JP2018025763A - トナー - Google Patents
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Abstract
Description
そこで、低温定着を達成するために、非晶性ポリエステル樹脂の可塑剤として結晶性ポリエステル樹脂を用いたトナーが提案されている(特許文献1)。
また、近年は、普通紙に限らず、厚紙や薄紙などの各種メディアに対応したマルチメディア機に対しても高い生産性が求められている。
具体的には、各種メディアに対してプロセススピードを変化させずに印刷を行う「メディア等速性」の達成が求められている。しかし、現行機の大半は、厚紙と薄紙が混載し、厚紙の後に薄紙を印刷する場合、定着ローラーへの巻き付きを防止するために、定着ローラーを冷やすためのダウンタイムを持たせたりしている。よって、「メディア等速性」達成のためには、厚紙でも定着できる低温定着性と、薄紙でも定着ローラーから分離できる定着分離性を両立したトナーが求められている。
以上のことから、低温定着性と定着分離性が両立したトナーの開発が急務である。
本発明は、上記のような課題を解決したトナーを提供することにある。
具体的には、低温定着性と定着分離性が両立したトナーを提供することにある。
非晶性樹脂、着色剤、離型剤、及び結晶性樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナーの90℃におけるHenckyひずみが0.01のときの伸長粘度をη0.01とし、0.69のときの伸長粘度をη0.69としたときに、
該η0.01及び該η0.69が、下記式(1)及び(2)の関係を満たすことを特徴とするトナーに関する。
式(1) 3.0×104Pa≦η0.01≦2.0×105Pa
式(2) 2.0≦〔η0.69/η0.01〕
本発明のトナーは、非晶性樹脂、着色剤、離型剤、及び結晶性樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナーの90℃におけるHenckyひずみが0.01のときの伸長粘度をη0.01とし、0.69のときの伸長粘度をη0.69としたときに、
該η0.01及び該η0.69が、下記式(1)及び(2)の関係を満たすことを特徴とする。
式(1) 3.0×104Pa≦η0.01≦2.0×105Pa
式(2) 2.0≦〔η0.69/η0.01〕
該トレードオフの関係を脱却するために、定着分離現象のメカニズム解明に努めた。その結果、定着分離現象は、定着ローラーとトナーの界面付着力と、トナーの粘性応力により説明できることを見出した。
つまり、トナーの溶融粘度が高粘度である場合は、トナーの粘性応力が大きいため、定着分離性が優れている一方で、低温定着性が損なわれる。
一方、トナーの溶融粘度が低粘度である場合は、低温定着性が優れている一方で、トナーの粘性応力が小さいため、定着分離性が損なわれる。
従来、このトレードオフの関係を脱却するために、離型剤の離型効果を作用させる手法が検討されてきた。これは、定着ローラーとトナーの界面付着力を下げる試みである。
しかし、現状、定着ローラーの素材として一般的に使用されているテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)と、トナーのワックスによる界面付着力は非常に小さいものとなっている。
また、高温高湿環境下において、長期間にわたり画像出力を行うと、複写機本体内の温度が上昇することで、トナー表面近傍の離型剤が柔らかい状態となり、外添剤である無機微粒子がトナー内部に埋め込まれ、転写効率が低下する場合があった。そのような場合、中間転写体上のトナー画像の一部が転写されず、白斑点と呼ばれる画質欠陥が生じる場合があり、離型剤に頼らない定着分離性の向上技術が求められている。
そして、本発明のトナーを評価したところ、低温定着性と定着分離性が両立した。さらには、長期間の画像出力においても、高転写性を維持することが可能となった。
本発明者らは、上記トナー伸長時における高粘度化現象を、「ひずみ硬化性」と呼び、該「ひずみ硬化性」の検討を進め、トナーの伸長時の粘度を測定できる、一軸伸長粘度測定治具を備えた粘弾性測定装置に辿りついた。
示す指標を算出した。
算出に当たっては、定着ローラーの曲率、プロセススピードに鑑み、シミュレーションを用いて算出を行った。また、良好な低温定着性を示す指標も合わせて算出した。
定着ニップ通過時及び定着ニップ出口におけるトナー温度は90℃程度であるため、90℃の伸長粘度−ひずみ特性を指標とした。
定着ニップ通過時には、トナーは伸長していないため、Henckyひずみが0.01のときの伸長粘度η0.01を、低温定着性を示す指標として用いた。
さらに、定着ニップ出口では、トナーは伸長されており、シミュレーションにより2倍程度伸長されることが示されたため、Henckyひずみが0.69のときの伸長粘度η0.69を、定着分離性を示す指標として用いた。
伸長粘度η0.01が上記範囲である場合、トナーの溶融粘度が低いため、優れた低温定着性が得られる。
伸長粘度η0.01が、3.0×104Pa未満である場合、低温定着性は優れているものの、トナーの分子量が小さいため、「ひずみ硬化性」が発現せず、良好な定着分離性が得られない。
この理由は、「ひずみ硬化性」のメカニズムに由来する。
「ひずみ硬化性」は、一定量の分子鎖長と架橋構造による分岐度が合わさって発現していると考えられる。つまり、網目状に形成された分子鎖同士が、伸長される際に絡み合うことで、伸長に対する応力が発生して「ひずみ硬化性」を発現している。
そのため、トナーの分子量が小さい場合は、網目状に形成された分子鎖が少ないため、伸長させても絡み合いが少なく、「ひずみ硬化性」が発現しない。
また、伸長粘度η0.01が、2.0×105Paより大きい場合、定着分離性は優れているものの、トナーの溶融粘度が高いため、良好な低温定着性が得られない。
なお、伸長粘度η0.01を上記範囲に調整するには、非晶性樹脂製造時の重合時間を調整するなどの手法が例示できる。
〔η0.69/η0.01〕が、上記範囲である場合、「ひずみ硬化性」が発現しているため、優れた定着分離性が得られる。
〔η0.69/η0.01〕が、2.0未満である場合、「ひずみ硬化性」があまり発現していないため、良好な定着分離性が得られない。
なお、〔η0.69/η0.01〕を上記範囲に調整するには、非晶性樹脂の構成成分として三価以上のカルボン酸又はその誘導体由来のモノマーユニットを含有させること、及びその含有量の調整、並びに、非晶性樹脂製造時の重合時間を調整することなどの手法が例示できる。
伸長粘度η0.69が上記範囲である場合、伸長粘度η0.01に対し、「ひずみ硬化性」が発現していることから、優れた定着分離性が得られる。
なお、伸長粘度η0.69を上記範囲に調整するには、非晶性樹脂の構成成分として三価以上のカルボン酸又はその誘導体由来のモノマーユニットを含有させること、及びその含有量の調整、並びに、非晶性樹脂製造時の重合時間を調整することなどの手法が例示できる。
低温定着性の観点から、該非晶性ポリエステル樹脂Aの90℃におけるHenckyひずみが0.01のときの伸長粘度をη0.01(A)としたときに、該η0.01(A)は、2.5×105Pa以上7.5×105Pa以下であることが好ましく、4.0×105Pa以上5.5×105Pa以下であることがより好ましい。
伸長粘度η0.01(A)が上記範囲である場合、トナーの溶融粘度が低いため、優れた低温定着性が得られる。
また、該非晶性ポリエステル樹脂Aの90℃におけるHenckyひずみが0.69のときの伸長粘度をη0.69(A)としたときに、定着分離性の観点から、上記η0.01(A)及び該η0.69(A)の関係は、3.0≦〔η0.69(A)/η0.01(A)〕であることが好ましく、4.0≦〔η0.69(A)/η0.01(A)〕であることがより好ましい。また、上限は、特に制限されないが、好ましくは5.0以下である。
〔η0.69(A)/η0.01(A)〕が上記範囲である場合、「ひずみ硬化性」を発現させやすく、優れた定着分離性が得られる。
なお、〔η0.69(A)/η0.01(A)〕を上記範囲に調整するには、非晶性ポリエステル樹脂の構成成分として三価以上のカルボン酸又はその誘導体由来のモノマーユニットを含有させること、及びその含有量の調整、並びに、非晶性ポリエステル樹脂製造時の重合時間を調整することなどの手法が例示できる。
伸長粘度η0.69(A)が上記範囲である場合、伸長粘度η0.01(A)に対し、「ひずみ硬化性」が発現していることから、優れた定着分離性が得られる。
なお、伸長粘度η0.69(A)を上記範囲に調整するには、非晶性ポリエステル樹脂の構成成分として三価以上のカルボン酸又はその誘導体由来のモノマーユニットを含有させること、及びその含有量の調整、並びに、非晶性ポリエステル樹脂製造時の重合時間を調整することなどの手法が例示できる。
また、低温定着性と定着分離性の両立の観点から、トナー中の上記非晶性ポリエステル樹脂Aの含有量は、40.0質量%以上70.0質量%以下であることが好ましく、55.0質量%以上70.0質量%以下であることがより好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂Aが上記範囲である場合、該非晶性ポリエステル樹脂Aがトナー中のメインバインダーとして存在しているため、低温定着性と定着分離性に対し支配的になり、該非晶性ポリエステル樹脂Aの性能が発現しやすく、より優れた低温定着性と定着分離性が得られる。
定着分離性の観点から、該多価カルボン酸由来のモノマーユニット中の、三価以上のカルボン酸及びその誘導体からなる群より選ばれた少なくとも一の化合物由来のモノマーユニットの含有量が、25.0mol%以上80.0mol%以下であることが好ましく、30.0mol%以上50.0mol%以下であることがより好ましい。
