JP2018049019A - デバイス、デバイス製造方法、粒径測定方法、耐性観察方法、化学的反応方法、粒子保存方法、及び自動観察装置 - Google Patents

デバイス、デバイス製造方法、粒径測定方法、耐性観察方法、化学的反応方法、粒子保存方法、及び自動観察装置 Download PDF

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Abstract

【課題】粒径の測定にバラツキが生じ難いデバイスを提供する。
【解決手段】デバイスは、第1部材と、第1部材と共に間隙を形成する第2部材とを備える。ある実施形態のデバイス1において、第2部材3には、傾斜面5aを有する流路が形成されており、傾斜面5aが第1部材2側を向くように第2部材3が第1部材2に重ねられることにより、流路を含む間隙6が形成される。他の実施形態のデバイス70は、間隙73の一端側の高さを規定する第1高さ調整部材74と、間隙73の他端側の高さを一端側の高さよりも低く規定する第2高さ調整部材75とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、観察装置、その観察装置に使用することが可能なデバイス、そのデバイスの製造方法、そのデバイスを用いて粒径を測定する方法、そのデバイスを用いて粒子の耐性を観察する方法、そのデバイスを用いて粒子を化学的に反応させる方法、そのデバイスを用いて粒子を保存する方法、及び、そのデバイスを用いて粒子を観察するための自動観察装置に関する。
微粒子の粒径を測定する方法として、動的光散乱法や顕微鏡観察法が知られている。動的光散乱法は、ナノスケールの粒径の測定に使用される。動的光散乱法は、レーザー光の照射により得られる散乱光強度のデータの解析を行うことで、粒径を測定する方法である。データの解析は、粒度が正規分布していることを前提に行われる。しかし、現実の粒度分布が正規分布しているか否かは不明である。顕微鏡観察法は、1粒子ごとに画像解析を行うことで粒径を測定する方法である。しかし、顕微鏡観察法は、解析に手間がかかる。
以上のような問題を解決すべく、光の干渉現象を利用した粒径の測定方法が開発された(非特許文献1参照)。非特許文献1には、微粒子の粒径測定に用いる粒径測定用デバイスが記載されている。粒径測定用デバイスは、2枚のガラス板を有している。2枚のガラス板はそれぞれの一端が張り合わされ、2枚のガラス板の間に楔形の間隙が形成される。2枚のガラス板の間の距離は、2枚のガラス板のそれぞれの一端が張り合わされた位置から遠い位置ほど、大きくなる。粒径測定用デバイスに光が照射されると、干渉現象により明線と暗線とが繰り返す干渉縞が生じる。この干渉縞の暗線の本数を観測することで、2枚のガラス板の間の距離が得られる。粒径測定時には、粒径測定の対象である微粒子が楔形の間隙中に送入される。送入された微粒子は、その大きさに応じた間隙の部位にトラップされる。その微粒子の停止位置を測定することで、粒径を求めることができる。
Makoto Kawano、他2名、「Nano-Gap Magnetophoresis with Raman Spectroscopic Detection」、ANALYTICAL SCIENCES、2010年11月、第26巻、p.1211−1213頁
本発明者らは、粒径を測定する方法について鋭意研究し、粒径をより正確に測定可能な新たな手法を開発した。
本発明の目的は、粒径をより正確に測定し得る観察装置と、その観察装置で使用し得るデバイスとを提供することである。また本発明の他の目的は、そのデバイスを用いて粒径を測定する粒径測定方法、そのデバイスを用いて粒子の耐性を観察する耐性観察方法、そのデバイスを用いて粒子を化学的に反応させる化学的反応方法、そのデバイスを用いて粒子を保存する粒子保存方法、及びそのデバイスを用いて粒子を観察するための自動観察装置を提供することである。
本発明による観察装置は、デバイスが有する間隙に存在する測定対象物の像を得ることが可能な観察用光学系を備える。前記間隙は、一端側が他端側よりも広く、前記デバイスに光が照射されると前記間隙において干渉縞が生じる。前記観察用光学系は、前記間隙に対し、異なる波長を有する複数の光を照射して、前記間隙に複数の干渉縞を発生させ、前記複数の干渉縞の像を得る機能を有する。
本発明によるデバイスは、上記の観察装置に用いられる。当該デバイスは、第1部材と、前記第1部材と共に前記間隙を形成する第2部材とを備える。
ある実施形態において、前記第2部材には、傾斜面を有する流路が形成されている。前記傾斜面が前記第1部材側を向くように前記第2部材が前記第1部材に重ねられることにより、前記流路を含む前記間隙が形成される。
ある実施形態において、デバイスは、前記間隙の前記一端側の高さを規定する第1高さ調整部材と、前記間隙の前記他端側の高さを前記一端側の高さよりも低く規定する第2高さ調整部材とを更に備える。
ある実施形態において、前記間隙は、前記他端側においてnmオーダーの高さを有する。
ある実施形態において、前記間隙を構成する面の少なくとも一部は表面改質されている。
ある実施形態において、デバイスは、前記間隙の前記他端側の外方に設けられた液体吸収性物質を更に備える。
本発明による第1のデバイス製造方法は、次の工程を含む。被加工部材の一端の高さをピエゾ素子により調整して、前記被加工部材を傾ける工程。前記傾いた被加工部材に対して工具を水平に移動させて前記被加工部材を切削することにより、前記流路を形成する切削工程を、少なくも1回実施して、前記第2部材を作製する工程。
本発明による第2のデバイス製造方法は、次の工程を含む。液体吐出領域に被加工材を位置させる工程。前記被加工材に液体を吐出して前記第1高さ調整部材及び前記第2高さ調整部材の少なくとも一方を形成する工程。
ある実施形態において、デバイス製造方法は、前記第1部材及び前記第2部材のうち少なくとも前記間隙を構成する部分を洗浄する工程を更に含む。
本発明による粒径測定方法は、上記のデバイスを用いて粒子の粒径を測定する方法であって、次の工程を含む。前記粒子を前記一端側から前記間隙に送入して、前記他端側へ向けて前記粒子を移動させ、前記間隙で前記粒子をトラップする工程。前記間隙により生じる干渉縞に基づいて、前記トラップされた粒子の粒径を測定する工程。
本発明による耐性観察方法は、上記のデバイスを用いて粒子の耐性を観察する方法であって、次の工程を含む。前記粒子を前記一端側から前記間隙に送入して、前記他端側へ向けて前記粒子を移動させる工程。前記間隙に存在する前記粒子に物理的ストレスを付加するか、あるいは、所定の反応性流体を前記一端側から前記間隙に注入する工程。
本発明による化学的反応方法は、上記のデバイスを用いて粒子を化学的に反応させる方法であって、次の工程を含む。前記粒子を前記一端側から前記間隙に送入して、前記他端側へ向けて前記粒子を移動させる工程。所定の反応性流体を前記一端側から前記間隙に注入する工程。
本発明による粒子保存方法は、上記のデバイスを用いて粒子を保存する方法であって、次の工程を含む。前記粒子を前記一端側から前記間隙に送入して、前記他端側へ前記粒子を移動させる工程。前記間隙の前記一端側及び前記他端側を塞ぐ工程。
本発明による自動観察装置は、自動インジェクタと、観察用光学系と、搬送機構とを備える。前記自動インジェクタは、所定の溶液注入位置に対応して配置される。また、前記自動インジェクタは、上記のデバイスが有する前記間隙に、粒子と溶媒とを含有する溶液を注入する。前記観察用光学系は、所定の観察位置に対応して配置される。前記搬送機構は、前記間隙が前記溶液注入位置で停止するように前記デバイスを搬送した後、前記間隙が前記観察位置で停止するように前記デバイスを搬送する。
本発明の観察装置によれば、粒径の測定精度が向上する。本発明のデバイスによれば、複数の干渉縞を発生させ得る間隙を形成できる。本発明のデバイス製造方法によれば、複数の干渉縞を発生させ得る間隙を有するデバイスを製造できる。本発明の粒径測定方法によれば、粒子の粒径測定を実現できる。本発明の耐性観察方法によれば、物理的ストレスに対する粒子の耐性や、所定の反応性流体に対する粒子の耐性を検証できる。本発明の化学的反応方法によれば、所定の反応性流体に対する粒子の化学的な反応を検証できる。本発明の粒子保存方法によれば、デバイス内で粒子を保存することができる。本発明の自動観察装置によれば、粒子の観察を自動化できる。
本発明の第1実施形態に係るデバイスの一例を模式的に示す上面図である。 本発明の第1実施形態に係るデバイスの一例を模式的に示す断面図である。 本発明の第1実施形態に係るデバイスの一例を模式的に示す正面図である。 (a)は本発明の第1実施形態に係る板状部材の傾き調整工程を示す模式図であり、(b)は本発明の第1実施形態に係る板状部材の切削工程を示す模式図である。 (a)は本発明の第1実施形態に係る溶液準備工程を示す模式図であり、(b)は本発明の第1実施形態に係る溶液注入工程を模式的に示す断面図であり、(c)は本発明の第1実施形態に係るデバイスによってトラップされた微粒子を模式的に示す断面図であり、(d)は本発明の第1実施形態に係るデバイスによってトラップされた微粒子を模式的に示す上面図である。 本発明の第1実施形態に係る粒径測定工程を示す模式図である。 本発明の第1実施形態に係る粒径測定方法の原理を示す模式図である。 本発明の第1実施形態に係るデバイスに照射された光の反射を模式的に示す側面図である。 本発明の第1実施形態に係る粒径測定装置の構成を示す模式図である。 本発明の第1実施形態に係るデバイスにより標準ポリスチレン粒子をトラップした結果を示す図面に代わる写真である。 本発明の第1実施形態に係る粒径補正方法の原理を示す模式図である。 (a)〜(c)は、本発明の第1実施形態に係るデバイスを用いて標準ポリスチレン粒子のテトラヒドロフラン耐性を試験した結果を示す図面に代わる写真である。 本発明の第1実施形態に係るデバイスを用いて保存されたインクトナー粒子を示す図面に代わる写真である。 (a)〜(e)本発明の第2実施形態に係るデバイスを用いて標準ポリスチレン粒子の表面電荷を評価した結果を示す図面に代わる写真である。 本発明の第3実施形態に係るデバイスの一例を模式的に示す上面図である。 本発明の第3実施形態に係るデバイスの一例を模式的に示す断面図である。 本発明の第4実施形態に係るデバイスの一例を模式的に示す断面図である。 本発明の第4実施形態に係るデバイスの他例1を模式的に示す断面図である。 本発明の第4実施形態に係るデバイスの他例2を模式的に示す断面図である。 本発明の第4実施形態に係るデバイスの他例3を模式的に示す断面図である。 本発明の第5実施形態に係るデバイスの一例を模式的に示す断面図である。 本発明の第5実施形態に係るデバイスの他例1を模式的に示す断面図である。 本発明の第5実施形態に係るデバイスの他例2を模式的に示す断面図である。 本発明の第5実施形態に係るデバイスの他例3を模式的に示す断面図である。 本発明の第6実施形態に係るデバイスの一例を模式的に示す上面図である。 本発明の第6実施形態に係るデバイスの他例1を模式的に示す上面図である。 本発明の第6実施形態に係るデバイスの他例2を模式的に示す上面図である。 本発明の第6実施形態に係るデバイスの他例3を模式的に示す上面図である。 本発明の第7実施形態に係るデバイスの一例を模式的に示す上面図である。 本発明の第8実施形態に係る2種類の干渉縞を示す図面に代わる写真である。 本発明の第8実施形態に係る粒径測定装置の構成の一例を示す模式図である。 本発明の第8実施形態に係る他のデバイスの概念図である。 本発明の第8実施形態に係る更に他のデバイスの概念図である。 本発明の第8実施形態に係る更に他のデバイスの概念図である。 本発明の第9実施形態に係るデバイスの一例を模式的に示す上面図である。 本発明の第9実施形態に係るデバイスの一例を模式的に示す断面図である。 本発明の第9実施形態に係るデバイスの一例を模式的に示す背面図である。 本発明の第9実施形態に係るデバイスの他例を模式的に示す上面図である。 本発明の第10実施形態に係る固定方法の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の第10実施形態に係る固定方法の一例を模式的に示す背面図である。 本発明の第11実施形態に係る固定方法の一例を模式的に示す背面図である。 本発明の第12実施形態に係る自動観察装置の構成の概略を示す模式図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されない。図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、以下の実施形態で示す各構成要素の材質や形状、寸法等は、一例であって特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るデバイス1の一例を模式的に示す上面図であり、図2は、本発明の第1実施形態に係るデバイス1の一例を模式的に示す断面図であり、図3は、本発明の第1実施形態に係るデバイス1の一例を模式的に示す正面図である。図1〜図3を参照してデバイス1を説明する。デバイス1は、第1部材の一例である第1板状部材2と、第2部材の一例である第2板状部材3とを備えている。
