以下、図面に基づき、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1の、予備苗載置部が積層形態、即ち予備苗載部材が上下方向に並ぶ積層形態であるときの苗移植機の側面図を示し、図2は、予備苗載置部が展開形態、即ち予備苗載部材が前後方向に並ぶ展開形態であるときの苗移植機の側面図を示している。図3は、本実施の形態1の、予備苗載置部が積層形態であるときの苗移植機の平面図を示し、図4は、予備苗載置部が展開形態であるときの苗移植機の平面図を示している。図5は、本実施の形態1の苗移植機の部分正面図であって、予備苗載置部が積層形態となっている状態を示している。
なお、以下の実施の形態は、あくまで実施の一形態であって、特許登録の範囲を拘束するものではない。
本明細書においては、前後、左右の方向基準は、運転席からみて、車体の走行方向を基準として、前後、左右の基準を規定している。
図1から図5で示すとおり、走行車体2の運転部10におけるフロアステップ11の後部には運転座席12が備えられている。また、エンジン210を覆うボンネット13をフロアステップ11の前方に備え、該ボンネット13の上部には前輪14を操向操作する操縦ハンドル18が備えられている。前記フロアステップ11の左右両外側には、右及び左の補助ステップ27が備えられている。以後車体の左側を中心に説明する。なお、図1及び図2において、16は車体の後ろ側に設ける苗植付部、15は後輪、17は施肥装置を示す。
図36で示すように、走行車体2の前側の左右方向中央部には、燃料タンク300を設け、前後方向及び左右方向の中央部には、エンジン301を設ける。そして、該エンジン301の外周をエンジンカバー302で覆い、該エンジンカバー302の上に運転座席12を設ける。
また、前記燃料タンク300とエンジン301は、燃料を供給する燃料パイプ303で連結するが、該燃料パイプ303は、燃料タンク300の後方で機体右側に屈曲させ、前記後輪15よりも機体内側位置で機体後方に屈曲させ、エンジン301の側方で機体前側に反転するように屈曲させると共に、エンジンカバー302の前側で機体後側に反転するように屈曲させるものである。
前記エンジン301の機体右側側方には、エンジン301を冷却するラジエータ304を設け、該ラジエータ304の周囲をラジエータカバー305で覆う。該ラジエータカバー305のうち、機体前側から後側に燃料パイプ303が向かう機体右側方には、前記燃料内に混在する微粒子の通過を規制する燃料フィルタ307を設け、ラジエータカバー305の内側で、且つ燃料パイプ303が機体後側から前側に向かう位置に、燃料タンク300からエンジン301に燃料を送り込む燃料ポンプ306を設けると共に、ラジエータカバー305の外側前部には、燃料を外部に排出する排出コック308を設ける。さらに、前記エンジン301の機体左側には、エンジン301の作動により生じる排気を排出するマフラ309を、機体後側に向けた配置する。
上記の構成により、ラジエータカバー305を、燃料ポンプ306、燃料フィルタ307及び排出コック308の取付支持部材とすることができるので、他の取付部材が不要となり、部品点数の削減が図られる。
また、機体右側に燃料ポンプ306、燃料フィルタ307及び排出コック308を集中的に配置することができるので、機体の右側のみでメンテナンス作業を行えるので、メンテナンス性が向上する。
そして、燃料ポンプ306をラジエータカバー305の内側に設けることにより、ラジエータカバー305が燃料ポンプ306の泥除けカバーとなるので、燃料ポンプ306に水や泥土が付着しにくく、破損が防止される。
さらに、燃料フィルタ307をラジエータカバー305の機体右側に設けたことにより、燃料フィルタ307に手が届きやすくなるので、燃料フィルタ307の交換が容易になる。
そして、マフラ309を機体左側に設けたことにより、高温の排気熱が燃料パイプ303やラジエータ304側に影響しにくくなるので、エンジン301に供給されるまでに燃料が高温化しにくく、エンジン301の作動が安定する。
図21から図26で示すとおり、複数条の苗を積載する苗載せ部を形成した苗タンク401を植付支持フレーム402で支持し、該植付支持フレーム402の下方に圃場面の凹凸を均す整地装置5を支持する整地支持フレーム403を設け、該整地支持フレーム403の上部で且つ機体左右方向の略中央位置に、走行車体2から駆動力を得て後述するリードカム機構404と複数の植付伝動ケース405C,405L、405Rに駆動力を供給する植付駆動ケース406を設ける。
なお、整地支持フレーム403は、内側を中空に形成すると共に、複数の仕切りを設けることにより、軽量さを殆ど損なうことなく強度を向上させることができる。前記複数の植付伝動ケース405C,405L、405Rは整地支持フレーム403にボルト等の固定部材(図示省略)を介して取り付けることにより、強度の確保が可能となる。
そして、該整地支持フレーム403の上方に前記苗タンク401を左右方向に摺動させるリードカム機構404を設け、該リードカム機構404のリードカム軸404aを前記植付駆動ケース内406の横送りギアユニット406bに装着する。なお、該横送りギアユニット406bは、ギアの組み合わせを変更可能とし、苗タンク401の左右往復摺動速度を切り替え可能とする。
さらに、前記植付駆動ケース406は、左側ケース406Lと右側ケース406Rを連結して構成し、該左側ケース406Lを整地支持フレーム403にボルト等の固定部材で着脱可能に取り付ける。また、該左側ケース406Lに、右側ケース406Rをボルト等の固定部材で着脱可能に取り付ける。なお、図21で示すとおり、左側ケース406Lは、中央の植付伝動ケース405Cの右側に接する構成となる。
そして、前記左側ケース406Lの機体前側には、苗植付部4が左右方向にローリング回動する際の支点となる、ローリング回動軸417を装着する。
また、該整地支持フレーム403の後部に複数の植付伝動ケース405C,405L、405Rを設け、該複数の植付伝動ケース405C,405L、405Rを、機体左右方向に長い植付伝動シャフト407で連結する。さらに、該植付伝動シャフト407には、前記横送りギアユニット406bからカウンタギア406cを介して駆動力を伝動する及び植付出力ギア406dを装着する。
さらに、前記植付駆動ケース406には、横送りギアユニット406bに駆動力を供給する、走行車体2のPTO軸2pから駆動力を受けて回転するベベルギア機構406aを、機体前側に設けている。
なお、前記植付駆動ケース406が機体左右方向の略中央位置に設けられていることにより、該植付出力ギア406dは、左右方向中央近傍に設けられる中央の植付伝動ケース405cの近傍、あるいは中央の植付伝動ケース405cと隣接する位置に配置される。
そして、前記複数の植付伝動ケース405C,405L,405Rには、左右方向に駆動力を出力する植付回転軸409を設け、該植付回転軸409の左右両側に圃場に苗を植え付ける苗植付装置408を設ける。なお、該苗植付装置408による苗の植付姿勢を圃場面に対して略垂直姿勢とするべく、苗植付装置408の内部には不等円形のギアを複数設け、植付回転軸409の回転駆動に対して不等速回転が可能な構成とすると共に、植付作業の能率を向上させるべく、2つ以上の苗取り爪を装着している。
上記により、前記苗植付部16が構成される。
そして、図21で示すとおり、前記左右両側及び中央の植付伝動ケース405C,405L,405Rの内部の機体前側には、前記植付伝動シャフト407に装着する植付駆動スプロケット410を配置し、機体後側には、前記植付回転軸409に装着する植付従動スプロケット411を配置する。また、該植付駆動スプロケット410と植付従動スプロケット411に亘って植付伝動チェーン412を無端状に巻回し、植付伝動シャフト407の回転駆動力が植付回転軸409に伝動される構成とする。
前記植付回転軸409は外周縁部にスプライン加工を施し、植付従動スプロケット411の軸受孔を、植付回転軸409のスプライン加工に対応する形状とし、植付回転軸409と植付従動スプロケット411の回転が一致しなくなることを防止する構成とする。このとき、植付従動スプロケット411の外周縁部に形成する歯の数と、スプライン加工による凸部の数を同数とすると、植付従動スプロケット411の着脱が容易になり、組み付け時の位相合わせが容易に行えるので、作業能率やメンテナンス性の向上が図られる。
なお、前記複数の植付伝動ケース405C,405L,405Rは、機体後側に向かうほど上下長さが長くなる構成とし、前記植付回転軸409を前記植付伝動シャフト407よりも機体下側に配置できる構成とする。また、植付従動スプロケット411を植付駆動スプロケット410よりも大径しても、複数の植付伝動ケース405C,405L,405Rの後部側に収納可能な構成とする。
そして、前記植付伝動チェーン412を下方から受けるチェーンテンショナ413を設け、前記植付伝動チェーン412が下方に垂れ下がることを防止すると共に、前記苗植付装置408の不等速回転によるガタ(バックラッシュ)により植付従動スプロケット411の回転が乱れた際、植付伝動チェーン412がチェーン飛び等を起こすことを防止する構成とする。
該チェーンテンショナ413はバネ鋼材等の強度があると共に弾力のある素材を曲げて構成し、前後両端部と前後方向の略中央部を複数の植付伝動ケース405C,405L,405Rの内側下部に接触させると共に、植付伝動チェーン412に接触する接触突起部413aを2箇所形成している。