本発明において、モノマーユニットとは、ポリマー又は樹脂中のモノマー物質の反応した形態をいう。
上述した通り、「ひずみ硬化性」は、一定量の分子鎖長と架橋構造による分岐度が合わさって発現していると考えられる。つまり、架橋構造による分岐を持たすためには、ある一定量の多官能モノマーがあるとよい。そして、多官能モノマー量が上記範囲である場合、一定量の分子鎖長を担保しつつ分岐構造を形成させることができるため、「ひずみ硬化性」が発現しやすく、優れた定着分離性が得られやすい。
上記カルボン酸としては、二価及び三価以上の多価カルボン酸、並びに、それらの誘導体が例示できる。
該誘導体としては、縮重合により同様のモノマーユニット構造が得られるものであれば特に限定されない。例えば、ジオールをエステル化した誘導体;カルボン酸の酸無水物;カルボン酸のアルキルエステル、又は酸クロライドが挙げられる。
ここで、「ひずみ硬化性」を発現させるために、分岐ポリマーを作製するためには、非晶性樹脂の分子内において部分架橋することが有効である。そのためには、三価以上の多官能化合物を使用することが好ましい。従って、上述のように、非晶性ポリエステル樹脂Aの原料モノマーとして、三価以上のカルボン酸及びその誘導体からなる群より選ばれた少なくとも一の化合物、及び/又は、三価以上のアルコール及びその誘導体からなる群より選ばれた少なくとも一の化合物を含むことが好ましい。
エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、下記式(I)で表されるビスフェノール及びその誘導体;及び、下記式(II)で示されるジオール類。
ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン。
これらのうち、グリセロール、トリメチロールプロパン、及びペンタエリスリトールが好ましく用いられる。
該二価のアルコール及び三価以上のアルコールは、単独であるいは複数を併用して用いることができる。
マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、並びに、これらの酸無水物及びこれらの低級アルキルエステル。
これらのうち、マレイン酸、フマル酸、テレフタル酸、n−ドデセニルコハク酸が好ましく用いられる。
1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシ−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸、並びに、これらの酸無水物及びこれらの低級アルキルエステル。
これらのうち、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、すなわちトリメリット酸又はその誘導体が安価で、反応制御が容易であるため、好ましく用いられる。
該二価のカルボン酸及び三価以上のカルボン酸は、単独であるいは複数を併用して用いることができる。
また、重合温度は、特に制限されないが、180℃以上290℃以下の範囲が好ましい
。ポリエステルの重合に際しては、例えば、チタン系触媒、スズ系触媒、酢酸亜鉛、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウムなどの重合触媒を用いることができる。
該他の樹脂成分としては、非晶性ポリエステル樹脂とビニル系樹脂とのハイブリッド樹脂などが挙げられる。ハイブリッド樹脂のような、ビニル系樹脂と非晶性ポリエステル樹脂の反応生成物を得る方法としては、ビニル系樹脂、及び、非晶性ポリエステル樹脂のそれぞれと反応しうるモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方又は両方の樹脂の重合反応を行う方法が好ましい。
例えば、非晶性ポリエステル樹脂を構成するモノマーのうちビニル系樹脂と反応し得るものとしては、例えば、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸のような不飽和ジカルボン酸又はその無水物などが挙げられる。
ビニル系樹脂を構成するモノマーのうち非晶性ポリエステル樹脂と反応し得るものとしては、カルボキシ基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸又はメタクリル酸エステル類が挙げられる。
また、非晶性樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂を主成分とするならば、上記のビニル系樹脂以外にも、従来、トナーに使用されている公知の樹脂を併用することができる。
該樹脂としては、フェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロインデン樹脂、及び石油系樹脂などが挙げられる。
また、高温高湿環境下における帯電安定性の観点から、該非晶性樹脂の酸価は、5mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であることが好ましい。
さらに、低温定着性と保存性の観点から、非晶性樹脂の水酸基価は、20mgKOH/g以上70mgKOH/g以下であることが好ましい。
また、該非晶性ポリエステル樹脂Aの酸価は、10mgKOH/g以下であることが、高温高湿環境下における帯電安定性の観点から好ましい。
また、該非晶性樹脂は、低分子量である、該非晶性ポリエステル樹脂A以外に高分子量の非晶性ポリエステル樹脂Bを混ぜ合わせて使用してもよい。
該低分子量の非晶性ポリエステル樹脂Aと高分子量の非晶性ポリエステル樹脂Bの含有比率(A:B)は、質量基準で30:70〜85:15であることが、低温定着性と定着分離性の観点から好ましい。
該非晶性ポリエステル樹脂Bは、多価アルコール由来のモノマーユニット及び多価カルボン酸由来のモノマーユニットを有し、
定着分離性の観点から、多価カルボン酸由来のモノマーユニット中の、三価以上のカルボン酸及びその誘導体からなる群より選ばれた少なくとも一の化合物由来のモノマーユニットの含有量が、10.0mol%以上50.0mol%以下であることが好ましく、15.0mol%以上30.0mol%以下であることがより好ましい。
該非晶性ポリエステル樹脂Bのピーク分子量は、8000以上20000以下であることが、定着分離性の観点から好ましい。
また、該非晶性ポリエステル樹脂Bの酸価は、15mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であることが、高温高湿環境下における帯電安定性の観点から好ましい。
該結晶性ポリエステル樹脂は、アルコール由来のモノマーユニット及びカルボン酸由来のモノマーユニットを含有する。なお、結晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)において吸熱ピークが観測される樹脂である。
その中でも、低温定着性と保存性の観点から、炭素数6以上12以下の脂肪族ジオール由来のモノマーユニット、及び、炭素数6以上12以下の脂肪族ジカルボン酸由来のモノマーユニットを含有することがより好ましい。
結晶性樹脂として、結晶性ポリエステル樹脂を使用することにより、トナーの低温定着性が良化する理由は、非晶性樹脂と結晶性ポリエステル樹脂は相溶しやすいからである。該二つの樹脂が相溶することで、非晶性樹脂の分子鎖の間隔を広げ、分子間力を弱めることで、非晶性樹脂のガラス転移温度(Tg)が大幅に低下し、溶融粘度を低い状態にすることができる。
すなわち、非晶性樹脂と結晶性ポリエステル樹脂との相溶性を高めることにより、低温定着性は良化していく傾向にある。
そして、非晶性樹脂と結晶性ポリエステル樹脂との相溶性を高めるためには、結晶性ポリエステル樹脂を構成する、脂肪族ジオール、及び/又は、脂肪族ジカルボン酸の炭素数を小さくして、エステル基濃度を高め、極性を高めていくとよい。
一方で、Tgが大幅に低下したトナーにおいても、高温高湿環境下での使用や輸送などにおける保存性を確保する必要がある。そのためには、そのような環境下にトナーがさらされた場合には、相溶していたトナー中の結晶性ポリエステル樹脂を再結晶化させ、トナーのTgを本来の非晶性樹脂のTgまで戻せることが好ましい。
ここで、結晶性ポリエステル樹脂のエステル基濃度が高く、非晶性樹脂と結晶性ポリエステルの相溶性があまりにも高いと、結晶性ポリエステル樹脂を再結晶化させにくくなり、トナーの保存性が低下しやすくなる。
以上のことから、低温定着性と保存性を両立させるためには、該結晶性ポリエステル樹脂が、炭素数6以上12以下の脂肪族ジオール由来のモノマーユニット、及び、炭素数6以上12以下の脂肪族ジカルボン酸由来のモノマーユニットを含有することがより好ましい。
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−ブタジエングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオールなどが挙げられる。
これらの中でも、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、及び1,12−ドデカンジオールなどのような直鎖脂肪族α,ω−ジオ
ールが好ましく例示される。
また、縮重合により同様のモノマーユニット構造が得られるものであれば、上記ジオールの誘導体を使用してもよい。該誘導体としては、上記ジオールをエステル化したものが挙げられる。
さらに、結晶性ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分由来の全モノマーユニット中の、炭素数2以上22以下(より好ましくは炭素数6以上12以下)の脂肪族ジオール及びこれらの誘導体からなる群より選ばれた少なくとも一の化合物由来のモノマーユニットの含有量が、50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、70質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。
