JP2018048541A - 水洗大便器 - Google Patents
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Abstract
Description
このように構成された本発明においては、洗浄時に、分流部のガイド部が、汚物より先行する流速の低い洗浄水を遅延流路に流入させ、遅延流路が、流入された洗浄水を流入されたときよりも後のタイミングで分流部に到達する汚物を押し流す搬送流に合流させる。これにより、汚物を押し流す搬送流の水量を増加させることができ、汚物を搬送する搬送性能を向上させることができる。
また、本発明によれば、汚物を搬送する流速の高い搬送流を遅延流路に向けて沿わせないように下流側排水管路部に導き、搬送流を遅延流路に流入しにくくすることができるとともに、汚物より先行する流速の低い洗浄水を選択的に遅延流路に流入させることができる。
このように構成された本発明においては、便器洗浄時に、汚物より先行する流速の低い洗浄水は、比較的弱い水勢により、縦流路部のうち排水トラップ管路の上昇管路側を流下する。一方、便器洗浄時に、汚物を搬送する流速の高い搬送流が排水トラップ管路の上昇管路から下降管路及び分流部の縦流路部に流入する際に、このような流速の高い搬送流は、比較的強い水勢により、縦流路部のうち排水トラップ管路の上昇管路側と反対側の側壁側を流下する。よって、本発明によれば、汚物を搬送する搬送流を遅延流路に流入しにくくすることができるとともに、汚物より先行する流速の低い洗浄水を選択的に遅延流路に流入させることができる。従って、本発明によれば、汚物より先行する流速の低い洗浄水を、より効率よく遅延流路に流入させ汚物を搬送する搬送流に合流させることができる。
このように構成された本発明においては、分流部のガイド部が、鉛直線に対して90度以上の角度を形成する場合に比べて、分流部のガイド部と、縦流路部との間の方向の変化が少なくされている。よって、本発明によれば、洗浄水をガイド部からより剥離し難くすることができ、洗浄水をさらに効率よく遅延流路に導くことができる。
このように構成された本発明においては、分流部のガイド部は、縦流路部を形成する側壁のうち排水トラップ管路の上昇管路側に形成され、且つその上昇管路と反対側の側壁側に切欠部を形成するので、汚物を搬送する流速の高い洗浄水が切欠部を通過し、ガイド部から遅延流路に流入しないようにすることができる。
このように構成された本発明においては、分流部のガイド部と縦流路部を形成する側壁との接続部分は湾曲面を形成しているので、ガイド部と側壁との接続部分において流れを剥離し難くすることができる。よって、本発明によれば、遅延流路に流入させる洗浄水の水量をより増加させることができ、汚物を押し流す搬送流に合流させる洗浄水の水量をより増加させることができる。
このように構成された本発明においては、分流部のガイド部から剥離して落下した洗浄水を遅延流路の底面により遅延流路内に受け入れることができる。よって、本発明によれば、遅延流路に流入させる洗浄水の水量をより増加させることができ、汚物を押し流す搬送流に合流させる洗浄水の水量をより増加させることができる。
このように構成された本発明においては、分流部の縦流路部を流下する汚物を搬送する流速の高い搬送流を、遅延流路の底面により、遅延流路に流入させてしまうことを抑制することができる。よって、本発明によれば、汚物を搬送する搬送流の運動エネルギーの低下を抑制することができる。
このように構成された本発明においては、誘導面が縦流路部の上端からガイド部の上端までほぼ鉛直方向に延び、流速の低い洗浄水を誘導面に沿ってガイド部まで導くことができるため、ガイド部に沿うように遅延流路に流入する洗浄水の水量をより増加させることができる。
このように構成された本発明においては、排水管路は、便器本体とは別体の樹脂部材であるので、下流側の建物配管の位置に応じて位置の微調整を行うことが容易にできる。
このように構成された本発明においては、排水トラップ管路の出口部の側面が、排水管路の分流部の誘導面とほぼ面一に形成されている。これにより、本発明によれば、排水管路と排水トラップ管路とを別体の部材とした場合であっても、誘導面に流速の低い洗浄水を確実に沿わせることができるため、誘導面からガイド部を介して遅延流路に流入する流速の低い洗浄水の水量をより増加させることができる。
