JP2018030115A - ストロンチウム吸着材及びその製造方法 - Google Patents

ストロンチウム吸着材及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】既存のチタン酸塩化合物やゼオライトの代わりに第5族元素及び第6族元素の複酸化物結晶性化合物を用いることにより、ストロンチウムと競合する塩類の多い条件下においてもストロンチウムを効率良く吸着できるストロンチウム吸着材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ストロンチウムを吸着するための結晶性無機材料のストロンチウム吸着材であって、前記結晶性無機材料は、NbまたはTaのいずれか一種(第5族元素MV)と、MoまたはWのいずれか一種(第6族元素MVI)と、Li(Li)とを含有してなり、トリルチル構造をもつニオブモリブデン酸リチウムの層状複酸化物、トリルチル構造をもつタンタルモリブデン酸リチウムの層状複酸化物、LiNbO3構造をもつニオブタングステン酸リチウムの層状複酸化物とする。
【選択図】図1

Description

本発明はストロンチウム吸着材及びその製造方法に関し、特に、競合する塩類の多い条件下においてストロンチウムを効率良く吸着可能な吸着材及びその製造方法に関する。
軽水炉等の一般的なウラン型原子炉に用いられる核燃料において、ウラン(235U)は核分裂反応の主要元素である。ウラン(235U)の核分裂反応により生成される放射性物質の核種として、例えば、ストロンチウム(90Sr)、ヨウ素(131I)、セシウム(134Cs、137Cs)等が存在する。
通常、核燃料であるウランは燃料棒の内部に収容されており、内部のウランの核分裂物質が外部に拡散することはない。ここで、ウランの核分裂がある程度進行した後、MOX燃料等への加工、核燃料の処分等に際し燃料棒は開封される。また、燃料棒自体の損傷に伴う外部飛散のリスクもある。このような場合、原則遮蔽環境下にて作業は行われるものの、万が一の状況下での放射性同位体核種の外部への飛散のおそれはあり得る。
ウランの核分裂により生じる放射性同位体核種において、ストロンチウムはアルカリ土類金属の一種であることからカルシウムと挙動が近似することが知られている。ストロンチウム同位体の90Srの半減期は約28.8年であり、ベータ壊変により90Yになる。このため、ストロンチウムは人体に取り込まれると骨組織等に蓄積し易く、またアルカリ金属のセシウム等と比較しても排出は少ないと考えられる。従って、いったん体内に取り込まれてしまうと、ストロンチウム(90Sr)は長期間ベータ線を放出するため体組織は影響を受ける。
それゆえ、環境中への拡散分、核燃料中や原子炉施設内からの90Sr等の放射性核種(放射性同位体)の回収等は喫緊の問題である。速やかに回収後、安定核種(安定同位体)に変化するまで隔離、遮蔽する必要がある。このような経緯から、効率よいストロンチウムの回収材料、回収方法が検討されている。
従前のストロンチウムの吸着材として、チタン酸塩化合物が提案されている(特許文献1ないし5等参照)。また、ゼオライトの吸着材も提案されている(特許文献6等参照)。例示のチタン酸化合物の吸着材では、ストロンチウムはチタン酸塩化合物の結晶内のナトリウム等とイオン置換可能である。この作用がストロンチウム吸着に利用される。また、ゼオライト吸着材では、ストロンチウムは格子状のゼオライト結晶内に捕捉される。このように、従前の吸着材であってもストロンチウムの吸着には一定の効果を示している。
しかしながら、実際の放射性ストロンチウムを含有する汚染水処理の環境を想定すると、ストロンチウムが単独で存在している状態は考え難く、海水や土壌等の塩類が汚染水中に溶け込んでいることが大半である。すなわち、ナトリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類等の競合するイオンの多い条件下においても、吸着材にはストロンチウムを選択的に吸着する性能が求められる。
そこで、ストロンチウムの吸着性能の向上について、さらに吸着性能の高い吸着材が検討されてきた。その中において、既存のチタン酸塩化合物やゼオライト以外の結晶化合物の可能性が模索されてきた。
特許第4428541号公報 特許第5285183号公報 特開2015−188795号公報 特開2013−246145号公報 特開2015−64252号公報 特開2015−147174号公報
発明者らは、ストロンチウムの吸着性能の向上に際し、各種の結晶性化合物を検討した結果、第5族元素及び第6族元素を含有する複酸化物結晶性化合物がストロンチウムの吸着性能に優れていることを見出した。
本発明は、上記状況に鑑み提案されたものであり、既存のチタン酸塩化合物やゼオライトの代わりに第5族元素及び第6族元素の複酸化物結晶性化合物を用いることにより、ストロンチウムと競合する塩類の多い条件下においてもストロンチウムを効率良く吸着できるストロンチウム吸着材及びその製造方法を提供する。
すなわち、請求項1の発明は、ストロンチウムを吸着するための結晶性無機材料のストロンチウム吸着材であって、前記結晶性無機材料は、NbまたはTaのいずれか一種と、MoまたはWのいずれか一種と、Liとを含有する層状複酸化物であることを特徴とするストロンチウム吸着材に係る。
請求項2の発明は、前記結晶性無機材料がトリルチル構造をもつニオブモリブデン酸リチウムの層状複酸化物であって、そのX線回折パターンにおいて格子定数をa=b<cとしたとき、第1回折線に相当する結晶面が、(001)面、(101)面、(110)面、(102)面、(111)面、(103)面、(200)面、(113)面、(212)面、(213)面、(220)面、(115)面、(006)面、(310)面、(205)面、または(116)面のうちの少なくとも一面である請求項1に記載のストロンチウム吸着材に係る。