該多価アルコールのうち、上記脂肪族ジオール以外のジオールとしては、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールAなどの芳香族アルコール;1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。
また、多価アルコールのうち3価以上の多価アルコールとしては、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンなどの芳香族アルコール;ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの脂肪族アルコールなどが挙げられる。
さらに、結晶性ポリエステル樹脂の特性を損なわない程度に一価のアルコ−ルを用いてもよい。該一価のアルコールとしては、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコールなどのモノアルコールなどが挙げられる。
シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、グルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸が挙げられる。
また、縮重合により同様のモノマーユニット構造が得られるものであれば、上記ジカルボン酸の誘導体を使用してもよい。例えば、ジカルボン酸の酸無水物、ジカルボン酸のアルキルエステル、又は酸クロライドが挙げられる。
さらに、結晶性ポリエステル樹脂を構成するカルボン成分由来の全モノマーユニット中の、炭素数2以上22以下(より好ましくは炭素数6以上12以下)の脂肪族ジカルボン酸及びこれらの誘導体からなる群より選ばれた少なくとも一の化合物由来のモノマーユニットの含有量が、50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、70質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。
該多価カルボン酸のうち、上記脂肪族ジカルボン酸以外の二価のカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族カルボン酸;n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸などの脂肪族カルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸が挙げられ、これらの酸無水物又は低級アルキルエステルなどの誘導体も含まれる。
また、該多価カルボン酸のうち、三価以上の多価カルボン酸としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸などの芳香族カルボン酸、1,2
,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシ−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパンなどの脂肪族カルボン酸が挙げられ、これらの無水物又は低級アルキルエステルなどの誘導体なども含まれる。
さらに、結晶性ポリエステル樹脂の特性を損なわない程度に一価のカルボン酸を用いてもよい。該一価のカルボン酸としては、安息香酸、ナフタレンカルボン酸、サリチル酸、4−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、フェノキシ酢酸、ビフェニルカルボン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、オクタン酸などのモノカルボン酸が挙げられる。
該結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、非晶性樹脂100質量部に対して、3.0質量部以上20.0質量部以下であることが、低温定着性や高温高湿環境下における帯電性の観点から好ましい。
一般的に、トナー中の結晶性ポリエステル樹脂の結晶成分は、結晶核ができた後に、結晶が成長する。結晶性ポリエステル樹脂の分子鎖末端に該結晶核剤部位を付与することで、そこが結晶核となり再結晶化を促進することができるため、保存性が良化する。
また、炭素数が上記の範囲であると、分子鎖末端に縮合させることも容易であり、遊離モノマーとして存在することはなくなるため、保存性の観点から好ましい。
さらに、炭素数が上記の範囲であると、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂の相溶性を損なうことがないため、低温定着性の観点からも好ましい。
さらに、該脂肪族化合物に由来するモノマーユニットの含有量は、結晶性ポリエステル樹脂を構成する全モノマーユニットに対して、1.0mol%以上10.0mol%以下であることが好ましく、4.0mol%以上8.0mol%以下であることがより好ましい。脂肪族化合物に由来するモノマーユニットの含有量が上記範囲であると、低温定着性を阻害することなく、適量の結晶核剤を存在させることができるため好ましい。
炭素数10以上20以下の脂肪族モノカルボン酸としては、カプリン酸(デカン酸)、ウンデシル酸、ラウリン酸(ドデカン酸)、トリデシル酸、ミリスチル酸(テトラデカン酸)、ペンタデシル酸、パルミチン酸(ヘキサデカン酸)、マルガリン酸(ヘプタデカン酸)、ステアリン酸(オクタデカン酸)、ノナデシル酸、アラキジン酸(イコサン酸)が挙げられる。
炭素数10以上20以下の脂肪族モノアルコールとしては、カプリルアルコール(デカノール)、ウンデカノール、ラウリルアルコール(ドデカノール)、トリデカノール、ミリスチルアルコール(テトラデカノール)、ペンタデカノール、パルミチルアルコール(ヘキサデカノール)、マルガリルアルコール(ヘプタデカノール)、ステアリルアルコール(オクタデカノール)、ノナデカノール、アラキジルアルコール(イコサノール)が挙げられる。
上記エステル化反応又はエステル交換反応は、必要に応じて、硫酸、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、2−エチルヘキサン酸スズ、酢酸マンガン、酢酸マグネシウムなどの通常のエステル化触媒又はエステル交換触媒を用いて行うことができる。
また、上記重縮合反応は、通常の重合触媒、例えば、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、2−エチルヘキサン酸スズ、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化ア
ンチモン、二酸化ゲルマニウムなど公知の触媒を使用して行うことができる。重合温度、触媒量は特に限定されるものではなく、適宜に決めればよい。
該エステル化反応、エステル交換反応又は重縮合反応において、得られる結晶性ポリエステル樹脂の強度を上げるためには、全モノマーを一括で仕込むことや、低分子量成分を少なくするために二価のモノマーを先ず反応させた後、三価以上のモノマーを添加して反応させたりするなどの方法を用いてもよい。
該グラフト重合体を含有することで、結晶性樹脂をより微分散させることが可能となり、トナーの低温定着性向上の観点から好ましい。
該結晶性ポリエステル樹脂は、長鎖の炭化水素のジオールとジカルボン酸のエステル化合物であるため、トナーの構成物質の中では、離型剤と非晶性樹脂の中位の極性に位置している。さらに、長鎖の炭化水素のジオールとジカルボン酸で構成されているため、脂肪族系炭化水素化合物と親和性しやすい傾向にある。
すなわち、該グラフト重合体を用いることで、結晶性ポリエステル樹脂をより微分散させることができ、低温定着性をより向上させることが可能となった。
また、該グラフト重合体を用いることで、離型剤の分散もより向上し、定着時の離型剤の染み出しが促進され、定着分離性もより良化する。
該グラフト重合体の含有量がこの範囲にあるとき、非晶性樹脂中への結晶性ポリエステル樹脂の微分散がより効率的に行われる。
該ポリオレフィンは、二重結合を一つ有する不飽和炭化水素の重合体又は共重合体であれば特に限定されず、様々なポリオレフィンを用いることができる。例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンが好ましい。
該ポリオレフィンは、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される最大吸熱ピークのピーク温度が70℃以上90℃以下程度にあることが好ましい。
該グラフト重合体において、ポリオレフィンの、スチレンアクリル系ポリマーに対する質量比は、1:99〜30:70であることが好ましく、3:97〜20:80であることがより好ましい。
該飽和脂環式化合物としては、シクロプロピルアクリレート、シクロブチルアクリレート、シクロペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘプチルアクリレート、シクロオクチルアクリレート、シクロプロピルメタクリレート、シクロブチルメタクリレート、シクロペンチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘプチルメタクリレート、シクロオクチルメタクリレート、ジヒドロシクロペンタジエチルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレートなどが挙げられる。
これらの中でも、疎水性の観点から、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘプチルアクリレート、シクロオクチルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘプチルメタクリレート、シクロオクチルメタクリレートが好ましい。