このように構成された本発明においては、汚物を搬送する搬送流は、流速が比較的高いため横方向流路内の左右方向に広がりにくく、横方向流路をほぼ直進する。これに対し、汚物より先行する洗浄水は、流速が比較的低いため、横方向流路内の左右方向に拡散しやすくなる。よって、本発明によれば、汚物を搬送する搬送流を遅延流路に流入しにくくすることができるとともに、分流部のガイド部が、汚物より先行する洗浄水を効率よく選択して左右方向に延びる遅延流路に流入させることができる。
このように構成された本発明においては、分流部のガイド部と横方向流路の側壁との接続部分は湾曲面を形成しているので、ガイド部と横方向流路の側壁との接続部分において流れを剥離し難くすることができる。よって、本発明によれば、遅延流路に流入させる洗浄水の水量をより増加させることができ、汚物を押し流す搬送流に合流させる洗浄水の水量をより増加させることができる。
このように構成された本発明においては、分流部のガイド部から剥離して下流側に流れる洗浄水を遅延流路の下流側面により遅延流路内に受け入れることができる。よって、本発明によれば、遅延流路に流入させる洗浄水の水量をより増加させることができ、汚物を押し流す搬送流に合流させる洗浄水の水量をより増加させることができる。
このように構成された本発明においては、分流部の横方向流路を下流側に流れる汚物を搬送する流速の高い洗浄水を、遅延流路の下流側面により、遅延流路に流入させてしまうことを抑制することができる。よって、本発明によれば、汚物を搬送する搬送流の運動エネルギーの低下を抑制することができる。
このように構成された本発明においては、排水管路は、排水トラップ管路とは別体の樹脂部材であるので、下流側の建物配管の位置に応じて位置の微調整を行うことが容易にできる。
まず、図1A及び図2により本発明の第1実施形態による水洗大便器を説明する。図1Aは本発明の第1実施形態による水洗大便器の鉛直方向断面図において、汚物より先行する先行洗浄水が汚物の先行側を流れる様子を示す図であり、図2は図1AのII−II線に沿った断面図である。
図1Aに示すように、水洗大便器1は、便器本体2を備え、この便器本体2の上部の前方側には、ボウル部4が形成され、後方側の上部には導水路6が形成され、導水路6及びボウル部4の下方には、ボウル部4の下部から延びる排水トラップ管路8が形成されている。ボウル部4は、ボウル形状に形成され、汚物を受けるようになっている。水洗大便器1は、例えば、3.8リットル乃至6リットルの洗浄水で洗浄する、節水型の洗い落とし式の水洗大便器である。
本実施形態の水洗大便器1は、本発明を床置き式の洗い落とし式水洗大便器に適用した例であるが、本発明はこれ以外の、例えば、壁掛け式の水洗大便器や、サイホン作用が発生するサイホン式の水洗大便器に適用することもできる。
以下、本発明の実施形態において、図1Aにおける上側を前方、下側を後方とし、便器本体2を前方から見て右側を右側とし、前方から見て左側を左側とする。
水洗大便器1は、さらに、排水トラップ管路8と連通し且つ汚物を下流側の建物配管22に排出させる排水管路である排水ソケット16を有している。
排水ソケット16は、概ね上流側から下流側の順に、上流側排水管路部24、分流部26、遅延流路28及び、下流側排水管路部30を備えている。排水ソケット16は、便器本体2とは別体の樹脂部材である。
図1A、図1B及び図6を参照して、本発明の第1実施形態による水洗大便器において便器洗浄による排水が行われているときの状態を説明する。なお、図1A、図1B及び図6において、汚物Cより先行する流速の比較的低い先行洗浄水の流れを矢印A(A0〜A6)、主に汚物Cの後続側を流れて汚物を押し流す搬送流の流れを矢印B(B0〜B4)で示している。ここで「汚物Cの先行側」とは汚物Cの流れる流路上で、汚物Cよりも先行している前側をいう。「汚物Cの後続側」とは汚物Cの流れる流路上で、汚物Cに続く後側をいう。
図1Aに示すように、洗浄開始時において、矢印A0に示すように、汚物Cより先行して流速の比較的低い先行洗浄水Aが汚物Cの先行側を流れる。汚物Cの先行側を流れる先行洗浄水Aは、洗浄水量も比較的小さい。
