JP2018040517A - 空気調和機 - Google Patents

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Abstract

【課題】HFO系冷媒を使用した冷凍サイクル系の冷凍機油に対する許容残存空気量を管理して冷凍サイクル系の冷凍機油の酸化劣化を抑制する新規な空気調和機を提供することにある。【解決手段】HFO系冷媒を20wt%以上含む冷媒と冷凍機油を封入した冷凍サイクル系において、冷凍サイクル系に残存する冷凍機油1gに対する空気量N[mol/g]を、冷媒配管長をXp[m]としたとき、N=(4.0×10−7)・Xp+(4.0×10−6)で決まる空気量N[mol/g]を超えない値に管理する。これによって、GWP値を低くすると共に、冷凍機油の酸化劣化を抑制して冷凍サイクル系の信頼性を長期に亘って確保できるようになる。【選択図】図5

Description

本発明は空気調和機に係り、特にハイドロフルオロオレフィンを含む冷媒を使用する空気調和機に関するものである。
圧縮機、凝縮器、膨張機構、蒸発器等からなる冷凍サイクル系を用いた空気調和機においては、空気調和機に使用される冷媒の地球温暖化係数(GWP値)を低くすることが大きな課題となっている。特に、現在使用されている「R410A」は、オゾン破壊係数が「0」であるもののGWP値が依然として高く、「国連気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)5次報告によればGWP値は約1924と高いものである。
そして、この対策として冷媒分子内に二重結合を有するハイドロフルオロオレフィン(以下、HFOと表記する)系の冷媒を使用することにより、GWP値を低くできることが知られている。例えば、「HFO1234yf」は、IPCC5次報告でGWP値は約「1」であり、空気調和機に使用する冷媒のGWP値を大きく低減することが可能である。尚、実際に空気調和機に使用する場合には、HFO系冷媒は蒸発温度が高く低圧である特性を有しているため、「R410A」や「R32」等の高圧の冷媒と混合して混合冷媒として使用されるものである。
冷媒にHFO系冷媒を使用した空気調和機としては、例えば、特開2010−203759公報(特許文献1)に示す空気調和機が知られている。特許文献1では、HFO系冷媒と不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするエステル系冷凍機油を利用することを提案している。そして、特許文献1においては、冷凍機油中の不飽和脂肪酸残基を冷媒分解物であるフッ化水素と反応させることで、冷凍サイクル系内のフッ化水素を取り除き、冷凍サイクル系の構成部品の劣化を抑えることができると述べている。
特開2010−203759号公報
ところで、室外ユニットからの冷媒配管長が長く、複数の室内ユニットが使用されるビル用マルチ式空気調和機では、冷凍サイクル系の冷媒配管長を含む各構成要素の容積が大きく、施工時に冷凍サイクル系内の圧力(真空度)を所定値以下にする、いわゆる真空引き(真空度管理)を実施するようにしても、全体からすると所定量以上の空気が残存する恐れが高くなる。つまり、真空度管理を行っても、冷凍サイクル系の容積が大きいと残存する全体の空気量が多くなるものである。
そして、特許文献1においては、不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするエステル油を利用するものであるが、施工時に冷凍サイクル系内の圧力を所定値以下にする真空度管理を実施するようにしても、冷凍サイクル系中に所定量以上の空気が残存しているため、残存している空気に含まれる水分によってエステル油が原料脂肪酸とアルコール類に加水分解してしまう恐れがある。この加水分解は、水の存在下では、特許文献1に記載される不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするエステル油を含め、冷凍機油としてよく用いられるポリオールエステル油(以下、POE油)でも起き得る。加水分解によって生じた酸は、冷凍サイクル系を劣化させると共に冷凍機油の全酸価を上昇させ、特に冷凍サイクル系を構成する圧縮機の摺動部分に腐食等が発生して冷凍サイクルの信頼性を早期に損なう恐れがある。
