JP2016023902A - 空気調和機 - Google Patents

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Biso Hirose
美早 廣瀬
井関 崇
Takashi Izeki
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【課題】本発明は、冷凍機油の加水分解を抑制し、冷凍サイクル部材に影響を与えることなく、長期に渡り信頼性の高い空気調和機を提供することを目的とする。【解決手段】圧縮機、室外熱交換器、膨張機構及び室内熱交換器と、R32冷媒又はR32が50重量%より多く含まれている混合冷媒と、ポリオールエステル油及び酸捕捉剤を有する冷凍機油とを備え、前記酸捕捉剤はカルボジイミド化合物及びエポキシ化合物を有し、前記エポキシ化合物はファティーグリシジルエーテル化合物である空気調和機。【選択図】図3

Description

本発明は、空気調和機に関する。
ルームエアコン用の冷媒は、オゾン層保護のためR22から代替冷媒へと移行され、現在は主にR410Aが使用されている。しかし、R410Aは地球温暖化係数(以下「GWP」という。)が2088と高く、地球環境に及ぼす影響を低減するために、地球温暖化係数がR410Aの1/3程度であるジフルオロメタン(以下「R32」という。)へ移行されている。
ところで、冷媒の種類によって、相溶する冷凍機油は異なる。冷凍機油は圧縮機中に貯留され、圧縮機が起動すると各摺動部分に給油され、一部は冷媒とともに圧縮機の外へ吐出される。このとき、冷凍機油が冷媒に溶けづらいと、冷凍サイクル中の低温部で冷凍機油が冷媒から分離し、圧縮機に冷凍機油が戻らず、圧縮機内の冷凍機油の量が減少する。
このような問題を避けるため、HFC(Hydro Fluoro Carbons)系冷媒に対しては、一般に冷媒と相溶性の良いポリオールエステル油(以下「POE油」という。)やポリビニルエーテル油(以下「PVE油」という。)が冷凍機油として用いられている。
ここで、POE油を用いる場合、冷凍サイクル中に水分が混入すると、POE油は加水分解を起こし、劣化する。そのため、POE油を用いる場合、POE油の加水分解を抑制するために、酸捕捉剤が添加される。
特許文献1には、冷凍機油の酸捕捉剤として、グリシジルエステル、グリシジルエーテル及びα―オレフィンオキシドの中から選ばれる少なくとも1種が用いられ、又、2種以上を組み合わせて用いてもよいことが記載されている。
特開2008−266423
R32はR410Aよりも比熱比が高いため、R32を冷媒として採用すると、R410Aに比べて、圧縮機の吐出温度が高くなる。高圧チャンバ方式の圧縮機の場合、圧縮されて高温となった冷媒が圧縮機の中に充満する。
高温下ほど冷凍機油の加水分解が促進されるため、特許文献1に記載された酸捕捉剤では、冷凍機油の加水分解を十分に抑制することができない。
さらに、添加剤を2種以上組み合わせて使用した場合、組み合わせによって反応の疎外や冷凍サイクル内に使用する他部材へ影響を及ぼすこともある。
そこで、本発明は、冷凍機油の加水分解を抑制し、冷凍サイクル部材に影響を与えることなく、長期に渡り信頼性の高い空気調和機を提供することを目的とする。
本発明の空気調和機は、圧縮機、室外熱交換器、膨張機構及び室内熱交換器と、R32冷媒又はR32が50重量%より多く含まれている混合冷媒と、ポリオールエステル油及び酸捕捉剤を有する冷凍機油とを備え、前記酸捕捉剤はカルボジイミド化合物及びエポキシ化合物を有し、前記エポキシ化合物はファティーグリシジルエーテル化合物である。
本発明によれば、冷凍機油の加水分解を抑制し、長期に渡り信頼性の高い空気調和機を提供することができる。
