JP2018051727A - 研磨パッド及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】研磨後に被研磨物表面に付着している有機残渣量を低減することのできる研磨パッドを提供すること。【解決手段】湿式成膜されたポリウレタン樹脂シートを含む研磨パッドであって、前記ポリウレタン樹脂シートは、ポリウレタン樹脂及びノニオン性界面活性剤を含み、前記ポリウレタン樹脂シートは、アシル化セルロースを含まず、且つ前記ノニオン性界面活性剤は、当該界面活性剤を0.2g/L含む水溶液を常温から80℃まで昇温して曇点を測定したときに、常温から80℃までの温度で曇点を有さない、前記研磨パッド。【選択図】図1

Description

本発明は、研磨パッド及びその製造方法に関する。特には、半導体デバイスの製造工程において用いられる研磨パッド及びその製造方法に関する。
近年、半導体基板表面の多層配線化に伴い、デバイスを製造する際に、物理的に半導体基板を研磨して平坦化する、いわゆる、化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing;CMP)技術が利用されている。CMPは、シリカ等の砥粒、防食剤、界面活性剤などを含むスラリー(研磨液)及び研磨パッドを用いて、半導体基板等の研磨対象物(被研磨物)の表面を平坦化する方法であり、研磨対象物(被研磨物)としては、シリコン、ポリシリコン、シリコン酸化膜、シリコン窒化物や、金属等からなる配線、プラグなどが挙げられる。
半導体デバイスの研磨に用いる研磨パッドは、被研磨物の無欠陥化、平坦化特性が高度に要求されるようになり、仕上げ研磨工程を中心に、スクラッチ等のキズを与えにくいスエード調の軟質研磨パッドを利用するケースが増えている(特許文献1、2)。
特開2010−149259号公報 特許第5830800号公報
しかしながら、特許文献1、2などの従来の軟質研磨パッドを用いて半導体デバイスを研磨すると、研磨中に半導体基板表面上に有機物(研磨パッドから生じるパッド屑等の有機物、界面活性剤等の有機物など)が多量に発生し、有機残渣として半導体基板表面上に残存するという問題がある。特に、研磨対象である半導体基板はCu、W、Al、Ta、TiN等の金属やポリシリコン、窒化シリコン等のケイ素材料を含み、これらは疎水性が高いため、疎水性相互作用により疎水性の高い有機物が吸着されやすい。半導体基板表面に有機物が残存すると、半導体の電気特性に悪影響を与え、デバイスの信頼性が低下する。
従って、被研磨物である半導体基板表面の研磨後の有機残渣量を低減させることのできる研磨パッドやディフェクトの発生を低減させることのできる研磨パッドに対する高い需要が存在する。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、被研磨物表面に付着する有機残渣量を低減することのできる研磨パッド及びその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、被研磨物表面のディフェクトを低減することのできる研磨パッド及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用した。
<1> 湿式成膜されたポリウレタン樹脂シートを含む研磨パッドであって、
前記ポリウレタン樹脂シートは、ポリウレタン樹脂及びノニオン性界面活性剤を含み、
前記ポリウレタン樹脂シートは、アシル化セルロースを含まず、且つ
前記ノニオン性界面活性剤は、当該ノニオン性界面活性剤を0.2g/Lの量で含む水溶液を用いて曇点を測定したときに、80℃以下の温度で曇点を有さない、前記研磨パッド。
<2> 前記ポリウレタン樹脂シートは、カーボンブラックを含まない、<1>に記載の研磨パッド。
<3> 前記ポリウレタン樹脂シートは、前記ノニオン性界面活性剤を0.04〜6.0質量%含む、<1>又は<2>に記載の研磨パッド。
<4> 前記ノニオン性界面活性剤が、炭素数2〜8のアルキレンオキシドの重合体又は共重合体である、<1>〜<3>のいずれかに記載の研磨パッド。
<5> 前記ノニオン性界面活性剤が、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体である、<4>に記載の研磨パッド。
<6> 前記エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体の数平均分子量が、10,000〜100,000である、<5>に記載の研磨パッド。
<7> アニオン性界面活性剤を更に含む、<1>〜<6>のいずれかに記載の研磨パッド。
<8> 前記ポリウレタン樹脂シートが、被研磨物を研磨するための研磨面を有する、<1>〜<7>のいずれかに記載の研磨パッド。
<9> ポリウレタン樹脂及びノニオン性界面活性剤を含み且つアシル化セルロースを含まないポリウレタン樹脂含有溶液を調製する工程、
前記ポリウレタン樹脂含有溶液を成膜基材上に塗布する工程、及び
前記ポリウレタン樹脂含有溶液が塗布された成膜基材を凝固液に浸漬して前記ポリウレタン樹脂含有溶液を凝固する工程、
を含み、