また、同様に冷媒にHFO系冷媒を使用し、また冷凍機油にポリビニルエーテル油(以下、PVE油と表記する)を使用した空気調和機では、冷凍サイクル中に所定量以上の空気が存在している環境では、空気中の酸素による冷媒やPVE油の劣化が進行して冷凍機油の全酸価が上昇し、冷凍サイクルを構成する圧縮機の摺動部分に腐食等が発生して冷凍サイクルの信頼性を早期に損なう恐れがある。
このように、冷凍サイクル系に残存する空気中の酸素や水分は、HFO系冷媒と冷凍機油を使用する冷凍サイクル系に悪影響を及ぼすものである。尚、真空度管理を行なって真空度を所定値に調整しても、冷凍サイクル系に残存する全体の空気量は、冷凍サイクル系の構成(例えば、冷媒配管長や室内ユニットの数)によって異なるものである。
特に、多くの室内ユニットが設置され大きな空調能力を必要とするビル用マルチ式空気調和機においては、最近では能力の大きい1台の室外ユニットで全ての空調負荷を賄うのではなく、複数台の室外ユニットを同一冷媒の冷凍サイクル系に接続して空調負荷を賄うことが多くなっている。そして、複数台の室外ユニットにはそれぞれ圧縮機が搭載されるので、冷媒配管長、冷凍サイクルの構成機器により、冷凍サイクル系内に保有する冷凍機油量、施工時に混入する空気量の関係は空気調和機毎に異なるものである。
以上の説明からわかるように、真空度管理によって真空度を所定値以下に設定する方法では、全体の残存空気量を管理することができなく、HFO系冷媒を使用した冷凍サイクル系の冷凍機油の酸化等による劣化を抑制するには不向きであり、少なくとも冷凍機油に対する空気の残存空気量を管理することが重要である。
本発明の目的は、HFO系冷媒を使用した冷凍サイクル系の冷凍機油に対する許容残存空気量を管理して、冷凍サイクル系の冷凍機油の酸化劣化を抑制する新規な空気調和機を提供することにある。
本発明の特徴は、HFO系冷媒を20wt%以上含む冷媒と冷凍機油を封入した冷凍サイクル系において、冷凍機油1gに対する冷凍サイクル系に残存する空気量N[mol/g]が、冷媒配管長をXp[m]としたとき、N=(4.0×10−7)・Xp+(4.0×10−6)で決まる空気量N[mol/g]を超えない値に管理されている、ところにある。
本発明によれば、GWP値を低くすると共に、冷凍機油の酸化劣化を抑制して冷凍サイクル系の信頼性を長期に亘って確保できるようになる。
空気調和機の冷凍サイクル系を説明する構成図である。 図1に示すスクロール圧縮機の構成を示す断面図である。 冷媒のGWP値を示す説明図である。 冷凍機油1g当りの空気量と冷凍機油の劣化度の関係を示す説明図である。 HFO系冷媒を使用する空気調和機の冷媒配管長と冷凍機油1g当りの冷凍サイクル系に残存する空気量の関係を説明する説明図である。
本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
図1は本発明が適用される空気調和機の冷凍サイクル系を示している。室外ユニット10と室内ユニット30は、それぞれガス接続配管11と液接続配管12とで接続されており、冷媒が室外ユニット10と室内ユニット30の間で流れるものである。
室外ユニット10は、圧縮機13と、四方弁14と、室外熱交換器15と、室外送風機16と、室外膨張弁17と、アキュムレータ18と、圧縮機吸入配管19と、ガス冷媒配管20とを有している。圧縮機13とアキュムレータ18とは圧縮機吸入配管19により接続され、四方弁14とアキュムレータ18とはガス冷媒配管20により接続されている。
