JP2018044205A - めっき方法 - Google Patents

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慎太郎 有倉
Shintaro Arikura
慎太郎 有倉
泰 大川
Yasushi Okawa
泰 大川
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Abstract

【課題】低温焼成セラミック(LTCC)基板の無電解めっきにおいて、導体に対して置換反応が弱いため、導体の焼結状態によっては部分的な未着が生じる場合がある。めっき未着の対策として触媒の付与力を強めると、過剰な付着力により触媒が基材に担持され、導体部以外にニッケルが析出し、短絡やコンタミの発生源となっていた。【解決手段】 めっきの未着と過剰析出を共に解決するため、本発明では、基板表面を脱脂する脱脂工程、基板表面を活性化する活性化工程、触媒を付与する触媒付与工程の後であって、めっき被膜を形成する無電界めっき工程の前に、前記触媒を除去する触媒除去工程を備えるようにした。【選択図】図1

Description

本発明はガラスセラミック基板へのめっきに関するものであり、特に、導体上に無電解めっきを施すめっき方法に関するものである。
半導体素子やキャパシタ、抵抗など、素子部品を複数個搭載するマルチチップモジュールのパッケージ用配線基板には、セラミック基板が用いられている。一般的なセラミック基板は1500℃以上の高温で焼成するため、耐火性の良い金属 (タングステンやモリブデン)が適用されている。ただし、これらの金属は電気抵抗が大きいものが多いため、伝送線路の周波数特性が良い導体が要求される高周波基板などにおいては、導体抵抗の小さい金属にガラス成分を混ぜ、焼成温度を850℃から1000℃の範囲に低温化した、低温焼成ガラスセラミック基板(LTCC基板:Low Temperature Co-fired Ceramics)も広く使用されている。
LTCC基板には、ガラスセラミックから成る絶縁基材と金属材料(銀や銅)を主成分とする焼結体からなる配線導体(銀焼結導体)から構成される。このLTCC基板の銀焼結導体は、素子部品とワイヤボンディングで接続され、はんだを介して外部電気回路である樹脂製のプリント基板に接続される。
一般的に、配線導体の表面には、接続に必要なワイヤボンディング性とはんだ付け性の両方の特性を満たす多層の無電解めっき皮膜が施されており、近年ではニッケルめっき膜、金めっき膜、パラジウムめっき膜の実用が確認されている。その工程は、活性化処理、触媒付与、ニッケルめっきを代表として金、パラジウム、その他金属の多層のめっき皮膜を形成させる複数の無電解めっき工程から構成される。
導体の上に直接形成するめっき皮膜として最も一般的に用いられているめっき種は無電解ニッケルめっきである。ニッケルめっきを導体上に置換析出させるため、ニッケルめっき工程の直前に塩化パラジウムを代表とする置換反応を助長する金属種の触媒を付与する工程を設ける。
特開2009−249656号公報
LTCC基板にめっき皮膜を形成する際、基板焼成時において銀焼結導体表面に基材起因のガラス成分が集中する“ガラス浮き”という現象が生じる。ガラス浮きが生じた部分は触媒の吸着反応やニッケルの置換反応に対して不活性であるため、めっき皮膜が成長せずにめっきの未着が生じるおそれ、局所的に反応が阻害されピンホールが生じるおそれ、または、析出しためっきの皮膜の厚さにばらつきが生じるおそれがある。ガラス浮きの程度は、銀焼結導体に含まれる銀や添加金属、焼結のためのバインダーの含有量、焼結温度や加熱時間、加熱時の温度上昇速度、冷却時間、冷却時の温度低下速度、セラミック基材に含まれる材料により異なる。そのため、同時にめっき処理した一枚の基板の中でもめっきの析出性に差が大きく、基板に付着した触媒の性能が不足している、またはニッケルめっき液の活性が小さい状況では、部分的なめっき未着が生じるという課題があった。
このようなめっき未着を抑制するため、一般的にはニッケルめっき直前の触媒付与工程の条件を強めること、ニッケルめっき液の活性を上げることで対策が講じられている。しかし、上述の対策により過反応が生じ、本来は絶縁体として導電性を有さない部分までもニッケルやその他の金属が析出してしまうという課題が生じる。
