以下、図面を参照して本発明によるレンズユニット、LEDヘッド、露光装置、画像形成装置および読取装置の実施例を説明する。
図1は第1の実施例におけるプリントヘッドの説明図、図2および図3は第1の実施例におけるプリントヘッドの断面図である。図1(a)はプリントヘッドの斜視図、図1(b)はプリントヘッドの平面図である。また、図2は図1(a)におけるX−X矢視断面図、図3は図1(a)におけるY−Y矢視断面図である。
本実施例のプリントヘッドを図1から図3を用いて説明する。
図1に示すように、露光装置およびLED(Light Emitting Diode)ヘッドとしてのプリントヘッド101は、レンズユニット102がレンズホルダ109に保持されて構成されている。
図2および図3に示すように、レンズユニット102は、半導体発光素子107の光軸107a方向における半導体発光素子107の反対側(図中上側)から順に、レンズカバープレート103、第1レンズアレイプレート104a、隔壁遮光プレート105、第2レンズアレイプレート104b、および入射遮光プレート106の各部材が積層され、構成されている。
保護部材としてのレンズカバープレート103は、第1レンズアレイプレート104aと積層して配置され、第1レンズアレイプレート104aを覆うものであり、レンズユニット102を保護するものである。レンズカバープレート103は、第1レンズアレイプレート104aの長手方向と直交する短手方向において、第1レンズアレイプレート104aよりも幅が広く形成されている。
レンズ部材としての第1レンズアレイプレート104aおよび第2レンズアレイプレート104bは、長手方向にレンズとしての複数のマイクロレンズが列状に配置された板状のものである。第1レンズアレイプレート104aおよび第2レンズアレイプレート104bは、各マイクロレンズの光軸が合うように配置され、その組み合わせにより半導体発光素子107の像を、例えば図11に示すプリンタ501の感光ドラム508の潜像面において正立等倍像を形成するものである。
遮光部材としての隔壁遮光プレート105は、第1レンズアレイプレート104aを挟んでレンズカバープレート103の反対側に設けられたものである。また、隔壁遮光プレート105は、第1レンズアレイプレート104aと第2レンズアレイプレート104bとの間に配置され、各マイクロレンズの光軸に合わせて絞りとしての開口部が形成された板状のものである。この隔壁遮光プレート105は、第2レンズアレイプレート104bから第1レンズアレイプレート104aの方向へ出射された光線における迷光成分を遮光し、かつ第1レンズアレイプレート104aと第2レンズアレイプレート104bとの間の間隔を確保するものである。
入射遮光プレート106は、半導体発光素子107から第2レンズアレイプレート104bへ入射される迷光成分を遮光するものである。
レンズカバープレート103、第1レンズアレイプレート104a、隔壁遮光プレート105、第2レンズアレイプレート104b、および入射遮光プレート106の各部材間は、図3に示す固定部材としてのクランプ部材114により挟持されて相互に固定されている。
図1(b)に示すプリントヘッド101の長手方向の中央部を含む複数の個所において、図3に示すように、レンズユニット102のレンズカバープレート103、第1レンズアレイプレート104a、隔壁遮光プレート105、第2レンズアレイプレート104b、および入射遮光プレート106の各部材は、積層方向およびレンズユニット102の長手方向と直交する方向(レンズユニット102の短手方向)における両端部をクランプ部114aにおいてクランプ部材114で積層方向に挟持されて相互に固定されている。
ここで、クランプ部材114は、レンズユニット102の長手方向において複数配設され、積層されたレンズユニット102の各部材を短手方向の両端部で挟む挟持部材である。
レンズユニット102は、保持部材としてのレンズホルダ109の2つの対向する面部109b間の開口としての上面開口部109aに挿入され、レンズカバープレート103と面部109bとの間が封止材113で封止され、レンズホルダ109に対して固着され、支持される。
レンズユニット102は、プリント配線基板108上に列状に配列された半導体発光素子107の表面と、第2レンズアレイプレート104bの下面極値点との距離Loが設計された光学距離となるように調整され、固着される。
このとき、レンズユニット102の部材積層界面は、レンズカバープレート103と第1レンズアレイプレート104aの界面のみがレンズホルダ109の上面開口部109aより外側(図2中の上側)に位置するように構成される。
レンズユニット102は、図3に示すように、レンズホルダ109と、レンズユニット102のクランプ部材114との間に、接着剤115を充填することによりレンズホルダ109に固着される。
また、レンズユニット102は、図2に示すように、レンズカバープレート103の外郭が、レンズユニット102のクランプ部114aを除く外郭全域において、レンズユニット102の第1レンズアレイプレート104a、隔壁遮光プレート105、第2レンズアレイプレート104b、および入射遮光プレート106の外郭よりもレンズユニット102の短手方向で幅d1大きく形成されている。同様に、レンズユニット102の長手方向においても、レンズカバープレート103の外郭が、レンズユニット102の第1レンズアレイプレート104a、隔壁遮光プレート105、第2レンズアレイプレート104b、および入射遮光プレート106の外郭よりも幅d1大きく形成されている。すなわち、レンズカバープレート103は、第1レンズアレイプレート104aに対して幅d1だけ迫り出すように形成されている。なお、幅d1は、例えば0.3mmとすることができる。
ここで、レンズユニット102をレンズホルダ109に固着した際、レンズユニット102とレンズホルダ109との間には、隙間(以下、「クリアランス」という。)が生じる。このクリアランスから半導体発光素子107の光量が漏れ出ることを防ぐ目的と、該クリアランスからレンズホルダ109の内部にトナーなどの異物が侵入することを防ぐ目的のため、該クリアランスに封止材113を充填させて封止する。
また、封止材113は、レンズユニット102とレンズホルダ109との間のクリアランスを封止するだけでなく、図2に示すように、レンズカバープレート103と第1レンズアレイプレート104aと間の界面も併せて封止する。
この封止材113は、レンズカバープレート103における第1レンズアレイプレート104aに対する迫り出し部の幅d1に収まるように充填されていることが望ましい。これは、封止材113がレンズカバープレート103の上面に迫り出すことによる出射光の妨げを防止するためである。
なお、図3に示すクランプ部114aにおいては、クランプ部材114によりレンズカバープレート103と第1レンズアレイプレート104aとの間の界面は被覆されているため、その界面からの異物の侵入を抑制することができる。
そのため、少なくともクランプ部材114によりレンズカバープレート103と第1レンズアレイプレート104aとの間の界面が被覆されていない部分において封止材113により封止される必要があるが、図3に示すクランプ部114aでは、接着剤115の内部を伝搬する半導体発光素子107から放射される光量のみが遮蔽されるのに十分な被膜が成されていれば良い。
図2に示すように、半導体発光素子107を実装したプリント配線基板108は、その表面をレンズホルダ109に予め設けられた基板当接部110と当接させることでレンズユニット102の光軸107a方向(図2および図3に示す上下方向)の位置決めがされる。
プリント配線基板108は、ベースクランプ部材111をレンズホルダ109の側面に設けられたクランプ孔112に係合させることにより、そのベースクランプ部材111によりレンズホルダ109側に設けた基板当接部110側へ付勢されて固定される。
このように、本実施例のレンズユニット102は、レンズカバープレート103、第1レンズアレイプレート104a、隔壁遮光プレート105、第2レンズアレイプレート104b、および入射遮光プレート106の板状の各部材が積層されて構成されている。なお、本実施例では、第1レンズアレイプレート104aと第2レンズアレイプレート104bとの間に、1枚の隔壁遮光プレート105を配置するようにしているが、2枚以上の遮光部材等の板状部材を配置するようにしても良い。
次に、レンズユニット102の積層構成を図4から図10を用いて説明する。
図4は第1の実施例におけるレンズユニットの斜視図、図5は第1の実施例におけるレンズユニットの積層構造の説明図、図6は第1の実施例におけるレンズユニットの積層構造の分解図である。図5はレンズユニット102の各構成部材を積層する前の状態を示している。また、図7は、図6における領域44の拡大図である。