冷暖房兼用の空気調和機の概略図である。 密閉型圧縮機の概略図である。 カルボジイミド化合物及びアルキルグリシジルエステル化合物の混合比と加水分解安定性試験後の酸捕捉剤存存率及び銅触媒の変色度合いとの関係について示す図である。 カルボジイミド化合物及びファティーグリシジルエーテル化合物の混合比と加水分解安定性試験後の酸捕捉剤存存率及び銅触媒の変色度合いとの関係について示す図である。
以下、本発明の実施例に係る空気調和機について説明する。
図1は冷暖房兼用の空気調和機の概略図である。本実施例の空気調和機は、圧縮機1、室外熱交換器3、膨張機構4、室内熱交換器5を配管で接続し、冷媒が循環する。
冷房運転の場合、圧縮機1で圧縮された高温高圧のガス冷媒は、四方弁2を介して室外熱交換器3に流れる。高温高圧のガス冷媒は、凝縮器として機能する室外熱交換器3で冷却され、高圧の液冷媒となる。高圧の液冷媒は、膨張機構4で膨張され、僅かにガスを含む低温低圧の液冷媒となって、室内熱交換器6に流れる。低温低圧の液冷媒は、蒸発器として機能する室内熱交換器6で加熱され、低温のガス冷媒となり、再び四方弁2を介して圧縮機1に戻る。暖房運転の場合、四方弁2によって冷媒の流れが変えられ、冷媒は冷房運転と逆方向に流れる。
なお、四方弁2を用いずに、冷房又は暖房のいずれか一方のみの機能を有するように構成してもよい。また、膨張機構4として、電子膨張弁、キャピラリーチューブや温度式膨張機構などを用いることができる。
図2は圧縮機の概略図である。圧縮機1は、端板7と渦巻状ラップ8を有する固定スクロール部材6と、ラップ10を有する旋回スクロール部材9をお互いにラップ8とラップ10とを向い合わせにして噛み合わせて圧縮機構部を形成し、旋回スクロール部材9をクランクシャフト11によって旋回運動させる。固定スクロール部材6及び旋回スクロール部材9によって形成される圧縮室12(12a、12b・・・)のうち、最も外側に位置している圧縮室は、旋回運動にともなって容積が次第に縮小しながら、固定スクロール部材6及び旋回スクロール部材9の中心に向かって移動していく。圧縮室12が固定スクロール部材6及び旋回スクロール部材9の中心近傍に達したとき、圧縮室12が吐出口13と連通して、圧縮室12で圧縮されたガス冷媒が吐出パイプ16を通じて圧縮機1の外に吐出される。
圧縮機1は、圧力容器15内に電動モータ17を内蔵しており、圧縮機1は一定速あるいは図示しないインバータによって制御された電圧に応じた回転速度でクランクシャフト11が回転し、圧縮動作を行う。電動モータ17は冷媒及び冷凍機油の雰囲気中で作動する。モータ17の図示しないコイルの相間や積層鋼鈑の間には、その絶縁を保持するために絶縁フィルムが配置されている。しかし、絶縁フィルムは、安価なポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のフィルムを用いている。
また、電動モータ17の下部に油溜め部が設けられており、油溜め部に溜まっている冷凍機油は圧力差によってクランクシャフト11に設けられた油孔19を通って、旋回スクロール部材9とクランクシャフト11との摺動部や滑り軸受け18等の潤滑に供される。
本実施例では、冷媒としてR32を用い、冷凍機油としてR32と相溶性があり、潤滑性に優れるPOE油を用いている。
POE油は、潤滑性能に優れるが、水分により分解し脂肪酸を生成する特性がある。脂肪酸を生成すると金属表面の腐食を引き起こし、又、生成した脂肪酸を触媒として冷凍機油の劣化が進行するおそれがある。
さらに、R32は極性が高いため、冷媒としてR32を用いると、R410Aと比較して持ち込み水分量が多くなる。また、冷媒として用いられてきたR410Aに比べて、R32はR410Aよりも比熱比が高いため、圧縮機1の吐出温度が上昇しやすく、圧縮機1の吐出温度が100℃を超える可能性がある。高圧チャンバ方式の圧縮機の場合、圧縮されて高温となった冷媒が圧縮機の中に充満する。つまり、冷媒としてR32を用いると、持ち込み水分量が多くなり、又、圧縮機の高温化により冷凍機油の加水分解が促進されるため、R410A使用時よりも冷凍機油が劣化しやすくなる。
