JP2018056247A - 電子部品収納用パッケージおよび電子装置および電子部品収納用パッケージの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属表面の金めっき被膜による保護効果が従来品と同等で、かつ、樹脂接着材との接合強度が高くて気密性が高く、信頼性の高い電子部品収納用パッケージを提供する。【解決手段】平板状の金属製又はセラミック製の放熱基板2と、この放熱基板2上に接合されるセラミック製又は樹脂製の枠体4と、この枠体4上に接合される複数の金属製の端子5とからなり、端子5は、その表面上に形成される下地ニッケルめっき被膜13と、この下地ニッケルめっき被膜13上に形成される金めっき被膜15とを有し、端子5において樹脂接着材7が接合する領域は、金めっき被膜15の代わりに酸化ニッケル被膜14を備えていることを特徴とする電子部品収納用パッケージ1Aによる。【選択図】図3

Description

本発明は、半導体素子等の電子部品を放熱基板上に搭載した後に、電子部品の搭載部を蓋体と樹脂接着材により封止する際の気密性を向上することができる電子部品収納用パッケージおよび電子装置および電子部品収納用パッケージの製造方法に関する。
一般に、電子部品収納用パッケージ等において、導体層を含む金属の裸出部分には、単層又は複数層のめっき被膜が形成され、その最上層には金めっき被膜が形成されている。
このような金めっき被膜が電子部品収納用パッケージ等のめっき被膜の最上層に配される理由は、金が化学的に不活性であることによるものである。このように、電子部品収納用パッケージ等の金属の裸出部分の最上層が金めっき被膜となるように被覆することで、電子部品収納用パッケージ等の金属裸出部分の酸化による変色やワイヤボンディング不良等を防止している。
ところが、上述のような金めっき被膜は、金が化学的に不活性であるせいで、樹脂接着材との接合性が悪いという課題を有していた。この場合、半導体素子等の電子部品を封止するための蓋体を、樹脂接着材を介して電子部品収納用パッケージの金属表面に接合すると、蓋体が外れやすい、あるいは、気密性を好適に維持できないという課題を有していた。
このような課題に対処するための先行技術文献としては、例えば、特開平2004−349497号公報(特許文献1)が知られている。また、周知の技術常識として金属酸化被膜は、樹脂との密着性が優れていることが知られている(例えば、特公昭61−54863号公報;特許文献2等を参照)。
特許文献1には「パッケージ部品及び半導体パッケージ」という名称で、半導体素子やその他の素子を搭載した後に素子搭載部を絶縁性樹脂で封止した構成のパッケージや接合手段として接着剤層を使用した構成のパッケージに関する発明が開示されている。
特許文献1に開示される発明は、半導体素子等を搭載したパッケージの構成に用いられるものであって、絶縁性樹脂で封止されるかもしくは樹脂接着剤層が適用される被覆面を少なくとも表面の一部に備えるパッケージ部品において、そのパッケージ部品が、導体基材と、その表面を部分的もしくは全体的に被覆した導電性皮膜とからなり、かつ導電性皮膜が、上記の被覆面において、粗面化された表面プロファイルをもった粗面めっき層からなるように構成されてなるものである。
上記構成の特許文献1に開示される発明によれば、半導体パッケージ等の作製に使用した時に、封止樹脂、樹脂接着剤等との密着性に優れ、しかも密着性に劣化がない、例えばリードフレーム、放熱板等のパッケージ部品を提供することができる。
特許文献2には「ICリードフレーム材料」という名称で、樹脂モールド型ICにおいて、安価でかつ樹脂との密着性およびメッキ性の優れたFe−Cr系合金のICリードフレーム材料に関する発明が開示されている。
特許文献2に開示される発明であるICリードフレーム材料は、重量比でCr6〜10%,C0.1%以下,Si+Mn0.2〜1.5%(Mn/Si=1〜10),A10.001〜0.2%残部Fe及び不可避的に混入する不純物を含むFe−Cr系合金において、その表面酸化膜の厚みが80〜250Åであることを特徴とするものである。
上記構成の特許文献2に開示される発明によれば、樹脂との密着性およびメッキ性の優れたICリードフレーム材料を提供することができる。
特開2004−349497号公報 特公昭61−54863号公報
特許文献1に開示される発明は、金めっき被膜上に凹凸を形成することで樹脂接着材の密着性を向上させるという技術である。
特許文献1に開示される発明の場合は、電子部品収納用パッケージ等において保護膜としての金めっき被膜が必須である場合に有効であると考えられる。その一方で、金めっき被膜上に形成される凹凸によっては、目的とする気密性が発揮されなくなるおそれがある。
特許文献1に開示される発明の場合、下地ニッケルめっき被膜の表面が凸凹状だと、この凸凹の隙間に下地ニッケルめっき被膜形成時の薬液が残存し易くなる。
この場合、薬液が残存した下地ニッケルめっき被膜上に金めっき被膜を形成すると、残存した薬液が金めっき被膜上にしみ出してきて、金めっき被膜の表面に変色不良を引き起こすおそれがあった。
逆に、金めっき被膜上に凹凸が意図する通り形成されていなかった場合は、金と樹脂接着材の接合性が低下するため、十分な接合強度や気密性が発揮されないおそれがある。
他方、特許文献2に開示される発明の場合は、金めっき被膜を用いる必要がないので、ICの製造にかかるコストを廉価にできる可能性があるものの、保護膜としての金めっき被膜が必須である場合には採用できない。
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、金めっき被膜を有する場合でも樹脂接着材の接合性を良好にでき、高い気密性を有する電子部品収納用パッケージおよび電子部品および電子部品収納用パッケージの製造方法を提供することにある。
加えて、本発明は上記目的に加えて、外観上従来品と比較して遜色ない電子部品収納用パッケージおよび電子部品とおよび電子部品収納用パッケージの製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため第1の発明である電子部品収納用パッケージは、平板状の金属製又はセラミック製の放熱基板と、この放熱基板上に接合されるセラミック製又は樹脂製の枠体と、この枠体上に接合される複数の金属製の端子と、からなる電子部品収納用パッケージにおいて、端子は、その表面上に形成される下地ニッケルめっき被膜と、この下地ニッケルめっき被膜上に形成される金めっき被膜とを有し、端子において樹脂接着材と接触する領域は、金めっき被膜の代わりに酸化ニッケル被膜を備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第1の発明に記載の発明において、放熱基板は、その主面側に、例えば半導体素子等の電子部品を搭載した際に、この電子部品から発せられる熱を、放熱基板を介して外部に放熱するという作用を有する。また、枠体は、放熱基板の主面側に半導体素子等の電子部品を収納するためのキャビティを形成するという作用を有する。加えて、放熱基板として特に金属板を用いる場合、枠体は、放熱基板と金属製の端子を絶縁するという作用を有する。さらに、金属製の端子は、電子部品収納用パッケージの外部から伝送される電気信号を、電子部品収納用パッケージのキャビティ内に伝送するという作用を有する。
また、端子の表面上に形成される下地ニッケルめっき被膜は、その上面に金めっき被膜を形成する際の下地層となり、その下側に配される金属表面を保護するという作用を有する。また、この下地ニッケルめっき被膜は、酸化処理されることでその上面に酸化ニッケル被膜を形成させるという作用を有する。
そして、第1の発明では、樹脂接着材と接触する領域に酸化ニッケル被膜を設けるとともに、それ以外の領域では酸化ニッケル被膜を設けることなく、金めっき被膜を設けている。これにより、第1の発明では、端子上の樹脂接着材と接触する領域に酸化ニッケル被膜を設けることで、端子上における樹脂接着材の接合性を高めるという作用を有する。
