JP2018039934A - 砥粒分散液、およびこれを含む研磨用組成物キット、ならびにこれらを用いた研磨用組成物の製造方法、研磨用組成物、研磨方法および磁気ディスク用基板の製造方法 - Google Patents

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【課題】本発明は、研磨後の研磨対象物の微細スクラッチを低減しうる手段を提供する。【解決手段】本発明は、BET法で測定した平均一次粒子径が1nm以上50nm以下である砥粒と、分散媒と、を含み、かつpH値が7以上12以下である、砥粒分散液であって、砥粒の含有量が前記砥粒分散液の総質量に対して30質量%と換算したときに、個数カウント方式粒度分布計で測定した、粒子径が0.2μm以上0.3μm未満である砥粒の粒子数が1cm3当り25,000,000個以下である、砥粒分散液、に関する。【選択図】なし

Description

本発明は砥粒分散液、およびこれらを含む研磨用組成物キット、ならびにこれらを用いた研磨用組成物の製造方法、研磨用組成物、研磨方法および磁気ディスク用基板の製造方法に関する。
磁気ディスク用基板等の研磨対象物を研磨するために用いられる研磨用組成物には、研磨した際に基板表面に発生するスクラッチが少ないことや、研磨速度が高いことが要求されている。
かかる要求に対して、特許文献1には、pH値が0.1以上7以下であり、0.56μm以上1μm未満の研磨粒子が研磨液組成物1cmあたり500,000個以下であり、かつ1μm以上の研磨粒子が研磨液組成物中の全研磨粒子に対して0.001重量%以下の含有量である研磨液組成物、またはこれを満たす研磨粒子調製液より調製された研磨液組成物が開示されており、かような研磨液組成物による研磨を行えば、研磨後の研磨対象物のスクラッチ数が低減されることが開示されている。
また、特許文献2には、シリカ粒子分散液と、酸またはその塩とを含み、前記シリカ粒子分散液は、スルホン酸基含有単量体、(メタ)アクリル酸/スルホン酸(共)重合体及びそれらの塩から選択される少なくとも1種と、水とを含む、研磨液キットによって長期間シリカ粒子分散液を保存することができることが開示されている。またかような研磨液キットを用いて調製された研磨液組成物による研磨を行えば、研磨後の研磨対象物のスクラッチ数が低減されることが開示されている。
特開2006−75975号公報 特開2008−179763号公報
しかしながら、近年の磁気ディスクの高容量化、小径化に伴う記録密度の向上に伴い、磁気ディスク用基板の品質に対する要求レベルが向上しており、特許文献1および特許文献2の技術によっても磁気ディスクとして十分な性能を得ることができないという問題が発生していた。
ここで、本発明者らは、磁気ディスク用基板表面には、特許文献1および特許文献2の技術の改善対象であるスクラッチよりもさらに微細なサイズのスクラッチ(以下、微細スクラッチとも称する)が存在することに注目した。そして、本発明者らは、従来、測定が困難であった微細スクラッチの本数を定量評価しうる手段を検討し、確立した上で、微細スクラッチの本数が磁気ディスクの性能に大きな影響を与えることを見出した。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、研磨後の研磨対象物の微細スクラッチを低減しうる手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意検討を進めた。その結果、驚くべきことに、研磨用組成物を調製するための砥粒分散液を所定のpH値の範囲とし、かつ、かかる砥粒分散液中における所定の粒子径範囲である砥粒の粒子数を制御することで、上記課題が解決しうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の上記課題は、以下の手段により解決される。
BET法で測定した平均一次粒子径が1nm以上50nm以下である砥粒と、分散媒と、を含み、かつpH値が7以上12以下である、砥粒分散液であって、砥粒の含有量は、砥粒分散液の総質量に対して30質量%と換算したときに、個数カウント方式粒度分布計で測定した、粒子径が0.2μm以上0.3μm未満である砥粒の粒子数が1cm当り25,000,000個以下である、砥粒分散液。
本発明によれば、研磨後の研磨対象物の微細スクラッチを低減しうる手段が提供される。
以下、本発明を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。
なお、本明細書において、「微細スクラッチ」とは、原子間力顕微鏡(AFM)観察によって検出することができる、深さが1nm以上10nm未満、幅が5nm以上100nm未満、長さが100nm以上1μm未満の基板表面の微細な傷を表す。基板1面あたりに存在する微細スクラッチの平均本数は、KLA Tenchor製 Candela OSA6100を用いて測定することができ、測定方法の詳細は実施例に記載する。また、本明細書において、「スクラッチ」とは、原子間力顕微鏡(AFM)観察によって検出することができる、深さが10nm以上100nm未満、幅が5nm以上500nm未満、長さが100μm以上の、微細スクラッチよりも大きなサイズの基板表面の傷を表す。基板1面あたりに存在するスクラッチの平均本数は、VISION PSYTEC社製 MicroMax VMX−2100CSPを用いて測定することができ、測定方法の詳細は実施例に記載する。
<砥粒分散液(A液)>
以下、本発明の第一形態に係る砥粒分散液(本明細書において、A液とも称する)について説明する。
本発明の一形態に係る砥粒分散液は、以下の特徴を有する。すなわち、
BET法で測定した平均一次粒子径が1nm以上50nm以下である砥粒と、分散媒と、を含み、かつpH値が7以上12以下である、砥粒分散液であって、砥粒の含有量は、砥粒分散液の総質量に対して30質量%と換算したときに、個数カウント方式粒度分布計で測定した、粒子径が0.2μm以上0.3μm未満である砥粒の粒子数が1cm当り25,000,000個以下である、砥粒分散液、である。
本発明の一形態に係る砥粒分散液は、特に制限されないが、研磨製品としての磁気ディスク用基板を得るべく磁気ディスク用途の半製品基板を研磨する用途の研磨用組成物を製造するための砥粒分散液であることが好ましく、アルミニウム合金製の基材ディスク上にニッケルリンめっき層を有する磁気ディスク用基板を研磨する用途の研磨用組成物を製造するための砥粒分散液であることが特に好ましい。また、本発明の一形態に係る砥粒分散液は、特に制限されないが、一次研磨を経た研磨対象物を二次研磨または仕上げ研磨する用途の研磨用組成物を製造するための砥粒分散液であることが好ましい。なお、仕上げ研磨とは、複数の研磨工程がある場合、最後の研磨工程を指す。ここで、一次研磨を経た研磨対象物を二次研磨または仕上げ研磨する用途において、本発明の一形態に係る砥粒分散液の用途は、微細スクラッチ低減効果をより有効に活用するとの観点から、表面粗さ(算術平均粗さ(Ra))が8Å以下である磁気ディスク用の研磨対象基板を研磨する用途の研磨用組成物を製造するための砥粒分散液であることがより好ましく、6Å以下であることがさらに好ましい。また、一次研磨を経た研磨対象物を二次研磨または仕上げ研磨する用途において、本発明の一形態に係る砥粒分散液の用途は、さらに研磨を行う必要性の観点から、表面粗さ(算術平均粗さ(Ra))が1Å以上である磁気ディスク用の研磨対象基板を研磨する用途の研磨用組成物を製造するための砥粒分散液であることが好ましい。