図4、図5および図6において、レンズユニット102は、構成部材として図中上から順に、レンズカバープレート103、第1レンズアレイプレート104a、隔壁遮光プレート105、第2レンズアレイプレート104b、および入射遮光プレート106を積層している。
第1レンズアレイプレート104aと第2レンズアレイプレート104bとは、同一型により射出成型されたものであり、隔壁遮光プレート105の長手方向を回転軸として回転対称となるように相互に配置され、図7に示すようにレンズピッチPの半周期(P/2)だけ長手方向にずらすことにより各レンズの光軸を合わせるようにしている。なお、第1レンズアレイプレート104aおよび第2レンズアレイプレート104bには、長手方向に複数のマイクロレンズが2列で千鳥状に配列されている。また、長手方向において同列のマイクロレンズの光軸(例えば、光軸102bと光軸102c)の間隔はレンズピッチPとして配列されている。
このように第1レンズアレイプレート104aと第2レンズアレイプレート104bとを積層する理由は、射出成型により第1レンズアレイプレート104aと第2レンズアレイプレート104bを作製する際、型の成型精度および樹脂流動の方向を合わせることにより、第1レンズアレイプレート104aと第2レンズアレイプレート104bのレンズ光軸のずれを極力抑制することができるためである。これは、射出成型時における樹脂の流動性に影響を受けて、ゲート手前からゲート奥に向かってレンズピッチがわずかに異なることがあるためである。
このような第1レンズアレイプレート104aと第2レンズアレイプレート104bの積層構造により、図7に示すレンズユニット102の積層構造においては、レンズカバープレート103、第1レンズアレイプレート104a、および隔壁遮光プレート105と、第2レンズアレイプレート104b、および入射遮光プレート106とがレンズピッチPの半周期(P/2)だけ長手方向にずらして積層されている。
次に、レンズユニット102を構成する各部材の係合構成およびクランプ構成を説明する。
なお、レンズユニット102を構成する各部材の係合およびクランプ箇所は、図4に示すレンズユニット102の長手方向において少なくとも中央部を含んだ複数の個所であって、レンズユニット102の短手方向における両側になる。
まず、レンズユニット102の長手方向における中央部以外の各部材の係合構成を図8に基づいて説明する。図8は第1の実施例におけるレンズユニットの中央部以外の係合構成の説明図であり、図8(a)は図6の領域45の拡大図であり、図8(b)は図5における領域42の拡大図である。
図8において、レンズカバープレート103、第1レンズアレイプレート104a、隔壁遮光プレート105、第2レンズアレイプレート104b、および入射遮光プレート106には、それぞれの外縁部に、隣接する部材と係合するための凸部123、凹部124a、凸部125a、凹部126a、凹部126b、凸部125b、凹部124b、凸部127が形成されている。
すなわち、レンズカバープレート103に凸部123、第1レンズアレイプレート104aに凹部124aおよび凸部125a、隔壁遮光プレート105に凹部126aおよび凹部126b、第2レンズアレイプレート104bに凸部125bおよび凹部124b、入射遮光プレート106に凸部127が形成されている。
なお、第1レンズアレイプレート104aと第2レンズアレイプレート104bは、隔壁遮光プレート105を中心として回転対照に配置され、レンズユニット102の長手方向にレンズピッチPの半周期(P/2)だけずらして配置されているため、第1レンズアレイプレート104aの凸部125aに対応する隔壁遮光プレート105の外縁部に設けられた凹部126aと、第2レンズアレイプレート104bの凸部125bに対応する隔壁遮光プレート105の外縁部に設けられた凹部126bとは、レンズユニット102の長手方向にレンズピッチPの半周期(P/2)だけずらして形成されている。
このように形成された凸部123、凹部124a、凸部125a、凹部126a、凹部126b、凸部125b、凹部124b、および凸部127を各レンズの光軸方向(各部材の積層方向)およびレンズユニット102の短手方向に係合させることにより、各部材のレンズユニット102の光軸方向および短手方向における位置が決められる。
なお、レンズユニット102の光軸方向および短手方向の最大公差が10μm程度となるように凸部123、凹部124a、凸部125a、凹部126a、凹部126b、凸部125b、凹部124b、および凸部127を形成するものとする。
また、レンズカバープレート103と第1レンズアレイプレート104aとの光軸(積層)方向は、係合部としての凸部123と凹部124aとが直接当接するようにしても良いが、レンズカバープレート103と第1レンズアレイプレート104aの外縁部が直接当接することで位置決めされることが好ましい。
その理由は、図2に示すように、レンズホルダ109の表面に露出するレンズカバープレート103と第1レンズアレイプレート104aの接触界面を極力塞ぐことができるようにするためである。
本実施例では、図8(b)に示すように、係合部としての凸部123と凹部124aとが直接当接しないようにして、レンズカバープレート103と第1レンズアレイプレート104aとの間でクリアランスc4を確保するように構成する。
一方、その他の部材である第1レンズアレイプレート104a、隔壁遮光プレート105、第2レンズアレイプレート104b、および入射遮光プレート106の光軸(積層)方向は、係合部としての凸部125aと凹部126a、凹部126bと凸部125b、凹部124bと凸部127が直接当接することで位置決めされる。したがって、第1レンズアレイプレート104a、隔壁遮光プレート105、第2レンズアレイプレート104b、および入射遮光プレート106の各部材の外縁部は直接当接せず、各部材間の積層方向にクリアランスc5が確保された積層構成となっている。
また、レンズユニット102の長手方向において、凸部123の両端部と凹部126aの両端部との間にクリアランスc1、凸部125aの両端部と凹部124aの両端部との間にクリアランスc2、凹部126bの両端部と凸部125bの両端部との間にクリアランスc2、凹部124bの両端部と凸部127の両端部との間にクリアランスc3が確保されている。
これは、周囲の温度変動または湿度変動によりレンズユニット102を構成する各部材であるレンズカバープレート103、第1レンズアレイプレート104a、隔壁遮光プレート105、第2レンズアレイプレート104b、および入射遮光プレート106の伸縮差が生じた場合であっても、各部材はレンズユニット102の長手方向に対して自由に摺動することができるようにするためである。
このように係合部を構成することにより、レンズユニット102の光軸方向の曲がりを抑制することができる。
上述したクリアランスc1、c2、c3は、少なくともレンズユニット102を構成する各部材であるレンズカバープレート103、第1レンズアレイプレート104a、隔壁遮光プレート105、第2レンズアレイプレート104b、および入射遮光プレート106の温度および吸水による線膨張係数を鑑みて決定される。
次に、レンズユニット102の長手方向における中央部の各部材の係合構成を図9に基づいて説明する。図9は第1の実施例におけるレンズユニットの中央部の係合構成の説明図であり、図9(a)は図6の領域46の拡大図であり、図9(b)は図5における領域43の拡大図である。
図9において、レンズカバープレート103、第1レンズアレイプレート104a、隔壁遮光プレート105、第2レンズアレイプレート104b、および入射遮光プレート106には、それぞれの外縁部に、隣接する部材と係合するための凸部118、凹部119a、凸部120a、凹部121a、凹部121b、凸部120b、凹部119b、凸部122が形成されている。
すなわち、レンズカバープレート103に凸部118、第1レンズアレイプレート104aに凹部119aおよび凸部120a、隔壁遮光プレート105に凹部121aおよび凹部121b、第2レンズアレイプレート104bに凸部120bおよび凹部119b、入射遮光プレート106に凸部122が形成されている。
この凸部118と凹部119a、凸部120aと凹部121a、凹部121bと凸部120b、および凹部119bと凸部122がそれぞれ係合することにより、レンズカバープレート103、第1レンズアレイプレート104a、隔壁遮光プレート105、第2レンズアレイプレート104b、および入射遮光プレート106の各部材のレンズユニット102の長手方向および短手方向の位置決めがされる。
