JP2018022054A - 液晶シール剤及びそれを用いた液晶表示セル - Google Patents
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Abstract
Description
この光熱硬化型の液晶滴下工法用液晶シール剤が実用化されたことによって、液晶滴下工法は、一般的に用いられる工法となった。
こういった背景から、液晶滴下工法用液晶シール剤に対しても、基板のたわみ等に追従するような、すなわち硬化後においても柔軟であるという性質が要求されつつある。
即ち本発明は、次の1)〜14)に関するものである。
なお本明細書において、「(メタ)アクリル」と記載した場合には、「アクリル」及び/又は「メタクリル」を意味するものとする。また「液晶滴下工法用液晶シール剤」は、単に「液晶シール剤」と記載する場合もある。
また上付きのRTMは登録商標を意味する。
少なくとも1種類の(A)分子内にエポキシ基及びアクリロイル基を有する化合物を含有し、DMA法によって測定したガラス転位温度が90℃以下であり、tanδが0.5以上である液晶滴下工法用液晶シール剤。
2)
上記(A)が、部分エポキシ(メタ)アクリレート化合物である上記1)に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
3)
更に、(B)熱ラジカル重合開始剤を含有する上記1)又は2)に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
4)
更に、(C)(メタ)アクリル化合物を含有する上記1)及至3)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
5)
更に、(D)有機フィラーを含有する上記1)及至4)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
6)
前記成分(D)が、ウレタン微粒子、アクリル微粒子、スチレン微粒子、スチレンオレフィン微粒子、及びシリコーン微粒子からなる群より選択される1又は2以上の有機フィラーである上記5)に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
7)
更に、(E)無機フィラーを含有する上記1)及至6)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
8)
更に、(F)シランカップリング剤を含有する上記1)及至7)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
9)
更に、(G)エポキシ化合物を含有する上記1)及至8)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
10)
更に、(H)熱硬化剤を含有する上記1)及至9)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
11)
上記成分(H)が有機酸ヒドラジド化合物である上記10)に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
12)
更に、(I)光ラジカル重合開始剤を含有する上記1)及至11)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
13)
2枚の基板により構成される液晶表示セルにおいて、一方の基板に形成された上記1)乃至12)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤の堰の内側に液晶を滴下した後、もう一方の基板を貼り合わせ、その後熱により硬化することを特徴とする液晶表示セルの製造方法。
14)
上記1)乃至12)のいずれか一項に記載の液晶シール剤を硬化して得られる硬化物でシールされた液晶表示セル。
本発明は、(A)分子内にエポキシ基及びアクリロイル基を有する化合物を含有する。
成分(A)としては、一分子中にエポキシ基とアクリロイル基を併存する化合物であれば特に限定されるものではないが、2官能以上のエポキシ化合物を部分的にアクリルエステル化して得られる部分エポキシ(メタ)アクリレート化合物である場合が好ましい。
本発明の液晶シール剤の硬化物は、DMA法によって測定したガラス転位温度が90℃以下である。ガラス転位温度が低いことによって、フレキシブル基板への追従性が増す。
なおDMAの測定条件は、例えば動的粘弾性測定装置(DMS−6100:エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を使用し、引っ張りモードにて周波数10Hz、昇温温度2℃/分の条件の条件で測定する。損失弾性率と貯蔵弾性率との比(JIS K 7244−1)から損失係数Tanδが得られる。得られた損失係数Tanδが最大値となる温度をガラス転移温度とする。
上記成分(A)の添加のみでは、ガラス転位温度90℃以下を実現することは難しく、例えば単官能化合物の添加、柔軟性を有する有機フィラーの添加、反応性化合物を柔軟な結合基で変性する等様々な方法を用いて実現することができる。
当該ガラス転位温度の更に好ましい範囲は、85℃以下であり、特に好ましくは80℃以下である。下限としては特に制限はないが、0℃程度で良い。
