JP2018053237A - シリコーンゴム系硬化性組成物および成形体 - Google Patents
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Description
ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)と、
シリカ粒子(C)と、を含む、シリコーンゴム系硬化性組成物であって、
前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)100重量部に対して、前記シリカ粒子(C)の含有量をX(重量部)とし、
当該シリコーン系硬化組成物の硬化物の、JISK6253で規定されるデュロメータ硬さAをYとしたとき、
X/Yが、0.5以上1未満であり、
当該シリコーン系硬化組成物の硬化物の引裂き強度が25N/mm以上であり、
当該シリコーン系硬化組成物の硬化物の、前記デュロメータ硬さAが40未満である、シリコーンゴム系硬化性組成物が提供される。
上記シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物を備える、成形体が提供される。
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物の概要について説明する。
本実施形態において、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)100重量部に対して、シリカ粒子(C)の含有量をX(重量部)とし、当該シリコーン系硬化組成物の硬化物の、JISK6253で規定されるデュロメータ硬さAをYとしたとき、X/Yが、0.5以上1未満である。また、当該シリコーン系硬化組成物の硬化物の引裂き強度は、25N/mm以上であり、当該シリコーン系硬化組成物の硬化物の、デュロメータ硬さAが40未満である。
このような引き延ばした後の残存歪みを、引張永久ひずみという。この引張永久ひずみは、圧縮して歪みが残る圧縮永久歪みとは異なる特性である。たとえば、シリコーンゴムにおいては、引張り方向の応力が加わると、引張永久ひずみが発生し、繰り返し使用した後における復元性が低下することが分かった。
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)を含むものである。ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)は、本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物の主成分となる重合物である。
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)を含むことができる。
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)は、直鎖構造を有する直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐構造を有する分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)とに分類され、これらのうちのいずれか一方または双方を含むことができる。
(Ha(R7)3−aSiO1/2)m(SiO4/2)n
(式(c)において、R7は一価の有機基、aは1〜3の範囲の整数、mはHa(R7)3−aSiO1/2単位の数、nはSiO4/2単位の数である。)
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、シリカ粒子(C)を含むものである。
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、シランカップリング剤(D)を含むことができる。
シランカップリング剤(D)は、加水分解性基を有することができる。加水分解基が水により加水分解されて水酸基になり、この水酸基がシリカ粒子(C)表面の水酸基と脱水縮合反応することで、シリカ粒子(C)の表面改質を行うことができる。
上記式(4)中、nは1〜3の整数を表わす。Yは、疎水性基、親水性基またはビニル基を有するもののうちのいずれかの官能基を表わし、nが1の時は疎水性基であり、nが2または3の時はその少なくとも1つが疎水性基である。Xは、加水分解性基を表わす。
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、白金または白金化合物(E)を含むことができる。
白金または白金化合物(E)は、硬化の際の触媒として作用する触媒成分である。白金または白金化合物(E)の添加量は触媒量である。
また、本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物には、上記成分(A)〜(E)以外に、水(F)が含まれていてもよい。
次に、本実施形態のシリコーンゴムの製造方法について説明する。
本実施形態のシリコーンゴムの製造方法としては、シリコーンゴム系硬化性組成物を調製し、このシリコーンゴム系硬化性組成物を硬化させることによりシリコーンゴムを得ることができる。
以下、詳述する。
以上のような工程を経ることで、本実施形態のシリコーンゴムが得られる。
(ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A))
低ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−1a):合成スキーム1により合成した鎖内ビニル基含有ジメチルポリシロキサン(式(1−1)で表わされる構造でR2(鎖内)のみがビニル基である構造)
低ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−1b):合成スキーム2により合成した末端ビニル基含有ジメチルポリシロキサン(式(1−1)で表わされる構造でR1(末端)のみがビニル基である構造)
高ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−2a):合成スキーム3により合成したビニル基含有ジメチルポリシロキサン(式(1−1)で表わされる構造でR1およびR2がビニル基である構造)
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B):モメンティブ社製、「TC−25D」
(シリカ粒子(C))
シリカ粒子(C):シリカ微粒子(粒径7nm、比表面積300m2/g)、日本アエロジル社製、「AEROSIL300」
(シランカップリング剤(D))
シランカップリング剤(D−1):ヘキサメチルジシラザン(HMDZ)、Gelst社製、「HEXAMETHYLDISILAZANE(SIH6110.1)」
シランカップリング剤(D−2):ジビニルテトラメチルジシラザン、Gelst社製、「1,3−DIVINYLTETRAMETHYLDISILAZANE(SID4612.0)」
(白金または白金化合物(E))
白金または白金化合物(E):白金化合物、モメンティブ社製、「TC−25A」
[合成スキーム1:低ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−1a)の合成]
下記式(6)にしたがって、低ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−1a)を合成した。
