JP2018049921A - 積層磁心及びその製造方法 - Google Patents

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Kenri Urata
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Abstract

【課題】少ない工程で容易に製造することが可能な積層磁心を提供する。【解決手段】積層磁心100は、軟磁性を有する複数のナノ結晶層101と、複数のナノ結晶層の間に設けられた接着層102とを備える。複数のナノ結晶層101の各々は、複数のナノ結晶片に分かれている。隣り合うナノ結晶層101の各々は、異なる形状のナノ結晶片103から構成されることが望ましく、ナノ結晶片は、例えば、平均面積が1.5cm2以下である。複数のナノ結晶層101に含まれるナノ結晶の平均粒径は、例えば50nm以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、積層磁心及びその製造方法に関する。
積層磁心は、薄帯又は薄板が樹脂などにより接着されることで積層した磁心であり、モータ、変成器、スイッチング電源回路、共振型電源、磁気スナバ、高周波トランス、ノイズフィルタ、チョークコイルなどの電気部品や電気機器に利用される。アモルファス中に微細なαFe(Si)結晶を含むナノ結晶材を積層磁心の薄帯又は薄板の材料として採用することで、高飽和磁束密度を実現できるため、上述の電気部品や電気機器の高効率化が可能になる。
例えば特許文献1は、金型等刃物により打ち抜くことが可能なアモルファス薄帯の作製方法を開示する。そして、特許文献1は、そのアモルファス薄帯に熱処理を施すことによって、ナノ結晶薄帯を得られることを開示する。
また例えば、特許文献2は、組織の少なくとも50%以上が平均結晶粒径50nm以下のbccFeの微細結晶粒からなり、残部が非晶質合金相からなるFe基合金を開示する。このbccFeの微細結晶粒は、後述する組成の合金(溶湯)を急冷し、ほぼ非晶質相の単相組織あるいは一部結晶相を析出させた後、構造緩和を引き起こす温度にて熱処理を施した後、非晶質相を結晶化温度以上に加熱後に冷却されて析出されたものである、と開示されている。
そして、上述の合金の組成は、(Fe1−a Co100−x−y−zM’M’’であると開示されている。ただし、Mは、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,W,Mnのうち1種または2種以上であり、M’は、Al、Ge、Ga、Cu、Yを含む希土類元素のうち1種または2種以上であり、M’’は、Cr、Ru、Rh、Ir、Pd、Os、Prのうち1種または2種以上であり、Xは、P、C、Siのうち1種または2種以上である、と開示されている。また、組成比を示すa、x、y、z、t、wは、0≦a≦0.05、1原子%≦x≦30原子%、0≦y≦10原子%、0≦z≦5原子%、0≦t≦10原子%、0.5原子%≦w≦20原子%である、と開示されている。
また、特許文献2には、急冷により得られたものを構造緩和を引き起こす熱処理後に所望の形状に成形加工あるいは機械加工した後に結晶化のための熱処理を施してもよいことが開示されている。
国際公開第2008/133302号 特開2002−053939号公報
特許文献1の開示を参照すると、例えば刃物により打ち抜いたアモルファス薄帯に熱処理を施すことによって、所望の形状のナノ結晶薄帯を得ることができると考えられる。そして、所望の形状に打ち抜かれた複数のナノ結晶薄帯を周知の方法で接着することで、積層磁心を作製することが考えられる。
また、特許文献2の開示を参照すると、例えば、上述の組成の合金(溶湯)を急冷したものに、構造緩和を引き起こす熱処理を施した後に、刃物により所望の形状に合金を打ち抜いて、結晶化のための熱処理を施すことが考えられる。これにより、所望の形状のナノ結晶薄帯を得ることができると考えられる。そして、所望の形状の複数のナノ結晶薄帯を周知の方法で接着することで、積層磁心を作製することが考えられる。
上述の積層磁心を作製する方法では、アモルファス薄帯を1枚ずつ打ち抜くため、打ち抜く回数が多くなり、その結果、積層磁心を製造するために必要となる工程が多くなる。
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、少ない工程で容易に所望の形状に加工して製造することが可能な積層磁心などを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る積層磁心は、
軟磁性を有する複数のナノ結晶層と、
前記複数のナノ結晶層の間に設けられた接着層とを備え、
前記複数のナノ結晶層の各々は、複数のナノ結晶片に分かれている
ことを特徴とする。
隣り合う前記ナノ結晶層の各々は、異なる形状のナノ結晶片から構成されてもよい。
前記ナノ結晶片は、平均面積が1.5cm以下であってもよい。
前記複数のナノ結晶層に含まれるナノ結晶の平均粒径が、50nm以下であってもよい。
上記目的を達成するため、本発明に係る積層磁心の製造方法は、
軟磁性を有する複数のナノ結晶薄帯が接着及び積層された積層体を作製することと、
前記積層体を打ち抜くこととを含む。
積層磁心の製造方法は、前記積層体を加圧することによって、前記積層体に含まれる複数のナノ結晶薄帯の少なくとも一部をナノ結晶片に割ることをさらに含んでもよい。
前記積層体を打ち抜くことは、前記ナノ結晶片を含む積層体を打ち抜くことであってもよい。
前記ナノ結晶片に割ることは、打ち抜かれた前記積層体を加圧することによって、前記積層体に含まれる複数のナノ結晶薄帯の少なくとも一部をナノ結晶片に割ることであってもよい。
