JP2018043249A - H形鋼の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】粗圧延工程において、スラブ等の素材の端面に鋭角の先端形状をした突起部で深く割り込みを入れ、それによって形成されたフランジ部を順次折り曲げるといった工程を行う際に、従来に比べフランジ厚の大きなH形鋼製品を製造する。
【解決手段】粗圧延工程、中間圧延工程、仕上圧延工程を備えたH形鋼の製造方法であって、前記粗圧延工程を行う圧延機には、被圧延材を造形する複数の孔型が刻設され、当該複数の孔型は、被圧延材の幅方向に対し鉛直に割り込みを入れて被圧延材端部に分割部位を形成させる突起部が形成された複数の割り込み孔型と、前記割り込みに当接し、前記割り込み孔型において形成された分割部位を順次折り曲げる突起部が形成された複数の折り曲げ孔型と、を含み、前記複数の割り込み孔型のうちいずれか1つの孔型において所定の圧下量でのエッジング圧延を行う。
【選択図】図10

Description

本発明は、例えば矩形断面であるスラブ等を素材としてH形鋼を製造する製造方法に関する。
H形鋼を製造する場合には、加熱炉から抽出されたスラブやブルーム等の素材を粗圧延機(BD)によって粗形材(所謂ドッグボーン形状の被圧延材)に造形し、中間ユニバーサル圧延機によって上記粗形材のウェブやフランジの厚さを圧下し、併せて前記中間ユニバーサル圧延機に近接したエッジャー圧延機によって被圧延材のフランジに対し幅圧下や端面の鍛錬と整形が施される。そして、仕上ユニバーサル圧延機によってH形鋼製品が造形される。
近年、建築構造物の大型化や海洋構造物への利用に伴い、従来に比べ大型のH形鋼製品の製造が求められており、特に、フランジ幅やフランジ厚を増した製品が望まれている。スラブ等の矩形断面素材を用いた製造工程において、フランジ幅及びフランジ厚を増やす技術としては、被圧延材の上下端面(スラブ端面)に割り込みを形成させて当該割り込みを押し広げる技術(所謂ウェッジ法)が知られている。
このうち、フランジ厚を増厚する技術については、例えば特許文献1に、被圧延材の上下端部(スラブ端面)を拘束せずに割り込みを形成させ、エッジング圧延を行うことで当該割り込みを押し広げる技術が開示されている。この技術によれば、エッジング圧延の圧下率に応じてフランジの増厚を図ることが可能である。
また、例えば特許文献2には、被圧延材の上下端部(スラブ端面)の両側を拘束した状態で圧下を加えて割り込みを押し広げるエッジング圧延を行う技術が開示されている。この技術によれば、被圧延材の上下端部両側を拘束して圧下を行っているため、フランジ先端部に肉溜まりを生じさせ厚肉化を図ることが可能である。
特開平11−347601号公報 特開平7−88501号公報
しかしながら、例えば上記特許文献1に開示されているように、被圧延材の上下端部(スラブ端面)を拘束せず、自由拡がりとして圧延を行った場合、フランジ幅は大きくなるものの、厚みはフランジ先端部が先細りとなるような形状となり、フランジ先端部の厚みが不足し、後段のプロセスで十分な成形ができず、大きな増厚が図られないことが懸念される。また、本発明者らの検討によれば、従来に比べ被圧延材の上下端部(スラブ端面)の左右の拘束を低くした場合であっても、同様にフランジ先端部が先細りとなり厚みが不足してしまうといった知見が得られている。
また、例えば上記特許文献2に開示されているように、被圧延材の上下端部(スラブ端面)の両側を拘束してエッジング圧延を行った場合、孔型において左右フランジ部の拡がりを完全に拘束した状態でエッジング圧延を行うため、被圧延材の長手方向への延伸が支配的となり、フランジ部の増厚の効率が低く、フランジの増厚に限界がある。例えば、孔型条件を適正にして実施した場合でも、フランジ先端部から付け根までの厚みの平均値が素材スラブ厚の1/2以上となるような圧延は本技術では実施できない。
上記事情に鑑み、本発明の目的は、H形鋼を製造する際の孔型を用いた粗圧延工程において、スラブ等の素材の端面に鋭角の先端形状をした突起部で深く割り込みを入れ、それによって形成されたフランジ部を順次折り曲げるといった工程を行う際に、従来に比べフランジ厚の大きなH形鋼製品を製造することが可能なH形鋼の製造方法を提供することにある。
前記の目的を達成するため、本発明によれば、粗圧延工程、中間圧延工程、仕上圧延工程を備えたH形鋼の製造方法であって、前記粗圧延工程を行う圧延機には、被圧延材を造形する複数の孔型が刻設され、当該複数の孔型は、被圧延材の幅方向に対し鉛直に割り込みを入れて被圧延材端部に分割部位を形成させる突起部が形成された複数の割り込み孔型と、前記割り込みに当接し、前記割り込み孔型において形成された分割部位を順次折り曲げる突起部が形成された複数の折り曲げ孔型と、を含み、前記複数の割り込み孔型のうちいずれか1つの孔型において所定の圧下量でのエッジング圧延を行うことを特徴とする、H形鋼の製造方法が提供される。
前記複数の割り込み孔型は、被圧延材の幅方向に対し入れられる割り込み深さの異なる複数種類の割り込み孔型から構成され、前記所定の圧下量でのエッジング圧延は、当該複数の割り込み孔型のうちの割り込み深さが最も浅い孔型において行われても良い。
前記複数の割り込み孔型は、被圧延材の幅方向に対し入れられる割り込み深さの異なる2種類の割り込み孔型から構成され、当該2種類の割り込み孔型では、前記割り込み深さが順に深くなるように造形が行われ、前記所定の圧下量でのエッジング圧延は、2種類の割り込み孔型のうち割り込み深さが浅い孔型において行われても良い。
前記複数の割り込み孔型は、被圧延材の幅方向に対し入れられる割り込み深さの異なる3種類以上の割り込み孔型から構成され、当該3種類以上の割り込み孔型では、前記割り込み深さが順に深くなるように造形が行われ、前記所定の圧下量でのエッジング圧延は、3種類以上の割り込み孔型のうち割り込み深さが最も浅い孔型において行われても良い。
前記複数の割り込み孔型に形成される突起部の先端角度は25°以上40°以下であっても良い。
前記複数の割り込み孔型及び前記複数の折り曲げ孔型のうち、前記所定の圧下量でのエッジング圧延を行う孔型を除く孔型では、少なくとも1パス以上の造形において被圧延材の端面と当該端面に対向する孔型面とが接触した状態で軽圧下が行われても良い。