従来、研磨用組成物中または砥粒分散液中の0.56μm未満の粒子径範囲の砥粒は一律に粗大粒子ではないとされ、スクラッチ本数を増加させる成分ではないとされてきたが、これらの技術では十分な微細スクラッチの低減効果は得られなかった。そこで、本発明者らは、砥粒分散液を所定のpH値の範囲にした際に、0.56μm未満の粒子径範囲の砥粒の中でも、所定の粒子径範囲にある砥粒が微細スクラッチの原因となると推測した。そして、本発明者らは、砥粒分散液中で、粒子径が0.2μm以上0.3μm未満である砥粒の粒子数または0.3μm以上0.4μm未満である砥粒の粒子数、特に0.2μm以上0.3μm未満である砥粒の粒子数が、微細スクラッチの発生に極めて大きな影響を与えることを見出し、さらに許容されうる微細スクラッチの本数となる砥粒の粒子数の条件を見出すことで、本発明を完成させた。
本発明者らは、本発明によって上記課題が解決されるメカニズムを以下のように推定している。
研磨用組成物は、一般に、基板表面を摩擦することによる物理的作用および砥粒以外の成分が基板の表面に与える化学的作用、ならびにこれらの組み合わせによって研磨対象物を研磨するものである。ここで、一般的な研磨用組成物としては、これらの作用を有効に発現させるために、砥粒を含み、かつ酸性条件であることが望ましいことが知られている。特許文献1の技術は、主に酸性条件における砥粒中の粗大粒子の、研磨部における充填状態に着目したものである。すなわち、かかる技術は、実際に研磨を行う際の条件において存在する、研磨用組成物中の所定の粒子径の粗大粒子数を低減することを目的とする。しかしながら、酸性条件において、凝集が進行した凝集体は、研磨時に研磨部において力が加えられた際に容易に解砕されるため、研磨対象物の表面状態に与える影響は限定的である。また、近年、磁気ディスク用基板はより高いレベルの品質が要求されるため、本発明者らが見出したように、より微細な表面欠陥である微細スクラッチの低減が重要であるところ、特許文献1の技術においては、注目している粗大粒子の粒子径が大きく、かようなサイズの粗大粒子数の減少は、微細スクラッチの低減にはほとんど寄与しない。
一方、本発明は、研磨用組成物を製造するための砥粒分散液の状態において、酸性条件下ではない条件、特にアルカリ性条件下での砥粒分散液中の粗大粒子に注目する。酸性条件下ではない条件、特にアルカリ性条件下では砥粒の分散性が良好であるため、かかる状況下で存在する粗大粒子は、砥粒の粗大な一次粒子であったり容易に解砕されない強固な凝集体であったりすることから、研磨時に研磨部において存在し続けるものが多く、研磨対象物の表面状態に与える影響が大きい。そして、かような条件下における粗大粒子数の低減により、微細スクラッチが顕著に低下しうる。
また、本発明は、前述のように、従来、測定が困難であった微細スクラッチの本数を定量評価しうる手段を確立した上で、微細スクラッチに極めて大きな影響を与える粗大粒子の粒子径の範囲を見出してなされたものである。よって、本発明は、より微細なスクラッチを減少させるために、単に粗大粒子の定義を粒子径がより小さい範囲に限定することによりなされたものではない。
本発明の一形態に係る砥粒分散液は、0.56μm未満の粒子径範囲の砥粒の中でも、微細スクラッチの発生に極めて大きな影響を与える、砥粒分散液中の0.2μm以上0.3μm未満である砥粒の粒子数に注目し、この粒子数を所定の値以下とするものである。ここで、0.2μm以上0.3μm未満である粒子径範囲である砥粒が微細スクラッチの発生に極めて大きな影響を与える理由は、詳細は不明であるが、次のように考えられる。まず、かかる酸性条件下ではない条件、特にアルカリ性条件の砥粒分散液中の砥粒は、そのサイズおよび粒子数に応じて、研磨用組成物による研磨の際に特定サイズのスクラッチを特定頻度で発生させる。また、研磨用組成物は、研磨用組成物中の一次粒子や容易に解砕されない強固な凝集体のサイズおよび粒子数に応じて、上記発生したスクラッチを低減する効果を有する。研磨部ではこれらの現象が同時に生じるため、両者のバランスによって研磨対象物に発生するスクラッチのサイズおよび頻度が決定される。ここで、砥粒分散液中における粒子径が0.2μm以上0.3μm未満である砥粒を本発明の範囲とした際に、上記バランスが微細スクラッチの低減にとって極めて良好な効果が得られる結果となることから、本発明は極めて優れた微細スクラッチの低減効果を奏することとなる。
したがって、本発明は、酸性条件下ではない条件、特にアルカリ性条件の砥粒分散液中において、微細スクラッチに特に大きな影響を与える0.2μm以上0.3μm未満である砥粒の粒子数を制御することにより、微細スクラッチを顕著に改善しうることを見出してなされたものであり、極めて良好な微細スクラッチ低減効果が得られる。
また、本発明の他の一形態に係る砥粒分散液は、以下の特徴を有する。すなわち、
BET法で測定した平均一次粒子径が1nm以上50nm以下である砥粒と、分散媒と、を含み、かつpH値が7以上12以下である、砥粒分散液であって、砥粒の含有量は、砥粒分散液の総質量に対して30質量%と換算したときに、個数カウント方式粒度分布計で測定した、粒子径が0.3μm以上0.4μm未満である砥粒の粒子数が1cm当り1,500,000個以下である、砥粒分散液、である。当該形態に係る砥粒分散液も、前述の粒子径が0.2μm以上0.3μm未満である砥粒の粒子数が1cm当り25,000,000個以下とした本発明の一形態に係る砥粒分散液と同様のメカニズムにより、極めて良好な改善効果が得られる。
なお、上記メカニズムは推測に基づくものであり、その正誤が本発明の技術的範囲に影響を及ぼすものではない。
以下、砥粒分散液の各成分について説明する。砥粒分散液は、砥粒と、分散媒と、を含む。砥粒分散液の調製方法は、特に制限されず、各成分を混合することで調製することができる。ここで、後述するように砥粒分散液中の砥粒の粒子径分布制御の観点から、各成分を混合後に、1種または2種以上のろ過フィルターを用いて、ろ過を行うことが好ましい。
[砥粒]
砥粒分散液は、研磨用組成物に含まれることとなる、砥粒を含む。研磨用組成物中の砥粒は、研磨対象物を機械的に研磨する役割を担い、研磨速度の向上に寄与する。
砥粒は、例えば、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、沈降性シリカのようなシリカであってもよいし、ジルコニア、アルミナ、セリアおよびチタニアのようなシリカ以外であってもよい。砥粒は、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、沈降性シリカなどのシリカであることが好ましく、コロイダルシリカであることがより好ましい。砥粒がシリカである場合、さらに言えばコロイダルシリカである場合には、研磨用組成物を用いて研磨対象物を研磨したときに、研磨対象物の表面に発生する表面欠陥、特に微細スクラッチがより低減される。