第1板状部材2は、平面である主面4を有している。第2板状部材3は、第1板状部材2の主面4に対向する面に、溝5を有している。溝5の底面は、傾斜面5aである。第2板状部材3の表面のうち、第1板状部材2の主面4に接する部分は平面である。第2板状部材3は、傾斜面5aが第1板状部材2の主面4側を向くように第1板状部材2に重ねられて固定されている。
デバイス1は、傾斜面5aと第1板状部材2との間に楔形の間隙6を有している。間隙6の一端6a及び他端6bは開口しており、間隙6は、一端6aから他端6bにわたって連続的に狭くなる。第1実施形態では、傾斜面5aが傾斜する方向に対して溝5の両端が開口しており、間隙6の一端6a及び他端6bの開口は、溝5の両端の開口からなる。
デバイス1が所定の光で照射されると、間隙6により干渉縞が生じる。第1板状部材2及び第2板状部材3の材料には、このように干渉縞を生じさせることが可能な材料が選択される。例えば、第1板状部材2及び第2板状部材3の材料として、ガラス板又はプラスチック板が使用できる。プラスチック板の材料には、例えばアクリル樹脂が使用できる。なお、第1板状部材2の材料と第2板状部材3の材料とは同一でなくてもよい。また、間隙6により干渉縞が生じればよいことから、間隙6に対応する領域に対してのみ、干渉縞を生じさせることが可能な材料が使用されてもよい。また、第1板状部材2及び第2板状部材3のうちの一方の側から所定の光が照射されたときに、干渉縞を生じさせることが可能な材料が使用されてもよい。第1実施形態では、第2板状部材3側から所定の光が照射されたときに、干渉縞が生じればよい。
デバイス1の間隙6は、液体又は気体などの流体の流路として使用され得る。第1実施形態では、傾斜面5aが傾斜する方向に対し、第1板状部材2が第2板状部材3よりも長く、第1板状部材2の主面4のうち、間隙6の一端6aの外側の部分が、溶液導入部7として使用される。溶液導入部7に、微粒子と溶媒とを含有する溶液が滴下されると、溶媒が、毛細管現象によって間隙6内へ吸い込まれる。デバイス1は、溶媒が毛細管現象で間隙6内に吸い込まれる力を駆動力として、間隙6の狭い側(他端6b側)へ微粒子を移動させる。このように、間隙6の一端6a側の開口から、微粒子と溶媒とを含有する溶液が間隙6へ注入されることで、微粒子の大きさに応じた間隙6の部位で微粒子がトラップされる。
デバイス1を平面視したときの間隙6の長さL1及び幅W(図1参照)は、特に限定されるものではないが、顕微鏡によって間隙6全体が一度に観察可能な大きさとすることが好適である。間隙6の長さL1及び幅Wをこのような大きさにすれば、間隙6内の全ての微粒子を一度に観察することが可能となる。例えば、20倍対物レンズが取り付けられた顕微鏡を用いて間隙6を撮像する場合、間隙6の長さL1及び幅Wをいずれも1mm以内にすれば、画面を左右に振ることなく、間隙6全体を1画面で捉えることが可能となる。
間隙6の一端6a側の開口(流路の入口)の高さh1、及び間隙6の他端6b側の開口(流路の出口)の高さh2(図2及び図3を参照)は、間隙6においてトラップする対象の微粒子の大きさに応じた高さとする。例えば、間隙6の一端6a側の開口高さh1は50nm、間隙6の他端6b側の開口高さh2は10nmである。
次に、図4(a)及び図4(b)を参照して、デバイス1の製造方法の一例を説明する。詳しくは、本発明の第1実施形態に係る第2板状部材3の作製方法の一例を説明する。図4(a)は、板状部材(被加工部材の一例)3aの傾き調整工程を示し、図4(b)は板状部材3aの切削工程を示している。
第2板状部材3を作製する際には、まず、第2板状部材3の材料となる板状部材3aを用意する。そして、図4(a)に示すように、板状部材3aの一方端を支持台41で支持する一方で、板状部材3aの他方端を駆動素子42で支持する。駆動素子42は支持台41上に載置されて、板状部材3aの主面の他方端を持ち上げている。これにより、板状部材3aは、一定の傾斜角度θを付けられた状態で静置される。この後、図4(b)に示すように、傾いた板状部材3aに対して工具43を水平に移動させて板状部材3aを切削する。これにより、一定の傾斜角度θが付けられた傾斜面5aを有する第2板状部材3が作製される。
作製された第2板状部材3は、第1板状部材2となる板状部材に接着等によって固定される。これにより、楔型の間隙6を有するデバイス1が完成する。例えば、切削深さを10nmにすれば、間隙6の他端6b側の開口(流路の出口)の高さh2は10nmとなる。間隙6の一端6a側の開口(流路の入口)の高さh1は、板状部材3aの長さL2と傾斜角度θとによって規定される。
第2板状部材3を作製する際には、予め高さが調整された段差を用意し、工具43で板状部材3aを直線的に削る。これにより、溝5の傾斜面5aに一定の傾斜角度θを付けることができる。駆動素子42には、ナノメートルオーダーで微調可能なピエゾ素子等を使用できる。工具43には、ナノメートルオーダーで微調可能な精密加工機の刃物等を使用できる。例えば、精密加工機のステージ上に、ピエゾ素子によって一定の傾斜角度θを付けて板状部材3aを静置し、精密加工機の刃物が真直ぐに板状部材3aに当たるように、ステージ及び刃物を位置決めする。この後、板状部材3aに刃物で直線的に溝を掘ることにより、第2板状部材3を作製することができる。
第1板状部材2への第2板状部材3の接着には、接着剤を使用することができる。又は、第1板状部材2及び第2板状部材3がアクリル樹脂等の樹脂からなる場合は、第1板状部材2と第2板状部材3とを重ねた状態で加熱して熱圧着(溶着)させてもよい。
以上、第1実施形態に係るデバイス1の製造方法について説明した。この製造方法によれば、所定の長さL2を有する板状部材3aの傾斜角度θを制御できるので、傾斜面5aの傾斜角度θ、即ち楔型の間隙6の角度を制御できる。
また、駆動素子42として、ナノメートルオーダーで微調可能なピエゾ素子等を使用することにより、溝5の深さ(間隙6の高さ)をナノメートルオーダーで制御することが可能となる。これにより、ナノメートルオーダー(例えば数十nm〜数百nm)の粒径を有する微粒子を、例えば粒径測定の対象とすることが可能となる。
なお、第2板状部材3は金型によって作製してもよい。型締めされた金型の内面において、第2板状部材3のうちの溝5が形成される面に対応する部分は、溝5に対応する凸部を有する。金型の内部に、例えば樹脂を充填することにより、第2板状部材3を製造することができる。金型を用いて第2板状部材3を作製することで、デバイス1の大量生産が容易となる。
また、デバイス1の製造方法は、間隙6を構成する面(流路を構成する面)の洗浄を行う工程を含み得る。例えば、間隙6を構成する面を、超純水のような液体により洗浄する。又は、間隙6を構成する面に、窒素ガスのようなガスを吹き付ける。又は、間隙6を構成する面に付着している異物を、静電気により除去する。洗浄は、第1板状部材2に第2板状部材3を固定する前段階において、第1板状部材2及び第2板状部材3のそれぞれに対して実施され得る。又は、洗浄は、第1板状部材2に第2板状部材3が固定された後に実施され得る。なお、間隙6を構成する面を超純水によって洗浄することにより、間隙6を構成する面に水分子を均一に吸着させて、間隙6を構成する面の組成を均一化することができる。したがって、間隙6を構成する面を超純水によって洗浄することにより、間隙6を構成する面の洗浄と共に、間隙6を構成する面の組成の均一化を図ることができる。
また、デバイス1の製造方法は、間隙6を構成する面の組成を均一化する工程を含み得る。例えば、間隙6を構成する面に紫外線を照射する。又は、間隙6を構成する面を、加熱によって乾燥させる。間隙6を構成する面の組成を均一化する工程は、第1板状部材2に第2板状部材3を固定する前段階において、第1板状部材2及び第2板状部材3のそれぞれに対して実施され得る。又は、間隙6を構成する面の組成を均一化する工程は、第1板状部材2に第2板状部材3が固定された後に実施され得る。なお、間隙6を構成する面がガラスからなる場合には、間隙6を構成する面に熱を加えることにより、間隙6を構成する面を活性化させる(改質する)ことができる。
また、デバイス1の製造方法は、間隙6を構成する面を改質する工程を含み得る。例えば、間隙6を構成する面に紫外線を照射して活性化させる。又は、間隙6を構成する面の材質が、未処理ガラスのような親水性を有する材質であって、粒子が水に馴染みにくい場合には、界面活性剤のような薬剤を用いて、間隙6を構成する面を疎水性にしてもよい。間隙6を構成する面を疎水性にすることで、粒子が間隙6(流路)に入り易くなる。間隙6を構成する面を改質する工程は、第1板状部材2に第2板状部材3を固定する前段階において、第1板状部材2及び第2板状部材3のそれぞれに対して実施され得る。又は、間隙6を構成する面を改質する工程は、第1板状部材2に第2板状部材3が固定された後に実施され得る。なお、間隙6を構成する面に紫外線を照射することにより、間隙6を構成する面に付着している有機物のような異物を分解することができる。したがって、間隙6を構成する面を洗浄する前に、間隙6を構成する面に紫外線を照射することで、間隙6を構成する面から有機物のような異物を除去することが容易となる。
また、間隙6を構成する面が樹脂からなる場合には、デバイス1の製造方法は、間隙6を構成する面をガラスコーティングする工程を含み得る。上記した洗浄工程、均一化工程、及び改質工程は、間隙6を構成する面をガラスコーティングした後に実施する。
次に、図5(a)〜図5(d)、及び図6〜図8を参照して、デバイス1を用いた微粒子の粒径測定方法の一例を説明する。図5(a)〜図5(d)、及び図6は、本発明の第1実施形態に係る粒径測定方法を模式的に示している。粒径測定方法は、デバイス1を用意する工程と、微粒子51と溶媒52とを含有する溶液50を準備する工程と、溶液50を注入する工程と、粒径を測定する工程とによって実行される。
デバイス1を用意する工程においては、図1〜図3を参照して説明したデバイス1を用意する。
図5(a)は、溶液50を準備する溶液準備工程を示す模式図である。図5(a)に示すように、この工程においては、微粒子51と溶媒52とを含む溶液50を準備する。具体的には、溶媒52と測定対象である微粒子51とを準備し、微粒子51を溶媒52に加えることで溶液50を作製する。正確な粒径が得られるように、微粒子51を溶媒52に均一に分散させることが好ましい。
第1実施形態では、粒径が異なる2種類の微粒子51を夫々複数粒用いるが、本発明はこれに限定されない。微粒子51は、1種類のみ又は2種類以上であってもよく、1粒のみ又は複数粒であってもよい。微粒子51は、例えば高分子、金属、非金属、生体微粒子(例えば、細胞、エクソソームのようなベシクル、DNA、タンパク質、ウィルス)である。しかしながら、本発明はこれに限定されない。液体又は気体などの媒介によりデバイス1の間隙6内に搬送可能な微粒子51であれば、測定対象として適用できる。気体を用いて間隙6内に微粒子51を送入する場合、例えば、間隙6の一端6a側の開口(流路の入口)から間隙6の内部へ、微粒子51を含む気体を吹きつけることにより、間隙6内で微粒子51をトラップしてもよい。あるいは、気体により間隙6の内部へ微粒子51を送入した後、間隙6の他端6b側を下方に向けた状態でデバイス1に衝撃を与えて微粒子51を移動させることにより、間隙6内で微粒子51をトラップしてもよい。
溶媒52は、例えば水、有機溶媒(例えばエタノール、ベンゼン)であり得る。しかしながら、本発明はこれに限定されない。溶媒52は、測定する微粒子51に応じて適切に選択し得る。
図5(b)は、溶液50を注入する溶液注入工程を模式的に示す断面図である。図5(b)に示すように、この工程においては、溶液50をデバイス1の間隙6に注入する。具体的には、第1板状部材2の溶液導入部7に溶液50を垂らし、間隙6の一端6a側の開口(流路の入口)から間隙6(流路)内へ、溶液50を流れ込ませる。
図5(c)は、トラップされた微粒子51を模式的に示す断面図であり、図5(d)は、トラップされた微粒子51を模式的に示す上面図である。溶液50が間隙6(流路)内へ流れ込むと、溶液50に含まれる微粒子51が間隙6の他端6b側(流路の出口側)へ移動する。そして、図5(c)及び図5(d)に示すように、微粒子51の大きさに応じた間隙6の部位に、微粒子51がトラップされる。具体的には、溶液注入工程において第1板状部材2の溶液導入部7に溶液50が垂らされると、溶媒52が、間隙6の毛細管現象により、間隙6の他端6b側(流路の出口側)へ吸い込まれる。そして、溶媒52が吸い込まれる力を駆動力として、溶液50に含まれる微粒子51が、間隙6の他端6b側(流路の出口側)へ移動し、微粒子51の大きさに応じた間隙6の部位に、微粒子51がトラップされる。