圧縮機13は、冷媒を圧縮して配管に吐出するもので、四方弁14を切り替えることで、冷媒の流れが変化し、冷房運転と暖房運転が切り替わる。室外熱交換器15は、冷媒と外気の間で熱交換させる。室外送風機16は、室外熱交換器15に対し外気を供給する。室外膨張弁17は、冷媒を減圧して低温にする。アキュムレータ18は、過渡時の液戻りを貯留するために設けられており、冷媒を適度な乾き度に調整する。
室内ユニット30は、室内熱交換器31と、室外送風機32と、室内膨張弁33とを備えている。室内熱交換器31は、冷媒と内気の間で熱交換させる。室外送風機32は、室外熱交換器31に対し外気を供給する。室内膨張弁33は、その絞り量を変化させることにより室内熱交換器31を流れる冷媒の流量を変化させることが可能である。
尚、室内ユニット30は図示していないが複数の室内ユニット30が室外ユニット10に接続され、マルチ式の空気調和機となっている。以上のような構成の空気調和機は既に良く知られているものである。
次に、空気調和機における冷房運転について説明する。図1における実線の矢印は、空気調和機の冷房運転における冷媒の流れを示している。冷房運転において四方弁14は、実線で示すように、圧縮機13の吐出側と室外熱交換器15とを連通させ、アキュムレータ18とガス接続配管11とを連通させる。
そして、圧縮機13より圧縮され吐出された高温・高圧のガス冷媒は、四方弁14を経由して、室外熱交換器15に流入し、室外送風機16により送風された室外空気により冷却されて凝縮される。凝縮した液冷媒は、室外膨張弁17及び液接続配管12を通過して、室内ユニット30へ送られる。室内ユニット30に流入した液冷媒は、室内膨張弁33で減圧され、低圧・低温の気液二相冷媒になり室内熱交換器31に流入する。
室内熱交換器31において、気液二相液冷媒は、室内送風機32によって送風される室内空気により加熱されて蒸発し、ガス冷媒となる。この際に、室内空気が冷媒の蒸発潜熱により冷却され、冷風が室内に送られる。その後、ガス冷媒は、ガス接続配管11を通って、室外ユニット10に戻される。
室外ユニット10に戻ったガス冷媒は、四方弁14およびガス冷媒配管20を通過し、アキュムレータ18へと流入する。アキュムレータ18で所定のかわき度に調整され、圧縮機吸入配管19を介して圧縮機13に吸入され、再び圧縮機13で圧縮されることにより、一連の冷凍サイクルが形成される。
次に、空気調和機1における暖房運転について説明する。図1における点線の矢印は、空気調和機の暖房運転における冷媒の流れを示している。暖房運転において四方弁14は、点線で示すように、圧縮機13の吐出側とガス接続配管11とを連通させ、アキュムレータ18と室外熱交換器15とを連通させる。
そして、圧縮機13より圧縮され吐出された高温・高圧のガス冷媒は、ガス接続配管11および四方弁14を通過して、室内ユニット30へ送られる。室内ユニット30に流入したガス冷媒は、室内熱交換器31に流入し、室内送風機32により送風された室内空気によって冷媒が冷却されて凝縮し、高圧の液冷媒となる。この際に、室内空気は冷媒によって加熱され、温風が室内に送られる。その後、液化した冷媒は、室内膨張弁33及び液接続配管12を通過して、室外ユニット10へと戻される。
室外ユニット10へ戻った液冷媒は、室外膨張弁17で所定量だけ減圧されて、低温の気液二相状態となり、室外熱交換器15に流入する。室外熱交換器15に流入した冷媒は、室外送風機16により送風された室外空気と熱交換され、低圧のガス冷媒となる。室外熱交換器15から流出したガス冷媒は、四方弁14及びガス冷媒配管20を通ってアキュムレータ18に流入し、アキュムレータ18で所定の冷媒かわき度に調整され、圧縮機13に吸入されて再び圧縮機13圧縮されることにより一連の冷凍サイクルが形成される。
図2には、前述の空気調和機の冷凍サイクル系に用いられる、圧縮機13の代表例として高圧チャンバ方式のスクロール圧縮機の内部の構造を示している。スクロール型の圧縮機13は、吸入パイプ101と吐出パイプ102とが設けられた圧力容器103を備えている。圧力容器103により吐出圧室(高圧チャンバ)103aが形成される。圧力容器103内には、電動機104と圧縮機構部105とが収容され、下部には冷凍機油が貯留されている。