砥粒は、BET法で測定した平均一次粒子径が1nm以上、50nm以下である。砥粒の平均一次粒子径が1nm未満であると、研磨対象物の研磨速度が不足する。また、研磨抵抗が増加して研磨機の振動が大きくなる。同様の観点から、BET法で測定した平均一次粒子径は、15nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがさらに好ましい。また、砥粒の平均一次粒子径が50nm超であると(さらには平均一次粒子径が大きくなるにつれて)、研磨用組成物を用いて研磨対象物を研磨したときに、研磨対象物の表面に発生する表面欠陥、特に微細スクラッチが増加する。かかる理由は、微細スクラッチを発生させる、研磨時に研磨部において存在し続ける粗大な一次粒子の数が増加するからであると考えられる。よって、研磨対象物の良好な表面状態の実現のためには、上記範囲の平均一次粒子径を有する砥粒が好ましい。同様の観点から、BET法で測定した平均一次粒子径は、40nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがさらに好ましい。
また、砥粒がコロイダルシリカである場合、BET法で測定した平均一次粒子径を上記上限値以下とすることで、前述の表面欠陥、特に微細スクラッチ低減効果に加えて、研磨用組成物中のコロイダルシリカの沈殿発生を抑制することができる。このことから、砥粒は、上記範囲のBET法で測定した平均一次粒子径を有するコロイダルシリカであることが特に好ましい。
砥粒のBET法による平均一次粒子径は、BET法により測定される砥粒の比表面積S(m/g)から平均一次粒子径(nm)=2727/Sの式により算出することができる。砥粒の比表面積の測定は、例えば、マイクロメリティックスジャパン株式会社製の表面積測定装置、商品名「Flow Sorb II 2300」を用いて行うことができる。
なお、砥粒は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
砥粒分散液は、砥粒の含有量が砥粒分散液の総質量に対して30質量%と換算したときに、粒子径が0.2μm以上0.3μm未満である砥粒の粒子数が1cm当り25,000,000個以下である。粒子径が0.2μm以上0.3μm未満である砥粒の粒子数が砥粒分散液1cm当り25,000,000個以下であると、研磨用組成物を用いて研磨対象物を研磨したときに、研磨対象物の表面に発生する微細スクラッチが低減する。かかる理由は、砥粒分散液中において砥粒は粗大な一次粒子や容易に解砕されない強固な凝集体の状態で分散していると考えられ、砥粒の各粒子径の中でも、特に上記粒子径の範囲の粒子数が一定以下となる場合、微細スクラッチの発生を減少させると考えられるからである。同様の観点から、粒子径が0.2μm以上0.3μm未満である砥粒の粒子数は、砥粒分散液1cm当り21,000,000個以下であることが好ましく、16,000,000個以下であることがより好ましく、12,000,000個以下であることがさらに好ましく、10,450,000個以下であることがさらに好ましい。
砥粒分散液は、砥粒の含有量が砥粒分散液の総質量に対して30質量%と換算したときに、粒子径が0.3μm以上0.4μm未満である砥粒の粒子数が、1cm当り1,500,000個以下であってもよい。かかる理由は、上記粒子径の範囲の粒子数を低減することにより、微細スクラッチを低減することができるからである。同様の観点から、粒子径が0.3μm以上0.4μm未満である砥粒の粒子数は砥粒分散液1cm当り1,300,000個以下であることが好ましく、1,200,000個以下であることがさらに好ましく、1,000,000個以下であることが特に好ましく、300,000個以下であることが最も好ましい。ここで、砥粒分散液は、上記の粒子径が0.2μm以上0.3μm未満である砥粒の粒子数を満たし、かつ上記の0.3μm以上0.4μm未満である砥粒の粒子数を満たすことで、微細スクラッチをより顕著に低減することができる。
また、微細スクラッチよりもサイズが大きなスクラッチを低減するとの観点から、砥粒分散液は、砥粒の含有量が砥粒分散液の総質量に対して30質量%と換算したときに、粒子径が0.4μm以上である砥粒の粒子数が、1cm当り260,000個以下であることが好ましい。また、同様の観点から、砥粒分散液は、砥粒の含有量が砥粒分散液の総質量に対して30質量%と換算したときに、粒子径が0.56μm以上である砥粒の粒子数が、1cm当り110,000個以下であることが好ましい。
砥粒の含有量が砥粒分散液の総質量に対して30質量%と換算したときの、砥粒分散液中における各粒子径範囲の砥粒の粒子数は、希釈した砥粒分散液、または砥粒の含有量が15質量%以下である砥粒分散液の、砥粒分散液中の砥粒の粒子径分布(砥粒分散液単位体積当たりの各粒子径範囲の粒子数)を測定することによって求めることができる。まず、砥粒分散液の総質量に対する砥粒の含有量(質量%)を算出する。次いで、砥粒分散液を、砥粒の含有量が15質量%以下となるよう、水で希釈を行う。なお、砥粒分散液の総質量に対する砥粒の含有量が15質量%以下であれば、希釈は不要である。その後、希釈した砥粒分散液、または砥粒の含有量が15質量%以下である砥粒分散液を、個数カウント方式粒度分布計PSS社製 AccuSizer FX nanoを用いて測定する。そして、砥粒の含有量が砥粒分散液の総質量に対して30質量%と換算したときの、砥粒分散液中における各粒子径範囲の砥粒の粒子数は、得られた各粒子径範囲の測定値(Count(個)/ml、すなわち個/cm)を用いて算出する。より詳細には、注目する粒子径範囲における砥粒の粒子数の測定値をN(個/cm)、測定に用いた、希釈した砥粒分散液、または砥粒の含有量が15質量%以下である砥粒分散液の濃度をd(質量%)とすると、砥粒の含有量が砥粒分散液の総質量に対して30質量%と換算したときの、注目する粒子径範囲における砥粒の粒子数N30(個/cm)は、下記式より算出する。
30(個/cm)=N(個/cm)×30(質量%)/d(質量%)
(式1)
ここで、測定対象液の総質量に対する砥粒の含有量を15質量%以下とする理由は、本装置を用いてより正確な測定結果を得るためである。ここで、測定に際しては、測定対象液の総質量に対する砥粒の含有量は特に制限されないが、好ましい測定条件の一例としては、たとえば、15質量%とすることができる。なお、測定方法および測定条件の詳細は実施例に記載する。
砥粒分散液中の砥粒の粒子径分布の制御方法は、特に制限されないが、例えば、砥粒分散液を調製する際のろ過工程におけるろ過フィルターの選択によって行うことが好ましい。ろ過フィルターは、単独で、または組み合わせて(多段ろ過)用いることができる。ろ過フィルターとしては、所望の粒子径分布が得られるよう、公知のものを適宜用いることができる。ろ過フィルターとしては、例えば、デプスタイプ、プリーツタイプ、デプスプリーツタイプ、メンブランタイプ、吸着タイプ等を用いることができ、フィルターの形状はバッグ式、カートリッジ式等を用いることができ、カートリッジ式としては、ガスケットタイプ、Oリングタイプ等を用いることができる。これらの中でも、ろ過方法としては、特開2015−71659号公報に記載のような、平均繊維径が1μm未満の繊維層を含んだフィルター繊維層を有するフィルターを用いることが好ましい。ろ過フィルターの種類および組み合わせは、砥粒の種類、平均一次粒子径、砥粒以外の砥粒分散液の成分の種類および含有量等に応じて、好ましいものを適宜選択することができる。
砥粒分散液中の砥粒の含有量は、コストの観点から、砥粒分散液の総質量に対して、10質量%以上50質量%以下であることが好ましい。
[分散媒]