本実施例では、図9(b)に示すように、係合部としての凸部118と凹部119aとが直接当接しないようにして、レンズカバープレート103と第1レンズアレイプレート104aとの間でクリアランスc4を確保するように構成する。
一方、その他の部材である第1レンズアレイプレート104a、隔壁遮光プレート105、第2レンズアレイプレート104b、および入射遮光プレート106の光軸(積層)方向は、係合部としての凸部125aと凹部126a、凹部126bと凸部125b、凹部124bと凸部127が直接当接することで位置決めされる。したがって、第1レンズアレイプレート104a、隔壁遮光プレート105、第2レンズアレイプレート104b、および入射遮光プレート106の各部材の外縁部は直接当接せず、各部材間の積層方向にクリアランスc5が確保された積層構成となっている。
なお、凸部118と凹部119a、凸部120aと凹部121a、凹部121bと凸部120b、および凹部119bと凸部122は、隙間なく嵌合するため、レンズユニット102の長手方向において、図8(b)で説明したクリアランスc1、c2、c3は確保されていない。
レンズユニット102の長手方向における中央部においては、その長手方向における最大公差が10μm程度となるように、凸部118、凹部119a、凸部120a、凹部121a、凹部121b、凸部120b、凹部119b、凸部122を形成するものとする。
このように、係合部としての凸部118、凹部119a、凸部120a、凹部121a、凹部121b、凸部120b、凹部119b、および凸部122を形成することにより、レンズユニット102の長手方向における中央部において、レンズユニット102の長手方向における伸縮の支点を形成する。
次に、レンズユニット102の各部材のクランプ構成を図10に基づいて説明する。図10は第1の実施例におけるレンズユニットのクランプ構成の説明図であり、図4の領域41の拡大図である。なお、レンズユニット102の各部材を挟むクランプ構成は、レンズユニット102の長手方向における中央部とそれ以外の部位で同一の構成としている。
図10において、クランプ部材114の図中上側(各部材の積層方向の上側)をレンズカバープレート103に形成された凹部としての窪み116に係合させ、またクランプ部材114の図中下側(各部材の積層方向の下側)を入射遮光プレート106に形成された凹部としての窪み117に係合させてレンズカバープレート103、第1レンズアレイプレート104a、隔壁遮光プレート105、第2レンズアレイプレート104b、および入射遮光プレート106の各部材をクランプ部材114で挟持して相互に固定する。
クランプ部材114は、レンズユニット102の長手方向の長さをL1として形成されている。
レンズユニット102の長手方向において、レンズカバープレート103に形成された窪み116の両側の内壁とクランプ部材114の両端部との間にはそれぞれクリアランスc6が確保され、また入射遮光プレート106に形成された窪み117の両側の内壁とクランプ部材114との間にはそれぞれクリアランスc7が確保されている。
なお、窪み116および窪み117は、レンズカバープレート103および入射遮光プレート106の短手方向(レンズユニット102の短手方向)における中央部に向かって窪みの深さが深くなるように傾斜した窪みとなっている。
また、クリアランスc6およびクリアランスc7のレンズユニット102の長手方向の幅は、レンズユニット102の図3に示すレンズホルダ109とクランプ部材114とを直接、接着剤115で固定する際、クランプ部材114内をレンズカバープレート103および入射遮光プレート106が自由に摺動できるように、クランプ部材114とレンズカバープレート103および入射遮光プレート106とが干渉しない幅を確保する。
そのため、クリアランスc6およびクリアランスc7は、少なくともレンズカバープレート103、入射遮光プレート106およびレンズホルダ109の温度および吸水による線膨張係数の関係を鑑みて決定するものとする。
したがって、レンズユニット102の長手方向において、窪み116の幅は、(L1+2×c6)となり、窪み117の幅は、(L1+2×c7)となる。
次に、図2に示すプリントヘッド101の部材材料について説明する。
上述したレンズカバープレート103は、アクリル樹脂を用いる。ただし、その他の部材と線膨張係数を合わせるため、ポリカーボネート等を用いることもできる。
第1レンズアレイプレート104aおよび第2レンズアレイプレート104bは、シクロオレフィンポリマー樹脂(製品名:ZEONEX(登録商標)、日本ゼオン株式会社製)を用いる。また、アクリル樹脂、ポリカーボネートまたはエポキシ樹脂を用いることもできるが、本実施例のように長尺な構造体においては、寸法安定性の観点より、吸水率の小さなシクロオレフィンポリマー樹脂を用いることが望ましい。
隔壁遮光プレート105および入射遮光プレート106は、ポリカーボネートを用いる。また、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂を用いることができるが、レンズカバープレート103、第1レンズアレイプレート104aおよび第2レンズアレイプレート104bとの線膨張係数を極力合わせることが望ましいため、ポリカーボネートを用いることが望ましい。
クランプ部材114は、バネ用ステンレス材料を用いる。
レンズホルダ109は、板金を用いる。ただし、LCP(液晶ポリマー)樹脂、アルミダイキャストとすることもできる。
プリント配線基板108は、ガラスクロスエポキシ樹脂基板をコア材として、銅箔をパターニングしたものである。
半導体発光素子107は、GaAs(ガリウムヒ素)を主材料とした発光ダイオード素子が、例えば600dpi(dots per inch)または1200dpiの略直線状に配列されたものであり、駆動回路を一体成型した素子とすることもできる。
ベースクランプ部材111は、ポリカーボネートを用いる。ただし、ナイロン等を用いることもできる。
接着剤115は、アクリル樹脂を主成分としたUV(UltraViolet)硬化性樹脂である。
封止材113は、シリコーン封止材である。
次に、本実施例のレンズユニットを備えたイメージセンサヘッドを説明する。
図12は第1の実施例におけるイメージセンサヘッドの断面図である。
図12に示すように、イメージセンサヘッド140は、図2に示すプリントヘッド101と同様に、レンズユニット102を備え、そのレンズユニット102を構成するレンズカバープレート103、第1レンズアレイプレート104a、隔壁遮光プレート105、第2レンズアレイプレート104b、および入射遮光プレート106の各部材は、クランプ部114aにおいてクランプ部材114で積層方向に挟持されて相互に固定されている。
また、プリント配線基板108には半導体受光素子149が実装されている。
半導体受光素子149は、Si基板上に作製したCOMSセンサ、またはCCDセンサが、例えば600dpi、1200dpiまたは2400dpiの略直線状に配列されたものである。
なお、図2に示すプリントヘッド101と同様な部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
上述した構成の作用について説明する。
図1に示すプリントヘッド101に用いる図2から図10に示すレンズユニット102の作用を図1から図10を参照しながら説明する。
レンズユニット102は、レンズカバープレート103、第1レンズアレイプレート104a、隔壁遮光プレート105、第2レンズアレイプレート104b、および入射遮光プレート106等の樹脂板の各部材を積層した構成であるため、各部材の熱または吸水による線膨張係数が異なった場合、それぞれの線膨張係数に伴った各部材の伸縮が生じる。
本実施例のレンズユニット102は、図4に示すように、レンズカバープレート103、第1レンズアレイプレート104a、隔壁遮光プレート105、第2レンズアレイプレート104b、および入射遮光プレート106の各部材を、クランプ部材114を用いて相互に挟持して固定している。
また、図8に示すように、レンズユニット102の長手方向における中央部以外の部位での係合部としての凸部123、凹部124a、凸部125a、凹部126a、凹部126b、凸部125b、凹部124b、および凸部127には、レンズユニット102の長手方向にレンズカバープレート103、第1レンズアレイプレート104a、隔壁遮光プレート105、第2レンズアレイプレート104b、および入射遮光プレート106の各部材を相互に自由に摺動できるようにするためのクリアランスc1、c2、およびc3が確保されている。