そして、複数の植付伝動ケース405C,405L,405Rの外側下部にチェーンテンショナ413に接触する押しボルト414を回転可能に差し込み、該押しボルト414を出し入れすることにより、チェーンテンショナ413が植付伝動チェーン412を付勢する力を調節する構成とする。
さらに、前記複数の植付伝動ケース405C,405L,405Rの後部には注油口415を各々設け、該注油口415を空けてオイルを注入可能に構成する。
また、前記各植付駆動スプロケット410の側方には、過負荷が生じた際に植付伝動チェーン412や植付回転軸408等に過負荷が及ぶことを防止すべく、破損防止クラッチ機構416…が各々設けられている。該複数の破損防止クラッチ機構416…は、クラッチ爪416aと、該クラッチ爪416aが噛み合った「入」状態となるように付勢し、過負荷がかかると収縮してクラッチ爪416aを分離させて「切」状態とするクラッチスプリング416bで構成する。
上記構成では、複数の植付伝動ケース405C,405L,405Rに直接植付伝動シャフト407を設けて駆動力を伝動する構成としたことにより、植付伝動シャフト407と各植付駆動スプロケット410の間に駆動力を伝動する部品が不要となり、部品点数の削減により重量やコストの軽減が図られる。
また、左側ケース406Lを整地支持フレーム403に設け、この整地支持フレーム403に右側ケース406Rを着脱自在に設けたことにより、右側ケース406Rを外すと植付駆動ケース406の内部のメンテナンス作業や部品交換が容易に行え、作業能率が向上する。
そして、複数の植付伝動ケース405C,405L,405Rを機体後側に向かうほど上下長さが長くなる構成としたことにより、注油口415から投入したオイル等の潤滑油が機体後部側に溜まるので、大径となる植付伝動チェーン412が移動する際にこの溜まった潤滑剤を運ぶことができ、植付伝動チェーン412の移動が安定する。
これにより、複数の植付伝動ケース405C,405L,405Rの内部一杯に潤滑剤を投入する必要がなくなるので、潤滑剤の使用量が減少すると共に、圃場に潤滑剤が漏れ出し、水や土が汚染されることが防止される。
さらに、複数の植付伝動ケース405C,405L,405R内の部品同士が焼き付きなどによって動かなくなり、作業が中断されたり、苗の植付が行われない欠株区間が発生したりすることが防止される。
また、チェーンテンショナ413で植付伝動チェーン412を上方に押圧することにより、植付伝動チェーン412が滑って植付回転軸409の回転速度が速くなったり遅くなったりすることを防止できるので、苗の植付間隔が揃い易くなると共に、植付回転軸409が停止することにより、苗が植え付けられない欠株区間が生じることが防止される。
そして、押しボルト414を回転させて出し入れすることにより、チェーンテンショナ413の植付伝動チェーン412への付勢力を変更することができるので、苗植付装置408の回転によって植付伝動チェーン412が弛んだり、速く回り過ぎたりすることを防止でき、欠株区間に手作業で苗を植え付ける作業が不要となる。
さらに、植付駆動スプロケット410の側方に複数の破損防止クラッチ機構416…を設けたことにより、過負荷がかかると切状態となり、対応する条への植付駆動力を一時的に遮断することができるので、植付伝動ケース405C,405L、405Rの内部の部材や、苗植付装置408が負荷で破損することを防止でき、苗の植付精度の維持が図られる。
なお、上記の苗植付部16は、図21で示すとおり6条植えの苗移植機であるが、図28で示す7条植えの田植機においては、中央の植付伝動ケース405Cを、左右の中央植付伝動ケース405CL,405CRに置き換える必要がある。なお、右側の中央植付伝動ケース405CRは、奇数上植付を実現すべく、植付回転軸を左右どちらか一側にのみ突出させ、苗植付装置408を一つだけ装着するものとする。
このとき、右側の中央植付伝動ケース405CRは植付駆動ケース406から左右方向に離間させて配置するものとする。一つの苗植付装置408備える右側の中央伝動ケース405CRは、二つの苗植付装置408,408を回転駆動させる他の伝動ケース405CL,405L,405Rよりも軽いので、配置時にバランスを取る必要があるため、このような構成とする。
これにより、苗植付部16の左右バランスが安定するので、苗植付部16が重量偏差によってローリングすることが防止され、全ての条での苗の植付深さが一定になり、苗の生育が安定する。
前記植付支持フレーム402は、次の通り構成する。
図22で示すとおり、前記整地支持フレーム403の左右両側上部に各々左右の縦フレーム418,418を設け、該左右の縦フレーム418,418の上端部を機体左右方向に長いアッパーフレーム419で連結する。そして、該アッパーフレーム419よりも下方で且つ左右の縦フレーム418,418の上下方向中央より上方寄りとなる高さ位置に、左右の縦フレーム418,418を連結するロワーフレーム420を設ける。
また、該ロワーフレーム420と整地支持フレーム403の上下間で且つ機体左右方向の中央部よりも左側寄り位置に、中間フレーム421を設ける。さらに、該ロワーフレーム420の左右方向中央位置に、ローリングモータ423を設けるモータステー422を設ける。そして、該モータステー422と左右の縦フレーム418,418を、各々バランススプリング424,424で連結する。なお、該左右のバランススプリング424,424は、モータステー422を機体左右外側に付勢し、ローリングモータ423の作動時以外に苗植付部16がローリング回動軸417によって回動したときに、自動的に姿勢復帰する構成とする。
なお、基本的に植付条数が増減しても、上記構成は変化しない。
そして、前記整地支持フレーム403の左右両側には取付ステー425,425を設け、該左右の取付ステー425,425には、スタンドガード426,426を、機体前後方向の回動支点を中心に、機体左右側方に突出する位置から、機体真下に向かって90度まで回動するように装着する。
該左右のスタンドガード426,426を機体左右側方に突出させると、作業中、特に圃場端で作業している際に、圃場端に近接するスタンドガード426が先に圃場の端部に接触するので、苗植付部16の構成部材が圃場端に接触することが防止され、苗植付部16の破損が防止される。
左右のスタンドガード426,426を下方に回動させると、苗植付部4が下降した際に左右のスタンドガード426,426が先に地面に接触するので、メンテナンス作業時等に左右のスタンドガード426,426を下方に回動させておくと、下降操作させ過ぎて苗植付部4を破損させることが防止される。
なお、前記整地支持フレーム403には、圃場面を整地するレーキ427,427を着脱自在に設けてもよい。
該左右のレーキ427,427を設けることにより、整地装置5が整地し切れない個所の凹凸を均し、苗の植付深さをよりいっそう安定させ、苗の生育を良好にすることが可能となる。
前記走行車体2は、圃場の凹凸等に合わせて、左右の前輪14,14がサスペンション機構(図示省略)によって伸縮することにより、機体を圃場面に対して水平姿勢とする車体ローリング機構を備えている。この車体ローリング機構の作動時には、苗植付部4もローリング回動する必要があるので、上述の通り、植付駆動ケース406の左側ケース406Lには、ローリング回動軸417を設けている。
前記走行車体2がローリングして姿勢が変わると、苗植付部16はローリング回動軸417を支点として左右方向に回動する。この時の苗植付部16の姿勢変化を検知するスロープセンサ428を、前記植付駆動ケース406の上部、特に、ローリング回動軸417の略直上に設ける。該スロープセンサ428が姿勢変化を検知すると、前記ローリングモータ423が作動し、苗植付部16を圃場面に対して水平な姿勢とすべく、走行車体2のローリング方向とは逆方向に苗植付部16を回動させる。
これにより、走行車体2は圃場面に沿う姿勢となるので安定した直進走行ができると共に、苗植付部16は圃場面に対して水平な姿勢となるので、苗の植付深さが左右方向で同じ深さになり、苗の植付精度が向上する。
また、スロープセンサ428をローリング回動軸417の略直上に設けたことにより、苗植付部16のローリング中心に近い位置で苗植付部16の姿勢変化量を検知できるので、ローリングモータ423の作動時に苗植付部16を水平姿勢に一層近づけられ、苗の植付精度が向上する。
図22、図29に示すとおり、前記整地支持フレーム403及び前記複数の植付伝動ケース405C,405L,405Rの前側には、圃場面に接地して凹凸を均すセンターフロート38a及び左右のサイドフロート38b,38bを設けると共に、該センターフロート38aの前方を整地するセンターロータ50と、該センターロータ50の左右両側の後方で且つ左右のサイドフロート38b,38bの前方に、左右のサイドロータ51,51を設ける。
さらに、該センターロータ50の左右両端と左右のサイドロータ51,51を、連結伝動機構52,52で各々連結する。
図27に示すとおり、前記センターロータ50と左右のサイドロータ51,51の長手方向は、左右方向と平行に配置されており、左右の連結伝動機構52,52により軸心回りに回転自在に支持されている。前記左右の連結伝動機構52,52は、前記センターロータ50と左右のサイドロータ51,51を軸心回りに連動させて回転させる。また、左右の連結伝動機構52のうち、機体左側に設けるものには、駆動力を入力する伝達される駆動入力軸53を設ける。
これにより、該駆動入力軸53とPTO軸2pが、ローリング回動軸417の左右方向に配置されるので、駆動入力軸53とPTO軸2pに互いの回転力の影響を受けにくくなる。
