JP2018054088A - トランスアクスル - Google Patents
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Abstract
【課題】回転要素へのオイルの供給を抑制できながら、差回転吸収部材にはオイルを良好に供給できる、トランスアクスルを提供する。【解決手段】ドライブギヤ26とベアリング42とが隣接して設けられ、ドライブギヤ26とベアリング42との間には、セパレータ51が配置されている。セパレータ51の上端部52は、ドライブギヤ26を上側から覆っている。また、セパレータ51には、上端部52からベアリング42とドライブギヤ26との間に向けて延びる延部53が形成されている。【選択図】図1
Description
本発明は、自動車などの車両に搭載されるトランスアクスルに関する。
FF(フロントエンジン・フロントドライブ)車には、トランスミッション(変速機)とデファレンシャルギヤ(差動装置)とを一体化したユニット、いわゆるトランスアクスルが多く採用されている。
トランスアクスルの車載状態では、通常、デファレンシャルギヤがトランスミッションよりも低い位置に配置される。デファレンシャルギヤには、トランスミッションから駆動力が伝達されるリングギヤと、リングギヤと一体的に回転するデフケースとが備えられている。トランスアクスルを収容するユニットケース内には、オイルが封入されており、ユニットケースの底部には、オイルが溜まっている。リングギヤおよびデフケースが回転すると、その溜まっているオイルがリングギヤおよびデフケースに掻き上げられて飛沫となり、オイルの飛沫がユニットケースと回転要素との間に介在されるベアリングなどに供給される。これにより、ベアリングなどに差回転の吸収による焼き付きが生じることを抑制できる。
ところが、ギヤなどの回転要素に供給されるオイルは、回転要素の回転抵抗を増大させる。そのため、多量のオイルが回転要素に供給されると、トルク損失による燃費の悪化や発熱を招いてしまう。
本発明の目的は、ギヤなどの回転要素へのオイルの供給を抑制できながら、ベアリングなどの差回転を吸収する差回転吸収部材にはオイルを良好に供給できる、トランスアクスルを提供することである。
前記の目的を達成するため、本発明に係るトランスアクスルは、同一の回転軸線まわりに生じる差回転を吸収する差回転吸収部材と、差回転吸収部材に対して回転軸線に沿う方向の一方側に設けられて回転する回転要素と、差回転吸収部材と回転要素との間に配置されるセパレータとを含み、セパレータは、回転要素を上側から覆う上端部および上端部から差回転吸収部材と回転要素との間に向けて延びる延部を有している。
この構成によれば、差回転吸収部材と回転要素とが回転軸線方向に並べて設けられている。差回転吸収部材と回転要素との間には、セパレータが配置されている。セパレータの上端部は、回転要素を上側から覆っている。そのため、回転要素にその上側から降り注ぐオイルをセパレータの上端部で阻止することができ、多量のオイルが回転要素に供給されることを抑制できる。
そして、セパレータには、上端部から差回転吸収部材と回転要素との間に向けて延びる延部が形成されている。そのため、セパレータの上端部で受け止められたオイルは、その上端部から延部を伝って差回転吸収部材に向けて流下し、延部の下端縁から差回転吸収部材に向けて放出される。その結果、差回転吸収部材に十分な量のオイルを良好に供給することができる。
よって、回転要素へのオイルの供給を抑制できながら、差回転吸収部材には十分な量のオイルを良好に供給することができる。
延部には、上端部から流れてくるオイルを差回転吸収部材に向けて案内する案内部が形成されていることが好ましい。
この構成を採用することにより、差回転吸収部材にオイルを積極的に供給することができ、差回転吸収部材に供給されるオイルの量を増やすことができる。
案内部は、差回転吸収部材に向けて開放される凹状のオイル供給溝であってもよい。
セパレータは、回転要素に対して差回転吸収部材と反対側から対向する部分を有していないことが好ましい。
これにより、回転要素には、差回転吸収部材と反対側からオイルが供給される。また、回転要素に対して差回転吸収部材と反対側に配置される部材へのオイルの供給がセパレータ51によって妨げられない。そのため、回転要素および回転要素に対して差回転吸収部材と反対側に配置される部材への潤滑に必要なオイルの供給を確保することができる。