そのため、レンズユニット102の長手方向における中央部以外は、レンズカバープレート103、第1レンズアレイプレート104a、隔壁遮光プレート105、第2レンズアレイプレート104b、および入射遮光プレート106の各部材がレンズユニット102の光軸107a方向(図2参照)および短手方向のみ規制を受けた状態で、長手方向に自由に摺動することできる。
また、図9に示すように、レンズユニット102の長手方向における中央部は、係合部としての凸部118、凹部119a、凸部120a、凹部121a、凹部121b、凸部120b、凹部119b、および凸部122でレンズカバープレート103、第1レンズアレイプレート104a、隔壁遮光プレート105、第2レンズアレイプレート104b、および入射遮光プレート106の各部材を係合することにより、各部材がレンズユニット102の光軸107a方向(図2参照)および短手方向に規制されることに加え、レンズユニット102の長手方向にも規制され、レンズユニット102の長手方向における中央部において、レンズユニット102の長手方向における摺動(伸縮)の支点を形成することができる。
また、レンズユニット102のレンズカバープレート103、第1レンズアレイプレート104a、隔壁遮光プレート105、第2レンズアレイプレート104b、および入射遮光プレート106の各部材をレンズユニット102の長手方向における複数の部位で係合させたことにより、レンズユニット102は、周囲温度および湿度環境の変化によるレンズ光軸方向の変動を抑制することができる。
さらに、レンズユニット102をプリントヘッド101のレンズホルダ109に固着する際、クランプ部材114とレンズホルダ109を直接接着するようにしているため、クランプ部材114で挟持されたレンズカバープレート103、第1レンズアレイプレート104a、隔壁遮光プレート105、第2レンズアレイプレート104b、および入射遮光プレート106の各部材は、クランプ部材114内を自由にレンズユニット102の長手方向に摺動することができる。
そのため、クランプ部材114をレンズホルダ109に固着した状態であっても、周囲温度および湿度環境の変化により生じるレンズユニット102のレンズ光軸方向の反りを抑制することができるとともに、レンズユニット102とレンズホルダ109の破断を防ぐことができる。
また、本実施例のレンズユニット102を搭載したプリントヘッド101では、レンズカバープレート103の外郭が第1レンズアレイプレート104aの外郭よりも幅d1広く形成されているため、レンズユニット102とレンズホルダ109との間に形成されるクリアランスを封止する作業において、レンズホルダ109の上面から露出する部材であるレンズカバープレート103と第1レンズアレイプレート104aとの接合界面を確実に封止することができる。また、レンズカバープレート103の迫り出し部として幅d1が確保されるため、レンズカバープレート103の表面へ封止材113が染み出すことを抑制することができる。
さらに、第1レンズアレイプレート104aの長手方向と直交する短手方向において、第1レンズアレイプレート104aよりも幅が広いレンズカバープレート103を配置しているため、レンズユニット102への埃等の異物の侵入を防止することができるため、レンズユニット102の生産性を安定させることができる。
ここで、図1に示すプリントヘッド101を画像形成装置としてのプリンタに適用した例を説明する。
図11は第1の実施例におけるプリンタの構成を示す概略側断面図である。
図11において、画像形成装置としてのプリンタ501は、図1に示すプリントヘッド101を搭載したLEDプリンタである。
プリンタ501は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(K)の各色の画像を、電子写真方式を用いて形成する4つのプロセスユニット502、503、504、505を有している。
プロセスユニット502、503、504、505は、記録媒体506の搬送経路507に沿ってプロセスユニット502(Y)、プロセスユニット503(M)、プロセスユニット504(C)、プロセスユニット505(K)の順に配置されている。
各プロセスユニット502、503、504、505は、像担持体としての感光体ドラム508と、感光体ドラム508の周囲に配置され、感光体ドラム508の表面を帯電させる帯電装置509と、帯電された感光体ドラム508の表面に選択的に光を照射して静電潜像を形成する露光装置510とを有している。この露光装置510は、図1に示すプリントヘッド101を光源として用いている。
また、各プロセスユニット502、503、504、505は、静電潜像が形成された感光体ドラム508の表面に現像剤としてのトナーを搬送してトナー像を形成する現像装置511と、感光体ドラム508の表面に残留したトナーを除去するクリーニング装置512とを有している。
なお、感光体ドラム508は、モータ等の駆動源およびギヤ等の駆動機構により図中矢印が示す方向に回転する。
また、プリンタ501は、紙等の記録媒体506を収容する用紙カセット513と、用紙カセット513に収容された記録媒体506を1枚ずつ分離して搬送するホッピングローラ514とを有している。
ホッピングローラ514の記録媒体506搬送方向における下流には、ピンチローラ515、516と、記録媒体506を挟み付け、ピンチローラ515、516とともに記録媒体506の斜行を矯正してプロセスユニット502、503、504、505に搬送するレジストローラ517、518とが配置されている。なお、ホッピングローラ514およびレジストローラ517、518は、モータ等の駆動源に接続され、連動して回転する。
プリンタ501は、感光体ドラム508に対向配置された転写ローラ519を有している。転写ローラ519は、半導電性のゴム等により構成され、感光体ドラム508上のトナー像を記録媒体506上に転写させるように、感光体ドラム508の電位と、転写ローラ519の電位とが設定される。
また、プリンタ501は、記録媒体506に転写されたトナー像を熱と圧力で定着させる定着装置524と、トナー像が定着された記録媒体506を装置外のスタッカ525へ排出する排出ローラ520、521、522、523とを有している。
用紙カセット513に積載された記録媒体506は、ホッピングローラ514により1枚ずつ分離されて搬送される。記録媒体506は、レジストローラ517、518およびピンチローラ515、516を通過してプロセスユニット502、503、504、505の順に通過する。各プロセスユニット502、503、504、505において、記録媒体506は感光体ドラム508と転写ローラ519との間を通過して各色のトナー像が順に転写され、定着装置524によって加熱および加圧されて各色のトナー像が記録媒体506に定着される。その後、記録媒体506は、排出ローラ520、521、522、523によってスタッカ525に排出される。
次に、図12に示すイメージセンサヘッド140を画像読取装置としてのイメージスキャナに適用した例を説明する。
図13は第1の実施例におけるイメージスキャナの構成を示す斜視図である。
図13において、イメージスキャナ401は、筐体402と、筐体402の上面に設けられ、読み取る原稿を載置する原稿台409と、原稿を原稿台409との間で挟むための蓋410とを有している。
筐体402の内部には、図12に示すイメージセンサヘッド140を有するコンタクトイメージセンサヘッド403が配設されている。コンタクトイメージセンサヘッド403は、筐体402に固定された2本のガイド404に支持されて取り付けられている。
このコンタクトイメージセンサヘッド403をガイド404に沿って副走査方向に摺動させるため、コンタクトイメージセンサヘッド403はステッピングモータ405に連結された駆動ベルト406に連結されている。
また、コンタクトイメージセンサヘッド403には、コンタクトイメージセンサヘッド403を制御する制御回路408がフレキシブルフラットケーブル407を介して接続されている。
以上説明したように、第1の実施例では、第1レンズアレイプレートの短手方向において、第1レンズアレイプレートよりも幅が広いレンズカバープレートを配置するようにしたことにより、レンズユニットへの埃等の異物の侵入を防止することができるため、レンズユニットの生産性を安定させることができるという効果が得られる。
また、レンズカバープレートの外郭が第1レンズアレイプレートの外郭よりも広く形成されているため、レンズユニットとレンズホルダとの間に形成されるクリアランスを封止する作業において、レンズホルダの上面から露出する部材の接合界面を確実に封止することができるという効果が得られる。
さらに、レンズカバープレートの迫り出し部を形成したことにより、レンズユニットの表面へ封止材が染み出すことを抑制することができるという効果が得られる。