前記複数の孔型は、前記複数の割り込み孔型及び前記複数の折り曲げ孔型を経た被圧延材に対し平造形圧延を行う平造形孔型を含み、
前記所定の圧下量は、前記平造形孔型での圧延造形が前記分割部位に相当する被圧延材のフランジ部において、フランジ片幅とフランジ厚との比Iが1.30以下となる条件で実施されるような圧下量に定められても良い。
厚み300mm以上のスラブを素材とし、前記平造形孔型における圧延造形前の被圧延材のフランジ部のフランジ片幅が200mm以上となるように孔型設計が行われても良い。
本発明によれば、H形鋼を製造する際の孔型を用いた粗圧延工程において、スラブ等の素材の端面に鋭角の先端形状をした突起部で深く割り込みを入れ、それによって形成されたフランジ部を順次折り曲げるといった工程を行う際に、従来に比べフランジ厚の大きなH形鋼製品を製造することが可能となる。
H形鋼の製造ラインについての概略説明図である。 第1孔型の概略説明図である。 第2−1孔型の概略説明図である。 第2−2孔型の概略説明図である。 第3孔型の概略説明図である。 第4孔型の概略説明図である。 第5孔型(平造形孔型)の概略説明図である。 本実施の形態に係る第5孔型における、並行フランジ形状を有するフランジ部の圧延造形の様子を示す概略図である。 第2−0孔型の概略説明図である。 第2−0孔型、第2−1孔型、第2−2孔型、第3孔型、第4孔型のそれぞれでスラブ上下端部に対しエッジング圧延による圧下を加えた際の第4孔型での圧延造形完了時のフランジ厚を示すグラフである。 第2−0孔型、第2−1孔型、第2−2孔型、第3孔型、第4孔型のそれぞれでスラブ上下端部に対しエッジング圧延による圧下を加えた際の第4孔型での圧延造形完了時のフランジ面積を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図1は、本実施の形態にかかる圧延設備1を含むH形鋼の製造ラインTについての説明図である。図1に示すように、製造ラインTには上流側から順に、加熱炉2、サイジングミル3、粗圧延機4、中間ユニバーサル圧延機5、仕上ユニバーサル圧延機8が配置されている。また、中間ユニバーサル圧延機5に近接してエッジャー圧延機9が設けられている。なお、以下では、説明のために製造ラインTにおける鋼材を、総称して「被圧延材A」と記載し、各図において適宜その形状を破線・斜線等を用いて図示する場合がある。
図1に示すように、製造ラインTでは、加熱炉2から抽出された例えばスラブ11等の被圧延材Aがサイジングミル3ならびに粗圧延機4において粗圧延される。次いで、中間ユニバーサル圧延機5において中間圧延される。この中間圧延時には、必要に応じてエッジャー圧延機9によって被圧延材の端部等(後述するフランジ部80)に対して圧下が施される。通常の場合、サイジングミル3及び粗圧延機4のロールには、合わせて4〜6個程度の孔型が刻設されており、これらを経由して複数パス程度のリバース圧延でH形粗形材13が造形され、該H形粗形材13を前記中間ユニバーサル圧延機5−エッジャー圧延機9の2つの圧延機からなる圧延機列を用いて、複数パスの圧下が加えられ、中間材14が造形される。そして中間材14は、仕上ユニバーサル圧延機8において製品形状に仕上圧延され、H形鋼製品16が製造される。
次に、以下では図1に示したサイジングミル3及び粗圧延機4に刻設される孔型構成や孔型形状について図面を参照して説明する。図2〜図7は粗圧延工程を行うサイジングミル3及び粗圧延機4に刻設される孔型についての概略説明図である。ここで、説明する第1孔型〜第4孔型は、例えばサイジングミル3に全て刻設されても良く、サイジングミル3及び粗圧延機4に第1孔型〜第5孔型の5つの孔型が分けて刻設されても良い。即ち、第1孔型〜第4孔型はサイジングミル3及び粗圧延機4の両方に亘って刻設されても良く、どちらか一方の圧延機に刻設されても良い。通常のH形鋼の製造における粗圧延工程では、これら各孔型において1又は複数パスでの造形が行われる。
また、本実施の形態では刻設される孔型の基本的な構成が6孔型である場合を例示して説明するが、その孔型数についても、必ずしも6孔型である必要はなく、6以上の複数の孔型数であっても良い。即ち、H形粗形材13を造形するために好適な孔型構成であれば良い。なお、図2〜図7では、各孔型における造形時の被圧延材Aの概略最終パス形状を破線にて図示している。
図2は第1孔型K1の概略説明図である。第1孔型K1は、一対の水平ロールである上孔型ロール20と下孔型ロール21に刻設され、これら上孔型ロール20と下孔型ロール21のロール隙において被圧延材Aが圧下・造形される。また、上孔型ロール20の周面(即ち、第1孔型K1の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部25が形成されている。更に、下孔型ロール21の周面(即ち、第1孔型K1の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部26が形成されている。これら突起部25、26はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部25と突起部26とでそれぞれ等しく構成されている。突起部25、26の高さ(突出長さ)をh1とし、先端部角度をθ1aとする。
この第1孔型K1においては、突起部25、26が被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に押し当てられ、割り込み28、29が形成される。第1孔型K1は、スラブ端面に溝(割り込み28、29)を付与する孔型であることから「溝付け孔型」とも呼称される。ここで、突起部25、26の先端部角度(ウェッジ角度とも呼称される)θ1aは例えば25°以上40°以下であることが望ましい。