なお、該駆動入力軸53とPTO軸2pの回転方向を各々異なる回転方向とすると、駆動入力軸53とPTO軸2pが互いの回転力で受ける影響を相殺することができるので、なお駆動入力軸53とPTO軸2pの回転が安定し、苗の植付精度や整地精度が向上する。
整地装置支持機構6は、整地装置5を苗植付部16に支持するものである。整地装置支持機構6は、図29に示すように、整地回動アームとしての一対の第1整地回動アーム60と、一対の第1整地回動アーム60間に設けられた整地回動アームとしての第2整地回動アーム61,61と、整地昇降機構62(図3に示す)と、水平維持機構63を備える。該第1整地回動アーム60及び第2整地回動アーム61は、その一端が整地支持フレーム59に回転自在に連結され、他端が整地装置5のサイドロータ51,51に回転自在に連結されて、整地装置5を後方から支持するものである。
即ち、整地装置5は、前記第1及び第2整地回動アーム60,61,61によって植付支持フレーム402、即ち苗植付部16に支持されており、苗植付部昇降機構31によって苗植付部16とともに昇降する。
前記第1整地回動アーム60の一端は、整地支持フレーム59の左右端に回転自在に連結されている。該第1整地回動アーム60は、図29に示すように、苗移植機の側方からみて、整地支持フレーム403から整地装置5に向かって延びている。該第1整地回動アーム60の他端は、サイドロータ51,51の左右方向の外側の端に回転自在に連結されている。
そして、第1整地回動アーム60は、整地装置5のサイドロータ51,51の左右両端と整地支持フレーム403の左右両端とを連結している。
前記左右の第2整地回動アーム61,61の他端は、左右のサイドロータ51,51の左右方向の内側の端に回転自在に連結されている。こうして、左右のサイドロータ51,51は、第1整地回動アーム60と左右の第2整地回動アーム61,61により支持されている。
前記整地昇降機構62は、図29に示すように、歯車部材64と、回転駆動源としての昇降モータ65と、吊下げアーム66を備えている。該歯車部材64は、苗植付部16の植付支持フレーム402を構成するロワーフレーム420に設ける支持板67に回転自在に取り付けられている。該支持板67は、その両表面が上下方向及び前後方向と平行に形成されている。
前記歯車部材64は、扇形に形成され、円弧状の外縁部に設けられた歯部64aよりも回転中心が後方に配置されている。前記昇降モータ65は、植付フレーム402に固定された支持板67に取り付けられている。前記昇降モータ65は、前記支持板67に回転自在に設けられ、且つ歯車部材64の歯部64aに噛み合った歯車68を回転させる。これにより、昇降モータ65は、歯車68を介して歯車部材64を回転させる構成となる。
前記吊下げアーム66は棒状に形成され、一端が歯車部材64にスライド自在に取り付けられ、他端が一方の第2整地回動アーム61の中央部に回転自在に取り付けられている。即ち、整地昇降機構62は、一方の第2整地回動アーム61に取り付けられている。吊下げアーム66は、苗植付装置3の苗植付部16の植付フレーム402から第2整地回動アーム61,61を介して整地装置5を吊り下げる。
整地昇降機構62は、モータ65が歯車部材64を回転させることで、吊下げアーム66を昇降させ、第2整地回動アーム61,61を介して整地装置5を昇降させる。整地昇降機構62は、図31に示す最下方の位置と、図33に示す最上方の位置とに亘って、整地装置5を昇降させる。整地昇降機構62は、昇降リンク機構16とは独立しており、整地装置5のみを苗植付部に対して相対的に昇降させる。
なお、最下方の位置では、整地装置5は、走行車体2の側方から見てセンターフロート38a及び左右のサイドフロート38b,38bと水平方向に並ぶ。また、最上方の位置では、整地装置5は、図30に示すように、苗移植機の側方からみてセンターフロート38a及び左右のサイドフロート38b,38bよりも上方に位置する。
また、図32に示す最下方の位置よりも若干上方寄りの位置では、整地装置5は、図30に示すように、走行車体2の側方から見てセンターフロート38a及び左右のサイドフロート38b,38bと水平方向に並ぶとともに、センターフロート38a及び左右のサイドフロート38b,38bよりも若干上方に位置する。
前記水平維持機構63は、整地装置5の走行車体2の前後方向の姿勢を水平に、即ち整地装置5の連結伝動機構52が、側方から見て前後方向と平行となるように維持するものである。水平維持機構63は、図29に示すように、接触突起69と、付勢部材としてのコイルばね70と、水平維持部材71とを備える。
接触突起69は、吊下げアーム66の下端部の左右方向の外側の面に取り付けられて、吊下げアーム66に設けられている。接触突起69は、吊下げアーム66から前方に向かって凸に形成されている。接触突起69は、上下方向の中央の吊下げアーム66からの前方側の突出量が上下方向の両端の突出量よりも大きく形成されている。
また、接触突起69は、例えば、金属、硬質樹脂、炭素繊維などの硬質材料で構成されている。なお、硬質材料とは、炭化物、窒化物、ホウ化物、ある種の酸化物には硬さの非常に高い性質を利用した物質を総称したものをいう。接触突起69の水平維持部材71の後述するローラ73が接触する接触面69aが、走行車体2の側方から見て円弧状に形成されている。
前記コイルばね70は、一端が整地装置5の一対の連結伝動機構52,52のうち、吊下げアーム66と上下方向に重なる一方の連結伝動機構52の前端部に設けられた接触部材100に取り付けられている。該コイルばね70は、一端が吊下げアーム66の上端部に取り付けられている。
こうして、コイルばね70は、一方の連結伝動機構52の前端部と吊下げアーム66の上端部とを連結し、かつ一方の連結伝動機構52、即ち整地装置5の前端部を上方でかつ後方に付勢する。
また、一方の連結伝動機構52の前端部に設けられた接触部材100は、一方の連結伝動機構52の吊下げアーム66よりも前方の位置に設けられ、一方の連結伝動機構52から上方に突出している。
前記接触部材100は、昇降リンク機構が苗植付部16を上昇させることにより、整地装置5が苗植付部16と共に上昇すると、接触部材100が昇降リンク機構に接触する。そして、該接触部材100が昇降リンク機構に接触した状態から、昇降リンク機構が苗植付部16を上昇させることにより、整地装置5と共に苗植付部16がさらに上昇されると、接触部材100は昇降リンク機構に接触することで、図31から図33に示すように、整地装置5を後端部を中心として回転させ、センターロータ50を左右のサイドロータ51,51よりも下方に位置させる。
これにより、接触部材100は、昇降リンク機構が苗植付部16を上昇させることにより、整地装置5が苗植付部16とともに上昇しても、整地装置5が昇降リンク機構などに接触して破損することを抑制する。
前記水平維持部材71は、一方の連結伝動機構52に取り付けられている。水平維持部材71は、接触突起に接触して、左右のサイドロータ51,51、即ち整地装置5の前後方向の姿勢を水平に維持するものである。
該水平維持部材71は、図31に示すように、一方の連結伝動機構52の左右方向の内側の一端から上方に突出する突出部材72と、突出部材72の上端に左右方向の軸心を中心として回転自在な回転体としてのローラ73とを備える。該ローラ73は、整地装置5が最下方の位置に位置付けられると、外周面が接触突起69の接触面69aに接触して、接触面69a上を転動可能である。
また、前記ローラ73は、整地装置5が図31に示す最下方の位置、又は図31及び図32に示す最下方の位置よりも若干上方寄りに位置付けられると、接触突起69の接触面69aの中央よりも下方の位置に接触する。
さらに、ローラ73は、整地装置5が最上方の位置に位置付けられると、図33に示すように、接触突起69よりも上方に位置付けられる。
退避機構72は、水平維持機構63の水平維持部材69に水平方向に沿って走行車体2の後方に向かう負荷が作用すると、水平維持機構63の水平維持部材69を後方に退避させて、整地装置5を上方に回動させるものである。
退避機構72は、図29及び図34に示すように、水平維持部材69の下端部を吊下げアーム66に回転自在に支持する回転支持部材74と、移動支持部材75と、付勢部材76(図34に示す)とを備えている。移動支持部材75は、吊下げアーム66の外側の面に取り付けられ、水平維持部材69の後端側を覆っているとともに、接触面69aを前方側に突出させている。移動支持部材75は、その内側で回転支持部材74を中心として水平維持部材69が回転することを許容しているとともに、水平維持部材69が前側に抜け出ることを規制している。
移動支持部材75は、回転支持部材74を中心として水平維持部材69が回転することを許容することで、吊下げアーム66に対して水平維持部材69の上端部を前後方向に移動自在に支持する。付勢部材76は、移動支持部材75内に支持されている。付勢部材76は、水平維持部材69と移動支持部材75の奥側の壁との間に設けられて、水平維持部材69を前方に付勢している。また、退避機構72は、水平維持部材69が最も後方に退避したことを検出する検出センサを更に備えている。
整地装置昇降機構80は、図29に示すように、苗植付部16の苗載せ台37などに取り付けられた支持フレーム81と、支持フレーム81に取り付けられたモータ82と、回動アーム83とを備えている。回動アーム83は、モータ82の出力軸に取り付けられた歯車84と噛み合う歯部83aが設けられた一端部を中心として回転自在に支持フレーム81に支持されている。