基板の形状・導体面積・導体表面の酸化状態やめっき液の活性によっては、めっき未着が発生せず、かつ異常析出が発生しないという状態にマージンがなく、安定しためっきプロセスの確立が難しいことがある。このようにめっきプロセス側の条件変更で対処ができない場合は、基板側の焼成条件、適用材料の変更、設計仕様の変更を余儀なくされていた。
上述の通り、従来のLTCC基板へのめっきにおいては、めっき未着を抑制するためには、ニッケルめっき直前の触媒付与力を強めること、ニッケルめっき液の活性を上げることで対策が講じられている。いずれの対策にしても、ニッケルの析出反応が過剰となることから、導体外へのニッケル析出を引き起こすとともに、めっきカジリの発生、触媒付与液やニッケルめっき液の寿命低下、ランニングコストの増大を引き起こす。また、廃棄されるめっき液の量も増えることから、環境に与える悪影響を低減化する対策も必要とされる。
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、めっき未着と異常析出が共に発生せず、めっきの付きまわり品質を向上したプロセスを提供することを目的とする。
この発明に係るめっき方法は、低温焼成セラミック(LTCC)基板に無電解めっきを行うめっき方法であって、基板表面を脱脂する脱脂工程、基板表面を活性化する活性化工程、触媒を付与する触媒付与工程の後であって、めっき被膜を形成する無電界めっき工程の前に、前記触媒を除去する触媒除去工程を備える。
本発明のめっき方法によれば、導体の焼結状態によらず析出反応が開始される触媒付与やニッケルめっき条件の見極めと、溝部に付着した触媒を安定して除去できる条件の設定することにより、未着や異常析出が発生せず、めっきの付きまわり品質を向上したプロセスの構築が可能となる。
本発明の実施の形態1によるめっきプロセスの構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1によるセラミック焼結体と銀焼結導体の断面構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1によるダミー基板のハーフカット溝への異常析出を示す図である。 本発明の実施の形態1によるハーフカット溝に付着した触媒の除去状態を示す図である。 本発明の実施の形態1によるセラミック焼結導体上に析出した金属めっき層の断面構成を示す図である。
実施の形態1.
この発明に係るめっき方法は、セラミック基材と銀焼結導体とから構成されるセラミック基板において、表面を脱脂及び活性化する脱脂・活性化工程、触媒を付与する触媒付与工程、めっき皮膜を形成する無電解めっき工程を備えるめっきにおいて、触媒付与工程と無電解めっき工程との間に、触媒除去工程をさらに備えるものである。以下、詳細について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1によるめっきプロセスの構成を示すブロック図である。 図1において、セラミック配線基板における無電解めっき方法は、銀焼結導体の表面に脱脂工程(S101)、活性化工程(S102)、触媒化工程(S103)、無電解ニッケルめっき工程(S104)、無電解パラジウムめっき工程(S105)、及び置換型無電解金めっき工程(S106)を備え、触媒付与工程と無電解ニッケルめっき工程との間に触媒除去工程を行う方法である。
めっき処理前のセラミック基板について、また、各々の処理工程について説明する。
先ず、めっき処理前のセラミック基板について説明する。
図2は、本発明の実施の形態1で使用するセラミック基板の断面図である。図2に示すとおり、一般的に低温焼成セラミック基板(LTCC基板)は、ガラスセラミックである絶縁基材1と金属焼結導体2とから構成される。ガラスセラミックは、アルミナや二酸化ケイ素等で構成された酸化化合物であることが好ましい。金属焼結導体2は、搭載する電子部品パッケージや素子、配線によって設計を行う。また、金属焼結導体2を形成する金属としては、焼結時の収縮率や焼結後の基板のひずみ、無電解めっきを施す電子部品等に要求される特性が満たされるような性質を持つものを選択する。この発明では、金属焼結導体として銀にロジウム等を含む銀ロジウム合金を用いている。
