JP2018031273A - シリンダジャケット及びクロスヘッド式内燃機関 - Google Patents

シリンダジャケット及びクロスヘッド式内燃機関 Download PDF

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Abstract

【課題】シリンダジャケット及びクロスヘッド式内燃機関において、小型軽量化を図る。
【解決手段】板厚方向に貫通する第1貫通孔55が形成される天板51と、板厚方向に貫通すると共に第1貫通孔55に対向して第2貫通孔56が形成される底板52と、天板51と底板52とを連結する側板53と、第1貫通孔55及び第2貫通孔56における貫通方向に沿って貫通すると共に複数のタイボルトが挿通される取付孔59とを設ける。
【選択図】図4

Description

本発明は、ディーゼルエンジンやガスエンジンなどの内燃機関を構成するシリンダジャケット、このシリンダジャケットを備えたクロスヘッド式内燃機関に関するものである。
一般に、シリンダ内で燃料を燃焼させて動力を発生させるガスエンジンやガソリンエンジンなどの内燃機関は、複数のシリンダの下方にシリンダ配列方向に沿ってクランクシャフトが配置されている。クランクシャフトは、ピストンに接続されており、軸受を介してクランクケースに回転自在に支持されている。一方、大型船舶に搭載されるボアストローク比の大きい内燃機関においては、ピストンとクランクシャフトとの間にクロスヘッドが設けられる。クロスヘッド式内燃機関は、クランクシャフトが収容される台板の上部に架構が配置され、この架構の上部にシリンダジャケットが配置され、複数のタイボルトにより一体に連結されて構成されている。
シリンダジャケットと架構と台板とは、ピストン軸方向に沿って配置され、複数のタイボルトが架構における隔壁の両側を、クランクシャフト軸方向において隔壁を挟みこむように上下に貫通して固定される。このようなクロスヘッド式内燃機関としては、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。
特開2012−097717号公報
上述したようにクロスヘッド式内燃機関は、シリンダジャケットと架構と台板とがピストン軸方向に沿って配置され、タイボルトがピストン軸方向に貫通するための貫通孔が形成されている。この場合、架構は、隔壁の両側に、クランクシャフト軸方向において隔壁を挟みこむように一対の貫通孔が形成されることから、シリンダジャケットも、同位置に一対の貫通孔が形成されている。ところが、シリンダジャケットに形成される一対の貫通孔は、周辺部の剛性の低下を抑制するため、近接して配置することができない。
本発明は、上述した課題を解決するものであり、貫通孔周辺部の合成の低下を抑制しつつ、小型軽量化を図るシリンダジャケット及びクロスヘッド式内燃機関を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための本発明のシリンダジャケットは、板厚方向に貫通する第1貫通部が形成される天板と、板厚方向に貫通すると共に前記第1貫通部に対向して第2貫通部が形成される底板と、前記天板と前記底板とを連結し且つ前記第1貫通部及び前記第2貫通部における貫通方向に沿って貫通すると共に複数の連結部材が挿通される取付孔が形成される側板と、を備えることを特徴とするものである。
従って、各貫通部の貫通方向に沿って貫通して複数の連結部材が挿通可能な取付孔を設けることで、複数の連結部材ごとに取付孔を設ける場合に比べて、複数の連結部材を近接して配置することができ、シリンダジャケットの長さを短くして小型軽量化を図ることができる。
本発明のシリンダジャケットでは、前記取付孔は、長孔形状をなすことを特徴としている。
従って、取付孔を長孔形状とすることで、複数の連結部材を効率良く配置することができると共に、取付孔の開口面積を小さくして剛性の低下を抑制することができる。
本発明のシリンダジャケットでは、前記取付孔は、前記第1貫通部及び前記第2貫通部における幅方向の両側に設けられることを特徴としている。