該飽和脂環式化合物由来のモノマーユニットの含有割合は、該グラフト重合体を構成する全モノマーユニット中、1.0mol%以上40.0mol%以下であることが好まし
く、3.0mol%以上15.0mol%以下であることがより好ましい。
スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−アセトキシスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、フェニルスチレン、ベンジルスチレンなどのスチレン系モノマー;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸のアルキルエステル(該アルキルの炭素数が1以上18以下);酢酸ビニルなどのビニルエステル系モノマー;ビニルメチルエーテルのようなビニルエーテル系モノマー;塩化ビニルのようなハロゲン元素含有ビニル系モノマー;ブタジエン、イソブチレンなどのジエン系モノマーが挙げられる。これらは、一種又は二種以上を併用することが可能である。
なお、該スチレン系モノマー由来のモノマーユニットの含有割合は、該グラフト重合体を構成する全モノマーユニット中、60.0mol%以上90.0mol%以下であることが好ましく、70.0mol%以上85.0mol%以下であることがより好ましい。
また、該不飽和カルボン酸のアルキルエステル由来のモノマーユニットの含有割合は、該グラフト重合体を構成する全モノマーユニット中、5.0mol%以上30.0mol%以下であることが好ましく、10.0mol%以上20.0mol%以下であることがより好ましい。
該グラフト重合体のピーク分子量は、5000以上70000以下であることが好ましく、6000以上50000以下であることがより好ましい。
また、該グラフト重合体の軟化点は、100℃以上150℃以下であることが好ましく、110℃以上135℃以下であることがより好ましい。
ポリオレフィンにスチレンアクリル系ポリマーをグラフト重合させる方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスのような炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスのような炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸のような飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸のような不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールのような飽和アルコール類;ソルビトールのような多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸のような脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールのようなアルコール類とのエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドのような脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドのような飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドのような不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドのような芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムのような脂肪族金属塩
(一般に金属石けんといわれているもの);ベヘニン酸モノグリセリドのような脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシ基を有するメチルエステル化合物。
これらのワックスの中でも、低温定着性及び定着分離性を向上させるという観点から、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスのような炭化水素系ワックス、又はカルナバワックスのような脂肪酸エステル系ワックスが好ましい。
また、示差走査熱量測定(DSC)装置で測定される昇温時の吸熱曲線において、該離型剤の最大吸熱ピークのピーク温度は、45℃以上140℃以下であることが好ましい。
離型剤の最大吸熱ピークのピーク温度が上記範囲内であるとトナーの保存性と耐ホットオフセット性を両立できるため好ましい。
さらに、トナー中の離型剤の含有量は、2.0質量%以上8.0質量部以下であることが好ましく、3.0質量%以上6.0質量%以下であることがより好ましく、3.0質量%以上5.0質量%以下であることがさらに好ましい。
離型剤の含有量が上記範囲である場合、トナー表面近傍の離型剤を少なくすることができるため、長期間の画像出力においても、より高い転写性が得られる。一方で、定着時には、離型剤が染み出し、定着ローラーとの界面付着力を下げることができるため、より優れた定着分離性が得られる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤、マゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調色したものが挙げられる。着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1のような油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28のような塩基性染料。
シアントナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:2、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料。
シアントナー用染料としては、C.I.ソルベントブルー70が挙げられる。
イエロートナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
イエロートナー用染料としては、C.I.ソルベントイエロー162が挙げられる。
該着色剤の含有量は、非晶性樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上30.0質量部以下であることが好ましい。
ネガ系荷電制御剤としては、サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ジカルボン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、スルホン酸塩又はスルホン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、カルボン酸塩又はカルボン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。
ポジ系荷電制御剤としては、四級アンモニウム塩、前記四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。
該荷電制御剤はトナー粒子に対して内添してもよいし外添してもよい。該荷電制御剤の含有量は、非晶性樹脂100質量部に対して、0.2質量部以上10.0質量部以下であることが好ましい。
無機微粒子は、トナー粒子に内添してもよいし外添剤としてトナー粒子と混合してもよい。
外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウムのような無機微粒子が好ましい。無機微粒子は、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物のような疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。
流動性向上のための外添剤としては、比表面積が50m2/g以上400m2/g以下の無機微粒子が好ましく、耐久安定性のためには、比表面積が10m2/g以上50m2/g以下の無機微粒子であることが好ましい。流動性向上と耐久安定性とを両立させるためには、比表面積が上記範囲の無機微粒子を併用してもよい。
外添剤の含有量は、トナー粒子100質量部に対して、0.1質量部以上10.0質量部以下であることが好ましい。トナー粒子と外添剤との混合は、ヘンシェルミキサーのような公知の混合機を用いることができる。
該磁性キャリアとしては、例えば、酸化鉄;鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類のような金属粒子、並びにそれらの合金粒子、及びそれらの酸化物粒子;フェライトなどの磁性体;磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持するバインダー樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア);など、一般に公知のものを使用できる。
トナーを磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として使用する場合、その際の磁性キャリアの混合比率は、二成分系現像剤中のトナー濃度として、2質量%以上15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは4質量%以上13質量%以下である。
トナーの製造方法としては、非晶性樹脂、着色剤、離型剤、及び結晶性樹脂、並びに、必要に応じてその他の材料含む樹脂組成物を溶融混練し、得られた混練物を冷却後、粉砕及び分級する粉砕法が挙げられる。