図6は、微粒子51の粒径を測定する測定工程を示す模式図である。測定工程においては、図6に示すように、間隙6により生じる干渉縞60に基づいて、トラップした微粒子51の粒径を測定する。具体的に説明すると、測定工程においては、間隙6の高さhと、間隙6の他端6bからの距離(横方向距離)Lとの関係、及び微粒子51がトラップされた位置に基づいて、微粒子51の粒径を測定する。
図7は、粒径測定方法の原理を示す模式図であり、図8は、デバイス1に照射された光の反射を模式的に示す側面図である。第1板状部材2と第2板状部材3との間に楔形の間隙6が存在するため、デバイス1を単一波長の光で照射すると、図7に示すように、明線と暗線とが繰り返す干渉縞60が生じる。これは、図8に示すように、第2板状部材3の傾斜面5aと第1板状部材2の主面4とが非常に近接していて、第2板状部材3の傾斜面5aで反射して戻ってくる光81と、第1板状部材2の主面4で反射して戻ってくる光82との間に光路長差が生じるためである。更に、間隙6は連続的に狭くなる楔形を有していることから、干渉縞60は、複数の明線又は複数の暗線が等間隔であるように形成される。複数の明線の間隔又は複数の暗線の間隔は、光の波長によって決まる。観察される明線と暗線との関係は、次式で表される。
暗線条件:h=m(λ/2n)・・・(1)
明線条件:2h=(λ/2n)(2m+1)・・・(2)
上記式(1)、式(2)中、hは間隙6の高さを表し、mは整数を表し(m=0,1,2,3…)、λは単一波長の光の波長を表し、nは干渉縞60発生時に間隙6内部を満たす媒体の屈折率を表す。例えば、間隙6内部が水で満たされている場合、nは1.333である。
第1実施形態に係る粒径測定方法は、暗線に基づいて微粒子51の粒径を測定する。波長λ、屈折率nが既知である場合、式(1)によれば、m本目の暗線が生じた位置の間隙6の高さhを算出することができる。したがって、干渉縞60の暗線の本数を観測すれば、間隙6の高さhと、間隙6の他端6bからの距離(横方向距離)Lとの関係式(一次関数)が得られる。このため、間隙6内の微粒子51を観察して、微粒子51がトラップされた位置を求めることにより、間隙6の高さhと横方向距離Lとの関係式と、観察により求めた微粒子51の位置とに基づいて、微粒子51の粒径として、微粒子51がトラップされた位置の間隙6の高さhを算出することができる。なお、干渉縞60を発生させて間隙6の高さhと横方向距離Lとの関係式を得る工程は、微粒子51の送入前に実行されてもよいし、微粒子51の送入後に実行されてもよい。
以上、第1実施形態に係る粒径測定方法について説明した。この粒径測定方法では、デバイス1内部の楔型の空間(間隙6)の高さhを測定することで、微粒子51の粒径を求める。具体的には、干渉縞60の暗線の本数を観測して、間隙6の高さhと横方向距離Lとの関係式(一次関数)を得る。そして、この関係式に基づき、微粒子51の粒径として、微粒子51が停止した位置の間隙6の高さhを算出する。デバイス1によれば、粒径が10nm〜100μm程度の範囲内の微粒子51の粒径測定を行い得る。粒径51が長軸及び短軸を有する場合、微粒子51は、流体中で抵抗の少ない短軸でトラップされる。したがって、この場合、測定される粒径は、微粒子51の短軸径である。なお、角度θ及び長さL1の少なくとも一方が互いに異なる複数種類のデバイス1を用いれば、粒径が互いに異なる様々な微粒子51を、粒径測定の対象とすることができる。
第1実施形態によれば、楔形の間隙6の角度θを規定することが可能となり、複数のデバイス1間で間隙6の高さhにバラツキが生じ難い。したがって、デバイス1のロットブレを抑制することができる。例えば、2枚のガラス板を備え、一方のガラス板に他方のガラス板が斜めに重畳された粒径測定用デバイスでは、2枚のガラス板間の角度、即ち楔形の間隙の角度を規定することが難しく、複数のデバイス間で、2枚のガラス板間の距離(楔形の間隙の高さ)に大きなバラツキが生じ易い。このことは、複数のデバイス間で、粒径の測定にバラツキが生じる原因となる。これに対し、第1実施形態によれば、楔形の間隙6の角度を規定することが可能となる。よって、複数のデバイス1間で、粒径の測定にバラツキが生じ難い。なお、間隙6の角度θが大きい程、より小さい領域で、粒径の測定範囲を広げることが可能となる。一方、間隙6の角度θが小さい程、粒径分解能を向上させることができる。
また、一般的な粒径測定法として、動的光散乱法や顕微鏡観察法などが知られているが、顕微鏡観察法以外の一般的な粒径測定法では、統計的に微粒子の個数を推定できるに過ぎず、顕微鏡観察法では、統計的に有意な微粒子の個数をカウントすることが難しい。これに対して、第1実施形態によれば、間隙6内に搬送された微粒子51の個数を簡単にカウントすることが可能となる。例えば、臨床検査では細胞数を正確にカウントすることが診断上重要となることがある。デバイス1は、臨床検査など、微粒子の個数を正確にカウントすることが求められる分野に有用である。
次に、図9を参照して、粒径を測定する装置構成の一例を説明する。図9は、本発明の第1実施形態に係る粒径測定装置100(観察装置の一例)の構成を示す模式図である。粒径測定装置100は、観察用光学系101と分析部102とを備えている。
観察用光学系101は、光源103とフィルター104とミラー105と対物レンズ106とカメラ107とを備える。光源103は、図6及び図7に示すようにデバイス1において干渉縞60を生じさせるための光を発生する。光源103は、単一波長の光を発生するものであってもよく、単一波長ではない光を発生するものであってもよい。好ましくは、光源103は単一波長の光を発生するレーザー発生器である。
光源103から発生した光は、フィルター104によって単一波長の光に変換される。光源103が単一波長の光を発生する場合、フィルター104は省略され得る。単一波長の光に変換された光は、ミラー105において反射され、対物レンズ106を通してデバイス1に照射される。そして、デバイス1からの反射光が、対物レンズ106とミラー105とを通して、カメラ107により画像として記録される。
分析部102は、観察用光学系101での観察結果に基づいて微粒子51の粒径を分析する。例えば、分析部102は、カメラ107が記録した画像を分析するコンピューターである。コンピューターによれば、画像から干渉縞60の暗線の本数や微粒子51がトラップした位置など必要な情報を分析し、微粒子51の粒径を算出することができる。また、間隙6内の微粒子51の個数をカウントすることができる。
なお、分析部102は、カメラ107が記録した画像を解析して、微粒子51の高さ方向に垂直な方向の情報(微粒子51の粒子面積などの2次元情報)を取得する機能を有していてもよい。分析部102によれば、画像を解析して、微粒子51の高さ方向の情報(微粒子51の面積径又は一次元径など)を取得することができるので、2次元情報を取得することにより、微粒子51の形状を評価することができる。すなわち、画像を解析することで、微粒子51の高さ方向の情報(粒径)、及び微粒子51の2次元情報(粒子面積など)を取得する。そして、この高さ方向の情報と2次元情報とに基づいて、微粒子51の形状を評価することができる。これにより、微粒子51の球形度(真球度)の測定や、形状ごとの粒度分布の測定、凝集体の検出などが可能となる。
以上のように、デバイス1によれば、楔型の間隙6(流路)に微粒子51をその粒径に応じた位置でトラップすることができる。そして、干渉縞60に基づいて正確な粒径を測定することができる。一例として、標準ポリスチレン粒子の粒径を測定した。標準ポリスチレン粒子は、既知の粒径を有するポリスチレン粒子である。図10に、撮像された画像を示す。また、以下の表1に測定結果を示す。表1の左欄は、測定対象の標準ポリスチレン粒子の粒径の規格値を示し、表1の右欄は測定値を示す。測定の結果、粒径の規格値と測定値とは近い値となった。
次に、図11を参照して、粒径補正方法について説明する。図11は、本発明の第1実施形態に係る粒径補正方法の原理を示す模式図である。上述した粒径測定方法では、微粒子51がトラップされた位置での間隙6の高さhを微粒子51の粒径として求めた。しかしながら、微粒子51がトラップした位置での間隙6の高さhは、図11に示すように、微粒子51の実際の直径dよりもわずかに大きい。このため、微粒子51の直径dを求めるには、補正が必要となる。微粒子51の直径dは、次式で表される。
d=2h/((1/cosθ)+1)・・・(3)
式(3)中、θは、楔型の間隙6の角度(傾斜面5aの傾斜角度)であり、干渉縞60の隣接する暗線間の距離ΔLを用いて、次式により算出される。
tanθ=λ/(2nΔL)・・・(4)
干渉縞60の隣接する暗線間の距離ΔLは、干渉縞60の画像を分析することによって得られる。式(3)及び式(4)により、微粒子51の直径dと間隙6の高さhとの関係は、次式により補正できる。
d=2((1/ΔL)(λ/2n)L+h2)/((1/cosθ)+1)・・・(5)
式(5)中、λは干渉縞60を生じさせる光の波長を表し、nは干渉縞60発生時に間隙6内部を満たす媒体の屈折率を表し、Lは微粒子51がトラップした位置(横方向距離)を表し、ΔLは干渉縞60の隣接する暗線間の距離を表し、θは楔型の間隙6の角度(傾斜面5aの傾斜角度)を表し、h2は間隙6の最小高さ、即ち間隙6の他端6bの開口高さを表す。
式(5)によれば、直径dを算出するために必要なパラメータは、波長λ、屈折率n、横方向距離L、隣接する暗線間の距離ΔL、間隙6の最小高さh2、及び傾斜面5aの傾斜角度θである。これらのうち、波長λ、及び屈折率nは既知であるため、横方向距離L、隣接する暗線間の距離ΔL、及び間隙6の最小高さh2を求めれば、式(5)により直径dが得られる。なお、傾斜面5aの傾斜角度θは、式(4)により求めることができる。また、間隙6の最小高さh2は、間隙6の高さhと横方向距離Lとの関係式(一次関数)から得ることができる。
図9を参照して説明した粒径測定装置100を用いて粒径測定を行う場合、分析部102によってカメラ107で記録した画像を分析することで、横方向距離L、隣接する暗線間の距離ΔL、及び間隙6の最小高さh2を求めて、直径dを算出することができる。
なお、傾斜面5aの傾斜角度θ、間隙6の最小高さh2は、第2板状部材3の作製時に板状部材3aを傾斜させた角度、及び切削深さから求めてもよい。但し、板状部材3aを傾斜させた角度、及び切削深さは、支持台41の位置精度、駆動素子42の駆動の精度、及び切削による工具43の摩耗等の影響を受ける。例えば、駆動素子42としてピエゾ素子を使用した場合、ピエゾ素子の駆動の精度は、電圧に依存するため、電源の精度の影響を受ける。よって、板状部材3aを傾斜させた角度、及び切削深さをパラメータとして使用する場合でも、これらのパラメータは、干渉縞60を用いて校正することが望ましい。
デバイス1は、構成が簡単であって容易に製造でき、単位コストが低いため、使い捨てが可能である。このことから、デバイス1は、臨床検査など、使い回しが好ましくない環境での粒径の測定に好適である。また、デバイス1を用いた粒径測定方法では、複雑な解析式や補正式を用いず、干渉縞60及び微粒子51を観測することで粒径を算出するため、簡単で再現性の高い測定結果を得ることができる。
また、デバイス1によれば、微粒子51を間隙6内にトラップして粒径の測定を行い得るが、デバイス1の用途はこれに限定されない。デバイス1は、微粒子51を間隙6内にトラップした後、微粒子51を観察したり、所定の反応液を間隙6内に流して微粒子51と反応させたりするなど他の用途にも使用し得る。例えば、抗原を修飾した微粒子51と所定の反応液とを反応させる用途にデバイス1を使用する場合、抗原を修飾した微粒子51を間隙6内にトラップした後、抗体を含む溶液を間隙6内に流すことで、抗原を持った微粒子51だけを反応させることができる。以下、デバイス1を他の用途に使用する例を説明する。
デバイス1は、微粒子51の耐性を観察する用途に使用できる。具体的には、まず、デバイス1の間隙6に対し、間隙6の一端6a側の開口から微粒子51を送入して、間隙6の他端6b側へ微粒子51を移動させ、間隙6で微粒子51をトラップする。続いて、トラップされた微粒子51に対して、光、熱などの物理的ストレスを付与する。これにより、微粒子51の物理的ストレスに対する耐性を検証できる。あるいは、微粒子51のトラップ後、間隙6の一端6a側の開口から所定の反応性流体を注入する。反応性流体は、例えば、反応液又は反応性ガスである。これにより、所定の反応性流体に対する微粒子51の耐性を検証できる。なお、好適には、所定の反応性流体を導入する前に、間隙6内を乾燥させる。