冷凍機油の劣化を抑制する手段としては、冷凍機油中に生成した脂肪酸やサイクル中に存在する水分を捕捉する作用のある酸捕捉剤を添加する方法が用いられている。酸捕捉剤としては、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物等があるが、本実施例ではカルボジイミド化合物とエポキシ化合物を併用して用いている。本実施例のカルボジイミド化合物は、化学式(1)(式中、R1、R2はアルキル基またはアルキル置換芳香族基を表し、かつ分子中に−CH(CH32、または−C(CH33を少なくとも2個有する。R1、R2は同じでも可とする。)に示す構造のものを用い、エポキシ化合物は、化学式(2)(式中のR3は炭素数4〜9のアルキル基である)または化学式(3)(式中のR4は少なくとも一つの分岐鎖を持つ炭素数5〜9のアルキル基である)に示す構造のものを用いている。
化学式(1)に示すカルボジイミド化合物は、水分や脂肪酸との反応性は高いものの、反応する温度は比較的高く、圧縮機の温度が上がらない状態で摺動部の摩耗などにより脂肪酸が生成した際には反応しきれずに冷凍機油の酸価が上昇するおそれがある。
化学式(2)に示すアルキルグリシジルエステル系エポキシ化合物(以下、アルキルグリシジルエステル化合物という)は水分との反応性が高く、また低温で反応するため、冷凍サイクル中の水分と素早く反応し、冷凍機油の加水分解を抑制することが出来る。つまり、速効性であり、冷凍サイクル中の初期水分を低下させることが出来る。しかし、アルキルグリシジルエステル化合物は速効性のため、残存量の低下が早く、長期運転後に冷凍機油の劣化が発生する可能性がある。
また、化学式(3)に示すファティーグリシジルエーテル系エポキシ化合物(以下、ファティーグリシジルエーテル化合物という)は、アルキルグリシジルエステル化合物よりも水分との反応性は低いため、残存量の低下はアルキルグリシジルエステル化合物よりも遅くなる。しかし、初期水分を捕捉しきれずに、冷凍機油が加水分解し、酸価が上昇するおそれがある。すなわち、それぞれの酸捕捉剤を単独で用いた場合、特に、R410Aと比較して持ち込み水分量が多くなるR32を採用した冷凍サイクルでは、冷凍機油の劣化を防ぐことができないおそれがある。
そこで、本実施例では、化学式(1)に示すカルボジイミド化合物と、アルキルグリシジルエステル化合物又はファティーグリシジルエーテル化合物とを混合して用いている。
カルボジイミド化合物とアルキルグリシジルエステル化合物を併用して用いた場合には、アルキルグリシジルエステル化合物が即効性、カルボジイミド化合物が遅効性の添加剤として作用し、運転初期の段階で冷凍サイクル内の水分をアルキルグリシジルエステル化合物によって捕捉し、運転中に圧縮機内部が高温になるなどして冷凍機油が劣化し酸を生成した際にはカルボジイミド化合物により捕捉させることができる。
また、カルボジイミド化合物とファティーグリシジルエーテル化合物を併用して用いた場合には、カルボジイミド化合物が即効性、ファティーグリシジルエーテル化合物が遅効性の添加剤として作用する。
本実施例では、上述したとおり、冷凍機油としてR32と相溶性があり、潤滑性に優れるPOE油を用いている。ここで、相溶性とは、冷媒と冷凍機油が分離せず溶解する特性である。相溶性が悪いと、圧縮機から冷媒と共に、冷凍サイクル中に吐出された冷凍機油が、冷凍サイクルの低温部で分離し、圧縮機に戻らず給油不足となる可能性がある。ここでは相溶性の指標として、低温側臨界溶解温度を用いる。低温側臨界溶解温度が高いほど相溶性が悪く、低いほど相溶性が良いと言える。そのため。R32との低温側臨界溶解温度が10℃以下であることが望ましい。また、潤滑性としては、動粘度が40mm2/s〜100mm2/sの範囲にあるPOE油を用いることが望ましい。