前記積層体を作製することは、
前記ナノ結晶薄帯の一面に、接着剤を含む接着層を設けることと、
前記接着層を設けたナノ結晶薄帯に、前記接着層を挟んで他の前記ナノ結晶薄帯を重ね合わせることと、
前記接着層を設けて重ね合わせたナノ結晶薄帯を圧着することとを含んでもよい。
前記積層体を作製することは、
前記複数のナノ結晶薄帯を重ね合わせることと、
前記複数のナノ結晶薄帯に接着剤を含浸させることとを含んでもよい。
複数のアモルファス薄帯を熱処理することによって前記複数のナノ結晶薄帯を得ることをさらに含んでもよい。
本発明によれば、少ない工程で容易に所望の形状に加工して製造することが可能になる。また、高周波での渦損を低減することが可能になる。
本発明の実施の形態1に係る積層磁心の外観斜視図である。 実施の形態1に係る積層体が積層磁心製造装置により作製される工程を示す図である。 実施の形態1に係る積層磁心製造装置により作製されて打ち抜かれた積層体の斜視図である。 本発明の実施の形態2に係る積層磁心の外観斜視図である。 実施の形態2に係る積層体が積層磁心製造装置により作製される工程を示す図である。 実施の形態2に係る積層磁心製造装置により作製されて打ち抜かれた積層体の斜視図である。 変形例3に係る積層体が積層磁心製造装置により作製される工程を示す図である。 実施例1〜3及び比較例1での調査及び測定の結果を示す図である。 実施例4及び比較例2〜4での調査及び測定の結果を示す図である。 実施例5〜8での調査及び測定の結果を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。全図を通じて同一の要素には同一の符号を付す。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る積層磁心100は、図1に示すように、Z軸方向に積み重なった6つのナノ結晶層101と、6つのナノ結晶層101の間のそれぞれに設けられた5つの接着層102とを備えた円柱形の磁心であって、Z軸方向の貫通孔を有する。
ここで、本願では、積層磁心100においてナノ結晶層101が積層される方向をZ軸方向とし、Z軸方向に垂直な平面上で直交する方向をX軸方向及びY軸方向とし、図1、図3、図4、図6は、これらの正方向を矢印で示している。これらの方向を示す用語は、説明のために用いるものであって、本発明を限定する趣旨ではない。
なお、積層磁心100に含まれるナノ結晶層101の数は、6つに限られず、2つ以上であれば幾つであってもよい。積層磁心100の形状は、上述のような貫通孔を有する円柱形に限られず、種々の形状であってよい。また、積層磁心100に含まれる接着層102の形状や数は、積層磁心100に含まれるナノ結晶層101の数や形状に応じたものであればよい。
ナノ結晶層101の各々は、軟磁性を有するナノ結晶材料で作られた同じ形状の薄帯又は薄板により構成される。ここで、薄帯又薄板とは、それぞれ、薄い帯状又は薄い板状の部材である。本実施の形態に係るナノ結晶層101の各々は、中心に孔が開いた同じ大きさの円盤状の薄帯である。
ここで、軟磁性を有するナノ結晶材料は、特定組成のアモルファス薄帯に熱処理を施して結晶化させることによって、アモルファス相中に100nm程度よりも小さい微細なαFe(−Si)結晶を析出させた材料である。
軟磁性を有するナノ結晶材料で作られた薄帯又は薄板をナノ結晶層101に利用すると、(1)高磁化のαFeと(2)微細化による結晶磁気異方性の低減と(3)アモルファス相の正磁歪とαFe相の負磁歪との混相による磁歪の低減とによって、飽和磁束密度Bsが高くてロスが少ない良好な特性の積層磁心100を得ることができる。
本実施の形態において、6つのナノ結晶層101に含まれるナノ結晶の平均粒径は、50nm以下であることが望ましい。平均粒径が50nm以下のナノ結晶を析出させることで、より優れた軟磁気特性を得ることができる。
6つのナノ結晶層101の各々は、複数のナノ結晶片103に分かれている。
一般的に、ナノ結晶層101の各々が1枚の連続したナノ結晶薄帯又は薄板で構成される場合、積層磁心100が高周波で使用されると、渦電流損失が多くなり高周波特性などが悪くなる。また、カットコアで構成される場合はギャップが広くなるので、磁束の漏れが比較的多くなる。
本実施の形態に係る6つのナノ結晶層101の各々は、複数のナノ結晶片103に分かれており、その間隔は極めて近く、導体片であるナノ結晶片又は磁区が細分化されるため、渦電流損失を低減することができ、高周波特性の改善が可能になる。また、直流重畳特性の改善が可能になる。
ナノ結晶層101の各々が1枚の連続したナノ結晶薄帯又は薄板で構成される場合、特に20kHz以上において渦電流損失が顕著になることが多いが、本実施の形態では、20kHz以上の高周波特性の改善が可能になる。
さらに、6つのナノ結晶層101の各々が複数のナノ結晶片103に分かれているので、積層磁心100は、可撓性を有する。そのため、積層磁心100を曲げた際に、ナノ結晶層101の一部が割れて積層磁心100から剥離することを防止でき、また、積層磁心100を割れ難くすることが可能になる。
Z軸方向に隣り合うナノ結晶層101の各々は、異なる形状のナノ結晶片103から構成される。換言すると、Z軸方向に隣り合うナノ結晶層101の一方における、ナノ結晶片103間の隙間(境界)の少なくとも一部が、他方のナノ結晶層101におけるナノ結晶片103の主面の上層側(Z軸正方向)又は下層側(Z軸負方向)に位置する。ここで、ナノ結晶層101のすべてが同じ形状のナノ結晶片103から構成されてもよいが、この場合、ナノ結晶片103の境界は、接着層102でのみ接続されることになり、その境界に外力などが加わると、裂けるなどの損傷が生じる可能性がある。Z軸方向に隣り合うナノ結晶層101の各々が異なる形状のナノ結晶片103から構成されることで、このような脆弱さが低減し、損傷を防止することが可能になる。