一例として、標準ポリスチレン粒子のテトラヒドロフラン耐性を試験した。この試験では、標準ポリスチレン粒子を間隙6内でトラップした後、間隙6内を乾燥させた。続いて、50%テトラヒドロフラン水溶液(腐食液)を間隙6内に導入し、この後、間隙6の出入り口(間隙6の一端6a側の開口及び他端6b側の開口)を塞いで、標準ポリスチレン粒子が腐食していく様子を観察した。図12に、撮像された画像を示す。
図12(a)は、50%テトラヒドロフラン水溶液が間隙6内へ導入される前の画像を示す。図12(b)は、50%テトラヒドロフラン水溶液が間隙6内へ導入されてから2分経過後の画像を示す。図12(c)は、50%テトラヒドロフラン水溶液が間隙6内へ導入されてから10分経過後の画像を示す。図12(a)〜図12(c)から、ポリスチレン粒子は、テトラヒドロフラン水溶液によって溶かされることがわかる。つまり、ポリスチレン粒子は、テトラヒドロフラン水溶液に対して耐性が無いことがわかる。
このように、微粒子51がトラップされた間隙6内に所定の反応性流体を導入することにより、所定の反応性流体に対して微粒子51が耐性を有するか否かがわかる。すなわち、所定の反応性流体に対して微粒子51が耐性を有する場合、微粒子51は、間隙6内に所定の反応性流体が導入された後も、間隙6内にそのまま残存する。一方、微粒子51が、所定の反応性流体に対する耐性を有していない場合、微粒子51は、間隙6内に所定の反応性流体が導入された後、間隙6内で消滅するか、あるいは少なくとも小さくなる。又は、微粒子51が小さくなることで、微粒子51がトラップされる位置が変わる場合には、そのことによっても微粒子51の耐性を検証することができる。
なお、微粒子51の耐性試験は、粒径測定後に行われてもよい。一方、微粒子51の耐性を検証することにのみデバイス1を用いる場合は、微粒子51は間隙6にトラップされていなくてもよい。例えば、微粒子51は、間隙6を構成する面に吸着されていてもよい。
間隙6内の微粒子51は、顕微鏡によって観察することができる。あるいは、間隙6内の微粒子は、対物レンズとカメラとを含む観察用光学系によって撮像されてもよい。
また、デバイス1は、微粒子51を化学的に反応させる用途にも使用できる。具体的には、まず、デバイス1の間隙6に対し、間隙6の一端6a側の開口から微粒子51を送入して、間隙6の他端6b側へ微粒子51を移動させ、間隙6で微粒子51をトラップする。続いて、間隙6の一端6a側の開口から所定の反応性流体を注入する。反応性流体は、例えば、反応液又は反応性ガスである。これにより、所定の反応性流体に対する微粒子51の化学的な反応を検証できる。なお、好適には、所定の反応性流体を導入する前に、間隙6内を乾燥させる。
以上、デバイス1を用いた化学的反応方法を説明した。この化学的反応方法によれば、微粒子51を所定の反応性流体に反応させて粒度分布の変化を観察するなど、微粒子51と所定の反応性流体との反応を観察する様々な用途に応用できる。更に、微粒子51がトラップされた間隙6内に所定の反応液を導入することで、微粒子51に化学修飾を施すことも可能である。また、微粒子51がトラップされた間隙6内に所定の反応液を導入することで、微粒子51を染色することができる。したがって、間隙6にトラップされた微粒子51の中から特定の微粒子51を検出することができる。
よって、この化学的反応方法によれば、微粒子の品質管理に役立つ情報を取得することができる。更に、1粒子ごとにその変化を観察することにより、微粒子51の組成均一性を評価することもできる。なお、微粒子51を化学的に反応させる処理は、粒径測定後に行われてもよい。一方、微粒子51を化学的に反応させることにのみデバイス1を用いる場合は、微粒子51は間隙6にトラップされていなくてもよい。例えば、微粒子51は、間隙6を構成する面に吸着されていてもよい。
また、デバイス1は、微粒子51の保存に用いることもできる。具体的には、まず、デバイス1の間隙6に対し、間隙6の一端6a側の開口から微粒子51を送入して、間隙6の他端6b側へ微粒子51を移動させ、間隙6で微粒子51をトラップする。続いて、間隙6の出入り口(間隙6の一端6a側の開口及び他端6b側の開口)に例えば接着剤を塗布して、間隙6の出入り口を塞ぐ。これにより、間隙6を密封して、デバイス1内にトラップされた微粒子51を保存することができる。なお、微粒子51の保存処理は、粒径測定後に行われてもよい。一方、微粒子51の保存にのみデバイス1を用いる場合は、微粒子51は間隙6にトラップされていなくてもよい。例えば、微粒子51は、間隙6を構成する面に吸着されていてもよい。
好適には、デバイス1の間隙6の出入り口を塞ぐ前に、間隙6の内部に、微粒子51と反応しない物質からなる所定の保存性流体を注入する。保存性流体は、例えば、保存液又は保存性ガスである。微粒子51と反応しない物質で間隙6内を満たし、接着剤や樹脂フィルムなど、間隙6内に封入する物質に影響しない材料で間隙6の出入り口を塞ぐことにより、微粒子51の長期保存が可能となる。例えば、生物由来の微粒子51を保存する場合には、腐敗防止剤としてホルマリンを間隙6内に導入する。
また、好適には、デバイス1の間隙6の出入り口を塞ぐ前に、間隙6内を乾燥させる。また、接着剤を塗布する代わりに、間隙6の出入り口に樹脂フィルムを熱圧着させて、間隙6を密封してもよい。
一例として、インクトナー粒子を保存した。図13は、間隙6内に保存されたインクトナー粒子を撮像した画像を示す。具体的には、インクトナー粒子をトラップした後に、デバイス1の間隙6内を乾燥させた。続いて、間隙6の出入り口(間隙6の一端6a側の開口及び他端6b側の開口)を樹脂で閉じ、間隙6をインクトナー粒子の保存に適した状態とした。
以上、デバイス1を用いた微粒子51の保存方法を説明した。この保存方法によれば、例えば、微粒子51の粒径測定後に、デバイス1を保管することで、微粒子51の品質管理に資することができる。したがって、メーカーにおいてロット管理を容易に行うことができるようになる。例えば、インクトナーのメーカーは、品質管理のために、インクトナー粒子サンプルを長期にわたって保管しておく必要がある。デバイス1を使用することで、インクトナー粒子を、その粒径測定後に、デバイス1内でトラップされた状態のまま保存することができる。つまり、粒径測定時の環境を維持したまま粒子サンプルを保管できる。したがって、インクのロット管理に有用である。また、粒径の再測定にかかる時間や費用を抑制することができる。
また、デバイス1は、粒径に応じた微粒子51の選別(篩分け)に用いることもできる。具体的には、デバイス1の間隙6に対し、間隙6の一端6a側の開口から微粒子51を送入して、間隙6の他端6b側へ移動させる。これにより、間隙6の他端6b側の開口(流路の出口)の高さh2よりも粒径が小さい微粒子51を、間隙6の他端6b側の開口から間隙6の外部へ送り出すことができる。一方、間隙6の他端6b側の開口の高さh2よりも粒径が大きい微粒子51は、間隙6の内部に残存する。よって、デバイス1を用いて、粒径に応じた微粒子51の選別を行うことができる。
例えば、互いに粒径が異なる複数種類の微粒子51が混在している溶液から、所定の値よりも小さい粒径を有する微粒子51を選別して取り出す場合には、間隙6の他端6b側の開口の高さh2が所定の値のデバイス1を使用する。これにより、所定の値よりも小さい粒径を有する微粒子51のみが、間隙6の他端6b側の開口から間隙6の外部へ送り出される。したがって、所定の値よりも小さい粒径を有する微粒子51を選別して取り出すことができる。
また、デバイス1を使用することにより、微粒子51を間隙6内でトラップした後、微粒子51に含まれる更に小さい微粒子を、間隙6の他端6b側の開口から間隙6の外部へ送り出すこともできる。例えば、デバイス1の間隙6に対し、間隙6の一端6a側の開口からエクソソームを送入して、間隙6の他端6b側へ移動させ、間隙6でエクソソームをトラップする。その後、間隙6の一端6a側の開口からアルコールを間隙6内へ流入させる。その結果、間隙6内でエクソソームが溶けて、エクソソームから遺伝子が流出し、アルコールと共に遺伝子が間隙6の他端6b側の開口から間隙6の外部へ送り出される。このように、デバイス1を使用することにより、エクソソームから遺伝子を取り出すことが可能となる。
以上、第1実施形態について説明した。第1実施形態によれば、例えば試料溶液中に含まれる微粒子51の全量解析が可能となる。したがって、微粒子51の粒度分布を測定することができる。なお、試料溶液が高濃度溶液である場合、間隙6内に微粒子51が堆積するおそれがある。この場合は、複数のデバイス1を用意するとともに、試料溶液を希釈して、その希釈された試料溶液を少量ずつ各デバイス1へ導入すればよい。また、第1実施形態によれば、測定対象の微粒子の色によらず、微粒子の解析が可能となる。例えば、測定対象の微粒子が、光を吸収する黒色であっても、その微粒子を解析できる。したがって、黒色インクトナーの粒度分布測定が可能となる。よって、デバイス1は、インク顔料の分析に有用である。
なお、第1実施形態では、傾斜面5aが傾斜する方向に対し、第1板状部材2が第2板状部材3よりも長く、第1板状部材2の主面4のうち、間隙6の一端6aの外側の部分が溶液導入部7として使用された。しかし、本発明のデバイスは、この構成に限定されるものではない。傾斜面5aが傾斜する方向に対し、第1板状部材2が第2板状部材3より短くてもよい。この場合、第2板状部材3の一部が溶液導入部7となる。
また、第1実施形態では、第1部材の一例として板状部材が用いられたが、第1部材の形状は、板状に限定されるものではない。例えば、第1部材の形状は、直方体状でもよい。同様に、第2部材の形状は、板状に限定されるものではない。例えば、第2部材の形状は、直方体状でもよい。また、第1部材及び第2部材の外形は、矩形状に限定されるものではない。例えば、第1部材の外形及び第2部材の外形の少なくとも一方が、円形状であってもよい。
また、第1実施形態では、毛細管現象によって溶液50等をデバイス1の間隙6内に導入する例について説明したが、溶液50等の間隙6内への導入に、ポンプが使用されてもよい。
また、第1実施形態では、デバイス1の製造段階において第2板状部材3が第1板状部材2に接着剤等によって固定されたが、本発明はこれに限定されない。第2板状部材3は、干渉縞60を発生させる際、及び微粒子51を間隙6内へ送入する際にのみ、第1板状部材2に対して固定されてもよい。この場合、第2板状部材3は、圧力によって固定され得る。例えば、第2板状部材3を第1板状部材2へ向けて押圧する圧力が、ピエゾ素子等の駆動装置によって付与されてもよい。また、第2板状部材3が圧力によって固定される場合、微粒子51が間隙6内へ送入された後に、第2板状部材3と第1板状部材2とは離される。このとき、間隙6内へ送入された微粒子51は、第1板状部材2及び第2板状部材3の少なくとも一方に付着している。したがって、第1板状部材2及び第2板状部材3の一方又は両方を、電子顕微鏡の観察位置(例えば、図9を参照して説明した粒径測定装置100が備える対物レンズ106に対向する位置)へ移動させることにより、微粒子51の観察が可能となる。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について、第1実施形態とは異なる事項のみを説明する。第2実施形態は、デバイス1の間隙6を構成する面が表面改質されていることのみが、第1実施形態と異なる。
間隙6を構成する面を表面改質することにより、間隙6を構成する面を、例えば、陰イオン性、陽イオン性、疎水性(無極性)、親水性(極性)にすることができる。表面改質は、コーティング用の物質を、物理的あるいは化学的に、間隙6を構成する面に対して均一に付着させることで達成される。表面改質は、間隙6を構成する面に付着させる物質を含む溶液を常温で間隙6内に流すだけで行える。したがって、表面改質は、簡単かつ迅速に実施できる。
例えば、間隙6を構成する面が親水性である場合、イオン性の表面を有する微粒子51が間隙6内に注入されると、微粒子51の大きさに応じた間隙6の部位で微粒子51がトラップされる前に、間隙6を構成する面に微粒子51が吸着する可能性がある。したがって、間隙6を構成する面が親水性である場合、間隙6を構成する面を表面改質して疎水性とする。これにより、イオン性の表面を有する微粒子51が間隙6内に注入されても、微粒子51の大きさに応じた間隙6の部位で微粒子51を確実にトラップできる。
以上、第2実施形態について説明した。第2実施形態によれば、測定対象の微粒子51に合わせて、間隙6を構成する面を適切に表面改質することで、間隙6を、測定対象の微粒子51に適した流路(液体又は気体等の流体の通路)にすることができる。したがって、デバイス1の材質によらず、微粒子51の大きさに応じた間隙6の部位で微粒子51を確実にトラップすることができる。よって、微粒子51の粒径を正確に測定することが可能となる。