次に、ステップS101の脱脂工程を説明する。ステップS101の脱脂工程において、銀焼結導体2の表面に付着した油分、有機物を除去する。脱脂処理液としては従来公知の脱脂液が使用できる。本発明においては、脱脂、ぬれ性付与のため5%程度の界面活性剤、アミノエタノール、カルボン酸、2%のジエチレントリアミンを水に溶解した液を用いている。基材や導体への浸食性を考慮すると、エッチング量の少ない界面活性剤を含有した処理液が好ましいが、油分除去能力をもつ弱酸である有機酸系の処理液を使用することもできる。
界面活性剤が含まれる液を使用した場合、銀焼結導体2の表面に脱脂液成分が残渣し後工程の処理の妨げとなるため、直後の洗浄で残渣を取りきること、次工程へ処理液を持ち込まないことが重要となる。純度1μS/cm程度の純水を用いて3段のオーバーフロー洗浄を実施したとしても、各処理液後の水洗槽を共有した場合は使用する治具や基板の形状、水洗水の浴量や導体材料によってニッケルめっきの未着やめっき膜厚の異常を引き起こすことが判明している。本発明においては、脱脂工程の洗浄槽とその他の水洗槽を共有せず、物理的に隔離した状態で洗浄を実施している。
次に、ステップS102の活性化工程を説明する。ステップS102の活性化工程において、銀焼結導体2の表面に形成された酸化皮膜や異物を除去して銀焼結導体2を活性化する。活性処理液としては従来公知である液が使用できる。本発明においては、濃度30g/Lのシアン化カリウムを用いている。シアン化合物からなる処理液を使用する場合、ステップS103の触媒付与工程にシアンが持ち込まれると銀焼結導体に対する触媒の付着が阻害されることが判明している。よって、触媒付与液へのシアン持込みを抑制するため、本発明においては活性化液に浸漬した後、硝酸濃度5%程度の中和液に浸漬している。
次に、ステップS103の触媒付与工程を説明する。ステップS103の触媒付与工程において、ステップS102で活性化された銀焼結導体2の表面にパラジウムを例とする、ニッケルの置換析出を助長する働きをもつ金属触媒を形成する。
この発明の発明者は、ステップS103の触媒付与工程において銀焼結導体に対して安定して触媒が付着する条件を見出し、かつ触媒付与工程後に触媒除去工程を設け、銀焼結導体上に付着する触媒パラジウムを除去せずに、ハーフカット溝3などの絶縁基材上に付着した触媒を選択的に除去することでめっき未着に対するマージンを確保しながら異常析出を抑制させることができるという性質を見出した。
本発明においては、pH7の無機塩類、リン酸、水酸化ナトリウム、塩化パラジウム、アミノカルボン酸を含有した液を用いている。焼結時において良好な収縮性能を持つ銀-ロジウム合金導体に対しては、液温30℃、浸漬時間5分、パラジウム濃度50ppmでは付着量が安定せず、洗浄性や銀焼結導体の活性状態によってはニッケルの置換反応が開始されるために必要な量が付着していない状態であることが明らかとなった。触媒パラジウムを安定して付着させるためには、塩化パラジウムの濃度を150ppmまで増加させる必要がある。
めっき未着抑制のためには含有パラジウム濃度の増加による対策が好ましいが、浸漬時間を延長させることでもわずかながら未着が抑制できる。液温30℃、パラジウム濃度50ppmで浸漬時間を20分に増大した場合、面積比で5%程度、発生していたニッケルの部分未着が0%まで抑制された。
触媒付与液は上記温度範囲で用いることが好ましいが、LTCC基板の状態にあわせて適宜、液温を調整して用いてもよい。
次に図3、図4を用いて触媒除去工程を説明する。
図3は、ダミー基板のハーフカット溝への異常析出状態を示す図である。
図4は、実施の形態1によるハーフカット溝に付着した触媒の除去状態を示す図である。
一般的にセラミック基板は焼成後に硬くもろいセラミックを切断する加工が難しいため、焼成前にダイジングカット加工などを行い、焼結後にせん断分割するためのハーフカット溝3を設ける。ステップS103の触媒付与工程において、触媒パラジウム4は銀焼結導体2だけではなく、セラミック絶縁基材1上にも付着する。セラミック絶縁基材1上に付着した触媒パラジウム4はステップS105までの水洗により容易に脱落するが、ハーフカット溝3に付着した触媒パラジウム4はセラミック絶縁基材1の形状により液対流の影響を受けにくく脱離しづらい。したがって、ハーフカット溝3の奥に付着した触媒パラジウム4ほど除去されにくくステップS105無電解ニッケルめっき工程まで残渣することが判明している。ステップS105無電解ニッケルめっき工程において、ハーフカット溝3に付着した触媒パラジウム4を起点としてセラミック絶縁基材1の表面でもニッケルの置換反応が発生し、ハーフカット溝3の奥部にニッケルめっきが異常析出してしまう。この現象は、ニッケルめっきの未着を抑制するため触媒付与力を強めた場合、より顕著に発生する。
