含まれる硬化性樹脂は、フェノール系樹脂、シクロオレフィン、PBO(ポリベンザオキサゾール)樹脂等を含んでいてもよい。なお、第1樹脂層31と第2樹脂層32に含まれる樹脂材は、電磁波又は荷電粒子線に対する反応性を有する、具体的には、電磁波又は荷電粒子線を照射されることによって溶解性が増大する樹脂、例えばポジ型感光性樹脂であってもよい。なお第1樹脂層31を構成する材料と、第2樹脂層32を構成する材料とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
第1樹脂層31と第2樹脂層32との間の界面35は、例えば光学顕微鏡や電子顕微鏡を用いることによって確認され得る。第1樹脂層31を構成する材料と、第2樹脂層32を構成する材料とが異なる場合、基板12の厚み方向において第1面13側又は第2面14側から充填部30の組成を分析することによっても、確認され得る。
第1樹脂層31の表面及び第2樹脂層32の表面は、後述するように、機械研磨、化学機械研磨等の研磨をされることなく、平坦化されている。このため、第1樹脂層31の表面及び第2樹脂層32の表面には、研磨痕が存在しない。なお、第1樹脂層31の表面とは、第1樹脂層31の第2樹脂層32側の面とは反対側の面を意味し、第2樹脂層32の表面とは、第2樹脂層32の第1樹脂層31側の面とは反対側の面を意味する。なお、研磨痕が存在するか否かは、例えば光学顕微鏡で第1樹脂層31の表面又は第2樹脂層32の表面を観察することにより、確認され得る。
図2に示すように、本実施形態では、第1樹脂層31の表面と第1配線25の表面とが、面方向D1に沿って連なっている。また、第2樹脂層32の表面と第2配線27の表面とが、面方向D1に沿って連なっている。第1樹脂層31の表面と第1配線25の表面との基板12の厚み方向での位置の差は、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることが更に好ましい。同様に、第2樹脂層32の表面と第2配線27の表面との基板12の厚み方向での位置の差は、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることが更に好ましい。
なお、第1面13に第1配線25が設けられない場合には、第1樹脂層31の表面と第1面13との基板12の厚み方向での位置の差は、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることが更に好ましい。同様に、第2面14に第2配線27が設けられない場合には、第2樹脂層32の表面と第2面14との基板12の厚み方向での位置の差は、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることが更に好ましい。
また、後述するが、第1樹脂層31及び第2樹脂層32は、電磁波又は荷電粒子線、具体的に本実施の形態では光による硬化後に、熱硬化されて形成される。これにより、第1樹脂層31の表面の位置は第1配線25の表面と連なるように調節され、第2樹脂層32の表面の位置は第2配線27の表面と連なるように調節される。この場合、第1樹脂層31の表面及び第2樹脂層32の表面はそれぞれ、凸または凹のすり鉢状であり、中央部分の領域に平滑面を有する場合がある。中央部分の領域とは、表面の周縁部分の内側の領域である。このような形状は、例えば光学顕微鏡で第1樹脂層31の表面又は第2樹脂層32の表面を観察することにより、確認され得る。なお、第1樹脂層31及び第2樹脂層32の表面が凸又は凹のすり鉢状となる場合には、第1樹脂層31又は第2樹脂層32の平滑面となる中央部分の領域と、第1配線25の表面又は第2配線27の表面とが、面方向D1に沿って連なるように、第1樹脂層31又は第2樹脂層32が形成される。
貫通電極基板の製造方法
以下、貫通電極基板10の製造方法の一例について、図3乃至図13を参照して説明する。
(貫通孔の形成工程)
まず、基板12を準備する。次に、図3に示すように、基板12を加工して基板12に複数の貫通孔20を形成する。例えば、図示はしないが、まず、基板12の面13,14のうち貫通孔20が形成されない領域をレジスト層で覆う。続いて、基板12の面13,14のうちレジスト層で覆われていない領域を除去して、複数の貫通孔20を形成する。レジスト層で覆われていない領域を除去する方法としては、反応性イオンエッチング法、深掘り反応性イオンエッチング法などのドライエッチング法や、ウェットエッチング法などを用いることができる。