また、樹脂接着材が接触しない領域では、下地ニッケルめっき被膜上に金めっき被膜が設けられるので、従来技術と同様に下地ニッケルめっき被膜下の金属表面を酸化等の化学変化から好適に保護するという作用を有する。
第2の発明である電子部品収納用パッケージは、第1の発明である電子部品収納用パッケージであって、下地ニッケルめっき被膜と金めっき被膜との間、及び、下地ニッケルめっき被膜と酸化ニッケル被膜との間は、下地金めっき被膜を具備することを特徴とするものである。
上記構成の第2の発明は、上述の第1の発明と同じ作用を有する。また、下地ニッケルめっき被膜と金めっき被膜との間、及び、下地ニッケルめっき被膜と酸化ニッケル被膜との間に、下地金めっき被膜を備えることで、端子のめっき被膜が形成される領域において、酸化ニッケル被膜を有する領域にも金めっき被膜(下地金めっき被膜)を有している。
よって、第2の発明によれば、端子の表面の全域が少なくとも下地金めっき被膜により被覆されることで、端子の表面の全域において金めっき被膜による表面保護作用を有する。
つまり、第2の発明によれば、金属製の端子の表面の全域を金めっき被膜で被覆するという要求と、金属製の端子の表面において樹脂製接着材を接合する領域に、金属酸化被膜(酸化ニッケル被膜)を形成するという要求が同時に満たされる。
第3の発明である電子部品収納用パッケージは、第1又は第2の発明であって、酸化ニッケル被膜の厚みは3〜700nmの範囲内であることを特徴とするものである。
上記構成の第3の発明は、第1又は第2の発明の作用と同じ作用に加えて、酸化ニッケル被膜の厚みを3〜700nmの範囲内に特定することで、酸化ニッケル被膜を外観上無色透明な状態にするという作用を有する。この場合、酸化ニッケル被膜の下に配されるめっき被膜(下地ニッケルめっき被膜又は下地金めっき被膜)が透けて見えるので、金属端子の表面の全域を、金属光沢を有する状態にするという作用を有する。
特に、第3の発明が第2の発明を引用する場合は、下地金めっき被膜上に、酸化ニッケル被膜が形成される場合に、外観上その領域には金めっき被膜のみがあるように観せるという作用を有する。
従って、第2の発明を引用する第3の発明によれば、金属製の端子の表面は、外観上その全域に金めっき被膜が形成されているように見せながら、金属製の端子の表面上において樹脂製接着材が接合される領域に、その接合性を向上させる酸化ニッケル被膜を形成させるという作用を有する。
つまり、第2の発明を引用する第3の発明によれば、金属製の端子の表面の全域を金めっき被膜で被覆するという要求と、金属製の端子の表面において樹脂製接着材を接合する領域に、金属酸化被膜(酸化ニッケル被膜)を形成するという要求を同時に満たし、さらに、外観上はあたかも端子の表面の最上層に金めっき被膜のみを有するように見せるという作用を有する。
第4の発明である電子装置は、第1乃至第3のいずれかの発明である電子部品収納用パッケージと、放熱基板上に接合される少なくとも1の電子部品と、端子と電子部品とを導通させるボンディングワイヤと、枠体及び端子上に接合される蓋体と、枠体又は端子と蓋体との間に介設される樹脂接着材と、を有することを特徴とするものである。
上記構成の第4の発明において、電子部品収納用パッケージは、第1乃至第3のそれぞれの発明と同じ作用を有する。また、電子部品(例えば、半導体素子等)は、放熱基板上において外部から伝送される電気信号に基づき、目的とする機能を発揮するという作用を有する。さらに、ボンディングワイヤは、枠体に接合される端子と電子部品とを電気的に接続して、外部から端子に伝送された電気信号を電子部品に伝送する、あるいは、電子部品から発信される電気信号を出力用の端子に伝送するという作用を有する。そして、蓋体及び樹脂接着材は、放熱基板と枠体により形成されるキャビティ内に収納(搭載)される電子部品を封止するという作用を有する。
そして、第4の発明は、端子上に形成されるめっき被膜(ニッケルめっき被膜又は下地金めっき被膜)上に、酸化ニッケル被膜を有することで、キャビティを蓋体と樹脂接着材とにより封止する際に、端子表面への樹脂接着材の接合性を高めるという作用を有する。これにより、第4の発明によれば、キャビティ封止時の気密性を高めるという作用を有する。
第5の発明である電子部品収納用パッケージの製造方法は、平板状のセラミック製又は金属製の放熱基板と、この放熱基板上に接合されるセラミック製の枠体と、この枠体上に接合される複数の金属製の端子と、枠体及び端子上に接合される蓋体と、枠体又は端子と蓋体との間に介設される樹脂接着材と、からなる電子部品収納用パッケージの製造方法において、放熱基板と枠体と端子とからなる接合体における金属表面上に下地ニッケルめっき被膜を形成する下地ニッケルめっき被膜形成工程と、下地ニッケルめっき被膜を備える接合体を酸化処理して、下地ニッケルめっき被膜の上層側に酸化ニッケル被膜を形成する酸化ニッケル被膜形成工程と、酸化ニッケル被膜上で、かつ、端子において樹脂接着材と接触する領域にマスキングを形成するマスキング工程と、マスキングを備えない領域の酸化ニッケル被膜をエッチングにより除去する酸化ニッケル被膜除去工程と、酸化ニッケル被膜が除去された領域に金めっき被膜を形成する金めっき被膜形成工程と、端子からマスキングを除去するマスキング除去工程と、を有することを特徴とするものである。
上記構成の第5の発明は、上述の第1の発明の製造方法を方法の発明として特定したものである。このような第5の発明において、下地ニッケルめっき被膜形成工程は、放熱基板と枠体と端子とからなる接合体における金属表面上に電解めっき法又は無電解めっき法により下地ニッケルめっき被膜を形成するという作用を有する。また、酸化ニッケル被膜形成工程は、金属表面上に下地ニッケルめっき被膜を備えた接合体を酸化雰囲気中(例えば、大気中など)において加熱して酸化処理することで、下地ニッケルめっき被膜の上層側に酸化ニッケル被膜を形成させるという作用を有する。なお、下地ニッケルめっき被膜の「上層側」とは、下地ニッケルめっき被膜の直上に酸化ニッケル被膜が形成される場合と、下地ニッケルめっき被膜上に他のめっき被膜を介してその上に酸化ニッケル被膜が形成される場合(例えば、以下に示す第6の発明)の両者を包含する概念である。
さらに、マスキング工程は、端子上において酸化ニッケル被膜が形成された領域で、かつ、端子上における樹脂接着材の接触予定位置にエッチングレジスト膜を形成してマスキングするという作用を有する。そして、酸化ニッケル被膜除去工程は、エッチング処理(ウエットエッチング)によりエッチングレジスト膜が形成されない領域の酸化ニッケル被膜を除去するという作用を有する。加えて、金めっき被膜形成工程は、酸化ニッケル被膜が除去された領域(マスキングを備えない領域)に電解めっき法又は無電解めっき法により、金めっき被膜を形成するという作用を有する。最後に、マスキング除去工程は、マスキングであるエッチングレジスト膜を剥離する等により、除去するという作用を有する。
そして、上記各工程を有する第5の発明によれば、端子上における樹脂接着材と接触する領域の最上層には酸化ニッケル被膜を備え、かつ、それ以外の接合体の金属表面が下地ニッケルめっき被膜及び金めっき被膜により被覆された電子部品収納用パッケージを提供するという作用を有する。
なお、第5の発明により製造される電子部品収納用パッケージの各構成による作用は、第1の発明における各構成による作用と同じである。
第6の発明である電子部品収納用パッケージの製造方法は、第5の発明であって、下地ニッケルめっき被膜形成工程と酸化ニッケル被膜形成工程との間に、下地ニッケルめっき被膜上に下地金めっき被膜を形成する下地金めっき被膜形成工程を有することを特徴とするものである。