本発明の液晶シール剤の硬化物は、DMA法によって測定したガラスtanδが0.5以上である。tanδが0.5以上であることによって、フレキシブル基板への追従性が増す。
当該tanδの更に好ましい範囲は、0.55以上であり、特に好ましくは0.57以上である。上限としては特に制限はないが、1.0程度で良い。
本発明の液晶シール剤は、成分(B)として、熱ラジカル重合開始剤を含有しても良い。当該熱ラジカル重合開始剤は、加熱によりラジカルを生じ、連鎖重合反応を開始させる化合物であれば特に限定されないが、有機過酸化物、アゾ化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾインエーテル化合物、アセトフェノン化合物、ベンゾピナコール等が挙げられ、ベンゾピナコールが好適に用いられる。例えば、有機過酸化物としては、カヤメックRTMA、M、R、L、LH、SP-30C、パーカドックスCH−50L、BC−FF、カドックスB−40ES、パーカドックス14、トリゴノックスRTM22−70E、23−C70、121、121−50E、121−LS50E、21−LS50E、42、42LS、カヤエステルRTMP−70、TMPO−70、CND−C70、OO−50E、AN、カヤブチルRTMB、パーカドックス16、カヤカルボンRTMBIC−75、AIC−75(化薬アクゾ株式会社製)、パーメックRTMN、H、S、F、D、G、パーヘキサRTMH、HC、TMH、C、V、22、MC、パーキュアーRTMAH、AL、HB、パーブチルRTMH、C、ND、L、パークミルRTMH、D、パーロイルRTMIB、IPP、パーオクタRTMND、(日油株式会社製)などが市販品として入手可能である。また、アゾ化合物としては、VA−044、V−070、VPE−0201、VSP−1001(和光純薬工業株式会社製)等が市販品として入手可能である。なお、本明細書中、上付きのRTMは登録商標を意味する。
上記ベンゾピナコールは東京化成工業株式会社、和光純薬工業株式会社等から市販されている。また、ベンゾピナコールのヒドロキシ基をエーテル化することは、周知の方法によって容易に合成可能である。また、ベンゾピナコールのヒドロキシ基をシリルエーテル化することは、対応するベンゾピナコールと各種シリル化剤をピリジン等の塩基性触媒下で加熱させる方法により合成して得ることができる。シリル化剤としては、一般に知られているトリメチルシリル化剤であるトリメチルクロロシラン(TMCS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(BSTFA)やトリエチルシリル化剤としてトリエチルクロロシラン(TECS)、t−ブチルジメチルシリル化剤としてt−ブチルメチルシラン(TBMS)等が挙げられる。これらの試薬はシリコン誘導体メーカー等の市場から容易に入手することが出来る。シリル化剤の反応量としては対象化合物のヒドロキシ基1モルに対して1.0〜5.0倍モルが好ましい。さらに好ましくは1.5〜3.0倍モルである。1.0倍モルより少ないと反応効率が悪く、反応時間が長くなるため熱分解を促進してしまう。5.0倍モルより多いと回収の際に分離が悪くなったり、精製が困難になったりしてしまう。
本願発明の液晶シール剤は、成分(C)として(メタ)アクリル化合物を含有しても良い。(ここで「(メタ)アクリル」とは「アクリル」及び/又は「メタクリル」を意味する。以下同様。)成分(C)としては、例えば、(メタ)アクリルエステル化合物、エポキシ(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
なお、成分(C)の(メタ)アクリル化合物には、成分(A)の化合物は含まない。
エポキシ(メタ)アクリレート化合物は、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応により公知の方法で得られる。原料となるエポキシ樹脂としては、特に限定されるものではないが、2官能以上のエポキシ樹脂が好ましく、例えば、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン骨格を有するフェノールノボラック型エポキシ樹脂、その他、カテコール、レゾルシノール等の二官能フェノール類のジグリシジルエーテル化物、二官能アルコール類のジグリシジルエーテル化物、およびそれらのハロゲン化物、水素添加物などが挙げられる。これらのうち液晶汚染性の観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やレゾルシンジグリシジルエーテルが好ましい。また、エポキシ基と(メタ)アクリロイル基との比率は限定されるものではなく、工程適合性及び液晶汚染性の観点から適切に選択される。
成分(C)は単独で用いても良いし、2種類以上を混合しても良い。本発明の液晶シール剤において、成分(C)を使用する場合には、液晶シール剤の総量中、通常10〜80質量%、好ましくは20〜70質量%である。