回動アーム83の他端部は、吊下げアーム66の一端と回転自在に連結されている。整地装置昇降機構80は、モータ82が歯車84及び回動アーム83を回転させることで、吊下げアーム66及び支持板67即ち整地昇降装置62全体を昇降させ、苗植付部16の昇降動作と独立して、整地装置5を昇降させる。
制御装置は、苗移植機を構成する上述した構成要素をそれぞれ制御するものである。制御装置は、例えば、油圧式無段変速機15を制御する変速制御、苗植付部昇降機構31による苗植付部16の昇降制御、エンジン11を制御するエンジン制御、整地昇降装置62による整地装置5の昇降制御等を実行している。制御装置は、整地装置5の昇降制御では、検知センサが検知した整地高さ調整レバーの操作位置に基いて、モータ65を駆動し、整地装置5の高さ調整を行う。即ち、制御装置は、整地装置5の高さが整地高さ調整レバーにより設定された高さとなるように、整地昇降装置62のモータ65を制御する。
また、制御装置は、ハンドル24の操舵角度を検出する検出センサからの検出結果などにより、圃場上の植付作業中における旋回中には、油圧昇降シリンダ34により苗植付部16を非作業位置まで上昇させ、圃場上の植付作業中における直線走行中には、苗植付部16を対地作業位置まで下降させる。制御装置は、圃場上の植付作業中における旋回中に、油圧昇降シリンダ34により苗植付部30を非作業位置まで上昇させる際には、センターフロート38aの上下動を検知する迎角制御センサの検知結果を無視して、油圧昇降シリンダ34に作動油を供給するために昇降バルブを全開として、速やかに苗植付部30を非作業位置まで上昇させる。
こうすることで、圃場の作業中の旋回時に苗移植機の走行が突然停止することを抑制する。また、制御装置は、整地装置昇降機構80のモータ82を制御して、植付作業中に所定時間毎に整地装置5を上昇させた後下降させる制御モードと、整地装置5を常時小刻みに昇降させる制御モードとを切り替え可能である。即ち、整地装置昇降機構80は、苗植付部16が対地業位置に位置付けられている際に、所定時間毎に整地装置5を上昇させた後下降させる制御モードと、整地装置5を常時昇降させる制御モードとが切り換え可能である。
前述した苗移植機は、圃場に苗を植え付ける際には、作業者の各種操作レバーの操作により苗植付装置3が対地作業位置(苗の植付位置)まで下降される。また、苗移植機は、作業者の整地高さ調整レバーの操作により整地装置5が図5に示す最下方の位置又は図32に示す最下方の位置よりも若干上方寄りに位置付けられる。そして、苗移植機は、圃場内を走行しながら整地装置5のロータ50,51が回転することで圃場の表面を均す。そして、苗移植機は、苗植付部16の回転支持部36bが中央部を中心として回転しながら回転支持部36bの両端部で植込杆36cが回転して、苗を圃場に植え付ける。
苗移植機が圃場に苗を植え付ける際には、整地装置5が図31に示す最下方の位置又は図32に示す最下方の位置よりも若干上方寄りに位置付けられて、ローラ73が水平維持部材69の接触面69aの中央よりも下方の位置に接触する。苗移植機が圃場に苗を植え付ける際にセンターロータ50が圃場の凹部などに潜り込んで、センターロータ50がサイドロータ51よりも下方に向かうように整地装置5が回転しようとすると、ローラ73が接触面69a上を上方に向かって転動しようとする。
このとき、ローラ73が水平維持部材69の接触面69aの中央よりも下方の位置に接触しているので、ローラ73の転動即ちセンターロータ50がサイドロータ51よりも下方に向かう整地装置5の回転が、水平維持部材69の接触面69aにより規制される。
また、苗移植機が圃場に苗を植え付ける際にセンターロータ50が圃場の凸部などにより上方に押し上げられても、ローラ73が水平維持部材69の接触面69aに接触しているので、センターロータ50が上方に向かう方向の整地装置5の回転がローラ73や水平維持部材69などにより規制される。こうして、水平維持機構63は、苗移植機が圃場に苗を植え付ける際に、整地装置5の前後方向の姿勢を水平に維持する。
さらに、苗移植機が圃場に苗を植え付ける際にセンターロータ50が圃場の凸部などから後方に向かう負荷が作用すると、この負荷により付勢部材76の付勢力に抗して、水平維持部材69の上端部が後方に退避する。そして、苗移植機は、ローラ73が接触面69a上を上方に転動して、センターロータ50が上方に向かうように整地装置5を上方に回動させる。
また、苗移植機は、水平維持部材69が最も後方に退避したことを検出センサが検出すると、整地装置昇降機構80のモータ82を制御して、整地昇降装置62毎整地装置5を上昇させる。苗移植機は、水平維持部材69が最も後方に退避したことを検出センサが検出しなくなると、整地装置昇降機構80のモータ82を制御して、整地昇降装置62ごと整地装置5を元の位置まで下降させる。
また、苗移植機は、圃場への苗の植え付けを終了すると、作業者の整地高さ調整レバーの操作により整地装置5が図33に示す最上方の位置に位置付けられた後、苗植付部昇降機構31により苗植付部16とともに整地装置5が非作業位置まで上昇される。そして、苗移植機は、圃場間を移動したり、圃場外に移動する。
以上のように、本実施形態の苗移植機の構成によれば、下部フレーム39が回動アーム60,61を介して、整地装置5を後方から支持する。このために、整地装置5が圃場の凸部に接触した際に圃場の凸部から押される力を、回動アーム60,61を介して下部フレーム39が支持して、整地装置5の前後方向の姿勢を維持することとなる。このために、苗移植機は、整地装置5が圃場の凹部などに潜り込むことを抑制できるので、整地装置5が破損することを抑制できる。
また、苗移植機は、下部フレーム39が整地装置5全体を後方から支持するので、整地装置5が圃場の凸部から押される力などによって一部だけが上昇することを抑制でき、圃場全体、特に圃場の凸部を確実に均すことができる。
さらに、苗移植機は、水平維持機構63が整地装置5の姿勢を水平に維持するので、対地作業位置において苗植付部16を昇降させても、整地装置5の姿勢が水平に保たれ、作業中に整地装置5が自重などにより圃場内に沈み込んだり、圃場内に潜り込むことを抑制することができる。したがって、苗移植機は、整地装置5を破損させることなく、圃場の表面を確実に均すことができ、圃場の表面が荒らされることを抑制し、整地精度や苗植付精度を向上して、苗の植付深さを安定させることができる。
また、苗移植機は、整地回動アームとしての一対の外側回動アーム60と、一対の外側回動アーム60間に設けられた内側回動アーム61とを備えている。このために、苗移植機は、整地装置5を左右方向の複数箇所で支持することとなり、圃場の凸部から押される力などによって、整地装置5が圃場に潜り込んだり一部だけが持ち上げられたりすることを確実に抑制できる。また、苗移植機は、外側回動アーム60と内側回動アーム61により整地装置5を支持するとともに、整地昇降装置62によって整地装置5全体の作業高さを調節することができる。したがって、圃場の土質等の作業条件に合わせて、整地装置5の接触量を変更することができるので、整地精度を向上することができる。
また、苗移植機は、内側回動アーム61に整地昇降装置62を取り付けているので、走行車体2の左右方向の中央寄りの箇所で整地装置5を昇降させる。このために、苗移植機は、整地装置5を左右方向に水平となる姿勢に維持したまま昇降できる。したがって、苗移植機は、整地装置5が破損することなく、圃場の表面を確実に均すことができる。
また、苗移植機は、整地昇降装置62が内側回動アーム61に取り付けられ、整地装置5を植付フレーム35に吊り下げた吊下げアーム66を備えているので、整地昇降装置62により整地装置5の高さを確実に変更することができる。よって、整地作業時以外では、整地装置5を上昇させて、圃場の表面が荒れることを確実に抑制することができる。
また、苗移植機は、整地装置5を下降させると、水平維持機構63の中央が最も突出した水平維持部材69に姿勢保持部材71のローラ73が接触する。このために、整地装置5を下降させると、センターロータ50が下方に向かう方向に整地装置5が移動することが、水平維持部材69に姿勢保持部材71のローラ73が接触することで規制される。
さらに、苗移植機は、水平維持機構63が、連結伝動機構52を上方に付勢するコイルばね70を備えている。このために、吊下げアーム66とコイルばね70によって整地装置5を吊り下げることとなる。したがって、苗移植機は、整地装置5全体を前後方向に水平となる姿勢に維持でき、整地装置5を破損させることなく圃場の表面を均すことができ、苗の植付深さが安定する。
苗移植機は、センターロータ50とサイドロータ51とを連結伝動機構52により連結しているので、水平維持部材69と姿勢保持部材71とを一組のみ設けることで、整地装置5の水平を維持することができ、部品点数の増加を抑制することができる。
苗移植機は、水平維持部材69を硬質材料で構成しているので、水平維持部材69の変形を抑制でき、整地装置5の姿勢を確実に水平に維持することができる。また、水平維持部材69の接触面69aを円弧状に形成しているので、整地装置5を下降させると、姿勢保持部材71のローラ73が水平維持部材69から離間することを抑制でき、整地装置5の姿勢を確実に水平に維持することができる。
また、苗移植機は、水平維持機構63に後方に向かう負荷が作用すると、水平維持機構63が退避するので、整地装置5を上方に回動させることができる。このために、負荷などによって整地昇降装置62や整地装置5自身が破損することを抑制できる。よって、苗移植機は、整地装置5が破損することなく、圃場の表面を確実に均すことができる。