請求項3の発明は、前記ニオブモリブデン酸リチウムの化学組成がLiNbMoO6である請求項2に記載のストロンチウム吸着材に係る。
請求項4の発明は、前記結晶性無機材料がトリルチル構造をもつタンタルモリブデン酸リチウムの層状複酸化物であって、そのX線回折パターンにおいて格子定数をa=b<cとしたとき、第1回折線に相当する結晶面が、(001)面、(110)面、(102)面、(111)面、(103)面、(200)面、(201)面、(113)面、(212)面、(213)面、(220)面、(115)面、(006)面、(310)面、(311)面、(205)面、(116)面、または(303)面のうちの少なくとも一面である請求項1に記載のストロンチウム吸着材に係る。
請求項5の発明は、前記タンタルモリブデン酸リチウムの化学組成がLiTaMoO6である請求項4に記載のストロンチウム吸着材に係る。
請求項6の発明は、前記結晶性無機材料がLiNbO3構造をもつニオブタングステン酸リチウムの層状複酸化物であって、そのX線回折パターンにおいて格子定数をa=b<cとしたとき、第1回折線に相当する結晶面が、(012)面、(104)面、(110)面、(202)面、(024)面、(116)面、(122)面、(214)面、(300)面、(208)面、(312)面、(128)面、または(226)面のうちの少なくとも一面である請求項1に記載のストロンチウム吸着材に係る。
請求項7の発明は、前記ニオブタングステン酸リチウムの化学組成がLiNbWO6である請求項6に記載のストロンチウム吸着材に係る。
請求項8の発明は、前記結晶性無機材料の平均粒子径が80nmないし100μmである請求項1ないし7のいずれか1項に記載のストロンチウム吸着材に係る。
請求項9の発明は、請求項1ないし8のいずれか1項に記載のストロンチウム吸着材の製造方法であって、Li源と、NbまたはTaのいずれか一種の第5族元素源と、MoまたはWのいずれか一種の第6族元素源と、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を含有するフラックス成分とを混合して混合原料を得る混合工程と、前記混合原料を加熱し前記フラックス成分を溶融して溶融物を得る溶融工程と、前記溶融物を冷却して結晶性無機材料を生成する結晶生成工程とを有することを特徴とするストロンチウム吸着材の製造方法に係る。
請求項10の発明は、前記結晶生成工程の後、前記結晶性無機材料を洗浄して前記フラックス成分を除去する洗浄工程を備える請求項9に記載のストロンチウム吸着材の製造方法に係る。
請求項11の発明は、前記第5族元素源がNbまたはTaのいずれか一種の金属酸化物であり、前記第6族元素源がMoまたはWのいずれか一種の金属酸化物である請求項9または10に記載のストロンチウム吸着材の製造方法に係る。
請求項12の発明は、前記フラックス成分が、Liの塩である請求項9ないし11のいずれか1項に記載のストロンチウム吸着材の製造方法に係る。
請求項1の発明に係るストロンチウム吸着材によると、ストロンチウムを吸着するための結晶性無機材料のストロンチウム吸着材であって、前記結晶性無機材料は、NbまたはTaのいずれか一種と、MoまたはWのいずれか一種と、Liとを含有する層状複酸化物であるため、既存のチタン酸塩化合物やゼオライトの代わりに第5族元素及び第6族元素の複酸化物結晶性化合物を用いることにより、ストロンチウムと競合する塩類の多い条件下においてもストロンチウムを効率良く吸着できるストロンチウム吸着材を得ることができる。
請求項2の発明に係るストロンチウム吸着材によると、請求項1の発明において、前記結晶性無機材料がトリルチル構造をもつニオブモリブデン酸リチウムの層状複酸化物であって、そのX線回折パターンにおいて格子定数をa=b<cとしたとき、第1回折線に相当する結晶面が、(001)面、(101)面、(110)面、(102)面、(111)面、(103)面、(200)面、(113)面、(212)面、(213)面、(220)面、(115)面、(006)面、(310)面、(205)面、または(116)面のうちの少なくとも一面であるため、ストロンチウム吸着に好適なニオブモリブデン酸リチウムを得ることができる。
請求項3の発明に係る選ストロンチウム吸着材によると、請求項2の発明において、前記ニオブモリブデン酸リチウムの化学組成がLiNbMoO6であるため、ストロンチウム吸着に好適なニオブモリブデン酸リチウムを得ることができる。
請求項4の発明に係るストロンチウム吸着材によると、請求項1の発明において、前記結晶性無機材料がトリルチル構造をもつタンタルモリブデン酸リチウムの層状複酸化物であって、そのX線回折パターンにおいて格子定数をa=b<cとしたとき、第1回折線に相当する結晶面が、(001)面、(110)面、(102)面、(111)面、(103)面、(200)面、(201)面、(113)面、(212)面、(213)面、(220)面、(115)面、(006)面、(310)面、(311)面、(205)面、(116)面、または(303)面のうちの少なくとも一面であるため、ストロンチウム吸着に好適なタンタルモリブデン酸リチウムを得ることができる。
請求項5の発明に係るストロンチウム吸着材によると、請求項4の発明において、前記タンタルモリブデン酸リチウムの化学組成がLiTaMoO6であるため、ストロンチウム吸着に好適なタンタルモリブデン酸リチウムを得ることができる。
請求項6の発明に係るストロンチウム吸着材の製造方法によると、請求項1の発明において、前記結晶性無機材料がLiNbO3構造をもつニオブタングステン酸リチウムの層状複酸化物であって、そのX線回折パターンにおいて格子定数をa=b<cとしたとき、第1回折線に相当する結晶面が、(012)面、(104)面、(110)面、(202)面、(024)面、(116)面、(122)面、(214)面、(300)面、(208)面、(312)面、(128)面、または(226)面のうちの少なくとも一面であるため、ストロンチウム吸着に好適なニオブタングステン酸リチウムを得ることができる。