以下、粉砕法でのトナー製造手順について説明する。
上記トナー粒子を構成する材料として、非晶性樹脂、着色剤、離型剤、及び結晶性樹脂
、並びに、必要に応じて、特定のグラフト重合体及び荷電制御剤などの他の成分を所定量秤量して配合し、混合して樹脂組成物を得る。
混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。
次に、樹脂組成物を溶融混練して、非晶性樹脂中に着色剤、離型剤及び結晶性樹脂などを分散させる。
該溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーのようなバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができ、連続生産できる優位性から、1軸又は2軸押出機が主流となっている。例えば、KTK型2軸押出機(神戸製鋼所社製)、TEM型2軸押出機(東芝機械社製)、PCM混練機(池貝鉄工製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。
さらに、溶融混練して得られた混練物は、2本ロールなどで圧延され、水などによって冷却する。得られた冷却物は、下記手段により所望の粒径にまで粉砕し、樹脂粒子を得る。
例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルのような粉砕機で粗粉砕した後、さらに、例えば、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)、ターボ・ミル(ターボ工業製)やエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕するとよい。
その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)のような分級機や篩分機を用いて分級してもよい。
以下、図1に示す熱処理装置を用いて、樹脂粒子に熱処理を実施する方法を具体的に例示する。
図1で表される熱処理装置の熱風により、樹脂粒子は瞬間的に溶融し、その後、急冷される。それにより、常温常湿環境下におけるトナーの使用においては、結晶性樹脂と非晶性樹脂が相溶した状態を維持できるため、最大限の可塑効果を引き出し、低温定着性を良化させることができる。また、空気中の疎水場で熱処理されるため、トナーの構成材料である離型剤が、トナー表面近傍付近まで移行するため、定着時に離型剤の染み出しが促進され、定着分離性も良化する。
また、該熱処理により、トナー粒子の平均円形度を増加させることもできる。
このとき、処理室6に供給された樹脂粒子は、処理室6内に設けられた樹脂粒子の流れを規制するための規制手段9によって、その流れが規制される。このため処理室6に供給された樹脂粒子は、処理室6内を旋回しながら熱処理された後、冷却される。
供給された樹脂粒子を熱処理するための熱風は、熱風供給手段7から供給され、分配部材12で分配され、熱風を旋回させるための旋回部材13により、処理室6内に熱風を螺旋状に旋回させて導入される。その構成としては、熱風を旋回させるための旋回部材13が、複数のブレードを有しており、その枚数や角度により、熱風の旋回を制御することができる(なお、11は熱風供給手段出口を示す)。処理室6内に供給される熱風は、熱風
供給手段7の出口部における温度が100℃〜300℃であることが好ましい。熱風供給手段7の出口部における温度が上記の範囲内であれば、樹脂粒子を加熱しすぎることによる粒子の融着や合一を防止しつつ、粒子を均一に処理することが可能となる。
次に、冷却された熱処理樹脂粒子は、処理室6の下端にある回収手段10によって回収される。なお、回収手段10の先にはブロワー(不図示)が設けられ、それにより吸引搬送される構成となっている。
また、粉体粒子供給口14は、供給された樹脂粒子の旋回方向と熱風の旋回方向が同方向になるように設けられており、回収手段10も、旋回された樹脂粒子の旋回方向を維持するように、処理室6の外周部に接線方向に設けられている。さらに、冷風供給手段8から供給される冷風は、装置外周部から処理室内周面に、水平かつ接線方向から供給されるよう構成されている。粉体粒子供給口14から供給される熱処理前樹脂粒子の旋回方向、冷風供給手段8から供給された冷風の旋回方向、熱風供給手段7から供給された熱風の旋回方向がすべて同方向である。そのため、処理室6内で乱流が起こらず、装置内の旋回流が強化され、熱処理前樹脂粒子に強力な遠心力がかかり、熱処理前樹脂粒子の分散性がさらに向上するため、合一粒子の少ない、形状の揃った熱処理樹脂粒子を得ることができる。
<非晶性樹脂及びトナーの伸長粘度の測定方法>
非晶性樹脂及びトナーの伸長粘度は、粘弾性測定装置(レオメーター)「ARES G2、TA instruments社製」を用いて測定する。なお、該伸長粘度は下記測定治具を用い、一軸伸長粘度を測定する。
測定条件は以下の通りである。
・一軸伸長粘度の測定治具:ARES−EVF
・測定試料:非晶性樹脂又はトナーを、熱プレス成型機を用い、幅10mm、長さ30mm、厚み1mmの直方体型に成形する。また、該試料が十分溶融し、気泡が抜ける温度条件下で、1分間10Mpaで保持する。該熱プレス成型機は東洋精機製作所社製mini
TEST PRESS−10を用いる。
上記測定治具及び試料を常温(23℃)に1時間放置した後、測定治具に試料を取り付ける。その後、測定開始温度90℃まで5分間かけて温調した後、下記設定で測定を行う。
(Geometries)
Width:10mm
Thickness:1mm
Stress Constant:12265.4Pa/g・cm
Strain Constant:0.811024 1/rad
(Conditioning)
Configuration:Override
Normal force transducer mode:Spring
Torque transducer mode:FRT
(Other Extensional)
Final strain:3
Extension rate:0.3
Sampling:50(Log)
Microsoft社製Winows(登録商標)7上で動作するTRIOS「制御、データ収集及び解析ソフト、TA instruments社製」へ、インターフェースを通じてデータ転送する。このうち、Henckyひずみが0.01の粘度の値、及び、Henckyひずみが0.69の粘度の値を読み取る。
なお、Henckyひずみと伸長粘度の関係(ひずみ硬化性の異なるサンプル)の一例を図2に示す。
(トナー中の非晶性ポリエステル樹脂Aの伸長粘度の測定方法)
溶剤への溶解度の差を利用してトナーから非晶性ポリエステル樹脂を分離してから測定を行うとよい。
トナーからの非晶性ポリエステル樹脂の分離は以下の手順で行う。
23℃のメチルエチルケトン(MEK)にトナーを溶解させ、可溶分(非晶性ポリエステル樹脂)と不溶分(結晶性樹脂、離型剤、着色剤、及び無機微粒子など)を分離する。
結晶性樹脂のピーク分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、結晶性樹脂をo−ジクロロベンゼンに溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、o−ジクロロベンゼンに可溶な成分の濃度が約0.1質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置 :HLC−8121GPC/HT(東ソー社製)
カラム:TSKgel GMHHR−H HT(7.8cm I.D×30cm)2連(東ソー社製)
検出器:高温用RI
温度 :135℃
溶媒 :o−ジクロロベンゼン(0.05%アイオノール添加)
流速 :1.0mL/min
試料 :0.1%の試料を0.4mL注入
試料の分子量算出にあたっては単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量較正曲線を使用する。さらに、Mark−Houwink粘度式から導き出される換算式でポリエチレン換算をすることによって算出する。
非晶性樹脂及びグラフト重合体(ポリオレフィンにスチレンアクリル系ポリマーがグラフト重合している重合体)のピーク分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10mL
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
軟化点は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。
本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
本発明においては、「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。
なお、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。
まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax−Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとなるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度である。
測定には、約1.0gの試料を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT−100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