ステップS104触媒除去工程において、本発明においては、触媒除去液としてpH9.3のナトリウム化合物を含有する弱アルカリ性の塩化パラジウム溶解作用を持つ処理液を用いている。
パラジウム除去液への浸漬時間は触媒付与工程での液種、浸漬時間、液温、ニッケルめっきの処理温度、撹拌、揺動速度、液濃度に影響されるため特に限定されないが、液温は銀焼結導体上に付着した触媒パラジウムを除去しないことから、溶解反応の速度を速めすぎない10〜35℃程度に調整しておくことが好ましい。絶縁基材上に付着した触媒の脱離しやすさは、基板の凹凸、キャビティの有無、ハーフカット溝の形状にもよるため、揺動・撹拌を実施しておくことが好ましい。本発明における触媒付与工程においては、ハーフカット溝を5mmピッチ、10×10のラインで加工したダミーセラミック基板を用いて、pH7、パラジウム濃度100ppm塩化パラジウム系の触媒付与液に温度30度、時間20分で浸漬して触媒を付着させた。この条件は、試験的にハーフカット溝に触媒が残渣しやすいよう、付着力を強めた条件である。後に、触媒除去液に0分、1分、5分、10分それぞれ浸漬して、無電解ニッケルめっきを実施した。結果、0分浸漬した基板はハーフカット溝部すべてにニッケルが異常析出した。除去液に1分浸漬した基板は面積比で95%の異常析出が抑制され、5分間浸漬した基板は99%以上の異常析出が抑制された。10分間浸漬した基板においては、100倍の拡大顕微鏡を用いて観察してもハーフカット溝部に異常析出はみられなかった。また、各基板に対し銀焼結配線パターンを印刷した基板を無電解ニッケルまで同バッチ処理しており、いずれの基板においてもニッケルの未着は発生しなかった。このことから、導体種、液温にもよるが触媒パラジウム除去液へ5分から10分浸漬すると、導体上に付着した触媒パラジウムは除去せずに、かつハーフカット溝に付着した触媒パラジウムは除去することができる。上述の方法により、導体上はめっき未着を発生させず、ハーフカット部の異常析出を抑制することが可能となる。
次に、無電解ニッケルめっき工程について説明する。
図5は、セラミック焼結導体上に析出した金属めっき層の断面を示す図である。
ステップS105の無電解ニッケルめっき工程において、図5に示すように、銀焼結導体2の表面に無電解ニッケルめっき皮膜6を形成する。この工程に用いる無電解ニッケルめっき液には、無電解ニッケルめっきのための公知のめっき液が使用できる。例えば、金属塩として2wt%の硫酸ニッケル、還元剤として2wt%の次亜リン酸ナトリウム、錯化剤として10wt%のクエン酸、リンゴ酸、コハク酸等を含み、硫酸または水酸化ナトリウムを用いてpHを4.5に調整するめっき液等が使用できる。この発明において特に断らない限りwt%は、調整した溶液全体に対する値をいう。
無電解ニッケルめっき条件において、LTCC基板の無電解ニッケルめっき液への浸漬時間と液温は、用いる液に含まれる光沢剤、安定剤、還元剤等の量によるため、特に限定されるものではない。液温が高い場合はパターン外のめっきはみだし、めっきカジリが発生し、液温が低い場合はめっき未着や析出速度低下などの析出異常を引き起こすことが判明しているため、80〜88℃付近で実施することが好ましい。液温と浸漬時間は、目標とする膜厚や電気特性、配線パターン精度により設定範囲を定める必要がある。液成分や添加材料によっても変化するが、めっき時間20分とすることで、4μm程度の無電解ニッケル皮膜が得られる。
次に、無電解パラジウムめっき工程を説明する。図5は、セラミック焼結導体上に析出した金属めっき層の断面を示す図である。
ステップS106の無電解パラジウムめっきにおいて、図5に示すように、無電解ニッケルめっき工程(S105)において形成された無電解ニッケルめっき皮膜6上に無電解パラジウムめっき皮膜7を形成する。この工程に用いる無電解パラジウムめっき液には、従来から用いられている、次亜リン酸系、亜リン酸系、ギ酸塩系パラジウムめっき液が使用できる。例えば、次亜リン酸系の液では、金属塩として塩化パラジウム、酢酸パラジウム等のパラジウム化合物、還元剤として次亜リン酸ナトリウム、錯化剤としてエチレンジアミン四酢酸等のアミン化合物、及びpH調整剤等を含むめっき液を用いる。