図14は第2の実施例におけるプリントヘッドの説明図であり、図14(a)はプリントヘッド201の平面図、図14(b)は図14(a)におけるX−X矢視断面図、図14(c)は図14(b)における領域47の拡大図である。
図15は第2の実施例におけるレンズユニットの斜視図であり、図15(a)はレンズユニット202全体の斜視図、図15(b)は図15(a)における領域48の拡大図である。
なお、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図14および図15において、プリントヘッド201のレンズユニット202は、第1の実施例の図2に示すレンズユニット102と同様に、半導体発光素子107の光軸107a方向における半導体発光素子107の反対側(図中上側)から順に、レンズカバープレート203、第1レンズアレイプレート204a、隔壁遮光プレート205、第2レンズアレイプレート204b、および入射遮光プレート206の各部材が積層され、構成されている。
なお、レンズカバープレート203、第1レンズアレイプレート204a、隔壁遮光プレート205、第2レンズアレイプレート204b、および入射遮光プレート206は、図2に示す第1の実施例のレンズカバープレート103、第1レンズアレイプレート104a、隔壁遮光プレート105、第2レンズアレイプレート104b、および入射遮光プレート106に相当する。また、以下に説明するクランプ部材214は図3に示す第1の実施例のクランプ部材114、レンズホルダ209および封止材213は図2に示す第1の実施例のレンズホルダ109および封止材113に相当する。
図15に示すように、レンズユニット202は、長手方向において少なくとも中央部を含んだ複数の個所であって、レンズユニット202の短手方向における両側にクランプ部材214を取り付けた構成となっている。
また、レンズカバープレート203の外郭は、第1の実施例と同様に、第1レンズアレイプレート204aの外郭よりも幅d1広く形成されている。
本実施例のレンズユニット202では、クランプ部材214が取り付けられている個所以外において隔壁遮光プレート205の外郭が第1レンズアレイプレート204aの外郭よりも幅d2広く形成されている。なお、幅d2は、図14に示すレンズホルダ209の対向する面部209bの間の開口部209aにレンズユニット202を長手方向に挿入する際、隔壁遮光プレート205の短手方向の外郭が面部209bと干渉しない幅に設定されている。
図14に示すように、例えばレンズユニット202の第1レンズアレイプレート204aとレンズホルダ209の開口部209aとの間に形成されるクリアランスc21を0.2mmとし、幅d1を0.3mm、幅d2を0.1mmとすることができる。
プリントヘッド201に用いられるレンズユニット202は、第1の実施例と同様に、レンズホルダ209に固着される。本実施例も第1の実施例と同様に、レンズユニット202の第1レンズアレイプレート204aとレンズホルダ209との間に封止材213を充填することにより、レンズユニット202とレンズホルダ209との間に形成されるクリアランスを封止すると同時に、レンズカバープレート203と第1レンズアレイプレート204aとの積層界面を封止している。
さらに、封止材213は、第1レンズアレイプレート204aと隔壁遮光プレート205との外郭差により形成される幅d2の迫り出し部205aで堰き止められ、迫り出し部205aよりも下方への染み出しが抑制される。
このように、本実施例では、隔壁遮光プレート205は、第1レンズアレイプレート204aの長手方向と直交する短手方向において、第1レンズアレイプレート204aよりも幅が広く形成され、それぞれの面部209bが第1レンズアレイプレート204aと隔壁遮光プレート205との間に配置され、その面部209bと第1レンズアレイプレート204aおよび隔壁遮光プレート205との間が封止材213で封止されている。
なお、本実施例によるレンズユニット202およびプリントヘッド201は、第1の実施例で説明したレンズユニットおよびプリントヘッドと同様の部材料で構成することができる。
上述した構成の作用について説明する。
図14に示すプリントヘッド201に用いるレンズユニット202の作用を図14および図15を参照しながら説明する。
本実施例のレンズユニット202は、第1レンズアレイプレート204aと隔壁遮光プレート205との外郭差により形成された幅d2の迫り出し部205aにより、第1レンズアレイプレート204aとレンズホルダ209との間に充填された封止材213が迫り出し部205aよりも下方へ垂れ込むことを防ぎ、効率良くレンズユニット202とレンズホルダ209との間に形成されるクリアランスを封止するとともに、レンズカバープレート203と第1レンズアレイプレート204aとの積層界面を封止する。
なお、本実施例でも第1の実施例と同様に、プリントヘッド201を画像形成装置に適用することができ、またレンズユニット202を用いてイメージセンサヘッドを構成することができ、さらにイメージセンサヘッドを画像読取装置に適用することができる。
以上説明したように、第2の実施例では、第1の実施例の効果に加え、第1レンズアレイプレートと隔壁遮光プレートとの外郭差により迫り出し部を形成するようにしたことにより、封止材が迫り出し部よりも下方へ染み出すことを抑制することができるという効果が得られる。
図16は第3の実施例におけるプリントヘッドの説明図である。図16(a)はプリントヘッドの斜視図、図16(b)はプリントヘッドの平面図、図16(c)はプリントヘッドの長手方向の中央部(図16(a)に示す領域50)におけるレンズユニットとホルダの固着部の拡大図である。
図17は第3の実施例におけるプリントヘッドの断面図であり、図16におけるX−X矢視断面図である。
図18は第3の実施例におけるレンズユニットの斜視図である。
本実施例のプリントヘッド301およびレンズユニット302を図16、図17および図18を用いて説明する。
図16および図17に示すプリントヘッド301では、レンズユニット302とレンズホルダ309との固着構造をわかりやすく説明するため、レンズユニット302とレンズホルダ309との間のシリコーン封止材を省略した構造を示しているが、レンズユニット302とレンズホルダ309との間に生じる空隙部からプリントヘッド301の内部への異物進入を防ぐため、シリコーン封止材をレンズユニット302とレンズホルダ309との間に配設するようにしても良い。
図16に示すように、プリントヘッド301は、レンズユニット302がレンズホルダ309に対して接着剤313を用いて固着(保持)されて構成されている。
図17に示すように、レンズユニット302は、レンズカバープレート303、第1レンズアレイプレート304a、隔壁遮光プレート305、第2レンズアレイプレート304b、および入射遮光プレート306を有している。
なお、レンズカバープレート303、第1レンズアレイプレート304a、隔壁遮光プレート305、第2レンズアレイプレート304b、および入射遮光プレート306は、図2に示す第1の実施例のレンズカバープレート103、第1レンズアレイプレート104a、隔壁遮光プレート105、第2レンズアレイプレート104b、および入射遮光プレート106に相当する。
レンズユニット302は、図18に示すように、レンズカバープレート303、第1レンズアレイプレート304a、隔壁遮光プレート305、第2レンズアレイプレート304b、および入射遮光プレート306の各部材を積層し、複数のクランプ部材314で挟持され、保持固定されている。また、レンズユニット302は、長手方向における略中央部で積層された各部材が、相互に固着するための接着剤316で固着されている。
本実施例の固定部材としてのクランプ部材314は、第1レンズアレイプレート304aをレンズカバープレート303に固定する。
このようにユニット化されたレンズユニット302は、図16および図17に示すように、レンズホルダ309に対して接着剤313により固着されている。
なお、図16(a)に示すように、プリントヘッド301の長手方向における両端部の丸孔308aおよび長孔308bは、プリンタ側に設けられた突起部と嵌合してプリントヘッド301の位置決めを行うための孔である。
また、プリントヘッド301の長手方向における両端部近傍には当接部が設けられている。このプリントヘッド301の当接部は、プリンタ側に形成された当接部と当接することにより、図17に示すレンズ光軸107a方向における感光ドラムの潜像面508aと、第1レンズアレイプレート304aの上面極値点との距離Liが設計された光学距離となるように位置決めされる。
なお、プリントヘッド301の当接部に、偏心カム機構を設けることにより、距離Liが光学設計距離となるように調整することができる機構を設けることもできる。
