JP2018053486A - エレベーターピット、エレベーターピットの施工方法及び建物 - Google Patents
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本発明の一態様に係るエレベーターピットは、エレベーター昇降路のうち最下階でのかご停止位置よりも下方に設けられ、前記エレベーター昇降路を上下に仕切るエレベーターピットであって、底板部と、前記底板部の周縁部から上方に向けて立設されるとともに、前記最下階の床版を支持する床支持部に固定される固定部と、を備えている。
また、上記態様に係るエレベーターピットの施工方法であって、前記最下階の前記床版のうち、前記エレベーター昇降路に重なる部分の床版を取り外して前記床支持部を露出させる床版取り外し工程と、前記床支持部に前記固定部を固定して前記エレベーターピットを前記エレベーター昇降路に設置する設置工程と、を有する。
特に、本態様によれば、例えばリフォーム時において、床版を取り外して露出した既存の床支持部にエレベーターピットを固定するだけの乾式工法によりエレベーターピットを設置できる。そのため、従来の湿式工法でエレベーターピットを設置する場合のように、床版を取り外して露出した部分に対して土間コンクリートやRC基礎の追加工事等を行う必要がない。その結果、施工性に優れ、低コストで短納期のエレベーターピットを提供できる。
さらに、本態様のエレベーターピットは、リフォーム時に簡単に後付けすることができるので、将来のエレベーター設置を見越して建物にエレベーターピットやエレベーターの後付空間を予め設ける場合に比べて建物の初期費用を抑えることができる。
本態様によれば、底板部とは別のエレベーター支持部によりエレベーターの荷重を支持することで、例えば底板部によりエレベーターの荷重を支持する場合のように底板部全体の剛性を確保する必要がない。そのため、底板部の薄型化及び軽量化を図ることができる。
本態様によれば、固定部や底板部がそれぞれ一体で形成されている場合に比べて、建物内への搬入性や、建物内での施工性を向上させることができる。
本態様によれば、メンテナンス時等において板材を取り外すことで、エレベーターピットの設置後であってもエレベーターピットの下方空間を点検することができる。
本態様によれば、固定部のフランジ部に逃げ部が形成されているため、構造部材とフランジ部との干渉を避けることができる。そして、逃げ部を予め形成しておくことで、現場でフランジ部の加工が不要になるので、施工性の更なる向上を図ることができる。
本態様によれば、リフォーム時においてエレベーターを設置する際に上記態様に係るエレベーターピットを用いることで、施工性に優れ、低コスト及び短納期でエレベーターを設置できる。
[建物]
図1は、実施形態に係る建物1の概略構成図である。
図1に示す建物1は、所定(例えば、305mm)のモジュールを有する工業化住宅である。すなわち、建物1は、規格化された複数の部材の組み合わせにより躯体が構成されている。
基礎2は、例えばRC造の連続布基礎である。基礎2は、上下方向に沿う断面視で逆T字状に形成されている。具体的に、基礎2は、地中に埋設されたフーチング部11と、フーチング部11から上方に突出する立ち上がり部12と、を有している。
また、2階梁17の下面や、R階梁(若しくは屋根梁)19の下面には、それぞれ天井材23が敷設されている。
EV昇降路32は、既存の建物1の居住空間の一部に対して追加工事を行うことで形成されている。本実施形態のEV昇降路32は、平面視で建物1の角部に位置している。但し、EV昇降路32の形成位置は、EV31の設置スペースを確保できる場所であれば、任意の場所(例えば、居室や廊下、収納等)に形成することができる。
2階空間35は、2階EV開口44を通して2階EV乗降部45(居室や廊下等)に連通している。2階EV開口44には、2階EV開口44を開閉する2階EV扉(不図示)が設けられる。
下連通路36は、床下空間33及び1階空間34を仕切る1階床版21を取り外すことで形成されている。
上連通路37は、1階空間34及び2階空間35を仕切る1階部分の天井材23や2階床版22を取り外すことで形成されている。
図2に示すように、本実施形態の床下空間33は、基礎2や基礎梁15により例えば三方向が囲まれている。具体的に、床下空間33には、基礎2のうち互いに直交して連なる第1基礎(床支持部)51及び第2基礎(床支持部)52と、基礎梁15のうち第2基礎52に連結されて第1基礎51と平行に延びるピット支持梁(床支持部)53と、が露出している。但し、床下空間33には、少なくとも対向する2辺に基礎2又は基礎梁15が露出していれば構わない。なお、第1基礎51、第2基礎52、及びピット支持梁53は、新築時の建物において、1階床版21を支持している。
EV昇降路32において、1階EV乗降部(最下階のかご停止位置)42よりも下方には、床下空間33と1階空間34とを上下方向に仕切るEVピット55が配置されている。EVピット55は、上方に向けて開口する箱型に形成されている。本実施形態において、EVピット55の上下方向の深さ(ピット深さ)は、200mm程度に設定されている。但し、EVピット55のピット深さは適宜変更が可能である。