苗移植機は、水平維持機構63の姿勢保持部材71の後端部が前方に付勢されている水平維持部材69に接触しているので、整地装置5が圃場の表面に対して水平となる位置よりもセンターロータ50が下方に回動されることを規制する。したがって、センターロータ50が圃場の表面を荒らすことを抑制でき、苗の植付精度の向上や植付深さの安定を図ることができる。
また、苗移植機は、センターロータ50が圃場の表面などに接触することによって負荷が作用し、姿勢保持部材71が水平維持部材69を後方に押す力が一定以上の力となると、水平維持部材69の上端部が付勢部材76の付勢力に抗して後方に移動するので、吊下げアーム66などが曲がるなどの破損を抑制することができる。
苗移植機は、飛散防止部材85が支持体86の前側同士を連結する防護体87を備えているので、センターロータ50の回転による前側への泥土の飛散を抑制できる。したがって、走行車体2上の作業者に泥土が飛散することを抑制できる。
また、苗移植機は、飛散防止部材85がセンターロータ50の上方及び後方を開放しているので、センターロータ50と飛散防止部材85との間に泥土が詰まることを抑制でき、整地装置5の駆動が妨げられることなく、作業能率の低下を抑制でき、整地装置5の整地性を向上することができる。
苗移植機は、第1防護体88の後側でかつ上方に第2防護体89を配置しているので、センターロータ50から前側への泥土の飛散を一層確実に抑制することができ、走行車体2上の作業者に泥土が飛散することを抑制できる。
また、苗移植機は、第1防護体88と第2防護体89との間の上方を開放しているので、第1防護体88と第2防護体89との間に泥土が詰まることを抑制でき、整地装置5の駆動が妨げられることなく、作業能率の低下を抑制でき、整地装置5の整地性を向上することがきる。
また、苗移植機は、整地昇降装置62ごと整地装置5を昇降させる整地装置昇降機構80を備えているので、整地装置5の昇降可能な範囲を広くすることができ、整地装置5が石や夾雑物の塊を踏んでも、上方に退避することができる。したがって、整地装置5や整地昇降装置62が破損することを抑制することができる。
また、苗移植機は、整地装置昇降機構80が整地装置5を所定の制御モードで昇降させるので、整地装置5の下方に溜まった藁屑などの夾雑物を逃がしながら整地作業を行うことができる。したがって、夾雑物が圃場の凹凸を均すことを妨げることを抑制でき、整地性を向上することができる。
前記車体左側の補助ステップ27の外側には、予備苗載台20u、20m、20d…を複数設けて構成する予備苗枠19が、車体に固定された前後方向に長い基礎支持フレーム23の前後両端部に固定された主支持フレーム24及び副支持フレーム25によって支持されている。該基礎支持フレーム23は、その下端部が屈曲しており、その屈曲部が補助ステップ27の下側に回り込み、車体フレームのブラケット26に固定されている。そして、前記基礎支持フレーム23の上端部で且つ前後両端部固定された主支持フレーム24および副支持フレーム25は、ほぼ垂直に立設している。
また、車体右側の補助ステップ27の外側には、予備苗を載置する、回動しない構成の固定された固定予備苗載置部28が設けられている。
前記主支持フレーム24の上端部に切替装置21が固定されており、3つの予備苗載台20u、20m、20dを連結する主リンクアーム41を切替装置21によって回動させることにより、予備苗枠19を積層形態と展開形態に切り替え可能に構成している。
該切替装置21は、前記主支持フレーム24の上端部に固定されるため、主支持フレーム24の上下長さを抑えつつ予備苗枠19のリンク機構の回動軌跡を確保することができるので、前記予備苗載台20u、20m、20dの位置が高くなり過ぎて苗の積み込みや取り出しが困難になることが防止されるため、作業効率が向上する。
図5に示すとおり、前記切替装置21を構成する半円形状の歯車32に作業者が接触することを防止すべく、切替装置21は切替部カバー31によって覆われる構成としている。
図5に示す該切替部カバー31は、前記歯車32を作動させる切替アクチュエータ22の上部を露出させる構成としているため、切替装置21がコンパクトに構成される。なお、切替部カバー31に切替アクチュエータ22の上部の覆い部を形成し、切替アクチュエータ22全体を覆う構成としてもよい。
また、空の苗箱や苗掬い板等を収納する空苗箱収容部33を、前記主支持フレーム24および副支持フレーム25に固定して、車体の内側に設けている。該空苗箱収容部33は、本件においては金属製の棒体を組み合わせて構成しているが、他の素材を用いて構成してもよい。なお、図1から図4では、空苗箱収容部33の図示を省略している。
前記空苗箱収容部33を設けたことにより、使い終わった苗の空箱や苗掬い板を収容しておくことができるので、苗箱や苗掬い板が風で飛ばされて圃場に落ちることを防止でき、作業者が拾い集める手間が省け、作業効率が向上する。
また、前記空苗箱収容部33を予備苗枠19とボンネット13の間に設けたことにより、作業者は車体上をほとんど移動することなく苗箱や苗掬い板を空苗箱収容部33に収容することができるので、作業者の労力が軽減される。
前記空苗箱収容部33を車体の外側に配置すると、空苗箱収容部33の突出により車体を壁に寄せられなくなると共に、運転者から空苗箱収容部33までの距離が遠くなり、空の苗箱や苗掬い板が届き難くなる等の問題があるため、本実施の形態1で示すとおり車体内側寄りに配置することが合理的であり、これにより苗移植機の操作性及び作業性が向上する。
なお、本実施の形態1の苗移植機の車体が、本発明の走行車体の一例にあたる。また、主支持フレーム24及び副支持フレーム25が、本発明の支持部材の一例にあたる。そして、切替装置21が、本発明の切替装置の一例にあたり、切り替え部カバー31が、本発明のカバーの一例にあたる。さらに、空苗箱収容部33が、本発明の収容部材の一例にあたる。
次に、予備苗枠19と切替装置21との接続構成、及び予備苗枠19の動作について説明する。
図6は、本実施の形態1の、積層形態における予備苗枠19の、苗移植機の外側から見た側面図を示し、図7は、苗移植機の内側から見た側面図を示す。図8は、本実施の形態1の、展開形態における予備苗枠19の、苗移植機の外側から見た側面図を示し、図9は、苗移植機の内側から見た側面図を示す。
図6に示すとおり、本実施の形態1の切替装置21は、予備苗枠19の積層形態において、側面視で予備苗載台20u、20m、20dの前後幅の範囲内に収まる前後幅としている。切替装置21の前後幅を、予備苗載台20u、20m、20dの前後幅よりも短くしたことにより、積層形態において切替装置21が予備苗載台20u、20m、20dの前後幅から突出することが無く、コンパクトな構成とすることができる。
なお、切替装置21の前後幅は、予備苗載台20u、20m、20dの前後幅と略同じとしてもよい。
図6及び図7に示すとおり、3つの予備苗載台20u、20m、20dは、主リンクアーム41に間隔を空けて連結されている。また、該予備苗載台20uと予備苗載台20mは前側の第1副リンクアーム42によって連結されており、予備苗載台20mと予備苗載台20dは後側の第2副リンクアーム43によって連結されている。
前記予備苗載台20uは、第1副リンクアーム42に回動自在に回動部46を介して接続され、主リンクアーム41に回動自在に回動部47を介して接続されている。
前記予備苗載台20mは、第1副リンクアーム42に回動自在に回動部48を介して接続され、主リンクアーム41に回動自在に従回動軸45を介して接続されると共に、第2副リンクアーム43に回動自在に回動部49を介して接続されている。
前記予備苗載台20dは、主リンクアーム41に回動自在に回動部50を介して接続され、第2副リンクアーム43に回動自在に回動部51を介して接続されている。
前記主リンクアーム41の中央部で且つ前記従回動軸45よりも前側位置には、主リンクアーム41を前側の主支持フレーム24に回動自在に取り付ける主回動軸44が設けられている。
なお、該主回動軸44は本発明の軸の一例にあたり、主リンクアーム41に主回動軸44が接続されている部分が、本発明のリンク機構の回動中心の部分の一例にあたる。
また、前記第2副リンクアーム43は、予備苗載台20mに近い部分で、副支持フレーム25の上端部に回動軸52を介して接続されており、該回動軸52を中心として第2副リンクアーム43が回動可能に構成されている。
前記主回動軸44は、切替装置21の切替アクチュエータ22の駆動によって回動する構成としており、主回動軸44の回動に伴って主リンクアーム41が回動し、主リンクアーム41の回動に伴って、その両端に接続される予備苗載台20uおよび予備苗載台20dがそれぞれ第1副リンクアーム42および第2副リンクアーム43によって規制されながら、ほぼ水平な状態を維持して移動する。
また、主リンクアーム41の回動に伴って、従回動軸45で接続される予備苗載台20mも、第1副リンクアーム42および第2副リンクアーム43によって規制されながら、ほぼ水平な状態を維持して移動する。
図6で示す予備苗枠19の積層形態において、主リンクアーム41が左回りに回動すると、予備苗載台20uは、上昇した後、下降しながら前方へ移動していき、予備苗載台20dは、下降した後、上昇しながら後方へ移動していく。そして、予備苗枠19は、図8に示す展開形態となる。