無電解パラジウムめっき条件において、LTCC基板の無電解パラジウムめっき液への浸漬時間と液温とは、所望の膜厚の無電解パラジウムめっき皮膜6を得るように、適宜、設定できる。例えば、次亜リン酸系の無電解パラジウムめっき液を使用した場合、液温50℃、めっき時間5分とすることで、0.1μmの無電解パラジウムめっき皮膜6が得られる。
次に、図5を用いて置換型無電解めっき工程を説明する。図5は、セラミック焼結導体上に析出した金属めっき層の断面を示す図である。
ステップS107の置換型無電解金めっき工程において、図5に示すように、無電解パラジウムめっき工程により形成された無電解パラジウムめっき皮膜7上に置換型無電解金めっき皮膜8を形成する。この工程に用いる置換型無電解金めっき液には、従来から用いられている、シアン系、亜硫酸金系の金めっき液が使用できる。例えば、シアン系のめっき液としては、金属塩としてシアン化金カリウム、錯化剤としてエチレンジアミン四酢酸、クエン酸等、及びpH調整剤等を含むめっき液が使用できる。また、亜硫酸金系のめっき液としては、金属塩として亜硫酸金ナトリウム等、錯化剤として亜硫酸ナトリウム、エチレンジアミン等を含むめっき液が使用できる。
置換型無電解めっき条件において、LTCC基板の置換型無電解金めっき液への浸漬時間と液温とは、所望の膜厚の置換金めっき皮膜を得るように、適宜、設定できる。例えば、シアン系の置換型無電解金めっき液を使用した場合、液温84℃、めっき時間10分とすることで、0.07μmの置換型金めっき皮膜が得られる。このようにして、図5に示すガラスセラミック基板が得られる。
即ち、図4に示した通り、ステップS101〜S107で得られるセラミック基板のハーフカット溝3においては触媒パラジウム4が脱離し図3に示したニッケルの異常析出3が抑制され、銀焼結導体2上にニッケルめっき皮膜6が形成され、ニッケルめっき皮膜6上にパラジウムめっき皮膜7が形成され、パラジウムめっき皮膜7上に置換型金めっき皮膜8が形成される。
課題で述べた通り、従来、めっき未着を抑制するため、一般的にはニッケルめっき直前の触媒付与工程の条件を強めること、ニッケルめっき液の活性を上げることで対策が講じられている。しかしながら、過剰に活性化されたニッケルめっき液における処理では、本来は導体上にのみニッケルが置換するはずが、導電性を有さず非金属材料であるセラミック、ガラス材の上までニッケルやその他の金属が析出してしまうというリスクが高まる。
特に、ニッケルめっきの異常析出は基板の凹凸が大きい箇所や、狭隘部などに発生しやすい。一般的に、LTCC基板は製造コスト低減のため、1枚のシート材に同一もしくは類似した導体を4〜80形成し、焼成・めっき工程を複数導体まとめて処理することが多い。そのため、めっき後に製品へ搭載するサイズへ分割できるよう、セラミック基材を焼成する前に数μm〜数mmの深さの切込みを入れる、ダイジングカット等の加工処理を行う。加工によって生じたハーフカット溝は焼結中に収縮して複雑な狭隘部を形成するため、めっき工程における処理液は溝にトラップされやすい。触媒付与工程における触媒付与液もまた然りであり、ハーフカット溝に残渣した触媒付与液はその直後の洗浄によっても除去されにくく、その後のニッケルめっき工程において残渣した触媒を起点にめっきが析出してしまう。
異常的に銀焼結導体以外の箇所に析出したニッケル粒子は、導体に析出した層状のニッケルめっきに比べて密着強度が遥かに低く、容易に脱落することが確認されている。したがって、製品実装後の振動などにより脱落してコンタミとなり、回路の短絡や抵抗異常を誘発する要因となる。ハーフカット溝に析出した異物は製品実装時に端面の位置となることからさらにコンタミ要因となりやすく、特に優先して析出を抑制する対策を講じる必要があった。
このような課題に対し、実施の形態1に係るめっき方法では、触媒付与工程において触媒の担持力を強め、触媒付与工程と無電解ニッケルめっき工程との間に触媒除去工程を行い、過剰付着した触媒パラジウムを除去しているため、めっきの未着を抑制しつつも異常析出を抑制することができる。
これにより、めっき後の工程でのコンタミ源発生を抑制できる。また、各めっき工程において、異常析出物が液中に脱離することがなくなるため、処理液の長寿命化が見込める。
また、焼結時に発生したセラミック基材の窪みにトラップされた触媒パラジウムに対しても除去することができる。これにより、導体配線外へのめっき異常を抑制することが可能であり、電気特性異常やはんだ接合不良を抑制することができる。これらのことにより、LTCC基板モジュールの信頼性向上を得ることができるという効果を奏する。
