JP2018026220A - 誘導加熱調理器 - Google Patents

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【課題】 出力を下げるためにインバータの上下IGBTのON時間に差をつけた際に、内部の素子の発熱やノイズの発生を抑えることができる誘導加熱調理器を提供する。
【解決手段】
被加熱物を誘導加熱によって加熱する加熱コイル13と、加熱コイル13に電力を供給する上下アームのIGBT69とIGBT69に流れる短絡電流を抑えるスナバコンデンサ70を有した電流共振型のハーフブリッジ方式のインバータ回路と、IGBT69のON/OFFを制御する制御部80とを備え、制御部80は、加熱コイル13の出力を小さくした時にデッドタイムの途中でスナバコンデンサ70の充放電がピークを迎えるようになった場合に、その充放電のピークと次のスイッチングタイミングが合致するようにデッドタイム時間を調整する機能を有するものである。
【選択図】 図5

Description

本発明は、被加熱物を誘導加熱によって加熱する加熱手段を備え、該加熱手段をインバータ回路によって駆動する形式の誘導加熱調理器に関するものである。
従来の誘導加熱調理器は、本体上面に配置されたプレートに被加熱物である鍋を載置し、該鍋をプレート下方の本体内に設けられた加熱コイルにより加熱するものであり、インバータ回路により該加熱コイルに流れる電流を調整することで、加熱の出力を調整するものである。
前記インバータ回路では、IGBTに並列してコンデンサが実装されており、上下のIGBTが共にOFFとなるデッドタイム中に、該コンデンサへの充放電が行われることでスイッチング時の短絡電流の発生を抑制し、素子の発熱やノイズの発生を低減している。また、所定の周波数内で出力の制御を行うために、インバータの上下IGBTのON時間の長さを非対称にして、その差を調整することで、該加熱コイルに流れる電流を調整する。
特開2009-4099号公報
該インバータ回路では、出力を小さくするために上下IGBTのON時間の差を大きくしていくと、ON時間の長い側のIGBTは、次第に該加熱コイルの電流波形のゼロクロス付近でOFFするようになり、やがてゼロクロスのタイミングがデッドタイムと重なるようになる。このとき、ゼロクロスのタイミングを境に該コンデンサの充放電が逆転するため、そこが該コンデンサの充放電のピークとなり、その後デッドタイムが終了し次のIGBTがONするタイミングでは、該コンデンサの充放電が不十分になってしまう。その結果、スイッチング時の短絡電流が大きくなり、素子の発熱やノイズの発生につながる。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、被加熱物を誘導加熱によって加熱する加熱コイルと、該加熱コイルに電力を供給する上下アームのIGBTと該IGBTに流れる短絡電流を抑えるスナバコンデンサを有した電流共振型のハーフブリッジ方式のインバータ回路と、前記IGBTのON/OFFを制御する制御部とを備え、該制御部は、前記加熱コイルの出力を小さくした時にデッドタイムの途中で前記スナバコンデンサの充放電がピークを迎えるようになった場合に、その充放電のピークと次のスイッチングタイミングが合致するようにデッドタイム時間を調整する機能を有するものである。
本発明によれば、低出力動作時においても、スイッチング時のIGBTの短絡電流を抑制し、素子の発熱やノイズの発生を低減することが出来る。
本発明の誘導加熱調理器をシステムキッチンに収納した状態の斜視図である。 同誘導加熱調理器のプレートを外した状態を示す説明図である。 同誘導加熱調理器の側面から見た主要断面図である。 同誘導加熱調理器の上面操作部の説明図である。 同誘導加熱調理器のインバータ部の回路の説明図である。 同誘導加熱調理器の加熱コイル電流波形の説明図である。
以下、本発明の実施例を上記図面に従って説明する。
尚、本実施例は、キッチンに嵌め込むビルトイン型の他にキッチンに載置する据置型の加熱調理器であっても差し支えない。
図1に示すように、加熱調理器の本体2は、システムキッチン1の上面から落とし込んで設置することで組み込まれる。