レンズユニット302は、図17に示すように、レンズホルダ309に対して、レンズホルダ309上面におけるスリット部309aにおいて、クランプ部材314を介して接着剤313を接着させて固着される。
レンズユニット302のレンズホルダ309に対する固着高さは、図17に示すように、プリント配線基板108上の長手方向に列状に配列された半導体発光素子107の表面と、レンズユニット302における第2レンズアレイプレート304bの下面極値点との距離Loが設計された光学距離となるように調整される。
ここで、レンズユニット302を説明する。
レンズユニット302は、感光ドラムの潜像面508a側から積層されるレンズカバープレート303と、第1レンズアレイプレート304aと、隔壁遮光プレート305と、第2レンズアレイプレート304bと、入射遮光プレート306とを有している。
保護部材としてのレンズカバープレート303は、第1レンズアレイプレート304aと積層して配置され、第1レンズアレイプレート304aを覆うものであり、レンズユニット302を保護するものである。レンズカバープレート303は、第1レンズアレイプレート304aの長手方向と直交する短手方向において、第1レンズアレイプレート304aよりも幅が広く形成されている。
レンズ部材としての第1レンズアレイプレート304aおよび第2レンズアレイプレート304bは、長手方向にレンズとしての複数のマイクロレンズが列状に配置された板状のものである。第1レンズアレイプレート304aおよび第2レンズアレイプレート304bは、各マイクロレンズの光軸が合うように配置され、その組み合わせにより半導体発光素子107の像を、感光ドラムの潜像面508aにおいて正立等倍像を形成するものである。
遮光部材としての隔壁遮光プレート305は、第1レンズアレイプレート304aを挟んでレンズカバープレート303の反対側に設けられたものである。また、隔壁遮光プレート305は、第1レンズアレイプレート304aと第2レンズアレイプレート304bとの間に配置され、各マイクロレンズの光軸に合わせて絞りとしての開口部が形成された板状のものである。この隔壁遮光プレート305は、第2レンズアレイプレート304bから第1レンズアレイプレート304aの方向へ出射された光線における迷光成分を遮光し、かつ第1レンズアレイプレート304aと第2レンズアレイプレート304bとの間の間隔を確保するものである。
入射遮光プレート306は、半導体発光素子107から第2レンズアレイプレート304bへ入射される迷光成分を遮光するものである。
レンズカバープレート303、第1レンズアレイプレート304a、隔壁遮光プレート305、第2レンズアレイプレート304b、および入射遮光プレート306の各部材間は、クランプ部材314により挟持されて相互に固定されている。
半導体発光素子107を実装したプリント配線基板108は、レンズユニット302における第2レンズアレイプレート304bの下面極値点との距離Loが設計された光学距離となるように、図17に示す基板当接部310とプリント配線基板108の表面とを当接させることで位置決めされる。
プリント配線基板108は、図17に示すベースクランプ部材111をレンズホルダ309の側面に設けられたクランプ孔に係合させることにより、レンズホルダ309側に設けた基板当接部310と挟持されて固定される。
次に、レンズユニット302の積層構成を図18から図24を用いて説明する。
まず、図18は第3の実施例におけるレンズユニットの斜視図である。
図18に示すレンズユニット302の長手方向における中央部では、接着剤316によってレンズユニット302の各構成部材が相互に固着され、レンズユニット302の長手方向における複数個所においてはクランプ部材314によってレンズユニット302の各構成部材が積層された状態で挟持されている。
図19は第3の実施例におけるレンズユニットの積層構造の説明図、図20は第3の実施例におけるレンズユニットの積層構造の拡大図(図19における領域51の拡大図)であり、レンズユニット302の各構成部材を積層する前の状態を示している。
図19および図20において、レンズユニット302は、構成部材として上から順にレンズカバープレート303、第1レンズアレイプレート304a、隔壁遮光プレート305、第2レンズアレイプレート304b、および入射遮光プレート306が積層され、構成されている。
第1レンズアレイプレート304aと第2レンズアレイプレート304bとは、同一型により射出成型されたものが望ましく、隔壁遮光プレート305の長手方向を回転軸として回転対称となるように相互に配置され、各レンズの光軸を合わせるようにしている。
図20は第3の実施例におけるレンズユニットの積層構造の拡大図であり、図19におけるレンズユニット302の長手方向の中央部の領域51を拡大した図である。図21は第3の実施例におけるレンズユニットの積層状態の拡大図であり、図20に示すレンズユニットの各部材を積層した状態を示す図である。
図20および図21において、図19に示すレンズユニット302の長手方向の中央部近傍には、レンズカバープレート303の外周縁部と、隔壁遮光プレート305および入射遮光プレート306における絞りが配置されたアパーチャ領域の外周縁部と、さらには第1レンズアレイプレート304aおよび第2レンズアレイプレート304bにおけるレンズアレイが配置された領域の外周縁部とにおいて、各部材の長手方向を規制して位置決めする係合部としての溝323aと、係合部としての凹部325a、325b、326a、326bと、係合部としての凸部3241a、3241b、3242a、3242bと、が形成されている。
この溝323aおよび凹部325a、325b、326aと、凸部3241a、3241b、3242a、3242bとは、図21に示すように、それぞれ嵌合されると、各部材が相互に係合され長手方向に、例えば最大公差が10μm程度となるように高精度に位置決めすることができる。
溝323aはレンズカバープレート303の外周縁部に、凹部325a、325bは隔壁遮光プレート305の外周縁部に、凹部326a、326bは入射遮光プレート306の外周縁部に、凸部3241a、3241bは第1レンズアレイプレート304aの外周縁部に、凸部3242a、3242bは第2レンズアレイプレート304bの外周縁部に形成されている。
図22は第3の実施例におけるレンズユニットの積層構造の拡大図であり、図19におけるレンズユニット302の長手方向の中央部以外の領域52を拡大した図である。図23は第3の実施例におけるレンズユニットの積層状態の拡大図であり、図22に示すレンズユニットの各部材を積層した状態を示す図である。
図22および図23において、図19に示すレンズユニット302の長手方向の中央部以外の複数個所には、レンズカバープレート303の外周縁部と、隔壁遮光プレート305および入射遮光プレート306における絞りが配置されたアパーチャ領域の外周縁部と、さらには第1レンズアレイプレート304aおよび第2レンズアレイプレート304bにおけるレンズアレイが配置された領域の外周縁部とにおいて、各部材の短手方向および光軸方向を規制して位置決めする係合部としての凸部323b、323c、325c、325d、325e、325f、326c、326dと、係合部としての凹部3241c、3241d、3242c、3242dとが形成されている。
この凸部323b、323c、325c、325d、325e、325f、326c、326dと、凹部3241c、3241d、3242c、3242dとは、図23に示すように、それぞれ嵌合されると、各部材が相互に係合され、短手方向および光軸方向に、例えば最大公差が10μm程度となるように高精度に嵌合および積層される。
凸部323b、323cはレンズカバープレート303の外周縁部に、凸部325c、325d、325e、325fは隔壁遮光プレート305の外周縁部に、凸部326c、326dは入射遮光プレート306の外周縁部に、凹部3241c、3241dは第1レンズアレイプレート304aの外周縁部に、凹部3242c、3242dは第2レンズアレイプレート304bの外周縁部に形成されている。
また、レンズカバープレート303、第1レンズアレイプレート304a、隔壁遮光プレート305、第2レンズアレイプレート304b、および入射遮光プレート306のリブの側面には、各部材を積層した後、図21に示す接着剤336によって各部材間を接着固定できるように、各部材の側面において積層方向に延び、接着剤336が装填される図20に示す凹部323j、3241e、325g、3242e、326eが形成されている。
図24は第3の実施例におけるレンズユニットのクランプ構造の説明図であり、図23に示すレンズユニットの各部材をクランプ部材で挟持して固定した状態を示す図である。