上記構成の第6の発明は、第5の発明と同じ作用に加えて、下地ニッケルめっき被膜形成工程と酸化ニッケル被膜形成工程との間に設けられる下地金めっき被膜形成工程を有することで、下地ニッケルめっき被膜上に下地金めっき被膜が形成される。
そして、金属表面上に下地ニッケルめっき被膜と下地金めっき皮膜を備えた接合体を大気中において加熱して酸化処理すると(酸化ニッケル被膜形成工程)、酸化ニッケル被膜が下地金めっき皮膜上に形成される。より具体的には、ニッケルめっき被膜上に下地金めっき被膜を形成した状態で、酸化雰囲気中(例えば、大気中)で加熱処理を行うと、下地ニッケルめっき被膜を構成するニッケル原子の一部が下地金めっき被膜中に拡散して下地金めっき被膜の表面に浮き上がってくる。そして、下地金めっき被膜上に浮き上がったニッケル原子が酸化されて酸化ニッケルめっき被膜が形成される。
従って、上述のような第6の発明によれば、先の第2又は第3の発明に係る電子部品収納用パッケージが製造される。つまり、第6の発明は、先の第2又は第3の発明を方法の発明として捉えたものである。
なお、第6の発明により製造されてなる電子部品収納用パッケージの各構成による作用は、第2又は第3の発明におけるそれぞれの構成による作用と同じである。
上述のような第1の発明によれば、端子の表面上において樹脂接着材と接触する位置に酸化ニッケル被膜が形成されることで、金めっき被膜に樹脂接着材を接触させる場合に比べて、樹脂接着材の接合性を大幅に向上することができる。
また、第1の発明は、特許文献1に開示される発明のように、めっき被膜の表面に凹凸を形成してその物理的構造を変化させることで樹脂接着材の接合性を高めようとする技術ではない。このため、第1の発明によれば、先に述べたよう下地ニッケルめっき被膜形成時の薬液がめっき被膜(特に下地ニッケルめっき被膜)上に残存する恐れがなく、金めっき被膜の表面に変色不良等の不具合がおこるおそれがない。
さらに、第1の発明によれば、端子の表面において樹脂接着材と接触しない領域は全てニッケルめっき被膜(下地ニッケルめっき被膜)と金めっき被膜を有しているので、端子表面の保護効果も十分に発揮される。
従って、第1の発明によれば、樹脂接着材と接触する領域の接合信頼性が高い電子部品収納用パッケージを提供することができる。
第2の発明は、第1の発明と同じ効果に加えて、端子の樹脂接着材と接触する領域にも金めっき被膜(下地金めっき被膜)を有することで、端子の表面の全域を金めっき被膜により被覆することができる。
従って、第2の発明によれば、第1の発明よりも端子表面の保護効果が優れた電子部品収納用パッケージを提供することができる。
第3の発明は、第1又は第2の発明における酸化ニッケル被膜の厚みを3〜700nmの範囲内に特定することで、酸化ニッケル被膜の外観をほぼ無色透明な状態にすることができる。この結果、第3の発明によれば金属端子の表面の全域を、金属光沢(下地ニッケルめっき被膜又は下地金めっき被膜)を有する状態にすることができる。これにより、電子部品収納用パッケージの外観を良好にし、その商品価値を高めることができる。しかも、第3の発明によれば、金属端子の表面上に酸化ニッケル被膜を備えることで、端子の表面上における樹脂接着材の接合性を高めことができる。これにより、第3の発明において、例えば、半導体素子等の電子部品を放熱基板上において封止する必要がある場合に気密性を高めることができる。
特に、第2の発明を引用する第3の発明の場合は、下地金めっき被膜上に酸化ニッケル被膜を有していたとしても、外観上はあたかも金めっき被膜(下地金めっき被膜)のみがあるかのように見せることができる。その一方で、第2の発明を引用する第3の発明では、端子の表面が、外観上金めっき被膜(下地金めっき被膜)のみを有するように見えたとしても、樹脂接着材と接触する領域は酸化ニッケルめっき被膜を有しているので、この領域の樹脂接着材との接合性を向上できる。
従って、第2の発明を引用する第3の発明によれば、外観上は従来品と同等の金めっき被膜を有する電子部品収納用パッケージでありながら、端子の表面上における樹脂接着材の接合性を、酸化ニッケル被膜を有しない場合に比べて大幅に高めることができる。これにより、第2の発明を引用する第3の発明の場合は、例えば、半導体素子等の電子部品を放熱基板上において封止する必要がある場合に気密性を高めることができる。
さらに、第2の発明を引用する第3の発明の場合、下地ニッケルめっき被膜上に直接酸化ニッケル被膜を形成する場合に比べて、酸化ニッケル被膜の形成速度を緩慢にすることができる。これは、第2の発明を引用する第3の発明の場合は、ニッケル原子が下地金めっき被膜中を移動して下地金めっき被膜上に浮き上がるのに時間を要するためである。このため、第2の発明を引用する第3の発明の場合は、酸化ニッケル被膜の膜厚の調整(3〜700nmの厚みを有する薄い酸化ニッケル被膜の形成)を容易にできるという効果も有する。
第4の発明は、第1乃至第3のそれぞれの電子部品収納用パッケージを用いてなるものであり、第1乃至第3のそれぞれの発明による効果と同じ効果を有する。
また、第4の発明によれば、電子部品収納用パッケージの端子の表面上に、酸化ニッケル被膜を有していることで、放熱基板上に搭載される、例えば、半導体素子等の電子部品を蓋体と樹脂接着材とにより封止する際の気密性が高められる。
また、第4の発明において端子表面の樹脂接着材と接触しない領域の全てが金めっき被膜により被覆されているので、経時変化に伴う端子表面の酸化等による変性を確実に防止することができる。
特に、第4の発明において、第2,第3の発明である電子部品収納用パッケージを用いる場合に、端子の表面の樹脂接着材と接触する領域においても金めっき被膜(下地金めっき被膜)を有するので、端子の表面を一層確実に保護することができる。
従って、第4の発明によれば、端子の表面上に金めっき被膜を有する電子装置の信頼性を大幅に向上することができる。
第5の発明によれば、端子表面の樹脂接着材の接触位置に、酸化ニッケル被膜を有する電子部品収納用パッケージを製造して提供することができる。
このような電子部品収納用パッケージによる効果は、第1の発明による効果と同じである。
第6の発明によれば、端子表面を被覆する端子表面の金めっき被膜(下地金めっき被膜)上に、樹脂接着材との接合性に優れた金属酸化被膜である酸化ニッケル被膜を有する電子部品収納用パッケージを製造して提供することができる。
このような電子部品収納用パッケージによる効果は、第2の発明による効果と同じである。
また、第6の発明の発明により製造される電子部品収納用パッケージにおいて、特に酸化ニッケルめっき被膜の厚みが3〜700nmの範囲内に特定される場合(第3の発明)は、酸化ニッケルめっき被膜の外観をほぼ無色透明にすることができる。そして、このような電子部品収納用パッケージによる効果は、第3の発明による効果と同じである。
本発明の実施例1に係る電子部品収納用パッケージ及びそれを用いてなる電子装置の一部を欠いて示す概念図である。 本発明の実施例1に係る電子部品収納用パッケージ及びそれを用いてなる電子装置の断面図である。 本発明の実施例1に係る電子部品収納用パッケージの要部断面図である。 本発明の実施例1に係る電子部品収納用パッケージの製造工程を示すフローチャートである。 (a)〜(c)はともに本発明の実施例1に係る電子部品収納用パッケージの各製造工程を示す要部断面図である。 (d)〜(f)はともに本発明の実施例1に係る電子部品収納用パッケージの各製造工程を示す要部断面図である。 本発明の実施例2に係る電子部品収納用パッケージの要部断面図である。 本発明の実施例2に係る電子部品収納用パッケージの製造工程を示すフローチャートである。 従来技術に係る電子部品収納用パッケージの製造工程を示すフローチャートである。
本発明の実施の形態に係る電子部品収納用パッケージおよびそれを用いてなる電子装置および電子部品収納用パッケージの製造方法について実施例1,2を参照しながら詳細に説明する。
