JP2018022151A - 回折光学素子、光照射装置 - Google Patents

回折光学素子、光照射装置 Download PDF

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Abstract

【課題】光の利用効率が高く、また、光の入射角がずれた場合であっても、回折光への影響が少なく安定して所望の回折光を得ることができ、さらに、回折光のムラが少ない回折光学素子、光照射装置を提供する。【解決手段】回折光学素子10は、光を整形する回折光学素子であって、断面形状において複数の凸部11aが並んで配置されている高屈折率部11と、高屈折率部11よりも屈折率が低く、少なくとも凸部11aの間に形成されている凹部12を含む低屈折率部14と、を有する回折層15を備え、凸部11aは、その側面形状の少なくとも一方側に、高さの異なる複数の段部(11a−1,11a−2,11a−3,11a−4)を備えた多段階形状を有しており、凸部11aの側面形状は、回折層15を含む平面に対して傾いた傾斜部(11b,11c,11d)を少なくとも一部に備える。【選択図】図4

Description

本発明は、回折光学素子、光照射装置に関するものである。
ネットワークの普及によるセキュリティリスク回避のための個人認証へのニーズや、自動車の自動運転化の流れ、又は、いわゆる「モノのインターネット」の普及等、近年、センサーシステムを必要とする局面が増大している。センサーには色々な種類があり、検出する情報も様々であるが、その中の1つの手段として、光源から対象物に対して光を照射し、反射してきた光から情報を得るというものがある。例えば、パターン認証センサーや赤外線レーダー等はその一例である。
これらのセンサーの光源は、用途に応じた波長分布や明るさ、広がりをもったものが使用される。光の波長は、可視光〜赤外線がよく用いられ、特に赤外線は外光の影響を受けにくく、不可視であり、対象物のやや内部を観察することも可能という特徴があるため、広く用いられている。また、光源の種類としては、LED光源やレーザー光源等が多く用いられる。例えば、遠いところを検知するには光の広がりが少ないレーザー光源が好適に用いられ、比較的近いところを検知する場合や、ある程度の広がりを持った領域を照射するにはLED光源が好適に用いられる。
ところで、対象とする照射領域の大きさや形状は、必ずしも光源からの光の広がり(プロファイル)と一致しているとは限らず、その場合には拡散板やレンズ、遮蔽板等により光を整形する必要がある。最近では、Light Shaping Diffuser(LSD)という、光の形状をある程度整形できる拡散板が開発されている。
また、光を整形する別の手段として、回折光学素子(Diffractive Optical Element :DOE)が挙げられる。これは異なる屈折率を持った材料が周期性を持って配列している場所を光が通過する際の回折現象を応用したものである。DOEは、基本的に単一波長の光に対して設計されるものであるが、理論的には、ほぼ任意の形状に光を整形することが可能である。また、前述のLSDにおいては、照射領域内の光強度がガウシアン分布となるのに対し、DOEでは、照射領域内の光分布の均一性を制御することが可能である。DOEのこのような特性は、不要な領域への照射を抑えることによる高効率化や、光源数の削減等による装置の小型化等の点で有利となる(例えば、特許文献1参照)。
また、DOEは、レーザーの様な平行光源や、LEDの様な拡散光源のいずれにも対応可能であり、また、紫外光から可視光、赤外線までの広い範囲の波長に対して適用可能である。
DOEは、nmオーダーでの微細加工が必要となり、特に長波長の光を回折するためには、高アスペクト比の微細形状を形成する必要があった。そのため、DOEの製造には、従来、電子線を用いた電子線リソグラフィ技術が用いられている。例えば、紫外線〜近赤外線領域で透明である石英板に、ハードマスクやレジストを成膜後、電子線を用いてレジストに所定の形状を描画し、レジスト現像、ハードマスクのドライエッチング、石英のドライエッチングを順次行って、石英板表面にパターンを形成した後、ハードマスクを除去することで所望のDOEを得ることができる。
特開2015−170320号公報
DOEは、光を効率よく整形することが可能であるが、DOEと空気界面(又は、DOEと屈折率が異なる材料との界面)において、屈折率が急激に変化することによる界面反射が起こってしまう。この界面反射は、光の利用効率を低下させてしまう。
界面反射を回避するためには、例えば、誘電体多層膜のような反射防止膜を形成するという手法が考えられるが、一般的にコストアップにつながる場合が多かった。また、反射防止膜をDOEの微細形状に沿って均一に形成することが困難な場合が多かった。
また、DOEは、一般的にある決まった方向からの入射光に対して所望の整形を光に行うことができるように設計される。レーザー光源を用いる場合は、DOE面(DOEの周期構造が存在する面、又は、その裏面)に対して通常、垂直入射されることが多い。また、LED等の拡散光源を用いる場合は、光源の拡散プロファイルを元にして、DOE平面(回折格子の周期構造を含む面)に対して斜めに光が入ることを考慮した設計がDOEに対して行われる。
しかし、DOEを実際に使用する場合には、設計に用いた拡散プロファイル通りの角度で光が入射するとは限らず、装置の組み付け精度や光源の性能ぶれ等の影響で入射角が変化することがある。従来のDOEでは、入射角が設計時の角度からずれると、回折光(出射光)の特性(例えば、配光特性)が大きく変化する傾向にあった。そのため、DOE及びDOEを備えた光照射装置の設計マージンが狭くなる傾向にあり、実用化が困難であったり、装置の高額化が懸念されたりしていた。
さらに、DOEの配光効率を向上するために、断面形状を多段階形状に形成する場合がある。これは、光の回折の方向を制御することにより配光精度を上げるものである。しかし、そのように高い精度を求める場合、多段階形状を加工する工程における加工精度には、限界があり、多段階形状の寸法にばらつきが生じる。そして、この多段階形状の寸法のばらつきによって、整形された回折光にもムラが生じる場合があった。
本発明の課題は、光の利用効率が高く、また、光の入射角がずれた場合であっても、回折光への影響が少なく安定して所望の回折光を得ることができ、さらに、回折光のムラが少ない回折光学素子、光照射装置を提供することである。
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
第1の発明は、光を整形する回折光学素子(10,20,30,40)であって、断面形状において複数の凸部(11a,21a,31a,41a等の形状)が並んで配置されている高屈折率部(11,21,31,41)と、前記高屈折率部(11,21,31,41)よりも屈折率が低く、少なくとも前記凸部(11a,21a,31a,41a等の形状)の間に形成されている凹部(12)を含む低屈折率部(14)と、を有する回折層(15,25,35,45)を備え、前記凸部(11a,21a,31a,41a)は、その側面形状の少なくとも一方側に、高さの異なる複数の段部(11a−1,11a−2,11a−3,11a−4,21a−1,21a−2,21a−3,21a−4,31a−1,31a−2,31a−3,31a−4,41a−1,41a−2,41a−3,41a−4)を備えた多段階形状を有しており、前記凸部(11a,21a,31a,41a)の側面形状は、前記回折層(15,25,35,45)を含む平面に対して傾いた傾斜部(11b,11c,11d,21b,21c,21d,31b,31c,31d,41b,41c,41d)を少なくとも一部に備える回折光学素子(10,20,30,40)である。