このような条件を満たした冷凍機油を作製するためには、例えば、多価アルコールとしては、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどがある。1価の脂肪酸としては、ブタン酸、ペンタン酸、2−メチルプロパン酸、2−メチルブタン酸等の炭素数4〜5と比較的炭素数の少ない脂肪酸などが挙げられ、基油の異常な粘度低下を防止するために、オクタン酸、2−メチルペンタン酸、2−メチルヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸、イソオクタン酸、3、5、5−トリメチルヘキサン酸等の炭素数8〜12の比較的炭素数の多い脂肪酸を単独で、又は混合して用いる。
特に、実際のルームエアコンのサイクルにおいて低温時の寝込み等を考慮すると使用する冷凍機油とR32の低温側臨界溶解温度は0℃以下が好ましい。R32との低温側臨界溶解温度が0℃以下となるPOE油としては下記化学式(4)〜(7)を示す構造のものを単独もしくは2つ以上組み合わせたものが好ましく(式中、R5は炭素数4〜9のアルキル基を表す)、さらに、高粘度の維持及び潤滑性の向上のため式(6)と式(7)のいずれか、若しくは、混合したものが好ましい。
次に、本実施例についてシールドチューブ試験により冷凍機油の耐加水分解性を評価した結果を説明する。耐加水分解性の試験方法は以下の通りである。外径13mm、内径10mmのガラスアンプル管に冷媒を0.5g、冷凍機油を5g封入した。実施例1〜3及び比較例1〜7は、冷媒としてR32、冷凍機油としてR32との相溶性に優れる化学式(6)及び(7)に示す構造のものを混合した基油を用い、従来例1〜2は、冷媒としてR410A、冷凍機油としてR410Aとの相溶性に優れる化学式(6)に示す構造の基油を用いた。
実施例1〜8は、酸捕捉剤として化学式(1)に示すカルボジイミド化合物及び化学式(2)に示すアルキルグリシジルエステル化合物を冷凍機油に添加した実施例である。表1は、冷凍機油に対するカルボジイミド化合物とアルキルグリシジルエステル化合物の添加割合である。
又、実施例9〜16は、酸捕捉剤として化学式(1)に示すカルボジイミド化合物及び化学式(3)に示すファティーグリシジルエーテル化合物を冷凍機油に添加した実施例である。表2は、冷凍機油に対するカルボジイミド化合物とファティーグリシジルエーテル化合物の添加割合である。
比較例1および従来例1は、酸捕捉剤として化学式(2)に示すアルキルグリシジルエステル化合物を冷凍機油に添加した例であり、比較例2および従来例2は化学式(8)に示すシクログリシジルエーテル化合物を冷凍機油に添加した例であり、比較例3は化学式(1)に示すカルボジイミド化合物を添加した例であり、比較例4は化学式(3)に示すファティーグリシジルエーテル化合物を冷凍機油に添加した例であり、比較例5は化学式(2)に示すアルキルグリシジルエステル化合物および化学式(8)に示すシクログリシジルエーテル化合物を冷凍機油に添加した例であり、比較例6には化学式(1)に示すカルボジイミド化合物および化学式(8)に示すシクログリシジルエーテル化合物を冷凍機油に添加した例である。表3は冷凍機油に添加した酸捕捉剤の種類と添加量である。
カルボジイミド化合物とアルキルグリシジルエステル化合物の単位当たりの酸捕捉能力は異なる。そこで、実施例1〜14は酸捕捉能力を現行のR410A冷媒用冷凍機油の従来例1〜2の酸捕捉剤と同等になるよう各酸捕捉剤の比率をそれぞれ変えて添加した。すなわち、実施例1〜14、比較例1〜5及び従来例1〜2の酸捕捉剤の酸捕捉能力は同等である。