請求項7の発明に係るストロンチウム吸着材の製造方法によると、請求項6の発明において、前記ニオブタングステン酸リチウムの化学組成がLiNbWO6であるため、ストロンチウム吸着に好適なニオブタングステン酸リチウムを得ることができる。
請求項8の発明に係るストロンチウム吸着材の製造方法によると、請求項1ないし7のいずれかの発明において、前記結晶性無機材料の平均粒子径が80nmないし100μmであるため、吸着効率と取り扱いの利便性が担保される。
請求項9の発明に係るストロンチウム吸着材の製造方法によると、請求項1ないし8のいずれか1項に記載のストロンチウム吸着材の製造方法であって、Li源と、NbまたはTaのいずれか一種の第5族元素源と、MoまたはWのいずれか一種の第6族元素源と、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を含有するフラックス成分とを混合して混合原料を得る混合工程と、前記混合原料を加熱し前記フラックス成分を溶融して溶融物を得る溶融工程と、前記溶融物を冷却して結晶性無機材料を生成する結晶生成工程とを有するため、既存のチタン酸塩化合物やゼオライトの代わりに第5族元素及び第6族元素の複酸化物結晶性化合物を用いることにより、ストロンチウムと競合する塩類の多い条件下においてもストロンチウムを効率良く吸着できるストロンチウム吸着材の製造方法を確立できた。
請求項10の発明に係るストロンチウム吸着材の製造方法によると、請求項9の発明において、前記結晶生成工程の後、前記結晶性無機材料を洗浄して前記フラックス成分を除去する洗浄工程を備えるため、ストロンチウム吸着材の純度を高めることができる。
請求項11の発明に係るストロンチウム吸着材の製造方法によると、請求項9または10の発明において、前記第5族元素源がNbまたはTaのいずれか一種の金属酸化物であり、前記第6族元素源がMoまたはWのいずれか一種の金属酸化物であるため、結晶内の他の元素種の残存を抑制できる。
請求項12の発明に係るストロンチウム吸着材の製造方法によると、請求項9ないし11のいずれかの発明において、前記フラックス成分が、Liの塩であるため、生成される結晶中に他の元素が残存するおそれは回避され、最終的に出来上がる結晶性無機材料の純度は高められる。
トリルチル構造のストロンチウム吸着材の模式図である。 LiNbO3構造のストロンチウム吸着材の模式図である。 実施例1の結晶性無機材料のXRDパターンのチャートである。 実施例1の結晶性無機材料のFE−SEM像である。 実施例1の結晶性無機材料の粒度分布図である。 実施例2の結晶性無機材料のXRDパターンのチャートである。 実施例2の結晶性無機材料のFE−SEM像である。 実施例2の結晶性無機材料の粒度分布図である。 実施例3の結晶性無機材料のXRDパターンのチャートである。 実施例3の結晶性無機材料のFE−SEM像である。 実施例3の結晶性無機材料の粒度分布図である。 実施例4の結晶性無機材料のXRDパターンのチャートである。 実施例4の結晶性無機材料のFE−SEM像である。 実施例4の結晶性無機材料の粒度分布図である。 比較例1の結晶性無機材料のFE−SEM像である。 比較例1の結晶性無機材料の粒度分布図である。 比較例2の結晶性無機材料のFE−SEM像である。 比較例2の結晶性無機材料の粒度分布図である。
本発明のストロンチウム吸着材は結晶性無機材料により形成される。この結晶性無機材料は、第5族元素のNb(ニオブ)またはTa(タンタル)のいずれか一種、第6族元素のMo(モリブデン)またはW(タングステン)のいずれか一種、Li(リチウム)を含有する。結晶性無機材料は、これらの元素から形成される層状複酸化物である。層状複酸化物とあるのは、結晶は層の積み重なりにより形成されている構造の特徴に由来する。
ストロンチウム吸着材である結晶性無機材料は、前述のとおり、層状複酸化物の構造である。そこで、結晶性無機材料は、主に2種類の結晶構造の系統に分けられる。ひとつは図1の模式図に示すトリルチル構造と称される結晶構造であり、もうひとつは図2の模式図に示すLiNbO3構造と称される結晶構造である。なお、図示の結晶構造は後記の結晶構造の解析結果を踏まえて想定される構造例である。
図1のトリルチル構造の複酸化物の場合、当該構造の格子内には、第5族元素MV、第6族元素MVIの金属元素が配置される。格子の端点部はO(酸素)である。そして、格子間に配位する元素はLi(リチウム)である。当該トリルチル構造の層状複酸化物の場合、ニオブモリブデン酸リチウム、タンタルモリブデン酸リチウム等である。
図2のLiNbO3構造の複酸化物の場合も、当該構造の格子内には、第5族元素MV、第6族元素MVIの金属元素が配位される。格子の端点部はO(酸素)である。そして、格子間の元素はLi(リチウム)である。当該LiNbO3構造の層状複酸化物の場合、ニオブタングステン酸リチウム等である。
本発明のストロンチウム吸着材となる結晶性無機材料は、図示に例示される層状複酸化物である。両図の構造から理解されるように、第5族元素MV及び第6族元素MVIの金属と酸素が結合した格子は所定間隔ずつ離れていて、その格子の間にLiが配位されている。結晶性無機材料の結晶は水に不溶ないし難溶である。そこで、ストロンチウム(Sr2+)が溶解した水溶液がストロンチウム吸着材の結晶性無機材料と接触すると、格子間に存在するLiイオンとストロンチウムのイオン(Sr2+)との間で置換が生じると考えられる。従って、放射性ストロンチウム(90Sr等)が含まれる被処理水(汚染水)からストロンチウムは結晶性無機材料により捕捉される。
本発明のストロンチウム吸着材となる結晶性無機材料は層状複酸化物の結晶であることから、ミラー指数を用いて結晶面の特徴を表すことができる。以下、具体的に述べる。