圧縮機構105は、渦巻状のガス通路を有する固定スクロール106と、渦巻状ラップ107を有する旋回スクロール108とを備える。旋回スクロール107は、固定スクロール106に対して相対的に移動可能に配置され、固定スクロール106と旋回スクロール107とが互いに噛み合わさることにより圧縮室109が形成される。旋回スクロール107は、その自転を阻止しながら、公転運動させるオルダムリングに連結されると共に、電動機104により回転駆動されるクランク軸110の偏心部分111に連結される。また、固定スクロール106には吐出口106aが形成されている。
電動機104の駆動により、クランク軸110を回転させ、旋回スクロール108を旋回させながら、吸入パイプ101から吸込んだ冷媒を圧縮室109に導入し、順次圧縮する。圧縮された冷媒は、固定スクロール106の吐出口106aから吐出圧室103aに排出される。また、クランク軸110は軸受112および軸受113によって支持されている。
圧縮機の圧縮機構、すなわちスクロール圧縮機での固定スクロール106および旋回スクロール107によって構成される圧縮室は寸法公差が小さく、軸受112及び113が潤滑油不足などにより損傷した場合、クランク軸110が偏心し、旋回スクロール107と固定スクロール106が通常設計時以上に接触し、かじりなどスムーズな圧縮工程を阻害し、ひどい場合には固渋し圧縮不能となる。このため、冷凍機油による充分な潤滑が必要となる。
圧縮機では、圧縮後の冷媒が吐出圧室103a内を通過し、吐出圧室103a内が高圧ガスで満たされる高圧チャンバ方式と、圧縮機後の冷媒はすぐに冷凍サイクル側へ放出される低圧チャンバ方式がある。特に高圧チャンバ方式では、圧縮機の吐出圧室103a内部が高温・高圧の冷媒で満たされるため、吐出圧室103a内に貯留される冷凍機油も高温・高圧の冷媒に晒される。そして、真空引きの不備により、水分を含んだ空気が冷凍サイクル系内に多く残存すると、冷凍機油の酸化劣化反応が促進されやすい環境となる。したがって、高圧チャンバ方式の圧縮機おいては、特に残存空気量の管理が重要である。
図3に、空気調和機の多くに使用される現行の冷媒とHFO系冷媒の代表例として「R1234yf」、「R1234ze(E)」のGWP値を示している。現行の冷媒である「R410A」、「R404A」、「R125」、「R134a」等の冷媒はGWP値がかなり大きいことがわかる。また、「R32」は「R410A」の1/3程度であるが、依然としてGWP値は大きいものである。一方、HFO系冷媒の「R1234yf」、「R1234ze(E)」は図3のスケールでは表示できない程度のGWP値である。したがって、HFO系冷媒を使用すれば、GWP値の低減に大きく寄与することがわかる。尚、図3には示していないが、HFO系冷媒として、「HFO1123」を使用することも可能である。
一方、HFO系冷媒は蒸発温度が高く、現行の冷媒である「R410A」等と比較して冷媒圧力が低いものである。このため、冷媒配管長が長く、冷媒配管での圧力損失が無視できない空調機(例えば、ビル用マルチ式空気調和機)では、冷媒配管の圧力損失や能力確保の目的から、「R32」、「R125」、「R134a」といった現行の冷媒と混合して用いるのが望ましい。
しかしながら、「R134a」や「R125」の現行の冷媒はGWP値が高いので、本実施形態では、GWP値を低減して規制値に適合させ、且つ冷媒能力を確保するために、HFO系冷媒の「R1234yf」、「R1234ze(E)」、「HFO1123」の少なくとも1種類を、20wt%以上含む混合冷媒としている。これによって、GWP値を低く抑え、しかも実機に採用できる実際的な混合冷媒とすることができる。