6つのナノ結晶層101に含まれるナノ結晶片103は、平均面積が1.5cm以下であることが望ましい。ナノ結晶片103の平均面積を1.5cm以下とすることによって、導体片であるナノ結晶片103又は磁区を細分化して、渦電流損失を抑制することができるので、良好な高周波特性を得ることが可能になる。また、一般的に、ナノ結晶片103の平均面積が小さい程、透磁率は低下するものの直流重畳特性が良好になると考えられる。6つのナノ結晶層101に含まれるナノ結晶片103の平均面積を1.5cm以下とすることによって、良好な直流重畳特性を得ることができる。
5つの接着層102は、6つのナノ結晶層101の間のそれぞれに設けられている。これによって、5つの接着層102の各々を介してZ軸方向に隣り合うナノ結晶層101同士が相互に固定されるとともに、ナノ結晶層101の各々に含まれるナノ結晶片103がバラバラに分離することを防ぎ、ナノ結晶層101の形状を維持している。
これまで、本発明の実施の形態1に係る積層磁心100の構成について説明した。ここから、本実施の形態に係る積層磁心100の製造方法について図2を参照して説明する。
(1)3つのアモルファス薄帯Aa,Ab,Acが、図2に示すように、積層磁心製造装置105に取り付けられる。
ここで、アモルファス薄帯Aa,Ab,Acが取り付けられる積層磁心製造装置105の構成を説明する。積層磁心製造装置105は、図2に示すように、3つの送出ローラ106a,106b,106cと、ローラの対である圧着ローラ107a,107bと、3つの加熱器Ha,Hb,Hcと、2つの噴霧ノズル108a,108bと、打ち抜き機109とを備える。
3つの送出ローラ106a,106b,106cは、前後方向及び上下方向にズレた位置に配置されている。
2つの圧着ローラ107a,107bは、軸が平行に設けられており、表面が軸方向に当接するように、或いは、予め定められた僅かな隙間を空けて配置されている。
加熱器Ha,Hb,Hcは、それぞれ、送出ローラ106a,106b,106cと圧着ローラ107a,107bとの間を通過する薄帯を加熱する機器である。
噴霧ノズル108a,108bの各々は、送出ローラ106a,106bと圧着ローラ107a,107bとの間を通過する薄帯の一面に接着剤110を散布するノズルである。
打ち抜き機109は、予め定められた形状に積層体111を打ち抜くための機器である。打ち抜き機109は、ダイ109aとパンチ109bとを含み、ダイ109aに対してパンチ109bが上下方向に移動することによって、ダイ109a上に配置された薄帯を打ち抜く。
ここで、積層体111とは、複数のナノ結晶薄帯104a,104b,104cが接着及び積層されたものである。なお、積層体111を構成する複数のナノ結晶薄帯104a,104b,104cの数は、本実施の形態では3つであるが、2つ以上であればいくつであってもよい。また、積層磁心製造装置105に取り付けられるアモルファス薄帯Aa,Ab,Acの数も、3つに限られず、積層体111を構成する複数のナノ結晶薄帯104a,104b,104cの数と同じであってよい。
このような積層磁心製造装置105に対して、まず、3つのアモルファス薄帯Aa,Ab,Acが、それぞれ、送出ローラ106a,106b,106cを軸として巻き回した状態で取り付けられる。次に、3つのアモルファス薄帯Aa,Ab,Acは、それぞれ、送出ローラ106a,106b,106cから引き出される。アモルファス薄帯Aa,Abは、それぞれ、加熱器Ha,Hbの下方を通過して、さらに、噴霧ノズル108a,108bの下方を通過するように、引き出される。アモルファス薄帯Acは、加熱器Hcの下方を通過して、さらに、噴霧ノズル108bの上方を通過するように引き出される。そして、3つのアモルファス薄帯Aa,Ab,Acは、重ねた状態で圧着ローラ107a,107bの間を通って、打ち抜き機109のダイ109aの上に配置される。これにより、3つのアモルファス薄帯Aa,Ab,Acの積層磁心製造装置105への取り付けが完了する。
(2)ユーザが図示しないスイッチなどを操作して、積層磁心製造装置105を動作させる。これによって、積層体111が作製されて、予め定められた形状に打ち抜かれる。
詳細には、積層磁心製造装置105が動作することによって、次の(2−1)〜(2−7)の工程が繰り返し行われる。
(2−1)送出ローラ106a,106b,106c及び圧着ローラ107a,107bの各々は、パンチ109bが上昇した状態で、予め定められた方向に回転する。本実施の形態に係る送出ローラ106a,106b,106c及び圧着ローラ107a,107bのそれぞれの回転方向は、図2の矢印112a,112b,112c,113a,113bで示す方向である。これにより、アモルファス薄帯Aa,Ab,Acは、それぞれが取り付けられた送出ローラ106a,106b,106cの各々から送り出される。
(2−2)アモルファス薄帯Aa,Ab,Acは、それぞれ、送出ローラ106a,106b,106cから送出されて、加熱器Ha,Hb,Hcにより熱処理が施される。この熱処理によって、軟磁性を有する3つのナノ結晶薄帯104a,104b,104cが得られる。
ここで、熱処理の対象となるアモルファス薄帯Aa,Ab,Acは、特定の組成のアモルファスを材料とする薄帯である。熱処理とは、結晶化のための熱処理を意味し、αFe結晶を析出させる温度と時間を適宜設定して行う処理である。本実施の形態では、例えば、加熱器Ha,Hb,Hcが加熱する設定温度と、アモルファス薄帯Aa,Ab,Acが加熱器Ha,Hb,Hcを通過する時間とによって、熱処理の温度と時間が調整される。