図15は、展開形態における予備苗枠19の平面図を示している。ここでは、予備苗枠19及び切替装置21以外の部分の図示は省略している。
前記主リンクアーム41、第1副リンクアーム42及び第2副リンクアーム43は、予備苗載台20u、20m、20dに対して平行で等距離の位置に配置されており、図15で示すとおり、展開形態ではこれらのリンクアーム41、42、43が重なり合う状態となる。
また、図5及び図15に示すとおり、運転部10側から車体外側に向けて、切替装置21、各リンクアーム41、42、43、予備苗載台20u、20m、20dの順に配置されているので、予備苗載台20u、20m、20dに載置される苗の動きを邪魔する部材が無く、苗マットの積み込みが容易になる。
従来の乗用型田植機では、収容状態の予備苗載部材の停止位置を決めるストッパを設けているため、予備苗載部材を展開形態または積層形態に切り替える度にこのストッパの作用状態を手作業で解除する必要があり、作業能率が低下する問題があると共に、このストッパを作用状態と非作用状態に切り替える構成としなければならず、予備苗載部材の構成が複雑になる問題がある。
そして、予備苗載部材を展開形態に切り替えたとき、積載した苗が予備苗載部材の前側及び後側から落下することを防止する受け部材を設けているが、この受け部材の上部が上方に突出する形状であるため、苗を予備苗載部材に積み込む際、作業者はこの受け部材の上部を避けて苗を積み込まなければならないため、容易に苗が積み込めず、苗の補充作業の能率が低下する問題がある。
さらに、予備苗載部材同士の間に苗を移動を補助する搬送補助回転体等を設けていないため、苗の後方への移動に要する労力が増大すると共に、作業能率が低下する問題がある。
図10、図12及び図15で示すとおり、第1,第2,第3予備苗載せ台20u、20m、20dの前側両端部に前方に向かって突出する一対の前側突出部38a1,38b1,38c1をそれぞれ形成し、後側端部中央に後方に向かって突出する後側突出部38a2,38b2,38c2をそれぞれ形成している。したがって第1,第2,第3予備苗載せ台20u、20m、20dを展開形態にした場合に、機体前側に位置する予備苗載せ台20u、20mの後部突出部38a2,38b2が機体後側に位置する予備苗載せ台20m、20dの前側突出部38b1,38c1と側面視で重複する位置に配置される。なお、上記前側突出部38a1,38b1,38c1は前側ストッパ部の一例であり、上記後側突出部38a2,38b2,38c2は後側ストッパ部の一例である。
このため、第1,第2,第3予備苗載せ台20u、20m、20dが前後方向に並ぶ展開形態にあるときには、第1,第2,第3予備苗載せ台20u、20m、20dを前後方向に並べることができるので、予備苗載せ台20u、20m、20dに積み込む苗箱を円滑に後側に移動させることができ、作業能率が従来よりも向上する。
そして、前側ストッパ部38a1,38b1,38c1及び後側ストッパ部38a2,38b2,38c2を作用状態または非作用状態に切替操作することなく予備苗載部材20u,20m,20dを展開形態または積層形態に切り替えることができるので、予備苗載部材20u,20m,20dの構成が複雑になることが防止されると共に、作業能率が向上する。
図10、図12の側面図に示すとおり、第1,第2,第3予備苗載せ台20u、20m、20dの前側突出部38a1,38b1,38c1に後上り傾斜形状(後上り傾斜部)の案内面を形成し、該案内面を各予備苗載せ台20u、20m、20dの苗載せ面よりも高くしている。
そして、展開形態において、側面視で前記案内面または案内面よりも後方に後側ストッパ部を配置する。
また、第1,第2,第3予備苗載せ台20u、20m、20dの後側突出部38a2,38b2,38c2を各予備苗載せ台20u、20m、20dの苗載せ面よりも高くし、且つ前側突出部38a1,38b1,38c1の上面と同じか又は前記上面より低くしている。
上記のとおり、前側突出部38a1,38b1,38c1を後上り傾斜部としたことにより、第1,第2,第3予備苗載せ台20u、20m、20dを展開状態としたとき、前側の予備苗載せ台20u、20mから後側の予備苗載せ台20m、20dに苗箱等を移動させるとき、この苗箱は後上り傾斜部に載り上げて後方に移動することができるので、苗箱の移動が容易となり、作業能率が従来よりも向上する。
また、前側突出部38a1,38b1,38c1の案内面の後部に形成した前側ストッパ部と、後側突出部38a2,38b2,38c2に形成した後側ストッパ部を各予備苗載せ台20u、20m、20dの苗載せ面よりも高く形成したことにより、第1、第2、第3予備苗載せ台20u、20m、20dを積層形態としたとき、前側突出部38a1,38b1,38c1と後側突出部38a2,38b2,38c2で各予備苗載せ台20u、20m、20dに載置した苗箱などの前後移動を防止することができるので、各予備苗載せ台20u、20m、20dから苗箱が下方に落下することが防止され、落下した苗箱を拾う必要が無くなり、作業能率が従来よりも向上する。
前記各予備苗載せ台20u、20m、20dの一対の前側突出部38a1,38b1,38c1の左右間で、且つ当該予備苗載せ台20u、20m、20dの底部に前側の予備苗載せ台20u、20mの後側突出部38a2,38b2などを受けるための受け部材38a3,38b3,38c3をそれぞれ設け、該受け部材38a3,38b3,38c3は一対の前側突出部38a1,38b1,38c1同士の間の空間部に突出して形成している。
なお、前側突出部38a1,38b1,38c1及び後側突出部38a2,38b2のうちの一方に受け部材38a3,38b3,38c3を設け、該受け部材38a3,38b3,38c3により前側突出部38a1,38b1,38c1及び後側突出部38a2,38b2のうちの他方を受ける構成としている。
上記構成としたことにより、各予備苗載せ台20m、20dの前側突出部38b1,38c1の左右間に受け部材38b3,38c3で、それぞれの前側の予備苗載せ台20u、20mの後側突出部38a2,38b2を受け止めることができるので、各予備苗載せ台20u、20m、20dが下がり過ぎることがなく、展開状態の各予備苗載せ台20u、20m、20dが確実にほぼ同じ高さに並ぶ姿勢となるため、苗箱の積み込み作業が容易となり、作業能率が従来よりも向上する。
また、予備苗載せ台20u、20m、20dの底部に受け部材38a3,38b3,38c3を設けたことにより、後側突出部38a2,38b2,38c2の上端部は前側突出部38a1,38b1,38c1の上端部と略同じ高さ、または下側に位置するので、後上り傾斜部を有する前側突出部38a1,38b1,38c1に載り上げる苗箱の移動が円滑に行われるため、作業能率が従来よりも向上する。
また、第1,第2,第3予備苗載せ台20u、20m、20dの左右側面の前後の4箇所に苗箱の落下を防ぐ第1,第2,第3仕切壁38a4,38b4,38c4をそれぞれ配置している。
さらに、第2移動リンク部材39bの回動支点44を第2予備苗載せ台20mの回動軸45と同軸上に設けても良い。この場合は、中央の第2予備苗載せ台20mが前後に移動しない構成となる。
図14の(a)、(b)は、展開形態とした予備苗載台20u,20m,20d上を移動する苗を示す側面図であり、図14の(c)は苗を省略した平面図である。また、図14の(c)、(d)は、苗の搬送を補助する補助搬送回転体を設けた平面図と、要部の側面図である。
前記三つの予備苗載台20u,20m,20dの前側突出部38a1,38b1,38c1のうち、第2の予備苗載台20m及び第3の予備苗載台20dの前側突出部38b1,38c1には、遊転して苗の搬送を補助する搬送補助回転体47b,47cをそれぞれ配置する。
このとき、搬送補助回転体47b,47cの上面は、前記前側突出部38b1,38c1の後上り傾斜面の上部よりも上方に突出する構成とする。
前記前側突出部38b1,38c1に搬送補助回転体47b,47cを設けたことにより、展開形態であるときに作業者が第2の予備苗載台20m及び第3の予備苗載台20dに苗を押して移動させる際、苗の移動にかかる力を軽減することができるので、作業者の労力が軽減される。
そして、搬送補助回転体47b,47cの上面が前側突出部38b1,38c1よりも上方に位置することにより、補助搬送回転体47b,47cが確実に作用する。
図17は、切替装置21の構造を示す説明図である。
図17で示すとおり、前記主支持フレーム24が車体内側に配置され、前記主リンクアーム41が主支持フレーム24よりも外側に配置される。また、主支持フレーム24の上端部に固定支持板58が固定されており、固定支持板58には切替アクチュエータ22が固定されている。
前記主回動軸44は主リンクアーム41に固定されており、また歯部55が形成されている円弧の中心の位置を貫通するように歯車32にも固定されている。そして、主回動軸44は、主支持フレーム24に回動自在に接続されており、主回動軸44、歯車32及び主リンクアーム41が一体となって回動する構成としている。
図17に示すとおり、車体の内側から外側に向けて、主支持フレーム24、切替アクチュエータ22、歯車32、主リンクアーム41の順に配置されており、さらに図15で示すとおり、主リンクアーム41の外側に予備苗枠19が接続されている。
上記構成としたことにより、補助ステップ27上で作業する作業者から見て、主リンクアーム41、第1副リンクアーム42および第2副リンクアーム43よりも切替装置21が手前側に位置する構成となるので、回動中の主リンクアーム41、第1副リンクアーム42および第2副リンクアーム43に作業者の手や腕がぶつかることを防止できるので、作業の安全性が向上する。