ストロンチウム吸着材となる結晶性無機材料がトリルチル構造をもつニオブモリブデン酸リチウムの層状酸化物である場合において、そのX線回折(XRD)パターンにおける格子定数をa=b<cとしたとき、第1回折線に相当する結晶面は、(001)面、(101)面、(110)面、(102)面、(111)面、(103)面、(200)面、(113)面、(212)面、(213)面、(220)面、(115)面、(006)面、(310)面、(205)面、または(116)面のうちの少なくとも一面である。そこで、当該結晶面を有するニオブモリブデン酸リチウムの化学組成は、LiNbMoO6である。
ストロンチウム吸着材となる結晶性無機材料がトリルチル構造をもつタンタルモリブデン酸リチウムの層状複酸化物である場合において、そのX線回折パターンにおいて格子定数をa=b<cとしたとき、第1回折線に相当する結晶面は、(001)面、(110)面、(102)面、(111)面、(103)面、(200)面、(201)面、(113)面、(212)面、(213)面、(220)面、(115)面、(006)面、(310)面、(311)面、(205)面、(116)面、または(303)面のうちの少なくとも一面である。そこで、当該結晶面を有するタンタルモリブデン酸リチウムの化学組成は、LiTaMoO6である。
ストロンチウム吸着材となる結晶性無機材料がLiNbO3構造をもつニオブタングステン酸リチウムの層状複酸化物である場合において、そのX線回折パターンにおいて格子定数をa=b<cとしたとき、第1回折線に相当する結晶面が、(012)面、(104)面、(110)面、(202)面、(024)面、(116)面、(122)面、(214)面、(300)面、(208)面、(312)面、(128)面、または(226)面のうちの少なくとも一面である。そこで、当該結晶面を有するニオブタングステン酸リチウムの化学組成がLiNbWO6である。
図示並びに前掲の各X線回折の結晶面から把握されるように、ストロンチウム吸着材となる結晶性無機材料は層状複酸化物の結晶構造と考えられる。層状複酸化物の結晶構造によると、イオン交換されるカチオン成分であるリチウムイオン(Li+)は、主に2方向からの分子間力により保持されているのみである。それゆえ、ペロブスカイト型等の無機結晶体の結晶構造と比較して結晶構造内のイオン交換されるカチオン成分に加わる分子間力は、相対的に弱まると考えられる。このため、結晶構造内のイオン交換されるカチオン成分は動きやすくなり、結果的に、吸着対象であるストロンチウムのイオン(Sr2+)との間で置換の効率が高まると考えられる。
さらに、層状複酸化物の結晶構造内のリチウムイオン(Li+)とイオン交換される元素は、リチウム以外のアルカリ金属、またはアルカリ土類金属となる。それゆえ、ランダムな種類のイオンが置換されるとも考えられる。しかしながら、後記の実施例から明らかなように、ストロンチウムイオン(Sr2+)と競合するナトリウムイオン(Na+)の存在下においても、ストロンチウムイオンが選択的に捕捉されることを明らかにした。
これについては、LiNbMoO6、LiTaMoO6、LiNbWO6等の結晶性無機材料内の層状結晶相互の距離が、ストロンチウムイオンの原子半径(大きさ)と釣り合うためと予想される。結晶性無機材料内の層状結晶相互の距離よりも小さなイオン(Na+、Mg2+等)の場合、層状結晶内に留まり続けることができない。また、ストロンチウムイオンよりも大きなイオン(Cs+等)の場合、結晶性無機材料内の層状結晶同士の中への侵入は阻害されて捕捉されにくくなると考えられる。従って、前述の結晶性無機材料(層状複酸化物)はストロンチウムイオンを選択的にイオン交換により捕捉できることから、90Sr等の放射性ストロンチウムの吸着に極めて効率よく作用する。
前記の化学組成の結晶性無機材料(層状複酸化物)は、一次粒子の状態、さらにはこの一次粒子が凝集した二次粒子の状態を形成していると考えられる(後出の実施例参照)。実際の使用状況等を想定すると、一次粒子、二次粒子、またはこれらの混合の状態で流通され、所望のストロンチウムの吸着装置内に組み込まれる。そこで、結晶性無機材料は、平均粒子径により大きさを把握することが便法である。
平均粒子径の測定に際して、レーザー光散乱式粒度分布測定装置が使用され、レーザー回折・散乱法によって求められた粒度分布における積算値50%における粒径が平均粒子径となる(後記実施例参照)。育成した結晶の種類によるものの、結晶性無機材料の平均粒子径は、80nmないし100μmの範囲となる。当該範囲の平均粒子径は粉末に相当するため、個々の粒子の表面積は確保される。従って、放射性ストロンチウムを含む被処理水(汚染水)はストロンチウム吸着材の結晶性無機材料に取り込まれやすく、良好な吸着性能が発揮される。
これまで述べてきた本発明のストロンチウム吸着材の結晶性無機材料を得る製造にあっては、所定の原料が加熱溶融され、引き続き冷却されることにより目的とする結晶が形成される。結晶成長の方法には固相法があり、固相反応法またはゾル・ゲル法が例示される。さらに、液相法よりフラックス法を用いた結晶成長の方法も挙げられる。固相法またはフラックス法のいずれにすべきかについては、使用する原料の種類、ストロンチウムの吸着性能の良否等を勘案して選択される。
フラックス法の特徴は、フラックス成分の添加に伴い固相法よりも低融点の溶融が可能となる方法である。同フラックス法によるストロンチウム吸着材の製造方法を説明する。はじめに、Li源、NbまたはTaのいずれか一種の第5族元素源、MoまたはWのいずれか一種の第6族元素源、及びアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属を含有するフラックス成分の4種類の原料が用意され、各原料は必要量ずつ計量される。そして、各原料は乾式混合により均質に混合され、混合原料が得られる(「混合工程」)。この混合原料は、坩堝等に移され温度制御が容易な電気炉内にて加熱される。この段階でフラックス成分をはじめ各原料は溶融されて溶融物が得られる(「溶融工程」)。炉内の温度を下げることにより溶融物は冷却される。冷却の際に進む各原料中の元素同士の結合による結晶化により、所望の結晶性無機材料が生成される(「結晶生成工程」)。