ここで、第1孔型K1の孔型幅は、被圧延材Aの厚み(即ち、スラブ厚)とほぼ等しいことが好ましい。具体的には、第1孔型K1に形成された突起部25、26の先端部における孔型の幅と、スラブ厚を同一にすることで、被圧延材Aの左右センタリング性が好適に確保される。また、このような孔型寸法の構成とすることで、図2に示すように、第1孔型K1での造形時において、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)においては、上記突起部25、26及び孔型側面(側壁)の一部が被圧延材Aと接していて、割り込み28、29により4つの要素(部位)に分割されたスラブ上下端部に対して、第1孔型K1の上面及び底面にて積極的な圧下が行われない方が好ましい。孔型の上面及び底面による圧下は、被圧延材Aの長手方向への伸びを生じさせてしまい、フランジ(後述するフランジ部80)の生成効率を低下させてしまうからである。即ち、第1孔型K1においては、突起部25、26が被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に押し当てられ、割り込み28、29が形成される際の突起部25、26における圧下量(ウェッジ先端圧下量)は、スラブ上下端部における圧下量(スラブ端面圧下量)よりも十分に大きなものとされ、これにより割り込み28、29が形成される。
図3は第2−1孔型K2−1の概略説明図である。第2−1孔型K2−1は、一対の水平ロールである上孔型ロール30と下孔型ロール31に刻設される。上孔型ロール30の周面(即ち、第2−1孔型K2−1の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部35が形成されている。更に、下孔型ロール31の周面(即ち、第2−1孔型K2−1の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部36が形成されている。これら突起部35、36はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部35と突起部36とでそれぞれ等しく構成されている。これら突起部35、36の先端部角度は25°以上40°以下のウェッジ角度θ1bであることが望ましい。
ここで、上記第1孔型K1のウェッジ角度θ1aは、フランジ相当部の先端部厚みを確保し、誘導性を高め、圧延の安定性を担保するために、後段の第2−1孔型K2−1のウェッジ角度θ1bと同じ角度であることが好ましい。
突起部35、36の高さ(突出長さ)h2aは、上記第1孔型K1の突起部25、26の高さh1より高く構成されており、h2a>h1となっている。また、突起部35、36の先端部角度は上記第1孔型K1の突起部25、26の先端部角度と同じであることが圧延寸法精度上、好ましい。これら上孔型ロール30と下孔型ロール31のロール隙において、上記第1孔型K1通材後の被圧延材Aが更に造形される。
ここで、第1孔型K1に形成される突起部25、26の高さh1より、第2−1孔型K2−1に形成される突起部35、36の高さh2aの方が高く、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)への侵入長さも同様に第2−1孔型K2−1の方が長くなる。第2−1孔型K2−1での突起部35、36の被圧延材Aへの侵入深さは、突起部35、36の高さh2aと同じである。即ち、第1孔型K1での突起部25、26の被圧延材Aへの侵入深さh1’と、第2−1孔型K2−1での突起部35、36の被圧延材Aへの侵入深さh2aはh1’<h2aとの関係になっている。
また、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に対向する孔型上面30a、30b及び孔型底面31a、31bと、突起部35、36の傾斜面とのなす角度θfは、図3に示す4箇所ともに約90°(略直角)に構成されている。
図3に示すように、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)へ押し当てられた時の突起部の侵入長さが長いことから、第2−1孔型K2−1においては、第1孔型K1において形成された割り込み28、29が更に深くなるように造形が行われ、割り込み38、39が形成される。この第2−1孔型K2−1は、「割り込み孔型」とも呼称される。
また、第2−1孔型K2−1での造形は多パスにより行われるが、当該多パス造形においては、最終パスにて被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と、それに対向する孔型上面30a、30b及び孔型底面31a、31bとが接触するような造形が行われる。これは、第2−1孔型K2−1での全てのパスにおいて被圧延材Aの上下端部と孔型内部とを非接触とすると、フランジ相当部(後述するフランジ部80に対応する部位)が左右非対称に造形されるといった形状不良が生じる恐れがあり、通材性の面で問題があるからである。
図4は第2−2孔型K2−2の概略説明図である。第2−2孔型K2−2は、一対の水平ロールである上孔型ロール40と下孔型ロール41に刻設される。上孔型ロール40の周面(即ち、第2−2孔型K2−2の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部45が形成されている。更に、下孔型ロール41の周面(即ち、第2−2孔型K2−2の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部46が形成されている。これら突起部45、46はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部45と突起部46とでそれぞれ等しく構成されている。これら突起部45、46の先端部角度は25°以上40°以下のウェッジ角度θ1bであり、上記第2−1孔型K2−1のウェッジ角度と同じ角度に設計されることが望ましい。
突起部45、46の高さ(突出長さ)h2bは、上記第2−1孔型K2−1の突起部35、36の高さh2aより高く構成されており、h2b>h2aとなっている。これら上孔型ロール40と下孔型ロール41のロール隙において、上記第2−1孔型K2−1通材後の被圧延材Aが更に造形される。
ここで、第2−1孔型K2−1に形成される突起部35、36の高さh2aより、第2−2孔型K2−2に形成される突起部45、46の高さh2bの方が高く、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)への侵入長さも同様に第2−2孔型K2−2の方が長くなる。第2−2孔型K2−2での突起部45、46の被圧延材Aへの侵入深さは、突起部45、46の高さh2bと同じである。即ち、第2−1孔型K2−1での突起部35、36の被圧延材Aへの侵入深さh2aと、第2−2孔型K2−2での突起部45、46の被圧延材Aへの侵入深さh2bはh2a<h2bとの関係になっている。