前記ノニオン性界面活性剤は、当該ノニオン性界面活性剤を0.2g/Lの量で含む水溶液を用いて曇点を測定したときに、80℃以下の温度で曇点を有さない、<1>〜<8>のいずれかに記載の研磨パッドの製造方法。
<10> 前記ポリウレタン樹脂含有溶液は、ポリウレタン樹脂100質量部に対してノニオン性界面活性剤を0.1〜15.0質量部含む、<9>に記載の製造方法。
<11> 前記ポリウレタン樹脂含有溶液は、更にポリウレタン樹脂100質量部に対してアニオン性界面活性剤を0.1〜15.0質量部含む、<9>又は<10>に記載の製造方法。
本発明の研磨パッドは、被研磨物表面に付着する有機残渣量を低減することができる。また、本発明の研磨パッドは、被研磨物表面のディフェクトを低減することができる。
図1は、比較例1及び実施例1の研磨パッドを用いて被研磨物を研磨したときに、被研磨物表面に発生した欠陥個数(ディフェクト数)を示す。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
<<研磨パッド>>
本発明の研磨パッドは、湿式成膜されたポリウレタン樹脂シートを含む研磨パッドであって、前記ポリウレタン樹脂シートは、ポリウレタン樹脂及びノニオン性界面活性剤を含み、前記ポリウレタン樹脂シートは、アシル化セルロースを含まず、且つ前記ノニオン性界面活性剤は、当該ノニオン性界面活性剤を0.2g/L含む水溶液を用いて曇点を測定したときに、80℃以下の温度範囲で曇点を有さない、前記研磨パッドである。
本明細書及び特許請求の範囲において、湿式成膜されたポリウレタン樹脂シートは、湿式成膜法により成膜されたポリウレタン樹脂シートを意味する。湿式成膜法は、成膜する樹脂を有機溶媒に溶解させ、その樹脂溶液をシート状の基材上に塗布後に凝固液中に通して樹脂を凝固させる方法である。湿式成膜されたポリウレタン樹脂シートは、一般に、複数の涙形状(teardrop-shaped)気泡(異方性があり、研磨パッドの研磨表面から底部に向けて径が大きい構造を有する形状)を有する。従って、湿式成膜されたポリウレタン樹脂シートは、複数の涙形状気泡を有するポリウレタン樹脂シートと言い換えることができる。
本明細書及び特許請求の範囲において、有機残渣とは、研磨後に被研磨物(研磨対象物)上に見られる炭素を含む粘性体であり、研磨粒子の凝集物やパッド屑のような固形物以外のものを指す。有機残渣は、研磨前又は研磨中に、パッド、研磨装置、洗浄ブラシ又は研磨用組成物から発生し、研磨後に研磨対象物上に付着・残留すると考えられ、研磨後の洗浄工程を経てもその粘性により残留しやすい。
本明細書及び特許請求の範囲において、ディフェクトとは、研磨後に被研磨物上に見られる凸状及び凹状の欠陥を指す。凸状欠陥としては、有機残渣、パーティクル、パッド屑、ウォーターマーク等が挙げられる。凹状欠陥としては、スクラッチ、ボイド等が挙げられる。
本発明の研磨パッドは、ポリウレタン樹脂シートがアシル化セルロースを含まない。ポリウレタン樹脂シートがアシル化セルロースを含む場合、研磨中にアシル化セルロースがポリウレタン樹脂シートからスラリー中に溶出する。溶出したアシル化セルロースは、被研磨物表面を保護するためにスラリーに含まれているヒドロキシエチルセルロースなどの親水化成分と結合し、親水化成分による被研磨物表面の保護作用を阻害する。その結果、疎水性の粘性体が同じく疎水性である被研磨物表面に結合しやすくなる。本発明は、ポリウレタン樹脂シートがアシル化セルロースを含まないことにより、親水化成分の被研磨物表面保護機能が阻害されることがなく、その結果、疎水性の粘性体の被研磨物表面への付着を低減することができ、有機残渣量を低減させることができる。
また、本発明のポリウレタン樹脂シートは、アシル化セルロース以外のセルロース系化合物を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。
(ポリウレタン樹脂)
ポリウレタン樹脂シートは、ポリウレタン樹脂を含む。ポリウレタン樹脂の種類に特に制限はなく、種々のポリウレタン樹脂の中から使用目的に応じて選択すればよい。例えば、ポリエステル系、ポリエーテル系、又はポリカーボネート系のポリウレタン樹脂を用いることができる。
ポリエステル系の樹脂としては、エチレングリコールやブチレングリコール等とアジピン酸等とのポリエステルポリオールと、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート等のジイソシアネートとの重合物が挙げられる。
ポリエーテル系の樹脂としては、ポリテトラメチレンエーテルグリコールやポリプロピレングリコール等のポリエーテルポリオールと、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート等のイソシアネートとの重合物が挙げられる。
ポリカーボネート系の樹脂としては、ポリカーボネートポリオールと、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート等のイソシアネートとの重合物が挙げられる。
これらの樹脂は、DIC(株)製の商品名「クリスボン」や、三洋化成工業(株)製の商品名「サンプレン」、大日精化工業(株)製の商品名「レザミン」など、市場で入手可能な樹脂を用いてもよく、所望の特性を有する樹脂を自ら製造してもよい。