(2−3)熱処理によって得られたナノ結晶薄帯104a,104bの一面に、接着剤110が噴霧ノズル108a,108bから散布される。これにより、接着剤110を含む接着層102a,102bがナノ結晶薄帯104a,104bの一面に設けられる。
ここで、ナノ結晶薄帯104a,104bの一面とは、ナノ結晶薄帯104a,104bの各々が有する2つの主面のうちの一方の面のことであり、本実施の形態では、他のナノ結晶薄帯104b,104cと対向して位置づけられる面のことである。
なお、接着層102a,102bは、接着剤110以外の添加剤を含んでもよい。この場合、噴霧ノズル108a,108bから、適宜添加剤などを含む接着剤110が噴霧されてもよい。
(2−4)接着層102a,102bを設けたナノ結晶薄帯104a,104bに、接着層102a,102bを挟んで他のナノ結晶薄帯104b,104cが重ね合わされる。
(2−5)接着層102a,102bを設けて重ね合わせたナノ結晶薄帯104a,104b,104cが、圧着ローラ107a,107bの間を通過することで圧着される。これにより、軟磁性を有する複数のナノ結晶薄帯が接着及び積層された積層体111が作製される。
(2−6)送出ローラ106a,106b,106c及び圧着ローラ107a,107bの各々は、上記の(2−1)にて回転を開始してから予め定められた角度回転することで、未だ打ち抜かれていない積層体111がダイ109aの上に移動すると、その回転を停止する。
(2−7)パンチ109bが下方へ移動する。これによって、図3に示すように予め定められた形状に打ち抜かれた積層体111が作製される。本実施の形態において積層体111が打ち抜かれる形状は、孔が開いた円盤状である。
ナノ結晶薄帯104a,104b,104cは、熱処理によって脆くなっているため、図3に示すように、積層体111を打ち抜くときに割れて、複数のナノ結晶片103に分かれたナノ結晶層101となる。このとき、Z軸方向に隣り合うナノ結晶層101の各々は、通常、形状が異なる複数のナノ結晶片103に割れる。
このとき、6つのナノ結晶層101に含まれるナノ結晶片103の平均面積が1.5cm以下となるように、打ち抜く条件が決定されることが望ましい。
(3)打ち抜かれた積層体111が2つ作製されると、それら2つの積層体111が接着層102を介して接着される。
詳細には、次の(3−1)〜(3−3)が行われる。
(3−1)打ち抜かれた2つの積層体111のうちの一方の積層体111の一面に、接着剤を塗布することによって接着剤を含む接着層102が設けられる。ここで、積層体111の一面とは、積層体111が有する2つの主面のうちの一方の面のことである。
(3−2)他方の積層体111が、(3−1)にて設けられた接着層102を挟んで一方の積層体111に重ね合わされる。
(3−3)重ね合わせた2つの積層体111は、図示しない器具などで押圧されることによって、圧着される。これによって、積層磁心100(図1参照)が完成する。
なお、本実施の形態では、積層磁心100が、2つの積層体111を接着して作製される例により説明したが、積層磁心100を構成する積層体111の数は、2つに限られず、3つ以上であってもよい。
例えば、積層磁心100は、1つの積層体111から構成されてもよく、この場合、当然のことながら、積層体111を接着する工程は不要になる。
また例えば、積層磁心100は、3つ以上の積層体111を接着して作製されてもよい。この場合、積層体111のいずれか1つの一面に、接着剤を塗布することによって接着剤を含む接着層102が設けられる。そして、他の積層体111が、接着層102が設けられた積層体111に、接着層102を挟んで重ね合わされる。重ね合わされた積層体111は、上記の(3−3)と同様に圧着される。このような工程を繰り返すことで、複数の積層体111が順次、接着剤を含む接着層102を介して接着されて、積層磁心100が作製される。
これまで説明したように、本実施の形態によれば積層磁心100の製造方法は、軟磁性を有する複数のナノ結晶薄帯104a,104b,104cが接着及び積層された積層体111を作製することと、積層体111を打ち抜くこととを含む。
仮に複数のアモルファス薄帯を接着剤などで積層して打ち抜くことで、複数のアモルファス薄帯の積層体を作製したとしても、その後に熱処理すると、接着に利用する樹脂の耐熱不足、樹脂と薄帯の熱膨張差などが原因となって、磁気特性が悪くなってしまう可能性が高い。また一般的に、アモルファス薄帯を厚くすると、硬さのために打ち抜きが困難になる。さらに、所望の形状の積層体111を得るために、打ち抜き加工以外のレーザー加工、放電加工などの他の加工方法が採用されてもよいが、他の加工方法では、より多くの時間や費用が掛かることが多い。
これに対して、ナノ結晶薄帯104a,104b,104cは、上述のように、熱処理前のアモルファス薄帯よりも脆い。そのため、ナノ結晶薄帯1枚を打ち抜くと、ナノ結晶薄帯が割れ、所望の形状が得られない。本発明では接着層102a,102bにより複数のナノ結晶薄帯同士が相互に固定されるため、打ち抜きによりナノ結晶薄帯104a,104b,104cの各々が割れて複数のナノ結晶片103に分かれた場合であっても、接着層102a,102bによりナノ結晶薄帯104a,104b,104cが接着しているので、ナノ結晶片103がバラバラに分離することは殆どなく、所望の形状を得ることができる。また、複数のナノ結晶薄帯104a,104b,104cを積層することで厚くした積層体を比較的低圧で容易に打ち抜くことができるので、複数のナノ結晶薄帯104a,104b,104cを1枚ずつ打ち抜く必要がない。