なお、ここでいう「コアンダ効果」とは、噴流が固体壁に沿って曲げられる現象であり、水道の蛇口に指を近づけると水流が指のほうに曲げられる現象もコアンダ効果によるものであるとする。
図1Aに示すように、洗浄開始時において、導水路6から溜水部14への洗浄水の落差による流水作用により、汚物を強力に押し流す搬送流Bが形成される。
矢印B0に示すように、汚物Cを押し流すように作用する搬送流Bは汚物Cの周囲且つ主に汚物Cの後続側を流れる。搬送流Bは主に汚物Cの後続側を流れる背負い水を形成する。このような搬送流Bは、流速が比較的高く、且つ洗浄水量も比較的大きい。搬送流Bは、汚物Cを主に後続側から押し流すように作用する。本発明の発明者は、搬送流Bの汚物Cを押し流す力及び搬送流Bの運動エネルギーは、この搬送流Bの水量を増加させることにより、より向上させることができることを見出した。
これにより、汚物Cの搬送への寄与が少ない先行洗浄水Aを搬送流Bに追加し、矢印B4に示すように、汚物Cの搬送流Bの水量を増加させることができ、汚物Cを搬送する搬送性能を向上させることができる。矢印B4は、先行洗浄水Aが搬送流Bに合流し、洗浄水の流量及び体積がともに増加された搬送流Bを示している。
この変形例に関し、上述した第1実施形態と同一部分には同一符号を付し説明は省略する。上述した第1実施形態においては、排水ソケット16の遅延流路28は、入口40と出口44とを共通とし洗浄水を遅延流路28内に一時的に滞在させる貯留タイプの遅延流路である。
しかしながら、第1実施形態においては、変形例として、上述した遅延流路28に代えて、入口40と出口44とを別個に配置し洗浄水の迂回流路を形成する迂回流路タイプの遅延流路128を適用してもよい。
図1A、図1B、図8及び図9を参照して、本発明の第1実施形態の第1変形例による水洗大便器において便器洗浄による排水が行われているときの状態を説明する。なお、図1A、図1B、図8及び図9において、汚物Cより先行する流速の比較的低い先行洗浄水の流れを矢印A(A0〜A4、A7及びA8)、汚物Cを含み且つ主に汚物Cの後続側を流れて汚物を押し流す搬送流の流れを矢印B(B0〜B3、B5及びB6)で示している。この変形例の動作に関しても、上述した第1実施形態と同一部分には同一符号を付し説明は省略する。
図1Aに示すように、便器洗浄開始時において、矢印A0に示すように、汚物Cより先行して流速の比較的低い先行洗浄水Aが汚物の先行側を流れる。
図1A及び図1Bにおいて、矢印B0に示すように、汚物Cを押し流すように作用する搬送流Bは汚物Cの周囲及び主に汚物Cの後続側を流れる。汚物C及び搬送流Bの主流は、矢印B1に示すように、下降管路8cの上昇管路8bと反対側の側壁側に沿って流下する。汚物C及び搬送流Bの主流は、矢印B2に示すように、縦流路34の側壁34aの切欠部36を通過する。さらに、汚物C及び搬送流Bの主流は、矢印B3に示すように、縦流路34内を流下し、遅延流路128の底面50に衝突されること及び遅延流路128に流入されることが抑制される。
しかしながら、第1実施形態においては、変形例として、上述した遅延流路28に代えて、入口40と出口44とを別個に配置し洗浄水の迂回流路を形成する迂回流路タイプの遅延流路228を適用してもよい。
図1A、図1B及び図10を参照して、本発明の第1実施形態による水洗大便器において便器洗浄による排水が行われているときの状態を説明する。なお、図1A、図1B及び図10において、汚物Cより先行する流速の比較的低い先行洗浄水の流れを矢印A(A0〜A4、A9及びA10)、汚物Cを含み且つ主に汚物Cの後続側を流れて汚物を押し流す搬送流の流れを矢印B(B0〜B4)で示している。この変形例の動作に関しても、上述した第1実施形態と同一部分には同一符号を付し説明は省略する。