例えば、細胞は、細胞間及び組織間での情報伝達を行う際に、1マイクロメートル以下のベシクルを用いるということが知られており、医薬分野でのベシクルの応用が研究されている。例えば、癌の早期発見にベシクルを利用する研究や、ドラッグ・デリバリー・システム(DDS)にベシクルを利用する研究が行われている。しかし、ベシクルは非常に小さいため、ベシクルの粒径を正確に測定することや、ベシクルの個数を測定することは困難であった。また、ベシクルを分取して、ベシクルの標本を作製することも困難であった。
これに対し、第2実施形態によれば、デバイス1の間隙6を構成する面の電荷を表面改質によって調整することで、ベシクルの大きさに応じた間隙6の部位でベシクルをトラップさせることができる。そして、ベシクルがトラップされた間隙6内に所定の反応液を注入して、ベシクルを蛍光染色することで、間隙6内のベシクルの粒度分布を測定することができる。また、間隙6内のベシクルの個数を測定することができる。更に、測定後に、間隙6内にホルマリン溶液を導入することで、ベシクルを保存して、標本とすることができる。このように、第2実施形態によれば、癌固有のナノスケール顆粒物質のカウントが可能となる。したがって、表面改質は、癌の早期発見(特に、乳癌や前立腺癌)のための検査に有用である。
また、第2実施形態によれば、間隙6を構成する面を表面改質することにより、微粒子51の表面の性質(表面電荷や親水性など)を評価することができる。一例として、標準ポリスチレン粒子の表面電荷を評価した。この評価では、500nmのポリスチレン粒子及び2μmのポリスチレン粒子が使用された。また、第1〜第5のデバイス1が使用された。第1〜第5のデバイス1の各々は、ガラス板からなる第1板状部材2及び第2板状部材3を備える。また、第1〜第5のデバイス1の各々の間隙6を構成する面は、互いに異なる性質を有する。
図14(a)は、第1のデバイス1の間隙6内のポリスチレン粒子を撮像した画像を示す。第1のデバイス1は、間隙6を構成する面が表面改質されていない。よって、第1のデバイス1において、間隙6を構成する面は、親水性の未処理ガラス面である。図14(a)から明らかなように、間隙6を構成する面が親水性である場合、500nmのポリスチレン粒子及び2μmのポリスチレン粒子は、それぞれの大きさに応じた間隙6の部位でトラップされた。
図14(b)は、第2のデバイス1の間隙6内のポリスチレン粒子を撮像した画像を示す。第2のデバイス1は、間隙6(流路)にラウリル硫酸ナトリウム(sodium lauryl sulfate:SDS)溶液が流されて、間隙6を構成する面が表面改質された。よって、第2のデバイス1において、間隙6を構成する面は、陰イオン性のガラス面である。図14(b)から明らかなように、間隙6を構成する面が陰イオン性である場合、500nmのポリスチレン粒子及び2μmのポリスチレン粒子は、それぞれの大きさに応じた間隙6の部位でトラップされた。
図14(c)は、第3のデバイス1の間隙6内のポリスチレン粒子を撮像した画像を示す。第3のデバイス1は、陽イオン界面活性剤の一種であるミリスチルトリメチルアンモニウムにより、間隙6を構成する面が表面改質された。よって、第3のデバイス1において、間隙6を構成する面は、陽イオン性のガラス面である。図14(c)から明らかなように、間隙6を構成する面が陽イオン性である場合、2μmのポリスチレン粒子が、その大きさに応じた間隙6の部位でトラップされる前に、間隙6を構成する面に吸着した。
図14(d)は、第4のデバイス1の間隙6内のポリスチレン粒子を撮像した画像を示す。第4のデバイス1は、非イオン系界面活性剤の一種であるTriton−Xにより、間隙6を構成する面が表面改質された。よって、第4のデバイス1において、間隙6を構成する面は、非イオン性のガラス面である。図14(d)から明らかなように、間隙6を構成する面が非イオン性である場合、500nmのポリスチレン粒子及び2μmのポリスチレン粒子は、それぞれの大きさに応じた間隙6の部位でトラップされた。
図14(e)は、第5のデバイス1の間隙6内のポリスチレン粒子を撮像した画像を示す。第5のデバイス1は、疎水化剤の一種であるSurfaSilにより、間隙6を構成する面が表面改質された。よって、第5のデバイス1において、間隙6を構成する面は、疎水性のガラス面である。図14(e)から明らかなように、間隙6を構成する面が疎水性である場合、500nmのポリスチレン粒子及び2μmのポリスチレン粒子は、それぞれの大きさに応じた間隙6の部位でトラップされた。
図14(a)〜図14(e)から明らかなように、間隙6を構成する面が陽イオン性である場合に、ポリスチレン粒子は、その大きさに応じた間隙6の部位でトラップされる前に、間隙6を構成する面に吸着した。したがって、ポリスチレン粒子の表面は負電荷を有することがわかる。
以上のように、第2実施形態によれば、性質が互いに異なる流路(間隙6)内での微粒子51の振る舞いから、微粒子51の表面の性質を観察することができる。
(第3実施形態)
以下、第3実施形態について、第1実施形態とは異なる事項のみを説明する。第3実施形態は、デバイス1が、間隙6の他端6bの外側に設けられた液体吸収性物質8を更に備えることのみが、第1実施形態と異なる。
図15は、本発明の第3実施形態に係るデバイス1の一例を模式的に示す上面図であり、図16は、本発明の第3実施形態に係るデバイス1の一例を模式的に示す断面図である。図15及び図16に示すように、第3実施形態では、間隙6の他端6bの外側に液体吸収性物質8が設けられる。
液体吸収性物質8は、液体を吸収可能な物質である。液体吸収性物質8は、間隙6の他端6bに隣接するように間隙6の外に設けられている。なお、液体吸収性物質8は、液体を吸収可能である限りは特に制限されない。液体吸収性物質8は、例えば紙、シリカゲル及び高分子ポリマーのうちの少なくとも1つを含む物質であり得る。
液体吸収性物質8は、間隙6の狭い側(他端6b側)へ微粒子51を移動させる駆動力を強めることができる。即ち、第1実施形態で説明したように、微粒子51と溶媒52とを含む溶液50が第1板状部材2の溶液導入部7に垂らされると、デバイス1は、溶媒52が毛細管現象で間隙6内へ吸い込まれる力を駆動力として、間隙6の狭い側(他端6b側)へ微粒子51を移動させる。第3実施形態によれば、液体吸収性物質8が溶媒52を吸収するため、その駆動力を強めることができる。したがって、溶媒52の流れが速くなり、微粒子51が間隙6中でトラップされるまでの時間を短縮できる。具体的には、溶液導入部7に垂らされた溶液50の溶媒52が、間隙6の毛細管現象により間隙6の他端6b側へ吸い込まれる。そして、間隙6の他端6b側の開口に流れた溶媒52が液体吸収性物質8によって更に吸い込まれる。よって、間隙6の他端6b側へ微粒子51を移動させる駆動力が増す。
なお、液体吸収性物質8が吸収可能な溶媒52の量には限界がある。吸収された溶媒52を取り除かないと、液体吸収性物質8の吸収力が低下してしまう場合には、液体吸収性物質8に吸収された溶媒52を蒸発させることが好ましい。これにより、液体吸収性物質8の吸収力を維持することができる。即ち、液体吸収性物質8が吸収した溶媒52を蒸発させることにより、液体吸収性物質8は間隙6内の溶媒52を継続的に吸い込むことができる。よって、溶液50の流速が維持される。これにより、微粒子51が間隙6にトラップされるまでの時間を短縮できると共に、微粒子51を間隙6に確実にトラップすることができる。溶媒52を蒸発させる手段としては、例えば加熱又は風乾が好ましい。また、蒸発を促進させる観点から、揮発性の溶媒52が好適に使用される。
以上、第3実施形態について説明した。なお、第1板状部材2に、液体吸収性物質8が設けられる凹部が形成されていてもよい。この場合、液体吸収性物質8は、凹部から突出してもよいし、突出しなくてもよい。該凹部は、例えば第1板状部材2を切削することで形成し得る。また、間隙6を構成する面は、第2実施形態と同様に表面改質されてもよい。
(第4実施形態)
以下、第4実施形態について、第1実施形態とは異なる事項のみを説明する。第4実施形態は、第1板状部材2が溝10を有していることのみが、第1実施形態と異なる。
図17は、本発明の第4実施形態に係るデバイス1の一例を模式的に示す断面図である。図17に示すように、第4実施形態では、第1板状部材2の主面4に溝10が形成されている。溝10の底面は平坦面である。溝10は、例えば第1板状部材2の材料となる板状部材を切削することで形成し得る。なお、第1板状部材2は金型によって作製してもよい。型締めされた金型の内面において、第1板状部材2のうちの溝10が形成される面に対応する部分は、溝10に対応する凸部を有する。金型の内部に、例えば樹脂を充填することにより、第1板状部材2を製造することができる。金型を用いて第1板状部材2を作製することで、デバイス1の大量生産が容易となる。
第1板状部材2の溝10は、第2板状部材3の溝5と共に楔形の間隙6を構成する。間隙6の一端6a側及び他端6b側の開口は、溝5の両端の開口と溝10とによって構成される。溝10は、間隙6の一端6a及び他端6bの各々の外側まで延在している。溝10のうち、間隙6の一端6aの外側の部分が溶液導入部7として使用される。
なお、第3実施形態と同様に、間隙6の他端6bに隣接するように間隙6の外に液体吸収性物質8が設けられてもよい。図18は、本発明の第4実施形態に係るデバイス1の他例1を模式的に示す断面図である。第4実施形態において、液体吸収性物質8は、第1板状部材2の溝10内に設けられる。詳しくは、液体吸収性物質8は、溝10のうち、間隙6の他端6bの外側の部分に設けられる。
また、第2板状部材3の溝5の一端は開口していなくてもよい。図19は、本発明の第4実施形態に係るデバイス1の他例2を模式的に示す断面図である。図19に示すように、楔形の間隙6の狭い側(他端6b側)において、溝5は、第2板状部材3の側面に開口していない。このような構成であっても、第1板状部材2の溝10と第2板状部材3の溝5とによって楔形の間隙6を構成することができる。なお、第2板状部材3の傾斜面5aの一端が、第2板状部材3の主面9に接続してもよい。第2板状部材3の主面9は、第1板状部材2に対向する面である。
第2板状部材3の溝5の一端が開口していない場合も、第3実施形態と同様に、間隙6の他端6bに隣接するように間隙6の外に液体吸収性物質8を設けることができる。図20は、本発明の第4実施形態に係るデバイス1の他例3を模式的に示す断面図である。図18を参照して説明したデバイス1と同様に、液体吸収性物質8は、第1板状部材2の溝10内に設けられる。詳しくは、液体吸収性物質8は、間隙6の他端6bに隣接する位置から、第2板状部材3の外側にわたって設けられる。
以上、第4実施形態について説明した。第4実施形態によれば、楔形の間隙6の角度θを規定することが可能となり、複数のデバイス1間で間隙6の高さhにバラツキが生じ難い。したがって、デバイス1のロットブレを抑制することができる。
なお、溝10は、第2板状部材3の傾斜面5aが傾斜する方向において、第1板状部材2の一方端から他方端まで延在してもよい。また、第2実施形態と同様に、間隙6を構成する面が表面改質されてもよい。この場合、第2板状部材3の溝5の内面、及び第1板状部材2の溝10の内面が表面改質される。
(第5実施形態)
以下、第5実施形態について、第1実施形態とは異なる事項のみを説明する。第5実施形態は、第1板状部材2が凹部11を有していることのみが、第1実施形態と異なる。
図21は、本発明の第5実施形態に係るデバイス1の一例を模式的に示す断面図である。図21に示すように、第5実施形態では、第1板状部材2の主面4に凹部11が形成されている。凹部11は、間隙6の最狭側(他端6b側)において溝5に接続し、第2板状部材3の外側で大気に連通する。凹部11は、例えば第1板状部材2の材料となる板状部材を切削することで形成し得る。なお、第1板状部材2は金型によって作製してもよい。型締めされた金型の内面において、第1板状部材2のうちの凹部11が形成される面に対応する部分は、凹部11に対応する凸部を有する。金型の内部に、例えば樹脂を充填することにより、第1板状部材2を製造することができる。金型を用いて第1板状部材2を作製することで、デバイス1の大量生産が容易となる。
第5実施形態において、間隙6の他端6b側の開口は、第2板状部材3の溝5の途中に形成される。つまり、間隙6の他端6b側の開口は、デバイス1の内部に形成される。
なお、第3実施形態と同様に、間隙6の他端6bに隣接するように間隙6の外に液体吸収性物質8が設けられてもよい。図22は、本発明の第5実施形態に係るデバイス1の他例1を模式的に示す断面図である。第5実施形態において、液体吸収性物質8は、第1板状部材2の凹部11内に設けられる。詳しくは、液体吸収性物質8は、間隙6の他端6bに隣接する位置から、第2板状部材3の外側にわたって設けられる。