従って、少ない工程で容易に積層体111を製造することが可能になる。また、この積層体111を利用して積層磁心100を製造することができるので、少ない工程で容易に積層磁心100を製造することが可能になる。
また、従来は、積層体を構成するナノ結晶薄帯の各々が割れないように、熱処理前のアモルファス薄帯を打ち抜いていた。本実施の形態に係る積層磁心100の製造方法では、3つのナノ結晶薄帯104a,104b,104cを積層した積層体111を打ち抜くことで、ナノ結晶薄帯104a,104b,104cの各々が割れるようにしている。これにより、相互の距離が極めて近い複数のナノ結晶片103に分かれ、複数のナノ結晶片103に分けて、導体片であるナノ結晶片又は磁区が細分化されるため、渦電流損失を低減することができ、高周波での渦損を低減することが可能になる。
また本実施の形態において、積層体111を作製することは、ナノ結晶薄帯104a,104bの一面に、接着剤110を含む接着層102a,102bを設けることと、接着層102a,102bを設けたナノ結晶薄帯104a,104bに、接着層102a,102bを挟んで他のナノ結晶薄帯104b,104cを重ね合わせることと、接着層を設けて重ね合わせたナノ結晶薄帯104a,104b,104cを圧着することとを含む。これにより、積層体111を容易に作製することができる。
以上、本発明の実施の形態1について説明したが、実施の形態1は、次のように変形されてもよい。
(変形例1)
本実施の形態では、積層磁心製造装置105によって3つのナノ結晶薄帯104a,104b,104cを積層することで3層の積層体111を製造する例により説明した。しかし、積層磁心製造装置105によって製造される積層体111を構成する層の数は、2つ以上であれば幾つであってもよい。
(変形例2)
実施の形態では、接着剤110を含む接着層102a,102bをナノ結晶薄帯104a,104bに設け、接着層102a,102bを設けたナノ結晶薄帯104a,104bに、接着層102a,102bを挟んで他のナノ結晶薄帯104b,104cを重ね合わせ、接着層102a,102bを設けて重ね合わせたナノ結晶薄帯104a,104b,104cを圧着することで、積層体111を作製した。
しかし、接着剤110は、薄帯が重ね合わされる前に、重ねあわされる面の少なくとも一方の全面又は一部に塗布されればよく、その方法は、散布に限られない。
例えば、接着層102a,102bは、ブラシやローラで接着剤110を塗布することで設けられてもよい。
また、薄帯が重ね合わされた後に、接着層102が設けられてもよい。例えば、接着層102は、重ね合わせた複数のナノ結晶薄帯104a,104b,104cに接着剤110を含浸させることで設けられてもよい。この場合、積層体111を作製することは、複数のナノ結晶薄帯104a,104b,104cを重ね合わせることと、複数のナノ結晶薄帯104a,104b,104cに接着剤110を含浸させることとを含む。
本変形例によっても、実施の形態1と同様に、積層体111を容易に作製することができ、少ない工程で容易に積層磁心100を製造することが可能になる。
(実施の形態2)
実施の形態1では、複数のナノ結晶薄帯104a,104b,104cの各々が、打ち抜かれる際に割れることでナノ結晶片103に分けられる例を説明した。実施の形態2では、複数のナノ結晶薄帯の各々をより小さなナノ結晶片に割るため、積層体を加圧する例を説明する。
本発明の実施の形態2に係る積層磁心200は、図4に示すように、概ね実施の形態1に係る積層磁心100と同様の構成を備える。すなわち、積層磁心200は、Z軸方向に積み重なった6つのナノ結晶層201と、6つのナノ結晶層201の間のそれぞれに設けられた5つの接着層102とを備えた円柱形の磁心であって、Z軸方向の貫通孔を有する。
積層磁心200と実施の形態1に係る積層磁心100との違いは、ナノ結晶片103,203の大きさである。すなわち、積層磁心200は、図4に示すように、実施の形態1に係る積層磁心100のナノ結晶片103よりも小さいナノ結晶片203に分かれている。
本実施の形態に係る積層磁心200では、実施の形態1に係る6つのナノ結晶層101の各々が複数のナノ結晶片103に分かれていることと同様に、高周波特性(特に20kHz以上の高周波特性)の改善が可能になり、直流重畳特性の改善が可能になる。また、積層磁心200に可撓性をもたせることができるので、積層磁心200を割れ難くすることが可能になる。
さらに、積層磁心200が小さいナノ結晶片203に分かれていることにより、より良好な直流重畳特性を得ることが可能になる。
これまで、本発明の実施の形態2に係る積層磁心200の構成について説明した。ここから、本実施の形態に係る積層磁心200の製造方法について図5を参照して説明する。
本実施の形態に係る積層磁心200の製造方法は、積層体211を加圧することによって、積層体211に含まれる複数のナノ結晶薄帯104a,104b,104cの少なくとも一部をナノ結晶片203に割ることをさらに含む。この点を除いて、積層磁心200の製造方法は、概ね、実施の形態1に係る積層磁心100の製造方法と同様である。
(1)実施の形態1と同様に、3つのアモルファス薄帯Aa,Ab,Acが、図5に示すように、積層磁心製造装置205に取り付けられる。
本実施の形態に係る積層磁心製造装置205は、図5に示すように、実施の形態1と同様の3つの送出ローラ106a,106b,106c、ローラの対である圧着ローラ107a,107b、3つの加熱器Ha,Hb,Hc、2つの噴霧ノズル108a,108b及び打ち抜き機109を備える。これに加えて、積層磁心製造装置205は、加圧機213を備える。