はじめに、本発明の実施例1に係る電子部品収納用パッケージおよびそれを用いてなる電子装置の基本構成について図1乃至図3を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の実施例1に係る電子部品収納用パッケージ及びそれを用いてなる電子装置の一部を欠いて示す概念図である。また、図2は本発明の実施例1に係る電子部品収納用パッケージ及びそれを用いてなる電子装置の断面図である。さらに、図3は本発明の実施例1に係る電子部品収納用パッケージの要部断面図である。
実施例1に係る電子部品収納用パッケージ1Aは、図1,2に示すように、平板状の金属製又はセラミック製の放熱基板3と、この放熱基板3上に接合されるセラミック製又は樹脂製の枠体4と、この枠体4上に接合される複数の金属製の端子5とから構成されており、図3に示すように、端子5は、その表面上に形成される下地ニッケルめっき被膜13と、この下地ニッケルめっき被膜13上に形成される金めっき被膜15とを備え、この端子5における樹脂接着材7の接触領域7aは、金めっき被膜15の代わりに酸化ニッケル被膜14を備えている。
さらに、実施例1に係る電子装置2Aは、図1乃至図3に示すように、上述のような実施例1に係る電子部品収納用パッケージ1Aと、その放熱基板3上に、例えば、金スズ半田等の接合材を介して接合される電子部品8(例えば、半導体素子等)と、端子5とこの電子部品8とを導通させるボンディングワイヤ9(図1,2を参照)と、枠体4及び端子5上に接合される蓋体6と、枠体4と蓋体6の間、又は、端子5と蓋体6の間に介設される樹脂接着材7とを有するものである。
上述のような実施例1に係る電子部品収納用パッケージ1A及びそれを用いてなる電子装置2Aによれば、端子5の表面上の樹脂接着材7と接触する接触領域7aの最上層に、金属酸化被膜である酸化ニッケル被膜14を有することで、蓋体6を接合する際に、接触領域7aでは酸化ニッケル被膜14と樹脂接着材7とが接合することになる。
この場合、端子5の表面上に形成される金めっき被膜15上に樹脂接着材7を介して蓋体6を接合する場合に比べて、端子5上における樹脂接着材7の接合強度を高めることができる。なお、枠体4をセラミック製又は樹脂製とすることで、樹脂接着材7に対する十分な接合強度を発揮させることができる。
また、実施例1に係る電子装置2Aでは、放熱基板3と枠体4とにより形成される空間(キャビティ)内に収容される電子部品8が、枠体4及び端子5上に覆設される蓋体6により封止される。この場合、端子5では、酸化ニッケル被膜14と樹脂接着材7とが接合することで、電子装置2Aのキャビティの気密性を高めることができる。
よって、実施例1に係る電子部品収納用パッケージ1A及びそれを用いてなる電子装置2Aによれば、キャビティの気密性について信頼性の高い製品を提供することができる。
しかも、実施例1に係る発明によれば、端子5の表面上において樹脂接着材7の接触領域7a以外は全て金めっき被膜15により被覆されている。したがって、この金めっき被膜15により、端子5の表面を酸化等の変性から好適に保護することができる。なお、端子5の表面上の樹脂接着材7の接触領域7aには金めっき被膜15を有しないが、この接触領域7aには蓋体6が接合するので、この部分が酸化等による変性するリスクは小さい。
したがって、実施例1に係る電子部品収納用パッケージ1A及びそれを用いてなる電子装置2Aによれば、従来技術と同等の端子5の表面の保護効果を有しつつ、キャビティの気密性が特に優れた製品を提供することができる。
なお、実施例1に係る電子部品収納用パッケージ1A及びそれを用いてなる電子装置2Aは、上述のような基本構成に加えて選択的必須構成要素として、放熱基板3を被設置対象(例えば、実装ボード10)上に固定するための固定具(例えば、ネジ11等)を挿通させる切欠き19や貫通孔(図示せず)を備えていてもよい。
このような切欠き19や貫通孔(図示せず)並びに固定具を備えることで、実施例1に係る発明品を被設置対象上に固定して用いる場合の信頼性を一層向上することができる。
また、実施例1に係る電子部品収納用パッケージ1A及び電子装置2Aでは、端子5における樹脂接着材7の接触領域7aに形成される酸化ニッケル被膜14の厚みが少なくとも3nm以上である必要がある。
これは、酸化ニッケル被膜14の厚みが3nmを下回ると、この部分に樹脂接着材7を接触させた際の接合強度向上効果が十分に発揮されないためである。
続いて、実施例1に係る電子部品収納用パッケージ1Aの製造方法の基本構成について詳細に説明する。
はじめに、図9を参照しながら従来技術に係る電子部品収納用パッケージの製造方法について説明する。図9は従来技術に係る電子部品収納用パッケージの製造工程を示すフローチャートである。なお、図1乃至図3に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
従来技術に係る電子部品収納用パッケージの製造方法21では、電子部品収納用パッケージの表面に裸出する金属が外気と接触して酸化するなどして変性(劣化)するのを防止する目的で、電子部品収納用パッケージの表面に裸出する金属表面上に金めっき被膜15を設けている。さらに、電子部品収納用パッケージでは、酸化防止を目的として、電子部品収納用パッケージの表面に裸出する金属表面(金めっき被膜15の下層)にニッケルめっき被膜(下地ニッケルめっき被膜13)を設けている。したがって、金めっき被膜15は、電子部品収納用パッケージの表面に裸出する金属を保護しつつ、下地ニッケルめっき被膜13の表面も保護するという作用を有する。
このような従来技術に係る電子部品収納用パッケージの製造方法21は、図9に示すように、金属製又はセラミックス製からなる放熱基板3上に枠体4を接合し、この枠体4上に、金属製(例えば、鉄−ニッケル合金、鉄−ニッケル−コバルト合金、銅、等)の端子5を接合してこれらを一体化した接合体16(後段において説明する図5を参照)を作製する接合一体化工程(ステップS0;準備工程)と、このステップS0の後に、放熱基板3と枠体4と端子5とから成る接合体16の金属表面上に、下地ニッケルめっき被膜13を形成する下地ニッケルめっき被膜形成工程(S1)と、このステップS1において形成された下地ニッケルめっき被膜13上に金めっき被膜15を形成する金めっき被膜形成工程(ステップS5)とを有している。
図9に示す従来技術に係る電子部品収納用パッケージの製造方法21により製造された電子部品収納用パッケージは、端子5の表面の全てが金めっき被膜15により被覆されているので、端子5の表面及び下地ニッケルめっき被膜13の表面が酸化等により変性するのを好適に防止することができる。
その一方で、金めっき被膜15を構成する金は不活性な金属なので、金めっき被膜15と樹脂接着材7とを接合した際に十分な接合強度を発揮させることができない。
この点を具体的に説明すると、電子部品収納用パッケージにおいて電子部品(例えば、半導体素子等)を気密状態を維持しながら封止する必要がある場合に、金めっき被膜15と樹脂接着材7とを接合すると、経時変化に伴ってこの接合部位における気密性が損なわれるおそれがある。
他方、先の特許文献2に開示されるように、端子5等の金属材料表面が酸化金属皮膜を有する場合は、酸化金属皮膜と樹脂接着材7との接合性が良好であるので、高い接合強度を発揮させることができる。ところが、金は極めて不活性な金属であるため、金めっき被膜15の表面に酸化金属皮膜(酸化金より成る被膜)を形成することはできない。
つまり、端子5等の金属材料の表面を好適に保護するには金めっき被膜15が最適であるものの、この金めっき被膜15を有するせいで樹脂接着材7との接合強度が低下するという致命的な課題を有していた。
このような事情に鑑み発明されたのが本発明に係る電子部品収納用パッケージ1A及び電子装置2A、及び、電子部品収納用パッケージの製造方法である。