前記切替装置21を構成する切替アクチュエータ22、該切替アクチュエータ22の出力軸(図示省略)に軸着する回動歯車61及び歯車32は、図5に示すとおり、主支持フレーム24の上部と共に、前記切替部カバー31で覆う構成とする。
なお、前記切替部カバー31は、例えば、下方が開放された箱型形状とし、切替装置21の上部から被せる構造としてもよい。また、側面が開放された箱型形状とし、主支持フレーム24側の側面から被せて切替装置21を覆わせて、その後で開放された側面部分に蓋を取り付ける構成としてもよい。
切替部カバー31を、下方が開放された箱型形状として切替装置21の上方から着脱自在に取り付ける構造とすると、切り替え部カバー31の取り外しが容易になるので、メンテナンス性が向上する。
なお、切替アクチュエータ22を歯車32に近い位置に配置するほど、切替装置21のサイズをよりコンパクトにすることができる。
また、主支持フレーム24を内部が空洞のパイプ形状とし、切替アクチュエータ22に電源を供給するハーネスを主支持フレーム24の内部を通して、切替アクチュエータ22に接続する構成としてもよい。該構成とすることにより、主支持フレーム24を回動させると予備苗枠19が車体の内側を向く構成としても、切替アクチュエータ22に電源を供給するハーネスが絡まることを防止できる。
また、予備苗枠19の積層形態および展開形態を切り替えるための操作部材、すなわち切替アクチュエータ22を駆動するための切替操作スイッチ73(図16に表示)は、操縦ハンドル18の根元のハンドルポスト30に配置してもよい。該ハンドルポスト30に切替操作スイッチ73を設けることにより、運転者は予備苗枠19の状態の切り替えを運転部10で操作することができる。
また、運転座席12に座った状態では少し手を伸ばさなければ届かない位置に切替操作スイッチ73が配置されるため、誤操作をする可能性が低くなる。
あるいは、予備苗枠19の状態を切り替える切替操作スイッチ73を、ハンドルポスト30に設けると共に、ボンネット13の前側位置に設ける構成としてもよい。該構成とすることにより、運転者とは別の補助者も操作することができ、例えば危険と感じたときに予備苗枠19の回動動作を停止させることができる。
同様に、予備苗枠19の状態を切り替える切替操作スイッチ73を、予備苗枠19や切替装置21に設けてもよい。
図10は停止プレート73a1,73a2を設けた積層形態の予備苗枠19を示す側面図であり、図11は停止プレート73a1,73a2の取付位置を示す要部側面図である。そして、図12は停止プレート73a1,73a2を設けた展開形態の予備苗枠19を示す側面図であり、図13は停止プレート73a1,73a2の取付位置を示す要部側面図である。
また、図16は、予備苗枠19を操作し、主リンクアーム41、第1及び第2副リンクアーム42,43が停止プレート73a,73a2に接触して切替アクチュエータ22に負荷が生じると切替アクチュエータ22が停止することを示す、作動制御ブロック図である。
前記切替操作スイッチ73を操作して予備苗枠19を積層形態及び展開形態に切り替えたとき、主リンクアーム41、第1及び第2副リンクアーム42,43に接触してそれ以上の回動を規制する停止プレート73a1,73a2を設ける。該停止プレート73a1,73a2は、積層形態で中央の予備苗載台20mと下段の予備苗載台20dの側面にそれぞれ設ける。
図10及び図11で示すとおり、予備苗枠19が積層状態になると、下側に位置する停止プレート73a2に主リンクアーム41が接触してそれ以上の回動を規制し、この回動規制が続くことによって切替アクチュエータ22に一定以上の負荷が生じる、または過熱状態となると制御装置100が切替アクチュエータ22を停止させる。
また、図12及び図13で示すとおり、予備苗枠19が展開形態になると前側に位置する停止プレート73a1に主リンクアーム41が接触してそれ以上の回動を規制し、この回動規制が続くことによって切替アクチュエータ22に一定以上の負荷が生じる、または過熱状態となると制御装置100が切替アクチュエータ22を停止させる。
上述のとおり、切替アクチュエータ22の停止は制御装置100を介して行うものとしているが、該切替アクチュエータ22を電動モータとし、この電動モータの内部に通電切替部材92を用いた通電経路を配置し、負荷により一定温度以上になると該通電切替部材92が曲がって通電状態から非通電状態に強制的に切り替える構成としてもよい。
上記構成とすると、予備苗枠19を積層形態または展開形態に切り替えたとき、作業者は切替操作スイッチ73を操作して切替アクチュエータ22を停止させる必要がなくなるため、他の操作に集中することができ、作業能率が従来以上に向上する。
また、予備苗枠19が積層形態または展開形態となるとき、主移動リンクアーム41が停止プレート73a1,73a2に接触する構成となるので、機体の振動で主リンクアーム41、第1及び第2副リンクアーム42,43が動いて予備苗枠19が前後に揺れることが防止され、苗の落下が防止されると共に、揺れによる予備苗枠19及びその他の構成部材の摩耗が軽減される。
さらに、予備苗枠19を積層形態または展開形態に切り替えたとき、切替アクチュエータ22を停止させるスイッチ等の構成部材及び回路を省略することができるので、部品点数が大幅に削減されると共に、構成が簡潔になる。
図18(a)及び(b)で、本件の切替装置21の構成について説明する。
前記切替装置21を構成するカバープレート78を設け、主リンクアーム41を動かす歯車32よりも車体の外側寄りとなる位置に補助プレート79を装着する。そして、該カバープレート78と補助プレート79の左右間に保持プレート80を装着し、該保持プレート80を補助プレート79側に延設させて該補助プレート79により支持し、該補助プレート79と保持プレート80で切替アクチュエータ22を左右から支持する構成とした。
上記構成とした切替装置21では、カバープレート78と補助プレート79の左右間に保持プレート80を設け、この保持プレート80と補助プレート79で切替アクチュエータ22を左右から支持したことにより、主リンクアーム41、第1及び第2副リンクアーム42,43が停止プレート73a1,73a2に接触して負荷をかける際、切替アクチュエータ22が移動しようとする力が保持プレート80に加えられても、その力をカバープレート78と保持プレート80で受けることができるので、切替アクチュエータ22は十分な強度で的確に支持される。
また、切替アクチュエータ22の移動を防止することにより、切替アクチュエータ22と歯車32の距離が離れることを防止できるので、切替装置21の調整作業が不要となり、作業能率が向上する。
上述したとおり、積層形態と展開形態とに切替自在な予備苗枠19を用いることにより、予備苗載せ台20u,20m,20d上を移動させて圃場外から苗移植機に苗マットや苗箱を積み込む作業ことができるので、苗の積込作業が容易になり、作業者の労力が軽減される。しかしながら、本件構成の苗移植機で植付作業をするときには、施肥装置17で圃場に肥料を供給しているので、定期的に施肥装置に肥料を補充する作業が必要であり、補充作業に用いる肥料袋の積込作業も行う必要がある。
肥料袋は、市販の一般的なサイズのものであれば、一袋辺り20kg程度の重量である。従来の作業においては、作業者がこの肥料袋を抱えて圃場内を移動し、苗移植機上に上がってから施肥装置17に補充しているが、作業者の体重に約20kgの重量が加わった状態で水田圃場内を歩くと足が泥に取られ易くなるので、短距離の移動であっても作業者に多大な労力を負担させるという問題がある。
上記の問題を解決すべく、本件の予備苗枠19の予備苗載せ台20u,20m,20dに肥料袋を載置し、展開形態から積層形態に切り替えることで、作業者が肥料袋を持って圃場内を歩く作業を省略することが考えられる。本件の予備苗枠19の構造上、約20kgの肥料袋の一袋程度であれば、上述の作業を行うことは可能ではある。
しかしながら、本件の予備苗枠19は、1〜2kg程度の苗マットや苗箱を予備苗載せ台20u,20m,20dに各々1つ載置して使用することを想定して作られているので、約10倍の重量の肥料袋を積載して展開形態から積層形態への切替作業を行うと、予備苗枠19の構成部品に負荷がかかりやすくなり、苗マットや苗箱を載せて用いる作業条件に比べて、予備苗枠19の耐久性の低下が早くなってしまうという問題がある。
また、予備苗載せ台20u,20m,20dの積載面積は、苗マットや苗箱に合わせたものとなっており、一般的な肥料袋の面積よりも狭いので、肥料袋の積載姿勢が安定せず、搬送途中で落下してしまい、作業者が圃場に降りて肥料袋を拾い上げねばならなくなり、作業者の労力を増大させると共に、作業能率を低下させてしまう問題がある。なお、苗マットと苗箱の面積は、標準的な栽培条件においては、殆ど差が生じない。
そして、本件の苗移植機に設けられている施肥装置17の貯留ホッパの容量は、一条につき約10kgであり、肥料袋一袋では二条分しか補充ができないので、六条植えの本件の苗移植機においては、少なくとも三袋は肥料袋を積み込む必要があり、作業者が運ぶのであれば作業者に相当な労力を費やさせる問題があり、予備苗枠19に載せて搬送するときには、相応の負荷が予備苗枠19の構成部品にかかり、その分耐久性が早く低下する問題が生じる。
さらに、苗マットや苗箱と異なり、肥料袋を載置しておく専用の場所は無いので、フロアステップ11上に載置することが多いが、予備苗枠19から苗植付部16に苗を補充する作業を行う際、肥料袋が作業者の移動範囲を制限してしまい、作業能率を低下させてしまう問題がある。