図2、図3に示すように、EVピット55は、固定部61と、底板部62と、EV支持部63と、を主に備えている。
固定部61は、平面視外形が床下空間33と同等の大きさの角筒状に形成されている。固定部61は、床下空間33の全周に亘って延在している。
図2、図4に示すように、第1側板(対向部)71は、上述した第1基礎51に固定されている。第1側板71は、上下方向に沿う断面視でZ字状に一体形成されている。具体的に、第1側板71は、側壁部77と、内フランジ部78と、外フランジ部(フランジ部)79と、を備えている。
側壁部77は、第1基礎51における立ち上がり部12の上部内面(Y方向の内側を向く面)に沿ってX方向に延在している。側壁部77の上端縁は、第1基礎51(立ち上がり部12)の上面と同等の位置に配置されている。
外フランジ部79は、側壁部77の上端縁からY方向の外側に向けて突出している。外フランジ部79は、第1基礎51の上面に固定されている。本実施形態では、第1基礎51の上面から立設されたアンカーボルト(例えば、ケミカルアンカー等の後施工アンカー)を、外フランジ部79の取付孔(不図示)に挿通した後、アンカーボルトにナットを螺着することで、外フランジ部79が第1基礎51に締結されている。但し、少なくともX方向及びY方向において、第1基礎51に対する第1側板71の位置決めが可能であれば、外フランジ部79の固定方法は適宜変更が可能である。
図2に示すように、第3側板(対向部)73は、上述したピット支持梁53に沿ってX方向に延在している。第3側板73の外フランジ部79は、ピット支持梁53にボルト及びナットにより締結されている。
第4側板74は、第1側板71及び第3側板73の間を架け渡している。
図5に示す底板部62は、上述した固定部61と同様の材料により形成された複数の床板91〜93が着脱可能に組み合わされて形成されている。本実施形態において、底板部62は、複数の床板91〜93がジョイント部材95を介してX方向で連結されて構成されている。ジョイント部材95は、Y方向を長手方向とするとともに、上下方向に沿う断面視で下方を向くC字状に形成されている。具体的に、ジョイント部材95は、ベース部96と、ベース部96におけるX方向の両端部から下方に突出するリブ97と、を有している。
第1ブラケット100の取付片111は、第1側板71の外フランジ部79に上方から重ね合わされ、第1側板71の外フランジ部79とともに第1基礎51に固定されている。
第2ブラケット101の取付片111は、第3側板73の外フランジ部79に上方から重ね合わされ、第3側板73の外フランジ部79とともにピット支持梁53に固定されている。
下フランジ部122は、上述した底板部62に対して上方に離間している。
図1、図2に示すように、本実施形態のEV31には、油圧式のEV31が好適に用いられている。EV31は、EVかご132と、EVかご132を昇降させる油圧ジャッキ130と、EVかご132の昇降を案内するガイドレール131と、を主に備えている。
油圧ジャッキ130は、例えば多段のシリンダを有している。油圧ジャッキ130は、各シリンダが各シリンダの外側に位置するシリンダに対して進退することで、上下方向に伸縮可能に構成されている。油圧ジャッキ130の下端部は、上述したEV梁102の上フランジ部121に固定される。
ガイドレール131は、例えば油圧ジャッキ130に対してY方向の両側において上下方向に延在している。ガイドレール131の下端部は、EV梁102の上フランジ部121に固定される。
次に、上述したEVピット55の施工方法について説明する。
まず、図1に示すように、建物1の1階部分において、EV31の設置領域(EV昇降路32に重なる部分)の1階床版21を取り外す(床版取り外し工程)。これにより、下連通路36が形成されるとともに、下連通路36を通して床下空間33と1階空間34とが連通する。
続いて、図6に示すように、EVピット55の固定部61を第1基礎51や第2基礎52、ピット支持梁53等の床支持部に固定する(固定部設置工程)。固定部61の固定方法は、施工環境に応じて適宜変更が可能である。すなわち、固定部61は、各側板71〜74の少なくとも一部同士を組み付けた後に床支持部に固定してもよい。また、固定部61は、各側板71〜74を別々に床支持部に固定した後に、各側板71〜74同士を組み付けてもよい。
次に、図7に示すように、EV支持部63を組み付ける(EV支持部設置工程)。具体的には、第1ブラケット100を第1側板71及び第1基礎51に固定するとともに、第2ブラケット101を第3側板73及びピット支持梁53に固定する。その後、EV梁102におけるY方向の両端部を各ブラケット100,101の梁固定部112,113に固定する。
以上により、EVピット55の施工が完了する。EVピット55の施工後、床支持部の上部に、外フランジ部79や外フランジ部79と床支持部との固定部分を被覆する目地材(例えば、モルタル等)を施工しても構わない。