ウェットエッチング法のためのエッチング液としては、フッ化水素(HF)、硫酸(HSO)、硝酸(HNO)、塩酸(HCl)のいずれか、又はこれらのうちの混合物を用いることができる。
ドライエッチング法としては、プラズマを用いたドライエッチングRIE(Reactive Ion Etching)法、ボッシュプロセスを用いたDRIE(Deep Reactive Ion EtchingRIE)法、サンドブラスト法、レーザアブレーション等のレーザ加工等を用いることができる。
レーザ加工のためのレーザとしては、エキシマレーザ、Nd:YAGレーザ、フェムト秒レーザ等を用いることができる。Nd:YAGレーザを採用する場合、波長が1064nmの基本波、波長が532nmの第2高調波、波長が355nmの第3高調波等を用いることができる。
また、レーザ照射とウェットエッチングを適宜組み合わせることもできる。具体的には、まず、レーザ照射によって基板12のうち貫通孔20が形成されるべき領域に変質層を形成する。続いて、基板12をフッ化水素などに浸漬して、変質層をエッチングする。これによって、基板12に貫通孔20を形成することができる。
(貫通電極の形成工程)
続いて、基板12の貫通孔20に貫通電極22を形成する。例えば、まず、基板12の第1面13、第2面14、及び貫通孔20の側壁21にシード層を形成する。シード層を形成する方法としては、例えば、蒸着法やスパッタリング法などの物理成膜法や、化学成膜法などを用いることができる。続いて、シード層上に部分的にレジスト層を形成する。具体的には、シード層の領域のうち貫通電極22が形成されない領域に位置する領域がレジスト層によって覆われるよう、レジスト層を形成する。続いて、電解めっきにより、レジスト層によって覆われていないシード層の領域上にめっき層を形成する。続いて、レジスト層を除去する。その後、レジスト層によって覆われていたシード層を除去する。このようにして、図4に示す貫通電極22を形成することができる。このとき、図4に示すように、貫通電極22と同時に第1配線25及び第2配線27を形成してもよい。
(第2面側の封止工程)
続いて、基板12の貫通孔20を第2面14側で塞ぐ工程を実施する。例えば、図5に示すように、基板12の貫通孔20を第2面14側からフィルム41で覆う。これによって、基板12の周囲と貫通孔20の内部とが第2面14側で連通することを抑制することができる。フィルム41は、例えば、ポリエチレンナフタレートなどの樹脂材料を含む樹脂フィルムである。フィルム41の厚みは、例えば30μm以上且つ100μm以下である。
(第1封止工程)
続いて、図6に示すように、基板12の貫通孔20を第1面13側から第1フィルム51で覆う第1封止工程を実施する。第1フィルム51は、図6に示すように、基材52と、基材52に積層されたフィルム状の第1樹脂材31Bと、を有する。第1樹脂材31Bは、後述のように熱硬化された後に、第1樹脂層31を形成するものである。第1樹脂材31Bが基板12側に位置するよう、基板12の貫通孔20を第1フィルム51で覆う。例えば、ローラーを用いて第1フィルム51を基板12の第1面13に押し付ける。これによって、貫通孔20の内部を基板12の周囲から封止することができる。
好ましくは、第1封止工程は、第1フィルム51の第1樹脂材31Bを加熱する工程を含む。これによって、加熱されて軟化した状態の第1樹脂材31Bを、基板12の第1面13に強固に取り付けることができる。第1樹脂材31Bを加熱する方法は特には限られない。例えば、ヒーターなどの加熱機構を備えたローラーを用いて、第1フィルム51を基板12の第1面13に押し付けてもよい。また、赤外線ヒーターなどを用いて、放射伝熱によって第1樹脂材31Bを加熱してもよい。