また、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に対向する孔型上面40a、40b及び孔型底面41a、41bと、突起部45、46の傾斜面とのなす角度θfは、図4に示す4箇所ともに約90°(略直角)に構成されている。
図4に示すように、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)へ押し当てられた時の突起部の侵入長さが長いことから、第2−2孔型K2−2においては、第2−1孔型K2−1において形成された割り込み38、39が更に深くなるように造形が行われ、割り込み48、49が形成される。この第2−2孔型K2−2は、「割り込み孔型」とも呼称される。
なお、ここで形成される割り込み48、49の寸法に基づき粗圧延工程でのフランジ造形工程終了時のフランジ片幅が決定される。
また、第2−2孔型K2−2での造形は多パスにより行われるが、当該多パス造形においては、最終パスにて被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と、それに対向する孔型上面40a、40b及び孔型底面41a、41bとが接触するような造形が行われる。これは、第2−2孔型K2−2での全てのパスにおいて被圧延材Aの上下端部と孔型内部とを非接触とすると、フランジ相当部(後述するフランジ部80に対応する部位)が左右非対称に造形されるといった形状不良が生じる恐れがあり、通材性の面で問題があるからである。
図5は第3孔型K3の概略説明図である。第3孔型K3は、一対の水平ロールである上孔型ロール50と下孔型ロール51に刻設される。上孔型ロール50の周面(即ち、第3孔型K3の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部55が形成されている。更に、下孔型ロール51の周面(即ち、第3孔型K3の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部56が形成されている。これら突起部55、56はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部55と突起部56とでそれぞれ等しく構成されている。
上記突起部55、56の先端部角度θ2は、上記角度θ1bに比べ広角に構成され、突起部55、56の被圧延材Aへの侵入深さh3は、上記突起部45、46の侵入深さh2bよりも短くなっている(即ち、h3<h2b)。この角度θ2は例えば70°以上110°以下が好ましい。
また、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に対向する孔型上面50a、50b及び孔型底面51a、51bと、突起部55、56の傾斜面とのなす角度θfは、図5に示す4箇所ともに約90°(略直角)に構成されている。
図5に示すように、第3孔型K3では、第2−2孔型K2−2通材後の被圧延材Aに対し、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において第2−2孔型K2−2において形成された割り込み48、49が、突起部55、56が押し当てられることにより、割り込み58、59となる。即ち、第3孔型K3での造形における最終パスでは、割り込み58、59の最深部角度(以下、割り込み角度とも呼称する)がθ2となる。換言すると、第2−2孔型K2−2において割り込み48、49の形成と共に造形された分割部位(後述するフランジ部80に対応する部位)が外側に折り曲げられるような造形が行われる。この第3孔型K3は「折り曲げ孔型」とも呼称される。
また、図5に示す第3孔型K3での造形は少なくとも1パス以上によって行われ、このうちの少なくとも1パス以上は、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部(第3孔型K3の上面及び底面)が接触した状態で行われる。この被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部が接触した状態においては、当該端部の軽圧下が行われることが好ましい。
図6は第4孔型K4の概略説明図である。第4孔型K4は、一対の水平ロールである上孔型ロール60と下孔型ロール61に刻設される。上孔型ロール60の周面(即ち、第4孔型K4の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部65が形成されている。更に、下孔型ロール61の周面(即ち、第4孔型K4の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部66が形成されている。これら突起部65、66はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部65と突起部66とでそれぞれ等しく構成されている。
上記突起部65、66の先端部角度θ3は、上記角度θ2に比べ広角に構成され、突起部65、66の被圧延材Aへの侵入深さh4は、上記突起部55、56の侵入深さh3よりも短くなっている(即ち、h4<h3)。
また、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に対向する孔型上面60a、60b及び孔型底面61a、61bと、突起部65、66の傾斜面とのなす角度θfは、上記第3孔型K3と同様に、図6に示す4箇所ともに約90°(略直角)に構成されている。
第4孔型K4では、第3孔型K3通材後の被圧延材Aに対し、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において第3孔型K3において形成された割り込み58、59が、突起部65、66が押し当てられることにより押し広げられ、割り込み68、69となる。即ち、第4孔型K4での造形における最終パスでは、割り込み68、69の最深部角度(以下、割り込み角度とも呼称する)がθ3となる。換言すると、第3孔型K3において割り込み58、59の形成と共に造形された分割部位(後述するフランジ部80に対応する部位)が更に外側に折り曲げられるような造形が行われる。この第4孔型K4は「折り曲げ孔型」とも呼称される。