調理を行う被加熱物の鍋(図示せず)は、本体2の上面に配置された耐熱ガラス等からなり光を透過するプレート3の載置部6に載置されることで調理可能となる。
載置部6は、本体2上面のプレート3の上面手前に載置部右6aと載置部左6bが配置され、これら両載置部6aおよび6bの間の奥(中央後部)に載置部中央6cが配置されている。そして、プレート3を挟んで各載置部6の下に鍋を加熱するための後述する加熱コイルユニット25がそれぞれ設置されている。配置は、載置部右6の下方には加熱コイルユニット右25aが、載置部左6bの下方には加熱コイルユニット左25bが、載置部中央6cの下方には加熱コイルユニット中央25cが設けられている。
プレート3の周囲端面には、プレート3を保護するためにフレーム14が設けられている。該フレーム14は、プレート3の手前の上端縁に取り付けられるフレーム前14aと、プレート3の後方上端縁に取り付けられるフレーム後14bと、右側上端縁に取り付けられる14cと、左側上端縁に取り付けられるフレーム左14dとで構成されている。
本体2の内部には、発熱部材である後述する加熱コイルユニット25や制御回路を構成する電子部品が設けられており、該加熱コイルユニット25や制御回路の後方には、これらを冷却するための送風ファン20と、本体2の外部から空気を吸込むための吸気口7及び冷却後の排気を排出する排気口8が設けられている。
前記吸気口7で吸入した空気は、本体2の内部で発熱する後述する加熱コイルユニット25や電子部品を冷却した後に排気口8から本体2外に排出される。
また、本体2の左側には、魚やピザなどを焼くためのロースター4が設けられている。
次に被加熱物の鍋を加熱する加熱手段である加熱コイルについて図2を用いて、説明する。
鍋(図示せず)を加熱するための加熱コイルユニット25は、加熱コイル13とコイルベース24とフェライト(図示せず)から構成されている。そして、プレート3と加熱コイルユニット25との間には一定の隙間が設けられ、この隙間に前記送風ファン20からの冷却風の一部を流して、プレート3の裏面と加熱コイルユニット25を冷却している。
加熱コイル13の巻線は表皮効果を抑制するためリッツ線を採用している。この加熱コイル13には調理鍋(図示せず)を加熱するために後述するインバータ基板(左右インバータ基板18、中央インバータ基板17)から数十kHz、数百Vの電圧が印加される。
コイルベース24は、加熱コイル13を下から固定すると共に、フェライト(図示せず)が略放射状に埋設されている。
また、加熱コイル13の略中央部の空間には、自動調理時など鍋の温度を検知する温度検知素子21が取付けられている。
次に、加熱コイル13とインバータ基板の冷却について、図3を用いて説明する。
インバータ基板は、左右の加熱コイル13a、13bを駆動するインバータ回路を搭載した左右インバータ基板18と、加熱コイル中央13cを駆動する中央インバータ基板17とで構成されている。
該左右インバータ基板18、中央インバータ基板17は基板ケース26内に配置され、電子部品で発熱した熱を効率よく送風ファン20からの冷却風と熱交換して温度を下げるように放熱フィン22、23が設けられしている。
送風ファン20により吸気口7から吸込まれた冷却用の外気は、基板ケース26内を通流し、左右インバータ基板18や中央インバータ基板17、制御回路を搭載した制御基板19の電子部品から熱を奪った後、基板ケース26から吹き出て、各加熱コイル13や本体2内のその他の部品やプレート3の裏面を冷却した後に排気口8から外部に排出する。
基板ケース26は、ロースター4が設置されている加熱コイルユニット左25bとは反対の加熱コイルユニット右25aの下方に設置されている。本実施例では加熱コイルユニット右25aの下側に設置され、中に左右インバータ基板18、中央インバータ基板17を配置することで調理時に加熱コイル13やロースター4からのふく射熱を遮り、また、内部に冷却用空気が効率よく行き渡るように冷却用空気が通る風路が形成されている。
次に操作部と表示部について説明する。