また、好ましくは、第1封止工程は、基板12の貫通孔20の内部を500Pa以下に減圧する工程を含む。例えば、第1封止工程は、500Pa以下に減圧されたチャンバの内部で基板12の貫通孔20を第1面13側から第1フィルム51で覆う。これによって、第1フィルム51によって封止された貫通孔20の内部の圧力を500Pa以下に減圧することができる。このことにより、後述する第1押込工程において、第1フィルム51の第1樹脂材31Bが貫通孔20の内部に押し込まれ易くなる。なお、第1フィルム51のうちの第1樹脂材31Bの厚みは、例えば、20μm以上70μm以下である。本実施形態では、第1樹脂材31Bが、第1樹脂層31を形成する部材であるため、電磁波又は荷電粒子線によって硬化する硬化性樹脂を含む。この硬化性樹脂は、ポリイミド樹脂やエポキシ樹脂などの、絶縁性を有する有機材料、及び、光重合開始剤を含んでいてもよい。また、第1樹脂材31に含まれる硬化性樹脂は、フェノール系樹脂、シクロオレフィン、PBO樹脂等を含んでいてもよい。
(第1押込工程)
続いて、図7に示すように、第1フィルム51に、第1フィルム51によって覆われた貫通孔20の内部の圧力よりも高い圧力Pを加えて、第1フィルム51の第1樹脂材31Bを貫通孔20の内部に押し込んで充填する第1押込工程を実施する。例えば、図7に示すように、第1フィルム51と対向するようにダイアフラム55を配置する。続いて、基板12の周囲の圧力を、貫通孔20の内部の圧力よりも高くする。例えば、チャンバの内部に、貫通孔20の内部の圧力よりも高い圧力を有する気体を導入する。これによって、第1フィルム51がダイアフラム55を介して基板12の第1面13側に押圧され、この結果、第1フィルム51の第1樹脂材31Bが貫通孔20の内部に押し込まれる。図示の例では、第1面13側で、貫通孔20の内部及び外部に跨がるように第1樹脂材31Bを位置付けて、貫通孔20の内部に第1樹脂材31Bを充填している。なお、チャンバを大気に開放して基板12の周囲の圧力を大気圧にすることによって、ダイアフラム55を介して第1フィルム51を基板12の第1面13側に押圧してもよい。貫通孔20の内部の圧力と、基板12の周囲の圧力との差は、好ましくは100kPa以上である。
好ましくは、加熱された状態のダイアフラム55を、第1フィルム51に接触させる。これによって、第1フィルム51の第1樹脂材31Bを加熱して軟化させることができ、このことにより、第1フィルム51の第1樹脂材31Bが貫通孔20の内部に押し込まれ易くなる。
上述の第1封止工程及び第1押込工程は、別個の工程として順に実施されてもよい。若しくは、第1封止工程及び第1押込工程は、一連の工程として同時に実施されてもよい。例えば、同一の機構や手法を用いて、第1フィルム51を基板12の第1面13に押し付けることと、第1フィルム51の第1樹脂材31Bを貫通孔20の内部に押し込むこととを、一連の工程として連続的に実施してもよい。この場合、第1フィルム51を任意のタイミングで加熱してもよい。例えば、第1フィルム51の第1樹脂材31Bを貫通孔20の内部に押し込むタイミングで加熱を開始してもよい。また、本例では、フィルム状の第1樹脂材31Bが貫通孔20に充填されるが、液状の第1樹脂材31Bを第1面13に供給することにより、第1樹脂材31Bを貫通孔20に充填してもよい。
なお、図示はしないが、貫通孔20の内部の圧力よりも高い圧力を有する気体と第1フィルム51との間に、ダイアフラム55などの押圧部材が介在されていなくてもよい。すなわち、第1フィルム51が、貫通孔20の内部の圧力よりも高い圧力を有する気体によって基板12の第1面13側へ直接的に押圧されてもよい。
(第2封止工程)
続いて、基板12の第2面14からフィルム41を取り外す。次に、図8に示すように、基板12の貫通孔20を第2面14側から第2フィルム61で覆う第2封止工程を実施する。第2フィルム61は、第1フィルム51と同様に、基材62と、基材62に積層されたフィルム状の第2樹脂材32Bと、を有する。第2樹脂材32Bは、後述のように熱硬化された後に、第2樹脂層32を形成するものである。第2樹脂材32Bが基板12側に位置するよう、基板12の貫通孔20を第2フィルム61で覆う。これによって、貫通孔20の内部を基板12の周囲から再び封止することができる。第2フィルム61のうちの第2樹脂材32Bの厚みは、例えば、20μm以上70μm以下である。また、本実施形態では、上述したように、第2樹脂材32Bが、第2樹脂層32を形成する部材であるため、電磁波又は荷電粒子線によって硬化する硬化性樹脂を含む。この硬化性樹脂は、ポリイミド樹脂やエポキシ樹脂などの、絶縁性を有する有機材料、及び、光重合開始剤を含んでいてもよい。また、第2樹脂材32Bに含まれる硬化性樹脂は、フェノール系樹脂、シクロオレフィン、PBO樹脂等を含んでいてもよい。