(モジュラス)
モジュラスとは、樹脂の硬さを表す指標であり、無発泡の樹脂シートを100%伸ばしたとき(元の長さの2倍に伸ばしたとき)に掛かる荷重を断面積で割った値である(以下、100%モジュラスと呼ぶことがある。)。この値が高い程、硬い樹脂である事を意味する。
ポリウレタン樹脂は、3〜20MPaの100%モジュラスを有することが好ましく、4〜15MPaであることがより好ましい。100%モジュラスが上記範囲内であると、金属配線を有するウエハを研磨する用途で使用するのに欠陥を低減できるため適する。
(ノニオン性界面活性剤)
本発明の研磨パッドのポリウレタン樹脂シートに含まれるノニオン性界面活性剤は、当該界面活性剤を0.2g/L含む水溶液(溶媒は水)を用いて曇点を測定した場合に、80℃以下の温度で曇点を有さない。当該水溶液が80℃以下の温度で曇点を有さないことにより、研磨工程中に被研磨物表面に付着する有機残渣量を低減することができる。また、被研磨物表面のディフェクトを低減することができる。
なお、通常、水溶液の沸点(約100℃)よりも高い温度で曇点を測定することはできないため、「80℃以下の温度で曇点を有さない」とは、実質的に、80℃超過〜100℃の間に曇点を有するか、水溶液の沸点(約100℃)以下の温度で曇点を有さないかのどちらかを意味する。
本発明におけるノニオン性界面活性剤は、当該ノニオン性界面活性剤を0.2g/L含む水溶液を用いて曇点を測定した場合に、90℃以下の温度で曇点を有さないことが好ましく、100℃以下の温度で曇点を有さないことがより好ましい。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、80℃以下、90℃以下、100℃以下の温度で曇点を有さない場合を、それぞれ「曇点が80℃より高い」、「曇点が90℃より高い」、「曇点が100℃より高い」と言い換えることができる。
(曇点)
曇点とは、透明又は半透明な液体が温度変化によって相分離し、不透明になるときの温度である。ノニオン性界面活性剤を含む水溶液を昇温すると、ある温度で溶解性が急激に低下し、相分離が起きて不透明な液体となる。このときの温度が曇点である。
本発明における曇点は、ノニオン性界面活性剤を常温(約20℃)で水に溶解させて0.2g/Lの水溶液とし、当該水溶液を常温から徐々に昇温して不透明になり始めた時の温度を測定することにより求めることができる。なお、測定は大気圧(1気圧)下で行う。
上記条件で測定した場合に80℃以下の温度で曇点を有さないノニオン性界面活性剤の例としては、炭素数2〜8のアルキレンオキシドの重合体(ホモポリマー)又は共重合体(コポリマー)などが挙げられる。上記ノニオン性界面活性剤の具体例としては、ポリエチレンオキシド(PEO)や、エチレンオキシド(EO)とプロピレンオキシド(PO)とのブロック共重合体、エチレンオキシド(EO)とブチレンオキシド(BO)とのブロック共重合体、EOとPOとのランダム共重合体、EOとBOとのランダム共重合体等が挙げられる。
これらの中でも炭素数2〜8のアルキレンオキシドの重合体又は共重合体が好ましく、炭素数2〜8のアルキレンオキシドの共重合体がより好ましく、炭素数2〜4のアルキレンオキシドの共重合体がさらによりより好ましく、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体が特に好ましい。エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体としては、EOとPOのブロック共重合体及びEOとPOのランダム共重合体が挙げられる。EOとPOとのブロック共重合体としては、ポリエチレンオキサイド(PEO)ブロックとポリプロピレンオキサイド(PPO)ブロックとを含むジブロック体、トリブロック体などが挙げられる。
エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体は、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのモル比(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)が、1より大きいことが好ましく、1超過〜10であることがより好ましく、2〜8であることがより好ましく、3〜6であることがさらにより好ましく、3〜5であることがさらにより好ましく、4であることがさらにより好ましい。モル比が上記範囲内であると、曇点が上昇しやすい。 炭素数2〜8のアルキレンオキシドの重合体又は共重合体の数平均分子量は5,000〜100,000であることが好ましく、7,000〜50,000であることがより好ましく、8,000〜20,000であることがさらにより好ましく、9,000〜15,000であることがさらにより好ましい。数平均分子量が上記範囲内であると、ポリウレタン樹脂の凝集スピードを調整することができ、成膜安定性が向上する。
ノニオン性界面活性剤は、ポリウレタン樹脂シート中に0.04〜6.0質量%含まれることが好ましく、0.2〜3.0質量%含まれることがより好ましく、0.4〜1.8質量%含まれることがさらにより好ましく、0.6〜1.5質量%含まれることがさらにより好ましい。ノニオン性界面活性剤の量が上記範囲内であると、有機残渣低減効果を十分に発揮することができる。また、研磨パッドの剛性を維持することができる。