主電源スイッチ9dは押しボタンによって構成されており、押下する毎に電源投入状態と停止状態とを切り替える。
上面操作部9は、図4に示すように、静電容量式の変化を検出するタッチキーによって構成されている。具体的には、プレート3の下方には指を触れた時の静電容量の変化を検出する後述する電極36を備えた操作基板12から構成されている。
キー部とは、上面操作部9に設けられた切/スタートキー48・56・61、とろ火キー49a・57a、弱火キー49b・57b、中火キー49c・57c、強火キー49d・57d、メニューキー52・60・64などを示す。
上面操作部9はプレート3の前面側に設けられ、載置部右6a、載置部中央6c、載置部左6bに対応して右から、上面操作部右9a、上面操作部中央9c、上面操作部左9bが配置されている。そして各上面操作部9の上側には上面表示部右10a、上面表示部中央10c、上面表示部左10bからなる上面表示部10が設けられている。
上面表示部10は、表示ホルダ32によってプレート3に押さえられ、中央部には、表示部に文字等を表示する駆動回路を含んだ表示基板33を固定している。
次に、鍋への加熱条件を設定する上面操作部9(代表して上面操作部右9a)の各キー部について説明する。
48は調理の開始や停止するための切/スタートキーで、調理中は切/スタートキー48のキー部の表示された「切/スタート」が点灯する。キー部の点灯についての詳細は後述する。
調理の火力は火力キー49によって選択する。該火力キー49は、「とろ火」、「弱火」、「中火」、「強火」の4段階のキーに分かれ、必要な火力を一回の操作で設定できるようになっている。4段階の火力キー49のうち、とろ火キー49aは「1」、弱火キー49bは「4」、中火キー49cは「7」、強火キー49dは「10」の火力に設定でき、設定したキー部の表示が点灯する。
51は主に煮込みや保温などタイマー調理を実施するときに選択するタイマーキーである。52は自動調理の炊飯、揚げもの、湯沸し等を選択するための「メニュー」キーで、該メニューキー52を押す(指で接触する)ことで上面表示部10にメニューが表示され、メニューキー52を押すたびに表示されているメニューが切り替わり、これによって使用するメニューを選択する。
また、火力の調節やタイマー調理時の時間の設定、炊飯時における米の量の設定、自動調理の仕上がり調整の設定、揚げものをする時の油温の設定を設定キー50により行うことができる。この設定キー50は、設定時の数量などを増やすUPキー50aと減らすDOWNキー50bからなっている。
なお、上面操作部左9bは上面操作部右9aと同じ操作、配列であるので説明を省略する。
次に上面操作部中央9cについて説明する。載置部中央6cの主な調理は保温や煮込みである。従って、加熱コイル中央13cの火力も他の加熱コイルの火力よりも小さく設計されている。このため火力表記は、とろ火、弱火、中火の三段階で足り、設定キー62をサイクリック式としても、最大3回押せば元に戻るので、手前2つの加熱コイル25a、25bのように火力毎に対応した火力設定キーを設けていない。
前記した上面操作部9の各入力キーとなる静電容量の変化を検出するための電極は、プレート3の下面に配置された操作基板12に設けられている。
操作基板12は、操作基板12aと操作基板12bとに別れ、操作基板12aは上面操作部右9aと上面操作部中央9cに、操作基板12bは上面操作部左9bに対応している。
34は基板間を接続するケーブルである。
制御基板19に組み込まれた制御回路は、上面操作部9で設定された内容及び事前に組み込まれた自動調理などのプログラムに基づき、調理の開始、停止、火力の設定情報を制御信号として左右インバータ基板18や中央インバータ基板17に送り、加熱コイル13などを制御する。
また、同時に後述する送風ファン20の制御も行い、調理中は送風ファン20を動作させる。
次に、インバータ基板におけるインバータ回路について、図5に基づいて詳細を説明する。
電源から供給された交流電圧は、ダイオードブリッジ65によって整流され、チョークコイル66を通じてインバータ駆動部へ供給される。インバータ駆動部は、上下アーム1組のIGBT69、スナバコンデンサ70、共振コンデンサ71、および加熱コイル13から構成されており、制御部80によって上下のIGBT69を交互にONさせることで、加熱コイル13から交流磁界を発生させ、被加熱物にエネルギーを供給する。