第2の発明は、第1の発明に記載の回折光学素子(10,20,30,40)において、前記凸部(11a,21a,31a,41a)の側面形状は、前記凸部(11a,21a,31a,41a)の先端部から根元部(11f,21f,31f,41f)に向かって前記凸部(11a,21a,31a,41a)の幅が広がる向きに傾斜した第1の傾斜部(11b,21b,31b,41b)を備えること、を特徴とする回折光学素子(10,20,30,40)である。
第3の発明は、第2の発明に記載の回折光学素子において、前記第1の傾斜部(11b,21b,31b,41b)から前記根元部(11f,21f,31f,41f)に向かって前記回折層(15,25,35,45)に垂直な向きに延在する垂直部を備えること、を特徴とする回折光学素子である。
第4の発明は、第2の発明に記載の回折光学素子(10,20,30,40)において、前記第1の傾斜部(11b,21b,31b,41b)から前記根元部(11f,21f,31f,41f)に向かって前記凸部(11a,21a,31a,41a)の幅が狭くなる向きに傾斜した第2の傾斜部(11c,21c,31c,41c)と、前記第2の傾斜部(11c,21c,31c,41c)からさらに前記根元部(11f,21f,31f,41f)に向かって前記凸部(11a,21a,31a,41a)の幅が広がる向きに傾斜した第3の傾斜部(11d,21d,31d,41d)と、を備えること、を特徴とする回折光学素子(10,20,30,40)である。
第5の発明は、第4の発明に記載の回折光学素子において、前記第2の傾斜部(11c,21c,31c,41c)と前記第3の傾斜部(11d,21d,31d,41d)とが繋がるくびれ部分の幅は、1つの段部の幅としてみたときに、当該段部の頂部(11e,21e,31e,41e)の幅よりも広いこと、を特徴とする回折光学素子である。
第6の発明は、第1の発明から第5の発明までのいずれか1項に記載の回折光学素子(10,30,40)において、前記多段階形状の稜線(11j,11k,31j,31k,41k)の少なくとも1つは、角を持たずに傾斜していること、を特徴とする回折光学素子(10,30,40)である。
第7の発明は、第1の発明から第6の発明までのいずれか1項に記載の回折光学素子(10,20,30,40)において、前記多段階形状の隣り合う段部の境界の少なくとも1つに、各段部の幅よりも狭い幅で鋭角に突出、又は、鋭角に窪んで形成された鋭角部(11g,11h,21h,21i,31i,41i)を備えること、を特徴とする回折光学素子(10,20,30,40)である。
第8の発明は、第1の発明から第7の発明までのいずれか1項に記載の回折光学素子(10,20,30,40)において、前記高屈折率部(11,21,31,41)は、電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化したものであること、を特徴とする回折光学素子(10,20,30,40)である。
第9の発明は、第1の発明から第8の発明までのいずれか1項に記載の回折光学素子(10,20,30,40)において、前記低屈折率部(14)は、空気であること、を特徴とする回折光学素子(10,20,30,40)である。
第10の発明は、第1の発明から第9の発明までのいずれか1項に記載の回折光学素子(10)において、透明基材(61)と、前記回折層(15,25,35,45)と、前記回折層(15,25,35,45)を被覆する被覆層(62,63)とが、この順番で積層されていること、を特徴とする回折光学素子(10)である。
第11の発明は、第1の発明から第10の発明までのいずれか1項に記載の回折光学素子(10,20,30,40)において、前記回折層(15,25,35,45)は、波長780nm以上の赤外線を回折すること、を特徴とする回折光学素子(10,20,30,40)である。
第12の発明は、第11の発明に記載の回折光学素子(10,20,30,40)において、前記凸部(11a,21a,31a,41a)の高さは650nm以上であること、を特徴とする回折光学素子(10,20,30,40)である。
第13の発明は、光源(L)と、前記光源(L)が発光する光が通過する位置に少なくとも1つ配置された、第1の発明から第12の発明までのいずれか1項に記載の回折光学素子(10,20,30,40)と、を備える光照射装置である。
第14の発明は、第13の発明に記載の光照射装置において、前記光源(L)は、波長780nm以上の赤外線を発光できること、を特徴とする光照射装置である。
本発明によれば、光の利用効率が高く、また、光の入射角がずれた場合であっても、回折光への影響が少なく安定して所望の回折光を得ることができ、さらに、回折光のムラが少ない回折光学素子、光照射装置を提供することができる。
本発明による回折光学素子の第1実施形態を示す平面図である。 図1の回折光学素子の例における部分周期構造の一例を示す斜視図である。 図2中の矢印G−G’の位置で回折光学素子を切断した断面図である。 凸部11aを拡大して示した図である。 第2実施形態の回折光学素子20を図3と同様な断面で示した図である。 凸部21aを拡大して示した図である。 第3実施形態の回折光学素子30を図3と同様な断面で示した図である。 凸部31aを拡大して示した図である。 第4実施形態の回折光学素子40を図3と同様な断面で示した図である。 凸部41aを拡大して示した図である。 比較例の回折光学素子を図3等と同様に示した断面図である。 評価の状況を示す図である。 本発明の回折光学素子が比較例の回折光学素子よりも反射光が少なくなる理由を説明する図である。 入射角度の変化と回折光との関係を単純化して模式的に示した図である。 回折光学素子を説明する図である。 回折光学素子の変形形態として、透明基材を設けている例を示す図である。 回折光学素子の変形形態として、透明基材、及び、被覆層を設けている例を示す図である。 回折光学素子の変形形態として、透明基材、及び、被覆層を設けている例を示す図である。 第5実施形態の回折光学素子70を図3と同様な断面で示した図である。 第5実施形態の回折光学素子70を実際に作製したものを拡大した写真である。 凸部71aを拡大して示した図である。 シミュレーション用に作成した第5実施形態の回折光学素子70を模した計算用モデルの形状を示す図である。 比較例の回折光学素子50と第5実施形態の回折光学素子70とのシミュレーション結果を示す図である。 くびれ部分71bが形成されていない回折光学素子70Bのモデルを示す図である。 回折効率について、くびれ部分71bが形成されていない回折光学素子70Bのシミュレーション結果を、第5実施形態の回折光学素子70のシミュレーション結果と併せて示した図である。 窪み部71cが形成されていない回折光学素子70Cのモデルを示す図である。 30°斜め入射における回折効率について、窪み部71cが形成されていない回折光学素子70Cのシミュレーション結果を、第5実施形態の回折光学素子70のシミュレーション結果と併せて示した図である。 第6実施形態の回折光学素子80を図3と同様な断面で示した図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面等を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明による回折光学素子の第1実施形態を示す平面図である。