図19に示すレンズユニット302の長手方向における中央部以外の複数の部位は、プリントヘッド301(図16参照)の周囲の温度や湿度環境によって、レンズカバープレート303、第1レンズアレイプレート304a、隔壁遮光プレート305、第2レンズアレイプレート304b、および入射遮光プレート306の各材料における線膨張係数に依存した伸縮が発生することを考慮し、本実施例では、各部材を接着剤により相互に固定するのではなく、各部材を係合部で相互に係合させ、各部材の長手方向と直交する短手方向およびレンズの光軸方向を規制するとともに、レンズユニット302の長手方向に自由に摺動できるようにしている。
図23に示すように、各部材の外周縁部上に係合部としての摺動凸部323b、323c、325c、325d、325e、325f、326c、326dと、係合部としての摺動凹部3241c、3241d、3242c、3242dとが形成されている。
摺動凹部3241c、3241d、3242c、3242dは、摺動凸部323b、323c、325c、325d、325e、325f、326c、326dと対応するように形成されている。
また、摺動凸部323b、323c、325c、325d、325e、325f、326c、326dと、摺動凹部3241c、3241d、3242c、3242dとが嵌合した状態で各部材がレンズユニット302の長手方向にのみ自由に摺動できるようにするため、摺動凹部3241c、3241d、3242c、3242dのレンズユニット302の長手方向の寸法は、摺動凸部323b、323c、325c、325d、325e、325f、326c、326dのレンズユニット302の長手方向の寸法より摺動可能な距離だけ長くなるように形成されている。
このように、本実施例では、レンズユニット302の長手方向に複数配置された摺動凸部323b、323c、325c、325d、325e、325f、326c、326dと、摺動凹部3241c、3241d、3242c、3242dとにより嵌合構造330を形成し、それぞれのレンズの光軸が合うように、積層されたレンズユニット302の各部材を相互に係合させる。
図24に示すように、クランプ部材314を、図23に示す嵌合構造330を覆うように、レンズカバープレート303の外縁部に形成された凹部323dと、入射遮光プレート306の外縁部に形成された凹部326fとに嵌合させて取り付ける。クランプ部材314は、レンズユニットの長手方向において少なくとも1つの嵌合構造330に対応する位置に配置され、積層されたすべての部材を短手方向の両端部で挟むようにしている。
クランプ部材314と係合し、接触する係合部としての凹部323d、326fは、クランプ部材314の抜けを防止するため、レンズユニット302の短手方向の中央に向かって窪み量が大きくなるようなテーパー状に形成されている。
また、レンズユニット302の長手方向において、クランプ部材314の端部と、凹部323d、326fの端部との間には、クリアランスc8が設けられるように、クランプ部材314の両端部および凹部323d、326fの両端部が形成され、クランプ部材314が嵌め込まれる。
このように、クランプ部材314と凹部323d、326fを形成するのは、使用するプリントヘッド301(図16参照)の周囲の温度や湿度環境によって、レンズユニット302が長手方向に伸縮した際、レンズホルダ309との線膨張係数差により生じた変位量を吸収するためであり、クランプ部材314と、レンズカバープレート303、第1レンズアレイプレート304a、隔壁遮光プレート305、第2レンズアレイプレート304b、および入射遮光プレート306の各部材との間で自由に摺動できるようにしている。
なお、クリアランスc8は、図17に示すレンズユニット302を構成するレンズカバープレート303、隔壁遮光プレート305、および入射遮光プレート306と、レンズホルダ309との温度および吸水による線膨張係数を鑑みて決定される。
ここで、レンズカバープレート303に形成された凹部323dの構成を図25、図26および図27に基づいて説明する。
図25は第3の実施例におけるレンズカバープレートの凹部の斜視図、図26および図27は第3の実施例におけるレンズカバープレートの凹部の断面図である。図26は図25におけるE―E矢視断面図、図27は図25におけるF―F矢視断面図である。
図25、図26および図27において、レンズカバープレート303の短手方向の幅W1は、第1レンズアレイプレート304a、隔壁遮光プレート305、第2レンズアレイプレート304b、および入射遮光プレート306の短手方向の幅W2よりも大きく形成されている。
凹部323dは、レンズカバープレート303の短手方向における両端部に形成され、積層されたレンズカバープレート303、第1レンズアレイプレート304a、隔壁遮光プレート305、第2レンズアレイプレート304b、および入射遮光プレート306の各部材を挟持するクランプ部材314が係合される。
それぞれの凹部323dの長手方向における両端部には、クランプ部材314の先端部314aが当接する傾斜部323eがそれぞれ形成されている。
この傾斜部323eは、図26に示すように、レンズカバープレート303の短手方向の中央部が各部材の積層方向において高くなるように形成され、凹部323dに挿入されるクランプ部材314の先端部314aを案内する。
また、レンズカバープレート303の短手方向において傾斜部323eより中央部側が窪むテーパー部323gが形成されている。このテーパー部323gは、傾斜部323eに連続するように形成され、傾斜部323eで案内されたクランプ部材314の先端部314aが凹部323dから抜けないように保持する。
このように、本実施例では、係合部としての凹部323dは、レンズカバープレート303の短手方向における中央部に向かって凸状に傾斜する第1の傾斜部としての傾斜部323eと、傾斜部323eより短手方向における中央部に向かって凹状に傾斜する第2の傾斜部としてのテーパー部323gとを有している。
図25に示すように、レンズカバープレート303の長手方向における2つの傾斜部323eの間には、幅W3が保持された切り欠き部323fが形成されており、その幅W3は嵌合するクランプ部材314の2つの切り欠き部314c間の幅W4より広く形成されている。
また、レンズカバープレート303の短手方向におけるそれぞれの切り欠き部323fの深さは、図27に示すように、レンズカバープレート303、第1レンズアレイプレート304a、隔壁遮光プレート305、第2レンズアレイプレート304b、および入射遮光プレート306の各部材の短手方向における側面が同一面を形成するように深さW3aとして形成されている。
このように、本実施例では、傾斜部323eは、レンズカバープレート303の長手方向におけるクランプ部材314の一端側および他端側(レンズカバープレート303の長手方向における一端側および他端側)に形成された先端当接部としての先端部314aと当接する2つの傾斜部として形成され、その2つの傾斜部間に切り欠き部323fが形成されている。
また、テーパー部323gは、レンズカバープレート303の長手方向において連続するように形成されており、傾斜部323eが切り欠けられている領域(切り欠き部323fに対応する領域)においてもクランプ部材314と当接している。
なお、本実施例では、レンズカバープレート303の短手方向の幅W1を、第1レンズアレイプレート304a、隔壁遮光プレート305、第2レンズアレイプレート304b、および入射遮光プレート306の短手方向の幅W2よりも大きく形成するようにしたが、入射遮光プレート306の短手方向の幅をレンズカバープレート303、第1レンズアレイプレート304a、隔壁遮光プレート305、および第2レンズアレイプレート304bの短手方向の幅よりも大きく形成するようにしても良い。すなわち、凹部323dを形成するレンズユニット302の最上層または最下層の部材の短手方向の幅を、他の部材の短手方向の幅よりも大きく設定するようにすれば良い。
次に、クランプ部材の構成を図28の第3の実施例におけるクランプ部材の説明図に基づいて説明する。
図28において、クランプ部材314は、レンズカバープレート303の凹部323d(図23参照)と係合する先端部314aと、凹部326f(図23参照)と係合する先端部314bとを有している。
クランプ部材314の先端部314aと先端部314bとの間の開口幅h1は、図27に示す積層された各部材としてのレンズカバープレート303、第1レンズアレイプレート304a、隔壁遮光プレート305、第2レンズアレイプレート304b、および入射遮光プレート306の幅(高さ)h2よりも狭くなるように設定されている。