ノニオン性界面活性剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(アニオン性界面活性剤)
本発明の研磨パッドのポリウレタン樹脂シートは、アニオン性界面活性剤を含んでいてもよい。アニオン性界面活性剤を含むことにより、被研磨物表面に付着する有機残渣の量を更に低減することができる。
アニオン性界面活性剤としては、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸エステルナトリウム、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウムなどが挙げられる。これらの中でもアルキル硫酸塩が好ましい。アルキル硫酸塩としては具体的には、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ミリスチル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。中でも成膜性の点からラウリル硫酸ナトリウムが好ましい。
アニオン性界面活性剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
アニオン性界面活性剤は、ポリウレタン樹脂シート中に0.001〜1.2質量%含まれることが好ましく、0.01〜0.8質量%含まれることがより好ましく、0.1〜0.5質量%含まれることがさらにより好ましい。また、ポリウレタン樹脂シート中に存在するアニオン性界面活性剤の量は、ノニオン性界面活性剤の量よりも少ないことが好ましい。アニオン性界面活性剤の量が上記範囲であれば、研磨スラリーの液性を変化させることなく被研磨物表面に付着する有機残渣量を低減させることが出来る。
(カーボンブラック)
また、本発明の研磨パッドは、ポリウレタン樹脂シートがカーボンブラックを含んでいてもよく含んでいなくてもよいが、カーボンブラックを含まないことが好ましい。ポリウレタン樹脂シートがカーボンブラックを含むと、パッドの剛性は向上するが、被研磨物表面にスクラッチが発生しやすくなる。ポリウレタン樹脂シートがカーボンブラックを含まないことにより、スクラッチ発生の問題を回避することができ、ディフェクトの発生を更に低減することができる。同様の理由により、本発明の研磨パッドは、ポリウレタン樹脂シートが、カーボンブラック以外のフィラーを含まないことが好ましい。
ポリウレタン樹脂シートは、本発明の効果を損なわない限りにおいて、成膜安定化剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などを含んでいてもよいが、ポリウレタン樹脂、ノニオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤から実質的になることが好ましく、ポリウレタン樹脂、ノニオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤のみからなることがより好ましい。また、ポリウレタン樹脂シートは、ポリウレタン樹脂、ノニオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤が、ポリウレタン樹脂シート全体の90質量%以上を占めることが好ましく、95質量%以上を占めることがより好ましく、98質量%以上を占めることがさらにより好ましく、99質量%以上を占めることがさらにより好ましく、99.5質量%以上を占めることがさらにより好ましく、100質量%を占めることがさらにより好ましい。
(厚み)
本発明の研磨パッドにおけるポリウレタン樹脂シートの厚みに特に制限はないが、例えば、0.3〜2.0mm、好ましくは0.6〜1.2mmの範囲で用いることができる。
本発明のポリウレタン樹脂シートは、被研磨物を研磨するための研磨面を有する。
本発明の研磨パッドは、ポリウレタン樹脂シートの研磨面及び/又は研磨面とは反対側の面が研削処理(バフ処理)されていてもよい。これらの中でも、本発明の研磨パッドは、ポリウレタン樹脂シートの研磨面が研削処理されていることが好ましい。これにより、研磨面に微小気泡由来の開口部が多数存在することとなり、当該開口部にスラリーを保持することで研磨レートが向上する。
また、本発明の研磨パッドは、ポリウレタン樹脂シートの研磨面に、溝加工、エンボス加工及び/又は穴加工(パンチング加工)が施されていてもよい。本発明の研磨パッドは、光透過部を備えていてもよい。
また、本発明の研磨パッドは、ポリウレタン樹脂シートのみからなる単層構造であってもよく、ポリウレタン樹脂シート(研磨層)の研磨面とは反対側の面に基材を貼り合わせた複層からなっていてもよい。基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート製、ポリウレタン含浸不織布製、ポリエチレンフォームの基材などが挙げられる。基材の特性に特に制限はないが、ポリウレタン樹脂シートよりも硬い(A硬度又はD硬度が大きい)ことが好ましい。ポリウレタン樹脂シートよりも硬い層が設けられることにより、研磨レートを向上させることができる。