従って、取付孔を各貫通部の両側に設けることで、シリンダジャケットをバランス良く締結することができる。
また、本発明のクロスヘッド式内燃機関は、台板と、前記台板上に設けられる架構と、前記架構上に設けられる前記シリンダジャケットと、前記台板と前記架構を貫通すると共に前記シリンダジャケットの前記取付孔を貫通して前記台板と前記架構と前記シリンダジャケットを連結する複数の連結部材と、を備えることを特徴とするものである。
従って、複数の連結部材がシリンダジャケットの取付孔と台板と架構を貫通して固定されることで、シリンダジャケットと台板と架構が一体に締結される。このとき、複数の連結部材が1つの取付孔に挿通されることで、複数の連結部材を近接して配置することができ、内燃機関の長さを短くして小型軽量化を図ることができる。
本発明のクロスヘッド式内燃機関では、前記複数の連結部材は、前記架構の貫通孔を貫通し、一端部が前記台板に螺合して固定され、他端部が前記取付孔に挿通されると共に、前記取付孔の端部に配置される座金を貫通し、ナットが螺合して締結されることを特徴としている。
従って、複数の連結部材は、一端部が台板に螺合して固定され、他端部が取付孔にて座金を介してナットが螺合して締結されることで、複数の連結部材と座金とナットによりシリンダジャケットと台板と架構が圧縮状態で適正に締結されることとなり、高い締結力を確保することができる。
本発明のクロスヘッド式内燃機関では、前記座金の硬度は、前記シリンダジャケットの硬度よりも高い材質であることを特徴としている。
従って、座金の硬度をシリンダジャケットの硬度よりも高い材質とすることで、複数の連結部材とナットとの締結力により硬度の高い座金がシリンダジャケットに対して高い面圧を持って接触することとなり、シリンダジャケットと台板と架構を適正に締結することができる。
本発明のシリンダジャケット及びクロスヘッド式内燃機関によれば、シリンダジャケットに複数の連結部材が挿通される取付孔を設けるので、複数の連結部材を近接して配置することで、シリンダジャケットの長さを短くすることができ、小型軽量化を図ることができる。
図1は、本実施形態のディーゼルエンジンを表す概略構成図である。 図2は、本実施形態のシリンダジャケットを表す斜視図である。 図3は、架構を表す斜視図である。 図4は、台板を表す斜視図である。 図5は、シリンダジャケットの固定部を表す平面図である。 図6は、シリンダジャケットの固定部を表す縦断面図である。 図7は、シリンダジャケットと架構の連結部を表す縦断面図である。 図8は、架構と台板の連結部を表す縦断面図である。
以下に添付図面を参照して、本発明に係るシリンダジャケット及びクロスヘッド式内燃機関の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
図1は、本実施形態のディーゼルエンジンを表す概略図である。
本実施形態にて、図1に示すように、ディーゼルエンジン10は、例えば、船舶推進用の主機として用いられ、2ストローク1サイクルのユニフロー掃気方式のクロスヘッド式内燃機関である。このディーゼルエンジン10は、下方に位置する台板11と、台板11上に設けられる架構12と、架構12上に設けられるシリンダジャケット13とを備えている。この台板11と架構12とシリンダジャケット13は、ピストン軸方向に延在する複数のタイボルト(連結部材)14及びナット15により一体に締結されて固定されている。
シリンダライナ16は、シリンダジャケット13内に配置され、上部にシリンダカバー17が固定されて空間部を区画しており、この空間部内にピストン18がピストン軸に往復動自在に設けられることで、燃焼室19が形成される。また、シリンダカバー17は、排気弁20が設けられており、排気弁20は、動弁装置21により開閉可能となっている。この排気弁20は、燃焼室19と排気管22とを開閉するものである。