砥粒分散液は、分散媒(溶媒)を含む。分散媒は、各成分を分散または溶解させる機能を有する。分散媒としては、水を含むことが好ましく、水であることがより好ましい。また、分散媒は、各成分の分散または溶解のために、水と有機溶媒との混合溶液であってもよい。この場合、用いられる有機溶媒としては、水と混和する有機溶媒であるアセトン、アセトニトリル、エタノール、メタノール、イソプロパノール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。また、これらの有機溶媒を水と混合せずに用いて、各成分を分散または溶解した後に、水と混合してもよい。これら有機溶媒は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
水としては、他の成分の作用を阻害するという観点から、不純物をできる限り含有しない水が好ましい。具体的には、イオン交換樹脂にて不純物イオンを除去した後フィルターを通して異物を除去した純水や超純水、または蒸留水が好ましい。
[pH調整剤]
砥粒分散液は、必要に応じて、pH調整剤をさらに含んでいてもよい。pH調整剤は、砥粒分散液のpH値を制御するために用いられる。pH調整剤としては、特に制限されず公知のpH調整効果を有する化合物を用いることができ、例えば、後述のB液に任意に含まれうる酸や任意に含まれうる塩基性化合物等と同様の化合物を使用することができる。
[砥粒分散液のpH値]
砥粒分散液は、pH値が7以上12以下である。pH値が7未満であると、研磨用組成物を用いて研磨対象物を研磨したときに、微細スクラッチを低減させることが困難となる。かかる理由は、酸性条件下では、砥粒は経時によって凝集が進行するため、微細スクラッチの原因となりうる粗大な一次粒子や容易に解砕されない強固な凝集体の数の制御が困難であると考えられるからである。同様の観点から、pH値は、8以上であることが好ましく、9以上であることがさらに好ましい。また、pH値が12超では、砥粒の溶解が生じる場合があり、この際、砥粒は、研磨用組成物の砥粒としての機能を発揮することが困難となる場合がある。同様の観点から、pH値は、11以下であることがより好ましい。
<研磨用組成物キット>
本発明の第二形態に係る研磨用組成物キットは、本発明の第一形態に係る砥粒分散液であるA液と、分散媒を含むB液と、を含有する。なお、研磨用組成物キットにおいて、A液と、B液とは、相互に混合されていない状態で存在するものとする。
[B液]
B液の調製方法は、特に制限されず、各成分を混合することで調製することができる。B液は、砥粒を含まないことが好ましい。
[酸]
B液は、酸を含むことが好ましい。この酸は、本発明の一形態に係る研磨用組成物キットから製造される研磨用組成物に含まれうる。研磨用組成物中の酸は、研磨対象物を化学的に研磨する役割を担い、研磨用組成物による研磨対象物の研磨速度の向上に寄与しうる。
酸は無機酸または有機酸のどちらであってもよいが、無機酸を用いることが好ましい。
無機酸としては、特に制限されないが、例えばオルトリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、ヘキサメタリン酸のようなリン酸であってもよいし、ホスホン酸、ホスフィン酸、スルホン酸または硫酸であってもよい。
また、酸は有機酸であってもよく、特に制限されないが、炭素数が1〜10の有機カルボン酸、有機ホスホン酸、有機スルホン酸またはアミノ酸が好ましい。炭素数が1〜10の有機カルボン酸としては、例えば、クエン酸、マレイン酸、リンゴ酸、グリコール酸、コハク酸、イタコン酸、マロン酸、イミノ二酢酸、グルコン酸、乳酸、マンデル酸、酒石酸、クロトン酸、ニコチン酸、酢酸、アジピン酸、ギ酸、シュウ酸等が挙げ得られる。有機ホスホン酸としては、例えば、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、エチルグリコールアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、フィチン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(略称HEDP)等が挙げられる。有機スルホン酸としては、例えば、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、2−アミノエタンスルホン酸等が挙げられる。アミノ酸としては、例えば、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、プロリン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、イミノ二酢酸及びトレオニン等が挙げられる。
これらの中でも、酸としては、オルトリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、ヘキサメタリン酸等のリン酸またはメチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、エチルグリコールアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、フィチン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸等の有機ホスホン酸であることが好ましい。特に、研磨対象物として基材ディスクの表面にニッケルリンめっき層を有するものを研磨する場合は、微細スクラッチ、および微細スクラッチよりもサイズの大きなスクラッチをさらに抑制することができる。かかる理由は、B液がリン酸または有機ホスホン酸を含むことで研磨用組成物がリン酸または有機ホスホン酸を含むこととなり、リン酸イオンまたは有機ホスホン酸イオンは、ニッケルリンめっき層の表面で不溶性の被膜を形成し、研磨中の研磨対象物へのダメージがより軽減されると考えられるからである。これらのリン酸の中でも、研磨用組成物による研磨対象物の研磨速度が大きく向上するとの観点から、オルトリン酸またはポリリン酸であることがより好ましく、オルトリン酸であることがさらに好ましい。
なお、酸は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
[分散媒]
B液は、分散媒(溶媒)を含む。B液に含まれる分散媒は、前述のA液に含まれる分散媒と同様のものを用いることができる。B液に含まれる分散媒としては、水を含むことが好ましく、水であることがより好ましい。また、A液に含まれる分散媒と、B液に含まれる分散媒とは、同一であることが好ましい。
[塩基性化合物]
B液は、塩基性化合物を含んでいてもよい。ここで塩基性化合物とは、B液または研磨用組成物キットより製造される研磨用組成物に添加されることによって、これらのpH値を上昇させる機能を有する化合物を指す。
塩基性化合物は、特に制限されないが、例えば、アルカリ金属の水酸化物、第四級アンモニウムまたはその塩、アンモニア、アミン、リン酸塩やリン酸水素塩、有機酸塩等が挙げられる。
アルカリ金属の水酸化物の具体例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビシウム、水酸化セシウム、水酸化フランシウム等が挙げられる。
第四級アンモニウムまたはその塩の具体例としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等の水酸化第四級アンモニウム等が挙げられる。
アミンの具体例としては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、無水ピペラジン、ピペラジン六水和物、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−メチルピペラジン、グアニジン、イミダゾールやトリアゾール等のアゾール類等が挙げられる。