第1封止工程の場合と同様に、第2封止工程も、好ましくは、第2フィルム61の第2樹脂材32Bを加熱する工程を含む。これによって、加熱されて軟化した状態の第2樹脂材32Bを、基板12の第2面14に強固に取り付けることができる。また、第1封止工程の場合と同様に、第2封止工程も、好ましくは、基板12の貫通孔20の内部を500Pa以下に減圧する工程を含む。
(第2押込工程)
続いて、図9に示すように、第2フィルム61に、第2フィルム61によって覆われた貫通孔20の内部の圧力よりも高い圧力を加えて、第2フィルム61の第2樹脂材32Bを貫通孔20の内部に押し込んで充填する第2押込工程を実施する。図示の例では、第2面14側で、貫通孔20の内部及び外部に跨がるように第2樹脂材32Bを位置付けて、貫通孔20の内部に第2樹脂材32Bを充填している。例えば、第1押込工程の場合と同様に、第2フィルム61と対向するようにダイアフラム55を配置し、続いて、基板12の周囲の圧力を、貫通孔20の内部の圧力よりも高くする。貫通孔20の内部の圧力と、基板12の周囲の圧力との差は、好ましくは100kPa以上である。
上述の第1封止工程及び第1押込工程と同様に、第2封止工程及び第2押込工程は、別個の工程として順に実施されてもよく、若しくは、一連の工程として同時に実施されてもよい。また、本例では、フィルム状の第2樹脂材32Bが貫通孔20に充填されるが、液状の第2樹脂材32Bを第2面14に供給することにより、第2樹脂材32Bを貫通孔20に充填してもよい。
また、この例では、フィルム41を使用した第1封止工程及び第1押込工程の後に、第2封止工程及び第2押込工程が行われる。しかしながら、第1フィルム51及び第2フィルム61によって貫通孔20を両側から封止することによって、第1封止工程及び第2封止工程を同時に行い、その後、第1押込工程及び第2押込工程を同時に行ってもよい。なお、本実施の形態では、第1封止工程から第2押込工程に至る工程が、充填工程に対応する。また、第1封止工程及び第1押込工程を行う際に、フィルム41を使用しなくてもよい。
(照射工程)
続いて、図10に示すように、基材52,62を取り外した後、第1樹脂材31B及び第2樹脂材32Bに電磁波又は荷電粒子線を、例えば光Lを照射する照射工程を実施する。照射工程では、図10に示すように、基板12上において貫通孔20の内部に充填された第1樹脂材31B及び第2樹脂材32Bの各々に光Lが照射される。光Lは、第1面13及び第2面14の法線方向に沿って照射される。すなわち、基板12の法線方向、すなわち第1面13及び第2面14の法線方向に沿って基板12を見た場合に、第1樹脂材31B及び第2樹脂材32Bのうちの貫通孔20と重なる部分に、光Lが照射される。これによって、第1樹脂材31B及び第2樹脂材32Bのうちの貫通孔20と重なる部分を硬化状態に移行させることができる。
なお、第1樹脂材31Bへの光Lの照射と、第2樹脂材32Bへの光Lの照射とは、同時に実施してもよく、別々のタイミングで実施してもよい。また、第1樹脂材31Bへの光Lの照射は、基材52を第1樹脂材31Bから取り外した後に実施してもよく、基材52を第1樹脂材31Bから取り外す前に実施してもよい。同様に、第2樹脂材32Bへの光Lの照射は、基材62を第2樹脂材32Bから取り外した後に実施してもよく、基材62を第2樹脂材32Bから取り外す前に実施してもよい。また、第1樹脂材31B及び第2樹脂材32Bに含まれる樹脂が、電磁波又は荷電粒子線を照射されることによって溶解性が増大する樹脂、例えばポジ型感光性樹脂である場合、電磁波が貫通孔20の内部に充填された第1樹脂材31B及び第2樹脂材32Bを除く部分に照射されるように、電磁波を基板12に向けて照射すれば、後述の除去の際に、貫通孔20の内部に充填された第1樹脂材31B及び第2樹脂材32Bを残すことができる。すなわち、この際、電磁波を照射された部分は、溶解性が増大しているので、現像処理によって除去される。一方、電磁波を照射されていない部分は、硬化状態に維持されている。
(除去工程)
続いて、図11に示すように、第1樹脂材31B及び第2樹脂材32Bに現像液Dvを供給して、第1樹脂材31B及び第2樹脂材32Bのうちの硬化されていない非硬化状態の部分を除去する除去工程を実施する。これによって、図12に示すように、基板12上に、第1面13及び第2面14の法線方向に沿って基板12を見た場合に、第1樹脂材31B及び第2樹脂材32Bのうちの貫通孔20と重なる部分のみを残すことができる。すなわち、フォトリソグラフィー技術により、第1樹脂材31B及び第2樹脂材32Bのうちの貫通孔20と重なる部分のみを現像することができる。