前記のとおり、混合工程、溶融工程、結晶生成工程を経ることにより、ストロンチウム吸着材となる結晶性無機材料は完成する。このままの工程を経た結晶性無機材料であっても、吸着材として機能する。ただし、フラックス成分が結晶性無機材料に残存していることから、ストロンチウムイオンとの競合のおそれもある。このような場合であっても、使用時の通水運転により、不純物の洗浄は進むと考えられる。しかし、吸着効率や循環運転等の問題から、予めストロンチウム吸着材となる結晶性無機材料を洗浄しておくことが望ましいといえる。そこで、好ましくは、前記の結晶生成工程の後、結晶性無機材料は水または温水により洗浄されて不純物となったフラックス成分や未反応物等は除去される(「洗浄工程」)。
一連の説明から明らかであるように、ストロンチウム吸着材の結晶性無機材料は、複酸化物(特には層状複酸化物)である。つまり、Liと金属元素と酸素の結合により形成されている結晶である。そこで、より好適な原料に求められる性質として、溶融容易であることと、加熱や溶融時に結晶を構成する金属以外の成分が揮発して残存しないことが挙げられる。
具体的に、Li源として、硝酸塩(LiNO3)、水酸化物(LiOH)、塩化物(LiCl)、炭酸塩(Li2CO3)等、さらにはこれらの水和物も挙げられる。同様に、第5族元素源及び第6族元素源についても、硝酸塩、水酸化物、塩化物、炭酸塩等もしくはこれらの水和物からも選択される。むろん、取り扱い等の便宜から安定化合物であることが好ましい。
さらに加えると、第5族元素源として、NbまたはTaのいずれか一種の金属酸化物から選択される。具体的には、NbO、Nb25、NbO4等であり、TaO2、Ta25等である。また、第6族元素源として、WまたはMoのいずれか一種の金属酸化物から選択される。具体的には、WO2、WO3、WO4等であり、MoO2、MoO3、MoO4、MoO6等である。むろん、これら以外の同族の金属酸化物も含まれ得る。第5族元素源及び第6族元素源を金属酸化物とすることにより、最終的に結晶性無機材料に残存する他種の元素は減少する。また、安定した物性であることから取り扱い等も容易であり、好ましい。
前述のフラックス法に使用されるフラックス成分についても、前掲のLi源と同様のLiの塩から選択される。Li源とフラックス成分の元素種は、Liで共通となることにより、生成される結晶中に他の元素が残存するおそれは回避され、最終的に出来上がる結晶性無機材料の純度は高められる。
これまでに説明した結晶性無機材料のストロンチウム吸着材は、例えば、適宜の通水用のカラム内への充填、または処理槽等の中に散布される。そこに、放射性ストロンチウム(90Sr等)を含有する被処理水(汚染水)は供給されると、同ストロンチウム吸着材にストロンチウム(イオンとして)が吸着され、被処理水(汚染水)中の放射性ストロンチウム量は低減される。放射性ストロンチウム等を吸着した後、吸着材は回収され、所定年数保管される。このことから把握されるように、放射性ストロンチウムを含有する被処理水の体積は軽減され、汚染環境の除染効率は高められる。
[結晶性無機材料の作製]
ストロンチウム吸着材として、本発明の実施例1ないし4と、従来例となるチタン酸塩の比較例1を作製した。また、既存のゼオライト型の吸着材も調達した。そこで、次述の育成条件に従って結晶を調製した。
〔実施例1〕
Li源として炭酸リチウム(Li2CO3,和光純薬工業株式会社製)を1.90g、Nb源として酸化ニオブ(V)(Nb25,同社製)を6.83g、Mo源として酸化モリブデン(VI)(MoO3,同社製)を7.40g、それぞれ使用した。溶質のLi,Nb,及びW源のモル比は、1:1:2とした。これらの成分を乾式混合し均一な混合物とした。当該混合物を坩堝に入れ電気炉にて580℃まで300℃・h-1の条件で昇温し、10時間保持した。その後、200℃・h-1の条件で降温して結晶を得た。当該結晶を温水洗浄により洗浄して未反応分等を除去して実施例1の結晶性無機材料を作製した。
〔実施例2〕
Li源として炭酸リチウム(Li2CO3,和光純薬工業株式会社製)を1.44g、Ta源として酸化タンタル(V)(Ta25,同社製)を8.62g、Mo源として酸化モリブデン(VI)(MoO3,同社製)を5.61g、それぞれ使用した。Li,Ta,及びMo源のモル比は、1:1:2とした。これらの成分を乾式混合し均一な混合物とした。当該混合物を坩堝に入れ電気炉にて600℃まで300℃・h-1の条件で昇温し、24時間保持した。その後、300℃・h-1の条件で降温して結晶を得た。当該結晶を温水洗浄により洗浄して未反応分等を除去して実施例2の結晶性無機材料を作製した。
〔実施例3〕
Li源として炭酸リチウム(Li2CO3,和光純薬工業株式会社製)を1.22g、Nb源として酸化ニオブ(V)(Nb25,同社製)を4.05g、W源として酸化タングステン(VI)(WO3,同社製)を4.05g、それぞれ使用した。さらに、溶媒(フラックス成分)として硝酸リチウム(LiNO3,同社製)8.42gを使用した。溶質濃度は20mol%とした。溶質のLi,Nb,及びW源のモル比は、1:1:2とした。これらの成分を乾式混合し均一な混合物とした。当該混合物を坩堝に入れ電気炉にて450℃まで500℃・h-1の条件で昇温し、10時間保持した。その後、200℃・h-1の条件で降温して結晶を得た。当該結晶を温水洗浄によりフラックス成分等を除去して実施例3の結晶性無機材料を作製した。
〔実施例4〕
Li源兼溶媒として水酸化リチウム一水和物(LiOH・H2O,和光純薬工業株式会社製)を1.26g及び硝酸リチウム(LiNO3,同社製)を5.44g、Nb源として酸化ニオブ(V)(Nb25,同社製)を3.50g、W源として酸化タングステン(VI)(WO3,同社製)を6.10g、それぞれ使用した。これらの成分を乾式混合し均一な混合物とした。当該混合物を坩堝に入れ電気炉にて600℃まで500℃・h-1の条件で昇温し、10時間保持した。その後、200℃・h-1の条件で降温して結晶を得た。当該結晶を温水洗浄によりフラックス成分等を除去して実施例4の結晶性無機材料を作製した。