そのため、燃焼室19に対して、図示しない燃料噴射ポンプから供給された燃料(例えば、低質油、天然ガス、または、その混合燃料など)と、図示しない圧縮機により圧縮された燃焼用ガス(例えば、空気、EGRガス、または、その混合ガスなど)が供給されることで、燃焼室19で燃料と燃焼用ガスが燃焼する。そして、この燃焼で発生したエネルギによりピストン18が往復動する。このとき、動弁装置21により排気弁20が作動して燃焼室19が開放されると、燃焼によって生じた排ガスが排気管22に押し出される一方、図示しない掃気ポートから燃焼用ガスが燃焼室19に導入される。
ピストン18は、下端部にピストン棒23の上端部が連結されている。台板11は、クランクケースを構成しており、クランクシャフト24が軸受25により回転自在に支持されている。このクランクシャフト24は、クランク26を介して連接棒27の下端部が回動自在に連結されている。架構12は、ピストン軸方向に沿って設けられるガイド板28が幅方向に所定間隔を空けて一対をなすように配置されており、この一対のガイド板28の間にクロスヘッド29がピストン軸方方向に沿って移動自在に支持されている。このクロスヘッド29は、ピストン棒23の下端部が回動自在に連結されると共に、連接棒27の上端部が回動自在に連結されている。
そのため、燃焼室19からエネルギが伝達されたピストン18は、ピストン棒23と共にピストン軸方向(ディーゼルエンジン10の設置面の方向)に押し下げられる。すると、ピストン棒23は、クロスヘッド29を同方向に押し下げ、連接棒27及びクランク26を介してクランクシャフト24を回転させる。
ここで、ディーゼルエンジン10を構成する台板11と架構12とシリンダジャケット13について詳細に説明する。図2は、本実施形態のシリンダジャケットを表す斜視図、図3は、架構を表す斜視図、図4は、台板を表す斜視図である。
図2に示すように、台板11は、軸受台31と、幅方向における一対の隔壁32と、幅方向における一対の側板33と、幅方向における一対の底板34と、幅方向における一対の天板35とから構成されている。軸受台31は、架構12に連結されるものであり、ピストン軸方向Zに沿ってクランク軸方向Xに延在するクランクシャフト24の軸受25(いずれも図1参照)を下方から支持する。幅方向における一対の隔壁32は、ピストン軸方向Zに沿って軸受台31の幅方向Yの両側部に連結される。幅方向における一対の側板33は、ピストン軸方向Zに沿って幅方向における一対の隔壁32のそれぞれ両側に交差するように連結される。幅方向における一対の底板34は、水平方向に沿って隔壁32及び側板33の下部に連結される。幅方向における一対の天板35は、水平方向に沿って隔壁32及び幅方向における一対の側板33の上部に連結される。なお、幅方向における一対の隔壁32は、一体に構成してもよい。
この場合、台板11は、軸受台31と隔壁32と側板33と底板34と天板35が溶接により一体に固定されて構成されている。そのため、台板11は、側板33と底板34と天板35により隔壁32に固定された軸受台31を取り囲む構成となっている。また、底板34は、下部にオイルパン36が連結されている。そして、隔壁32は、軸受台31に対して台板11の幅方向Yの両側にクランク軸方向に直行する方向に配置されている。側板33は、隔壁32に対して台板11の幅方向Yの両側にクランク軸方向Xに沿うと共に、隔壁32に直行する方向に沿って配置されている。底板34は、隔壁32及び側板33におけるピストン軸方向Zの下端部に配置され、天板35は、隔壁32及び側板33におけるピストン軸方向Zの上端部に配置されている。
底板34は、クランクシャフト24側へ凸状となるアーチ状の屈曲部37を有している。この底板34の屈曲部37は、底板34と平行に配置された水平部材37aと、2個の傾斜部材37bとを有している。水平部材37aは、軸受台31の下方に位置して底板34よりも上方に位置し、軸受台31の下部に連結されている。各傾斜部材37bは、水平部材37aの両側に位置して底板34と水平部材37aとを互いに連結するように傾斜状態で側板33の下部に連結されている。そのため、屈曲部37は、各傾斜部材37bが水平部材37aを幅方向における斜め下方からそれぞれ支持しており、水平部材37aの近傍の剛性を高めることができる。なお、台板11の剛性を十分確保していれば、底板34は、アーチ状の屈曲部37を備える必要はなく、平板で構成されてもよい。