図4は本発明の実施例1に係る電子部品収納用パッケージの製造工程を示すフローチャートである。なお、図1乃至図3,9に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図4に示すように、実施例1に係る電子部品収納用パッケージの製造方法20Aの基本工程は、接合一体化工程(ステップS0)、下地ニッケルめっき被膜形成工程(ステップS1)、酸化ニッケル被膜形成工程(ステップS2)、マスキング工程(ステップS3)、酸化ニッケル被膜除去工程(ステップS4)、金めっき被膜形成工程(ステップS5)及びマスキング除去工程(ステップS6)の7つの工程から構成されている。
以下に、実施例1に係る電子部品収納用パッケージの製造方法20Aの各工程について図4に加えて、図5,6を参照しながら詳細に説明する。
図5(a)〜(c)及び図6(d)〜(f)はともに本発明の実施例1に係る電子部品収納用パッケージの各製造工程を示す要部断面図である。なお、図1乃至図4、図9に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図4及び図5(a)に示す接合一体化工程(ステップS0)及び下地ニッケルめっき被膜形成工程(ステップS1)については、先に図9を参照して説明した接合一体化工程(ステップS0)と下地ニッケルめっき被膜形成工程(ステップS1)と同じであるため、ここでの説明は省略する。
この接合一体化工程(ステップS0)に先だって、セラミック製の枠体4の上面と下面のそれぞれに導体層12bが形成される。この導体層12bは、焼成前のセラミックス成形体の上面と下面のそれぞれに、焼成前の導電ペーストを印刷塗布するなどしてこれらを同時焼成することで形成することができる。あるいは、焼成前のセラミックス成形体を焼成してなる焼結体の表面に、焼成前の導電ペーストを塗布して焼成することによっても形成できる(ポストメタライズ法)。なお、枠体4における導体層12bの一方を同時焼成により形成し、他方をポストメタライズ法により形成してもよい。
この後、枠体4における端子5の接合位置、並びに、放熱基板3の主面側における枠体4の接合位置に接合材12a(例えば、金属ろう材等)を介して、放熱基板3と枠体4と端子5とを積層して、加熱処理を行うことでこれらを接合して一体化(接合体16)することができる。
なお、特に放熱基板3がセラミックス製である場合は、放熱基板3と枠体4を一体物として製造することもできる。この場合、先の図3及び図5(a)中に示される、放熱基板3と枠体4の間に示される接合材12a及び導体層12bは存在しない。この場合、ステップS0の接合一体化工程は、枠体4を一体に備えた放熱基板3に端子5とを接合して一体化する工程となる。
なお、本実施の形態においては放熱基板3と枠体4とが別体からなる場合を例に挙げて説明しているが、本発明における枠体4は、放熱基板3と別体に設けられていても、放熱基板3と一体に設けられていてもよい。
また、枠体4は液晶ポリマーなどの樹脂製であってもよく、放熱基板3と枠体4、および枠体4と端子5をそれぞれ樹脂接着材で接合して一体化してもよい。
次のステップS1の下地ニッケルめっき被膜形成工程は、図5(b)に示すように、先のステップS0において準備された接合体16の表面に裸出する金属部分上に下地ニッケルめっき被膜13を形成する工程である。なお、下地ニッケルめっき被膜13の形成方法としては、例えば、電解めっき法、無電解めっき法等の従来公知の方法を支障なく用いることができる。また、このステップS1では、接合体16の表面に裸出する金属の全てを被覆する下地ニッケルめっき被膜13が形成される。
なお、このステップS1において接合体16の表面に裸出する金属部分上に形成される下地ニッケルめっき被膜13の膜厚を特定する必要は特になく、図9に示す従来技術の場合と同等の膜厚を有していればよい。
なお、電子部品収納用パッケージを製造する際の下地ニッケルめっき被膜13の一般的な膜厚は、2.5〜10.0μm程度であるが、接合体16の表面に裸出する金属部分が隙間なく下地ニッケルめっき被膜13により被覆されるのであれば、下地ニッケルめっき被膜13の膜厚は上記範囲を超えるものでもよい。
次のステップS2の酸化ニッケル被膜形成工程は、図5(c)に示すように、下地ニッケルめっき被膜13が形成された接合体16を酸化処理して、下地ニッケルめっき被膜13の表面に酸化ニッケル被膜14を形成する工程である。
このステップS2では、例えば、下地ニッケルめっき被膜13が形成された接合体16を、大気中等の酸素が存在する雰囲気下において加熱すればよい。これにより、下地ニッケルめっき被膜13の表面が酸化して、その部分に酸化ニッケル被膜14が形成される。
なお、このステップS2では、下地ニッケルめっき被膜13上に形成される酸化ニッケル被膜14の膜厚は3nm以上である必要がある。
酸化ニッケル被膜14の厚みが3nmよりも薄いと、この酸化ニッケル被膜14と樹脂接着材7とを接合した際に、十分な接合強度の向上効果が発揮されない。そのせいで、端子5上に樹脂接着材7を介して蓋体6(先の、図1,2を参照)を封止した際の気密性が損なわれ易くなる。
また、酸化ニッケル被膜14の膜厚が3nmを超えて大きい場合は、樹脂接着材7等の接合強度の向上効果が低下するといったような不具合は生じず、目的とする効果の発揮には何ら問題はない。ただし、酸化ニッケル被膜14の膜厚が、700nmを超えると酸化ニッケル被膜14を有する領域が黒ずんで見えるため、製品の見映えが悪くなってしまい、商品価値を損なう場合がある。
次のステップS3のマスキング工程は、先のステップS3において形成された酸化ニッケル被膜14上で、かつ、接合体16の端子5の表面上において樹脂接着材7と接触する接触領域7aにマスキングを形成する工程である。
このステップS3は、図6(d)に示すように、端子5の表面上に形成される酸化ニッケル被膜14上に、エッチングレジスト膜17(マスキング)を形成する工程である。なお、このようなエッチングレジスト膜17の形成方法としては、従来公知の方法を支障なく使用することができる。
より具体的には、エッチングレジスト膜17の形成方法としては、例えば、インクジェットを用いて、端子5の酸化ニッケル被膜14上にフォトレジスト液からなるインクを直接吐出して塗布し、この塗布されたインクを感光硬化させてエッチングレジスト膜17を形成する方法がある。または、端子5の酸化ニッケル被膜14上にフォトレジストペーストをスクリーン印刷して、印刷したフォトレジストペーストを感光硬化させる方式がある。エッチングレジスト膜17の硬化方法としては、例えば、紫外線を照射してエッチングレジスト膜17を上記のように感光硬化させるほか、加熱により硬化するタイプのエッチングレジスト膜17を適用することができる。また、これら以外のエッチングレジスト膜17としては、耐薬品性を有する粘着剤が片面に塗布されたマスキングテープを貼り付けるというものでもよい。なお、このマスキングテープはステップS6のマスキング除去工程で引き剥がすことができるものである。
なお、エッチングレジスト膜17は非導電体である。
次のステップS4の酸化ニッケル被膜除去工程は、接合体16のマスキング(エッチングレジスト膜17)を備えない領域の酸化ニッケル被膜14をエッチングにより除去する工程である。
なお、エッチングに用いる薬液としては、酸(例えば、硫酸等)やアルカリ(例えば、苛性ソーダ等)を用いることができる。
図6(e)に示すように、このステップS4により、エッチングレジスト膜17を有しない接触領域7a以外の全ての領域では、酸化ニッケル被膜14が除去されて下地ニッケルめっき被膜13が裸出した状態になる。
次のステップS5の金めっき被膜形成工程は、図9のステップS5と同じである。
より具体的には、このステップS5では、先のステップS4において酸化ニッケル被膜14が除去された下地ニッケルめっき被膜13上に金めっき被膜15が形成される。なお、このステップS5では、電解めっき法又は無電解めっき法により下地ニッケルめっき被膜13上に金めっき被膜15が形成される。