このようにして造形された被圧延材Aの上下端部の部位は、後のH形鋼製品のフランジに相当する部位であり、ここではフランジ部80と呼称する。
図6に示す第4孔型K4での造形は少なくとも1パス以上によって行われ、このうちの少なくとも1パス以上は、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部(第4孔型K4の上面及び底面)が接触した状態で行われる。この被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と孔型内部が接触した状態においては、当該端部の軽圧下が行われることが好ましい。
図7は第5孔型K5の概略説明図である。第5孔型K5は、一対の水平ロールである上孔型ロール85と下孔型ロール86から構成される。図7に示すように、第5孔型K5では、第4孔型K4までに造形された被圧延材Aが90°あるいは270°回転させられ、第4孔型K4までは被圧延材Aの上下端に位置していたフランジ部80が、圧延ピッチライン上に来るような配置となる。そして、第5孔型K5では、2か所のフランジ部80を繋ぐ接続部であるウェブ部82の圧下及びフランジ部80のフランジ先端部を圧下することでフランジ幅の寸法調整が行われる。このようにしていわゆるドッグボーン形状のH形粗形材(図1に示すH形粗形材13)が造形される。なお、この第5孔型K5はウェブ部82を圧下して減厚させることから、「ウェブ減厚孔型」あるいは「平造形孔型」とも呼称される。なお、この平造形孔型(第5孔型K5)における圧延造形は、1又は任意の複数パスで行われる。
このように造形されたH形粗形材13に対し、既知の圧延機である中間ユニバーサル圧延機5−エッジャー圧延機9の2つの圧延機からなる圧延機列を用いて、複数パスのリバース圧延が加えられ、中間材14が造形される。そして中間材14は、仕上ユニバーサル圧延機8において製品形状に仕上圧延され、H形鋼製品16が製造される(図1参照)。
上述したように、本実施の形態にかかる第1孔型K1〜第4孔型K4を用いて被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に割り込みを入れ、それら割り込みによって左右に分かれた各部分を左右に折り曲げる加工を行い、フランジ部80を形成するといった造形をすることで、従来行われていたスラブ端面を常に圧下する粗圧延方法に比べ、フランジ幅を広幅化させてH形粗形材13を造形することが可能となり、その結果、フランジ幅の大きな最終製品(H形鋼)を製造することができる。
ここで、本実施の形態に係るH形鋼の製造方法においては、上述した第1孔型K1〜第4孔型K4によって造形された被圧延材Aのフランジ部80の形状が、従来の製造方法における平孔型造形前のフランジ部の形状に比べ、製品フランジの形状に近い形状であるといった特徴がある。これは、素材として用いる矩形断面の素材(スラブ)の端部形状を変えることなく、割り込みを入れて造形した分割部位(フランジ部80)を折り曲げる加工を行うといった造形技術を採用していることに起因する。
このような特徴を有する圧延造形技術では、例えば300mm厚の素材スラブから400mm幅以上のフランジ幅を有するH形鋼製品を製造するといったように、大型H形鋼を効率的に製造するために、更にフランジ部80の増厚を図る場合がある。そのような場合、上記第1孔型K1〜第5孔型K5のいずれの孔型においてもフランジ部80の増厚を図ることは可能であると考えられるが、一方で、増厚されたフランジ部80の厚みは、幅方向になるべく一定であることが望ましいとの観点から、フランジ部80の先端部厚みと中央部厚みがなるべく等しくなり、且つ、効率的な増厚も行われるような条件を見出す必要がある。
そこで、本発明者らは、本実施の形態に係るH形鋼の製造方法において、フランジ部80の先端部厚みと中央部厚みがなるべく等しくなり、且つ、フランジ部の増厚が効率的に行われるような製造条件について更なる検討を行った。以下、本検討について図面等を参照して説明する。
先ず、本実施の形態に係る第1孔型K1〜第5孔型K5において造形される被圧延材Aの形状の特性について説明する。上述したように、第1孔型K1〜第4孔型K4での圧延造形では、被圧延材Aの上下端部に対して軽圧下を行う程度の圧延に留めるとの説明を行っている。即ち、このままの条件では、並行フランジ形状を有するフランジ部80の圧延造形は、主に第5孔型K5にて行われる。
ここで、例えば非特許文献「昭和53年塑性加工春季講演会(1978.5.17〜19広島)、209〜210頁」に記載されているように、矩形断面の被圧延材に係る圧延による変形形態(変形モード)は主にシングルバルジングと呼ばれる形態と、ダブルバルジングと呼ばれる形態に大別される。これらの知見に基づいて、フランジ部80の圧延造形に着目し、上記非特許文献に記載のロール径、圧下率、板幅、板厚をそれぞれH形鋼の通常の製造条件に適用した場合、これらシングルバルジングとダブルバルジングとの境界は、矩形断面材のフランジ片幅とフランジ厚との比I(以下、単にIとも記載)の値が約1.30である場合となることが知られており、Iが1.30を超えると圧延による変形が被圧延材の端部に集中してダブルバルジング形状となり、Iが1.30以下であると圧延による変形が被圧延材の中央に集中してシングルバルジング形状となる。
即ち、本実施の形態に係るフランジ部80の圧延造形において、特にIが1.30を超える場合には、フランジ部80の先端において局部的な増厚が引き起こされ、1/2フランジ片幅部付近が先端に比べ薄く造形されてしまうといった事情がある。
図8は、本実施の形態に係る第5孔型K5における、並行フランジ形状を有するフランジ部80の圧延造形の様子を示す概略図である。図8中の実線が圧延造形前の形状であり、メッシュ部が圧延造形後の形状である。図8に示すように、圧延造形後の1/2フランジ片幅部付近(図中の破線で囲った箇所)が、フランジ部80の幅方向において最も薄く造形された箇所となっていることが分かる。