加圧機213は、積層体を加圧して積層体に含まれるナノ結晶薄帯104a,104b,104cの各々をナノ結晶片203に割るための機器である。加圧機213は、台座部213aと押圧部213bとを含み、台座部213aに対して押圧部213bが上下方向に移動することによって、台座部213a上に配置された積層体を押圧する。加圧機213は、ナノ結晶薄帯104a,104b,104cの移動方向において、圧着ローラ107a,107bと打ち抜き機109との間に配置される。
このような積層磁心製造装置205に対して、実施の形態1と同様に、3つのアモルファス薄帯Aa,Ab,Acが、それぞれ、送出ローラ106a,106b,106cに取り付けられた後、そこから引き出されて、重ねた状態で圧着ローラ107a,107bの間を通される。そして、3つのアモルファス薄帯Aa,Ab,Acは、重ねた状態で台座部213aとダイ109aとの上に順に配置される。これにより、3つのアモルファス薄帯Aa,Ab,Acの積層磁心製造装置205への取り付けが完了する。
(2)ユーザが図示しないスイッチなどを操作して、積層磁心製造装置205を動作させる。これによって、積層体211が作製されて、予め定められた形状に打ち抜かれる。
詳細には、積層磁心製造装置205が動作することによって、次の(2−1)〜(2−7)の工程が繰り返し行われる。
(2−1)送出ローラ106a,106b,106c及び圧着ローラ107a,107bの各々は、押圧部213bとパンチ109bとが上昇した状態で、実施の形態1と同様に予め定められた方向に回転する(図5参照)。れにより、アモルファス薄帯Aa,Ab,Acは、それぞれが取り付けられた送出ローラ106a,106b,106cの各々から送り出される。
(2−2)アモルファス薄帯Aa,Ab,Acは、それぞれ、送出ローラ106a,106b,106cから送出されて、加熱器Ha,Hb,Hcにより熱処理が施される。
(2−3)実施の形態1と同様に、熱処理によって得られたナノ結晶薄帯104a,104bの一面に、接着剤110が噴霧ノズル108a,108bから散布される。
(2−4)実施の形態1と同様に、接着層102a,102bを設けたナノ結晶薄帯104a,104bに、接着層102a,102bを挟んで他のナノ結晶薄帯104b,104cが重ね合わされる。
(2−5)実施の形態1と同様に、接着層102a,102bを設けて重ね合わせたナノ結晶薄帯104a,104b,104cが、圧着ローラ107a,107bの間を通過することで圧着される。これにより、軟磁性を有する複数のナノ結晶薄帯が接着及び積層された積層体211が作製される。
(2−6−1)送出ローラ106a,106b,106c及び圧着ローラ107a,107bの各々は、上記の(2−1)にて回転を開始してから予め定められた角度回転することで、未だ加圧されていない積層体211が台座部213aの上に移動すると、その回転を停止する。
(2−6−2)押圧部213bは、下方へ移動して、台座部213a上の積層体211を予め定められた力で加圧すると、上方へ移動して元の位置へ戻る。これによって、押圧された部分のナノ結晶薄帯104a,104b,104cの各々が、ナノ結晶片203に割れる。
(2−6−3)送出ローラ106a,106b,106c及び圧着ローラ107a,107bの各々は、上記の(2−6−2)が完了すると、さらに予め定められた角度回転することで、未だ打ち抜かれていない積層体211がダイ109aの上に移動すると、その回転を停止する。
(2−7)実施の形態1と同様に、パンチ109bが下方へ移動する。これによって、図6に示すように予め定められた形状に打ち抜かれた積層体211が作製される。このように、本実施の形態では、打ち抜き機109が積層体211を打ちぬく前に、ナノ結晶薄帯104a,104b,104cの各々が、ナノ結晶片203に割られている。そのため、本実施の形態では、この積層体211を打ち抜く工程において、ナノ結晶片203を含む積層体211を打ち抜くことになる。
(3)実施の形態1と同様に、打ち抜かれた積層体211が2つ作製されると、それら2つの積層体211が接着層102を介して接着される。これによって、積層磁心200が完成する。
本実施の形態に係る積層磁心200の製造方法によれば、6つのナノ結晶層201の各々を確実に、複数のナノ結晶片203に割ることができる。そのため、高周波特性(特に20kHz以上の高周波特性)と直流重畳特性とが改善された積層磁心200を確実に提供することが可能になる。また、積層磁心200の可撓性により、割れ難い積層磁心200を提供することが可能になる。
さらに、3つのナノ結晶薄帯104a,104b,104cの各々を確実に小さいナノ結晶片203に割ることにより、より良好な直流重畳特性を有する積層磁心200を提供することが可能になる。
なお、ナノ結晶層201の各々を割る方法は、加圧器で押圧することに限られない。例えば圧着ローラなどのローラで押しつぶすなど、ナノ結晶層201の各々を割るために、他の方法が採用されてもよい。これによっても、実施の形態2と同様の効果を奏する。
(変形例3)
実施の形態2では、積層体211を打ち抜く前に割る例を説明した。しかし、積層体211は、打ち抜いた後に割られてもよい。
本変形例では、積層磁心の構成は、実施の形態2に係る積層磁心200と同様である。積層磁心200の作製方法及び積層磁心製造装置305の構成が、実施の形態2のそれぞれと異なる。
(1)実施の形態2と同様に、3つのアモルファス薄帯Aa,Ab,Acが、図7に示すように、積層磁心製造装置305に取り付けられる。