リン酸塩やリン酸水素塩の具体例としては、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等のアルカリ金属塩、リン酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム等のアンモニウム塩等が挙げられる。
これらの中でも、微細スクラッチ、および微細スクラッチよりもサイズの大きなスクラッチをさらに抑制することができるとの観点から、アルカリ金属の水酸化物であることが好ましく、水酸化カリウム、水酸化ルビシウム、水酸化セシウムであることがより好ましく、水酸化カリウムであることがさらに好ましい。微細スクラッチは、前述のように、酸性ではない条件下、特にアルカリ性条件下での砥粒分散液中の粗大粒子の数に主として影響され、特に、酸を含みうる研磨用組成物の状態での粗大粒子の数の影響は限定的である。しかしながら、砥粒が、研磨用組成物中であってもA液中の粒子径分布の特徴をより良好に維持することは、追加的な効果として、微細スクラッチの低減効果をより向上させることができる。また微細スクラッチよりも大きなサイズのスクラッチをさらに低減することができると考えられる。B液が塩基性化合物を含むことで研磨用組成物が塩基性化合物を含むこととなりうる。このとき、研磨用組成物中で塩基性化合物に由来するカチオンが発生し、砥粒の表面に付着しうる。そして、この際、塩基性化合物の種類によっては、塩基性化合物に由来するカチオンがコロイダルシリカ間に入り込むことで、砥粒の凝集を促進させる場合もありうると推測される。ここで、砥粒の凝集性は、カチオンのイオン半径と関連があると推測される。そして、砥粒の凝集をより抑制し、砥粒が研磨用組成物中でもA液中の粒子径分布の特徴をより良好に維持しうるとの観点から、イオン半径が比較的大きい水酸化カリウムを用いることが好ましい。また、B液に含まれる塩基性化合物として1価の金属イオンを発生させるアルカリ金属の水酸化物を用いることで、研磨用組成物中の砥粒の帯電が抑制される結果、研磨用組成物中の砥粒の凝集が抑制され、微細スクラッチ、および微細スクラッチよりもサイズの大きなスクラッチがさらに抑制されると考えられる。
なお、塩基性化合物は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
<研磨用組成物の製造方法>
本発明の第三形態は、本発明の第二形態に係る研磨用組成物キットを用いて、A液と、B液と、を混合する、研磨用組成物の製造方法に関する。
研磨用組成物を調製するに際しての各液の混合順序は特に制限されないが、B液中にA液を添加し、攪拌混合することが好ましい。なお、混合に際しては、A液およびB液以外に、分散媒や、研磨用組成物に含まれる任意の成分を分散媒に溶解または分散させた分散液(以下、添加液とも称する)、または研磨用組成物に含まれる任意の成分をさらに添加してもよい。かかる添加方法によれば、研磨用組成物キット、すなわちA液およびB液のそれぞれの好ましい特性を維持しつつ、製造された研磨用組成物をより好ましい特性とすることができる。研磨用組成物を調製するに際しての各液の混合方法としては、分散媒(例えば、水)にB液を添加して攪拌混合し、次いで添加液(例えば、過酸化水素水等の酸化剤溶液)を添加して攪拌混合し、その後、A液を添加して攪拌混合することがより好ましい。
また、研磨用組成物の各成分は、A液またはB液に予め含有させることで含有させてもよいし、研磨用組成物の製造に際して、添加液として添加することで含有させてもよく、または添加剤を直接添加することで含有させてもよい。
ここで、各成分を混合する際の温度は特に制限されないが、10℃以上40℃以下が好ましく、溶解速度を上げるために加熱してもよい。また、混合時間も特に制限されない。また、研磨用組成物は、上記のようにして得られた研磨用組成物の原液を水で希釈することによって調製されてもよい。
また、研磨用組成物の製造方法としては、A液と、B液と、をpH値が4以下となるよう混合する方法であることが好ましく、pH値が1.5以上4以下となるよう混合する方法であることがより好ましく、pH値が1.5以上3以下となるよう混合する方法であることがさらに好ましい。pH値が4以下であると、研磨速度や表面平滑性がさらに向上する。また、製造される研磨用組成物のpH値は、4以下であることが好ましく、1.5以上4以下であることがより好ましく、1.5以上3以下であることがさらに好ましい。上記pH値は、例えば、ニッケルリンめっき層を有する磁気ディスク用基板用の研磨対象物の研磨に用いられる研磨用組成物に好ましく適用できる。
上記pH値の制御は、A液に任意に含まれうるpH調整剤等の各成分、B液に任意に含まれうる酸または塩基性化合物等の各成分、A液およびB液の混合時にさらに添加されうる、分散媒、添加液または研磨用組成物に含まれる任意の成分の量もしくは種類、またはA液およびB液の混合比等を適宜調整することによって行うことができる。
<研磨用組成物>
本発明の第四形態は、第二形態に係る研磨用組成物キットから製造される研磨用組成物に関する。なお、第四形態に係る研磨用組成物は、第三形態に係る研磨用組成物の製造方法によって製造することができる。
本発明の一形態に係る研磨用組成物は、A液に由来する砥粒および分散媒を含み、B液に由来する分散媒を含むことが好ましい。また、任意に他の成分を含んでいてもよい。他の成分は、A液またはB液に由来しないものであってもよい。以下、研磨用組成物の各成分について説明する。
[砥粒]
研磨用組成物は、砥粒を含む。砥粒の詳細は、A液の項で説明したものと同様であるため、ここでは説明を省略する。
研磨用組成物中の砥粒の含有量は、研磨用組成物の総質量に対して、0.1質量%以上であることが好ましい。砥粒の含有量が0.1質量%以上であると、研磨用組成物による研磨対象物の研磨速度がより向上する。また、研磨抵抗の増加を抑え研磨機の振動をより低減させる。同様の観点から、研磨用組成物中の砥粒の含有量は、研磨用組成物の総質量に対して、より好ましくは0.5質量%以上であり、さらに好ましくは1質量%以上である。また、研磨用組成物中の砥粒の含有量は、研磨用組成物の総質量に対して、20質量%以下であることが好ましい。研磨用組成物中の砥粒の含有量は、研磨用組成物の総質量に対して、より好ましくは15質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下である。
[酸]
研磨用組成物は、酸を含むことが好ましい。酸の詳細は、B液の項で説明したものと同様であるため、ここでは説明を省略する。
研磨用組成物中の酸の含有量は、研磨用組成物の総質量に対して、0.01質量%以上であることが好ましい。酸の含有量が0.01質量%以上であると、研磨用組成物による研磨対象物の研磨速度がより向上する。同様の観点から、研磨用組成物中の酸の含有量は、研磨用組成物の総質量に対して、0.1質量%以上であることがより好ましい。また、研磨用組成物中の酸の含有量は、研磨用組成物の総質量に対して、40質量%以下であることが好ましい。酸の含有量が40質量%以下であると、研磨用組成物の腐食作用をより低減させる。その結果、研磨用組成物を用い研磨対象物を研磨したときに、研磨対象物の表面の面荒れをより抑制することができる。同様の観点から、研磨用組成物中の酸の含有量は、研磨用組成物の総質量に対して、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。