このように第5孔型K5での圧延造形によって上述したダブルバルジング形状が発現する条件は、Iが1.30を超える場合であり、そのような場合には1/2フランジ片幅部付近が先端に比べ薄く造形されてしまう。表1は、素材の厚み(一般的に知られるスラブ厚)が250mm、300mmであり、製造されるH形鋼のフランジ幅が300mm、400mm、500mm、600mmである場合のIの値を示すものである。なお、本実施の形態に係る圧延造形では、スラブエッジング造形後にフランジ部80の形状として製品フランジ形状に近い形状が得られることから、積極的なフランジ幅の圧下は行われない。このため、粗圧延後のフランジ片幅とH形鋼製品のフランジ片幅はほぼ等しく、粗圧延後のフランジ部80の片幅は、製造されるH形鋼のフランジ幅の約半分の値150mm、200mm、250mm、300mmと考えればよい。
Figure 2018043249
表1に示すように、本実施の形態に係る圧延造形技術では、スラブ厚に割り込みを入れて、分割部位を折り曲げる造形法を採用しているため、スラブ厚のおよそ1/2がそのままエッジング圧延仕上がり後の仕上がりフランジ厚となるため、250mm厚の素材から製品フランジ幅400mm、500mm、600mmのH形鋼製品を製造する場合には、Iが1.30を超えた値となっている。また、300mm厚の素材から製品フランジ幅400mm、500mm、600mmのH形鋼製品を製造する場合にも、Iが1.30を超えた値となっている。
以上、図8や表1を参照して説明したように、特にフランジ幅が400mm以上のH形鋼製品を製造する場合に、このままの条件では、第5孔型K5における平造形圧延において、1/2フランジ片幅部付近が先端に比べ薄く造形されてしまうため、これを回避するようなフランジ増厚方法が求められ、特に1/2フランジ片幅部付近の増厚を図ることが求められる。
上記表1に示したデータから、Iが1.30以下の状態、即ち、矩形断面材のフランジ片幅とフランジ厚との比が小さい状態でフランジ部80に相当する部位の圧延を行うことで、フランジ増厚が実現されることが分かる。つまり、本実施の形態に係る製造方法のうち、第1孔型K1〜第4孔型K4での圧延造形のいずれかのタイミングでフランジ部80に対応する部位(スラブ上下端部において分割された分割部位)を増厚させ、第5孔型K5での平造形圧延をIが1.30以下となるような条件で行わせることが、効率的にフランジ増厚を行うために有効であることが分かる。
そこで本発明者らは、効率的にフランジ増厚を行うために更に有効なタイミングを特定すべく、本実施の形態に係る第1孔型K1〜第4孔型K4による圧延造形において、第2−1孔型K2−1、第2−2孔型K2−2、第3孔型K3、第4孔型K4のそれぞれでスラブ上下端部に対しエッジング圧延による圧下を加え、それぞれの場合のフランジ厚(中央厚あるいは先端部厚)及びフランジ面積の相違について検証を行った。
加えて、第1孔型K1の後工程であり、且つ、第2−1孔型K2−1の前工程である段階においてスラブ上下端部に対しエッジング圧延による圧下を加える孔型を新たに刻設する構成を創案し、当該新孔型においてフランジ増厚を行った場合のフランジ厚(中央厚あるいは先端部厚)及びフランジ面積についても併せて検証した。
先ず、スラブ上下端部に対しエッジング圧延による圧下を加える孔型として、新たに刻設される孔型を第2−0孔型K2−0とし、その孔型構成について説明する。この第2−0孔型K2−0は、本実施の形態で上述した孔型構成の第1孔型K1の後工程、且つ、第2−1孔型K2−1の前工程を行う孔型として刻設されるものである。
図9は第2−0孔型K2−0の概略説明図である。第2−0孔型K2−0は、一対の水平ロールである上孔型ロール90と下孔型ロール91に刻設され、これら上孔型ロール90と下孔型ロール91のロール隙において被圧延材Aが圧下・造形される。また、上孔型ロール90の周面(即ち、第2−0孔型K2−0の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部95が形成されている。更に、下孔型ロール91の周面(即ち、第2−0孔型K2−0の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部96が形成されている。これら突起部95、96はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部95と突起部96とでそれぞれ等しく構成されている。突起部95、96の高さ(突出長さ)をh1aとし、先端部角度は第1孔型と同じθ1aであることが望ましい。
ここで、第2−0孔型K2−0は被圧延材Aの側面を拘束しない構成となっている。即ち、第2−0孔型K−0においては、形成された突起部95、96を含む孔型の周面で孔型と被圧延材Aは接触しており、被圧延材Aの側面は孔型とは接触していない。
また、突起部95、96の高さh1aは、第1孔型K1の突起部25、26の高さh1より高く、且つ、第2−1孔型K2−1の突起部35、36の高さh2aよりは低く構成され、h1<h1a<h2aとの関係となっている。
このような孔型構成の第2−0孔型K2−0においては、第1孔型K1において形成された割り込み28、29に対して突起部95、96が押し当てられ、当該割り込みが更に深くなるような造形が行われ、割り込み98、99が形成される。また、被圧延材Aの上下端部と孔型周面とが接触した状態でこのような造形が行われることから、被圧延材Aの上下端部に対し、孔型上面及び孔型底面にて積極的な圧下を加え、エッジング圧延が可能な構成となっている。
次に、本実施の形態に係る第1孔型K1〜第4孔型K4による圧延造形において、第2−1孔型K2−1、第2−2孔型K2−2、第3孔型K3、第4孔型K4のそれぞれでスラブ上下端部に対しエッジング圧延による圧下を加える検証を行った際の孔型設計について説明する。
表2は、2000×300mm断面のスラブを素材として1000×500mmのH形鋼製品を製造する場合に、各孔型でフランジ増厚を行う際の孔型基本設計を示す表であり、第2−1孔型K2−1、第2−2孔型K2−2、第3孔型K3、第4孔型K4のそれぞれでスラブ上下端部に対しエッジング圧延を行う際の孔型設計を記載したものである。なお、表2における突起高さは、各孔型における孔型上下一方における突起部高さである。
Figure 2018043249