図1Aに示すように、流速の比較的低い先行洗浄水Aは、水勢が弱く、矢印A1に示すように、下降管路8cの上昇管路8b側の側面8eに沿って流下する。さらに、先行洗浄水Aは、側面8eから分流部26の誘導面34bに沿って滑らかに流下し、矢印A2に示すように、誘導面34bからガイド部32に沿って遅延流路228に向かって導かれる。図10に示すように、先行洗浄水Aの少なくとも一部は、矢印A3に示すように、遅延流路228の入口40に流入する。このとき、先行洗浄水Aは縦流路34の上昇管路8b側を流下するので、出口244に流入することが抑制される。遅延流路228に流入した先行洗浄水Aは、矢印A4に示すように、接続部246から拡張流路248に向かって流れる。先行洗浄水Aは、接続部246において流れの向きが偏向されるので流速が流入時の流速よりも低下される。
図1Bに示すように、汚物C及び搬送流Bの主流は、矢印B1に示すように、下降管路8cの上昇管路8bと反対側の側壁側に沿って流下する。矢印B1に示すような汚物C及び搬送流Bの主流は、矢印A1に示すような先行洗浄水Aより遅いタイミングで流れる。汚物C及び搬送流Bの主流は、矢印B2に示すように、縦流路34の側壁34aの切欠部36を通過する。さらに、汚物C及び搬送流Bの主流は、矢印B3に示すように、縦流路34内を流下し、遅延流路228の底面50に衝突されること及び遅延流路228に流入されることが抑制される。
この変形例に関し、上述した第1実施形態と同一部分には同一符号を付し説明は省略する。
上述した第1実施形態においては、排水トラップ管路8と連通し且つ汚物を下流側の建物配管22に排出させる排水管路である排水ソケット16は、便器本体2とは別体の樹脂部材である。しかしながら、第1実施形態においては、変形例として、排水管路316は、便器本体2と一体に形成された一部材とされていてもよい。一体に形成される便器本体2及び排水管路316は、陶器製であるが、樹脂製であってもよい。
排水ソケット316は、概ね上流側から下流側の順に、上流側排水管路部24、分流部26、遅延流路28及び、下流側排水管路部30を備えている。排水トラップ管路8の下降管路8cと排水ソケット316の上流側排水管路部24とは一体の部材として接続されているので、排水トラップ管路8の出口8dの側面8eが、排水ソケット316の分流部26の誘導面34bとほぼ面一に形成されている。
また、本発明によれば、汚物を搬送する流速の高い搬送流の少なくとも一部を遅延流路28、128、228に向けて沿わせないように下流側排水管路部30、130に導き、搬送流を遅延流路28、128、228に流入しにくくすることができるとともに、汚物より先行する流速の低い洗浄水を選択的に遅延流路28、128、228に流入させることができる。
本実施形態に関し、上述した本発明の第1実施形態による水洗大便器1の部分と同一の部分については同一の符号を付し、それらの説明は省略する。
排水ソケット416は、概ね上流側から下流側の順に、上流側排水管路部424、分流部426、遅延流路428及び、下流側排水管路部430を備えている。排水ソケット416は、便器本体2とは別体の樹脂部材である。
図1A、図1B、図12〜図14を参照して、本発明の第2実施形態による水洗大便器において便器洗浄による排水が行われているときの状態を説明する。なお、図1A、図1B、図12及び図13において、汚物Cより先行する流速の比較的低い先行洗浄水の流れを矢印A(A0、A1、A11〜A17)、主に汚物Cの後続側を流れて汚物を押し流す搬送流の流れを矢印B(B0、B1、B7〜B11)で示している。第2実施形態による水洗大便器401の便器本体2と、第1実施形態による水洗大便器1の便器本体2とはほぼ同じであるので、水洗大便器401の便器本体2内の洗浄水の流れについては、図1A、図1Bを参照して主に説明され、上述した本発明の第1実施形態による水洗大便器1の部分と同一の部分については同一の符号を付し、それらの説明は省略する。
図1Aに示すように、このような便器洗浄開始時において、矢印A0に示すように、汚物Cより先行して流速の比較的低い先行洗浄水Aが汚物Cの先行側を流れる。流速の比較的低い先行洗浄水Aは、水勢が弱く、矢印A1に示すように、下降管路8cの上昇管路8b側の側面8eに沿って流下する。
図1A及び図1Bに示すように、便器洗浄開始時において、導水路6から溜水部14への洗浄水の落差による流水作用により、汚物を強力に押し流す搬送流Bが形成される。