[分散媒]
研磨用組成物は、分散媒を含む。ここで、研磨用組成物の製造において、A液由来の分散媒以外に、B液由来の分散媒を含んでいてもよく、別途分散媒をさらに添加してもよい。かかる分散媒としても、前述のA液およびB液の項で説明した分散媒と同様のものを用いることができる。
[塩基性化合物]
研磨用組成物は、塩基性化合物をさらに含むことが好ましい。塩基性化合物の含有量は、特に制限されず、研磨用組成物が所望のpH値の範囲を有するように適宜調整することができる。塩基性化合物の詳細は、B液の項で説明したものと同様であるため、ここでは説明を省略する。
[酸化剤]
研磨用組成物は、酸化剤をさらに含むことが好ましい。酸化剤は、研磨対象物の表面を酸化する作用を有する。酸化剤によって研磨対象物の表面が酸化されると、砥粒による研磨対象物の機械的な研磨が促進され、その結果、研磨用組成物による研磨対象物の研磨速度が向上する。
酸化剤としては、特に制限されないが、例えば、過酸化物、硝酸またはその塩、ペルオキソ酸またはその塩、過マンガン酸またはその塩、クロム酸またはその塩、酸素酸またはその塩、金属塩類、硫酸類等が挙げられる。酸化剤の具体例としては、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム、硝酸、硝酸鉄、硝酸アルミニウム、硝酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸金属塩、ペルオキソリン酸、ペルオキソ硫酸、ペルオキソホウ酸ナトリウム、過ギ酸、過酢酸、過安息香酸、過フタル酸、次亜臭素酸、次亜ヨウ素酸、塩素酸、臭素酸、ヨウ素酸、過ヨウ素酸、過塩素酸、次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、過マンガン酸カリウム、クロム酸金属塩、重クロム酸金属塩、塩化鉄、硫酸鉄、クエン酸鉄、硫酸アンモニウム鉄等が挙げられる。好ましい酸化剤として、過酸化水素、硝酸鉄、ペルオキソ二硫酸および硝酸が例示される。これら酸化剤は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
これらの中でも、研磨用組成物による研磨対象物の研磨速度の向上および研磨用組成物の安定性の向上の観点から、少なくとも過酸化水素を含むことが好ましく、過酸化水素からなることがより好ましい。
研磨用組成物中の酸化剤の含有量は、研磨用組成物の総質量に対して、0.01質量%以上であることが好ましい。酸化剤の含有量が0.01質量%以上であると、研磨用組成物による研磨対象物の研磨速度がより向上する。同様の観点から、研磨用組成物中の酸化剤の含有量は、研磨用組成物の総質量に対して、より好ましくは0.1質量%以上である。また、研磨用組成物中の酸化剤の含有量は、研磨用組成物の総質量に対して、5質量%以下であることが好ましい。酸化剤の含有量が5質量%以下であると、研磨用組成物の腐食作用をより低減させる。その結果、研磨用組成物を用いて研磨対象物を研磨したときに研磨対象物の表面の面荒れをより抑制することができる。同様の観点から、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。
[水溶性高分子]
研磨用組成物は、水溶性高分子をさらに含んでいてもよい。使用可能な水溶性高分子としては、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムなどのポリスチレンスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩、ポリ酢酸ビニルなどが挙げられるが、特に好適に使用されうるのは、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムなどのポリスチレンスルホン酸塩である。水溶性高分子の重量平均分子量は1,000以上であることが好ましく、10,000以上であることがより好ましく、500,000以上であることがさらに好ましい。また、水溶性高分子の重量平均分子量は、5,000,000以下であることが好ましく、2,500,000以下であることがより好ましく、2,000,000以下であることがさらに好ましい。
[その他の添加剤]
本発明の一形態に係る研磨用組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲内において、必要に応じて防腐剤、防カビ剤、防食剤、消泡剤、キレート剤等をさらに含んでいてもよい。例えば、防腐剤および防カビ剤としては、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンや5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン等のイソチアゾリン系防腐剤、パラオキシ安息香酸エステル類、およびフェノキシエタノール等が挙げられるが、これらに制限されない。これら防腐剤、防カビ剤、防食剤、消泡剤、キレート剤等は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
<研磨方法>
本発明の第五形態は、第四形態に係る研磨用組成物を用いて、研磨対象物を研磨する工程を含む、研磨方法に関する。
以下に、本発明の一形態に係る研磨方法について説明する。
本発明の第四形態に係る研磨用組成物は、例えば磁気ディスク用基板用の研磨対象基板の研磨で通常用いられる装置および条件で使用することができる。片面研磨装置を使用する場合には、キャリアと呼ばれる保持具を用いて研磨対象物を保持し、研磨パッドを貼付した定盤を研磨対象物の片面に押しつけた状態で、研磨用組成物を研磨対象物に対して供給しながら定盤を回転させることにより研磨対象物の片面を研磨する。両面研磨装置を使用する場合には、キャリアと呼ばれる保持具を用いて研磨対象物を保持し、研磨パッドをそれぞれ貼付した上下の定盤を研磨対象物の両面に押しつけた状態で、上方から研磨対象物に対して研磨用組成物を供給しながら、2つの定盤を互いに反対方向に回転させることにより研磨対象物の両面を研磨する。このとき、研磨パッドおよび研磨用組成物中の砥粒が研磨対象物の表面に摩擦することによる物理的作用と、研磨用組成物中の砥粒以外の成分が研磨対象物の表面に与える化学的作用とによって研磨対象物の表面は研磨される。
研磨時の荷重、すなわち研磨荷重を高くするほど、研磨速度が上昇する。研磨用組成物を用いて研磨対象物を研磨するときの研磨荷重は特に限定されないが、研磨対象物表面の面積1cm当たり30g以上200g以下であることが好ましく、60g以上150g以下であることがより好ましい。研磨荷重が上記範囲内である場合には、実用上十分な研磨速度が得られると同時に、研磨後に表面欠陥の少ない研磨対象物を得ることができる。
研磨時の線速度、すなわち研磨線速度は一般に、研磨パッドの回転数、キャリアの回転数、研磨対象物の大きさ、研磨パッドの面積等のパラメータの影響を受ける。線速度が大きくなるほど、研磨対象物に加わる摩擦熱が大きくなるために、研磨用組成物による化学的な研磨作用が強まることもある。ただし、線速度が大きすぎると、遠心力により研磨パッド上のスラリーが外周部から排出され、研磨速度の低下や研磨機の振動をきたすことがある。研磨用組成物を用いて研磨対象物を研磨するときの線速度は特に限定されないが、300mm/秒以上1400mm/秒以下であることが好ましく、600mm/秒以上950mm/秒以下であることがより好ましい。線速度が上記範囲内である場合には、実用上十分な研磨速度を得ることが容易である。