本発明の研磨パッドは、シリコン、ハードディスク、ガラス基板、液晶ディスプレイ用マザーガラス、半導体ウエハ、半導体デバイスなどの研磨、特に半導体デバイスの化学機械研磨(CMP)に好適に用いることが出来る。
<<研磨パッドの製造方法>>
本発明の研磨パッドは、例えば、本発明の製造方法により得ることができる。本発明の製造方法は、ポリウレタン樹脂及びノニオン性界面活性剤を含み且つアシル化セルロースを含まないポリウレタン樹脂含有溶液を調製する工程、前記ポリウレタン樹脂含有溶液を成膜基材上に塗布する工程、及び前記ポリウレタン樹脂含有溶液が塗布された成膜基材を凝固液に浸漬して前記ポリウレタン樹脂含有溶液を凝固する工程を含み、前記ノニオン性界面活性剤は、当該ノニオン性界面活性剤を0.2g/Lの量で含む水溶液を用いて曇点を測定したときに、80℃以下の温度で曇点を有さないことを特徴とする。
以下、各工程について説明する。
<ポリウレタン樹脂含有溶液の調製工程>
本工程では、ポリウレタン樹脂及びノニオン性界面活性剤を、例えばポリウレタン樹脂を溶解することのできる水混和性の有機溶媒に溶解し、これらの成分を含む溶液(以下、ポリウレタン樹脂含有溶液と呼ぶことがある)を調製する。以下、ポリウレタン樹脂含有溶液に含まれ得る成分について説明する。
(ポリウレタン樹脂)
ポリウレタン樹脂含有溶液は、ポリウレタン研磨シートの材料となるポリウレタン樹脂を含む。ポリウレタン樹脂としては、研磨パッドの説明の中で挙げたポリウレタン樹脂を用いることができる。
(ノニオン性界面活性剤)
ポリウレタン樹脂含有溶液は、ポリウレタン樹脂以外に、ノニオン性界面活性剤を含む。ノニオン性界面活性剤としては、研磨パッドの説明の中で挙げたノニオン性界面活性剤を用いることができる。
ノニオン性界面活性剤は、ポリウレタン樹脂100質量部に対して0.1〜15.0質量部の量でポリウレタン樹脂含有溶液に含まれることが好ましく、1.0〜10.0質量部の量がより好ましく、4.0〜8.0質量部の量がさらにより好ましい。
本発明のノニオン性界面活性剤は、当該ノニオン性界面活性剤を0.2g/L含む水溶液を用いて曇点を測定したときに、80℃以下の温度で曇点を有さないものである。曇点は、研磨パッドの説明の中で挙げた方法で測定することができる。
(アニオン性界面活性剤)
ポリウレタン樹脂含有溶液は、ポリウレタン樹脂以外に、アニオン性界面活性剤を含んでいてもよい。アニオン性界面活性剤としては、研磨パッドの説明の中で挙げたアニオン性界面活性剤を用いることができる。
アニオン性界面活性剤は、ポリウレタン樹脂100質量部に対して0.1〜15.0質量部の量でポリウレタン樹脂含有溶液に含まれることが好ましく、1.0〜10.0質量部の量がより好ましく、4.0〜8.0質量部の量がさらにより好ましい。
(有機溶媒)
前記有機溶媒としては、ポリウレタン樹脂を溶解することができ且つ水混和性であれば特に制限なく用いることが出来る。例としては、N、N−ジメチルホルムアミド(DMF)、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドン(NMP)、アセトンなどが挙げられる。これらの中でも、DMF又はDMAcが好ましく用いられる。
有機溶媒は、ポリウレタン樹脂含有溶液中の固形分濃度が、好ましくは15〜50質量%、より好ましくは15〜40質量%であり、さらにより好ましくは20〜35質量%となるような量でポリウレタン樹脂含有溶液中に含まれることが好ましい。上記範囲内の濃度であれば、ポリウレタン樹脂含有溶液が適度な流動性を有し、後の塗布工程において成膜基材上に均一に塗布することができる。
(水)
ポリウレタン樹脂含有溶液は、上記成分以外に、水を含んでいてもよい。水を含むことにより、微小気泡のサイズを更に大きくすることができる。また、成膜性が向上する。
水を含む場合、水は、ポリウレタン樹脂100質量部に対して0.1〜20.0質量部含まれることが好ましく、1.0〜15.0質量部含まれることがより好ましく、5.0〜15.0質量部含まれることがさらにより好ましい。
(その他の成分)
ポリウレタン樹脂含有溶液は、上記成分の他に、上記以外の成膜安定化剤などを更に含んでいてもよい。但し、ポリウレタン樹脂含有溶液は、アシル化セルロースを含まないことを条件とする。また、ポリウレタン樹脂含有溶液は、カーボンブラックを含まないことが好ましく、フィラーを含まないことがより好ましい。
<塗布工程>
上記で得られたポリウレタン樹脂含有溶液を、例えば、ナイフコーター、リバースコーター等により成膜基材上に略均一となるように、連続的に塗布する。成膜基材としては、本技術分野で通常用いられる基材であれば特に制限なく用いることができる。成膜基材の例としては、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム等の可撓性のある高分子フィルム、弾性樹脂を含浸固着させた不織布等が挙げられ、中でもポリエステルフィルムが好ましく用いられる。
<凝固工程>
ポリウレタン樹脂含有溶液が塗布された基材を、ポリウレタン樹脂に対して貧溶媒である水を主成分とする凝固液に浸漬する。