図2は、図1の回折光学素子の例における部分周期構造の一例を示す斜視図である。
図3は、図2中の矢印G−G’の位置で回折光学素子を切断した断面図である。
なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張して示している。
また、以下の説明では、具体的な数値、形状、材料等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
なお、本発明において用いる、形状や幾何学的条件、及び、それらの程度を特定する用語、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。また、この明細書における「平面視」とは、回折光学素子の板面に対し垂直方向であって、微細形状が形成されている側から視認することを意味する。すなわち、回折光学素子の回折層を有する面に対して垂直方向から視認することに相当する(図2中のZ軸のプラス側から視認した状態であって、図1のような平面図が視認されることになる)。
また、本発明において「光を整形する」とは、光の進行方向を制御することにより、対象物又は対象領域に投影された光の形状(照射領域)が任意の形状となるようにすることをいう。例えば、図15の例に示されるように、平面形状のスクリーン200に直接投影した場合に照射領域202が円形となる光201(図15(b))を用意する。この光201を、本発明の回折光学素子10を透過させることにより、照射領域204が正方形(図15(a))や、長方形、円形(図示せず)等、目的の形状とすることを、「光を整形する」いう。
また、本発明において透明とは、少なくとも利用する波長の光を透過するものをいう。例えば、仮に可視光を透過しないものであっても、赤外線を透過するものであれば、赤外線用途に用いる場合においては、透明として取り扱うものとする。
第1実施形態の回折光学素子10は、光を整形する回折光学素子(DOE)である。回折光学素子10は、波長が980nmの赤外レーザーに対して十文字形状、具体的には±50度に、幅が±3.3度で広がる光の帯が2本公差した形状に光を広げるように設計されている。
第1実施形態の回折光学素子10は、図1に示したA,B,C,Dのそれぞれの位置において深さが異なっている。すなわち、回折光学素子10は、4段階の高さの異なる多段階形状により構成されている。そして、回折光学素子10は、通常、異なる周期構造を持つ複数の領域(部分周期構造:例えば、図1のE,F領域)を有している。図2では、部分周期構造の一例を抽出して示している。
回折光学素子10は、図3に示すように、断面形状において複数の凸部11aが並んで配置されている高屈折率部11を備えている。この高屈折率部11は、同じ断面形状を維持したまま、断面の奥行き方向に延在している。
高屈折率部11は、例えば、クオーツ(SiO、合成石英)をドライエッチング処理により形状を加工して作られたものであってもよいし、電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化したものであってもよい。このような周期構造の製造方法は、様々な手法が公知であり、それら公知の手法によって、適宜作成することができる。そして、以下に説明する本願に特徴的な傾斜部等の形状は、主にドライエッチング処理の各種条件を調整することによって実現されるものである。
また、凸部11aの間に形成されている凹部12及び凸部11aの頂部付近の空間13を含む図3の上方の部分は、空気が存在しており、高屈折率部11よりも屈折率が低い低屈折率部14となっている。これら高屈折率部11及び低屈折率部14が交互に並んで配置された周期構造により、光を整形する作用を備える回折層15が構成されている。
図4は、凸部11aを拡大して示した図である。
凸部11aは、側面形状の一方側(図4では、左側)に、高さの異なる4つの段部を備えた多段階形状を有している。具体的には、凸部11aは、最も突出したレベル1段部11a−1と、レベル1段部11a−1よりも一段低いレベル2段部11a−2と、レベル2段部11a−2よりもさらに一段低いレベル3段部11a−3と、レベル3段部11a−3よりもさらに一段低いレベル4段部11a−4とを一側面側に有している。
また、凸部11aの段部とは反対側(図4では、右側)の側面形状は、回折層15を含む平面Pに対して傾いた傾斜部を複数備えている。具体的には、凸部11aには、第1の傾斜部11bと、第2の傾斜部11cと、第3の傾斜部11dとが設けられている。
第1の傾斜部11bは、レベル1段部11a−1の先端部11eから根元部11fに向かって凸部11aの幅が広がる向きに傾斜した曲面により構成された斜面である。この第1の傾斜部11bの斜面を含めて、斜面とは、曲面により構成されているものを主に示し、これを説明する。しかし、これらの斜面は、平面により構成されている部分を含んでいてもよい。
第2の傾斜部11cは、第1の傾斜部11bから根元部11fに向かって凸部11aの幅が狭くなる向きに傾斜した曲面により構成された斜面である。
第3の傾斜部11dは、第2の傾斜部11cからさらに根元部11fに向かって凸部11aの幅が広がる向きに傾斜した曲面により構成された斜面である。
また、凸部11aは、鋭角部11g、11h、11iを備えている。
鋭角部11gは、隣り合うレベル2段部11a−2とレベル3段部11a−3との境界にあって、レベル2段部11a−2及びレベル3段部11a−3の幅よりも狭い幅で鋭角に低屈折率部14側へ向けて突出している。
鋭角部11hは、隣り合うレベル3段部11a−3とレベル4段部11a−4との境界にあって、レベル3段部11a−3及びレベル4段部11a−4の幅よりも狭い幅で鋭角に低屈折率部14側へ向けて突出している。
鋭角部11iは、隣り合うレベル3段部11a−3とレベル4段部11a−4との境界にあって、レベル3段部11a−3及びレベル4段部11a−4の幅よりも狭い幅で鋭角に低屈折率部14側から高屈折率部11側へ向けて窪んで形成されている。
また、レベル1段部11a−1とレベル2段部11a−2との間の壁部11mと、レベル2段部11a−2とレベル3段部11a−3との間の壁部11nと、レベル3段部11a−3とレベル4段部11a−4との間の壁部11oとは、いずれも低屈折率部14側から高屈折率部11側へ向かって凸部11aの幅が広がる向きに傾斜した斜面として構成されている。
さらに、凸部11aの多段階形状の稜線のうち、稜線11j及び稜線11kは、丸められていることから、角を持たずに傾斜している。
稜線11jは、レベル3段部11a−3と鋭角部11iとの間の稜線であり、稜線の角が丸められて、角を持たずに傾斜した形態となっている。この稜線11jについては、近くに鋭角部11hが形成されているために、レベル3段部11a−3と鋭角部11hとの間の稜線とも捉えることができるが、鋭角部11hは、追加的に設けられているものであるので、この鋭角部11hを考慮せずに、レベル3段部11a−3と鋭角部11iとの間の稜線を丸めた形状として捉えるべきものである。
稜線11kは、レベル4段部11a−4と鋭角部11iとの間の稜線であり、稜線の角が丸められて、角を持たずに傾斜した形態となっている。なお、この稜線11kについては、鋭角部11iが形成されていないと、そもそも角が存在せず、隅となる部分である。