ガラス転移温度は、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、試料約3mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用いて、以下の条件で測定する。
昇温速度:10℃/min
測定開始温度:30℃
測定終了温度:180℃
測定範囲30〜180℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。一度180℃まで昇温させ10分間保持し、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。
この2度目の昇温過程で、温度30〜100℃の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を
、ガラス転移温度(Tg)とする。
結晶性樹脂の融点は、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、試料約3mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用いて、以下の条件で測定する。
昇温速度:10℃/min
測定開始温度:30℃
測定終了温度:180℃
測定温度範囲30℃から180℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。
なお、測定においては、試料を昇温速度10℃/minで、30℃から180℃まで昇温させ、続いて、降温速度10℃/minで、180℃から30℃まで降温し、その後昇温速度10℃/minで、30℃から180℃まで再度昇温を行う。
この2回目の昇温過程の温度30℃〜180℃の範囲における示差走査熱量曲線の最大吸熱ピークのピーク温度を融点[単位:℃]とする。
トナーの重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer
3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定及び解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換
水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
具体的な測定方法は、以下の通りである。
まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2mL加える。
さらに測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に該コンタミノンNを約2mL添加する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した該フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用する。該手順に従い調整した分散液を該フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測する。
そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.98μm以上39.96μm以下とし、トナーの平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
溶剤への溶解度の差を利用してトナーから各材料を分離することができる。
トナーからの各材料の分離は以下の手順で行う。
第一分離:23℃のメチルエチルケトン(MEK)にトナーを溶解させ、可溶分(非晶性樹脂)と不溶分(結晶性樹脂、離型剤、着色剤、無機微粒子など)を分離する。
第二分離:100℃のMEKに、第一分離で得られた不溶分(結晶性樹脂、離型剤、着色剤、無機微粒子)を溶解させ、可溶分(結晶性樹脂、離型剤)と不溶分(着色剤、無機微粒子)を分離する。
第三分離:23℃のクロロホルムに、第二分離で得られた可溶分(結晶性樹脂、離型剤)を溶解させ、可溶分(結晶性樹脂)と不溶分(離型剤)を分離する。
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(0.18モル;多価アルコールの総モル数に対して100.0mol%)
71.5部
・テレフタル酸 12.6部
(0.08モル;多価カルボン酸の総モル数に対して50.0mol%)
・チタンテトラブトキシド(エステル化触媒) 0.5部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。
次に反応槽内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、4時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、160℃まで冷却し、大気圧に戻した(第1反応工程)。
・無水トリメリット酸 16.0部
(0.05モル;多価カルボン酸の総モル数に対して50.0mol%)
・tert−ブチルカテコール(重合禁止剤) 0.1部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度を180℃に維持したまま、1時間反応させ、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が90℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め(第2反応工程)、樹脂A1を得た。
得られた非晶性ポリエステル樹脂A1は、ピーク分子量(Mp)が5000、軟化点(Tm)が90℃、ガラス転移温度(Tg)が54℃、伸長粘度η0.01(A)が4.2×105Pa、伸長粘度η0.69(A)が1.8×106Pa、η0.69(A)/η0.01(A)が4.3であった。
非晶性ポリエステル樹脂A1の製造例において、第1反応工程の多価アルコール成分及び/又は多価カルボン酸成分のそれぞれのモノマー及び質量部数、反応条件を表1−1となるように変更し、また、第2反応工程のモノマー及び質量部数、反応条件を表1−1となるように変更した以外は同様にして反応を行い、非晶性ポリエステル樹脂A2〜A29を得た。非晶性ポリエステル樹脂A2〜A29の物性を表1−2に示す。
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(0.19モル;多価アルコールの総モル数に対して100.0mol%)
73.8部
・テレフタル酸 12.5部
(0.08モル;多価カルボン酸の総モル数に対して48.0mol%)
・アジピン酸 7.8部
(0.05モル;多価カルボン酸総モル数に対して34.0mol%)
・チタンテトラブトキシド(エステル化触媒) 0.5部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。
次に反応槽内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、2時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、160℃まで冷却し、大気圧に戻した(第1反応工程)。
・無水トリメリット酸 5.9部
(0.03モル;多価カルボン酸の総モル数に対して18.0mol%)
・tert−ブチルカテコール(重合禁止剤) 0.1部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度を200℃に維持したまま、15時間反応させ、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が140℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め(第2反応工程)、樹脂B1を得た。
得られた非晶性ポリエステル樹脂B1は、ピーク分子量(Mp)が10000、軟化点(Tm)が140℃、ガラス転移温度(Tg)が60℃であった。
・ヘキサンジオール 34.5部
(0.29モル;多価アルコールの総モル数に対して100.0mol%)
・ドデカン二酸 65.5部
(0.28モル;多価カルボン酸の総モル数に対して100.0mol%)
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。
次に反応槽内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、140℃の温度で撹拌しつつ、3時間反応させた。
・2−エチルヘキサン酸錫 0.5部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度を200℃に維持したまま、4時間反応させることにより結晶性ポリエステル樹脂C1を得た(第1反応工程)。
得られた結晶性ポリエステル樹脂C1は、ピーク分子量(Mp)が10000、融点が71℃であった。
・低分子量ポリプロピレン 11.9部
(三洋化成工業(株)製ビスコール660P)
(0.02モル;重合体を生成するモノマーの総モル数に対して3.0mol%)
・キシレン 25.0部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。
次に反応槽内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に175℃まで昇温した。
・スチレン 67.3部
(0.65モル;重合体を生成するモノマーの総モル数に対して78.4mol%)
・メタクリル酸シクロヘキシル 6.3部
(0.04モル;重合体を生成するモノマーの総モル数に対して4.9mol%)
・アクリル酸ブチル 14.5部
(0.11モル;重合体を生成するモノマーの総モル数に対して13.7mol%)
・キシレン 10.0部
・ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート 0.5部