ここで、図12に示すように、第1樹脂材31Bの表面は、第1配線25の表面に対して突出している。第1樹脂材31Bの表面の第1配線25の表面に対する突出量は、第1封止工程及び第1押込工程において、第1フィルム51の厚さや、第1フィルム51を基板12の第1面13に押し付ける際の位置及び圧力等を調節することにより、所望の寸法に制御できる。同様に、第2樹脂材32Bの表面は、第2配線27の表面に対して突出している。第2樹脂材32Bの表面の第2配線27の表面に対する突出量は、第2封止工程及び第2押込工程において、第2フィルム61の厚さや、第2フィルム61を基板12の第2面14に押し付ける際の位置及び圧力等を調節することにより、所望の寸法に制御できる。
(熱硬化工程)
続いて、基板12の法線方向で貫通孔20と重なる第1樹脂材31Bの表面及び第2樹脂材32Bの表面の位置を調節するために、第1樹脂材31B及び第2樹脂材32Bを熱硬化させる熱硬化工程を実施する。本実施形態では、図13に示すように、第1樹脂材31B及び第2樹脂材32Bを焼成して熱Hを付与することにより、熱硬化させ、第1樹脂材31B及び第2樹脂材32Bを熱収縮させる。焼成温度は、第1樹脂材31B及び第2樹脂材32Bの硬化に適した温度であり、材料に応じて好適な値が変動する。例えば、第1樹脂材31B及び第2樹脂材32Bがポリイミド樹脂を含む場合には、190℃以上220℃以下の範囲に焼成温度を設定して、所定の時間、例えば数時間にわたり焼成することが好ましい。
熱硬化工程では、熱収縮した第1樹脂材31Bの表面と、これに隣接する第1面13に位置する第1配線25の表面とが、基板12の面方向D1に沿って連なるように、第1樹脂材31Bを硬化させる。これにより、第1樹脂層31が形成される。具体的には、基板12の厚み方向における、第1樹脂材31Bの表面と、第1配線25の表面との間の距離が5μm以下になるまで、第1樹脂材31Bを硬化させる。上述したように、熱収縮前の第1樹脂材31Bの表面の第1配線25の表面に対する突出量は、所望の寸法に制御できる。このような寸法調整は、熱収縮後の第1樹脂材31Bの表面が第1配線25の表面と連なるようにするために実施される。同様に、熱硬化工程では、熱収縮した第2樹脂材32Bの表面と、これに隣接する第2面14に位置する第2配線27の表面とが、基板12の面方向D1に沿って連なるように、第2樹脂材32Bを硬化させる。これにより、第2樹脂層32が形成される。具体的には、基板12の厚み方向における、第2樹脂材32Bの表面と、第2配線27の表面との間の距離が5μm以下になるまで、第2樹脂材32Bを硬化させる。上述したように、熱収縮前の第2樹脂材32Bの表面の第2配線27の表面に対する突出量は、所望の寸法に制御できる。このような寸法調整は、熱収縮後の第2樹脂材32Bの表面が第2配線27の表面と連なるようにするために実施される。
また、第1樹脂材31B及び第2樹脂材32Bの熱収縮量は、露光量、すなわち露光時間×照度や、材質に応じて、変動する。そのため、熱収縮前の第1樹脂材31Bの表面及び第2樹脂材32Bの表面を、熱収縮後に所望の状態とするために、上述の照射工程では、露光量等が調節されている。
本件発明者は、第1樹脂材31B及び第2樹脂材32Bが、例えば、ポリイミド樹脂及び光重合開始剤を含む、電磁波又は荷電粒子線によって硬化する硬化性樹脂を主に含む場合に、熱収縮前の第1樹脂材31Bの表面の第1配線25の表面に対する突出量及び熱収縮前の第2樹脂材32Bの表面の第2配線27の表面に対する突出量が、10μm以上50μm以下の範囲であれば、熱収縮後の第1樹脂材31Bの表面と第1配線25の表面との位置の差を、5μm以下にでき、熱収縮後の第2樹脂材32Bの表面と第2配線27の表面との位置の差を、5μm以下にできることを、確認している。