例えば、980nmのレーザー光に対し、材質を石英とし、長辺±50°×短辺±3.3°に広がる矩形の拡散形状を4−levelで設計する場合には、回折格子の最適深さは1633nm、ピッチは1280nm、突起部の幅は960nmとなる。
これらの設計は、例えば厳密結合波解析(RCWA)アルゴリズムを用いたGratingMOD(Rsoft社製)や、反復フーリエ変換アルゴリズム(IFTA)を用いたVirtuallab(LightTrans社製)などの各種シミュレーションツールを用いて行うことができる。
また、凸部11aの高さは、650nm以上であることが望ましい。これは、波長780nm、屈折率1.6で計算した場合、2−levelでは650nm、4−levelでは975nm、8−levelでは1137nmの凸部11aの高さが必要になるからである。
上述したように、先端部11eから、第1の傾斜部11bと、第2の傾斜部11cと、第3の傾斜部11dとが繋がって設けられていることにより、凸部11aは、その幅が、先端部11eから根元部11fに向かって広がっていき、次に狭まっていき、第2の傾斜部11cと第3の傾斜部11dとの境界部分で、1つの段部、すなわち、レベル1段部11a−1の幅としてみたときに、幅が最も狭くなって、くびれ部分が形成され、第3の傾斜部11dで幅が広がって根元部11fに達する。したがって、凸部11aの段部とは反対側(図4では、右側)の側面形状は、その断面形状を詳細にみると、向きが異なる複数の斜面を組み合わせて構成されている。
また、凸部11aの段部側には、鋭角部11g、11h、11iと、角が丸められて角を持たない傾斜した面に構成された稜線11j及び稜線11kが設けられている。
このように、第1実施形態の回折光学素子10は、全体としてみると、従来の回折光学素子の形状と同様な多段階形状を備えているが、その断面形状を詳細にみると、様々な斜面や曲面を組み合わせて構成されている。
第1実施形態の回折光学素子10の作用及び効果については、他の実施形態及び比較例と比べた評価結果を参照しながら後述する。
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態の回折光学素子20を図3と同様な断面で示した図である。
第2実施形態の回折光学素子20は、凸部21aの形状が第1実施形態の回折光学素子10と異なる他は、第1実施形態と同様な形態をしている。よって、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
回折光学素子20は、凸部21aを有する高屈折率部21と、凹部12及び空間13を含む低屈折率部14とを備え、高屈折率部21及び低屈折率部14が交互に並んで配置された周期構造により、光を整形する作用を備える回折層25が構成されている。
凸部21aは、形状が異なる他は、第1実施形態の凸部11aと同様である。以下、凸部21aの形状について説明する。
図6は、凸部21aを拡大して示した図である。
凸部21aは、側面形状の一方側(図6では、左側)に、高さの異なる4つの段部を備えた多段階形状を有している。具体的には、凸部21aは、最も突出したレベル1段部21a−1と、レベル1段部21a−1よりも一段低いレベル2段部21a−2と、レベル2段部21a−2よりもさらに一段低いレベル3段部21a−3と、レベル3段部21a−3よりもさらに一段低いレベル4段部21a−4とを一側面側に有している。
また、凸部21aの段部とは反対側(図6では、右側)の側面形状は、回折層25を含む平面Pに対して傾いた傾斜部を複数備えている。具体的には、凸部21aには、第1の傾斜部21bと、第2の傾斜部21cと、第3の傾斜部21dとが設けられている。
第1の傾斜部21bは、レベル1段部21a−1の先端部21eから根元部21fに向かって凸部21aの幅が広がる向きに傾斜した曲面により構成された斜面である。この第1の傾斜部21bの斜面を含めて、斜面とは、曲面により構成されているものを主に示し、これを説明する。しかし、これらの斜面は、平面により構成されている部分を含んでいてもよい。
第2の傾斜部21cは、第1の傾斜部21bから根元部21fに向かって凸部21aの幅が狭くなる向きに傾斜した曲面により構成された斜面である。
第3の傾斜部21dは、第2の傾斜部21cからさらに根元部21fに向かって凸部21aの幅が広がる向きに傾斜した曲面により構成された斜面である。
また、凸部21aは、鋭角部21g、21h、21iを備えている。
鋭角部21gは、隣り合うレベル1段部21a−1とレベル2段部21a−2との境界の角部にあって、レベル1段部21a−1及びレベル2段部21a−2の幅よりも狭い幅で鋭角に低屈折率部14側へ向けて突出している。
鋭角部21hは、隣り合うレベル1段部21a−1とレベル2段部21a−2との境界の隅部にあって、レベル1段部21a−1及びレベル2段部21a−2の幅よりも狭い幅で鋭角に低屈折率部14側から高屈折率部11側へ向けて窪んで形成されている。
鋭角部21iは、隣り合うレベル2段部21a−2とレベル3段部21a−3との境界にあって、レベル2段部21a−2及びレベル3段部21a−3の幅よりも狭い幅で鋭角に低屈折率部14側から高屈折率部11側へ向けて窪んで形成されている。
また、レベル1段部21a−1とレベル2段部21a−2との間の壁部21mと、レベル2段部21a−2とレベル3段部21a−3との間の壁部21nと、レベル3段部21a−3とレベル4段部21a−4との間の壁部21oとは、いずれも低屈折率部14側から高屈折率部21側へ向かって凸部21aの幅が広がる向きに傾斜した斜面として構成されている。
また、レベル1段部21a−1の先端部21e及びレベル2段部21a−2の先端部21jは、高屈折率部21側へ凹んだ曲面状の傾斜面に形成されている。
なお、第2実施形態の回折光学素子20の形状は、第1実施形態の回折光学素子10の逆版形状となっている。よって、第2実施形態の回折光学素子20の作製は、第1実施形態の回折光学素子10を作製した後、この回折光学素子10から型取りを行って逆版1を作製する。そして、この逆版1をさらに型取りして逆版2を作製し、この逆版2を用いて、電離放射線硬化型樹脂による賦型を行って、回折光学素子20が得られる。
第2実施形態の回折光学素子20の作用及び効果についても、他の実施形態及び比較例と比べた評価結果を参照しながら後述する。
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態の回折光学素子30を図3と同様な断面で示した図である。
第3実施形態の回折光学素子30は、凸部31aの形状が第1実施形態の回折光学素子10と異なる他は、第1実施形態と同様な形態をしている。よって、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
回折光学素子30は、凸部31aを有する高屈折率部31と、凹部12及び空間13を含む低屈折率部14とを備え、高屈折率部31及び低屈折率部14が交互に並んで配置された周期構造により、光を整形する作用を備える回折層35が構成されている。
凸部31aは、形状が異なる他は、第1実施形態の凸部11aと同様である。以下、凸部31aの形状について説明する。
図8は、凸部31aを拡大して示した図である。
凸部31aは、側面形状の一方側(図8では、左側)に、高さの異なる4つの段部を備えた多段階形状を有している。具体的には、凸部31aは、最も突出したレベル1段部31a−1と、レベル1段部31a−1よりも一段低いレベル2段部31a−2と、レベル2段部31a−2よりもさらに一段低いレベル3段部31a−3と、レベル3段部31a−3よりもさらに一段低いレベル4段部31a−4とを一側面側に有している。