より詳しくは、実施の形態1に係るめっき方法によれば、ニッケルの析出反応が開始される程度までめっき条件を強めて、かつ除去力を調整したアルカリ性のパラジウム触媒の除去工程を設けることで、導体上に析出したパラジウム触媒を除去せず、導体部以外の不要なパラジウム触媒を選択的に溶解させることが可能となる。これによって、めっき未着の発生を抑制しつつ、かつハーフカット溝や導体外にめっき種の金属が析出することを抑制できる。その結果、安定してめっきが可能となるマージンが拡大し、めっき品質の向上効果が得られる。
また、めっき未着に対する対策として、実施の形態1に加えて脱脂工程、活性化工程
の条件を強化する手段もある。脱脂液の浸漬時間増加、濃度上昇、エッチング量増大、シアン化合物の触媒液の持ち込み改良、水洗性の向上(多段水洗化、シャワー水洗の導入)、建浴・洗浄水に純度が高い水を用いる等の対処により、基板の表面活性状態が向上する。
また、めっき未着に対する対策として、実施の形態1に加えて触媒付与工程の条件を強化する手段もある。触媒付与液の浸漬時間増加、濃度上昇、液温上昇により、基板に吸着する触媒パラジウムの付着量が向上する。
また、めっき未着に対する対策として、実施の形態1に加えて無電解ニッケルめっき工程の活性を強める手段もある。ならしめっきの導入・増加、撹拌速度低下、揺動速度低下
液温上昇、還元剤増加、安定剤、抑制剤を低下(Pb、Bi、Tl、Cd)、ニッケル濃度増加等により、基板に吸着する触媒パラジウムの付着量が向上する。
なお、実施の形態および実施例ではパラジウム触媒を例に挙げ、LTCC(ガラスセラミック)基板の銀焼結導体に対して、無電解ニッケルめっきを施す場合について説明した。本発明のめっき装置のめっきプロセスは、このような無電解ニッケルからなるめっきプロセスに限られるものではなく、また、被めっき物としてLTCC基板の銀焼結導体に対するめっきのためだけに適用されるものではない。さらに、異常析出抑制の観点では、ハーフカット溝に限らず凹凸の深いセラミック基材上や絶縁部材など、導体の付着が静電的なものではない被めっき物への異常析出に対しても同様の効果が得られる。
1セラミック基材、2 銀焼結導体、3 ハーフカット溝、4 触媒、5 異常析出したニッケル粒子、6 ニッケルめっき層、7 パラジウムめっき層、8 金めっき層。

Claims (4)

  1. 低温焼成セラミック(LTCC)基板に無電解めっきを行うめっき方法であって、
    基板表面を脱脂する脱脂工程、基板表面を活性化する活性化工程、触媒を付与する触媒付与工程の後であって、めっき被膜を形成する無電界めっき工程の前に、前記触媒を除去する触媒除去工程を備えることを特徴とするめっき方法。
  2. 低温焼成セラミック(LTCC)基板に設けられた配線導体は銀焼結導体であり、
    前記触媒付与工程において、パラジウムを含有する触媒付与処理液に前記低温焼成セラミック(LTCC)基板を浸漬し、
    前記触媒除去工程において、ナトリウム化合物を含有する触媒除去処理液に、前記低温焼成セラミック(LTCC)基板を浸漬することを特徴とする請求項1記載のめっき方法。
  3. 前記低温焼成セラミック(LTCC)基板は、ハーフカット溝を有することを特徴とする請求項1、2いずれか記載のめっき方法。
  4. 前記触媒付与処理液は、pH7の無機塩類、リン酸、水酸化ナトリウム、塩化パラジウム、アミノカルボン酸を含有した液であり、
    前記触媒除去処理液は、pH9.3のナトリウム化合物を含有する弱アルカリ性溶液であることを特徴とする請求項2記載のめっき方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110724940A (zh) * 2019-10-24 2020-01-24 中电国基南方集团有限公司 一种低温共烧陶瓷基板化学镀镍钯金工艺方法
JP2020161785A (ja) * 2019-03-27 2020-10-01 サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. 積層型キャパシタ

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