また、側板33の下端部と底板34の上面が溶接により連結されており、側板33と底板34の連結部における外側に鉛直リブ38が溶接により固定されている。鉛直リブ38は、クランク軸方向Xにおいて、隔壁32と同じ位置に両側一対に設置され、台板11の下部側の剛性を高め、運転時のクランク軸方向Xに対する直角方向の変形を抑えることができる。即ち、鉛直リブ38は、台板11の幅方向Yの剛性を高め、運転時における台板11の幅方向Yの変形を抑えることができる。
また、軸受台31は、上部にU字形状をなす厚肉部39が設けられ、この厚肉部39により軸受25(図1参照)を下方から支持することができる。そして、この厚肉部39は、天板35を貫通して上方に開口するように幅方向における一対のねじ孔40が形成されている。このねじ孔40は、幅方向における両側にそれぞれ2個ずつ設けられ、クランク軸方向Xに沿って並設されている。
図3に示すように、架構12は、幅方向における一対の天板41と、幅方向における一対の底板42と、幅方向における一対の側板43と、複数(本実施形態では、7個)の隔壁ユニット44とから構成されている。幅方向における一対の天板41は、上部に水平方向に沿って配置されてシリンダジャケット13(図1参照)が連結される。幅方向における一対の底板42は、底部に水平方向に沿って配置されて台板11(図1参照)が連結される。幅方向における一対の側板43は、幅方向Yにおける幅方向におけるの側部に配置されてピストン軸方向Zにおける一端部(下端部)が底板42に接続され、他端部(上端部)が天板41に接続される。隔壁ユニット44は、ピストン軸方向Zに沿って配置されると共に、クランク軸方向Xに沿って一定間隔を空けて平行に複数配置される。
この場合、架構12は、天板41と底板42と側板43とが溶接により連結されることで構成され、各隔壁ユニット44により空間部45が形成されている。この空間部45は、クロスヘッド29(図1参照)がガイド板28に支持されて移動することができる空間部であり、クロスヘッド29は、この空間部45に収容され、ピストン軸方向Zに沿って往復移動することができる。
天板41は、ピストン軸方向Zに貫通する幅方向における一対の貫通孔46が形成されている。この貫通孔46は、幅方向の両側にそれぞれ2個ずつ設けられ、クランク軸方向Xに沿って並設されている。底板42は、ピストン軸方向Zに貫通する幅方向における一対の貫通孔47が形成されている。この貫通孔47は、幅方向の両側にそれぞれ2個ずつ設けられ、クランク軸方向Xに沿って並設されている。
隔壁ユニット44は、中央板48と、幅方向における一対の中間板49と、ガイド板28とから構成されている。中央板48は、隔壁ユニット44における幅方向Yの中央部分を形成するものであり、幅方向における一対の中間板49は、隔壁ユニット44における幅方向Yの両端部分を形成するものである。ガイド板28は、隔壁ユニット44における中央板48と各中間板49との間に配置され、溶接により接続されている。
図4に示すように、シリンダジャケット13は、天板51と、底板52と、幅方向における一対の側板53と、仕切板54とから構成されている。天板51は、水平方向に沿った矩形状をなし、ピストン軸方向Zに沿う第1貫通孔(第1貫通部)55がクランク軸方向Xに所定間隔で複数(本実施形態では、2個)形成されている。底板52は、水平方向に沿った矩形状をなし、ピストン軸方向Zに沿う第2貫通孔(第2貫通部)56がクランク軸方向Xに所定間隔で複数(本実施形態では、2個)形成されている。第1貫通孔55と第2貫通孔56は、ピストン軸方向Zに対向し、第1貫通孔55は、シリンダライナ16(図1参照)が嵌合され、第2貫通孔56は、ピストン棒23が軸方向移動自在に挿通される。
幅方向における一対の側板53は、ピストン軸方向Zの一端部が天板51に接続され、他端部が底板52に接続されており、一方の側板53は、連通孔57が形成されている。一方の側板53の連通孔57は、掃気トランクに連通している。