本願発明の液晶シール剤は、成分(D)として有機フィラーを含有しても良い。上記有機フィラーとしては、例えばウレタン微粒子、アクリル微粒子、スチレン微粒子、スチレンオレフィン微粒子及びシリコーン微粒子が挙げられる。なおシリコーン微粒子としてはKMP−594、KMP−597、KMP−598(信越化学工業製)、トレフィルRTME−5500、9701、EP−2001(東レダウコーニング社製)が好ましく、ウレタン微粒子としてはJB−800T、HB−800BK(根上工業株式会社)、スチレン微粒子としてはラバロンRTMT320C、T331C、SJ4400、SJ5400、SJ6400、SJ4300C、SJ5300C、SJ6300C(三菱化学製)が好ましく、スチレンオレフィン微粒子としてはセプトンRTMSEPS2004、SEPS2063が好ましい。
これら有機フィラーは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。また2種以上を用いてコアシェル構造としても良い。これらのうち、好ましくは、アクリル微粒子、シリコーン微粒子である。
上記アクリル微粒子を使用する場合、2種類のアクリルゴムからなるコアシェル構造のアクリルゴムである場合が好ましく、特に好ましくはコア層がn−ブチルアクリレートであり、シェル層がメチルメタクリレートであるものが好ましい。これはゼフィアックRTMF−351としてアイカ工業株式会社から販売されている。
また、上記シリコーン微粒子としては、オルガノポリシロキサン架橋物粉体、直鎖のジメチルポリシロキサン架橋物粉体等があげられる。また、複合シリコーンゴムとしては、上記シリコーンゴムの表面にシリコーン樹脂(例えば、ポリオルガノシルセスキオキサン樹脂)を被覆したものがあげられる。これらの微粒子のうち、特に好ましいのは、直鎖のジメチルポリシロキサン架橋粉末のシリコーンゴム又はシリコーン樹脂被覆直鎖ジメチルポリシロキサン架橋粉末の複合シリコーンゴム微粒子である。これらのものは、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。また、好ましくは、ゴム粉末の形状は、添加後の粘度の増粘が少ない球状が良い。本発明の液晶シール剤において、成分(D)を使用する場合には、液晶シール剤の総量中、通常5〜50質量%、好ましくは5〜40質量%である。
本発明の液晶シール剤は、成分(E)として、無機フィラーを含有しても良い。本発明で含有する無機フィラーとしては、シリカ、シリコンカーバイド、窒化珪素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸リチウムアルミニウム、珪酸ジルコニウム、チタン酸バリウム、硝子繊維、炭素繊維、二硫化モリブデン、アスベスト等が挙げられ、好ましくは溶融シリカ、結晶シリカ、窒化珪素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、アルミナ、水酸化アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウムが挙げられるが、好ましくはシリカ、アルミナ、タルクである。これら無機フィラーは2種以上を混合して用いても良い。
無機フィラーの平均粒子径は、大きすぎると狭ギャップの液晶セル製造時に上下ガラス基板の貼り合わせ時のギャップ形成がうまくできない等の不良要因となるため、2000nm以下が適当であり、好ましくは1000nm以下、さらに好ましくは300nm以下である。また好ましい下限は10nm程度であり、さらに好ましくは100nm程度である。粒子径はレーザー回折・散乱式粒度分布測定器(乾式)(株式会社セイシン企業製;LMS−30)により測定することができる。
本発明の液晶シール剤において、無機フィラーを使用する場合には、液晶シール剤の総量中、通常5〜50質量%、好ましくは5〜40質量%である。無機フィラーの含有量が5質量%より低い場合、ガラス基板に対する接着強度が低下し、また耐湿信頼性も劣るために、吸湿後の接着強度の低下も大きくなる場合がある。又、無機フィラーの含有量が50質量%より多い場合、フィラー含有量が多すぎるため、つぶれにくく液晶セルのギャップ形成ができなくなってしまう場合がある。
本発明の液晶シール剤は、成分(F)としてシランカップリング剤を添加して、接着強度や耐湿性の向上を図ることができる。
成分(F)としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−(ビニルベンジルアミノ)エチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらのシランカップリング剤はKBMシリーズ、KBEシリーズ等として信越化学工業株式会社等によって販売されている為、市場から容易に入手可能である。本発明の液晶シール剤において、成分(F)を使用する場合には、液晶シール剤総量中、0.05〜3質量%が好適である。
本願発明の液晶シール剤は、成分(G)としてエポキシ化合物を含有しても良い。エポキシ化合物としては特に限定されるものではないが、2官能以上のエポキシ化合物が好ましく、例えば、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン骨格を有するフェノールノボラック型エポキシ樹脂、その他、カテコール、レゾルシノール等の二官能フェノール類のジグリシジルエーテル化物、二官能アルコール類のジグリシジルエーテル化物、およびそれらのハロゲン化物、水素添加物などが挙げられる。これらのうち液晶汚染性の観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やレゾルシンジグリシジルエーテルが好ましい。
なお成分(G)のエポキシ化合物には、成分(A)の化合物は含まない。