研磨時の定盤回転数、およびキャリア回転数は、10rpm以上100rpm以下であることが好ましい。
研磨装置に対する研磨用組成物の供給速度は、研磨する研磨対象物等の研磨対象物の種類や、研磨装置の種類、研磨条件によって適宜に設定される。ただし、研磨対象物の研磨面および研磨パッドの全体に対してむらなく研磨用組成物が供給されるのに十分な速度であることが好ましい。
研磨対象物を研磨するときに使用される研磨パッドとしては、例えば、一般的な不織布、スウェード、ポリウレタン、フッ素樹脂等の多孔質体を特に制限なく使用することができる。また、砥粒を含むものであっても、砥粒を含まないものであってもよい。研磨パッドには、研磨用組成物が溜まるような溝加工が施されていてもよいが、二次研磨または仕上げ研磨に用いる際には、溝加工が施されていないものであることが好ましい。研磨パッドの硬度および厚みは、特に制限されない。研磨パッドとしては、例えば、スウェードノンバフタイプのものを好ましく使用することができる。
研磨方法が適用される研磨対象物の種類は、特に制限されないが、例えば、高精度な表面が要求される基板の研磨対象基板(半製品基板)であることが好ましく、磁気ディスク用の研磨対象基板であることがより好ましい。磁気ディスク用の研磨対象基板としては、例えば、基材ディスクが、アルミニウム合金製またはガラス製であり、基材ディスクの表面にニッケルリンめっき層、またはニッケルリンめっき層以外の金属層もしくは金属化合物層を備えた磁気ディスク用基板用の研磨対象基板等が挙げられる。これらの中でも、磁気ディスク用の研磨対象基板としては、アルミニウム合金製の基材ディスク上にニッケルリンめっき層を有する基板であることが特に好ましい。
また、研磨方法の用途は、特に制限されないが、例えば、Schmitt Measurement System Inc.社製レーザースキャン式表面粗さ計「TMS−3000 WRC」により測定される表面粗さ(算術平均粗さ(Ra))が100Å〜300Å程度の磁気ディスク用の研磨対象基板を一次研磨して10Å以下の表面粗さ(算術平均粗さ(Ra))に調整する用途、または一次研磨を経た磁気ディスク用の研磨対象基板をさらに研磨(二次研磨または仕上げ)する用途が好ましく、一次研磨を経た磁気ディスク用の研磨対象基板をさらに研磨(二次研磨または仕上げ研磨)する用途がより好ましく、仕上げ研磨する用途がさらに好ましい。なお、仕上げ研磨とは、複数の研磨工程がある場合、最後の研磨工程を指す。ここで、本発明の一形態に係る研磨方法によって研磨する磁気ディスク用の研磨対象基板の表面粗さ(算術平均粗さ(Ra))は、微細スクラッチ低減効果をより有効に活用するとの観点から、8Å以下であることがより好ましく、6Å以下であることがさらに好ましい。また、研磨する一次研磨後の磁気ディスク用の研磨対象基板の表面粗さ(算術平均粗さ(Ra))は、さらに研磨を行う必要性の観点から、1Å以上であることが好ましい。
<磁気ディスク用基板の製造方法>
前述のように、本発明の一形態に係る研磨方法において、研磨対象物の種類としては、磁気ディスク用の研磨対象基板であることが好ましい。したがって、本発明の第六形態は、第五形態に係る研磨方法を使用する磁気ディスク用基板の製造方法に関する。ここで、研磨対象物である磁気ディスク用の研磨対象基板の種類、用途、および製造される磁気ディスク用基板の好ましい態様は、前述の研磨方法と同様である。また、本発明の一形態に係る磁気ディスク用基板の製造方法としては、表面粗さ(算術平均粗さ(Ra))が1Å未満である磁気ディスク用基板の製造方法であることが特に好ましい。
本発明を、以下の実施例および比較例を用いてさらに詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、特記しない限り、「%」および「部」は、それぞれ、「質量%」および「質量部」を意味する。
[実施例1]
<砥粒分散液(A液)の調製>
砥粒であるコロイダルシリカ(平均一次粒子径 25nm)を水に分散した後、特開2015−71659号公報に記載の平均繊維径が1μm未満の繊維層を含んだフィルター繊維層を有するフィルターを用いてろ過を行うことで、pH値が9.5であるA液を調製した。コロイダルシリカは、A液の総質量に対して30質量%であった。
ここで、コロイダルシリカの平均一次粒子径は、BET法により測定される比表面積S(m/g)から平均一次粒子径(nm)=2727/Sの式により算出した。なお、コロイダルシリカの比表面積の測定は、マイクロメリティックスジャパン株式会社製の表面積測定装置、商品名「Flow Sorb II 2300」を用いて行った。
<研磨用組成物キットの調製>
上記A液とは別に、以下のようにB液を調製して、A液と、B液とを含有する、研磨用組成物キットを準備した。なお、研磨用組成物キットにおいて、A液と、B液とは、相互に混合されていない状態である。
(B液の調製)
酸であるオルトリン酸をB液の総質量に対して11質量%となるよう、また水酸化カリウムをB液の総質量に対して1.6質量%となるよう、それぞれ水へ添加し、混合して、B液を調製した。
[実施例2〜5および比較例1〜3]
実施例1におけるA液の調製において、公知のろ過フィルターの種類、組み合わせ数および目開きのサイズを変更した以外は同様にして、実施例2〜5および比較例1〜3に係る各A液を調製した。ここで、実施例2〜5におけるA液の調製に際しては、特開2015−71659号公報に記載の平均繊維径が1μm未満の繊維層を含んだフィルター繊維層を有するフィルターを用いた。なお、これらのA液のpH値は、実施例1のA液と同様であった。また、B液は実施例1と同様にして調製した。
<砥粒の含有量がA液の総質量に対して30質量%と換算したときの、A液中における各粒子径範囲の砥粒の粒子数>
砥粒の含有量がA液の総質量に対して30質量%と換算したときの、A液中における各粒子径範囲の砥粒の粒子数は、希釈したA液の、A液中の砥粒の粒子径分布(A液単位体積当たりの各粒子径範囲の粒子数)を測定することによって求めた。ここで、上記調製した各A液中の砥粒の粒子径分布(A液単位体積当たりの各粒子径範囲の粒子数)は、以下の装置および条件にて測定した。まず、A液を、砥粒の含有量が15質量%となるよう、水で希釈を行った。次いで、希釈したA液中の砥粒の粒子径分布(A液単位体積当たりの各粒子径範囲の粒子数)を、個数カウント方式粒度分布計PSS社製 AccuSizer FX nanoを用いて測定した。測定は、以下の測定装置および測定条件を用いた。
[測定機・測定条件]
測定機: 個数カウント方式粒度分布計PSS社製 AccuSizer FX nano
(FY−H条件)
・Data correction time : 60sec
・Automatic Sample Dilution target : <2500 count/sec
・Sample flow rate : 15ml/min
・Stir speed factor : 2700
(FY−L条件)
・Data correction time : 130sec
・Automatic Sample Dilution target : <2500 count/sec
・Sample flow rate : 15ml/min
・Stir speed factor : 2700。