また、天板51及び底板52における幅方向Yの一端部と一方の側板53側にピストン軸方向Zに連続する突出部58が形成されている。そして、各突出部58にピストン軸方向Zに沿って取付孔59が形成されている。また、天板51及び底板52における幅方向Yの他端部と他方の側板53側にピストン軸方向Zに沿って取付孔59が形成されている。天板51における幅方向Yの一端部の取付孔59と他端部の取付孔59とは、各貫通孔55,56の両側で、幅方向Yに対向する位置に形成されている。
この場合、シリンダジャケット13は、天板51と底板52と幅方向における一対の側板53と仕切板54が溶接により一体に固定されて構成されている。そのため、シリンダジャケット13は、全体として直方体形状をなすブロック体である。
そして、図1から図4に示すように、台板11の上に架構12が配置され、架構12の上にシリンダジャケット13が載置されることで、台板11と架構12とシリンダジャケット13は、ピストン軸方向Zに沿って積層される。この状態で、複数のタイボルト14がシリンダジャケット13の各取付孔59、架構12の各貫通孔46,47を貫通し、台板11の各ねじ孔40に螺合すると共に、各タイボルト14の上端部にナット15がそれぞれ螺合することで、締結される。台板11と架構12とシリンダジャケット13が一体に締結される。
本実施形態では、複数のタイボルト14がシリンダジャケット13と架構12と台板11を貫通するものの、隣接する2本のタイボルト14は、架構12に対して、隔壁ユニット44(中央板48)の両側に配置され、対応する各貫通孔46,47をそれぞれ貫通している。一方、この隣接する2本のタイボルト14は、シリンダジャケット13に対して、一つの取付孔59に挿通されている。
図5は、シリンダジャケットの固定部を表す平面図、図6は、シリンダジャケットの固定部を表す縦断面図、図7は、シリンダジャケットと架構の連結部を表す縦断面図、図8は、架構と台板の連結部を表す縦断面図である。
架構12における隔壁ユニット44(中央板48)の両側に配置される2本のタイボルト14は、図8に示すように、下端部が架構12の底板42に形成された貫通孔47を貫通し、この下端部に形成されたねじ部14aが台板11の厚肉部39に形成されたねじ孔40に螺合している。
また、架構12における隔壁ユニット44(中央板48)の両側に配置される2本のタイボルト14は、図7に示すように、長手方向の中間部に細径部14bに振れ止めブッシュ(振れ止め部材)61が固定され、各タイボルト14が架構12の天板41に形成された貫通孔46を貫通すると共に、各細径部14bに固定された振れ止めブッシュ61がそれぞれ貫通孔46に所定隙間をもって位置している。
更に、架構12における隔壁ユニット44(中央板48)の両側に配置される2本のタイボルト14は、図5及び図6に示すように、上端部がシリンダジャケット13に形成された一つの取付孔59内に揃って挿通され、この上端部に形成されたねじ部14cが上方に突出している。シリンダジャケット13は、各取付孔59が開口する上面部に座金62が形成されており、2本のタイボルト14は、それぞれ上端部(ねじ部14c)がこの座金62に形成された各貫通孔63を貫通し、各ねじ部14cにそれぞれナット15が螺合している。
即ち、シリンダジャケット13に形成された取付孔59は、クランク軸方向Xに長い長孔形状をなし、2本のタイボルト14が互いに接触せず、且つ、2本のタイボルト14が取付孔59の内面に接触しない内径に設定されている。座金62は、取付孔59と同様に、クランク軸方向Xに長い長孔形状をなすが、外径が取付孔59の内径より大きな寸法に設定されている。そして、座金62は、2本のタイボルト14が互いに接触しない位置に貫通孔63が形成されている。この場合、シリンダジャケット13は、鋳鉄製であり、座金62は、硬度がシリンダジャケット13の硬度よりも高い材質となるように、例えば、一般構造用圧延鋼材により形成されている。また、タイボルト14は、上端部にねじ部14cが形成されており、この座金62に形成された各貫通孔63を貫通し、各ねじ部14cにナット15が螺合することができる。