なお、酸捕捉剤の酸捕捉能力の理論値を酸価と同じ単位(mgKOH/g)で表すと、式(9)で表される。カルボジイミド化合物の分子量は362、アルキルグリシジルエステル化合物の分子量は158〜228、ファティーグリシジルエーテル化合物の分子量は186である。カルボジイミド化合物はエポキシ環を有さないが、1分子当たり1個の水分子もしくは脂肪酸と反応するため、1として計算する。
冷凍機油の水分を1,000ppmに調整し、触媒として冷凍サイクル中に多く使用される金属部材である鉄、銅、アルミ(それぞれφ1.6mm、長さ50mm)を共存させ、175℃で14日間加熱した後の銅触媒の色を観察し、冷凍機油の酸価及び添加剤残存率を測定した。銅触媒の色はASTM METHOD D 130「COPPER STRIP CORROSION STANDARS」と比較することで数値化し、酸価はJIS K2501「石油及び潤滑油―中和価試験方法」に従った。添加剤残存率は、ガスクロマトグラフにて測定した。
表4は表1〜3に示す酸捕捉剤を上述した条件で測定した耐加水分解性試験の結果を示している。
まず、従来例1及び従来例2については酸価の上昇が見られない結果になった。又、酸捕捉剤残存率も50%以上であり、酸捕捉剤が十分に残存している。
ルームエアコンの寿命は通常10年を想定するが、冷媒としてR410A、冷凍機油として従来例2を使用したルームエアコンを実際に10年間使用した後の冷凍機油を分析したところ、酸価は0.01mgKOH/g以下、酸捕捉剤残存率は約50%、銅触媒の変色も1b程度となり、175℃で14日間加熱を継続する試験はルームエアコンを実際に10年間使用した後の分析結果と同等の結果が得られた。つまり、175℃で14日間加熱を継続する試験の結果は、ルームエアコンを10年間運転した状態を再現しているといえる。
そこで、本実施例における酸捕捉剤についても、175℃で14日間加熱を継続する試験を行い、従来例2の酸捕捉剤と同等の結果が得られれば、信頼性を確保した酸捕捉剤であると判断することにした。
比較例1は、R32用冷凍機油に従来例1の酸捕捉剤を添加したものである。表4に示すように、比較例1の酸捕捉剤の酸捕捉剤残存率は0となり、冷凍機油の酸価が上昇する結果となった。従って、比較例1の酸捕捉剤では、R32用の冷凍機油の加水分解を防ぐことができないことがわかった。
尚、比較例1の酸捕捉剤の量を単純に増やす検討も行ったが、同様にR32用の冷凍機油の加水分解を防ぐことができない結果になった。比較例1の酸捕捉剤は、脂肪酸の捕捉に加えて、水等と反応して自己消化もする。しかし、オートクレーブ試験の温度域において、比較例1の酸捕捉剤の水等との反応速度は脂肪酸との反応速度よりも遅い為、単純に比較例1の酸捕捉剤の添加量を増やすだけでは水分の捕捉には顕著な効果が見られなかったと考えられる。
比較例2は、R32用の冷凍機油に従来例2の酸捕捉剤を添加したものである。表4に示すように、比較例2の酸捕捉剤は、比較例1の酸捕捉剤と異なり、酸捕捉剤残存率50%以上を確保できているが、冷凍機油の酸価が0.46と上昇する結果となった。また、比較例3は、R32用の冷凍機油にカルボジイミド化合物を添加したものであるが、冷凍機油の酸価が0.02と上昇する結果となった。また、比較例4は、R32用の冷凍機油にファティーグリシジルエーテル化合物を添加したものであるが、冷凍機油の酸価が0.08と上昇する結果となった。
つまり、比較例2〜4のいずれの酸捕捉剤も、冷凍機油の加水分解を抑制できないことがわかった。これは、シクログリシジルエーテル化合物、カルボジイミド化合物及びファティーグリシジルエーテル化合物は、水分との反応性が低く、水分を十分に捕捉できていないことが原因と考えられる。
以上の結果から、R410A用冷凍機油に添加していた添加剤では、R32用冷凍機油の加水分解を抑制できないことがわかった。