成分(G)は単独で用いても良いし、2種類以上を混合しても良い。本発明の液晶シール剤において、成分(G)を使用する場合には、液晶シール剤総量中、通常5〜50質量%、好ましくは5〜30質量%である。
本発明の液晶シール剤は、成分(H)として熱硬化剤を含有する。成分(H)は、上記成分(B)熱ラジカル重合開始剤とは異なり、加熱によってラジカルを発生しない熱硬化剤を意味する。具体的には、非共有電子対や分子内のアニオンによって、求核的に反応するものであって、例えば多価アミン類、多価フェノール類、有機酸ヒドラジド化合物等を挙げる事ができる。ただしこれらに限定されるものではない。これらのうち有機酸ヒドラジド化合物が特に好適に用いられる。例えば、芳香族ヒドラジドであるテレフタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド、2,6−ピリジンジヒドラジド、1,2,4−ベンゼントリヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド、ピロメリット酸テトラヒドラジド等をあげることが出来る。また、脂肪族ヒドラジド化合物であれば、例えば、ホルムヒドラジド、アセトヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、1,4−シクロヘキサンジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イミノジ酢酸ジヒドラジド、N,N’−ヘキサメチレンビスセミカルバジド、クエン酸トリヒドラジド、ニトリロ酢酸トリヒドラジド、シクロヘキサントリカルボン酸トリヒドラジド、1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントイン等のヒダントイン骨格、好ましくはバリンヒダントイン骨格(ヒダントイン環の炭素原子がイソプロピル基で置換された骨格)を有するジヒドラジド化合物、トリス(1−ヒドラジノカルボニルメチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(1−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(3−ヒドラジノカルボニルプロピル)イソシアヌレート、ビス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート等をあげることができる。硬化反応性と潜在性のバランスから好ましくは、イソフタル酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、トリス(1−ヒドラジノカルボニルメチル)イソシアヌレート、トリス(1−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(3−ヒドラジノカルボニルプロピル)イソシアヌレートであり、特に好ましくはトリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレートである。
成分(H)は単独で用いても良いし、2種類以上を混合しても良い。本発明の液晶シール剤において、成分(H)を使用する場合には、液晶シール剤総量中、通常0.1〜10質量%、好ましくは1〜5質量%である。
本願発明の液晶シール剤は、成分(I)として光ラジカル重合開始剤を含有しても良い。光ラジカル重合開始剤としては、紫外線や可視光の照射によって、ラジカルや酸を発生し、連鎖重合反応を開始させる化合物であれば特に限定されないが、例えば、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジエチルチオキサントン、ベンゾフェノン、2−エチルアンスラキノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−メチル−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プロパン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスヒンオキサイド、カンファーキノン、9−フルオレノン、ジフェニルジスルヒド等を挙げることができる。具体的には、IRGACURERTM 651、184、2959、127、907、369、379EG、819、784、754、500、OXE01、OXE02、DAROCURERTM1173、LUCIRINRTM TPO(いずれもBASF社製)、セイクオールRTMZ、BZ、BEE、BIP、BBI(いずれも精工化学株式会社製)等を挙げることができる。
また、液晶汚染性の観点から、分子内に(メタ)アクリル基を有するものを使用する事が好ましく、例えば2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートと1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンとの反応生成物が好適に用いられる。この化合物は国際公開第2006/027982号記載の方法にて製造して得ることができる。
本発明の液晶シール剤において、成分(I)を使用する場合には、液晶シール剤総量中、通常0.001〜3質量%、好ましくは0.002〜2質量%である。
上記硬化促進剤としては、有機酸やイミダゾール等を挙げることができる。