表2を参照すると、例えば、第2−1孔型K2−1においてエッジング圧延を行う場合、ウェッジ先端部分の圧下量は560mm(=2000mm−1440mm)である。一方で、第2−1孔型K2−1のウェッジ高さは242mmに設計されていることから、第2−1孔型K2−1におけるエッジング圧下量は76mm(=560mm−242mm×2)となる。また、第2−2孔型K2−2においてエッジング圧延を行う場合、第2−1孔型K2−1ではエッジング圧延を行わず、外法1140mmまで第2−2孔型K2−2においてエッジング圧延を行うことを示している。
続いて、本実施の形態に係る第1孔型K1〜第4孔型K4による圧延造形において、第2−1孔型K2−1、第2−2孔型K2−2、第3孔型K3、第4孔型K4のそれぞれでスラブ上下端部に対しエッジング圧延による圧下を加えた場合、ならびに、新たな孔型である第2−0孔型K2−0を刻設し、当該第2−0孔型K2−0においてエッジング圧延を行った場合において、第4孔型K4での圧延造形完了時のフランジ厚及びフランジ面積を測定した結果を示す。
なお、以下に説明する図10、図11のデータは、2000×300mm断面のスラブを素材として1000×500mmのH形鋼製品を製造する場合のデータであり、第2−1孔型K2−1、第2−2孔型K2−2、第3孔型K3、第4孔型K4のそれぞれでスラブ上下端部に対しエッジング圧延による圧下を加える際には、上記表2に示す孔型設計に基づいてエッジング圧延を行うものとした。
図10は、第2−0孔型K2−0、第2−1孔型K2−1、第2−2孔型K2−2、第3孔型K3、第4孔型K4のそれぞれでスラブ上下端部に対しエッジング圧延による圧下を加えた際の第4孔型K4での圧延造形完了時のフランジ厚を示すグラフであり、(a)はフランジ部80の中央部厚、(b)はフランジ部80の先端部厚を示している。
また、図11は、第2−0孔型K2−0、第2−1孔型K2−1、第2−2孔型K2−2、第3孔型K3、第4孔型K4のそれぞれでスラブ上下端部に対しエッジング圧延による圧下を加えた際の第4孔型K4での圧延造形完了時のフランジ面積(断面積)を示すグラフであり、(a)はフランジ部80の断面積、(b)はエッジング圧延を行わなかった場合の断面積に対する比率を示している。
図10(a)及び図11(a)に示すように、フランジ部80の中央部厚に関しては、後段の孔型においてエッジング圧延を行うような構成になるほど、当該中央部厚は減少し、断面積も減少していることが分かる。即ち、できるだけ早い段階でのエッジング圧延がフランジ部80の中央部厚の増厚や断面積の増大化に効果的であるといえる。
また、図10(b)及び図11(b)に示すように、フランジ部の先端部厚に関しては、必ずしも早い段階でのエッジング圧延が効率的であるとはいえないものの、例えば第2−0孔型K2−0〜第2−2孔型K2−2といった前段工程でのエッジング圧延がフランジ部80の先端部厚の増厚や断面積の増大化に有効である事は明らかである。
なお、図10ではフランジ部80の増厚に関し、中央部厚と先端部厚のデータを(a)、(b)にそれぞれ記載しているが、フランジ部80の先端部厚については、後工程である中間圧延や仕上圧延でも増厚を図ることが可能であることから、本実施の形態に係る圧延造形上、特にフランジ部80の中央部厚の増厚が重要視される。
図10及び図11を参照して説明したように、本実施の形態に係るH形鋼の製造方法での粗圧延工程においてエッジング圧延を行いフランジ部80の増厚を図る際には、第3孔型K3や第4孔型K4でのエッジング圧延は非効率であり、第2−1孔型K2−1や第2−2孔型K2−2においてエッジング圧延を行うか、あるいは、第2−0孔型K2−0を新たに刻設してエッジング圧延を行うことが効果的である事が分かる。
以上説明したようなフランジ部80の増厚を図るエッジング圧延の圧下量に関しては、圧延造形完了後に得たいフランジ厚やフランジ断面積に合わせて、好適な所定の圧下量を適宜定めれば良い。具体的には、この「所定の圧下量」としては、通常圧延における1パス当たりの最大圧下量である70mmを超えるような圧下量とすることでフランジ部80の増厚効果が得られる。
本実施の形態に係るH形鋼の製造方法では、通材性等の観点から、第2-1孔型K2−1〜第4孔型K4の各孔型において、少なくとも被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)の軽圧下が行われることが好ましいと説明を行っている。この点に関し、本発明における孔型圧延での軽圧下とは、例えば圧下量70mm以下であるような圧下と定義され、上述したフランジ部80の増厚を図るエッジング圧延の圧下量は、この軽圧下よりも大きな圧下量で実施される。具体例として、例えば特開昭56−41002号公報には、従来のスラブエッジング圧延において圧下量を40mm〜50mm(最大で80mm)とするようなパススケジュールが開示されている。また、例えば特開昭57−146405号公報には、従来のスラブエッジング圧延において圧下量を約50mm程度とすることが開示されている。これらの技術常識から、上記の通り、本発明に係るエッジング圧延の「所定の圧下量」としては、通常圧延における1パス当たりの最大圧下量である70mmを超えるような圧下量とすることでフランジ部80の増厚効果が得られる。
本実施の形態に係るH形鋼の製造方法において、各孔型(例えば第2-1孔型K2−1〜第4孔型K4)での被圧延材Aの上下端部の圧下量は、上述した軽圧下による圧下量と、本発明技術に係る所定の圧下量のエッジング圧延による圧下量と、各孔型におけるフランジ部80の肉引けの合計によって表される。但し、本実施の形態に係る圧延造形法ではフランジ部80の肉引けはほとんど生じないことから、各孔型での被圧延材Aの上下端部の圧下量は、軽圧下による圧下量と、本発明技術に係る所定の圧下量のエッジング圧延による圧下量との合計により表される。
即ち、本発明技術に係る所定の圧下量のエッジング圧延による圧下量は、各孔型における被圧延材Aの上下端部の圧下量の総計から軽圧下による圧下量を引いた後の余剰分として規定される。
以上説明したように、本実施の形態に係るH形鋼の製造方法においては、第2−1孔型K2−1や第2−2孔型K2−2において所定の圧下量のエッジング圧延を実施するか、あるいは、第2−0孔型K2−0を新たに刻設して所定の圧下量のエッジング圧延を当該孔型で実施することで、圧延造形後のフランジ部80の増厚が図られる。特に、フランジ部80の中央部厚の増厚が実現されることから、フランジ部80の先端部厚みと中央部厚みがほぼ等しくなり、且つ、フランジ部80の増厚が効率的に行われる。従って、従来に比べフランジ厚の大きなH形鋼製品を効率的に製造する事が可能となる。