〔比較例1(Na2Ti37)〕
Na源として炭酸ナトリウム(Na2CO3,特級和光純薬工業株式会社製)を2.406g、Ti源として酸化チタン(TiO2アナターゼ型,同社製)を10.878g使用した。NaとTiのモル比は、1:6とした。さらに、フラックス成分として硝酸ナトリウム(NaNO3,同社製)を7.716g使用した。これらの成分を乾式混合し均一な混合物とした。当該混合物を坩堝に入れ電気炉にて600℃まで45℃・h-1の条件で昇温し、10時間保持した。その後、5℃・h-1の条件で降温して結晶を得た。当該結晶を温水洗浄によりフラックス成分等を除去して比較例1の結晶を作製した。
〔比較例2(ゼオライト型吸着材)〕
ストロンチウム吸着材の対照例として、既存のゼオライト型の吸着材(ユニオン昭和株式会社製,MS−4A,A型,細孔径0.35nm)を調達し、当該吸着材を比較例2とした。
[結晶性無機材料の分析]
〔XRD,FE−SEMによる解析〕
実施例の結晶性無機材料の構造解析に際し、株式会社リガク製,粉末X線回折装置MiniFlexIIを使用して粉末X線回折(XRD)測定を行った。測定には、CuKα線を用い測定した。この際の加速電圧は30kV、印加電流は15mAとした。併せて、電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子株式会社製,JSM−7600F)により、各実施例、比較例の結晶性無機材料のFE−SEM像を撮影した。図3以降にXRD、FE−SEM像、及び次述の粒度分布図を開示する。
〔平均粒子径の計測〕
平均粒子径等の測定に際して、レーザー光散乱式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所製,SALD−7100)を使用した。同装置のレーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%における粒径を平均粒子径とした。また、必要により前出の走査電子顕微鏡も使用して粒子径を算出した。各実施例の平均粒子径等は表1に記す。
〔実施例1〕
実施例1の結晶性無機材料は、固相法により作製した結晶である。図3はそのXRDパターンであり、図4はFE−SEM像である。図3のパターンより、2θ=9.1°、26.9°、27.4°、28.4°、34.9°、38.4°、39.9°、43.0°、47.8°、52.8°に鋭いピークが観察された。これらのピークは、(001)面、(110)面、(102)面、(111)面、(103)面、(200)面、(113)面、(210)面、(212)面、または(213)面の回折ピークに帰属できる。
図4の画像より、実施例1の結晶性無機材料の粒子径や形状を評価することができる。図4より、実施例1の結晶性無機材料の粒子径は100nmないし2μmの範囲にある。また、前掲のXRDの結果を考慮すると、各粒子の露出結晶面は(001)面、(110)面、(102)面、(111)面、(103)面、(200)面、(113)面、(210)面、(212)面、あるいは(213)面である。これらの解析結果を踏まえ、実施例1の結晶性無機材料はトリルチル構造をもつニオブモリブデン酸リチウム(LiNbMoO6)の層状複酸化物の結晶であると導くことができる。
図5は実施例1の結晶性無機材料の粒子径分布図である。同分布図より、実施例1の結晶性無機材料の平均粒子径は4.0μmであり、粒子径は100nmないし20μmの範囲にあることが分かる。実施例1の結晶性無機材料の結晶をx・y・zの直交座標軸に置き各軸方向の粒子径を計測した。x>y>zとしてx軸方向の粒子径は300nmないし2μm、y軸方向の粒子径は100nmないし500nm、z軸方向の粒子径は100nmないし30nmである。これより実施例1の結晶性無機材料のアスペクト比は20である。
〔実施例2〕
実施例2の結晶性無機材料は、固相法により作製した結晶である。図6はそのXRDパターンであり、図7はFE−SEM像である。図6のパターンより、2θ=9.3°、27.0°、27.3°、28.6°、34.9°、38.5°、39.9°、43.2°、47.8°、52.9°に鋭いピークが観察された。これらのピークは、(001)面、(110)面、(102)面、(111)面、(103)面、(200)面、(113)面、(210)面、(212)面、または(213)面の回折ピークに帰属できる。
図7の画像より、実施例2の結晶性無機材料の粒子径や形状を評価することができる。図7より、実施例2の結晶性無機材料の粒子径は0.5μmないし5μmの範囲にある。また、前掲のXRDの結果を考慮すると、各粒子の露出結晶面は(001)面、(110)面、(102)面、(111)面、(103)面、(200)面、(113)面、(210)面、(212)面、または(213)面である。これらの解析結果を踏まえ、実施例2の結晶性無機材料はトリルチル構造をもつタンタルモリブデン酸リチウム(LiTaMoO6)の層状複酸化物の結晶であると導くことができる。
図8は実施例2の結晶性無機材料の粒子径分布図である。同分布図より、実施例2の結晶性無機材料の平均粒子径は6.2μmであり、粒子径は1μmないし20μmの範囲にあることが分かる。実施例2の結晶性無機材料の結晶をx・y・zの直交座標軸に置き各軸方向の粒子径を計測した。x>y>zとしてx軸方向の粒子径は3μmないし5μm、y軸方向の粒子径は3μmないし5μm、z軸方向の粒子径は0.5μmないし1μmである。これより実施例2の結晶性無機材料のアスペクト比は10である。
〔実施例3〕
実施例3の結晶性無機材料は、フラックス法により作製した結晶である。図9はそのXRDパターンであり、図10はFE−SEM像である。図9のパターンより、2θ=23.8°、32.8°、34.9°、40.2°、42.7°、48.6°、53.4°に鋭いピークが観察された。これらのピークは、(012)面、(104)面、(110)面、(113)面、(202)面、(024)面、または(116)面の回折ピークに帰属できる。