上記の問題を解消する構成を、下記の通り示す。
図19及び図20に示す通り、基礎支持フレーム23の上部に取付ステー101を機体内側に向けて設け、該取付ステー101の機体内側端部に予備苗枠19の主支持フレーム24及び副支持フレーム25を設ける。また、該取付ステー101の機体外側に支持アーム102を設け、該支持アーム102のうち、積層形態で上下方向に重なり合う予備苗載せ台20u,20m,20dの左右方向の中央部の下方となる位置に第1回動ピン103を設ける。そして、該第1回動ピン103の上部に回動アーム104の基部側を設け、該回動アーム104の端部側に肥料載置台105を設ける。
図19で示す通り、回動アーム104を機体前方に回動させると、肥料載置台105が展開形態で最前列に位置する予備苗載せ台20uの下方に位置し、機体前側に向かって突出する姿勢になると共に、回動アーム104を機体後方に回動させると、肥料載置台105が展開形態で最後列に位置する予備苗載せ台20dの下方に位置し、機体前側に向かって突出する姿勢になる。このとき、肥料載置台105の機体外側端部は、予備苗載せ台20u,20m,20dの機体外側端部の下方に位置し、機体外側に余分にはみ出さない構成とする。
なお、該肥料載置台105は、予備苗枠19の機体外側端部よりも外側に突出することは好ましくないが、機体内側端部よりも内側に移動し、且つフロアステップ11のうち、作業者が移動しない(足を近づけない)箇所まで移動させることは問題が無い。
上記フロアステップ11を移動する際、作業者は足場の安定性を確保すべく、基本的にフロアステップ11の端部には足を近付けない。よって、肥料載置台105がフロアステップ11の端部の上方に位置していても、作業者の足と接触することは無く、肥料載置台105を作業者が踏んで破損させることもない。
前記予備苗枠19の機体内側端部よりも内側寄りに肥料載置台105の機体内側端部を位置させることにより、作業者は肥料載置台105を目視しやすく、またフロアステップ11上で作業を行う作業者に近付くので、作業者は肥料載置台105から肥料袋を取り出しやすくなり、作業能率が向上する。
なお、前記回動アーム104よりも機体内側に、前記主支持フレーム24及び副支持フレーム25が上下方向に設けられていることにより、該主支持フレーム24と副支持フレーム25が回動アーム104の機体内側方向への回動規制部材となる。
これにより、回動アーム104を移動させ過ぎて、肥料載置台105が機体内側方向に過度に移動してしまうことが防止され、肥料載置台105を適切な位置に移動させる作業が不要となり、作業能率が向上すると共に、肥料載置台105がボンネット13等に接触し、肥料載置台105やボンネット13、及び周辺の構成部品が破損することが防止される。
上記構成としたことにより、圃場端から肥料袋を積み込むときは、回動アーム104を機体前側まで回動させると、肥料載置台105を機体の前方に突出させることができるので、圃場の外にいる作業者が容易に肥料を機体上に積み込むことが可能となり、作業能率が向上する。
特に、圃場端に水路がある圃場や、圃場端の足場が不安定な圃場で作業をするときは、作業者は無理に身を乗り出して肥料袋を機体に積み込む必要がなくなるので、作業者の労力が軽減されると共に、肥料袋を落としてしまい、この肥料袋を拾う作業が不要となるので、作業能率が向上する。
また、回動アーム104を機体外側に回動させ、肥料載置台105が機体外側に突出する姿勢で保持することができるので、機体を圃場端に横付けしても肥料載置台105を圃場端に近付けることができるので、様々な作業条件に対応することが可能となり、作業能率の向上や作業者の労力の軽減が図られる。
そして、肥料載置台105を移動させる際、回動アーム104を機体外側方向に回動させる構成としたことにより、フロアステップ11上を回動アーム104や肥料載置台105が移動しないので、作業者は回動アーム104や肥料載置台105を避けることなくフロアステップ11上で苗や肥料の補充作業をすることができ、作業能率が向上する。
さらに、肥料載置台105を機体前部、後部のどちらに移動させても、肥料載置台105の外側端部が予備苗枠19の外側端部の略直下に位置する構成としたことにより、肥料載置台105が機外に突出することを防止できるので、肥料載置台105が壁等に接触して破損することが防止され、耐久性が向上する。
また、肥料載置台105を機体後部側に移動させると、肥料載置台105を施肥装置17に接近させることができるので、作業者が肥料袋を肥料載置台105から取って施肥装置17に移動させる距離が短くなり、作業能率が向上すると共に、作業者の労力が軽減される。
そして、肥料の補充作業を行うまでの間、肥料袋を肥料載置台105上に載置しておくことができるので、フロアステップ11上に載置される肥料袋の数が減少し、作業者が苗や肥料の補充作業時に移動しやすくなり、作業能率が向上する。
次に、苗植付部4の複数の苗植付装置408…の回転数を切り替え、一度の直進で苗を植え付ける回数を変更する、株間切替機構500の調節機構について説明する。
前記エンジン210から駆動力を受けるミッションケース211を設け、該ミッションケース211内にPTO軸2pに回転駆動力を伝動する株間切替ギアユニット(図示省略)を設ける。前記PTO軸2pは、該株間ギアユニットのギアの組み合わせを変更することによって回転速度が変化し、植付駆動ケース406を介して作動するリードカム機構404や植付伝動シャフト407の回転数を変化させ、苗タンク401の左右摺動速度や苗植付装置408…の回転するペースを切り替え、苗の前後間各、所謂株間を変更するものである。
なお、株間の記載として、37条、42条…70条、80条とするが、これは一坪の直線区間に植え付けられる苗の数を示すものである。
この株間切替機構500として、図37と図38に示す通り、前記走行車体2の運転座席12の前側で、且つ前記フロアステップ11の下部に、株間ギアユニットのギアを切り替える株間切替アーム501を回動自在に設け、該株間切替アーム501には、作業者が株間切替操作を行う株間切替レバー502を、機体上下方向に摺動自在に設ける。該株間切替レバー502は、非使用時は下方に向けて摺動させ、前記フロアステップ11に設けるカバーシート(図示省略)内に収納すると共に、使用時にはカバーシートを捲り上げ、該株間切替レバー502を上方に摺動させて使用状態とするものである。
なお、前記株間切替アーム501は、前後方向の回動端部以外の場所では、回動軸に沿って機体左右方向に摺動可能に構成する。
そして、前記株間切替アーム501の回動軸に支持ステー503の一側端部を設け、該支持ステー503の他側端部を機体後側の支持フレーム504に固定し、株間切替アーム501を回動させても該支持ステー503は回動しない構成とする。さらに、該支持ステー503には、現在の株間を判定する株間センサ505を設ける。また、前記株間切替アーム501には、側面視で機体上側に突出する第1及び第3の上側凸部506a1,506a2を形成すると共に、機体下側に突出する下側凸部506bを形成した、検知プレート506を装着する。
なお、前記株間センサ505は、第1及び第2の上側凸部506a1,506b2に接触するとONになるスイッチ式で構成すると、簡潔な構成となる。
前記株間切替レバー502を介して株間切替アーム501を機体前側に回動させ、前記株間センサ505が第1上側凸部506a1に接触する位置で株間ギアユニットを37株植に切り替え、第2上側凸部506a2に接触する位置で株間ギアユニットを42株植に切り替える。この37株植と42株植は、所謂「疎植」である。そして、前記株間センサ505が下側凸部506bに接触する位置で、株間ギアユニットを50株〜80株植の、所謂「標準」に切り替える。
上記の50株から80株の切替は、前記株間センサ505が下側凸部506bの上方にあるときに、株間切替アーム501の機体左右位置を変更することによって50株、60株、70株及び80株に切り替わるものとする。このとき株間センサ505は検知プレート506に接触しないので、株間切替操作をしても株間センサ505と検知プレート506が接触し合わないので、耐久性が維持される。
なお、前記検知プレート506のうち、下側凸部506bの機体右側には切欠部506sを各々形成する。
そして、前記第1の上側凸部506a1または第2の上側凸部506a2に接触して株間センサ505がONになると、走行車体2の走行速度を設定速度以上に上がらなくなる牽制制御をかけると共に、設定速度以上であるときは走行出力を強制低下させて減速させるものとする。
上記構成により、検知プレート506の前後端部の第1の上側凸部506a1または第2の上側凸部506a2に株間センサ505が接触すると走行車体2の走行速度が設定速度に牽制されることにより、疎植作業時に過度の高速走行を行い、苗植付装置408…が回転不良を起こして苗の植付間隔が乱れたり、苗の植付が一時的に中断されることを防止できるので、疎植時の苗の植付精度が向上する。
疎植時の植付精度が向上することにより、設定した植付株数よりも多い苗が圃場に植え付けられることを防止できるので、苗の消費量が増加することが防止される。
また、下側凸部506bの機体右側に切欠部506sを形成したことにより、土砂等の夾雑物をこの切欠部506sから落下させることができるので、株間センサ505が通常植え作業中に誤検知されて走行速度が規制されることがなく、通常植えの際には高速で作業でき、作業能率が向上する。