有機酸としては、有機カルボン酸や有機リン酸等が挙げられるが、有機カルボン酸である場合が好ましい。具体的には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、フランジカルボン酸等の芳香族カルボン酸、コハク酸、アジピン酸、ドデカン二酸、セバシン酸、チオジプロピオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリス(2−カルボキシメチル)イソシアヌレート、トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−カルボキシプロピル)イソシアヌレート、ビス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート等を挙げることができる。
また、イミダゾール化合物としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−ウンデシルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2 ,4−ジアミノ−6(2 ’−エチル−4−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4− ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1 ’))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸の2:3付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−3,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチル−5−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−3,5−ジシアノエトキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
本発明の液晶シール剤において、硬化促進剤を使用する場合には、液晶シール剤の総量中、通常0.1〜10質量%、好ましくは1〜5質量%である。
上記ラジカル重合防止剤としては、光ラジカル重合開始剤や熱ラジカル重合開始剤等から発生するラジカルと反応して重合を防止する化合物であれば特に限定されるものではなく、キノン系、ピペリジン系、ヒンダードフェノール系、ニトロソ系等を用いることができる。具体的には、ナフトキノン、2−ヒドロキシナフトキノン、2−メチルナフトキノン、2−メトキシナフトキノン、2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6,−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6,−テトラメチル−4−メトキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6,−テトラメチル−4−フェノキシピペリジン−1−オキシル、ハイドロキノン、2−メチルハイドロキノン、2−メトキシハイドロキノン、パラベンゾキノン、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルクレゾール、ステアリルβ−(3,5−ジt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β―(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]、2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニルプロピオネート)メタン、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−sec−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、パラメトキシフェノール、4−メトキシ−1−ナフトール、チオジフェニルアミン、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミンのアルミニウム塩、商品名アデカスタブLA−81、商品名アデカスタブLA−82(株式会社アデカ製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうちナフトキノン系、ハイドロキノン系、ニトロソ系ピペラジン系のラジカル重合防止剤が好ましく、ナフトキノン、2−ヒドロキシナフトキノン、ハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−P−クレゾール、ポリストップ7300P(伯東株式会社製)が更に好ましく、ポリストップ7300P(伯東株式会社製)が最も好ましい。