積層磁心製造装置305は、図7に示すように、加圧機213が配置される位置を除いて、実施の形態2に係る積層磁心作製装置205と同様の構成を備える。積層磁心製造装置305では、加圧機213が、ナノ結晶薄帯104a,104b,104cの移動方向において、打ち抜き機109よりも下流に配置される。
このような積層磁心製造装置305に対して、実施の形態2と同様に、3つのアモルファス薄帯Aa,Ab,Acが、それぞれ、送出ローラ106a,106b,106cに取り付けられた後、そこから引き出されて、重ねた状態で圧着ローラ107a,107bの間を通される。そして、3つのアモルファス薄帯Aa,Ab,Acは、重ねた状態でダイ109aと台座部213aとの上に順に配置される。これにより、3つのアモルファス薄帯Aa,Ab,Acの積層磁心製造装置305への取り付けが完了する。
(2)ユーザが図示しないスイッチなどを操作して、積層磁心製造装置305を動作させる。これによって、積層体211が作製されて、予め定められた形状に打ち抜かれ、さらに、3つのナノ結晶薄帯104a,104b,104cの各々が割られる。
詳細には、実施の形態1と同様の工程(2−1)〜(2−7)の工程が繰り返し行われる。その結果、この段階で実施の形態1と同様の打ち抜かれた積層体111が作製される。
(2−8−1)その後、例えばユーザが、打ち抜かれた積層体111を台座部213aの上に配置する。
(2−8−2)例えばユーザのスイッチ操作などに応答して、台座部213aは、実施の形態2での工程(3−5−2)と同様に、下方へ移動して、台座部213a上の積層体211を予め定められた力で加圧すると、上方へ移動して元の位置へ戻る。これによって、押圧された部分のナノ結晶薄帯104a,104b,104cの各々が、ナノ結晶片203に割れる。
(3)実施の形態2と同様に、2つの積層体211が接着層102を介して接着されて、積層磁心200が完成する。
本変形例では、ナノ結晶片に割ることは、打ち抜かれた積層体を加圧することによって、積層体に含まれる複数のナノ結晶薄帯の少なくとも一部をナノ結晶片に割ることである。これによっても、実施の形態2と同様の効果を奏する。
ここから、本発明の実施例について説明する。
(実施例1〜3)
発明者は、組成がFe84.3原子%、Si0.5原子%、B5.5原子%、P9原子%、Cu0.7原子%であり、幅が40mm、厚みが25μmのアモルファス薄帯を1kg、単ロール法にて作製した。作製した薄帯を長さ80mmに切断し、電気炉を用いて400℃で10分間、アルゴンフロー中で熱処理を施すことで平均粒径18nmのナノ結晶薄帯を作製した。
発明者は、実施例1では、4枚のナノ結晶薄帯をフェノール樹脂を用いて接着することで、積層体を作製した。実施例2では、4枚のナノ結晶薄帯をアクリル樹脂を用いて接着することで、積層体を作製した。実施例3では、4枚のナノ結晶薄帯をクロロブレンゴムを用いて接着することで、積層体を作製した。その後、実施例1〜3に係る積層体の各々について、外径13mm、内径8mmのパンチを有する打ち抜き機で打ち抜きを実施し、その打抜き可否及びその磁気特性を調査した。
発明者は、比較例1として、未だ熱処理を施していない4枚のアモルファス薄帯を1枚ずつ打ち抜き、その後に、400℃で10分間、アルゴンフロー中で熱処理を施すことで、4枚のナノ結晶薄帯を作製した。4枚のナノ結晶薄帯をフェノール樹脂で接着することで積層体を作製し、この積層体の磁気特性を調査した。
磁気特性について、コアロスは、交流BHアナライザーを用いて100kHz−100mTの条件で測定した。
実施例1〜3及び比較例1での調査及び測定の結果を図8に示す。
実施例1〜3に関する結果から、熱処理を施した後の薄帯であるナノ結晶薄帯を4枚積層して打ち抜くことが可能であることが分かる。これにより、1枚ずつ打ち抜く場合よりも、打ち抜きの工数を低減することが可能になる。比較例と比較すると、実施例1〜3では、コアロスは比較的少なく良好である。
比較例1は、打ち抜いた後に、熱処理をして積層した積層体に関するものであり、コアロスが多い。また、1枚ずつ打ち抜くので、打ち抜きの工数が極めて多くなる。
(実施例4)
発明者は、組成がFe84.3原子%、Si0.5原子%、B5.5原子%、P9原子%、Cu0.7原子%であり、幅が40mm、厚みが25μmのアモルファス薄帯を1kg、単ロール法にて作製した。作製した薄帯を長さ80mmに切断し、電気炉を用いて400℃で10分間、アルゴンフロー中で熱処理を施すことで平均粒径18nmのナノ結晶薄帯を作製した。
本実施例では、8枚のナノ結晶薄帯をアクリル樹脂を用いて接着することで、積層体を作製した。その後、本実施例に係る積層体について、外径13mm、内径8mmのパンチを有する打ち抜き機で打ち抜きを実施し、その打抜き可否及びその磁気特性を調査した。また、実施例1〜3と同様の方法で、透磁率及びコアロスを測定した。
発明者は、比較例2では、熱処理を施していない4枚のアモルファス薄帯を接着層を介することなく(すなわち、接着せずに)重ね合わせた積層体について、打ち抜き試験を実施し、その打抜き可否を調査した。比較例3では、熱処理を施していない4枚のアモルファス薄帯をアクリル樹脂を用いて接着した積層体について、打ち抜き試験を実施し、その打抜き可否を調査した。
発明者は、比較例4では、15枚のナノ結晶薄帯をアクリル樹脂を用いて接着した積層体について、打ち抜き試験を実施し、その打抜き可否を調査した。
実施例4及び比較例2〜4での調査及び測定の結果を図9に示す。
実施例4の調査の結果から、ナノ結晶層101が8つであっても打ち抜くことが可能であることが分かる。これに対して、比較例2,3に係る積層体では、打ち抜くことができず、比較例4に係る積層体では、ナノ結晶層101が15個、15個のナノ結晶層101の厚さ(Z軸方向の長さ)が500μm程度になると、打ち抜くことが困難になることが分かる。