以上に説明した本実施形態によれば、フォトリソグラフィー技術により、第1樹脂材31B及び第2樹脂材32Bの不要部分を研磨せずに除去できる。このため、樹脂の不要部分を研磨により除去する工程を実施する場合に比べて、基板12に割れなどの損傷が生じてしまうことを抑制しつつ、樹脂の不要部分を除去できる。また、基板12が大型であっても、樹脂の不要部分を除去し易くなることで、適正に樹脂の不要部分が除去された大型の基板12を容易に提供することができる。また、フォトリソグラフィー技術により現像させた第1樹脂材31B及び第2樹脂材32Bを熱硬化させて収縮させることで、第1樹脂材31Bの表面及び第2樹脂材32Bの表面の位置を所望の状態に調節することができる。
なお、上述した実施形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、必要に応じて図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した実施形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
(第1の変形例)
上述の実施形態においては、第1フィルム51及び第2フィルム61によって覆われた貫通孔20の内部の圧力よりも高い圧力を、第1フィルム51及び第2フィルム61に加えることにより、第1樹脂材31B及び第2樹脂材32Bを貫通孔20に充填する例を示した。本変形例においては、液状の樹脂材33Bを貫通孔20に充填する例について説明する。
本変形例では、まず、貫通孔20、第1配線25及び第2配線27が形成された基板12が準備される。次いで、図5の場合と同様に、基板12の貫通孔20を第2面14側からフィルム41で覆う。次いで、図14に示すように、第1面13の全体に、液状の樹脂材33Bを塗布することにより供給する。これにより、第1面13側で貫通孔20の内部及び外部に跨がるように樹脂材33Bを位置付けて、貫通孔20の内部に樹脂材33Bを充填する。その後、図11乃至図13の場合と同様に、照射工程、除去工程、及び熱硬化工程が行われる。
(第2の変形例)
上述の実施形態においては、第1樹脂材31B或いは第1樹脂層31、第2樹脂材32B或いは第2樹脂層32等が露出している例を示した。本変形例においては、図15に示すように、第1樹脂材31Bが第1保護層91によって覆われ、第2樹脂材32Bが第2保護層92によって覆われた例について説明する。
図15に示すように、第1保護層91は、第1樹脂材31Bに加えて、第1配線25及び第1面13を覆っている。第2保護層92は、第2樹脂材32Bに加えて、第2配線27及び第2面14を覆っている。第1保護層91及び第2保護層92は、絶縁性を有する有機材料であり、例えば塗布によって形成される。第1保護層91には、第1配線25を部分的に露出させる開口91aが設けられている。この開口91aを介して、後述する配線層などの部材を第1配線25に接続することができる。同様に、第2保護層92には、第2配線27を部分的に露出させる開口92aが設けられている。この開口92aを介して、後述する配線層などの部材を第2配線27に接続することができる。
(第3の変形例)
図16に示すように、貫通電極基板10の第1面13側には、配線層100が設けられていてもよい。配線層100は、貫通電極基板10の第1配線25に接続された導電層101と、絶縁層102とを有する。図16に示すように、複数の配線層100が第1面13側に積層されていてもよい。
同様に貫通電極基板10の第2面14側にも、配線層100が設けられていてもよい。配線層100は、貫通電極基板10の第2配線27に接続された導電層101と、絶縁層102とを有する。図16に示すように、複数の配線層100が第2面14側に積層されていてもよい。
(貫通電極基板が搭載される製品の例)
図17は、貫通電極基板10が搭載されることができる製品の例を示す図である。本発明の実施形態に係る貫通電極基板10は、様々な製品において利用され得る。例えば、ノート型パーソナルコンピュータ110、タブレット端末120、携帯電話130、スマートフォン140、デジタルビデオカメラ150、デジタルカメラ160、デジタル時計170、サーバ180等に搭載される。
なお、上述した実施形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
10…貫通電極基板
12…基板
13…第1面
14…第2面
20…貫通孔
22…貫通電極
25…第1配線
27…第2配線
30…充填部
31…第1樹脂層
31B…第1樹脂材
32…第2樹脂層
32B…第2樹脂材
33B…樹脂材
35…界面
41…フィルム
51…第1フィルム
61…第2フィルム

Claims (13)