また、第2板状部材3の溝5の一端は開口していなくてもよい。図23は、本発明の第5実施形態に係るデバイス1の他例2を模式的に示す断面図である。図23に示すように、楔形の間隙6の狭い側(他端6b側)において、溝5は、第2板状部材3の側面に開口していない。このような構成であっても、凹部11が、間隙6の最狭側(他端6b側)で溝5に接続する一方で、第2板状部材3の外側で大気に連通するので、溶液50に含まれる微粒子51を、間隙6の他端6b側へ移動させて、微粒子51の大きさに応じた間隙6の部位に、微粒子51をトラップさせることができる。なお、第2板状部材3の傾斜面5aの一端が、第2板状部材3の主面9に接続してもよい。第2板状部材3の主面9は、第1板状部材2に対向する面である。
第2板状部材3の溝5の一端が開口していない場合も、第3実施形態と同様に、間隙6の他端6bに隣接するように間隙6の外に液体吸収性物質8を設けることができる。図24は、本発明の第5実施形態に係るデバイス1の他例3を模式的に示す断面図である。図22を参照して説明したデバイス1と同様に、液体吸収性物質8は、第1板状部材2の凹部11内に設けられる。詳しくは、液体吸収性物質8は、間隙6の他端6bに隣接する位置から、第2板状部材3の外側にわたって設けられる。
以上、第5実施形態について説明した。第5実施形態によれば、楔形の間隙6の角度θを規定することが可能となり、複数のデバイス1間で間隙6の高さhにバラツキが生じ難い。したがって、デバイス1のロットブレを抑制することができる。
なお、第2実施形態と同様に、間隙6を構成する面が表面改質されてもよい。
(第6実施形態)
以下、第6実施形態について、第1実施形態とは異なる事項のみを説明する。第6実施形態は、第2板状部材3に複数個の溝5が形成されていることのみが、第1実施形態と異なる。
図25は、本発明の第6実施形態に係るデバイス21の一例を模式的に示す上面図である。図25に示すように、第6実施形態では、第2板状部材3に、複数個の溝5が形成されている。複数個の溝5は、傾斜面5aが傾斜する方向に直交する方向に沿って配置される。したがって、デバイス21は、傾斜面5aが傾斜する方向に直交する方向に沿って設けられた複数個の間隙6を有する。つまり、デバイス21は、複数個のデバイス1を、傾斜面5aが傾斜する方向に直交する方向に沿って接続した構成と同様の構成を有している。
また、デバイス21は、複数個の間隙6が並ぶ方向の一方端に持ち手部22を有している。デバイス21に持ち手部22が設けられることにより、作業者によるデバイス21の搬送作業や位置決め作業等が容易になる。但し、持ち手部22は省略されてもよい。
デバイス21の第2板状部材3は、図4(b)を参照して説明した板状部材3aの切削工程を複数回実行することによって作製され得る。即ち、第2板状部材3の材料となる板状部材3a(被加工部材の一例)を、一定の傾斜角度θを付けた状態で静置し、傾いた板状部材3aに対して工具43を水平に移動させて板状部材3aを切削する。これにより、一定の傾斜角度θが付けられた傾斜面5aを有する溝5が形成される。この切削工程を複数回実施して、板状部材3aに、傾斜面5aが傾斜する方向に直交する方向に沿って複数個の溝5を形成することにより、デバイス21の第2板状部材3を作製する。
なお、第2板状部材3は金型によって作製してもよい。型締めされた金型の内面において、第2板状部材3のうちの複数の溝5が形成される面に対応する部分は、各溝5に対応する凸部を有する。金型の内部に、例えば樹脂を充填することにより、第2板状部材3を製造することができる。金型を用いて第2板状部材3を作製することで、デバイス21の大量生産が容易となる。
以上、第6実施形態について説明した。第6実施形態によれば、楔形の間隙6の角度θを規定することが可能となり、複数のデバイス21間で間隙6の高さhにバラツキが生じ難い。したがって、デバイス21のロットブレを抑制することができる。更に、1個のデバイス21に形成される複数の間隙6間においても、間隙6の高さhにバラツキが生じ難い。
なお、第6実施形態では、第1実施形態に係るデバイス1を複数個接続した構成と同様の構成を有するデバイス21について説明したが、デバイス21は、第4実施形態に係るデバイス1又は第5実施形態に係るデバイス1を複数個接続した構成と同様の構成を有してもよい。あるいは、デバイス21は、第1実施形態に係るデバイス1、第4実施形態に係るデバイス1、第5実施形態に係るデバイス1のうちの2つ以上が混在する構成を有してもよい。
また、1個のデバイス21に形成される複数個の楔形の間隙6の形状は、互いに同一の形状でなくてもよい。例えば、複数個の楔形の間隙6の角度θ、長さL1、幅Wのいずれかが、互いに異なっていてもよい。同様に、複数個の楔形の間隙6の一端6a側の開口高さh1が互いに異なっていてもよいし、複数個の楔形の間隙6の他端6b側の開口高さh2が互いに異なっていてもよい。
また、第2実施形態と同様に、複数個の間隙6をそれぞれ構成する面が表面改質されてもよい。この場合、複数個の間隙6をそれぞれ構成する面に、互いに異なる表面改質が施されてもよい。
また、第3実施形態と同様に、各間隙6の他端6bに隣接するように各間隙6の外に液体吸収性物質8が設けられてもよい。図26は、本発明の第6実施形態に係るデバイス21の他例1を模式的に示す上面図であり、図27は、本発明の第6実施形態に係るデバイス21の他例2を模式的に示す上面図であり、図28は、本発明の第6実施形態に係るデバイス21の他例3を模式的に示す上面図である。図26に示すように、複数個の間隙6が並ぶ方向に長い複数個の液体吸収性物質8が第1板状部材2の主面4上に設けられてもよいし、図27に示すように、間隙6ごとに液体吸収性物質8が設けられてもよい。あるいは、図28に示すように、全ての間隙6の他端6b側の開口に対向し得る1個の液体吸収性物質8が設けられてもよい。
(第7実施形態)
第6実施形態では、複数個の溝5が形成された1個の第2板状部材3が使用されたが、本発明はこれに限定されない。図29は、本発明の第7実施形態に係るデバイス21の一例を模式的に示す上面図である。第7実施形態では、1個の溝5が形成された複数個の第2板状部材3が、1個の第1板状部材2に固定されていることのみが、第6実施形態と異なる。
斯かる構成によれば、楔形の間隙6の角度θを規定することが可能となり、複数のデバイス21間で間隙6の高さhにバラツキが生じ難い。したがって、デバイス21のロットブレを抑制することができる。更に、1個のデバイス21に形成される複数の間隙6間においても、間隙6の高さhにバラツキが生じ難い。
なお、図示しないが、複数個の溝5が形成された複数個の第2板状部材3が、1個の第1板状部材2に固定されてもよい。
(第8実施形態)
第1実施形態で説明したように、デバイス1に単一波長の光を入射すると、明線と暗線とが繰り返す干渉縞60が生じる(図7参照)。また、干渉縞60の明線と暗線との関係は、第1実施形態で説明したように、式(1)及び式(2)で表される。そして、式(2)によれば、初めて明線が生じる位置は、mが0(すなわちh=λ/4n)の位置である。間隙6の高さhが、この条件を満たす高さに達するまでは、暗線しか観測されないため、図7の領域aに示すように、干渉縞60の最初の部分が黒くなって、1本目の暗線の観測が難しいことがある。この場合、観測できた暗線が何本目の暗線であるかが分からず、式(1)により間隙6の高さhを得られないこととなる。したがって、正確な暗線の本数を求める必要がある。以下、1本目の暗線の観測が難しい条件下における粒径測定方法を説明する。
1本目の暗線の観測が難しい場合、デバイス1に対して、互いに異なる波長を有する複数の光を照射して、複数の干渉縞60を発生させる。複数の干渉縞60のそれぞれの暗線は、対応する波長の半波長ごとに生じる。したがって、複数の干渉縞60のそれぞれの暗線が、互いに異なる波長のそれぞれの半波長の公倍数に対応する位置において重なる。よって、複数の干渉縞60のそれぞれの暗線が重なる位置から、複数の干渉縞60のそれぞれの1本目の暗線が生じる位置を決定できる。したがって、複数の光のうちの1つを粒径測定に使用することで、正確に粒径を測定することが可能となる。
例えば、互いに異なる波長を有する2つの単色光を用いて2つの干渉縞60を発生させた場合、2つの波長のそれぞれの半波長の最小公倍数に対応する位置において、2つの干渉縞60のそれぞれの暗線が初めて重なる。よって、2つの波長のそれぞれの半波長の最小公倍数から、2つの干渉縞60のそれぞれの1本目の暗線が生じる各位置を決定することができる。したがって、1本目の暗線の観測が難しい場合であっても、観測できた暗線が何本目の暗線であるかを正確に決定することが可能となる。このため、デバイス1のロットブレが生じていても、正確に粒径を測定することが可能となる。
一例として、波長520nmの単色光と、波長585nmの単色光とを用いて2つの干渉縞60を発生させた。図30(a)〜図30(c)に、撮像された画像を示す。図30(a)は、波長520nmの単色光をデバイス1に照射することで生じた干渉縞を示している。以下、波長520nmの単色光をデバイス1に照射することで生じた干渉縞を、第1干渉縞と記載する場合がある。波長520nmの単色光を照射した場合、干渉縞(第1干渉縞)の暗線の間隔は、260nmとなる。図30(b)は、波長585nmの単色光をデバイス1に照射することで生じた干渉縞を示している。以下、波長585nmの単色光をデバイス1に照射することで生じた干渉縞を、第2干渉縞と記載する場合がある。波長585nmの単色光を照射した場合、干渉縞(第2干渉縞)の暗線の間隔は、292.5nmとなる。図30(c)は、波長520nmの単色光と波長585nmの単色光とを同時にデバイス1に照射することで生じた2つの干渉縞(第1干渉縞及び第2干渉縞)を示している。2つの波長520nm、585nmのそれぞれの半波長の最小公倍数は、2340nmである。したがって、2340nmを260nmで割ることで、第2干渉縞の暗線と重なった第1干渉縞の暗線が、何本目の暗線であるかを求めることができる。同様に、2340nmを292.5nmで割ることで、第1干渉縞の暗線と重なった第2干渉縞の暗線が、何本目の暗線であるかを求めることができる。よって、2つの波長520nm、585nmのそれぞれの半波長の最小公倍数2340nmから、第1干渉縞及び第2干渉縞のそれぞれの1本目の暗線が生じる位置を決定することができる。
図31は、本発明の第8実施形態に係る粒径測定装置100(観察装置の一例)の構成の一例を示す模式図である。図31に示すように、第8実施形態に係る粒径測定装置100において、観察用光学系101は、2つの光源103a、103bと、ミラー108と、ミラー109とを備える。2つの光源103a、103bはそれぞれ、互いに異なる単一波長を有する光を発生する。ミラー108は、光源103bから発生した光をミラー109へ向けて反射する。ミラー109は、光源103aから発生した光を透過し、光源103bから発生した光を反射する。
第8実施形態に係る粒径測定装置100によれば、デバイス1に対して、互いに異なる波長を有する2つの光を同時に照射して、2つの干渉縞60を発生させることができる。また、カメラ107は、2つの干渉縞60を撮像することができる。
なお、第8実施形態に係る粒径測定装置100において、分析部102は、画像から、複数の干渉縞60のそれぞれの暗線が重なる位置を検出して、それぞれの干渉縞60の1本目の暗線が生じる位置を決定する機能を有してもよい。
また、光源103aから発生する光のミラー109までの光路に、所定の波長の光を透過するフィルターが設置されてもよい。この場合、光源103aは、単一波長の光を発生しなくてもよい。同様に、光源103bから発生する光のミラー109までの光路に、所定の波長の光を透過するフィルターが設置されてもよい。この場合、光源103bは、単一波長の光を発生しなくてもよい。あるいは、広帯域な波長を有する光を発生する1個の光源と、透過させる光の波長が互いに異なる2つのフィルターとが使用されてもよい。この場合、光源から発生した光の光路を2つに分岐するミラーと、分岐された光路を結合するミラーとが設置され、分岐後の各光路にフィルターが設置される。これにより、デバイス1に対して、互いに異なる波長を有する2つの光を同時に照射することが可能となる。
また、第8実施形態では、第1実施形態に係るデバイス1を例に説明したが、第2〜第7実施形態に係るデバイス1及び21についても、同様に、観測できた暗線が何本目の暗線であるかを正確に決定することが可能となる。