つまり、このステップS5では、接合体16の端子5上においてエッチングレジスト膜17が形成されていない全ての領域に金めっき被膜15が形成される。
なお、金めっき被膜15の膜厚を特定する必要は特にないが、図9に示す従来技術の場合と同等の膜厚を有していればよい。
なお、電子部品収納用パッケージを製造する際の金めっき被膜15の一般的な膜厚は、0.6〜1.4μm程度であるが、接合体16の表面に裸出する下地ニッケルめっき被膜13の表面が隙間なく被覆されており、かつ、端子5を含む接合体16の金属表面の保護効果が十分に発揮されるのであれば金めっき被膜15の膜厚は上記範囲を外れていてもよい。
最後のステップS6のマスキング除去工程は、金めっき被膜15が形成された接合体16からマスキング(エッチングレジスト膜17)を除去して、端子5の表面上における樹脂接着材7の接触領域7aに酸化ニッケル被膜14を裸出させる工程である。
このステップS6では、例えば、薬液中に浸漬することにより、接合体16の端子5の表面上のエッチングレジスト膜17を除去することができる。
接合体16の端子5の表面上に形成されるエッチングレジスト膜17が、例えば、エステル系樹脂や、アクリル系樹脂等からなる場合は、アルカリ液(例えば、苛性ソーダ等)に浸漬することでエッチングレジスト膜17を除去することができる。また、エッチングレジスト膜17としてマスキングテープを使用する場合は手で剥がすことができる。
そして、上述のステップS0〜S6の工程を経て製造されるものが実施例1に係る電子部品収納用パッケージ1Aである(先の図3を参照)。
なお、このような実施例1に係る電子部品収納用パッケージ1Aによる作用・効果については先に述べた通りである。
続いて、実施例1に係る電子装置2Aの製造方法について説明する。
実施例1に係る電子装置2Aの製造方法の基本工程は、上述のステップS0〜S6に加えて、図示しない電子部品搭載工程(ステップS7)、ボンディングワイヤ接続工程(ステップS8)及び蓋体接合・封止工程(ステップS9)を有している。以下にそれぞれの工程について詳細に説明する。
ステップS7の電子部品搭載工程は、実施例1に係る電子部品収納用パッケージ1Aの金属製又はセラミック製の放熱基板3上に電子部品8(例えば、半導体素子等;図1,2を参照)を半田などの接合材を用いて搭載する工程である。
次のステップS8のボンディングワイヤ接続工程は、先の図1,2に示す実施例1に係る電子部品収納用パッケージ1Aの枠体4の中空部(キャビティ)側に配される端子5の端部近傍と、電子部品8上の図示しない電極とを、ボンディングワイヤ9により接続して、実施例1に係る電子部品収納用パッケージ1Aと電子部品8とを導通させる工程である。
なお、先の図4に示す実施例1に係る電子部品収納用パッケージの製造方法20Aにおいて、接触領域7a以外の領域に形成される酸化ニッケル被膜14を除去しない場合は、端子5とボンディングワイヤ9の接合強度が低下して、導通不良等の不具合が生じる、あるいは、金めっき被膜15の下地ニッケルめっき被膜13に対する密着強度が低下するおそれがある。
最後のステップS8の蓋体接合・封止工程(ステップS9)では、端子5上の接触領域7a及び枠体4上に樹脂接着材7を介して蓋体6を接合して、放熱基板3と枠体4からなるキャビティ内に収容される電子部品8を封止する工程である。
このとき、実施例1に係る電子部品収納用パッケージ1Aの端子5の表面上の接触領域7aに酸化ニッケル被膜14が形成されていることで、この酸化ニッケル被膜14と蓋体6に接合される樹脂接着材7とを強固に接合させることができる。
この結果、気密性の高い、又は、発明品の使用時においてもキャビティ内の気密性を好適に維持することができる電子装置2Aを製造して提供することができる。
よって、上述のような実施例1に係る電子部品収納用パッケージの製造方法20A及び電子装置2Aの製造方法によれば、端子5表面上の接触領域7aに樹脂接着材7を強固に接合することができ、かつ、樹脂接着材7と接触しない領域の金属部分の表面が金めっき被膜15により被覆されてしっかりと保護された、信頼性の高い製品を製造することができる。
続いて、図7を参照しながら実施例2に係る電子部品収納用パッケージ1Bの基本構成について詳細に説明する。
図7は本発明の実施例2に係る電子部品収納用パッケージの要部断面図である。なお、図1乃至図6,9に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。また、ここでは実施例1に係る電子部品収納用パッケージ1Aとの相違点について詳細に説明する。
実施例2に係る電子部品収納用パッケージ1Bは、先の実施例1に係る電子部品収納用パッケージ1Aの基本構成に加えて、下地ニッケルめっき被膜13と金めっき被膜15との間、及び、下地ニッケルめっき被膜13と酸化ニッケル被膜14との間に、下地金めっき被膜18を備えるものである。
上記構成の実施例2に係る電子部品収納用パッケージ1Bによれば、端子5の表面上における樹脂接着材7の接触領域7aも、酸化ニッケル被膜14の下層に下地金めっき被膜18を有するので、結端子5の表面の全域が金めっき被膜(金めっき被膜15及び下地金めっき被膜18)により被覆されることになる。
したがって、実施例2に係る電子部品収納用パッケージ1Bによれば、実施例1に係る電子部品収納用パッケージ1Aによる効果と同じ効果に加えて、端子5の表面の変性防止効果がより優れた電子部品収納用パッケージを製造して提供することができる。
また、上述のような実施例2に係る電子部品収納用パッケージ1Bの基本構成に、先の図1,2に示すように、電子部品8(例えば、半導体素子等)、ボンディングワイヤ9及び樹脂接着材7を備えた蓋体6を付加したものが、実施例2に係る電子装置2Bである。
このような実施例2に係る電子装置2Bによれば、実施例1に係る電子装置2Aによる効果と同じ効果に加えて、より信頼性の高い電子装置を製造して提供することができる。
ここで、実施例2の変形例に係る電子部品収納用パッケージおよびそれを用いてなる電子装置について説明する。
実施例2に係る電子部品収納用パッケージ1Bでは、端子5の表面上における樹脂接着材7の接触領域7aに形成される酸化ニッケル被膜14の膜厚を特に、3〜700nmの範囲内に特定してもよい。
このような実施例2の変形例に係る電子部品収納用パッケージによれば、酸化ニッケル被膜14の膜厚を上記範囲内に特定することで、酸化ニッケル被膜14を外観上ほぼ無色透明なものにすることができる。これにより、端子5の表面上における樹脂接着材7の接触領域7aでは、酸化ニッケル被膜14上からその下に形成される下地金めっき被膜18が透けて見えることになる。
この結果、実施例2の変形例に係る電子部品収納用パッケージでは、端子5の表面上に酸化ニッケル被膜14を備えていても外観上は、金めっき被膜(金めっき被膜15及び下地金めっき被膜18)のみがあるようにしか見えないので、実施例1に係る電子部品収納用パッケージ1Aや、実施例2に係る電子部品収納用パッケージ1B(変形例でないもの)に比べて製品の外観を良好にすることができる。
なお、端子5の表面上に形成される酸化ニッケル被膜14の膜厚が700nmを超えると、酸化ニッケル被膜14が外観上無色透明でなく黒ずんで見えるので、上述のような端子5外観を良好にするという効果が発揮されない。
なお、実施例1又は実施例2に係る電子部品収納用パッケージ1A,1B(変形例でないもの)の場合は、端子5の表面上に形成される酸化ニッケル被膜14の膜厚によっては、より具体的には、酸化ニッケル被膜14の膜厚が700nmを超える場合に、樹脂接着材7の接触領域7aが黒ずんで見えてしまい、やはり、製品の外観の美しさという点では劣っていた。