また、凸部31aの段部とは反対側(図8では、右側)の側面形状は、回折層35を含む平面Pに対して傾いた傾斜部を複数備えている。具体的には、凸部31aには、第1の傾斜部31bと、第2の傾斜部31cと、第3の傾斜部31dとが設けられている。
第1の傾斜部31bは、レベル1段部31a−1の先端部31eから根元部31fに向かって凸部31aの幅が広がる向きに傾斜した曲面により構成された斜面である。この第1の傾斜部31bの斜面を含めて、斜面とは、曲面により構成されているものを主に示し、これを説明する。しかし、これらの斜面は、平面により構成されている部分を含んでいてもよい。
第2の傾斜部31cは、第1の傾斜部31bから根元部31fに向かって凸部31aの幅が狭くなる向きに傾斜した曲面により構成された斜面である。
第3の傾斜部31dは、第2の傾斜部31cからさらに根元部31fに向かって凸部31aの幅が広がる向きに傾斜した曲面により構成された斜面である。
また、凸部31aは、鋭角部31iを備えている。
鋭角部31iは、隣り合うレベル3段部31a−3とレベル4段部31a−4との境界にあって、レベル3段部31a−3及びレベル4段部31a−4の幅よりも狭い幅で鋭角に低屈折率部14側から高屈折率部31側へ向けて窪んで形成されている。
また、レベル1段部31a−1とレベル2段部31a−2との間の壁部31mと、レベル2段部31a−2とレベル3段部31a−3との間の壁部31nと、レベル3段部31a−3とレベル4段部31a−4との間の壁部31oとは、いずれも低屈折率部14側から高屈折率部31側へ向かって凸部31aの幅が広がる向きに傾斜した斜面として構成されている。
さらに、凸部31aの多段階形状の稜線のうち、稜線31j及び稜線31kは、丸められていることから、角を持たずに傾斜している。
稜線31jは、レベル3段部31a−3と鋭角部31iとの間の稜線であり、稜線の角が丸められて、角を持たずに傾斜した形態となっている。
稜線31kは、レベル4段部31a−4と鋭角部31iとの間の稜線であり、稜線の角が丸められて、角を持たずに傾斜した形態となっている。なお、この稜線31kについては、鋭角部31iが形成されていないと、そもそも角が存在せず、隅となる部分である。
第3実施形態の回折光学素子30の作用及び効果についても、他の実施形態及び比較例と比べた評価結果を参照しながら後述する。
(第4実施形態)
図9は、第4実施形態の回折光学素子40を図3と同様な断面で示した図である。
第4実施形態の回折光学素子40は、凸部41aの形状が第1実施形態の回折光学素子10と異なる他は、第1実施形態と同様な形態をしている。よって、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
回折光学素子40は、凸部41aを有する高屈折率部41と、凹部12及び空間13を含む低屈折率部14とを備え、高屈折率部41及び低屈折率部14が交互に並んで配置された周期構造により、光を整形する作用を備える回折層45が構成されている。
凸部41aは、形状が異なる他は、第1実施形態の凸部11aと同様である。以下、凸部41aの形状について説明する。
図10は、凸部41aを拡大して示した図である。
凸部41aは、側面形状の一方側(図10では、左側)に、高さの異なる4つの段部を備えた多段階形状を有している。具体的には、凸部41aは、最も突出したレベル1段部41a−1と、レベル1段部41a−1よりも一段低いレベル2段部41a−2と、レベル2段部41a−2よりもさらに一段低いレベル3段部41a−3と、レベル3段部41a−3よりもさらに一段低いレベル4段部41a−4とを一側面側に有している。
また、凸部41aの段部とは反対側(図10では、右側)の側面形状は、回折層45を含む平面Pに対して傾いた傾斜部を複数備えている。具体的には、凸部41aには、第1の傾斜部41bと、第2の傾斜部41cと、第3の傾斜部41dとが設けられている。
第1の傾斜部41bは、レベル1段部41a−1の先端部41eから根元部41fに向かって凸部41aの幅が広がる向きに傾斜した曲面により構成された斜面である。この第1の傾斜部41bの斜面を含めて、斜面とは、曲面により構成されているものを主に示し、これを説明する。しかし、これらの斜面は、平面により構成されている部分を含んでいてもよい。
第2の傾斜部41cは、第1の傾斜部41bから根元部41fに向かって凸部41aの幅が狭くなる向きに傾斜した曲面により構成された斜面である。
第3の傾斜部41dは、第2の傾斜部41cからさらに根元部41fに向かって凸部41aの幅が広がる向きに傾斜した曲面により構成された斜面である。
また、凸部41aは、鋭角部41iを備えている。
鋭角部41iは、隣り合うレベル3段部41a−3とレベル4段部41a−4との境界にあって、レベル3段部41a−3及びレベル4段部41a−4の幅よりも狭い幅で鋭角に低屈折率部14側から高屈折率部41側へ向けて窪んで形成されている。
また、レベル1段部41a−1とレベル2段部41a−2との間の壁部41mと、レベル2段部41a−2とレベル3段部41a−3との間の壁部41nと、レベル3段部41a−3とレベル4段部41a−4との間の壁部41oとは、いずれも低屈折率部14側から高屈折率部41側へ向かって凸部41aの幅が広がる向きに傾斜した斜面として構成されている。
さらに、稜線41kは、レベル4段部41a−4と鋭角部41iとの間の稜線であり、稜線の角が丸められて、角を持たずに傾斜した形態となっている。なお、この稜線31kについては、鋭角部31iが形成されていないと、そもそも角が存在せず、隅となる部分である。
第4実施形態の回折光学素子40の作用及び効果についても、他の実施形態及び比較例と比べた評価結果を参照しながら後述する。
(各実施形態の作用及び効果)
次に、上記各実施形態の作用と効果について、比較例と比較しながら説明する。
各実施形態の回折光学素子の作用及び硬化を確認するために、本発明の構成を適用していない比較例を用意した。
図11は、比較例の回折光学素子を図3等と同様に示した断面図である。
比較例の回折光学素子50は、各実施形態の回折光学素子が備えている傾斜部を備えず、略完全な矩形形状を組み合わせた多段形状として構成されている。なお、比較例の回折光学素子50は、各実施形態の回折光学素子と同じく、波長が980nmの赤外レーザーに対して具体的には±50度に、幅が±3.3度で広がる光の帯が2本公差した十文字形状に光を広げるように設計されている。
図12は、評価の状況を示す図である。
第1実施形態の回折光学素子10から第4実施形態の回折光学素子40と、比較例の回折光学素子50の、合計4種類の回折光学素子に対して、図12に示すような状況で回折光の形状と反射光の確認を行った。
スクリーンSとしては、市販のコピー用紙を用いた。
赤外線カメラCAM1,CAM2は、980nmの波長を検出できるRadiant Zemax社のPrometricを用いた。赤外線カメラCAM1,CAM2には、ノイズを防ぐため可視光カットフィルターを取り付けて測定した。
光源Lは、波長980nmの赤外レーザーをDOE(回折光学素子10から回折光学素子40、及び比較例の回折光学素子50)に対し1度傾けて照射するように設定した。なお、この光源Lと、光源Lが発光する光が通過する位置に上記回折光学素子10〜40のいずれかが配置されることにより、光照射装置が構成されている。