また、第8実施形態で説明した事項は、第1〜第7実施形態に係るデバイス1及び21とは異なる他のデバイスにも適用できる。例えば、図32に示すようなデバイス30aに、第8実施形態で説明した事項を適用できる。図32は、本発明の第8実施形態に係る他のデバイス30aの概念図であり、デバイス30aを断面視している。デバイス30aは、第1部材の一例である第1平板31aと、第2部材の一例である第2平板32aとを備える。第1平板31aに対して第2平板32aが斜めに重畳されており、第1平板31aと第2平板32aとの間に、連続的に狭くなる間隙33aが形成されている。また、間隙33aの最狭部には、開口部34が形成されている。デバイス30aに所定の光が照射されると、間隙33aにより干渉縞が生じる。第1平板31a及び第2平板32aの材料には、このように干渉縞を生じさせることが可能な材料が選択される。例えば、第1平板31a及び第2平板32aの材料として、ガラス板又はプラスチック板が使用できる。このようなデバイス30aにおいても、第1〜第7実施形態に係るデバイス1及び21と同様に、観測できた暗線が何本目の暗線であるかを正確に決定することが可能となる。
また、第8実施形態で説明した事項は、例えば図33に示すようなデバイス30bにも適用できる。図33は、本発明の第8実施形態に係る他のデバイス30bの概念図であり、デバイス30bを断面視している。デバイス30bは、第1部材の一例であるレンズ31bと、第2部材の一例である平板32bとを備える。レンズ31bと平板32bとの間に、連続的に狭くなる間隙33bが形成されている。デバイス30bに所定の光が照射されると、間隙33bにより干渉縞が生じる。平板32bの材料には、このように干渉縞を生じさせることが可能な材料が選択される。例えば、平板32bの材料として、ガラス板又はプラスチック板が使用できる。このようなデバイス30bにおいても、第1〜第7実施形態に係るデバイス1及び21と同様に、観測できた暗線が何本目の暗線であるかを正確に決定することが可能となる。
また、第8実施形態で説明した事項は、例えば図34に示すようなデバイス30cにも適用できる。図34は、本発明の第8実施形態に係る他のデバイス30cの概念図であり、デバイス30cを断面視している。デバイス30cは、第1部材の一例である平板31cと、第2部材の一例であるレンズ32cとを備える。平板31cとレンズ32cとの間に、連続的に狭くなる間隙33cが形成されている。デバイス30cに所定の光が照射されると、間隙33cにより干渉縞が生じる。平板31cの材料には、このように干渉縞を生じさせることが可能な材料が選択される。例えば、平板31cの材料として、ガラス板又はプラスチック板が使用できる。このようなデバイス30cにおいても、第1〜第7実施形態に係るデバイス1及び21と同様に、観測できた暗線が何本目の暗線であるかを正確に決定することが可能となる。
また、第8実施形態で説明した事項は、干渉縞を利用する様々な分野に応用することができる。例えば、眼球に光を照射して、眼球の表面膜の膜厚を測定する技術に、第8実施形態で説明した事項を適用すれば、眼球に生じた干渉縞において、観測できた暗線が何本目の暗線であるかを正確に決定することが可能となる。
以上、第8実施形態について説明した。第8実施形態で説明した事項は、干渉縞が生じる対象物に広く応用できる方法であり、次の工程を含む。即ち、この方法は、互いに異なる波長を有する複数の光を対象物へ照射して、それぞれの光によって対象物に複数の干渉縞を生じさせる工程を含む。また、この方法は、複数の干渉縞のそれぞれの暗線が重なる位置を検出する工程を含む。また、この方法は、検出された暗線が重なる位置と、それぞれの波長の半波長の公倍数とに基づいて、複数の干渉縞のそれぞれの1本目の暗線が生じる位置を決定する工程を含む。
(第9実施形態)
以下、図35〜図38を参照して、本発明に係るデバイスの他の実施形態について説明する。図35は、本発明の第9実施形態に係るデバイス70の一例を模式的に示す上面図であり、図36は、本発明の第9実施形態に係るデバイス70の一例を模式的に示す断面図である。なお、図36では、理解を容易にするために、側板76を省略している。図37は、本発明の第9実施形態に係るデバイス70の一例を模式的に示す背面図である。詳しくは、図37は、間隙73の最狭側からデバイス70を見ている。
図35〜図37に示すように、デバイス70は、第1部材の一例である第3平板71と、第2部材の一例である第4平板72とを備える。第3平板71に対して第4平板72が斜めに重畳されており、第3平板71と第4平板72との間に、連続的に狭くなる間隙73が形成されている。デバイス70に所定の光が照射されると、間隙73により干渉縞が生じる。第3平板71及び第4平板72の材料には、このように干渉縞を生じさせることが可能な材料が選択される。例えば、第3平板71及び第4平板72の材料として、ガラス板又はプラスチック板が使用できる。
デバイス70は、更に、第1高さ調整部材の一例である入口高さ調整部材74と、第2高さ調整部材の一例である出口高さ調整部材75とを備える。入口高さ調整部材74及び出口高さ調整部材75は、第3平板71に固定されている。入口高さ調整部材74は、間隙73の一端側(流路の入口側)に設けられて、間隙73の一端側の高さを規定する。出口高さ調整部材75は、間隙73の他端側(流路の出口側)に設けられて、間隙73の他端側の高さを、間隙73の一端側の高さよりも低く規定する。間隙73の一端側の高さは、例えば50nmであり、間隙73の他端側の高さは、例えば10nmである。本実施形態に係るデバイス70において、第4平板72は、入口高さ調整部材74及び出口高さ調整部材75に接着等によって固定される。
入口高さ調整部材74及び出口高さ調整部材75の材料は、間隙73内に送入する物質に影響しない材料である限り特に限定されない。例えば、入口高さ調整部材74及び出口高さ調整部材75の材料として、紫外線硬化樹脂のような樹脂を使用し得る。また、入口高さ調整部材74を形成する際には、第3平板71の材料となる板状部材(被加工部材の一例)に、入口高さ調整部材74の材料を含む液滴(液体)が吐出されてもよい。同様に、出口高さ調整部材75を形成する際には、第3平板71の材料となる板状部材に、出口高さ調整部材75の材料を含む液滴(液体)が吐出されてもよい。液滴の吐出には、液滴吐出装置(液体吐出装置の一例)を使用し得る。液滴吐出装置を使用する場合、第3平板71の材料となる板状部材が、液滴吐出領域(液体吐出領域)に運ばれる。液滴吐出装置は、入口高さ調整部材74の材料を含む液滴を吐出する。これにより、入口高さ調整部材74が形成される。同様に、液滴吐出装置は、出口高さ調整部材75の材料を含む液滴を吐出する。これにより、出口高さ調整部材75が形成される。
例えば、入口高さ調整部材74及び出口高さ調整部材75の形成に、インクジェットプリンターを使用し得る。インクジェットプリンターを使用することにより、入口高さ調整部材74及び出口高さ調整部材75の高さを1nm単位で制御することができる。また、インクジェットプリンターを使用した場合、入口高さ調整部材74及び出口高さ調整部材75の高さの最大値は、200nmとなり得る。
デバイス70は、更に、押さえ部材の一例である一対の側板76を備える。一対の側板76は、間隙73の一対の側面を塞ぐ。本実施形態に係るデバイス70において、側板76は、第3平板71及び第4平板72に接着等によって固定されている。側板76の材料は、間隙73内に送入する物質に影響しない材料である限り特に限定されない。例えば、側板76の材料として、ゴムのような樹脂を使用し得る。
図38は、本発明の第9実施形態に係るデバイス70の他例を模式的に示す上面図である。図38に示すように、デバイス70は、第3実施形態と同様に液体吸収性物質8を備え得る。液体吸収性物質8は、間隙73の他端に隣接するように間隙73の外に設けられる。
以上、第9実施形態について説明した。第9実施形態によれば、楔形の間隙73の角度θを規定することが可能となり、複数のデバイス70間で間隙73の高さhにバラツキが生じ難い。したがって、デバイス1のロットブレを抑制することができる。
なお、第2実施形態と同様に、間隙73を構成する面が表面改質されてもよい。また、液滴(液体)の吐出によって入口高さ調整部材74及び出口高さ調整部材75が形成される例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、入口高さ調整部材74及び出口高さ調整部材75は、ガラスやアクリル樹脂のような材料が貼り付けられることによって形成され得る。あるいは、入口高さ調整部材74及び出口高さ調整部材75の一方が、ガラスやアクリル樹脂のような材料が貼り付けられることによって形成されてもよい。又は、間隙73の一端から他端にわたって高さが徐々に低くなる高さ調整部材を形成してもよい。この場合、高さ調整部材のうち、間隙73の一端側の部分が、入口高さ調整部材74に相当する。また、高さ調整部材のうち、間隙73の他端側の部分が、出口高さ調整部材75に相当する。つまり、デバイス70の製造方法は、入口高さ調整部材74及び出口高さ調整部材75を、第3平板71の材料となる板状部材上に形成する工程を含む。また、デバイス70の製造方法は、入口高さ調整部材74の材料及び出口高さ調整部材75の材料を準備する工程を含み得る。また、本実施形態では側板76が使用されたが、間隙73の側面は接着性樹脂等によって塞がれてもよい。
(第10実施形態)
以下、第10実施形態について、第9実施形態とは異なる事項のみを説明する。第10実施形態は、第4平板72及び側板76が取り外し可能であることのみが、第9実施形態と異なる。図39は、本発明の第10実施形態に係る固定方法の一例を模式的に示す断面図であり、図40は、本発明の第10実施形態に係る固定方法の一例を模式的に示す背面図である。なお、図39では、理解を容易にするために、側板76を省略している。
図39に示すように、デバイス70は、干渉縞60を発生させる際、及び微粒子51を間隙73内へ送入する際に、支持台92に載置される。また、このとき、第4平板72が第3平板71へ向けて押圧される。これにより、第4平板72が固定される。第4平板72の押圧は、ピエゾ素子等の駆動装置91によって実行される。
また図40に示すように、デバイス70は、干渉縞60を発生させる際、及び微粒子51を間隙73内へ送入する際に、一対の把持部材93によって把持される。詳しくは、一対の把持部材93は互いに対向しており、一対の把持部材93の間隔が制御されることにより、一対の側板76がそれぞれデバイス70の中心へ向けて押圧される。この結果、一対の側板76が固定される。一対の把持部材93は、例えばロボットアームが有する一対のアーム部であり得る。
以上、第10実施形態について説明した。第10実施形態に係るデバイス70を用いて微粒子51を観察する場合、微粒子51が間隙73内へ送入された後に、第4平板72及び側板76の固定が解除されて、第3平板71から第4平板72及び側板76が取り外される。このとき、間隙73内へ送入された微粒子51は、第3平板71及び第4平板72の少なくとも一方に付着している。したがって、第3平板71及び第4平板72の一方又は両方を、電子顕微鏡の観察位置(例えば、図9又は図31を参照して説明した粒径測定装置100が備える対物レンズ106に対向する位置)へ移動させることにより、微粒子51の観察が可能となる。
なお本実施形態では、第4平板72が第3平板71へ向けて押圧されるため、第4平板72がたわむことがあるが、このような場合であっても、干渉縞60を利用することにより、微粒子51の粒径を正確に測定することができる。
また本実施形態では、第4平板72が第3平板71へ向けて押圧される。このため、入口高さ調整部材74及び出口高さ調整部材75の材料によっては、第4平板72の押圧時に、入口高さ調整部材74及び出口高さ調整部材75の高さが変化する。したがって、第4平板72を押圧する圧力を調整することにより、間隙73の高さを制御することが可能となる。
(第11実施形態)
以下、第11実施形態について、第10実施形態とは異なる事項のみを説明する。第11実施形態は、第4平板72及び側板76の固定方法のみが、第10実施形態と異なる。図41は、本発明の第11実施形態に係る固定方法の一例を模式的に示す背面図である。
図41に示すように、第11実施形態では、第4平板72及び側板76の固定に、ネジ94及びネジ95が使用される。ネジ94は、フレーム96に形成されているネジ孔に螺入される。フレーム96は、ネジ94の先端部が第4平板72へ向けて突出するように、ネジ94を支持する。ネジ94を回動させることにより、ネジ94の先端部が第4平板72に当接して、第4平板72が第3平板71へ向けて押圧される。また、ネジ94を回動させることにより、第4平板72を押圧する圧力を調整することができる。同様に、ネジ95は、フレーム96に形成されているネジ孔に螺入される。フレーム96は、ネジ95の先端部が側板76へ向けて突出するように、ネジ95を支持する。ネジ95を回動させることにより、ネジ95の先端部が側板76に当接して、側板76がデバイス70の中心へ向けて押圧される。また、ネジ95を回動させることにより、側板76を押圧する圧力を調整することができる。