すなわち、Arガス置換した、冷却管および攪拌翼を有する300mLセパラブルフラスコに、オクタメチルシクロテトラシロキサン74.7g(252mmol)、2,4,6,8−テトラメチル2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサン0.086g(0.25mmol)およびカリウムシリコネート0.1gを入れ、昇温し、120℃で30分間攪拌した。なお、この際、粘度の上昇が確認できた。
その後、155℃まで昇温し、3時間攪拌を続けた。そして、3時間後、ヘキサメチルジシロキサン0.1g(0.6mmol)を添加し、さらに、155℃で4時間攪拌した。
さらに、4時間後、トルエン250mLで希釈した後、水で3回洗浄した。洗浄後の有機層をメタノール1.5Lで数回洗浄することで、再沈精製し、オリゴマーとポリマーを分離した。得られたポリマーを60℃で一晩減圧乾燥し、低ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−1a)を得た(Mn=2,5×105、Mw=5,0×105)。また、H−NMRスペクトル測定により算出したビニル基含有量は0.18モル%であった。
上記(A1−1a)の合成工程において、2,4,6,8−テトラメチル2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサンを用いず、ヘキサメチルジシロキサンの代わりに1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン0.1g(0.6mmol)を用いたこと以外は、(A1−1a)の合成工程と同様にして、下記式(7)にしたがって、低ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−1b)を得た。(Mn=2,2×105、Mw=4,8×105)。また、H−NMRスペクトル測定により算出したビニル基含有量は0.04モル%であった。
上記(A1−1a)の合成工程において、2,4,6,8−テトラメチル2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサンを、0.86g(2.5mmol)を用い、ヘキサメチルジシロキサンの代わりに1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン0.1g(0.6mmol)を用いたこと以外は、(A1−1a)の合成工程と同様にすることで、下記式にしたがって、高ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−2a)を合成した。(Mn=2,3×105、Mw=5,0×105)。また、H−NMRスペクトル測定により算出したビニル基含有量は0.93モル%であった。
実施例および比較例において、次のようにしてシリコーンゴム系硬化性組成物を調整した。まず、表1に示す割合で、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、シランカップリング剤(D)および水(F)の混合物を予め混練し、その後、混合物にシリカ粒子(C)を加えてさらに混練し、混練物(シリコーンゴムコンパウンド)を得た。
ここで、シリカ粒子(C)添加後の混練は、カップリング反応のために窒素雰囲気下、60〜90℃の条件下で1時間混練する第1ステップと、副生成物(アンモニア)の除去のために減圧雰囲気下、160〜180℃の条件下で2時間混練する第2ステップとを経ることで行った。
続いて、得られた混練物(シリコーンゴムコンパウンド)に、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)および白金または白金化合物(E)を加えて、ロールで混練し、シリコーンゴム系硬化性組成物を得た。
得られたシリコーンゴム系硬化性組成物を、150℃、10MPaで20分間プレスし、厚さ1mmのシート状に成形すると共に、1次硬化した。続いて、200℃で4時間加熱し、2次硬化した。以上により、シート状シリコーンゴム(シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物)を得た。
得られた厚さ1mmのシート状シリコーンゴムを6枚積層し、6mmの試験片を作製した。得られた試験片に対して、室温25℃において、JIS K6253(1997)に準拠してタイプAデュロメータ硬さを測定した。
得られた厚さ1mmのシート状シリコーンゴムを用いて、JIS K6252(2001)に準拠して、クレセント形試験片を作製し、室温25℃において、得られたクレセント形試験片の引裂き強度を測定した。単位は、N/mmである。
得られた厚さ1mmのシート状シリコーンゴム、長さ60mm×幅5mmの大きさで厚さ方向に打ち抜くことで、短冊状試験片を作製した。
得られた短冊状試験片をオートグラフAG5kNX(株式会社島津製作所製、「型番AG−5kNX」)にチャック間距離(初期値D1)が40mmとなるように装着した(図1(a))。
そして、チャック間距離が、初期値D1を100%(40mm)とした時に、初期値D1に対して400%(160mm)となるまで、速度8.3mm/secの速さで伸長し、1分間保持した(図1(b))。その後、除力により収縮させて10分間放置後のチャック間距離(延伸後長さD2)を測定した(図1(c))。
次いで、室温25℃における、初期値D1(伸長する前の長さ)と、得られた延伸後長さD2(収縮した後の長さ)とに基づいて、下記計算式(A)を用いて、引張永久ひずみを求めた。
引張永久ひずみ(%)=[(延伸後長さD2−初期値D1)/初期値D1]×100 ... (A)
Claims (6)
- ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)と、
シリカ粒子(C)と、を含む、シリコーンゴム系硬化性組成物であって、
前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)100重量部に対して、前記シリカ粒子(C)の含有量をX(重量部)とし、
当該シリコーン系硬化組成物の硬化物の、JISK6253で規定されるデュロメータ硬さAをYとしたとき、
X/Yが、0.5以上1未満であり、
当該シリコーン系硬化組成物の硬化物の引裂き強度が25N/mm以上であり、
当該シリコーン系硬化組成物の硬化物の、前記デュロメータ硬さAが40未満である、シリコーンゴム系硬化性組成物。 - 請求項1に記載のシリコーンゴム系硬化性組成物であって、
前記シリカ粒子(C)の含有量が、前記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)100重量部に対して、20重量部以上60重量部以下である、シリコーンゴム系硬化性組成物。 - 請求項1または2に記載のシリコーンゴム系硬化性組成物であって、
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)をさらに含む、シリコーンゴム系硬化性組成物。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載のシリコーンゴム系硬化性組成物であって、
白金又は白金化合物(E)をさらに含む、シリコーンゴム系硬化性組成物。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載のシリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物を備える、成形体。
- 請求項5に記載の成形体であって、
医療用に用いる、成形体。
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