図10の画像より、実施例3の結晶性無機材料の粒子径や形状を評価することができる。図10より、実施例3の結晶性無機材料の粒子径は50nmないし500nmの範囲にある。また、前掲のXRDの結果を考慮すると、各粒子の露出結晶面は(012)面、(104)面、(110)面、(113)面、(202)面、(024)面、または(116)面である。これらの解析結果を踏まえ、実施例3の結晶性無機材料はLiNbO3構造をもつニオブタングステン酸リチウム(LiNbWO6)の層状複酸化物の結晶であると導くことができる。
図11は実施例3の結晶性無機材料の粒子径分布図である。同分布図より、実施例3の結晶性無機材料の平均粒子径は80nmではあるものの、図10の結果を考慮すると実施例3の結晶性無機材料の粒子径は50nmないし0.1μmの範囲にあることが分かる。実施例3の結晶性無機材料の結晶をx・y・zの直交座標軸に置き各軸方向の粒子径を計測した。x>y>zとしてx軸方向の粒子径は300nmないし500nm、y軸方向の粒子径は300nmないし500nm、z軸方向の粒子径は10nmないし50nmである。これより実施例3の結晶性無機材料のアスペクト比は50である。
〔実施例4〕
実施例4の結晶性無機材料は、フラックス法により作製した結晶である。図12はそのXRDパターンであり、図13はFE−SEM像である。図12のパターンより、2θ=23.8°、32.8°、34.9°、40.2°、42.7°、48.6°、53.4°に鋭いピークが観察された。これらのピークは、(012)面、(104)面、(110)面、(113)面、(202)面、(024)面、または(116)面の回折ピークに帰属できる。
図13の画像より、実施例4の結晶性無機材料の粒子径や形状を評価することができる。図13より、実施例4の結晶性無機材料の粒子径は100nmないし500nmの範囲にある。また、前掲のXRDの結果を考慮すると、各粒子の露出結晶面は(012)面、(104)面、(110)面、(113)面、(202)面、(024)面、または(116)面である。これらの解析結果を踏まえ、実施例4の結晶性無機材料はLiNbO3構造をもつニオブタングステン酸リチウム(LiNbWO6)の層状複酸化物の結晶であると導くことができる。
図14は実施例4の結晶性無機材料の粒子径分布図である。同分布図より、実施例4の結晶性無機材料の平均粒子径は1.0μmである。また、実施例4の結晶性無機材料の粒子径は10nmないし80μmの範囲にあることが分かる。実施例4の結晶性無機材料の結晶をx・y・zの直交座標軸に置き各軸方向の粒子径を計測した。x>y>zとしてx軸方向の粒子径は300nmないし500nm、y軸方向の粒子径は100nmないし300nm、z軸方向の粒子径は20nmないし50nmである。これより実施例4の結晶性無機材料のアスペクト比は25である。
比較例1について、図15はそのFE−SEM像であり、図16は粒子径分布図である。この計測より、比較例1の結晶の平均粒子径は2.5μmである。また、比較例1の結晶の粒子径は0.1μmないし10μmの範囲にあることが分かる。比較例1の結晶をx・y・zの直交座標軸に置き各軸方向の粒子径を計測した。x>y>zとしてx軸方向の粒子径は5μmないし10μm、y軸方向の粒子径は1μmないし2μm、z軸方向の粒子径は0.1μmないし1μmである。これより比較例1の結晶のアスペクト比は100である。
比較例2について、図17はそのFE−SEM像であり、図18は粒子径分布図である。この計測より、比較例2の結晶の平均粒子径は5.1μmである。また、比較例2の結晶の粒子径は1μmないし3μmの範囲にあることが分かる。比較例2の結晶をx・y・zの直交座標軸に置き各軸方向の粒子径を計測した。x>y>zとしてx軸方向の粒子径は1μmないし3μm、y軸方向の粒子径は1μmないし3μm、z軸方向の粒子径は1μmないし3μmである。これより比較例2の結晶のアスペクト比は1である。
[ストロンチウムイオン吸着性能評価]
〔吸着試験〕
実施例1ないし4の結晶性無機材料並びに比較例1,2のストロンチウム吸着材の吸着能力の評価に際し、実際の使用環境を想定して競合する金属イオンを含有するストロンチウム溶液を試験溶液として調製した。イオン交換水1Lに、塩化ストロンチウム六水和物(SrCl2・6H2O:0.01809g)、塩化ナトリウム(NaCl:1.18g)を溶解し、十分に攪拌、溶解し試験溶液とした。同試験溶液中のストロンチウムイオン濃度は10mg/L、ナトリウムイオン濃度は1180mg/Lとなる。
試験溶液100mLにストロンチウム吸着材0.1gを投入し、24時間振とうした。振とう後、試験溶液をメンブレンフィルターにより濾過してストロンチウム吸着材と濾液に分離した。この濾液をICP−OES(誘電結合プラズマ発光分光分析装置)「エス・エス・アイ・ナノテクノロジー社製,SPS5510」に供し、Na濃度及びSr濃度を求めた。当該計測は各実施例並びに比較例について行い、一例につき3回繰り返した。
〔吸着性能算出〕
ストロンチウムイオンの分配係数(KdSr)及びナトリウムイオンの分配係数(KdNa)について、それぞれ式(i)より求めた。そして、両イオンの分配係数(Kd;KdSr,KdNa)から、式(ii)より選択係数(SFSr/Na)を求めた。
Figure 2018030115
Figure 2018030115
〔結果〕
各実施例1ないし4並びに比較例1,2について、それぞれの結晶性無機材料の組成、構造、及び製法を示すとともに、育成温度(℃)、平均粒子径(μmまたはnm)、粒子径範囲(μmまたはnm)、「x>y>z」としたときのx軸方向の粒子径,y軸方向の粒子径,z軸方向の粒子径(μmまたはnm)、アスペクト比、分配係数〔KdSr(mL・g-1),KdNa(mL・g-1)〕、及び選択係数〔SFSr/Na〕を表1に示す。前出の各実施例並びに比較例のアスペクト比は、x>y>zの関係より最大側である「x」の粒子径を最小側の「z」の粒子径により除した商として算出した。つまり、アスペクト比は「x÷z」の数値である。