次に、図4に冷凍サイクル系内に封入される冷凍機油1g当りの空気量N[mol/g]と冷凍機油の劣化指標のひとつである全酸価との関係を示している。冷凍機油1g当りの空気量N[mol/g]は、冷媒配管内の合計容積をVpipe、接続される室内ユニットの合計容積をVidu、施工時の真空度をP、気体定数R、温度T[K]、冷凍機油量M[g]を用いて空気が理想気体とし以下のようにして求める。
N[mol/g]=P・(Vpipe+Vidu)/(R・T・M)
図4には、PVE油とPOE油の結果を示している。それぞれの冷凍機油は、HFO系冷媒の代表として「R1234yf」と共存下に置き、加熱・加速劣化させて製品寿命相当に劣化させたものである。POE油と比較し、PVE油は冷凍機油1g当りの空気量N[mol/g]の増加に伴い、空気による冷媒や冷凍機油の酸化劣化により全酸価が上昇していることがわかる。
したがって、HFO系冷媒とPVE油の共存下では冷凍機油1g当りの空気量N[mol/g]をPOE油に比べて低減させることが望ましい。ここで、冷凍機油に添加される酸捕捉剤の能力は、冷凍機油に必要とされる潤滑性能も考慮し決定される。空気調和機に封入される冷凍機油の油量は、冷凍サイクルを構成する圧縮機の油上がり率や冷媒循環量、冷媒配管長等から決定される。
本実施形態では、PVE油を使用した場合において、冷凍機油の劣化を許容範囲内に収めるためには、冷凍サイクル系に残存する冷凍機油1g当りの空気量N[mol/g]の最大上限値が、5.0×10−5[mol/g]以下に設定、管理されることが望ましいことが知見として得られた。もちろん、POE油はPVE油に比べて全酸価が小さいので、上述の関係をもってすれば問題ないものである。
次に、図5にHFO系冷媒を使用する空気調和機での冷媒配管長Xpと冷凍機油1g当りの空気量N[mol/g]の関係を示している。これは、上述したように、冷媒配管長が長い空調機(例えば、ビル用マルチ式空気調和機等)の場合に、冷媒配管長に対応して許容残存空気量を設定、管理するものである。そして、本実施形態においては冷媒配管長をXp[m]、冷凍機油1g当りの空気量をN[mol/g]とすると、N=(4.0×10−7)・Xp+(4.0×10−6)の一次関数(直線Aで示す)で、許容残存空気量を設定している。この直線Aは、冷媒配管長Xpにおける、HFO系冷媒を使用した空気調和機の冷凍機油1g当りの空気量N[mol/g]の上限値を示している。
尚、直線Aで示す一次関数の切片(4.0×10−6)[mol/g]は、室内ユニットの容積に対応するものである。空気調和機を施工する際、真空引きの対象となる空間は室外ユニットから室内ユニットまでを接続する配管、及び室内ユニットの内容積が対象となる。このため、仮に冷媒配管長が「0」mであっても、真空引き対象空間は室内ユニットの内容積分だけ発生する。例えば、室内ユニットが複数台接続されるビル用マルチ式空気調和機において、冷房能力28kW機種で室内ユニット6台だと2.38×10−6[mol/g]、冷房能力67kW機種で室内ユニット9台だと2.55×10−6[mol/g]程度となる。
したがって、施工される室外ユニットの能力によって搭載される圧縮機の台数が異なり、大容量の機種では小容量の室外ユニットを複数台接続してその能力を達成するため、構成システムの室外ユニットによって冷凍機油保有量が異なるので、(4.0×10−6)[mol/g]程度の切片が必要となるものである。
そして、上限を超えた場合には、空気調和機の冷凍サイクル系内の真空乾燥が不足している状態であり、冷凍サイクル系内に所定量以上の酸素や水分が残存している可能性が高く、圧縮機の故障原因となる恐れがある。したがって、冷媒配管長Xpに合わせて許容残存空気量を直線Aに示す上限以下に設定、管理すれば、冷凍サイクル系内に許容量以上の酸素や水分が残存しなくなるので、圧縮機の故障を抑制することができるようになる。
したがって、上述した冷凍サイクル系の最大上限値となる5.0×10−5[mol/g]以下という条件、及び以下に説明する下限値の条件と併せて、領域Am内に冷凍機油1g当りの空気量N[mol/g]を設定、管理することにより、長期に亘って信頼性が確保されたHFO系冷媒とPVE油を使用した空気調和機を提供することが可能となるものである。