凝固液としては、水、水とDMF等の極性溶媒との混合溶液などが用いられる。極性溶媒としては、ポリウレタン樹脂を溶解するのに用いた水混和性の有機溶媒、例えばDMF、DMAc、THF、DMSO、NMP、アセトンが挙げられる。また、混合溶媒中の極性溶媒の濃度は0.5〜30質量%が好ましい。
凝固液の温度や浸漬時間に特に制限はなく、例えば5〜80℃で5〜60分間浸漬すればよい。
<洗浄乾燥>
凝固浴で凝固させて得られたシート状のポリウレタン樹脂を成膜基材から剥離した後又は剥離せずに、洗浄、乾燥処理を行う。
洗浄処理により、ポリウレタン樹脂中に残留する有機溶媒が除去される。洗浄に用いられる洗浄液としては、水が挙げられる。
洗浄後、ポリウレタン樹脂を乾燥処理する。乾燥処理は従来行われている方法で行えばよく、例えば80〜150℃で5〜60分程度乾燥機内で乾燥させればよい。上記の工程を経て、ポリウレタン研磨シートを得ることができる。
本発明の研磨パッドの製造方法においては、必要に応じて、ポリウレタン樹脂シートの研磨面及び/又は研磨面とは反対側の面を研削処理してもよい。また、ポリウレタン樹脂シートの研磨面に、溝加工、エンボス加工及び/又は穴加工(パンチング加工)を施してもよく、基材をポリウレタン樹脂シートと張り合わせてもよい。さらに、ポリウレタン樹脂シート及び/又は研磨パッドに光透過部を設けてもよい。
研削処理の方法に特に制限はなく、公知の方法により研削することができる。具体的には、サンドペーパーによる研削が挙げられる。
溝加工及びエンボス加工の形状に特に制限はなく、例えば、格子型、同心円型、放射型などの形状が挙げられる。
基材を貼り合せて複層構造とする場合には、複数の層同士を両面テープや接着剤などを用いて、必要により加圧しながら接着・固定すればよい。この際用いられる両面テープや接着剤に特に制限はなく、当技術分野において公知の両面テープや接着剤の中から任意に選択して使用することが出来る。
その後、ポリウレタンシートの研磨面とは反対側の面、又は基材のポリウレタンシートと貼り合わされている面とは反対側の面に両面テープが貼り付けられ、所定形状、好ましくは円板状にカットされて、本発明の研磨パッドとして完成する。両面テープに特に制限はなく、当技術分野において公知の両面テープの中から任意に選択して使用することが出来る。
<使用方法>
本発明の研磨パッドを使用するときは、研磨パッドをポリウレタン樹脂シートの研磨面が被研磨物と向き合うようにして研磨機の研磨定盤に取り付ける。そして、研磨剤スラリーを供給しつつ、研磨定盤を回転させて、被研磨物の加工表面を研磨する。
本発明の研磨パッドは、半導体デバイスを化学機械研磨(CMP)加工するのに好適に用いられる。半導体デバイスの材料としては、シリコン、ポリシリコン、シリコン酸化膜、シリコン窒化物、並びにCu、W、Al、Ta及びTiN等の金属など、疎水性の材料が挙げられる。
本発明の研磨パッドによる研磨時に用いられるスラリーとしては、バリアメタル用スラリー、酸化膜用スラリー、Cu用スラリーなどが挙げられる。スラリーには、親水化成分、砥粒(SiO2、Al)、エッチング剤、キレート剤などが含まれていてもよい。スラリーに含まれる親水化成分としては、ヒドロキシエチルセルロース、アクリル酸系ポリマーが挙げられる。
<作用>
上記の通り、本発明の研磨パッドは、被研磨物に付着する有機残渣の量を大幅に低減させることができる。また、ディフェクトを低減することができる。その理由は明らかではないが、次のように推測される。
ノニオン性界面活性剤を含む水溶液は、温度を上げるとノニオン性界面活性剤の親水性基と水分子との間の結合(水素結合)が切断され、水溶性が低下する。そして、ある温度(曇点)になると水溶液は濁り始める。曇点を超える温度では、ノニオン性界面活性剤は親水性が減少し疎水部が油滴状に析出するため、疎水性の物質に付着しやすくなる。従来の研磨パッドに含まれるノニオン性界面活性剤は曇点が低いため、研磨時の摩擦熱(研磨条件にもよるが、研磨パッドやスラリーはおおよそ40〜70℃程度になる)で親水性が減少し、有機残渣として疎水性の被研磨物(金属やポリシリコン、窒化シリコン等のケイ素材料など)表面に付着するものと考えられる。
また、通常、半導体デバイスなどの疎水性の被研磨物を研磨する場合には、スラリーとして、研磨加工中に被研磨物表面と接触して該表面を親水化コーティングして研磨パッド屑や有機残渣などの疎水性物質の該表面への付着を防ぐ「親水化成分」を含むスラリーが用いられる。しかしながら、研磨パッドが曇点の低いノニオン性界面活性剤を含むと、研磨中にスラリー中に溶出するノニオン性界面活性剤が親水化成分と競合して被研磨物表面に付着するため、被研磨物表面が十分に親水化コーティングされなくなる。その結果、パッド屑や研磨砥粒、被研磨物などの研磨生成物や有機残渣が、被研磨物表面に付着しやすくなるものと考えられる。
一方、本発明の研磨パッドは、従来よりも曇点が高いノニオン性界面活性剤を使用するため、被研磨物を研磨してもノニオン性界面活性剤が疎水性にならず、被研磨物に付着しにくい。また、親水化成分による被研磨物表面の親水化コーティングも妨げないため、研磨パッド屑などの疎水性物質も被研磨物表面に付着しにくくなる。その結果、従来の研磨パッドに比べて有機残渣量もディフェクトも低減するものと考えられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