次に、酸捕捉剤として、シクログリシジルエーテル化合物およびカルボジイミド化合物を混合して酸捕捉剤を構成した場合について説明する。比較例5はシクログリシジルエーテル化合物およびカルボジイミド化合物を混合して酸捕捉剤を構成したものである。表4より、酸価が上昇していないことから、冷凍機油の加水分解を抑制できていることが分かる。しかし、銅触媒の色は3a程度に変色しており、従来例よりも変色の程度が大きいことからシクログリシジルエーテル化合物およびカルボジイミド化合物を混合して用いた場合、銅触媒の腐食に与える影響が大きいことがわかる。比較例5の酸捕捉剤にシクログリシジルエーテル化合物が含まれている為、銅触媒の色が変色する結果になったと考えられる。
次に、R32冷媒用酸捕捉剤として、カルボジイミド化合物及びアルキルグリシジルエステル化合物を混合して酸捕捉剤を構成した場合について説明する。図3はカルボジイミド化合物及びアルキルグリシジルエステル化合物の混合比と加水分解安定性試験後の酸捕捉剤存存率及び銅触媒の変色度合いとの関係について示す図である。図中、CDIはカルボジイミド化合物をいい、AGEはアルキルグリシジルエステル化合物をいう。図3には、実施例1−8及び比較例1、3の結果を示している。
実施例1〜8は、カルボジイミド化合物及びアルキルグリシジルエステル化合物を混合して添加したものである。添加量は従来例1及び従来例2の酸捕捉剤の酸捕捉能力に合わせ、カルボジイミド化合物及びアルキルグリシジルエステル化合物の比率をそれぞれ変化させて試験を実施した。
表4及び図3に示すとおり、比較例1、3は酸価が上昇しているのに対し、実施例1〜8はいずれも酸価の上昇は見られないため、2種類の酸捕捉剤を混合して添加することにより、冷凍機油の劣化を抑制できていることがわかる。
これは、カルボジイミド化合物とアルキルグリシジルエステル化合物を併用して用いた場合には、アルキルグリシジルエステル化合物が即効性、カルボジイミド化合物が遅効性の添加剤として作用し、運転初期の段階で冷凍サイクル内の水分をアルキルグリシジルエステル化合物によって捕捉し、運転中に圧縮機内部が高温になるなどして冷凍機油が劣化し酸を生成した際にはカルボジイミド化合物により捕捉できたためと考えられる。
図3に示すように、酸捕捉剤のうちルボジイミド化合物の割合が95%を超えると酸価が上昇することから、酸捕捉剤のうちカルボジイミド化合物の割合は95%以下とすることが望ましい。
又、図3に示すように、酸捕捉剤のうちルボジイミド化合物の割合が15%を下回ると酸価が上昇することから、酸捕捉剤のうちカルボジイミド化合物の割合は15%以上とすることが望ましい。
次に、R32冷媒用酸捕捉剤として、カルボジイミド化合物及びファティーグリシジルエーテル化合物を混合して酸捕捉剤を構成した場合について説明する。図4はカルボジイミド化合物及びファティーグリシジルエーテル化合物の混合比と加水分解安定性試験後の酸捕捉剤存存率及び銅触媒の変色度合いとの関係について示す図である。図中、CDIはカルボジイミド化合物をいい、FGEはファティーグリシジルエーテル化合物をいう。図4には、実施例9−16及び比較例3、4の結果を示している。
実施例9〜16は、カルボジイミド化合物及びファティーグリシジルエーテル化合物を混合して添加したものである。添加量は従来例1及び従来例2の酸捕捉剤の酸捕捉能力に合わせ、カルボジイミド化合物とファティーグリシジルエーテル化合物の比率をそれぞれ変化させて試験を実施した。
表4及び図4に示すとおり、比較例3、4は酸価が上昇しているのに対し、実施例9〜16はいずれも酸価の上昇は見られず、冷凍機油の劣化を抑制できていることがわかる。実施例9〜16の組み合わせだと、脂肪酸捕捉能力があるカルボジイミド化合物が冷凍機油を劣化させる脂肪酸の生成を抑えることができ、冷凍機油の劣化を抑制できたと考えられる。