ここで、冷凍機油1g当りの空気量N[mol/g]の下限値は以下のようにして決められている。冷凍サイクル系の残存空気量を限りなく減らせば、冷凍機油の酸化劣化を更に抑制できて良いわけであるが、このためには充分な時間をかけて真空引きを行なうことが必要となり、特に、ビル用マルチ空気調和機のように日程の限られた空気調和機の設置や移設工事の工期の中では非現実的である。このため、本実施形態では、冷凍機油1g当りの冷凍サイクル系に残存する空気量N[mol/g]が、N=(5.0×10−9)・Xpの一次関数(直線Bで示す)で決まる下限値を設定している。
このように、直線Bは、冷媒配管長Xpにおける、HFO系冷媒を使用した空気調和機における冷凍機油1g当りの空気量N[mol/g]の下限を示しているものであり、実際の冷凍機油1g当りの許容残存空気量N[mol/g]は、最大の5.0×10−5[mol/g]以下で、(5.0×10−9)・Xp≦N≦(4.0×10−7)・Xp+(4.0×10−6)で決まる領域Amに設定、管理されている。
本実施形態で使用される冷凍機油は、軸受や圧縮機内部の固定スクロール106と旋回スクロール107が接触する摺動面におけるヘルツ圧力下での油膜形成の観点から、粘度圧力係数の比較的高いPOE油或いはPVE油を使用することが望ましいが、中でもPVE油は粘度圧力係数が高く油膜の形成が良好であるので、摺動面での油膜形成で有利である。したがって、本実施形態ではHFO系冷媒とPVE油を使用し、冷凍機油1g当りの冷凍サイクル系の許容残存空気量N[mol/g]を上述したような領域Amに設定、管理している。
尚、従来の圧縮機においては、軸受113はすべり軸受けが利用されてきたが、本実施形態においては、軸受113には転動軸受を使用することが望ましい。転動軸受は転動体に球、或いは円筒形のころを使用する。すべり軸受は回転軸に対して面接触であるのに対し、転動軸受は転動体を使用するため、点接触、或いは線接触となる。
このため、回転運動に対して摩擦抵抗が小さく、圧縮機の電気入力の低減につながるが、潤滑の観点から見ると過酷な条件となり、圧縮機内部の冷凍機油による油膜形成、油膜確保が重要となる。このため、粘度圧力係数が高く油膜形成がしやすいPVE油、或いはPOE油を使用することによって、軸受での油膜を確保して軸受損傷を回避して空気調和機の信頼性をより高めることができる。
また、本実施形態での冷凍機油は、油温度が40℃の時に冷凍機油のみの粘度が40mm/s〜100mm/sであることが望ましい。冷凍機油は冷凍サイクル系内において、液状冷媒に溶解し、またガス状冷媒や液状冷媒と混合し循環しているが、特に冷媒に溶解している状態の実粘度が低下すると、前述の摺動部における油膜形成が困難となる。
また、必要以上に粘度が低下した場合、固定スクロール106と旋回スクロール107で構成される圧縮室の密閉性を保持できず、圧縮過程で冷媒が漏れ、圧縮機効率低下の問題が発生する。更に油単体での粘度を高く設定した場合には粘性抵抗や摩擦抵抗等の機械損失が増加し、この場合も圧縮機効率低下を招く。このため、油温度が40℃の時に冷凍機油のみの粘度が40mm/s〜100mm/sの冷凍機油を使用している。
また、本実施形態での空気調和機では、冷凍サイクル系の許容残存空気量を管理し、冷媒及び冷凍機油の酸化劣化を空気調和機の製品寿命内で許容値以内に収め、信頼性を確保するものである。ただ、室内ユニットを複数台接続し、冷媒配管長が長く、冷凍能力の大きい業務用の空気調和機の場合には、空気調和機を設置した後にも機器交換や、移設の可能性が少なくない。また冷凍機油や冷媒自身の経年劣化による全酸価上昇や酸化劣化に対応するため、また冷凍機油潤滑性を確保するため安定化剤を添加しておくことが望ましい。
安定化剤の例としては、冷凍機油の酸化劣化を防止する酸化防止剤、冷凍機油や冷媒が劣化した際に劣化物として生じる酸を捕捉する酸捕捉剤、冷凍機油の潤滑性を確保する極圧剤等が挙げられる。この酸化防止剤、酸捕捉剤、極圧剤のうちから少なくとも2種以上の添加が望ましい