また、上述した実施形態では、EV支持部設置工程の後に底板部設置工程を行う構成について説明したが、これとは逆に底板部設置工程の後にEV支持部設置工程を行っても構わない。
この構成によれば、例えばリフォーム時において、1階床版21を取り外して露出した既存の床支持部に、EVピット55を固定するだけの乾式工法によりEVピット55を設置できる。そのため、従来の湿式工法でEVピットを設置する場合のように、1階床版21を取り外して露出した部分に対して土間コンクリートやRC基礎等の追加工事を行う必要がない。その結果、施工性に優れ、低コストで短納期のEVピット55を提供できる。
さらに、本実施形態のEVピット55は、リフォーム時に簡単に後付けすることができるので、将来のEV設置を見越して建物1にエレベーターピットやEVの後付空間を予め設ける場合に比べて建物1の初期費用を抑えることができる。
この構成によれば、底板部62とは別のEV支持部63によりEV31の荷重を支持することで、例えば底板部62によりEV31の荷重を支持する場合のように底板部62全体の剛性を確保する必要がない。そのため、底板部62の薄型化及び軽量化を図ることができる。
この構成によれば、固定部61や底板部62がそれぞれ一体で形成されている場合に比べて、建物1内への搬入性や、建物1内での施工性を向上させることができる。
この構成によれば、メンテナンス時等において側板71〜74や床板91〜93を取り外すことで、EVピット55の設置後であってもEVピット55の下方空間を点検することができる。
例えば、上述した実施形態では、鉄骨ラーメン構造の建物1に本発明のEVピット55を採用した場合について説明したが、その他の鉄骨造の建物や木造の建物に本発明のEVピット55を採用しても構わない。
上述した実施形態では、既存の建物1に対してEVピット55を設置する構成について説明したが、この構成のみに限らず、本実施形態のEVピット55を新築時に採用しても構わない。
上述した実施形態では、EV31が1階部分と2階部分との間を昇降する構成について説明したが、この構成のみに限らず、3階建ての建物において1階部分から3階部分までを昇降したり、2階部分と3階部分との間を昇降したりする構成でも構わない。2階部分と3階部分との間を昇降する場合には、2階空間と2階部分(最下階)の床下空間との間を仕切るようにEVピット55が設置される。
上述した実施形態では、EVピット55が金属材料により形成された場合について説明したが、この構成のみに限られない。例えば、FRP(繊維強化プラスチック)等の他の材料によりEVピット55を形成しても構わない。
上述した実施形態では、EV支持部63が第1側板71及び第3側板73の間を架け渡す構成について説明したが、この構成のみに限られない。EV支持部63は、固定部61のうち、基礎2や基礎梁15に固定されている部分の間を架け渡していれば構わない。
上述した実施形態では、EV31の荷重を支持するEV支持部63を備える構成について説明したが、EV支持部63を備えない構成でも構わない。この場合には、底板部62の剛性を確保して、底板部62によりEV31の荷重を支持しても構わない。
Claims (7)
- エレベーター昇降路のうち最下階でのかご停止位置よりも下方に設けられ、前記エレベーター昇降路を上下に仕切るエレベーターピットであって、
底板部と、
前記底板部の周縁部から上方に向けて立設されるとともに、前記最下階の床版を支持する床支持部に固定される固定部と、を備えていることを特徴とするエレベーターピット。 - 前記固定部は、前記底板部を間に挟んで対向する一対の対向部を少なくとも有し、
前記一対の対向部には、エレベーターの荷重を支持するエレベーター支持部が架け渡されていることを特徴とする請求項1に記載のエレベーターピット。 - 前記底板部及び前記固定部のうち、少なくとも一方は複数の板材が組み合わされて構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエレベーターピット。
- 前記複数の板材は、着脱可能に組み合わされていることを特徴とする請求項3に記載のエレベーターピット。
- 前記固定部は、
前記底板部の周縁部から立設された側壁部と、
前記側壁部から張り出して形成され、前記床支持部に支持されるフランジ部と、を備え、
前記フランジ部には、前記床支持部に設けられた構造部材との干渉を回避する逃げ部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載のエレベーターピット。 - 請求項1から請求項5の何れか1項に記載のエレベーターピットの施工方法であって、
前記最下階の前記床版のうち、前記エレベーター昇降路に重なる部分の床版を取り外して前記床支持部を露出させる床版取り外し工程と、
前記床支持部に前記固定部を固定して前記エレベーターピットを前記エレベーター昇降路に設置する設置工程と、を有することを特徴とするエレベーターピットの施工方法。 - 請求項1から請求項5の何れか1項に記載のエレベーターピットを備えていることを特徴とする建物。
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