したがって、レンズユニット302の積層された各部材にクランプ部材314の先端部314aと先端部314bとを嵌め込むことにより、クランプ部材314の先端部314aと先端部314bは撓み、その先端部314aと先端部314bとにより積層された各部材を挟むことにより、各部材が保持固定される。
また、クランプ材314の図中上下方向(図27に示す各部材の積層方向)における両端部に、先端部314aと連続する2つの切り欠き部314cおよび先端部314bと連続する2つの切り欠き部314cが形成されている。
クランプ材314の先端部314aと連続する2つの切り欠き部314c間には、図25に示す切り欠き部323fに対応して幅W4を保持した幅狭部314dが形成されている。
なお、本実施例では、切り欠き部314cをクランプ材314の図中上下方向における両端部に形成するようにしたが、どちらか一方の端部に形成するようにしても良い。
また、本実施例によるレンズユニット302およびプリントヘッド301は、第1の実施例で説明したレンズユニットおよびプリントヘッドと同様の部材料で構成することができる。
上述した構成の作用について説明する。
図16および図17に示すプリントヘッド301に用いるレンズユニット302の作用を図29〜図32を参照しながら説明する。
図29は第3の実施例におけるクランプ部材をレンズユニットに嵌め込む動作の説明図であり、図29(b)は図29(a)における領域52の拡大図である。図30は第3の実施例におけるレンズユニットおよびクランプ部材の断面図であり、図29(a)におけるG−G矢視断面図である。
図31は第3の実施例におけるクランプ部材をレンズユニットに嵌め込み後の説明図であり、図31(b)は図31(a)における領域53の拡大図である。図32は第3の実施例におけるレンズユニットおよびクランプ部材の断面図であり、図31(a)におけるH−H矢視断面図である。
図29および図30に示すように、まず、各部材が積層されたレンズユニット302の最下層に配置される入射遮光プレート306に形成された凹部306dにクランプ部材314の一方(下方)の先端部314bを当接させ、凹部306dに当接した先端部314bの稜線部を回転支点としてクランプ部材314をレンズユニット302の短手方向における中央部側に向かって回動させる。
クランプ部材314を回動させると、クランプ部材314の他方(上方)に形成された先端部314aが、レンズカバープレート303に形成された傾斜部323eに当接する。
さらに、クランプ部材314がレンズユニット302の短手方向における中央部側に向かって押し込まれると、クランプ部材314が撓み、クランプ部材314の先端部314aが傾斜部323eに沿って案内され、先端部314aは傾斜部323eの頂部を通り過ぎ、さらにテーパー部323gを通り過ぎると、図32に示すように、クランプ部材314の先端部314aは凹部323dの最下部323hに到達する。
傾斜部323eは、レンズカバープレート303および第1レンズアレイプレート304aの積層方向において先端部314aを開く方向に変形させ、またテーパー部323gは、先端部314aを引き込み、レンズカバープレート303の短手方向における中央部に向けて案内する。
クランプ部材314の先端部314aが凹部323dの最下部323hに到達すると、切り欠き部323fと幅狭部314dとが対応し、クランプ部材314がレンズユニット302の第1レンズアレイプレート304a、隔壁遮光プレート305、第2レンズアレイプレート304b、および入射遮光プレート306の各部材を挟持する位置に配置され、各部材の短手方向における端面は面一となり、クランプ部材314の面部314eと対向する。
図31および図32に示すように、クランプ部材314の先端部314aが凹部323dの最下部323hに到達すると、積層されたレンズユニット302の各部材は、クランプ部材314に挟持され、その力により積層状態が保持されて固定される。
また、クランプ部材314の先端部314aが凹部323dの最下部323hに到達すると、クランプ部材314に形成された切り欠き部314cが、レンズカバープレート303に形成された傾斜部323eを避け、クランプ部材314の先端部314aがレンズカバープレート303の凹部323d内に収まる。
各部材がクランプ部材314に挟持されて保持固定されたレンズユニット302は、図17に示すように、レンズホルダ309に対して、レンズホルダ309上面におけるスリット部309aにおいて、クランプ部材314を介して接着剤313を接着させて固着される。
このように、本実施例では、複数の部材が積層されたレンズユニット302の最下層または最上層のいずれか一方の部材の短手方向における幅を他の部材の短手方向における幅よりも大きくした部位に、クランプ部材314を嵌め込む際にクランプ部材314の先端部314aが当接する傾斜部323eを形成したことにより、嵌め込まれるクランプ部材314の先端部314aを傾斜部323eで案内するとともに、クランプ部材314を撓ませることができる。
したがって、レンズユニット302の各部材を容易にクランプ部材314で挟持することができ、レンズユニット302を容易に組み立てることができるようになる。さらに、レンズユニット302の組み立て工数を削減することができることから安価な露光装置としてのプリントヘッド301を提供することができる。
また、レンズユニット302の最下層または最上層のいずれか一方の部材に形成された2つの傾斜部323eの間に、クランプ部材314の幅(図28に示す幅狭部314dの幅W4)より大きい幅(図25に示す幅W3)の切り欠き部323fを形成し、レンズユニット302の短手方向における切り欠き部323fの深さを、レンズカバープレート303、第1レンズアレイプレート304a、隔壁遮光プレート305、第2レンズアレイプレート304b、および入射遮光プレート306の各部材が同一面を形成するように設定したことにより、レンズユニット302を挿入するレンズホルダ309の開口幅を狭くすることができ、プリントヘッド301の小型化が図れる。
さらに、クランプ部材314の上下端の一部に切り欠き部314cを形成するようにしたことにより、レンズユニット302の長手方向のクランプ部材314の幅を十分に確保することができ、積層されたレンズユニット302の各部材を十分な力で挟持し、保持固定することができる。したがって、レンズユニット302の温湿度等の環境変動、経時変動の影響を受け難くすることができる。
また、第1の実施例と同様に、第1レンズアレイプレート304aの長手方向と直交する短手方向において、第1レンズアレイプレート304aよりも幅が広いレンズカバープレート303を配置しているため、レンズユニット302への埃等の異物の侵入を防止することができるため、レンズユニット302の生産性を安定させることができる。
なお、本実施例でも第1の実施例と同様に、プリントヘッド301を画像形成装置に適用することができ、またレンズユニット302を用いてイメージセンサヘッドを構成することができ、さらにイメージセンサヘッドを画像読取装置に適用することができる。
以上説明したように、第3の実施例では、第1レンズアレイプレートの短手方向において、第1レンズアレイプレートよりも幅が広いレンズカバープレートを配置するようにしたことにより、レンズユニットへの埃等の異物の侵入を防止することができ、レンズユニットの生産性を安定させることができるという効果が得られる。
また、レンズユニットに嵌め込まれるクランプ部材の先端部を傾斜部で案内するとともに、クランプ部材を撓ませることができ、したがってレンズユニットの各部材を容易にクランプ部材で挟持することができ、レンズユニットを容易に組み立てることができるという効果が得られる。
さらに、レンズユニットを挿入するレンズホルダの開口幅を狭くすることができ、プリントヘッドの小型化が図れるという効果が得られる。
また、積層されたレンズユニットの各部材を十分な力で挟持し、保持固定することができ、レンズユニットの温湿度等の環境変動、経時変動の影響を受け難くすることができるという効果が得られる。
なお、第1の実施例から第3の実施例では、画像形成装置をプリンタとして説明したが、それに限られるものでなく、複写機、ファクシミリ装置、複合機(MFP)等としても良い。
また、画像形成装置を直接転写方式のプリンタとして説明したが、それに限られるものでなく、中間転写体を有する中間転写方式のプリンタ、複写機、ファクシミリ装置、複合機(MFP)等としても良い。
さらに、画像読取装置をイメージスキャナとして説明したが、それに限られるものでなく、複写機、ファクシミリ装置、複合機(MFP)等としても良い。
また、積層されたレンズユニットを挟持するクランプ部材をバネ用ステンレス材料で形成した例で説明したが、射出成型により成形されたプラスチック材料で形成するようにしても良い。