(実施例5〜8)
発明者は、組成がFe84.3原子%、Si0.5原子%、B5.5原子%、P9原子%、Cu0.7原子%であり、幅が40mm、厚みが25μmのアモルファス薄帯を1kg、単ロール法にて作製した。作製した薄帯を長さ80mmに切断し、電気炉を用いて400℃で10分間、アルゴンフロー中で熱処理を施すことで平均粒径18nmのナノ結晶薄帯を作製した。
発明者は、実施例5〜8では、2枚のナノ結晶薄帯をアクリル樹脂を用いて接着することで積層体を作製し、その後、外径13mm、内径8mmのパンチを有する打ち抜き機で打ち抜きを実施した。実施例5〜8の各々では、打ち抜き機での打ち抜きの条件、接着層の厚さを調整することによって、打ち抜かれた積層体に含まれるナノ結晶片の平均面積が異なる。
ここで、ナノ結晶片の平均面積は、積層体の上面及び下面の各面積の合計を、上面及び下面から観察されるナノ結晶片の個数で割ることで求められる。上面及び下面からナノ結晶片の個数は、ナノ結晶層を2枚積層した積層体の上面と下面とを光学顕微鏡で観察することで、数えられる。
実施例5〜8に係る積層体の各々について、その打抜き可否、そのナノ結晶片の平均面積及びその磁気特性を調査した。また、実施例1〜3と同様の方法で、透磁率及びコアロスを測定した。
実施例5〜8での調査及び測定の結果を図10に示す。図10において、「平均面積(cm)」は、対応する列に、ナノ結晶片の平均面積をcmを単位として記載していることを示す。
実施例5〜8に関する結果から、ナノ結晶片の平均面積が小さくなるに従って、透磁率が低下するもののコアロスが大幅に改善されることが分かる。例えば、ナノ結晶片の平均面積が0.1cm以下にすることによって、300kw/m以下にまでコアロスを低減することができる。
以上、本発明の実施の形態、変形例などについて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。本発明は、例えば、実施の形態に変更を加えた態様、実施の形態と変形例とを適宜組み合わせた態様、この態様に適宜変更を加えた態様などを含む。
本発明に係る積層磁心の製造方法は、積層磁心を製造するために利用することができる。また、本発明に係る積層磁心は、モータ、変成器、スイッチング電源回路、共振型電源、磁気スナバ、高周波トランス、ノイズフィルタ、チョークコイルなどに利用することができる。
100,200 積層磁心
101,201 ナノ結晶層
102,102a,102b 接着層
103,203 ナノ結晶片
Aa,Ab,Ac アモルファス薄帯
104a,104b,104c ナノ結晶薄帯
105,205,305 積層磁心製造装置
106a,106b,106c 送出ローラ
107a,107b 圧着ローラ
Ha,Hb,Hc 加熱器
108a,108b 噴霧ノズル
109 打ち抜き機
109a ダイ
109b パンチ
110 接着剤
111,211 積層体
213 加圧機
213a 台座部
213b 押圧部

Claims (11)

  1. 軟磁性を有する複数のナノ結晶層と、
    前記複数のナノ結晶層の間に設けられた接着層とを備え、
    前記複数のナノ結晶層の各々は、複数のナノ結晶片に分かれている
    ことを特徴とする積層磁心。
  2. 隣り合う前記ナノ結晶層の各々は、異なる形状のナノ結晶片から構成される
    ことを特徴とする請求項1に記載の積層磁心。
  3. 前記ナノ結晶片は、平均面積が1.5cm以下である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の積層磁心。
  4. 前記複数のナノ結晶層に含まれるナノ結晶の平均粒径が、50nm以下である
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の積層磁心。
  5. 軟磁性を有する複数のナノ結晶薄帯が接着及び積層された積層体を作製することと、
    前記積層体を打ち抜くこととを含む
    ことを特徴とする積層磁心の製造方法。
  6. 前記積層体を加圧することによって、前記積層体に含まれる複数のナノ結晶薄帯の少なくとも一部をナノ結晶片に割ることをさらに含む
    ことを特徴とする請求項5に記載の積層磁心の製造方法。
  7. 前記積層体を打ち抜くことは、前記ナノ結晶片を含む積層体を打ち抜くことである
    ことを特徴とする請求項6に記載の積層磁心の製造方法。
  8. 前記ナノ結晶片に割ることは、打ち抜かれた前記積層体を加圧することによって、前記積層体に含まれる複数のナノ結晶薄帯の少なくとも一部をナノ結晶片に割ることである
    ことを特徴とする請求項6に記載の積層磁心の製造方法。
  9. 前記積層体を作製することは、
    前記ナノ結晶薄帯の一面に、接着剤を含む接着層を設けることと、
    前記接着層を設けたナノ結晶薄帯に、前記接着層を挟んで他の前記ナノ結晶薄帯を重ね合わせることと、
    前記接着層を設けて重ね合わせたナノ結晶薄帯を圧着することとを含む
    ことを特徴とする請求項5から8のいずれか1項に記載の積層磁心の製造方法。
  10. 前記積層体を作製することは、
    前記複数のナノ結晶薄帯を重ね合わせることと、
    前記複数のナノ結晶薄帯に接着剤を含浸させることとを含む
    ことを特徴とする請求項5から8のいずれか1項に記載の積層磁心の製造方法。
  11. 複数のアモルファス薄帯を熱処理することによって前記複数のナノ結晶薄帯を得ることをさらに含む
    ことを特徴とする請求項5から10のいずれか1項に記載の積層磁心の製造方法。
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