ラジカル重合防止剤の含有量としては本発明の液晶シール剤総量中、0.0001〜1質量%が好ましく、0.001〜0.5質量%が更に好ましく、0.01〜0.2質量%が特に好ましい。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂282.5g(製品名:YD−8125、新日鉄化学株式会社製)をトルエン266.8gに溶解し、これに重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.8gを加え、60℃まで昇温した。その後、エポキシ基の100%当量のアクリル酸117.5gを加え更に80℃まで昇温し、これに反応触媒であるトリメチルアンモニウムクロライド0.6gを添加して、98℃で約30時間攪拌し、反応液を得た。この反応液を水洗し、トルエンを留去することにより、目的とするビスフェノールA型のエポキシアクリレート395gを得た。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂836g(日本化薬株式会社製RE−310S)をトルエン1000gに溶解し、これに重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン3gを加え、60℃まで昇温した。その後、エポキシ基の50%当量のアクリル酸165g(株式会社日本触媒製)と反応触媒であるトリプロピルアンモニウムヒドロキシドの40%水溶液5gを添加して、98℃で約10時間攪拌し、反応液を得た。この反応液を水洗し、トルエンを留去することにより、目的とする部分アクリル化ビスフェノールA型エポキシ樹脂995gを得た。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂495g(日本化薬株式会社製RE−304S)をトルエン600gに溶解し、これに重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン1.8gを加え、60℃まで昇温した。その後、エポキシ基の50%当量のアクリル酸105g(株式会社日本触媒製)と反応触媒であるトリプロピルアンモニウムヒドロキシドの40%水溶液3gを添加して、98℃で約10時間攪拌し、反応液を得た。この反応液を水洗し、トルエンを留去することにより、目的とする部分アクリル化ビスフェノールF型エポキシ樹脂594gを得た。
市販ベンゾピナコール(東京化成製)100部(0.28モル)をジメチルホルムアルデヒド350部に溶解させた。これに塩基触媒としてピリジン32部(0.4モル)、シリル化剤としてBSTFA(信越化学工業製)150部(0.58モル)を加え70℃まで昇温し、2時間攪拌した。得られた反応液を冷却し、攪拌しながら、水200部を入れ、生成物を沈殿させると共に未反応シリル化剤を失活させた。沈殿した生成物をろ別分離した後十分に水洗した。次いで得られた生成物をアセトンに溶解し、水を加えて再結晶させ、精製した。目的の1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタンを105.6部(収率88.3%)得た。
下記表1に示す割合で(メタ)アクリル化合物(成分(C))に成分(A)、エポキシ化合物(成分(G))、光ラジカル重合開始剤(成分(I))を加え、90℃で加熱溶解した。室温まで冷却し、熱ラジカル重合開始剤(成分(B))、有機フィラー(成分(D))、無機フィラー(E)、熱硬化剤(成分(G))、シランカップリング剤(成分(H))、等を加え、攪拌した後、3本ロールミルにて分散させ、金属メッシュ(635メッシュ)で濾過し、液晶滴下工法用シール剤(実施例1〜4、比較例1〜4)を調製した。
[ガラス転移温度および力学的損失係数tanδの測定方法]
実施例、比較例で製造された液晶シール剤をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに挟み厚み100μmの薄膜としたものにメタルハライドランプ(ウシオ電機株式会社製)にて3000mJ/cm2(100mW/cm2で30秒)の紫外線を照射したのち120℃のオーブンに40分間投入して硬化させた。硬化後PETフィルムをはがしシール剤硬化膜を得られたのち、これを50mm×5mmの短冊状にカットしサンプル片とした。このサンプル片を動的粘弾性測定装置(DMS−6100:エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)の引っ張りモードにて周波数10Hz、昇温温度2℃/分の条件で測定を行い、損失弾性率と貯蔵弾性率との比(JIS K 7244−1)から損失係数tanδが得られる。得られた損失係数tanδが最大値となる温度をガラス転移温度とした。
[弾性率測定]
実施例及び比較例製造した液晶シール剤について、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに挟み厚み100μmの薄膜としてものに、メタルハライドランプ(ウシオ電機株式会社製)にて3000mJ/cm2(100mW/cm2で30秒)の紫外線を照射して硬化させ、その後、120℃のオーブンに40分間投入して硬化させ、PETフィルムをはがしシール剤硬化膜を得られたのち、ダンベル状試験片( 全体長75mm、全体幅10mm、狭い平行部分の長さ50mm、幅5mm、厚さ0.1mm)にカットしサンプル片とした。得られた試験片について、テンシロン万能試験機( 株式会社エー・アンド・デイ製、RTG−1210) を用いて、室温(22℃)下、試験速度3mm/分で引張試験を行い、比例限度内の引張応力とひずみの結果から弾性率を算出した。
[破断点伸度]