この場合、複数のタイボルト14は、架構12における隔壁ユニット44の両側で、中央板48に接触しないように配置されることから、これによりタイボルト14におけるクランク軸方向Xの位置が決まる。そのため、タイボルト14の位置が決まると、このタイボルト14の位置に応じて台板11におけるねじ孔40の形成位置、架構12における貫通孔46,47の形成位置、シリンダジャケット13における取付孔59の形成位置が決まる。
そして、台板11と架構12とシリンダジャケット13を組付けるとき、図1に示すように、この台板11と架構12とシリンダジャケット13をピストン軸方向Zに沿って配置し、ねじ孔40と貫通孔46,47と取付孔59の位置がピストン軸方向Zに沿って一直線状に位置するように位置決めする。そして、タイボルト14をシリンダジャケット13の上方から取付孔59、貫通孔46,47の順に挿入し、図8に示すように、ねじ部14aをねじ孔40に螺合する。各タイボルト14が台板11のねじ部14aにそれぞれ螺合すると、各タイボルト14自体が自立し、図7に示すように、中間部の振れ止めブッシュ61が架構12における各貫通孔46に配置され、図5及び図6に示すように、上端部がシリンダジャケット13における取付孔59から上方に突出する。
ここで、シリンダジャケット13における取付孔59から上方に突出した各タイボルト14の上端部に一つの座金62を挿入し、各ねじ部14cにそれぞれナット15を螺合する。すると、タイボルト14のねじ部14cに対するナット15の螺合により、タイボルト14は、軸方向(ピストン軸方向Z)の上方へ引張力が作用し、シリンダジャケット13の上面と座金62の下面、座金62の上面とナット15の下面に圧縮力が作用することで、台板11と架構12とシリンダジャケット13が互いに密着して締結される。
このとき、隣接するナット15同士が接触しないように、隣接するタイボルト14間のピッチを設定することが望ましい。また、シリンダジャケット13の上面と座金62の下面との接触面積は、座金62の上面とナット15の下面との接触面積より大きくなるように設定することが望ましい。この構成により、シリンダジャケット13の上面と座金62の下面との間に大きな面圧が発生し、シリンダジャケット13に対する座金62の移動が阻止される。
このように本実施形態のシリンダジャケットにあっては、板厚方向に貫通する第1貫通孔55が形成される天板51と、板厚方向に貫通すると共に第1貫通孔55に対向して第2貫通孔56が形成される底板52と、天板51と底板52とを連結する側板53と、第1貫通孔55及び第2貫通孔56における貫通方向に沿って貫通すると共に複数のタイボルト14が挿通される取付孔59とを設けている。
従って、1つの取付孔59に複数のタイボルト14が挿通されることから、複数のタイボルト14ごとに取付孔を設ける構成に比べて、複数のタイボルト14を近接して配置することができ、シリンダジャケット13におけるクランク軸方向Xの長さを短くしてシリンダジャケット13の小型軽量化を図ることができる。
本実施形態のシリンダジャケットでは、取付孔59を長孔形状としている。従って、複数のタイボルト14を取付孔59の長手方向に沿って並設することで、複数のタイボルト14を効率良く配置することができ、また、取付孔59の開口面積を小さくしてシリンダジャケット13の剛性の低下を抑制することができる。
本実施形態のシリンダジャケットでは、取付孔59を第1貫通孔55及び第2貫通孔56の両側に設けている。従って、シリンダジャケット13をバランス良く締結することができる。
また、本実施形態のクロスヘッド式内燃機関にあっては、台板11と、台板11上に設けられる架構12と、架構12上に設けられるシリンダジャケット13と、台板11と架構12を貫通すると共にシリンダジャケット13の取付孔59を貫通して台板11と架構12とシリンダジャケット13を連結する複数のタイボルト14を設けている。
従って、複数のタイボルト14によりシリンダジャケット13と架構12と台板11とが一体に締結されることとなり、このとき、複数のタイボルト14が1つの取付孔59に挿通されることで、複数のタイボルト14を近接して配置することができ、ディーゼルエンジン10の全長を短縮して小型軽量化を図ることができる。