その後、上記材料を3時間かけて滴下し、さらに30分間撹拌した。次いで、溶剤を留去して、重合体D1を得た。得られた重合体D1は、ピーク分子量(Mp)が6000、軟化点(Tm)が125℃であった。
・非晶性ポリエステル樹脂A1 60.0部
・非晶性ポリエステル樹脂B1 30.0部
・結晶性ポリエステル樹脂C1 10.0部
・重合体D1 4.0部
・離型剤E1(フィッシャートロプシュワックス) 4.0部
(最大吸熱ピークのピーク温度90℃)
・C.I.ピグメントブルー15:3 7.0部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井鉱山(株)製)を用いて、回転数20s−1、回転時間5minで混合した後、温度を130℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、株式会社池貝製)にて溶融混練した。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。
得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T−250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した。
さらに、ファカルティF−300(ホソカワミクロン社製)を用い、分級を行い、樹脂粒子を得た。
運転条件は、分級ローター回転数を130s−1、分散ローター回転数を120s−1とした。
得られた樹脂粒子を、図1に示す熱処理装置を用いて熱処理を行い、トナー粒子を得た。
運転条件は、フィード量を5kg/hr、熱風温度を160℃、熱風流量を6m3/min.、冷風温度を−5℃、冷風流量を4m3/min.、ブロワー風量を20m3/min.、インジェクションエア流量を1m3/min.とした。
100質量部のトナー粒子、ヘキサメチルジシラザンで表面処理した疎水性シリカ微粒子(BET:200m2/g)1.0部、及びイソブチルトリメトキシシランで表面処理した酸化チタン微粒子(BET:80m2/g)1.0部を、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で回転数30s−1、回転時間10minで混合して、トナー1を得た。
トナー1の重量平均粒径(D4)は6.5μmであり、平均円形度は0.968であった。トナー1の物性を表2−1及び表2−2に示す。
トナー1の製造例において、非晶性ポリエステル樹脂A1、非晶性ポリエステル樹脂B1、結晶性ポリエステル樹脂C1、重合体D1、離型剤を表2−1となるように変更し、熱処理装置の工程を省いた以外は同様の操作を行い、トナー2〜トナー39を得た。トナー2〜トナー39の物性を表2−1及び表2−2に示す。
・工程1(秤量・混合工程):
Fe2O3 62.7部
MnCO3 29.5部
Mg(OH)2 6.8部
SrCO3 1.0部
上記材料を上記組成比となるようにフェライト原材料を秤量した。その後、直径1/8インチのステンレスビーズを用いた乾式振動ミルで5時間粉砕及び混合した。
・工程2(仮焼成工程):
得られた粉砕物をローラーコンパクターにて、約1mm角のペレットにした。このペレットを目開き3mmの振動篩にて粗粉を除去し、次いで目開き0.5mmの振動篩にて微粉を除去した後、バーナー式焼成炉を用いて、窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%)で、温度1000℃で4時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。得られた仮焼フェライトの組成は、下記の通りである。
(MnO)a(MgO)b(SrO)c(Fe2O3)d
上記式において、a=0.257、b=0.117、c=0.007、d=0.393・工程3(粉砕工程):
得られた仮焼フェライトをクラッシャーで0.3mm程度に粉砕した後に、直径1/8インチのジルコニアビーズを用い、仮焼フェライト100部に対し、水を30部加え、湿式ボールミルで1時間粉砕した。得られたスラリーを、直径1/16インチのアルミナビーズを用いた湿式ボールミルで4時間粉砕し、フェライトスラリー(仮焼フェライトの微粉砕品)を得た。
・工程4(造粒工程):
フェライトスラリーに、仮焼フェライト100部に対して分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム1.0部、バインダーとしてポリビニルアルコール2.0部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で、球状粒子に造粒した。得られた粒子を粒度調整した後、ロータリーキルンを用いて、650℃で2時間加熱し、分散剤やバインダーの有機成分を除去した。
・工程5(焼成工程):
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度1.00体積%)で、室温から温度1300℃まで2時間で昇温し、その後、温度1150℃で4時間焼成した。その後、4時間をかけて、温度60℃まで降温し、窒素雰囲気から大気に戻し、温度40℃以下で取り出した。
・工程6(選別工程):
凝集した粒子を解砕した後に、磁力選鉱により低磁力品をカットし、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、体積分布基準の50%粒径(D50)37.0μmの磁性コア粒子1を得た。
シクロヘキシルメタクリレートモノマー 26.8質量%
メチルメタクリレートモノマー 0.2質量%
メチルメタクリレートマクロモノマー 8.4質量%
(片末端にメタクリロイル基を有する重量平均分子量5000のマクロモノマー)
トルエン 31.3質量%
メチルエチルケトン 31.3質量%
アゾビスイソブチロニトリル 2.0質量%
上記材料のうち、シクロヘキシルメタクリレートモノマー、メチルメタクリレートモノマー、メチルメタクリレートマクロモノマー、トルエン、メチルエチルケトンを、還流冷却器、温度計、窒素導入管及び攪拌装置を取り付けた四つ口のセパラブルフラスコに入れ、窒素ガスを導入して充分に窒素雰囲気にした。その後、80℃まで加温し、アゾビスイソブチロニトリルを添加して5時間還流し重合させた。得られた反応物にヘキサンを注入
して共重合体を沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥して被覆樹脂1を得た。
次いで、30部の被覆樹脂1を、トルエン40部、メチルエチルケトン30部に溶解させて、重合体溶液1(固形分30質量%)を得た。
重合体溶液1(樹脂固形分濃度30%) 33.3質量%
トルエン 66.4質量%
カーボンブラック(Regal330;キャボット社製) 0.3質量%
(一次粒径25nm、窒素吸着比表面積94m2/g、DBP吸油量75mL/100g)
を、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで1時間分散をおこなった。得られた分散液を、5.0μmのメンブランフィルターで濾過をおこない、被覆樹脂溶液1を得た。
(樹脂被覆工程):
常温で維持されている真空脱気型ニーダーに、磁性コア粒子1及び被覆樹脂溶液1を投入した(被覆樹脂溶液1の投入量は、100部の磁性コア粒子1に対して、樹脂成分として2.5部になる量)。投入後、回転速度30rpmで15分間撹拌し、溶媒が一定以上(80質量%)揮発した後、減圧混合しながら80℃まで昇温し、2時間かけてトルエンを留去した後に冷却した。得られた磁性キャリアを、磁力選鉱により低磁力品を分別し、開口70μmの篩を通した後、風力分級器で分級し、体積分布基準の50%粒径(D50)38.2μmの磁性キャリア1を得た。
92.0部の磁性キャリア1に対して、8.0部のトナー1を加え、V型混合機(V−20、セイシン企業製)により混合し、二成分系現像剤1を得た。
二成分系現像剤1の製造例において、表3のように変更する以外は同様の操作を行い、二成分系現像剤2〜39を得た。
上記二成分系現像剤1を用いて、評価を行った。
画像形成装置として、キヤノン製デジタル商業印刷用プリンターimageRUNNER ADVANCE C9075 PRO改造機を用い、シアン位置の現像器に二成分系現像剤1を入れ、紙上のトナーの載り量が所望になる画像を形成し、後述の評価を行った。
装置の改造点としては、定着温度、プロセススピード、現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧VD、及びレーザーパワーを自由に設定できるように変更した。
画像出力評価は、所望の画像比率のFFh画像(ベタ画像)を出力した。FFhとは、256階調を16進数で表示した値であり、00hが256階調の1階調目(白地部)であり、FFhが256階調の256階調目(ベタ部)である。
以下の評価方法に基づいて評価し、その結果を表4に示す。
紙: GFR−070(70.0g/m2)
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
紙上のトナーの載り量:1.20mg/cm2
(現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧VD、及びレーザーパワーにより調整)
評価画像:上記A4用紙の長手方向に先端余白3mm空けて29cm×5cmの画像を配置
定着試験環境:高温高湿環境:温度30℃/湿度80%RH(以下「H/H」)
定着温度:120℃から170℃まで1℃刻みで通紙
プロセススピード:450mm/sec
上記評価画像を出力し、定着分離性を評価した。各定着温度で定着を行い、定着時に巻き付きが起こるかを目視で観測し、巻き付きが見られない上限の温度を定着分離可能温度とした。定着分離可能温度を下記の評価基準に従って評価した。C以上を良好と判断した。