以上、第11実施形態について説明した。第11実施形態によれば、簡易な構成で、干渉縞60を発生させる際、及び微粒子51を間隙73内へ送入する際に、第4平板72及び側板76を固定することができる。
(第12実施形態)
以下、本発明に係る自動観察装置の実施形態について説明する。図42は、本発明の第12実施形態に係る自動観察装置110の構成の概略を示す模式図である。図42に示すように、自動観察装置110は、デバイスラック111と、自動インジェクタ112と、観察用光学系113と、搬送機構114と、使用済みデバイスラック115とを備えている。なお、図42には、デバイスラック111の断面と使用済みデバイスラック115の断面とが図示されている。
デバイスラック111は、デバイス21を収納する。デバイスラック111は複数個のデバイス21を収納可能であってもよい。なお、第12実施形態では、自動観察装置110が、第6実施形態又は第7実施形態に係るデバイス21を搬送して微粒子51を撮像するが、本発明はこれに限定されない。自動観察装置110は、第1〜第5実施形態に係るデバイス1、及び第9実施形態に係るデバイス70を搬送して微粒子51を撮像してもよい。
自動インジェクタ112は、所定の溶液注入位置Aに対応して配置されて、デバイス21に形成されている複数の間隙6に順次、微粒子51と溶媒52とを含有する溶液50を定量注入する。具体的には、自動インジェクタ112は、デバイス21に形成されている複数の溶液導入部7へ順次、溶液50を滴下する。
観察用光学系113は、所定の観察位置Bに対応して配置されて、デバイス21に形成されている複数の間隙6を順次、撮像する。これにより、各間隙6内の微粒子51が撮像される。観察用光学系113は、カメラ116を備える。カメラ116は、所定の観察位置Bに対応して配置された間隙6を撮像する。観察用光学系113は、対物レンズ(図示せず)を含んでもよい。この場合、カメラ116は、対物レンズを通して間隙6を撮像する。
第9実施形態において、搬送機構114は、XYステージである。即ち、搬送機構114は、搬送台114aと、Xステージ114bと、Yステージ114cとを含む。Xステージ114b、及びYステージ114cは、搬送台114aをX方向及びY方向へ搬送可能に構成されている。なお、搬送機構114は、XYステージに限定されるものではない。例えば、搬送機構114は、XYZステージであってもよい。あるいは、搬送機構114として、コンベヤ機構が使用されてもよい。
デバイスラック111内でデバイス21が搬送台114aに載置されると、搬送機構114は、デバイス21の各間隙6が順次、所定の溶液注入位置Aで停止するように、デバイス21(搬送台114a)を搬送する。自動インジェクタ112は、所定の溶液注入位置Aで停止した間隙6に順次、溶液50を注入する。また、搬送機構114は、デバイス21の各間隙6が順次、所定の観察位置Bで停止するように、デバイス21(搬送台114a)を搬送する。観察用光学系113は、所定の観察位置Bで停止した間隙6を順次、撮像する。搬送機構114は、全ての間隙6の撮像が完了すると、デバイス21を使用済みデバイスラック115内へ搬送する。使用済みデバイスラック115は、撮像後のデバイス21を収納する。使用済みデバイスラック115は複数個のデバイス21を収納可能であってもよい。
なお、デバイスラック111には、支持台111aが備え付けられており、デバイスラック111内には、支持台111aから搬送台114aへデバイス21を移動させるための搬送機構(図示せず)が設けられている。該搬送機構は、昇降機構を含む。同様に、使用済みデバイスラック115には、支持台115aが備え付けられており、使用済みデバイスラック115内には、搬送台114aから支持台115aへデバイス21を移動させるための搬送機構(図示せず)が設けられている。該搬送機構は、昇降機構を含む。
デバイス21の全ての間隙6のうちの1個又は幾つかの間隙6にのみ溶液50を注入する場合、搬送機構114は、溶液を注入する対象の間隙6のみが所定の溶液注入位置Aで停止するようにデバイス21(搬送台114a)を搬送してもよい。この場合、搬送機構114は、溶液が注入された間隙6のみが所定の観察位置Bで停止するようにデバイス21(搬送台114a)を搬送してもよい。
なお、観察用光学系113は、所定の観察位置Bで停止した間隙6に向けて光を照射して干渉縞60を発生させてもよい。この場合、観察用光学系113は、図9を参照して説明した粒径測定装置100と同様に、光源103とフィルター104とミラー105と対物レンズ106とを含んでもよい。更に、自動観察装置110は、図9を参照して説明した粒径測定装置100と同様に、分析部102を備えてもよい。これにより、微粒子51の粒径を分析部102で分析することができる。
また、観察用光学系113は、第8実施形態において説明したように、所定の観察位置Bで停止した間隙6に向けて、異なる波長を有する複数の光を照射可能な構成を有してもよい。これにより、第8実施形態で説明したように、観測できた暗線が何本目の暗線であるかを正確に決定することが可能となる。微粒子51を撮像する際には、複数の光のうちの1つの光が使用される。
以上、第12実施形態について説明した。第12実施形態によれば、自動的に、デバイスラック111からデバイス21が取り出される。また、自動的に、自動インジェクタ112によってデバイス21へ溶液50が滴下される。また、自動的に、間隙6内の微粒子51が撮像される。そして、自動的に、使用済みデバイスラック115にデバイス21が納められる。したがって、微粒子51の観察(撮像)の自動化を実現できる。
なお、自動観察装置110は、間隙6内に微粒子51が導入された後に、自動インジェクタ112によって間隙6内に所定の反応液を注入する構成としてもよい。これにより、所定の反応液に対する微粒子51の耐性の検証や、所定の反応液に対する微粒子51の化学的反応の検証を自動化できる。
また、使用済みデバイスラック115に納められたデバイス21内には、微粒子51が残っている。よって、使用済みデバイスラック115にデバイス21が納められた後に間隙6の出入り口を塞ぐことで、微粒子51を保存することができる。したがって、自動観察装置110によって、微粒子51の保存作業を半自動化できる。更に、自動観察装置110は、間隙6内に微粒子51が導入された後に、自動インジェクタ112によって間隙6内に所定の保存液を注入する構成としてもよい。
また、自動観察装置110は、デバイス1、21、及び70とは異なる他のデバイスにも適用できる。例えば、自動観察装置110が搬送するデバイスとして、図31〜図33を参照して説明したデバイス30a〜30cが使用されてもよい。即ち、自動観察装置110が搬送するデバイスは、連続的に小さくなる空隙部分を有し、その空隙部分によって干渉縞が生じるデバイスであるか、又は、連続的に小さくなる空隙部分を有し、その空隙部分で微粒子をトラップすることが可能なデバイスであればよい。
以上、第1〜第12実施形態について説明した。なお、各実施形態で説明された事項は適宜組み合わせることが可能である。
本発明は、微粒子の粒径測定、物理的ストレスに対する微粒子の耐性の検証、所定の反応性流体に対する微粒子の耐性の検証、所定の反応性流体に対する微粒子の化学的な反応の検証、微粒子の保存、及び微粒子の観察の自動化等に好適に適用できる。
1 デバイス
2 第1板状部材
3 第2板状部材
3a 板状部材
5 溝
5a 傾斜面
6 間隙
8 液体吸収性物質
21 デバイス
30a デバイス
31a 第1平板
32a 第2平板
33a 間隙
30b デバイス
31b レンズ
32b 平板
33b 間隙
30c デバイス
31c 平板
32c レンズ
33c 間隙
42 駆動素子
43 工具
50 溶液
51 微粒子
52 溶媒
60 干渉縞
70 デバイス
71 第3平板
72 第4平板
73 間隙
74 入口高さ調整部材
75 出口高さ調整部材
76 側板
100 粒径測定装置
101 観察用光学系
102 分析部
103、103a、103b 光源
106 対物レンズ
107 カメラ
110 自動観察装置
111 デバイスラック
112 自動インジェクタ
113 観察用光学系
114 搬送機構
115 使用済みデバイスラック
116 カメラ

Claims (13)

  1. 第1部材と、
    前記第1部材と共に前記間隙を形成する第2部材と
    を備えるデバイス。
  2. 前記第2部材には、傾斜面を有する流路が形成されており、
    前記傾斜面が前記第1部材側を向くように前記第2部材が前記第1部材に重ねられることにより、前記流路を含む前記間隙が形成される、請求項1に記載のデバイス。
  3. 前記間隙の前記一端側の高さを規定する第1高さ調整部材と、
    前記間隙の前記他端側の高さを前記一端側の高さよりも低く規定する第2高さ調整部材と
    を更に備える、請求項1に記載のデバイス。
  4. 前記間隙は、前記他端側においてnmオーダーの高さを有する、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のデバイス。
  5. 前記間隙を構成する面の少なくとも一部が表面改質されている、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のデバイス。
  6. 前記間隙の前記他端側の外方に設けられた液体吸収性物質を更に備える、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のデバイス。
  7. 請求項2に記載のデバイスを製造する方法であって、
    被加工部材の一端の高さをピエゾ素子により調整して、前記被加工部材を傾ける工程と、
    前記傾いた被加工部材に対して工具を水平に移動させて前記被加工部材を切削することにより、前記流路を形成する切削工程を、少なくも1回実施して、前記第2部材を作製する工程と、
    前記第1部材及び前記第2部材のうち少なくとも前記間隙を構成する部分を洗浄する工程と
    を含むデバイス製造方法。
  8. 請求項3に記載のデバイスを製造する方法であって、
    液体吐出領域に被加工材を位置させる工程と、
    前記被加工材に液体を吐出して前記第1高さ調整部材及び前記第2高さ調整部材の少なくとも一方を形成する工程と、
    前記第1部材及び前記第2部材のうち少なくとも前記間隙を構成する部分を洗浄する工程と
    を含むデバイス製造方法。
  9. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のデバイスを用いて粒子の粒径を測定する方法であって、
    前記粒子を前記一端側から前記間隙に送入して、前記他端側へ向けて前記粒子を移動させ、前記間隙で前記粒子をトラップする工程と、
    前記間隙により生じる干渉縞に基づいて、前記トラップされた粒子の粒径を測定する工程と
    を含む、粒径測定方法。
  10. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のデバイスを用いて粒子の耐性を観察する方法であって、
    前記粒子を前記一端側から前記間隙に送入して、前記他端側へ向けて前記粒子を移動させる工程と、
    前記間隙に存在する前記粒子に物理的ストレスを付加するか、あるいは、所定の反応性流体を前記一端側から前記間隙に注入する工程と
    を含む、耐性観察方法。
  11. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のデバイスを用いて粒子を化学的に反応させる方法であって、
    前記粒子を前記一端側から前記間隙に送入して、前記他端側へ向けて前記粒子を移動させる工程と、
    所定の反応性流体を前記一端側から前記間隙に注入する工程と
    を含む、化学的反応方法。
  12. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のデバイスを用いて粒子を保存する方法であって、
    前記粒子を前記一端側から前記間隙に送入して、前記他端側へ前記粒子を移動させる工程と、
    前記間隙の前記一端側及び前記他端側を塞ぐ工程と
    を含む、粒子保存方法。
  13. 所定の溶液注入位置に対応して配置され、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のデバイスが有する前記間隙に、粒子と溶媒とを含有する溶液を注入する自動インジェクタと、
    所定の観察位置に対応して配置された観察用光学系と、
    前記間隙が前記溶液注入位置で停止するように前記デバイスを搬送した後、前記間隙が前記観察位置で停止するように前記デバイスを搬送する搬送機構と
    を備える、自動観察装置。
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