なお、実施例1〜2及び比較例1の研磨パッドの製造に用いたノニオン性界面活性剤の曇点は、以下の方法により測定した。
<曇点の測定方法>
曇点の測定は「新・界面活性剤入門、藤本武彦著、三洋化成工業、1992」にならい、次の方法に従って行った。すなわち、0.2g/Lのノニオン系界面活性剤水溶液を試験管に入れ、その中に温度計と撹拌棒を入れ、撹拌棒で静かに撹拌しながらゆっくり20℃から80℃まで昇温し、溶液から界面活性剤が不溶化するかを観察する。温度を上昇させていったときに、界面活性剤が不溶化しはじめた温度を曇点とした。
[実施例1]
100%モジュラス5.4MPaのポリエステル系ポリウレタン樹脂溶液(固形分濃度30質量%)50質量部、100%モジュラス10.1MPaのエステル系ポリウレタン樹脂溶液(固形分濃度30質量%)50質量部に、DMF(溶媒名)60質量部、80℃以下の温度で曇点を有さない成膜安定化剤であるノニオン系界面活性剤としてエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体(数平均分子量10800、エチレンオキシド:プロピレンオキシドのモル比=80:20)2質量部添加することにより、樹脂含有溶液を得た。
得られた樹脂含有溶液を、PETフィルム上にキャストした。その後、樹脂含有溶液をキャストしたPETフィルムを凝固浴である水に30℃で30分間浸漬し、該樹脂含有溶液を凝固させた後、洗浄・乾燥させて、ポリウレタン樹脂シートを得た。
その後、ポリウレタン樹脂シートのスキン層とは反対の面にポリエチレンテレフタレート(PET)製のシートを貼り合わせた。スキン層をバフ処理して表面を開口させ、厚み1.16mmの研磨パッドを得た。
[実施例2]
100%モジュラス5.4MPaのポリエステル系ポリウレタン樹脂溶液(固形分濃度30質量%)50質量部、100%モジュラス10.1MPaのエステル系ポリウレタン樹脂溶液(固形分濃度30質量%)50質量部に、DMF(溶媒名)60質量部、80℃以下の温度で曇点を有さない成膜安定化剤であるノニオン系界面活性剤としてエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体(数平均分子量10800、エチレンオキシド:プロピレンオキシドのモル比=80:20)2質量部と、アニオン系界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウムを2質量部、水3部添加することにより、樹脂含有溶液を得た。
得られた樹脂含有溶液を、PETフィルム上にキャストした。その後、樹脂含有溶液をキャストしたPETフィルムを凝固浴である水に30℃で30分間浸漬し、該樹脂含有溶液を凝固させた後、洗浄・乾燥させて、ポリウレタン樹脂シートを得た。
その後、ポリウレタン樹脂シートのスキン層とは反対の面にポリエチレンテレフタレート(PET)製のシートを貼り合わせた。スキン層をバフ処理して表面を開口させ、厚み1.16mmの研磨パッドを得た。
[比較例1]
ノニオン性界面活性剤として、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体に代えて、ポリウレタン樹脂に曇点22〜26℃のノニオン系界面活性剤(シリコーン系界面活性剤)を2.0質量部用いたことを除いて、実施例1と同様の方法により、比較例1の研磨パッドを得た(厚み1.15mm)。
[比較例2]
ノニオン性界面活性剤を添加しなかった(代わりに水を3.0質量部添加した)ことを除き、実施例1と同様の方法により、比較例2の研磨パッドを得た(厚み1.00mm)。
実施例1〜2及び比較例1〜2のポリウレタン樹脂シートの原料、ポリウレタン樹脂シート中に残存するノニオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤の量(質量%)を表1に示す。
以下の評価方法により、実施例1〜2及び比較例1〜2の各研磨パッドに由来する有機物のサンプル片への付着しやすさを測定した(有機残渣評価)。その結果を表2に示す。
<有機残渣評価>
実施例1〜2、比較例1〜2の研磨パッドを10×10mmのサイズに切り取り、サンプル片を作製した。脱イオン交換水(DIW)1Lを入れたビーカーにサンプル片を入れ、そのビーカーを超音波洗浄機にて1時間超音波振動させた。超音波振動後のビーカーの水を銅ブランケットウエハにかけ、スピン乾燥し、レビューSEM(株式会社日立ハイテクノロジーズ製のRS−4000)を用いて銅ブランケットウエハの表面欠陥(ディフェクト)を確認した。確認されたディフェクトのうち、有機残渣に分類されるものをカウントした。
次に、実施例1及び比較例1の各研磨パッドを用いて被研磨物を研磨したときのディフェクトの発生度合を下記方法により評価した(ディフェクト評価)。その結果を図1に示す。
<ディフェクト評価>
実施例1及び比較例1の研磨パッドを用いて、下記研磨条件により、銅ブランケットウエハを、慣らし研磨をしていない研磨パッドを用いて5枚研磨した。その後、研磨パッドの研磨表面を200μmドレス処理し、銅ブランケットウエハを更に5枚研磨した。研磨した計10枚のウエハについて、ディフェクト数を測定した。