矢印B0に示すように、汚物Cを押し流すように作用する搬送流Bは汚物Cの周囲及び主に汚物Cの後続側を流れる。汚物C及び搬送流Bの主流は、矢印B1に示すように、下降管路8cのうち上昇管路8bと反対側の側壁側に沿って流下する。矢印B1に示すような汚物C及び搬送流Bの主流は、矢印A1に示すような先行洗浄水Aより遅いタイミングで流れる。上流側排水管路部424内に流下した汚物C及び搬送流Bの主流は、図12において矢印B7に示すように、下方に向かって流れ、分流部426に流入する。分流部426に流入した汚物C及び搬送流Bの主流は、図13において矢印B8に示すように、横方向流路434内を横方向に流れる。汚物C及び搬送流Bの主流は、流速が比較的高いので横方向流路434内の左右方向に広がりにくく、横方向流路434をほぼ直進するように流れる。よって、汚物C及び搬送流Bの主流は、矢印B9に示すように、ガイド部432に沿って遅延流路428に向かって導かれにくく直進する。また、汚物C及び搬送流Bの主流は、矢印B9に示すような流れにおいて、横方向流路434の下部の切欠部436を通過する。さらに、汚物C及び搬送流Bの主流は、矢印B10に示すように、横方向流路434内を流下し、遅延流路428の入口440の下流側面450に衝突されること及び遅延流路428に流入されることが抑制される。
これにより、汚物Cの搬送への寄与が少ない先行洗浄水Aを搬送流Bに追加し、矢印B11に示すように、汚物Cの搬送流Bの水量を増加させることができ、汚物Cを搬送する搬送性能を向上させることができる。矢印B11は、先行洗浄水Aが搬送流Bに合流し、洗浄水の流量及び体積がともに増加された搬送流Bを示している。
また、本発明によれば、汚物を搬送する流速の高い搬送流を遅延流路428に向けて沿わせないように下流側排水管路部430に導き、搬送流を遅延流路428に流入しにくくすることができるとともに、汚物より先行する流速の低い洗浄水を選択的に遅延流路428に流入させることができる。
本実施形態に関し、上述した本発明の第1実施形態による水洗大便器1の部分と同一の部分については同一の符号を付し、それらの説明は省略する。
排水ソケット516は、概ね上流側から下流側の順に、上流側排水管路部524、分流部526、遅延流路528及び、下流側排水管路部530を備えている。排水ソケット516は、便器本体2とは別体の樹脂部材である。
図15乃至図17を参照して、本発明の第3実施形態による水洗大便器において便器洗浄による排水が行われているときの状態を説明する。なお、図1A、図1B及び図16において、汚物Cより先行する流速の比較的低い先行洗浄水の流れを矢印A(A0、A1、A18〜A23)、主に汚物Cの後続側を流れて汚物を押し流す搬送流の流れを矢印B(B0〜B3、B12)で示している。第3実施形態による水洗大便器501の便器本体2と、第1実施形態による水洗大便器1の便器本体2とはほぼ同じであるので、水洗大便器501の便器本体2内の洗浄水の流れについては、図1A、図1Bを参照して主に説明され、上述した本発明の第1実施形態による水洗大便器1の部分と同一の部分については同一の符号を付し、それらの説明は省略する。
図1Aに示すように、便器洗浄開始時において、矢印A0に示すように、汚物Cより先行して流速の比較的低い先行洗浄水Aが汚物Cの先行側を流れる。流速の比較的低い先行洗浄水Aは、水勢が弱く、矢印A1に示すように、下降管路8cの上昇管路8b側の側面8eに沿って流下する。
図1A及び図1Bに示すように、便器洗浄開始時において、導水路6から溜水部14への洗浄水の落差による流水作用により、汚物を強力に押し流す搬送流Bが形成される。
矢印B0に示すように、汚物Cを押し流すように作用する搬送流Bは汚物Cの周囲及び主に汚物Cの後続側を流れる。汚物C及び搬送流Bの主流は、矢印B1に示すように、下降管路8cの上昇管路8bと反対側の側壁側に沿って流下する。矢印B1に示すような汚物C及び搬送流Bの主流は、矢印A1に示すような先行洗浄水Aより遅いタイミングで流れる。
これにより、汚物Cの搬送への寄与が少ない先行洗浄水Aを搬送流Bに追加し、矢印B12に示すように、汚物Cの搬送流Bの水量を増加させることができ、汚物Cを搬送する搬送性能を向上させることができる。矢印B12は、先行洗浄水Aが搬送流Bに合流し、洗浄水の流量及び体積がともに増加された搬送流Bを示している。