本測定では、粒子径が0.2μm以上0.3μm未満である砥粒の粒子の測定には上記FY−H条件を用いた。また、粒子径が0.3μm以上0.4μm未満である砥粒の粒子数、粒子径が0.4μm以上である砥粒の粒子数、および粒子径が0.56μm以上である砥粒の粒子数の測定には、上記FY−L条件を用いた。
そして、砥粒の含有量がA液の総質量に対して30質量%と換算したときの、A液中における各粒子径範囲の砥粒の粒子数は、得られた各粒子径範囲の測定値(個/cm)を用いて算出した。より詳細には、注目する粒子径範囲における砥粒の粒子数の測定値をN(個/cm)、測定に用いた希釈したA液の濃度をd(質量%)として、砥粒の含有量がA液の総質量に対して30質量%と換算したときの、注目する粒子径範囲における砥粒の粒子数N30(個/cm)を下記式より算出した。
30(個/cm)=N(個/cm)×30(質量%)/d(質量%)
(式1)
各A液中の粗大粒子の粒子径分布結果として、粒子径が0.2μm以上0.3μm未満である砥粒の粒子数、粒子径が0.3μm以上0.4μm未満である砥粒の粒子数、粒子径が0.4μm以上の粒子数、および粒子径が0.56μm以上である砥粒の粒子数の結果を表1に示す。
<研磨用組成物の調製>
上記調製した各A液および各B液からなる各研磨用組成物キットを用いて、研磨用組成物を調製した。まず、各研磨用組成物キットについて、水57.4質量部にB液16.6質量部を加えて混合した後、この液に過酸化水素水0.6質量部を加えて混合した。その後、この液にA液20質量部を加えて混合することで、各研磨用組成物を調製した。なお、調製した各研磨用組成物のpH値は全て2.0で同一であった。
<研磨工程>
上記調製した研磨用組成物を用いて、以下の研磨条件にて磁気ディスク用の研磨対象基板を研磨することで、磁気ディスク用基板を製造した。
(研磨条件)
研磨対象基板:表面に無電解ニッケルリンめっき層を備えた直径3.5インチ(約95mm)、厚さ1.27mmのハードディスク用アルミニウム基板を、Schmitt Measurement System社製レーザースキャン式表面粗さ計「TMS−3000WRC」により測定される表面粗さ(算術平均粗さ(Ra))の値が6Åとなるように予備研磨したもの
研磨機:SPEEDFAM社製 両面研磨機9B−5P
研磨パッド:スウェードノンバフタイプ
研磨荷重:120g/cm
下定盤回転数:60rpm
研磨用組成物の供給速度:80mL/分。
<研磨済基板の評価>
[微細スクラッチ]
微細スクラッチとは、深さが1nm以上10nm未満、幅が5nm以上100nm未満、長さが100nm以上1μm未満の基板表面の微細な傷をいう。下記装置、条件にて、上記製造したディスク基板4枚の両面、計8面を測定し、微細スクラッチの総本数を、測定した基板面の数で除することで、基板1面あたりに存在する微細スクラッチの平均本数を測定した。この結果を表1に示す。
(測定装置・条件)
測定装置:KLA Tenchor製 Candela OSA6100
Rotation 10000rpm
測定範囲=20−45mm
step size: 4mm
Encoder multiplier:×16
検出チャンネル:P−Sc channel。
[スクラッチ]
スクラッチとは、深さが10nm以上100nm未満、幅が5nm以上500nm未満、長さが100μm以上の基板表面の傷をいう。下記装置、条件にて、上記製造したディスク基板4枚の両面、計8面を測定し、スクラッチの総本数を、測定した基板面の数で除することで、基板1面あたりに存在するスクラッチの平均本数を測定した。この測定結果を表1に示す。
(測定装置・条件)
測定機器:VISION PSYTEC社製 MicroMax VMX−2100CSP
光源:2Sλ(250W)および3Pλ(250W)共に100%
チルト角:−6°
倍率:最大(視野範囲:全面積の120分の1)
観察領域:全面積(外径95mmφで内径25mmφの基板)
アイリス:notch。
表1に示すように、実施例1〜5および比較例1〜3の比較によって、BET法で測定した平均一次粒子径が1nm以上50nm以下である砥粒と、分散媒と、を含み、かつpH値が7以上12以下であり、砥粒の含有量を砥粒分散液の総質量に対して30質量%としたときに、個数カウント方式粒度分布計で測定した、粒子径が0.2μm以上0.3μm未満である砥粒の粒子数が1cm当り25,000,000個以下である砥粒分散液を使用した場合に、微細スクラッチの発生が抑制されることが確認された。
また、実施例1〜5および比較例1〜3の比較によって、BET法で測定した平均一次粒子径が1nm以上50nm以下である砥粒と、分散媒と、を含み、かつpH値が7以上12以下であり、砥粒の含有量を砥粒分散液の総質量に対して30質量%としたときに、個数カウント方式粒度分布計で測定した、粒子径が0.3μm以上0.4μm未満である砥粒の粒子数が1cm当り1,500,000個以下である砥粒分散液を使用した場合に、微細スクラッチの発生が抑制されることが確認された。
さらに、実施例1〜5の比較によって、さらに、砥粒の含有量を砥粒分散液の総質量に対して30質量%としたときに、個数カウント方式粒度分布計で測定した、粒子径が0.2μm以上0.3μm未満である砥粒の粒子数が1cm当り25,000,000個以下であり、かつ粒子径が0.3μm以上0.4μm未満である砥粒の粒子数が1cm当り1,500,000個以下である砥粒分散液を使用した場合に、微細スクラッチの発生がさらに抑制されることが確認された。

Claims (10)

  1. BET法で測定した平均一次粒子径が1nm以上50nm以下である砥粒と、分散媒と、を含み、かつpH値が7以上12以下である、砥粒分散液であって、
    前記砥粒の含有量は、前記砥粒分散液の総質量に対して30質量%と換算したときに、個数カウント方式粒度分布計で測定した、粒子径が0.2μm以上0.3μm未満である砥粒の粒子数が1cm当り25,000,000個以下である、砥粒分散液。
  2. 前記砥粒の含有量は、前記砥粒分散液の総質量に対して30質量%と換算したときに、個数カウント方式粒度分布計で測定した、粒子径が0.3μm以上0.4μm未満である砥粒の粒子数が1cm当り1,500,000個以下である、請求項1に記載の砥粒分散液。
  3. 請求項1または2に記載の砥粒分散液であるA液と、
    分散媒を含むB液と、を含有する、
    研磨用組成物キット。
  4. 前記B液は、酸を含む、請求項3に記載の研磨用組成物キット。
  5. 前記B液は、塩基性化合物を含む、請求項3または4に記載の研磨用組成物キット。
  6. 請求項3〜5のいずれか1項に記載の研磨用組成物キットを用いて、前記A液と、前記B液と、をpH値が1.5以上4.0以下となるよう混合する、研磨用組成物の製造方法。
  7. 請求項6に記載の製造方法によって製造される、研磨用組成物。
  8. 請求項3〜5のいずれか1項に記載の研磨用組成物キットを用いて製造した研磨用組成物、または請求項7に記載の研磨用組成物を用いて、磁気ディスク用の研磨対象基板を研磨する工程を含む、研磨方法。
  9. 前記磁気ディスク用の研磨対象基板が、表面粗さ(算術平均粗さ(Ra))が8Å以下である、請求項8に記載の研磨方法。
  10. 請求項8または9に記載の研磨方法を使用する磁気ディスク用基板の製造方法。
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