実施例及び比較例製造した液晶シール剤について、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに挟み厚み100μmの薄膜としてものに、メタルハライドランプ(ウシオ電機株式会社製)にて3000mJ/cm2(100mW/cm2で30秒)の紫外線を照射して硬化させ、その後、120℃のオーブンに40分間投入して硬化させ、PETフィルムをはがしシール剤硬化膜を得られたのち、ダンベル状試験片(全体長75mm、全体幅10mm、狭い平行部分の長さ50mm、幅5mm、厚さ0.1mm)にカットしサンプル片とした。得られた試験片について、テンシロン万能試験機( 株式会社エー・アンド・デイ製、RTG−1210)を用いて、室温(22℃)下、試験速度3mm/分で引張試験を行い、平行部分の距離の増加量から伸び率を算出した。
[折り曲げ試験]
弾性率測定方法と同様の方法によりシール剤硬化膜を作製し、長さ50mm、幅5mm、厚さ0.1mmの長方形上にカットし、サンプル片とした。弾性率測定方法と同様の方法によりシール剤硬化膜を作製し、長さ50mm、幅5mm、厚さ0.1mmの長方形上にカットし、サンプル片とした。得られたサンプル片を半分の長さ25mmになるように折り曲げて、10秒間固定した。試験片が割れていないものを○、試験片が割れたものを×として評価した。
[接着強度]
実施例及び比較例製造した液晶シール剤について、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに挟み厚み100μmの薄膜としてものに、メタルハライドランプ(ウシオ電機株式会社製)にて3000mJ/cm2(100mW/cm2で30秒)の紫外線を照射して硬化させ、その後、120℃のオーブンに40分間投入して硬化させた。長さ50mm、幅5mm、厚さ0.1mmの長方形上にカットし、サンプル片とした。弾性率測定方法と同様の方法によりシール剤硬化膜を作製し、長さ50mm、幅5mm、厚さ0.1mmの長方形上にカットし、サンプル片とした。得られたサンプル片を半分の長さ25mmになるように折り曲げて、10秒間固定した。サンプルを観察して試験片が割れず、PETフィルムから剥がれていないものを○、試験片が割れず、PETフィルムは剥がれたものを△、試験片が割れで、PETフィルムも剥がれたものを×として評価した。
Claims (14)
- 少なくとも1種類の(A)分子内にエポキシ基及びアクリロイル基を有する化合物を含有し、DMA法によって測定したガラス転位温度が90℃以下であり、tanδが0.5以上である液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 前記(A)が、部分エポキシ(メタ)アクリレート化合物である請求項1に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 更に、(B)熱ラジカル重合開始剤を含有する請求項1又は2に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 更に、(C)(メタ)アクリル化合物を含有する請求項1及至3のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 更に、(D)有機フィラーを含有する請求項1及至4のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 前記成分(D)が、ウレタン微粒子、アクリル微粒子、スチレン微粒子、スチレンオレフィン微粒子、及びシリコーン微粒子からなる群より選択される1又は2以上の有機フィラーである請求項5に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 更に、(E)無機フィラーを含有する請求項1及至6のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 更に、(F)シランカップリング剤を含有する請求項1及至7のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 更に、(G)エポキシ化合物を含有する請求項1及至8のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 更に、(H)熱硬化剤を含有する請求項1及至9のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 前記成分(H)が有機酸ヒドラジド化合物である請求項10に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 更に、(I)光ラジカル重合開始剤を含有する請求項1及至11のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
- 2枚の基板により構成される液晶表示セルにおいて、一方の基板に形成された請求項1乃至12のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤の堰の内側に液晶を滴下した後、もう一方の基板を貼り合わせ、その後熱により硬化することを特徴とする液晶表示セルの製造方法。
- 請求項1乃至12のいずれか一項に記載の液晶シール剤を硬化して得られる硬化物でシールされた液晶表示セル。
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