図4に示すように、酸捕捉剤のうちカルボジイミド化合物の割合が95%を超えると酸価が上昇することから、酸捕捉剤のうちカルボジイミド化合物の割合は95%以下とすることが望ましい。
又、図4に示すように、酸捕捉剤のうちカルボジイミド化合物の割合が15%を下回ると酸価が上昇することから、酸捕捉剤のうちカルボジイミド化合物の割合は15%以上とすることが望ましい。
尚、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
本実施例の酸捕捉剤は、実施例1〜16としてカルボジイミド化合物及びエポキシ化合物であって、エポキシ化合物としてアルキルグリシジルエステル化合物又はファティーグリシジルエーテル化合物である場合について説明したが、エポキシ化合物としてシクログリシジルエーテル化合物以外のものを用いることでも、冷凍機油の劣化を抑制しつつ、銅触媒の変色を防ぐことができると考えられる。
本実施例の冷媒は、R32が50重量%より多く含まれている混合冷媒で構成してもよい。例えば、R32及びR125からなる混合冷媒又はこれらを含む混合冷媒や、R32及びR1234yfからなる混合冷媒又はこれらを含む混合冷媒や、R32及びR1234zeからなる混合冷媒又はこれらを含む混合冷媒や、R32、R1234yf及びR1234zeからなる混合冷媒又はこれらを含む混合冷媒を用いることができる。また、冷凍機油の加水分解を防ぐことが困難な他の冷媒にも用いることができる。
1…圧縮機、2…四方弁、3…室外熱交換器、4…膨張手段、5…室内熱交換機

Claims (7)

  1. 圧縮機、室外熱交換器、膨張機構及び室内熱交換器と、
    R32冷媒又はR32が50重量%より多く含まれている混合冷媒と、
    ポリオールエステル油及び酸捕捉剤を有する冷凍機油とを備え、
    前記酸捕捉剤はカルボジイミド化合物及びエポキシ化合物を有し、
    前記エポキシ化合物はアルキルグリシジルエステル化合物又はファティーグリシジルエーテル化合物である空気調和機。
  2. 前記カルボジイミド化合物の割合は95%以下であることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
  3. 前記カルボジイミド化合物の割合は15%以上であることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
  4. 前記カルボジイミド化合物は式(1)(式中、R1、R2はアルキル基またはアルキル置換芳香族基を表し、かつ分子中に−CH(CH32、または−C(CH33を少なくとも2個有する。R1、R2は同じでも可とする。)であることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
  5. 前記エポキシ化合物は式(2)(式中のR3は炭素数4〜9のアルキル基である)であることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
  6. 前記エポキシ化合物は式(3)(式中のR4は少なくとも一つの分岐鎖を持つ炭素数5〜9のアルキル基である)であることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
  7. 前記ポリオールエステル油は式(4)、(5)、(6)、または(7)の単独または混合である(式中のR5は炭素数4〜5のアルキル基又は炭素数8〜12のアルキル基であり、式中のR5の少なくとも1つは炭素数4〜5のアルキル基である)ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の空気調和機。
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