以上、本発明の実施の形態の一例を説明したが、本発明は図示の形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
上記実施の形態において、第1孔型K1〜第4孔型K4として図示・説明した孔型群を用いて被圧延材Aの造形を行い、その後、第5孔型K5を用いて平造形圧延を行う技術を説明したが、粗圧延工程を実施する孔型数はこれに限られるものではなく、更に多くの孔型を用いて実施しても良い。即ち、上記実施の形態に示した孔型構成は一例であり、サイジングミル3や粗圧延機4に刻設される孔型の数は任意に変更可能であり、好適に粗圧延工程を実施することができる程度に適宜変更される。但し、本発明において実施されるフランジ部増厚のためのエッジング圧延は、第2−1孔型K2−1や第2−2孔型K2−2として説明した、スラブ上下端部に割り込みを形成させるいわゆる「割り込み孔型」において実施されるか、あるいは、第2−0孔型K2−0を割り込み孔型として新たに刻設して実施することが必要である。
また、H形鋼を製造する際の素材としてはスラブを例示して説明したが、類似形状のその他素材についても本発明は当然適用可能である。
本発明は、例えば矩形断面であるスラブ等を素材としてH形鋼を製造する製造方法に適用できる。
1…圧延設備
2…加熱炉
3…サイジングミル
4…粗圧延機
5…中間ユニバーサル圧延機
8…仕上ユニバーサル圧延機
9…エッジャー圧延機
11…スラブ
13…H形粗形材
14…中間材
16…H形鋼製品
20…上孔型ロール(第1孔型)
21…下孔型ロール(第1孔型)
25、26…突起部(第1孔型)
28、29…割り込み(第1孔型)
30…上孔型ロール(第2−1孔型)
31…下孔型ロール(第2−1孔型)
35、36…突起部(第2−1孔型)
38、39…割り込み(第2−1孔型)
40…上孔型ロール(第2−2孔型)
41…下孔型ロール(第2−2孔型)
45、46…突起部(第2−2孔型)
48、49…割り込み(第2−2孔型)
50…上孔型ロール(第3孔型)
51…下孔型ロール(第3孔型)
55、56…突起部(第3孔型)
58、59…割り込み(第3孔型)
60…上孔型ロール(第4孔型)
61…下孔型ロール(第4孔型)
65、66…突起部(第4孔型)
68、69…割り込み(第4孔型)
80…フランジ部
82…ウェブ部
85…上孔型ロール(第5孔型)
86…下孔型ロール(第5孔型)
90…上孔型ロール(第2−0孔型)
91…下孔型ロール(第2−0孔型)
95、96…突起部(第2−0孔型)
98、99…割り込み(第2−0孔型)
K1…第1孔型
K2−0…第2−0孔型
K2−1…第2−1孔型
K2−2…第2−2孔型
K3…第3孔型
K4…第4孔型
K5…第5孔型(平造形孔型)
T…製造ライン
A…被圧延材

Claims (8)

  1. 粗圧延工程、中間圧延工程、仕上圧延工程を備えたH形鋼の製造方法であって、
    前記粗圧延工程を行う圧延機には、被圧延材を造形する複数の孔型が刻設され、
    当該複数の孔型は、
    被圧延材の幅方向に対し鉛直に割り込みを入れて被圧延材端部に分割部位を形成させる突起部が形成された複数の割り込み孔型と、
    前記割り込みに当接し、前記割り込み孔型において形成された分割部位を順次折り曲げる突起部が形成された複数の折り曲げ孔型と、を含み、
    前記複数の割り込み孔型のうちいずれか1つの孔型において所定の圧下量でのエッジング圧延を行うことを特徴とする、H形鋼の製造方法。
  2. 前記複数の割り込み孔型は、被圧延材の幅方向に対し入れられる割り込み深さの異なる複数種類の割り込み孔型から構成され、
    前記所定の圧下量でのエッジング圧延は、当該複数の割り込み孔型のうちの割り込み深さが最も浅い孔型において行われることを特徴とする、請求項1に記載のH形鋼の製造方法。
  3. 前記複数の割り込み孔型は、被圧延材の幅方向に対し入れられる割り込み深さの異なる2種類の割り込み孔型から構成され、
    当該2種類の割り込み孔型では、前記割り込み深さが順に深くなるように造形が行われ、
    前記所定の圧下量でのエッジング圧延は、2種類の割り込み孔型のうち割り込み深さが浅い孔型において行われることを特徴とする、請求項1に記載のH形鋼の製造方法。
  4. 前記複数の割り込み孔型は、被圧延材の幅方向に対し入れられる割り込み深さの異なる3種類以上の割り込み孔型から構成され、
    当該3種類以上の割り込み孔型では、前記割り込み深さが順に深くなるように造形が行われ、
    前記所定の圧下量でのエッジング圧延は、3種類以上の割り込み孔型のうち割り込み深さが最も浅い孔型において行われることを特徴とする、請求項1に記載のH形鋼の製造方法。
  5. 前記複数の割り込み孔型に形成される突起部の先端角度は25°以上40°以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のH形鋼の製造方法。
  6. 前記複数の割り込み孔型及び前記複数の折り曲げ孔型のうち、前記所定の圧下量でのエッジング圧延を行う孔型を除く孔型では、少なくとも1パス以上の造形において被圧延材の端面と当該端面に対向する孔型面とが接触した状態で軽圧下が行われることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のH形鋼の製造方法。
  7. 前記複数の孔型は、前記複数の割り込み孔型及び前記複数の折り曲げ孔型を経た被圧延材に対し平造形圧延を行う平造形孔型を含み、
    前記所定の圧下量は、前記平造形孔型での圧延造形が前記分割部位に相当する被圧延材のフランジ部において、フランジ片幅とフランジ厚との比Iが1.30以下となる条件で実施されるような圧下量に定められることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のH形鋼の製造方法。
  8. 厚み300mm以上のスラブを素材とし、前記平造形孔型における圧延造形前の被圧延材のフランジ部のフランジ片幅が200mm以上となるように孔型設計が行われることを特徴とする、請求項7に記載のH形鋼の製造方法。
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