また、本発明によれば、汚物を搬送する流速の高い搬送流を遅延流路528に向けて沿わせないように下流側排水管路部530に導き、搬送流を遅延流路528に流入しにくくすることができるとともに、汚物より先行する流速の低い洗浄水を選択的に遅延流路528に流入させることができる。
なお、第3実施形態による水洗大便器501によれば、上述した第1実施形態による水洗大便器1による効果と同様の効果を奏するため、他の効果については説明を省略する。
図18Aは本発明の各実施形態の水洗大便器の排水ソケットの分流部及び遅延流路を適用することができる水洗大便器として、床向きに開口する排水トラップ管路と、壁面から延びる建物配管とを接続する排水ソケットを備えた水洗大便器を示す断面図であり、図18Bは本発明の各実施形態の水洗大便器の排水ソケットの分流部及び遅延流路を適用することができる水洗大便器として、壁向きに開口する排水トラップ管路と、壁面から延びる建物配管とを接続する排水ソケットを備えた水洗大便器を示す断面図であり、図18Cは本発明の各実施形態の水洗大便器の排水ソケットの分流部及び遅延流路を適用することができる水洗大便器として、壁向きに開口する排水トラップ管路と、床面から延びる建物配管とを接続する排水ソケットを備えた水洗大便器を示す断面図である。
この場合、排水ソケット616Aは、建物配管Pと連通し、横方向に延びる横方向領域a1と、横方向領域a1および鉛直下方に延びる便器本体Tの排水トラップ管路出口Toを連通する略L字状の屈曲領域a2とに分割できる。
一変形例として、このような形状の排水ソケット616Aにおいては、横方向領域a1において第2実施形態で説明した分流部426及び遅延流路428を適用できる。また、別の一変形例として、排水ソケット616Aにおいては、屈曲領域a2において、第1実施形態の分流部26及び遅延流路28,228を適用できる。また、さらに別の一変形例として、排水ソケット616Aにおいては、屈曲領域a2において、第3実施形態の分流部526及び遅延流路528を適用できる。
一変形例として、このような形状の排水ソケット616Bにおいては、横管において第2実施形態で説明した分流部426及び遅延流路428を適用できる。
この場合、排水ソケット616Cは、水平方向に開口している便器本体Tの排水トラップ管路出口Toと連通した略L字状の第1屈曲領域c1と、この第1屈曲領域c1と鉛直方向で一端が連通し、他端が水平方向に延びる略L字状の第2屈曲領域c2と、この第2屈曲領域と連通し、横方向に延びる横方向領域c3と、この横方向領域c3と連通し、鉛直方向に延びる建物配管Pと連通した第3屈曲領域c4とに分割できる。
一変形例として、排水ソケット616Cにおいては、第2屈曲領域c2において、第1実施形態の分流部26及び遅延流路28,228を適用できる。また、さらに別の一変形例として、排水ソケット616Cにおいては、第2屈曲領域c2において、第3実施形態の分流部526及び遅延流路528を適用できる。さらに別の一変形例として、排水ソケット616Cにおいては、横方向領域c3において第2実施形態で説明した分流部426及び遅延流路428を適用できる。さらに別の一変形例として、排水ソケット616Cにおいては、第2屈曲領域c2と第3屈曲領域c4とを接続するように、第1実施形態で説明した分流部26及び遅延流路128を適用できる。
2 便器本体
4 ボウル部
6 導水路
8 排水トラップ管路
8a 入口管路
8b 上昇管路
8c 下降管路
8d 出口
8e 側面
10 リム
12 リム吐水口
14 溜水部
16、316、416、516 排水ソケット
18 洗浄水タンク装置
18a 入口部
20 洗浄水タンク
20a 排水口
22 建物配管
24、424、524 上流側排水管路部
26、426、526 分流部
28、128、228、428、528 遅延流路
30、130、430、530 下流側排水管路部
32、432、532 ガイド部
34、534 縦流路
34a、434a、534a 側壁
34b、434b、534b 誘導面
36、536 切欠部
40、440、540 入口
44、144、244、444、544 出口
46、146、246、446、546 接続部
48、148、248、448、548 拡張流路
50、550 底面
50a、450a、550a 端部