この条件で、回折光学素子(DOE)の表面で反射する光、及び、スクリーンSに投影される光を、それぞれ赤外線カメラCAM1,CAM2で観察し、比較を行った。
また、赤外レーザーの入射角度を1±1度で変動させたときのスクリーン投影形状の変動についても確認した。その結果を表1に示す。
表1の結果を見ると、1度入射による投影形状については、第1実施形態から第4実施形態のように傾斜部を設けたものでは、比較例と同等か、それ以上の良好な結果が得られていることがわかる。特に、第1実施形態の回折光学素子10及び第2実施形態の回折光学素子20について、良好な結果が得られている。これは、第1実施形態及び第2実施形態では、鋭角部が多く形成されており、この鋭角部があることにより、急激な形状の変化点が形成されており、これにより高次回折光が発生して、多段階形状の寸法のばらつきに起因して発生してしまう配光ムラが緩和されているからである。
次に、表1の1度入射によるDOE反射光の弱さについては、第1実施形態から第4実施形態の方が、比較例よりも良好な結果、すなわち、反射光が弱いという結果が得られている。この結果について説明する。
図13は、本発明の回折光学素子が比較例の回折光学素子よりも反射光が少なくなる理由を説明する図である。
図13では、断面形状の位置に合せて、見かけの屈折率の変化をグラフとして併記している。図13(a)は、比較例の回折光学素子50の場合であり、図13(b)は、第3実施形態の回折光学素子30の場合を示している。
比較例の回折光学素子50では、形状の変化が急激になるので、見かけ上の屈折率も急激に変化しているのに対して、第3実施形態の回折光学素子30では、傾斜部が設けられていることから、形状の変化が急激ではなく、したがって、見かけ上の屈折率の変化も緩やかな変化となっている。屈折率が変化している界面で反射が発生するので、第3実施形態の回折光学素子30では、見かけ上の屈折率の変化が緩やかになっていることにより、界面の反射が抑制されているのである。なお、この現象は、第3実施形態の回折光学素子30以外の回折光学素子10,20,40においても同様である。ただし、表1の結果を見て分かるように、反射光の抑制効果は、第1実施形態の回折光学素子10〜第3実施形態の回折光学素子30の方が、第4実施形態の回折光学素子40よりも高い。これは、第1実施形態の回折光学素子10〜第3実施形態の回折光学素子30の方が、第4実施形態の回折光学素子40よりも斜面部が多く形成されているからである。
次に、表1の入射角度変動による投影形状の変化の少なさについても、第1実施形態から第4実施形態の方が、比較例よりも良好な結果、すなわち、反射光が弱いという結果が得られている。この結果について説明する。
図14は、入射角度の変化と回折光との関係を単純化して模式的に示した図である。
図14(a)は、比較例の回折光学素子50に設計位置である垂直方向からの光が入射したときの光の回折状態を示している。回折光学素子50に対して垂直に入射した光は、1次光として左右に均等に回折する。
図14(b)は、比較例の回折光学素子50に設計位置からずれた位置から光が入射したときの光の回折状態を示している。回折光学素子50に対し光が斜めから入射すると、この図14(b)のように、光の均等性が崩れてしまう。回折光学素子の光学設計は、通常は、図14(a)のような単純形状をベースになされているため、光の入射状態が変化してしまうと、回折光学素子全体としての光の回折状態が変化してしまう。
図14(c)は、第3実施形態の回折光学素子30に設計位置である垂直方向からの光が入射したときの光の回折状態を示している。断面形状の一部に傾斜部を設けた回折光学素子30でも、垂直に入射した光は、1次光として左右に均等に回折する。
図14(d)は、第3実施形態の回折光学素子30に設計位置からずれた位置から光が入射したときの光の回折状態を示している。断面形状の一部に傾斜部を設けた回折光学素子30では、光の入射方向が多少変動しても、光に対して垂直な面が必ず一部存在することになり、回折光の分布に影響を与えにくい。したがって、表1のように、投影形状の変化が少ないという結果が得られる。
なお、入射角度変動による投影形状の変化の少なさについて、第4実施形態の回折光学素子40が、比較例の回折光学素子50よりも良好な結果が得られているものの、他の実施形態よりも悪い結果が得られている。これは、第4実施形態の回折光学素子40が、他の実施形態よりも傾斜部が少なく、入射角度の影響を受ける部位が多いからである。
以上説明したように、第1実施形態から第4実施形態の回折光学素子10,20,30,40によれば、凸部に傾斜部を備えたので、界面で反射してしまう光を少なくすることができ、光の利用効率を高めることができる。
また、第1実施形態から第4実施形態の回折光学素子10,20,30,40によれば、凸部に傾斜部を備えたので、装置の組み付け精度や光源の性能ぶれ等の影響で入射角が変化することがあっても影響を受けにくく、回折光への影響が少なく安定して所望の回折光を得ることができる。
さらに、第1実施形態から第4実施形態の回折光学素子10,20,30,40によれば、鋭角部を備えたので、高次回折光が発生して、多段階形状の寸法のばらつきに起因して発生してしまう配光ムラを緩和することができる。
(第5実施形態)
図17は、第5実施形態の回折光学素子70を図3と同様な断面で示した図である。
第5実施形態の回折光学素子70は、凸部71aの形状が第1実施形態の回折光学素子10と異なる他は、第1実施形態と同様な形態をしている。よって、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
回折光学素子70は、凸部71aを有する高屈折率部71と、凹部12及び空間13を含む低屈折率部15とを備え、高屈折率部71及び低屈折率部15が交互に並んで配置された周期構造により、光を整形する作用を備える回折層55が構成されている。
凸部71aは、形状が異なる他は、第1実施形態の凸部11aと同様である。以下、凸部71aの形状について説明する。
図18は、第5実施形態の回折光学素子70を実際に作製したものを拡大した写真である。
図19は、凸部71aを拡大して示した図である。
凸部71aは、側面形状の一方側(図19では、左側)に、高さの異なる4つの段部を備えた多段階形状を有している。具体的には、凸部71aは、最も突出したレベル1段部71a−1と、レベル1段部71a−1よりも一段低いレベル2段部71a−2と、レベル2段部71a−2よりもさらに一段低いレベル3段部71a−3と、レベル3段部71a−3よりもさらに一段低いレベル4段部71a−4とを一側面側に有している。
また、凸部71aの段部とは反対側(図19では、右側)の側面形状は、凸部71aの内部方向(図19では左側)に向かって凹んだくびれ部分71bが設けられている。
さらに、レベル3段部71a−3とレベル4段部71a−4との境界の隅部分には、各段部の幅よりも狭い幅で断面形状が曲面状に窪んで形成された窪み部71cが設けられている。
さらに、各段部の隅部分には、隅R部(傾斜部)71d、71eが設けられている。
ここで、第5実施形態の回折光学素子70が、図11に示したような従来の典型的な階段形状に構成された比較例の回折光学素子50との比較において、光学特性にどのような違いがあるのかを説明する。
図20は、シミュレーション用に作成した第5実施形態の回折光学素子70を模した計算用モデルの形状を示す図である。