本発明によれば、回転要素へのオイルの供給を抑制できるので、回転要素にオイルが供給されることによるトルク損失を低減でき、ひいては、トランスアクスルが搭載される車両の燃費を向上させることができる。その一方で、差回転吸収部材にはオイルを良好に供給することができるので、差回転吸収部材に差回転の吸収による焼き付きが生じることを抑制できる。
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
<トランスアクスル>
図1は、本発明の一実施形態に係るトランスアクスル1の構成を示す断面図である。なお、図1では、断面を表すハッチングの付与が省略されている。
図1は、本発明の一実施形態に係るトランスアクスル1の構成を示す断面図である。なお、図1では、断面を表すハッチングの付与が省略されている。
トランスアクスル1は、車両に搭載されて、エンジン(図示せず)が発生するトルクを変速して駆動輪(図示せず)に伝達する変速ユニットであり、その外殻をなすユニットケース2内に、トルクコンバータ3、ベルト式の無段変速機4およびデファレンシャルギヤ5を備えている。
無段変速機4は、インプット軸11と、インプット軸11と平行に設けられたプライマリ軸12と、プライマリ軸12と平行に設けられたセカンダリ軸13と、プライマリ軸12に支持されたプライマリプーリ14と、セカンダリ軸13に支持されたセカンダリプーリ15と、プライマリプーリ14とセカンダリプーリ15とに巻き掛けられたベルト16と、セカンダリ軸13と同軸上に設けられたアウトプット軸17とを備えている。
エンジンなどの駆動源からの動力は、トルクコンバータ3を介してインプット軸11に入力される。インプット軸11に入力される動力は、ギヤ21,22を介してプライマリ軸12に伝達され、プライマリ軸12と一体に回転するプライマリプーリ14からベルト16を介してセカンダリプーリ15に伝達されて、セカンダリ軸13をセカンダリプーリ15と一体に回転させる。セカンダリ軸13の回転(動力)は、遊星歯車機構23を介して、アウトプット軸17に伝達される。
また、無段変速機4には、インプット軸11に入力される動力をベルト16を経由せずに遊星歯車機構23に伝達可能にするため、平行軸式歯車機構24が設けられている。平行軸式歯車機構24は、インプット軸11にベアリング25を介して回転可能に保持されたドライブギヤ26と、アウトプット軸17にベアリング27を介して回転可能に保持され、ドライブギヤ26と噛合するドリブンギヤ28とを備えている。
インプット軸11に入力される動力は、クラッチC1の係合により、ドライブギヤ26に伝達され、ドライブギヤ26からドリブンギヤ28に伝達される。ドリブンギヤ28に伝達される動力は、クラッチC2の係合により、遊星歯車機構23に伝達され、遊星歯車機構23からアウトプット軸17に伝達される。
デファレンシャルギヤ5は、ギヤ収容空間31を内部に提供するデフケース32を備えている。デフケース32には、ギヤ収容空間31を貫通するピニオンシャフト33が保持されており、ピニオンシャフト33には、2個のピニオンギヤ34,35が互いに間隔を開けて回転可能に保持されている。また、ギヤ収容空間31内には、2個のサイドギヤ36,37がピニオンシャフト33の両側に分かれて配置されている。各サイドギヤ36,37は、ピニオンギヤ34,35と噛合している。また、サイドギヤ36,37には、それぞれ車両のドライブシャフト6,7が車幅方向から連結されている。また、デフケース32には、デフケース32を取り囲む円環状のリングギヤ38が固定されている。
アウトプット軸17に伝達される動力は、アウトプット軸17に相対回転不能に支持された出力ギヤ39を介してリングギヤ38に伝達される。これにより、リングギヤ38およびデフケース32が一体に回転する。デフケース32の回転は、ピニオンギヤ34,35を介して、各サイドギヤ36,37の回転に変換される。これにより、各サイドギヤ36,37と一体にドライブシャフト6,7が回転し、ドライブシャフト6,7の回転が駆動輪に伝達される。
<ユニットケース>
図2は、ユニットケース2の図解的な断面図である。
図2は、ユニットケース2の図解的な断面図である。
デファレンシャルギヤ5は、仮想線で示されるように、ユニットケース2の底部に配置されている。ユニットケース2内には、オイルが封入されており、ユニットケース2の底部には、オイルが溜まっている。そのため、デフケース32およびリングギヤ38の回転時には、ユニットケース2の底部に溜まっているオイルがデフケース32およびリングギヤ38に掻き上げられ、デファレンシャルギヤ5の上側の空間41に向けてオイルが飛散する。