424a 屈曲部
430a 屈曲部
434 横方向流路
438 接続部分
450 下流側面
538 接続部分
616A 排水ソケット
616B 排水ソケット
616C 排水ソケット
A 先行洗浄水
B 搬送流
C 汚物
F 床
P 建物配管
Z 鉛直線
Z2 仮想線
Claims (15)
- 洗浄水により洗浄され汚物を排出する水洗大便器であって、
汚物を受けるボウル部と、このボウル部の下部から延びる排水トラップ管路と、を備えた便器本体と、
上記排水トラップ管路と連通し且つ前記汚物を下流側の建物配管に排出させる排水管路とを有し、
上記排水管路が、
上記排水トラップ管路の下流側と連通する上流側排水管路部と、
上記上流側排水管路部の下流側に設けられる分流部と、
上記分流部の下流側に設けられる下流側排水管路部と、
上記分流部から分岐された遅延流路とを備え、
上記分流部は、上記排水トラップ管路から供給される流速の低い洗浄水を自身に沿わせて上記遅延流路に導く一方で上記排水トラップ管路から供給される流速の高い洗浄水を上記遅延流路に向けて沿わせないように上記下流側排水管路部に導くガイド部を備え、
上記遅延流路は、上記分流部の上記ガイド部によって流入された洗浄水を、流入されたときよりも後に上記分流部に到達する洗浄水の流れに合流させる、水洗大便器。 - 上記排水トラップ管路は、上記ボウル部の下部と接続する入口管路と、上記入口管路から斜め上方に延びる上昇管路と、上記上昇管路から下降する下降管路とを備え、
上記排水管路の上記分流部は、上下方向に延びる縦流路部を備え、
上記分流部の上記ガイド部は、上記縦流路部から上記排水トラップ管路の上記上昇管路側に形成されると共に、上記分流部の上記縦流路部と上記遅延流路との間に形成されている請求項1記載の水洗大便器。 - 上記分流部のガイド部は、斜め下方に延び且つ鉛直線に対して鋭角の角度を形成する請求項2に記載の水洗大便器。
- 上記分流部の上記ガイド部は、上記縦流路部を形成する側壁のうち上記排水トラップ管路の上記上昇管路側に形成され、且つその上記上昇管路と反対側の側壁側に切欠部を形成する請求項2又は3に記載の水洗大便器。
- 上記分流部の上記ガイド部と上記縦流路部を形成する上記側壁との接続部分は湾曲面を形成している請求項2乃至4の何れか1項に記載の水洗大便器。
- 上記遅延流路の底面は、上記分流部の上記ガイド部の下方且つ上記ガイド部に対向している位置まで、上記分流部内に突出するように形成される請求項2乃至5の何れか1項に記載の水洗大便器。
- 上記遅延流路の上記底面の端部が、上面視において、上記縦流路部より外側に位置している請求項6に記載の水洗大便器。
- 上記分流部の上記縦流路部には、その上端から上記ガイド部の上端までほぼ鉛直方向に延びる誘導面が形成されている請求項2乃至7の何れか1項に記載の水洗大便器。
- 上記排水管路は、上記便器本体とは別体の樹脂部材である請求項1乃至8の何れか1項に記載の水洗大便器。
- 上記分流部の上記縦流路部には、その上端から上記ガイド部の上端までほぼ鉛直方向に延びる誘導面が形成され、
上記排水トラップ管路の出口部の側面が、上記排水管路の上記分流部の上記誘導面とほぼ面一に形成されている請求項9に記載の水洗大便器。 - 上記排水管路の上記分流部は、横方向に延びる横方向流路を形成し、
上記分流部の上記ガイド部は、上記分流部の上記横方向流路と上記横方向流路から左右方向に延びる上記遅延流路との間に形成されている請求項1記載の水洗大便器。 - 上記分流部の上記ガイド部と上記横方向流路の上記側壁との接続部分は湾曲面を形成している請求項11に記載の水洗大便器。
- 上記遅延流路の下流側面は、上記分流部の上記ガイド部の下流側且つ上記ガイド部に対向している位置まで、上記分流部内に突出するように形成される請求項11又は12に記載の水洗大便器。
- 上記遅延流路の上記下流側面の端部が、上記横方向流路の上流側から見た側面視において、上記横方向流路より外側に位置している請求項13に記載の水洗大便器。
- 上記排水管路は、上記排水トラップ管路とは別体の樹脂部材である請求項11乃至14の何れか1項に記載の水洗大便器。
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