Figure 2018030115
[考察]
いずれの実施例のストロンチウム吸着材も、比較例2のゼオライト型の吸着材と比較して良好な選択係数(SFSr/Na)を示した。さらに、比較例1のチタン酸塩系の吸着材と比較しても良好な選択係数(SFSr/Na)を示した。この結果から、ストロンチウムの吸着能力の高さは際立つ。特に、ナトリウムイオンの存在下にあってもストロンチウムを吸着したことから、ストロンチウムの選択的な吸着性能も備えることを確認した。
実施例1ないし3の選択係数を見る限り、フラックス法、固相法問わず、良好な結果であったことから、いずれも採用可能であるといえる。なお、実施例4の選択係数が格段に向上した理由は必ずしも明らかではない。おそらく育成温度の条件から同系統の結晶構造であっても、その構造に僅かながらの差異が生じたためと類推する。また、実施例4は他よりも微細な結晶粒子であり、表面積の増大も影響していることが考えられる。
結晶性無機材料の平均粒子径について、各実施例のFE−SEM像と粒度分布図を踏まえ、概ね80nmないし100μmの範囲であることが把握できた。当該粒径の範囲によると、用途に応じた使い分けが可能であり、利便性が高まる。
本発明のストロンチウム吸着材は、結晶性無機材料のイオン交換作用を利用してストロンチウムイオンの吸着を可能とする吸着材であり、特に、他のイオンの存在下であっても、対象のストロンチウムイオンを効果的に吸着可能である。従って、放射性ストロンチウムの吸着、回収を通じて除染作業に貢献可能である。また、本発明のストロンチウム吸着材の製造方法によると、フラックス法を用いて目的の吸着材を製造できる。供給容易となる。
V 第5族元素
VI 第6族元素
O 酸素
Li リチウム

Claims (12)

  1. ストロンチウムを吸着するための結晶性無機材料のストロンチウム吸着材であって、
    前記結晶性無機材料は、NbまたはTaのいずれか一種と、MoまたはWのいずれか一種と、Liとを含有する層状複酸化物であることを特徴とするストロンチウム吸着材。
  2. 前記結晶性無機材料がトリルチル構造をもつニオブモリブデン酸リチウムの層状複酸化物であって、そのX線回折パターンにおいて格子定数をa=b<cとしたとき、第1回折線に相当する結晶面が、(001)面、(101)面、(110)面、(102)面、(111)面、(103)面、(200)面、(113)面、(212)面、(213)面、(220)面、(115)面、(006)面、(310)面、(205)面、または(116)面のうちの少なくとも一面である請求項1に記載のストロンチウム吸着材。
  3. 前記ニオブモリブデン酸リチウムの化学組成がLiNbMoO6である請求項2に記載のストロンチウム吸着材。
  4. 前記結晶性無機材料がトリルチル構造をもつタンタルモリブデン酸リチウムの層状複酸化物であって、そのX線回折パターンにおいて格子定数をa=b<cとしたとき、第1回折線に相当する結晶面が、(001)面、(110)面、(102)面、(111)面、(103)面、(200)面、(201)面、(113)面、(212)面、(213)面、(220)面、(115)面、(006)面、(310)面、(311)面、(205)面、(116)面、または(303)面のうちの少なくとも一面である請求項1に記載のストロンチウム吸着材。
  5. 前記タンタルモリブデン酸リチウムの化学組成がLiTaMoO6である請求項4に記載のストロンチウム吸着材。
  6. 前記結晶性無機材料がLiNbO3構造をもつニオブタングステン酸リチウムの層状複酸化物であって、そのX線回折パターンにおいて格子定数をa=b<cとしたとき、第1回折線に相当する結晶面が、(012)面、(104)面、(110)面、(202)面、(024)面、(116)面、(122)面、(214)面、(300)面、(208)面、(312)面、(128)面、または(226)面のうちの少なくとも一面である請求項1に記載のストロンチウム吸着材。
  7. 前記ニオブタングステン酸リチウムの化学組成がLiNbWO6である請求項6に記載のストロンチウム吸着材。
  8. 前記結晶性無機材料の平均粒子径が80nmないし100μmである請求項1ないし7のいずれか1項に記載のストロンチウム吸着材。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1項に記載のストロンチウム吸着材の製造方法であって、
    Li源と、NbまたはTaのいずれか一種の第5族元素源と、MoまたはWのいずれか一種の第6族元素源と、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を含有するフラックス成分とを混合して混合原料を得る混合工程と、
    前記混合原料を加熱し前記フラックス成分を溶融して溶融物を得る溶融工程と、
    前記溶融物を冷却して結晶性無機材料を生成する結晶生成工程とを有する
    ことを特徴とするストロンチウム吸着材の製造方法。
  10. 前記結晶生成工程の後、前記結晶性無機材料を洗浄して前記フラックス成分を除去する洗浄工程を備える請求項9に記載のストロンチウム吸着材の製造方法。
  11. 前記第5族元素源がNbまたはTaのいずれか一種の金属酸化物であり、前記第6族元素源がMoまたはWのいずれか一種の金属酸化物である請求項9または10に記載のストロンチウム吸着材の製造方法。
  12. 前記フラックス成分が、Liの塩である請求項9ないし11のいずれか1項に記載のストロンチウム吸着材の製造方法。
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