この形状と、図11に示した比較例の回折光学素子50の形状とで、回折効率の解析シミュレーションを行った。なお、図20中に示した回折光学素子70の深さDが、比較例の回折光学素子50のレベル4段部までの深さに相当する。
ここで、回折効率の解析シミュレーションには、厳密結合波理論(RCWA(rigorous coupled−wave analysis)に基づいた演算を用いた。RCWAは、数学的には、行列の固有値問題と一次方程式を解くことに帰着されるので、原理的な困難さはない。また、このRCWAに基づいた電磁場解析のシミュレーション結果と現実とでは、現物における形状エラー等を除けば、基本的に合致する。
また、比較例の回折光学素子50のシミュレーション条件としては、以下の条件により行った。
波長λ:850nm
高屈折率部の屈折率n:1.5
低屈折率部の屈折率:1.0
ピッチ:2000nm〜4000nm
多段階のレベル数P:4
なお、理想の溝深さは、ピッチによらず一定であり、以下の式により求めた値とした。
1段深さ=(P−1)/(P)×波長/(n−1)
P:レベル数
n:屈折率
本実施形態の回折光学素子70の条件は、上記条件に加えて、図20に示した形状の変更を行ったモデルを用いている。
また、くびれ部分71bのへこみ量は、ピッチの1.6%とし、窪み部71cのへこみ量は、ピッチの2.7%とした。
図21は、比較例の回折光学素子50と第5実施形態の回折光学素子70とのシミュレーション結果を示す図である。図21では、入射角0°での0次回折光強度を示している。
第5実施形態の回折光学素子70では、比較例の回折光学素子50と比べて、0次回折光強度が大きく低下しており、非常に良好な結果が得られている。この0次回折光強度を低下させる効果は、くびれ部分71b及び窪み部71cを設けることにより得られていると考えられる。
図22は、くびれ部分71bが形成されていない回折光学素子70Bのモデルを示す図である。
図22のシミュレーション用モデルは、図20のモデルからくびれ部分71bを除いて真っ直ぐな壁面として構成したものである。くびれ部分71bの回折効率への影響を調べるために、この図22に示したくびれ部分71bが形成されていないモデルを用いてシミュレーションを行った。
図23は、回折効率について、くびれ部分71bが形成されていない回折光学素子70Bのシミュレーション結果を、第5実施形態の回折光学素子70のシミュレーション結果と併せて示した図である。
第5実施形態の回折光学素子70では、くびれ部分71bが設けられていることから、特にピッチが2000nmから2600nm辺りにおいて、回折効率が高くなっている。よって、くびれ部分71bを設けることにより、特に狭いピッチにおける回折効率を上昇させることが可能である。
図24は、窪み部71cが形成されていない回折光学素子70Cのモデルを示す図である。
図24のシミュレーション用モデルは、図20のモデルから窪み部71cを除いて平坦面として構成したものである。窪み部71cの斜入射光に対する影響を調べるために、この図24に示した窪み部71cが形成されていないモデルを用いてシミュレーションを行った。
図25は、30°斜め入射における回折効率について、窪み部71cが形成されていない回折光学素子70Cのシミュレーション結果を、第5実施形態の回折光学素子70のシミュレーション結果と併せて示した図である。
第5実施形態の回折光学素子70では、窪み部71cが設けられていることから、特にピッチが2300nm以上の構成において、30°斜め入射における回折効率が高くなっている。よって、窪み部71cを設けることにより、特に広いピッチにおける斜め入射時の回折効率を上昇させることが可能である。
(第6実施形態)
図26は、第6実施形態の回折光学素子80を図3と同様な断面で示した図である。
第6実施形態の回折光学素子80は、第5実施形態の回折光学素子70を型取り反転した形状となっている。
第6実施形態の回折光学素子80では、くびれ部分81bと、突出部81cとを備えている。
第6実施形態の回折光学素子80のように、第5実施形態の回折光学素子70を型取り反転した形状としても、第5実施形態の回折光学素子70と同様な効果を得ることが可能である。
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)第1実施形態及び第2実施形態において、第2の傾斜部と第3の傾斜部とが繋がる部分におけるくびれ部分の幅は、1つの段部の幅としてみたときに、先端部と略同等か、若干狭い例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、第2の傾斜部と第3の傾斜部とが繋がる部分におけるくびれ部分の幅は、1つの段部の幅としてみたときに、凸部の先端部の幅よりも広く形成してもよい。
(2)各実施形態において、第1の傾斜部には、第2の傾斜部が繋がって形成されている例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、第1の傾斜部から根元部に向かって回折層に垂直な向きに延在する垂直部を備えてもよい。
(3)各実施形態において、回折光学素子は、高屈折率部のみで構成されている簡単な形態として示した。これに限らず例えば、高屈折率部を形成するための透明基材を設けてもよいし、回折層を被覆する被覆層を設けてもよい。
図16A、図16B、図16Cは、回折光学素子の変形形態として、透明基材を設けている例、及び、被覆層を設けている例を示す図である。
図16Aでは、透明基材61の上に、第1実施形態で示した回折光学素子10が形成されており、この全体が回折光学素子として構成されている。このように、透明基材61を設けることにより、樹脂賦型を利用した製造方法を用いることができ、製造を容易に行える。
図16Bでは、図16Aの形態に加えて、被覆層62をそのまま積層した形態とし、この全体が回折光学素子として構成されている。このような形態とすることにより、被覆層62を設けたことにより、凸形状を保護することができる。
図16Cでは、図16Aの形態に加えて、凹部にまで入り込む透明樹脂により被覆層63を形成し、この全体が回折光学素子として構成されている。この場合、被覆層63を形成する透明樹脂は、低屈折率部とするために、高屈折率部よりも屈折率の低い樹脂を用いる。このような形態とすることにより、凸形状をより効果的に保護することができる。
(4)各実施形態において、回折光学素子は、波長が980nmの赤外レーザーを回折するように設計されている例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、回折光学素子は、波長780nm以上の赤外線を回折するものであってもよいし、赤外光に限らず、可視光等、どのような波長の光を回折するものに本発明を適用してもよい。
(5)各実施形態において、光照射装置は、光源が波長980nmの赤外レーザーを発光する例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、光源が波長780nm以上の赤外光を発光するものとしてもよいし、赤外光に限らず、可視光等、どのような波長の光を発光する光源を光照射装置に適用してもよい。
なお、第1実施形態〜第4実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した各実施形態によって限定されることはない。
10 回折光学素子
11 高屈折率部
11a 凸部
11a−1 レベル1段部
11a−2 レベル2段部