空間41には、トルクコンバータ3および無段変速機4が配置される。たとえば、デファレンシャルギヤ5に対して図2における右上側の位置には、仮想線で示されるように、平行軸式歯車機構24のドライブギヤ26が配置されている。ドライブギヤ26の周囲には、図1に示されるように、クラッチC1、ドライブギヤ26を支持するベアリング25およびベアリング25に対してトルクコンバータ3側と反対側に隣接して配置されるベアリング42などが配置されている。デフケース32およびリングギヤ38に掻き上げられて空間41に向けて飛散するオイルは、ドライブギヤ26やその周囲のクラッチC1およびベアリング25,42などに供給される。
これにより、クラッチC1やベアリング25,42などが潤滑され、それらに焼き付きが生じることを抑制できる。ところが、多量のオイルがドライブギヤ26に供給されると、オイルがドライブギヤ26の回転抵抗となり、トルク損失による車両の燃費の悪化などを招いてしまう。
そこで、ドライブギヤ26とベアリング42との間には、セパレータ51が設けられている。
<セパレータ>
図3は、セパレータ51の斜視図である。
図3は、セパレータ51の斜視図である。
セパレータ51は、円弧状に湾曲した板状の上端部52と、上端部52の周方向に延びる一方側の端縁から下側に延びる延部53とを一体的に有している。
延部53は、上端部52から下側に延び、その途中部から下側に凹むように湾曲しつつ一方側に向けてさらに延びている。これにより、延部53には、上端部52から下側に延びる中間部531と、中間部531の下端から湾曲して延びる湾曲部532とが形成されている。そして、中間部531には、上端部42の周方向に間隔を開けて、一方側(湾曲部532が延出している側)に円形状に隆起する2つの隆起部533が形成されている。湾曲部532には、2つの隆起部533の間の位置に、延部53の先端縁で開放される凹状のオイル供給溝54が延部53の湾曲に沿って形成されている。
図1に示されるように、上端部52がドライブギヤ26に上側から間隔を開けて対向し、延部53がドライブギヤ26とベアリング42との間に向けて延びるように、セパレータ51が配置されている。セパレータ51は、各隆起部533に形成されている貫通孔534にボルト(図示せず)が挿通されて、そのボルトによりユニットケース2に固定されている。セパレータ51には、上端部52の周方向に延びる他方側の端縁よりもトルクコンバータ3側に形成されている部分はなく、セパレータ51は、ドライブギヤ26に対してトルクコンバータ3側から対向する部分を有していない。
<作用効果>
以上のように、ドライブギヤ26とベアリング42とが隣接して設けられ、ドライブギヤ26とベアリング42との間には、セパレータ51が配置されている。セパレータ51の上端部52は、ドライブギヤ26を上側から覆っている。そのため、ドライブギヤ26にその上側から降り注ぐオイルをセパレータ51の上端部52で阻止することができ、多量のオイルがドライブギヤ26に供給されることを抑制できる。
以上のように、ドライブギヤ26とベアリング42とが隣接して設けられ、ドライブギヤ26とベアリング42との間には、セパレータ51が配置されている。セパレータ51の上端部52は、ドライブギヤ26を上側から覆っている。そのため、ドライブギヤ26にその上側から降り注ぐオイルをセパレータ51の上端部52で阻止することができ、多量のオイルがドライブギヤ26に供給されることを抑制できる。
そして、セパレータ51には、上端部52からベアリング42とドライブギヤ26との間に向けて延びる延部53が形成されている。そのため、セパレータ51の上端部52で受け止められたオイルは、その上端部52から延部53を伝ってベアリング42に向けて流下し、延部53の下端縁からベアリング42に向けて放出される。その結果、ベアリング42に十分な量のオイルを良好に供給することができる。
よって、ドライブギヤ26へのオイルの供給を抑制できながら、ベアリング42には十分な量のオイルを良好に供給することができる。
また、延部53の湾曲部532には、ベアリング42に向けて開放される凹状のオイル供給溝54が形成されている。オイル供給溝54が形成されていることにより、延部53を流れるオイルをオイル供給溝54に集めることができ、その集まったオイルがオイル供給溝54を流れることにより、オイルをベアリング42に積極的に案内することができる。そして、オイル供給溝54の下端がベアリング42に向けて開放されているので、オイル供給溝54の下端に流れ着いたオイルがベアリング42に向けて放出される。よって、ベアリング42にオイルを積極的に供給することができ、ベアリング42に供給されるオイルの量を増やすことができる。