本実施形態のシリンダジャケットでは、複数のタイボルト14は、架構12の貫通孔46を貫通し、一端部が台板11に螺合して固定され、他端部が取付孔59に挿通されると共に、取付孔59の端部に配置される座金62を貫通し、ナット15が螺合して締結される。従って、複数のタイボルト14と座金62とナット15によりシリンダジャケット13と架構12と台板11とが圧縮状態で適正に締結されることとなり、高い締結力を確保することができる。
本実施形態のシリンダジャケットでは、座金62の硬度をシリンダジャケット13の硬度よりも高い材質で形成されている。従って、複数のタイボルト14とナット15との締結力により硬度の高い座金62がシリンダジャケット13に対して高い面圧を持って接触することとなり、シリンダジャケット13と架構12と台板11とを適正に締結することができる。
本実施形態のクロスヘッド式内燃機関では、複数のタイボルト14は、架構12の貫通孔46と対向する位置に振れ止めブッシュ61が設けられている。従って、各端部がシリンダジャケット13と台板11に固定されたタイボルト14は、中間部が振れ止めブッシュ61を介して架構12に支持されることとなり、タイボルト14の揺動を抑制してシリンダジャケット13と架構12と台板11とを適正に締結することができる。
なお、上述した実施形態では、シリンダジャケット13の取付孔59を長孔形状としたが、この形状に限定されるものではなく、真円形状、楕円形状、多角形形状などであってもよい。
10 ディーゼルエンジン(クロスヘッド式内燃機関)
11 台板
12 架構
13 シリンダジャケット
14 タイボルト(連結部材)
15 ナット
16 シリンダライナ
17 シリンダカバー
18 ピストン
19 燃焼室
21 動弁装置
22 排気管
23 ピストン棒
24 クランクシャフト
25 軸受
26 クランク
27 連接棒
28 ガイド板
29 クロスヘッド
31 軸受台
32 隔壁
33 側板
34 底板
35 天板
39 厚肉部
40 ねじ孔
41 天板
42 底板
43 側板
44 隔壁ユニット
46,47 貫通孔
51 天板
52 底板
53 側板
54 仕切板
55 第1貫通孔(第1貫通部)
56 第2貫通孔(第2貫通部)
58 突出部
59 取付孔
61 振れ止め部材(振れ止めブッシュ)
62 座金
63 貫通孔

Claims (6)

  1. 板厚方向に貫通する第1貫通部が形成される天板と、
    板厚方向に貫通すると共に前記第1貫通部に対向して第2貫通部が形成される底板と、
    前記天板と前記底板とを連結し且つ前記第1貫通部及び前記第2貫通部における貫通方向に沿って貫通すると共に複数の連結部材が挿通される取付孔が形成される側板と、
    を備えることを特徴とするシリンダジャケット。
  2. 前記取付孔は、長孔形状をなすことを特徴とする請求項1に記載のシリンダジャケット。
  3. 前記取付孔は、前記第1貫通部及び前記第2貫通部における幅方向の両側に設けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシリンダジャケット。
  4. 台板と、
    前記台板上に設けられる架構と、
    前記架構上に設けられる請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のシリンダジャケットと、
    前記台板と前記架構を貫通すると共に前記シリンダジャケットの前記取付孔を貫通して前記台板と前記架構と前記シリンダジャケットを連結する複数の連結部材と、
    を備えることを特徴とするクロスヘッド式内燃機関。
  5. 前記複数の連結部材は、前記架構の貫通孔を貫通し、一端部が前記台板に螺合して固定され、他端部が前記取付孔に挿通されると共に、前記取付孔の端部に配置される座金を貫通し、ナットが螺合して締結されることを特徴とする請求項4に記載のクロスヘッド式内燃機関。
  6. 前記座金の硬度は、前記シリンダジャケットの硬度よりも高い材質であることを特徴とする請求項5に記載のクロスヘッド式内燃機関。
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