このインバータは電流共振型のハーフブリッジ方式で、通常時は、インバータは上下アームのIGBT69のそれぞれのON時間が互いに等しい状態で動作しており、また同時ON状態を防止するために、上下アームのIGBT69のON状態が切り替わる間に、両方のIGBT69をOFFにするデッドタイムが設けられている。さらに、デッドタイム中にスナバコンデンサ70への充放電が行われることで、IGBT69がONになる瞬間のコレクタ−エミッタ間電圧を0に近付けて、短絡電流の発生を抑制している。
続いて、インバータの出力制御方法について、図6を用いて説明する。
インバータはその動作周波数を高くしてインバータ回路の共振周波数から遠ざけることで、加熱コイル13に流れる電流を小さくして出力を下げる。インバータ回路の共振周波数は、加熱コイル13と被加熱物とで決まる等価インダクタンスと、共振コンデンサ71のキャパシタンスによって決定される。各加熱コイル13の動作周波数には、複数の加熱コイル13を同時に動作させたときにうなり音が発生しないように、最大値および最小値が定められている。
動作周波数が最大に達した後に出力を下げる際は、インバータの上下アームのIGBT69のON時間について、下アームのIGBT69bのON時間を長くして、上アームのIGBT69aのON時間を短くすることで、加熱コイル13に流れる電流を小さくして出力を下げる。
上下アームのIGBT69のON時間に大きな差をつけた時、加熱コイル13に流れる電流の波形と、インバータの上下アームのIGBT69のスイッチングのタイミングを比較すると、下IGBT69bがOFFした後のデッドタイムに、加熱コイル13に流れる電流のゼロクロスのタイミングが重なるようになる。このとき、電流のゼロクロスのタイミングでスナバコンデンサ70の充放電が逆転するため、そこがスナバコンデンサ70の充放電のピークとなる。その後デッドタイムが終了し上アームのIGBT69aがONするタイミングでは、スナバコンデンサ70の充放電が不十分になる。その結果、スイッチング時の上アームのIGBT69aのコレクタ−エミッタ間電圧が0Vから大きく外れてしまうため、短絡電流が大きくなり、素子の発熱やノイズの発生につながる。
そこで、スナバコンデンサ70の充放電がデッドタイムの途中でピークを迎えるときに、加熱コイル13を流れる電流のゼロクロスのタイミングからスナバコンデンサ70の充放電のピークのタイミングを検知し、その瞬間に上アームのIGBT69aのONが行われるようにデッドタイム時間を調整する。それにより、上アームのIGBT69aのコレクタ−エミッタ間電圧が0Vに近い状態でスイッチングをすることができる。
前記タイミングの検知は、電流検出回路を設けても良いし、事前にシミュレーションから求めた結果のタイムテーブルを設けてデッドタイミング時間を調整しても良い。
上記した本実施例によれば、低出力動作時においても、スイッチング時のIGBTの短絡電流を抑制し、素子の発熱やノイズの発生を低減することが出来る。
1:システムキッチン、2:本体、 3:プレート、17:中央インバータ基板、18:左右インバータ基板

Claims (1)

  1. 被加熱物を誘導加熱によって加熱する加熱コイルと、
    該加熱コイルに電力を供給する上下アームのIGBTと該IGBTに流れる短絡電流を抑えるスナバコンデンサを有した電流共振型のハーフブリッジ方式のインバータ回路と、
    前記IGBTのON/OFFを制御する制御部とを備え、
    該制御部は、
    前記加熱コイルの出力を小さくした時にデッドタイムの途中で前記スナバコンデンサの充放電がピークを迎えるようになった場合に、
    その充放電のピークと次のスイッチングタイミングが合致するようにデッドタイム時間を調整する機能を有することを特徴とした誘導加熱調理器。
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