また、実施例2の変形例に係る電子部品収納用パッケージ1Bにおける酸化ニッケル被膜14の膜厚はESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)により測定されている。
実施例2の変形例に係る電子部品収納用パッケージ1Bでいう酸化ニッケル被膜14は、概念上、下地金めっき被膜18上に所望の値で均一に形成された状態のものを想定しているが、実際の発明品においては酸化ニッケル被膜14の膜厚が許容できる範囲のむらを有している可能性もある。この場合、ESCAにより測定される膜厚はこのむらを平均化した数値ということになる。
従って、実施例2の変形例に係る電子部品収納用パッケージによれば、端子5の表面上における樹脂接着材7の接触領域7aにおいて樹脂接着材7を強固に接合することができ、かつ、端子5の表面の全域が金めっき被膜(金めっき被膜15及び下地金めっき被膜18)により被覆されることで、端子5の表面の保護効果が確実に発揮され、しかも、端子5の表面の外観が先の図9に示す従来技術に係る電子部品収納用パッケージの製造方法21により製造されてなる電子部品収納用パッケージと同等の電子部品収納用パッケージを製造して提供することができる。
なお、実施例2の変形例に係る電子部品収納用パッケージでは、酸化ニッケル被膜14の膜厚を上述のように特定することに加えて、下地金めっき被膜18の膜厚を、金めっき被膜15の膜厚よりも薄くし、かつ、下地金めっき被膜18の膜厚の最小値を0.1μm以上に設定してもよい。
この場合、上述のような実施例2の変形例に係る電子部品収納用パッケージによる効果を発揮させつつ、下地金めっき被膜18として使用する金の量を少なくすることができる。なお、下地金めっき被膜18の膜厚が0.1μmよりも小さい場合は、下地金めっき被膜18が保護膜としての機能が十分に発揮されない、あるいは、酸化ニッケル被膜14を介して下地金めっき被膜18を見た場合に、下地金めっき被膜18が十分な光沢を有しておらず、外観の美しさが低下してしまう。
なお、通常、金は高価な金属材料であるため、下地金めっき被膜18の膜厚を薄くすることで、実施例2の変形例に係る電子部品収納用パッケージの製造コストの増加を抑えることができる。
また、下地金めっき被膜18の膜厚が0.7μmに達していれば、端子5の表面の保護膜としても、外観上の美しさについても遜色はない。よって、下地金めっき被膜18の膜厚を特に0.1〜0.7μmの範囲内に特定することで、実施例2の変形例に係る電子部品収納用パッケージの製造コストの増加を抑制することができる。
さらに、上述のような実施例2の変形例に係る電子部品収納用パッケージを用いてなる電子装置によれば、実施例1に係る電子部品収納用パッケージ1Aによる効果と同じ効果に加えて、端子5の表面の保護効果を高めつつ、電子装置の外観を従来品と同等の美しい状態にすることができる。
次に、図8を参照しながら実施例2に係る電子部品収納用パッケージ1Bの製造方法の基本工程について詳細に説明する。
図8は本発明の実施例2に係る電子部品収納用パッケージの製造工程を示すフローチャートである。なお、図1乃至図7,9に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
実施例2に係る電子部品収納用パッケージの製造方法20Bは、先の図4と同じステップS0〜S6において、ステップS1の下地ニッケルめっき被膜形成工程とステップS2の酸化ニッケル被膜形成工程の間に、ステップS10の下地金めっき被膜形成工程を有している。
また、ステップS1とステップS2の間に設けられるステップS10の下地金めっき被膜形成工程は、その直前の下地ニッケルめっき被膜形成工程(ステップS1)において形成された下地ニッケルめっき被膜13上に、膜厚が0.1μm以上の下地金めっき被膜18を形成する工程である。
なお、このステップS10の下地金めっき被膜形成工程では、電解めっき法又は無電解めっき法により下地ニッケルめっき被膜13上に下地金めっき被膜18が形成される。
そして、実施例2に係る電子部品収納用パッケージの製造方法20Bでは、このステップS10により、下地ニッケルめっき被膜13及び下地金めっき被膜18が形成された接合体16を、酸化雰囲気中(例えば、大気中)において加熱することで(加熱・酸化工程)、下地金めっき被膜18の表面上に酸化ニッケル被膜14を形成することができる(ステップS2;酸化ニッケル被膜形成工程)
この点をより具体的に説明すると、下地ニッケルめっき被膜13及び下地金めっき被膜18を有する接合体16を、酸化雰囲気中で加熱すると、下地ニッケルめっき被膜13を構成するニッケル原子の一部が、下地金めっき被膜18中に拡散して下地金めっき被膜18の表面上に浮き上がる。
そして、下地金めっき被膜18の表面上に浮き上がったニッケル原子が酸化されることで、下地金めっき被膜18の表面上に酸化ニッケル被膜14が形成される。
なお、下地金めっき被膜18の膜厚が大きい場合は、下地金めっき被膜18上における酸化ニッケル被膜14の形成に時間を要するが、酸化ニッケル被膜14を形成させることは可能である。
そして、このような「下地金めっき被膜18上に酸化ニッケル被膜14を有している状態」は、「下地ニッケルめっき被膜18の上層側に酸化ニッケル被膜14を有している状態」である。
また、酸化ニッケル被膜14の膜厚を調整するには、ステップS2の加熱・酸化処理時の加熱温度や酸化処理時間を適宜調整すればよい。つまり、ステップS2の加熱・酸化処理時の処理時間を長くすることで、酸化ニッケル被膜14の膜厚を厚くすることができる。
さらに、ステップS2の加熱・酸化処理時の温度は300〜450℃の範囲内に設定しておくことが好ましい。加熱・酸化処理時の温度が250℃よりも低い場合は、酸化ニッケル被膜14の形成が不十分になるという不具合が生じてしまう。他方、加熱・酸化処理時の温度が500℃よりも高いと、酸化ニッケル被膜14が緻密で強固になりエッチング処理に時間がかかる。
したがって、実施例2に係る電子部品収納用パッケージの製造方法20Bにおいては、図8に示すように、ステップS1(下地ニッケルめっき被膜形成工程)、ステップS10(下地金めっき被膜形成工程)及びステップS2(酸化ニッケル被膜形成工程)をこの順序で行うことで、下地金めっき被膜18の表面上に樹脂接着材7との接合性が良好な酸化ニッケル被膜14を形成することができる。
なお、この後の工程については、先の実施例1に係る電子部品収納用パッケージの製造方法20A及び電子装置2Aの製造方法と同じである。
このように、図8に示すような実施例2に係る電子部品収納用パッケージの製造方法20Bによれば、先の図7に示すような実施例2に係る電子部品収納用パッケージ1B、又は、実施例2の変形例に係る電子部品収納用パッケージを製造して提供することができる。
なお、図8に示すような実施例2に係る電子部品収納用パッケージの製造方法20Bにより製造される電子部品収納用パッケージ1B、又は、実施例2の変形例に係る電子部品収納用パッケージによる効果については先に述べた通りである。
最後に、本発明に係る電子部品収納用パッケージによる効果を確認する目的で行った試験結果について説明する。
供試サンプルとして、下表1に示すように各構成を調整した発明品と、従来品をそれぞれ準備した。
Figure 2018056247
また、試験条件及びそれぞれの試験結果については、下表2に示す通りである。
Figure 2018056247
上記表2に示すように、試験1の温度サイクル試験(MIL STD Condition C に準拠)では、発明品(電子部品収納用パッケージ1B)と従来品とをそれぞれ3個ずつ供試し、−65から+150℃の冷・高温状態を所望回数繰り返した。この結果、発明品に係る電子部品収納用パッケージ1Bでは、冷・高温状態を500サイクル繰り返しても封止不良の発生は確認されなかった。これに対し、従来品では冷・高温状態を300サイクル繰り返した際に、全ての供試サンプル(3個)で蓋体6の封止不良が発生した。