さらに、延部53の中間部531には、2つの隆起部533がベアリング42側に円形状に隆起して形成されており、オイル供給溝54は、2つの隆起部533の間の位置に形成されている。図3に白抜き矢印で示されるように、セパレータ51の上端部52から延部53に流れるオイルが各隆起部533の円形状の周縁に案内されることにより、オイルをオイル供給溝54に集めることができる。よって、オイル供給溝54を流れるオイルの量を増やすことができ、ベアリング42にオイルをより良好に供給することができる。
セパレータ51は、ドライブギヤ26に対してトルクコンバータ3側から対向する部分を有していない。これにより、ドライブギヤ26にトルクコンバータ3側からオイルが供給されるので、ドライブギヤ26の潤滑に必要なオイルの供給を確保することができる。また、クラッチC1やベアリング25にトルクコンバータ3側からオイルが供給されるので、クラッチC1やベアリング25へのオイルの供給を確保することができ、クラッチC1やベアリング25をオイルで潤滑させることができる。
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、セパレータ51の延部53には、オイルの流れを案内できる形状であれば、オイル供給溝54に加えて、または、オイル供給溝53に代えて、上端部52の周方向に互いに間隔を開けて対向配置される案内壁が形成されていてもよい。
さらには、オイルをベアリング42に向けて供給できる構造であれば、ベアリング42に向けて開放される孔が延部53に形成されていてもよいし、延部53の下端部にベアリング42に向けて開放される切欠が形成されていてもよい。
また、トランスアクスル1には、無段変速機4が備えられているが、本発明は、無段変速機4を備えるトランスアクスル1に限らず、有段式の自動変速機(AT:Automatic Transmission)などを備えるトランスアクスルに広く適用可能である。
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
1:トランスアクスル
28:ドリブンギヤ(回転要素)
42:ベアリング(差回転吸収部材)
51:セパレータ
52:上端部
53:延部
28:ドリブンギヤ(回転要素)
42:ベアリング(差回転吸収部材)
51:セパレータ
52:上端部
53:延部
Claims (1)
- 同一の回転軸線まわりに生じる差回転を吸収する差回転吸収部材と、
前記差回転吸収部材に対して前記回転軸線に沿う方向の一方側に設けられて回転する回転要素と、
前記差回転吸収部材と前記回転要素との間に配置されるセパレータとを含み、
前記セパレータは、前記回転要素を上側から覆う上端部および前記上端部から前記差回転吸収部材と前記回転要素との間に向けて延びる延部を有している、トランスアクスル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016194147A JP2018054088A (ja) | 2016-09-30 | 2016-09-30 | トランスアクスル |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016194147A JP2018054088A (ja) | 2016-09-30 | 2016-09-30 | トランスアクスル |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018054088A true JP2018054088A (ja) | 2018-04-05 |
Family
ID=61836315
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016194147A Pending JP2018054088A (ja) | 2016-09-30 | 2016-09-30 | トランスアクスル |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2018054088A (ja) |
-
2016
- 2016-09-30 JP JP2016194147A patent/JP2018054088A/ja active Pending
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