  1. 有孔基板の製造方法であって、
    第1面及び第2面を含み、前記第1面から前記第2面へ貫通する貫通孔が設けられた基板を準備する準備工程と、
    少なくとも前記第1面側で前記貫通孔の内部及び外部に跨がるように樹脂材を位置付けて、前記貫通孔の内部に樹脂材を充填する充填工程と、
    前記基板の法線方向に沿って前記基板を見た場合に、前記樹脂材のうちの前記貫通孔と重なる部分を硬化状態に移行又は維持させるように、前記基板に向けて電磁波又は荷電粒子線を照射する照射工程と、
    前記樹脂材のうちの、前記照射工程で硬化状態に移行又は維持されていない非硬化状態の部分を除去する除去工程と、
    前記樹脂材を熱硬化させる熱硬化工程と、を備える、製造方法。
  2. 前記充填工程は、
    前記基板の前記貫通孔を、少なくとも前記第1面側から、前記樹脂材を含むフィルムで覆う工程と、
    前記フィルムに、前記フィルムによって覆われた前記貫通孔の内部の圧力よりも高い圧力を加えることにより、前記フィルムを前記貫通孔の内部及び外部に跨がるように位置付けて、前記樹脂材を前記貫通孔の内部に押し込んで充填する工程と、を含む、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記充填工程は、前記フィルムの前記樹脂材を加熱する工程をさらに含む、請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記充填工程は、加熱された押圧部材を介して、少なくとも前記第1面側の前記フィルムを前記基板の前記第1面に向けて押圧する工程をさらに含む、請求項2又は3に記載の製造方法。
  5. 前記樹脂材は、ポリイミド樹脂又はエポキシ樹脂を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 前記充填工程では、液状の前記樹脂材が少なくとも前記第1面上に塗布されることにより、少なくとも前記第1面側で前記貫通孔の内部及び外部に跨がるように前記樹脂材を位置付けて、前記貫通孔の内部に前記樹脂材を充填する、請求項1に記載の製造方法。
  7. 前記準備工程において準備される前記基板の前記貫通孔の側壁には、貫通電極が設けられており、且つ、前記基板の少なくとも前記第1面には、前記貫通電極に接続され、前記第1面に位置する第1配線が設けられており、
    前記熱硬化工程では、前記樹脂材のうちの前記貫通孔と重なる部分における少なくとも前記第1面側の表面と、これに隣接する前記第1面に位置する前記第1配線の表面とが、前記基板の面方向に沿って連なるように、前記樹脂材を硬化させる、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 前記熱硬化工程では、前記基板の厚み方向における、前記樹脂材のうちの前記貫通孔と重なる部分における少なくとも前記第1面側の表面と、前記第1配線の表面との間の距離が5μm以下になるまで、前記樹脂材を硬化させる、請求項7に記載の製造方法。
  9. 第1面及び第2面を含み、前記第1面から前記第2面へ貫通する貫通孔が設けられた基板と、
    前記基板の前記貫通孔に充填された樹脂材を含む充填部を備え、
    前記充填部の少なくとも前記第1面側の表面は、凸又は凹のすり鉢状であり、中央部分の領域が平滑面を有している、有孔基板。
  10. 前記充填部は、前記樹脂材として、光重合開始剤を含んでいる、請求項9に記載の有孔基板。
  11. 前記充填部は、前記樹脂材として、ポリイミド樹脂又はエポキシ樹脂を含む、請求項9又は10に記載の有孔基板。
  12. 前記基板の厚み方向における、前記充填部の少なくとも前記第1面側の表面と前記第1面との表面との位置の差が、10μm以下である、請求項9乃至11のいずれか一項に記載の有孔基板。
  13. 前記基板の前記貫通孔の側壁には、貫通電極が設けられており、且つ、前記基板の少なくとも前記第1面には、前記貫通電極に接続され、前記第1面に位置する第1配線が設けられており、
    前記基板の厚み方向における、前記充填部の少なくとも前記第1面側の表面と前記第1配線との表面との位置の差が、10μm以下である、請求項9乃至11のいずれか一項に記載の有孔基板。
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