また、上表2に示す試験2−1のドライリフロー試験では、発明品(電子部品収納用パッケージ1B)と従来品をそれぞれ3個ずつ供試し、炉内における最高温度を260℃に保った炉への通炉とその後のリークチェックを合計3回繰り返した。この結果、発明品(電子部品収納用パッケージ1A)では、全ての供試サンプル(3個)を3回通炉させた後も封止不良の発生は確認されなかった。これに対し、従来品では、供試した3個のうちの1個で封止不良が発生した。
さらに、上表2に示す試験2−2のJEDEC MSL3試験は、樹脂接着材7が吸湿性を有することに注目した試験である。より具体的には、このJEDEC MSL3試験では、発明品(電子部品収納用パッケージ1B)と従来品をそれぞれ3個ずつ供試し、温度125℃で24時間の加熱処理を行った後、恒温恒湿状態(温度30℃、相対湿度60%)を192時間維持し、その後、上記試験2−1において行ったドライリフロー(温度260℃、3回通炉)を行った後に各サンプルのリークチェックを行った。この結果、発明品(電子部品収納用パッケージ1B)では、全ての供試サンプル(3個)で封止不良の発生は確認されなかった。これに対し、従来品では3個のうちの2個で封止不良が発生した。
したがって、本発明に係る電子部品収納用パッケージ及びそれを用いてなる電子装置によれば、端子5上に樹脂接着材7を介して、例えば、蓋体等が接合される場合に、樹脂接着材7と、端子5上に形成されるめっき被膜(下地ニッケルめっき被膜13又は下地金めっき被膜18)との間に酸化ニッケル被膜14が介設されることで、端子5と樹脂接着材7の接合強度を向上することができる。
また、端子5上に樹脂接着材7を介して接合されるのが、例えば、蓋体6である場合は、例えば、キャビティ内の気密性の持続効果を高めることができる。
したがって、本発明に係る電子部品収納用パッケージ及びそれを用いてなる電子装置によれば、金属表面のめっき被膜による保護効果が従来品と同等で、かつ、樹脂接着材7を用いる場合の接合強度や密封性が高くて信頼性の高い製品を製造して提供することができる。
なお、実施例1に係る電子部品収納用パッケージ1Bは、先の図8に示す各工程を、以下に示す順序で行うことによっても同等のものを製造できる可能性がある。
つまり、接合一体化工程(S0)を行い、この後に下地ニッケル被膜形成工程(S1)を行い、この後に金めっき被膜形成工程(S5)を行い(ここまでは図9に示す従来工程と同一)、この後に、酸化ニッケル被膜形成工程(S2)を行い、この後にマスキング工程(S3)を行い、この後に酸化ニッケル被膜除去工程(S4)を行い、最後にマスキング除去工程(S6)を行うことによっても実施例2に係る電子部品収納用パッケージ1Bと同等のものを製造できる可能性がある。
しかしながら、上記手順で電子部品収納用パッケージを製造した場合は、酸化ニッケル被膜除去工程(S4)で酸やアルカリでエッチング処理した状態の金めっき皮膜がマスキング除去工程(S6)の後にそのまま最上層となる。このため、金めっき被膜上に酸化ニッケル被膜が残存する可能性があり、この場合、金めっき被膜上にボンディングワイヤを接続した際に接続不良が起こるおそれがあるので好ましくない。
また、化学的に不活性である金めっき被膜は、樹脂接着材7を用いる場合と同様に、低融点ガラス接着材との接合性(密着性)も悪い。
本発明は、端子5上における樹脂接着材7との接触領域7aに、金めっき被膜の代わりに酸化ニッケル被膜14を形成することで、端子5上における樹脂接着材7の接合信頼性を向上する技術であり、本発明における樹脂接着材7を低融点ガラス接着材に置き換えた場合も、本発明による効果と同じ効果を発揮させることができる。
つまり、本発明に係る電子部品収納用パッケージ1Aや、それを用いてなる電子装置2Bにおいて、樹脂接着材7の代わりに低融点ガラス接着材を用いる場合も、電子部品を格納するキャビティの気密性を長期間にわたり好適に維持することができる。
以上説明したように、本発明は金属表面の金めっき被膜による保護効果が従来品と同等で、かつ、樹脂接着材を用いる場合の接合強度や気密性が高くて信頼性の高い電子部品収納用パッケージ及びそれを用いてなる電子装置であり、電子部品に関する技術分野において利用可能である。
1A,1B…電子部品収納用パッケージ 2A,2B…電子装置 3…放熱基板 4…枠体 5…端子 6…蓋体 7…樹脂接着材 7a…接触領域 8…電子部品 9…ボンディングワイヤ 10…実装ボード 11…ネジ 12a…接合材 12b…導体層 13…下地ニッケルめっき被膜 14…酸化ニッケル被膜 15…金めっき被膜 16…接合体 17…エッチングレジスト膜 18…下地金めっき被膜 19…切欠き 20A,20B…電子部品収納用パッケージの製造方法 21…従来技術に係る電子部品収納用パッケージの製造方法

Claims (6)

  1. 平板状の金属製又はセラミック製の放熱基板と、この放熱基板上に接合されるセラミック製又は樹脂製の枠体と、この枠体上に接合される複数の金属製の端子と、からなる電子部品収納用パッケージにおいて、
    前記端子は、その表面上に形成される下地ニッケルめっき被膜と、この下地ニッケルめっき被膜上に形成される金めっき被膜とを有し、
    前記端子において樹脂接着材と接触する領域は、前記金めっき被膜の代わりに酸化ニッケル被膜を備えていることを特徴とする電子部品収納用パッケージ。
  2. 前記下地ニッケルめっき被膜と前記金めっき被膜との間、及び、前記下地ニッケルめっき被膜と前記酸化ニッケル被膜との間は、下地金めっき被膜を具備することを特徴とする請求項1に記載の電子部品収納用パッケージ。
  3. 前記酸化ニッケル被膜の厚みは3〜700nmの範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子部品収納用パッケージ。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載される電子部品収納用パッケージと、
    前記放熱基板上に接合される少なくとも1の電子部品と、
    前記端子と前記電子部品とを導通させるボンディングワイヤと、
    前記枠体及び前記端子上に接合される蓋体と、
    前記枠体又は前記端子と前記蓋体との間に介設される樹脂接着材と、を有することを特徴とする電子装置。
  5. 平板状の金属製又はセラミック製の放熱基板と、この放熱基板上に接合されるセラミック製又は樹脂製の枠体と、この枠体上に接合される複数の金属製の端子と、前記枠体及び前記端子上に接合される蓋体と、前記枠体又は前記端子と前記蓋体との間に介設される樹脂接着材と、からなる電子部品収納用パッケージの製造方法において、
    前記放熱基板と前記枠体と前記端子とからなる接合体における金属表面上に下地ニッケルめっき被膜を形成する下地ニッケルめっき被膜形成工程と、
    前記下地ニッケルめっき被膜を備える前記接合体を酸化処理して、前記下地ニッケルめっき被膜の上層側に酸化ニッケル被膜を形成する酸化ニッケル被膜形成工程と、
    前記酸化ニッケル被膜上で、かつ、前記端子において前記樹脂接着材と接触する領域にマスキングを形成するマスキング工程と、
    前記マスキングを備えない領域の前記酸化ニッケル被膜をエッチングにより除去する酸化ニッケル被膜除去工程と、
    前記酸化ニッケル被膜が除去された領域に金めっき被膜を形成する金めっき被膜形成工程と、
    前記端子から前記マスキングを除去するマスキング除去工程と、を有することを特徴とする電子部品収納用パッケージの製造方法。
  6. 前記下地ニッケルめっき被膜形成工程と前記酸化ニッケル被膜形成工程との間に、
    前記下地ニッケルめっき被膜上に下地金めっき被膜を形成する下地金めっき被膜形成工程を有することを特徴とする請求項5に記載の電子部品収納用パッケージの製造方法。
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