酸化防止剤の例としては、DBPC(2、6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)などに代表されるフェノール系の酸化防止剤の添加により冷凍機油の酸化劣化を防止し長期信頼性を確保するのが望ましい。また酸捕捉剤では、エポキシ基を有するグリシジルエーテルやグリシジルエステル、その他カルボジイミド系の化合物を採用することで、これらが冷凍機油内の酸や水分と反応し冷凍サイクル内において無害な物質となる。
特に酸捕捉剤は、添加する化合物により、添加量が過剰な場合、ベースの冷凍機油の粘度低下を引き起こすものがある。粘度低下の影響は前述の通りである。また添加量が少ない場合には酸捕捉能力そのものがなくなってしまう為、両者のバランスから酸捕捉剤は0.1wt%〜2.0wt%程度の添加が望ましい。
尚、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
10…室外ユニット、11…ガス接続配管、12…液接続配管、13…圧縮機、14…四方弁、15…室外熱交換器、16…室外送風機、17…室外膨張弁、18…アキュムレータ、19…圧縮機吸入配管、20…ガス冷媒配管、30…室内ユニット、31…室内熱交換器、32…室内送風機、33…室内膨張弁。

Claims (7)

  1. 少なくとも、室内膨張弁と、室内熱交換器と、室内送風機とを備えた複数の室内ユニットと、前記複数の室内ユニットと液接続配管及びガス接続配管で接続された、少なくとも圧縮機と、室外膨張弁と、室外熱交換器と、室外送風機とを備えた室外ユニットから構成された空気調和機において、
    前記室内ユニットと前記室外ユニットを構成する冷媒配管を含む冷凍サイクル系を、ハイドロフルオロオレフィン(以下、HFOと表記する)系冷媒を20wt%以上含む冷媒と冷凍機油を封入した冷凍サイクル系とすると共に、前記冷凍機油1gに対する冷凍サイクル系に残存する空気量N[mol/g]が、前記冷媒配管の配管長をXp[m]としたとき、N=(4.0×10−7)・Xp+(4.0×10−6)で決まる空気量N[mol/g]を超えない値に管理されていることを特徴とする空気調和機。
  2. 請求項1に記載の空気調和機において、
    前記冷凍機油1g当りの前記冷凍サイクル系に残存する空気量N[mol/g]の最大が、5.0×10−5[mol/g]以下の値に管理されていることを特徴とする空気調和機。
  3. 請求項2に記載の空気調和機において、
    前記冷凍機油1g当りの前記冷凍サイクル系に残存する空気量N[mol/g]が、前記冷媒配管の配管長をXp[m]としたとき、N=(5.0×10−9)・Xpで決まる空気量N[mol/g]より多い値に管理されていることを特徴とする空気調和機。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の空気調和機において、
    前記HFO系冷媒として、「R1234yf」、「R1234ze(E)」、「HFO1123」のうち少なくとも1種類が封入されていることを特徴とする空気調和機。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の空気調和機において、
    前記冷凍機油が、ポリビニルエーテル油であることを特徴とする空気調和機。
  6. 請求項5に記載の空気調和機において、
    前記冷凍機油には、酸化防止剤、酸捕捉剤、極圧剤のうち少なくとも2種以上が添加されていることを特徴とする空気調和機。
  7. 請求項6に記載の空気調和機において、
    前記圧縮機の圧縮機構の回転軸を支持する軸受に転動軸受が使用されていることを特徴とする空気調和機。
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