(評価基準)
A:定着分離可能温度160℃以上
B:定着分離可能温度150℃以上160℃未満
C:定着分離可能温度140℃以上150℃未満
D:定着分離可能温度130℃以上140℃未満
E:定着分離可能温度130℃未満
紙: CS−680(68.0g/m2)
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
紙上のトナーの載り量:1.20mg/cm2
(現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧VD、及びレーザーパワーにより調整)
評価画像:上記A4用紙の中心に2cm×5cmの画像を配置
定着試験環境:低温低湿環境:温度15℃/湿度10%RH(以下「L/L」)
定着温度:150℃
プロセススピード:450mm/sec
上記評価画像を出力し、低温定着性を評価した。画像濃度低下率の値を低温定着性の評価指標とした。
画像濃度低下率は、X−Riteカラー反射濃度計(500シリーズ:X−Rite社製)を用い、先ず、中心部の画像濃度を測定する。次に、画像濃度を測定した部分に対し、4.9kPa(50g/cm2)の荷重をかけてシルボン紙により定着画像を摺擦(5往復)し、画像濃度を再度測定する。
そして、下記式を用いて摺擦前後での画像濃度の低下率を算出した。得られた画像濃度の低下率を下記の評価基準に従って評価した。C以上を良好と判断した。
画像濃度の低下率=
(摩擦前の画像濃度−摩擦後の画像濃度)/摩擦前の画像濃度×100
(評価基準)
A:画像濃度の低下率5.0%未満
B:画像濃度の低下率5.0%以上7.5%未満
C:画像濃度の低下率7.5%以上10.0%未満
D:画像濃度の低下率10.0%以上12.5%未満
E:画像濃度の低下率12.5%以上
紙: CS−680(68.0g/m2)
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
紙上のトナーの載り量:0.35mg/cm2(FFh画像)
(現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧VD、及びレーザーパワーにより調整)
評価画像:上記A4用紙画像比率100%のチャート
定着試験環境:高温高湿環境:温度30℃/湿度85%RH(以下「H/H」)
定着温度:170℃
プロセススピード:450mm/sec
耐久画像出力試験として、画像比率0.1%のFFh出力の帯チャートを用いて、A4用紙に50,000枚出力を行った。その後、上記評価画像を出力し、画像中の白斑点の個数を目視で確認した。C以上を良好と判断した。
(評価基準)
A:白斑点が1個以下
B:白斑点が2個以上3個以下
C:白斑点が4個以上5個以下
D:白斑点が6個以上7個以下
E:白斑点が8個以上
二成分系現像剤2〜39を用いた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表4に示す。
実施例2は、実施例1に対し、熱処理工程を実施していない。その結果、結晶性樹脂の相溶性が若干低下するため、実施例1に対して低温定着性が若干低下する。また、離型剤のトナー表面近傍付近への移行量が若干低下し、実施例1に対して定着分離性も若干劣る。
実施例3は、グラフト重合体を含有しない。その結果、結晶性樹脂の分散性が若干低下するため、実施例2に対して低温定着性が若干劣る。また、離型剤の分散性が若干低下するため、実施例2に対して定着分離性も若干劣る。
実施例4は、架橋構造による分岐度が小さくなり、ひずみ硬化性が若干低下するため、実施例3に対して定着分離性が若干劣る。
実施例5は、分子鎖長が短くなり、ひずみ硬化性が低下するため、実施例3に対して定着分離性が若干劣る。
実施例6は、架橋構造による分岐度が小さくなり、ひずみ硬化性が低下するため、実施例4に対して定着分離性が劣る。
実施例7は、分子鎖長が短くなり、ひずみ硬化性が低下するため、実施例5に対して定着分離性が劣る。
実施例8は、離型剤が減少し、界面付着力が増加するため、実施例6に対して定着分離性が劣る。
実施例9は、離型剤が増加するため、実施例6に対して転写効率が劣る。
実施例10は、離型剤が減少し、界面付着力が増加するため、実施例8に対して定着分離性が劣る。
実施例11は、離型剤が増加するため、実施例9に対して転写効率が劣る。
実施例12は、非晶性ポリエステル樹脂Aの含有比率が減少するため、実施例10に対して低温定着性が劣る。
実施例13は、非晶性ポリエステル樹脂Aの含有比率が増加するため、実施例10に対して定着分離性が劣る。
実施例14は、非晶性ポリエステル樹脂Aの含有比率が減少するため、実施例12に対して低温定着性が劣る。
実施例15は、非晶性ポリエステル樹脂Aの含有比率が増加するため、実施例13に対して定着分離性が劣る。
実施例16は、非晶性ポリエステル樹脂Aのη0.69(A)が減少するため、実施例14に対して定着分離性が劣る。
実施例17は、非晶性ポリエステル樹脂Aのη0.01(A)が増加するため、実施例14に対して低温定着性が劣る。
実施例18は、非晶性ポリエステル樹脂Aのη0.69(A)が減少するため、実施例16に対して定着分離性が劣る。
実施例19は、非晶性ポリエステル樹脂Aのη0.01(A)が増加するため、実施例17に対して低温定着性が劣る。
実施例20は、非晶性ポリエステル樹脂Aのη0.01(A)が増加するため、実施例18に対して低温定着性が劣る。
実施例21は、非晶性ポリエステル樹脂Aのη0.01(A)が増加するため、実施例19に対して低温定着性が劣る。
実施例22は、非晶性ポリエステル樹脂Aのη0.01(A)が増加するため、実施例20に対して低温定着性が劣る。
実施例23は、非晶性ポリエステル樹脂Aのη0.01(A)が増加するため、実施例21に対して低温定着性が劣る。
実施例24は、非晶性ポリエステル樹脂Aのη0.69(A)が低下するため、実施例18に対して定着分離性が劣る。
実施例25は、非晶性ポリエステル樹脂Aのη0.01(A)が増加するため、実施例19に対して低温定着性が劣る。
実施例26は、非晶性ポリエステル樹脂Aのη0.69(A)が減少するため、実施例24に対して定着分離性が劣る。
実施例27は、非晶性ポリエステル樹脂Aのη0.69(A)が減少するため、実施例25に対して定着分離性が劣る。
実施例28は、トナーのη0.01が減少するため、実施例26に対して定着分離性が劣る。
実施例29は、トナーのη0.01が増加するため、実施例27に対して低温定着性が劣る。
実施例30は、トナーのη0.01が減少するため、実施例28に対して定着分離性が劣る。
実施例31は、トナーのη0.01が増加するため、実施例29に対して低温定着性が劣る。
実施例32は、トナーのη0.01が増加するため、実施例30に対して低温定着性が劣る。
実施例33は、トナーのη0.69が増加するため、実施例31に対して低温定着性が劣る。
実施例34は、トナーのη0.01が減少するため、実施例30に対して定着分離性が劣る。
実施例35は、トナーのη0.01が増加するため、実施例31に対して低温定着性が劣る。
実施例36は、トナーのη0.69が減少するため、実施例34に対して定着分離性が劣る。
実施例37は、トナーのη0.69が増加するため、実施例35に対して定着分離性が劣る。
比較例1は、トナーのη0.69が減少するため、実施例36に対して定着分離性が非常に劣る。
比較例2は、トナーのη0.01が減少するため、実施例36に対して定着分離性が非常に劣る。
Claims (8)
- 非晶性樹脂、着色剤、離型剤、及び結晶性樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナーの90℃におけるHenckyひずみが0.01のときの伸長粘度をη0.01とし、0.69のときの伸長粘度をη0.69としたときに、
該η0.01及び該η0.69が、下記式(1)及び(2)の関係を満たすことを特徴とするトナー。
式(1) 3.0×104Pa≦η0.01≦2.0×105Pa
式(2) 2.0≦〔η0.69/η0.01〕 - 前記η0.69が、1.0×105Pa≦η0.69≦4.0×105Paの関係を満たす、請求項1に記載のトナー。
- 前記非晶性樹脂が、非晶性ポリエステル樹脂Aを含有し、
該非晶性ポリエステル樹脂Aの90℃におけるHenckyひずみが0.01のときの伸長粘度をη0.01(A)とし、0.69のときの伸長粘度をη0.69(A)としたときに、
該η0.01(A)及び該η0.69(A)が、下記式(3)及び(4)の関係を満たす、請求項1又は2に記載のトナー。
式(3) 2.5×105Pa≦η0.01(A)≦7.5×105Pa
式(4) 3.0≦〔η0.69(A)/η0.01(A)〕 - 前記η0.69(A)が、1.0×106Pa≦η0.69(A)≦2.0×106Paの関係を満たす、請求項3に記載のトナー。
- 前記トナー中の前記非晶性ポリエステル樹脂Aの含有量が、40.0質量%以上70.0質量%以下である、請求項3又は4に記載のトナー。
- 前記トナー中の前記離型剤の含有量が、3.0質量%以上5.0質量%以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のトナー。
- 前記非晶性ポリエステル樹脂Aが、多価アルコール由来のモノマーユニット及び多価カルボン酸由来のモノマーユニットを有し、
該多価カルボン酸由来のモノマーユニット中の、三価以上のカルボン酸及びその誘導体からなる群より選ばれた少なくとも一の化合物由来のモノマーユニットの含有量が、25.0mol%以上80.0mol%以下である、請求項3〜6のいずれか一項に記載のトナー。 - 前記非晶性ポリエステル樹脂Aのピーク分子量が、3900以上7000以下である、請求項3〜7のいずれか一項に記載のトナー。
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