11a−3 レベル3段部
11a−4 レベル4段部
11b 第1の傾斜部
11c 第2の傾斜部
11d 第3の傾斜部
11e 先端部
11f 根元部
11g 鋭角部
11h 鋭角部
11i 鋭角部
11j 稜線
11k 稜線
11m 壁部
11n 壁部
11o 壁部
12 凹部
13 空間
14 低屈折率部
15 回折層
20 回折光学素子
21 高屈折率部
21a 凸部
21a−1 レベル1段部
21a−2 レベル2段部
21a−3 レベル3段部
21a−4 レベル4段部
21b 第1の傾斜部
21c 第2の傾斜部
21d 第3の傾斜部
21e 先端部
21f 根元部
21g 鋭角部
21h 鋭角部
21i 鋭角部
21j 先端部
21m 壁部
21n 壁部
21o 壁部
25 回折層
30 回折光学素子
31 高屈折率部
31a 凸部
31a−1 レベル1段部
31a−2 レベル2段部
31a−3 レベル3段部
31a−4 レベル4段部
31b 第1の傾斜部
31c 第2の傾斜部
31d 第3の傾斜部
31e 先端部
31f 根元部
31i 鋭角部
31j 稜線
31k 稜線
31m 壁部
31n 壁部
31o 壁部
35 回折層
40 回折光学素子
41 高屈折率部
41a 凸部
41a−1 レベル1段部
41a−2 レベル2段部
41a−3 レベル3段部
41a−4 レベル4段部
41b 第1の傾斜部
41c 第2の傾斜部
41d 第3の傾斜部
41e 先端部
41f 根元部
41i 鋭角部
41k 稜線
41m 壁部
41n 壁部
41o 壁部
45 回折層
50 回折光学素子
61 透明基材
62 被覆層
63 被覆層
70 回折光学素子
71b くびれ部分
71c 窪み部
80 回折光学素子
81b くびれ部分
81c 窪み部
200 スクリーン
201 光
202 照射領域
204 照射領域
CAM1 赤外線カメラ
CAM2 赤外線カメラ
L 光源
P 平面
S スクリーン

Claims (18)

  1. 光を整形する回折光学素子であって、
    断面形状において複数の凸部が並んで配置されている高屈折率部と、
    前記高屈折率部よりも屈折率が低く、少なくとも前記凸部の間に形成されている凹部を含む低屈折率部と、
    を有する回折層を備え、
    前記凸部は、その側面形状の少なくとも一方側に、高さの異なる複数の段部を備えた多段階形状を有しており、
    前記凸部の側面形状は、前記回折層を含む平面に対して傾いた傾斜部を少なくとも一部に備える回折光学素子。
  2. 請求項1に記載の回折光学素子において、
    前記凸部の側面形状は、前記凸部の先端部から根元部に向かって前記凸部の幅が広がる向きに傾斜した第1の傾斜部を備えること、
    を特徴とする回折光学素子。
  3. 請求項2に記載の回折光学素子において、
    前記第1の傾斜部から前記根元部に向かって前記回折層に垂直な向きに延在する垂直部を備えること、
    を特徴とする回折光学素子。
  4. 請求項2に記載の回折光学素子において、
    前記第1の傾斜部から前記根元部に向かって前記凸部の幅が狭くなる向きに傾斜した第2の傾斜部と、
    前記第2の傾斜部からさらに前記根元部に向かって前記凸部の幅が広がる向きに傾斜した第3の傾斜部と、
    を備えること、
    を特徴とする回折光学素子。
  5. 請求項4に記載の回折光学素子において、
    前記第2の傾斜部と前記第3の傾斜部とが繋がるくびれ部分の幅は、1つの段部の幅としてみたときに、当該段部の頂部の幅よりも広いこと、
    を特徴とする回折光学素子。
  6. 請求項1に記載の回折光学素子において、
    前記凸部の側面形状は、一部が前記凸部の内部方向に向かって凹んだくびれ部分を備えること、
    を特徴とする回折光学素子。
  7. 光を整形する回折光学素子であって、
    断面形状において複数の凸部が並んで配置されている高屈折率部と、
    前記高屈折率部よりも屈折率が低く、少なくとも前記凸部の間に形成されている凹部を含む低屈折率部と、
    を有する回折層を備え、
    前記凸部は、その側面形状の少なくとも一方側に、高さの異なる複数の段部を備えた多段階形状を有しており、
    前記凸部の側面形状は、一部が前記凸部の内部方向に向かって凹んだくびれ部分を備える
    回折光学素子。
  8. 請求項6又は請求項7に記載の回折光学素子において、
    前記くびれ部分の幅は、1つの段部の幅としてみたときに、当該段部の頂部の幅の1/2以上あること、
    を特徴とする回折光学素子。
  9. 請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の回折光学素子において、
    前記多段階形状の稜線の少なくとも1つは、角を持たずに傾斜していること、
    を特徴とする回折光学素子。
  10. 請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の回折光学素子において、
    前記多段階形状の隣り合う段部の境界の少なくとも1つに、各段部の幅よりも狭い幅で断面形状が鋭角に突出、又は、断面形状が鋭角に窪んで形成された鋭角部を備えること、
    を特徴とする回折光学素子。
  11. 請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の回折光学素子において、
    前記多段階形状の隣り合う段部の境界の少なくとも1つに、各段部の幅よりも狭い幅で断面形状が曲面状に突出した突出部、又は、断面形状が曲面状に窪んで形成された窪み部を備えること、
    を特徴とする回折光学素子。
  12. 請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の回折光学素子において、
    前記高屈折率部は、電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化したものであること、
    を特徴とする回折光学素子。
  13. 請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載の回折光学素子において、
    前記低屈折率部は、空気であること、
    を特徴とする回折光学素子。
  14. 請求項1から請求項13までのいずれか1項に記載の回折光学素子において、
    透明基材と、前記回折層と、前記回折層を被覆する被覆層とが、この順番で積層されていること、
    を特徴とする回折光学素子。
  15. 請求項1から請求項14までのいずれか1項に記載の回折光学素子において、
    前記回折層は、波長780nm以上の赤外線を回折すること、
    を特徴とする回折光学素子。
  16. 請求項15に記載の回折光学素子において、
    前記凸部の高さは650nm以上であること、
    を特徴とする回折光学素子。
  17. 光源と、
    前記光源が発光する光が通過する位置に少なくとも1つ配置された、請求項1から請求項16までのいずれか1項に記載の回折光学素子と、
    を備える光照射装置。
  18. 請求項17に記載の光照射装置において、
    前記光源は、波長780nm以上の赤外線を発光できること、
    を特徴とする光照射装置。
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