なお、ディフェクトの測定は、ウエハ表面検査装置(KLAテンコール社製、Surfscan SP1DLS)の高感度測定モードにて行い、研磨後の基板表面におけるディフェクトの個数をカウントした。ここで評価するディフェクトは、パーティクル、パッド屑由来と思われる有機物、有機残渣、スクラッチ、膜由来のボイド、ウォーターマーク等の欠陥の合計である。
・使用研磨機:EBARA F−REX300
・研磨圧力:2.5 psi
・研磨剤:Planer CuBM用スラリー
・研磨剤温度:室温
・使用ワーク(被研磨物):300mmφSIO2(TEOS)
・ドレッシング:3M製A188
・研磨 定盤回転数70rpm、ヘッド回転数71rpm、スラリー流量200ml/min、研磨時間49秒
有機残渣評価は、研磨パッドからの溶出物がウエハ表面に有機残渣として存在するかを調べたものである。表2に示す結果から判るように、比較例1〜2の研磨パッドは、研磨パッド中に含まれる有機物が溶出し、有機残渣としてウエハ表面に大量に付着していた。一方、実施例1〜2の研磨パッドは、上記条件で曇点を測定したときに、80℃以下の温度で曇点を有さないノニオン性界面活性剤を有するため、比較例1〜2の研磨パッドに比べてウエハ表面に付着する有機残渣の量が大幅に低減していた。
また、図1に示す結果から判るように、比較例1の研磨パッドは、研磨枚数が増大するにつれて被研磨物に付着するディフェクト数が増加し、ドレス処理後はさらにディフェクト数が増加した。ドレス処理後におけるディフェクト数の増加は、研磨面に開口するポア径が拡大し、研磨層の底部までスラリーが流出入したため、研磨表面付近だけではなく研磨パッド内部に存在していた界面活性剤もスラリー中に溶出したためではないかと考えられる。一方、実施例1の研磨パッドは研磨を繰り返してもディフェクト数がほとんど増大せず、研磨初期とドレス処理後のいずれにおいてもディフェクトの数が少なかった。
本発明の研磨パッドは、被研磨物表面に付着する有機残渣量を低減することができる。また、本発明の研磨パッドは、被研磨物表面のディフェクト数を低減することができる。よって、本発明の研磨パッド及びその製造方法は、産業上の利用可能性を有する。

Claims (11)

  1. 湿式成膜されたポリウレタン樹脂シートを含む研磨パッドであって、
    前記ポリウレタン樹脂シートは、ポリウレタン樹脂及びノニオン性界面活性剤を含み、
    前記ポリウレタン樹脂シートは、アシル化セルロースを含まず、且つ
    前記ノニオン性界面活性剤は、当該ノニオン性界面活性剤を0.2g/Lの量で含む水溶液を用いて曇点を測定したときに、80℃以下の温度で曇点を有さない、前記研磨パッド。
  2. 前記ポリウレタン樹脂シートは、カーボンブラックを含まない、請求項1に記載の研磨パッド。
  3. 前記ポリウレタン樹脂シートは、前記ノニオン性界面活性剤を0.04〜6.0質量%含む、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
  4. 前記ノニオン性界面活性剤が、炭素数2〜8のアルキレンオキシドの重合体又は共重合体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の研磨パッド。
  5. 前記ノニオン性界面活性剤が、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体である、請求項4に記載の研磨パッド。
  6. 前記エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体の数平均分子量が、5,000〜100,000である、請求項5に記載の研磨パッド。
  7. アニオン性界面活性剤を更に含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の研磨パッド。
  8. 前記ポリウレタン樹脂シートが、被研磨物を研磨するための研磨面を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の研磨パッド。
  9. ポリウレタン樹脂及びノニオン性界面活性剤を含み且つアシル化セルロースを含まないポリウレタン樹脂含有溶液を調製する工程、
    前記ポリウレタン樹脂含有溶液を成膜基材上に塗布する工程、及び
    前記ポリウレタン樹脂含有溶液が塗布された成膜基材を凝固液に浸漬して前記ポリウレタン樹脂含有溶液を凝固する工程、
    を含み、
    前記ノニオン性界面活性剤は、当該ノニオン性界面活性剤を0.2g/Lの量で含む水溶液を用いて曇点を測定したときに、80℃以下の温度で曇点を有さない、請求項1〜8のいずれか1項に記載の研磨パッドの製造方法。
  10. 前記ポリウレタン樹脂含有溶液は、ポリウレタン樹脂100質量部に対してノニオン性界面活性剤を0.1〜15.0質量部含む、請求項9に記載の製造方法。
  11. 前記ポリウレタン樹脂含有溶液は、更にポリウレタン樹脂100質量部に対してアニオン性界面活性剤を0.1〜15.0質量部含む、請求項9又は10に記載の製造方法。
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