JP2018021121A - ゴミ袋用樹脂組成物、ゴミ袋及びゴミ袋の製造方法 - Google Patents

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【課題】成形時の混練性及び不透明性のバランスに優れたゴミ袋用樹脂組成物、このような樹脂組成物により形成されたゴミ袋及びその製造方法を提供する。【解決手段】ゴミ袋用樹脂組成物は、組成物全体の質量に対して30質量%以上の炭酸カルシウムと、分子量分布が5.0〜30.0でありかつ構成樹脂として高密度ポリエチレンを含む熱可塑性樹とを、含む。ゴミ袋用樹脂組成物は、好ましくは、構成樹脂として低密度ポリエチレンを更に含有し、より好ましくはメルトマスフローレイトが1.0g/10分以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、ゴミ袋用樹脂組成物、ゴミ袋及びゴミ袋の製造方法に関する。
ゴミ袋は、従来より、廃棄物を収容するために、様々な特性が求められる。
例えば、特許文献1には、インフレーション法などにより成形された、特定の明度及び色相を有するゴミ袋が開示されている。該特許文献1に記載されたゴミ袋は、明度及び色相を特定の範囲に限定することにより、小動物による散乱被害を回避し得るというものである。
特許第4652960号公報
ゴミ袋は、例えば、様々な種類のものを収容する必要があり、例えば、重いものを収容する場合もあるため、十分な強度を備える必要がある。
しかしながら、特許文献1に記載されるようなインフレーション法などの製造方法で製造する場合、成形時における混練性が低いと、ゴミ袋の膜厚が不均一になりやすいため、強度なども不均一になる。
そのため、成形時における混練性に優れたゴミ袋が必要である。
他方、ゴミ袋は、近年、プライバシー保護の観点から、ゴミ袋の中身がみえすぎないように、適度の不透明性が求められる。
本発明は以上の実情に鑑みてなされたものであり、成形時の混練性及び不透明性のバランスに優れたゴミ袋用樹脂組成物、このような樹脂組成物により形成されたゴミ袋及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、樹脂組成物において、所定量の炭酸カルシウムと、高密度ポリエチレンを含む所定の分子量分布を有する熱可塑性樹脂とを配合することで、ゴミ袋の成形時における混練性及び不透明性のバランスに優れることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1) 組成物全体の質量に対して30質量%以上の炭酸カルシウムと、分子量分布が5.0〜30.0でありかつ構成樹脂として高密度ポリエチレンを含む熱可塑性樹脂とを、含む、ゴミ袋用樹脂組成物。
(2) 前記熱可塑性樹脂は、構成樹脂として低密度ポリエチレンを更に含有する、(1)に記載のゴミ袋用樹脂組成物。
(3) 上記熱可塑性樹脂のメルトマスフローレイトが1.0g/10分以下である、(2)に記載のゴミ袋用樹脂組成物。
(4) (1)から(3)のいずれかに記載の樹脂組成物により形成されたゴミ袋。
(5) (1)から(3)のいずれかに記載の樹脂組成物を袋状に成形する工程を有するゴミ袋の製造方法。
(6) 前記工程は、インフレーション方式による成形を含む(5)に記載のゴミ袋の製造方法。
本発明によれば成形時の混練性及び不透明性のバランスに優れたゴミ袋用樹脂組成物、このような樹脂組成物により形成されたゴミ袋及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに特に限定されない。
本発明のゴミ袋用樹脂組成物(以下、組成物と略記する場合がある)は、組成物全体の質量に対して30質量%以上の炭酸カルシウムと、分子量分布が5.0以上30.0以下であり、かつ構成樹脂として高密度ポリエチレンを含む熱可塑性樹脂とを含むものである。ここで、組成物に炭酸カルシウムや高密度ポリエチレンを含有させることによって、該組成物によって成形されたゴミ袋の不透明性を向上させることができる一方で、組成物に炭酸カルシウムや高密度ポリエチレンを含有させると、組成物の混練性が悪化し、混練が不十分なことにより成形時にも膜厚や不透明度が不均一になりゴミ袋の強度が低下してしまう。つまり、ゴミ袋において、不透明性と混練性の両方を成立させるのは、困難であった。これに対し、本発明のゴミ袋用樹脂組成物は、分子量分布が5.0以上30.0以下である構成樹脂を用いることにより、上記問題を解決できるようになった。
ゴミ袋用樹脂組成物において、炭酸カルシウムの含有量は、組成物全体の質量に対して、30質量%以上である。炭酸カルシウムの含有量が過小であると、組成物により成形されたゴミ袋の不透明性が低くなる傾向にある。一方、炭酸カルシウムの含有量が過大であると、組成物の混練性が悪化し、組成物により成形されたゴミ袋の膜厚や不透明度が不均一になり、強度が低下する傾向にある。よって、組成物の混練性に優れ、強度、不透明性のバランスに優れたゴミ袋を得るためには、炭酸カルシウムの含有量は、30質量%以上であり、50質量%以上が好ましく、60質量%以上80質量%以下が好ましく、65質量%以上75質量%以下がより好ましい。本発明において、炭酸カルシウムの含有量は、化学製品の減重及び残分試験方法(JIS0067−1192)で残分測定し、炭酸ガスの発生量を考慮する。
本発明において、分子量分布は、重量平均分子量Mwを数平均分子量Mnで除した値で表される。この分子量分布の測定方法は、組成物を溶媒(ジクロロベンゼン)に溶かして試料溶液とし、温度140℃、検出器は示差屈折計とし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で分子量を測定する。重量平均分子量及び数平均分子量は次式により算出される。
重量平均分子量=Σ(M×w)/Σw
数平均分子量=Σw/Σ(w/M)
(ただし、Mは分子量、wは重量分率である。)
ゴミ袋用樹脂組成物を構成する構成樹脂の分子量分布Mw/Mnは、5.0以上30.0以下である。分子量分布Mw/Mnが狭すぎると、組成物の混練性が悪化し、組成物により成形されたゴミ袋の膜厚や不透明度が不均一になり、強度が低下する傾向にある。一方、分子量分布Mw/Mnが広すぎると、組成物の耐熱性と成形性が悪化し、成形されたゴミ袋の強度が低下する傾向にある。よって、組成物の混練性に優れ、強度、不透明性のバランスに優れたゴミ袋を得るためには、分子量分布Mw/Mnは5.0以上30.0以下であり、6.0以上28.0以下が好ましく、7.0以上25.0以下がより好ましく、10以上23.0以下がより一層好ましく、15以上22.0以下が更に好ましい。
また、組成物は、構成樹脂として、高密度ポリエチレンを含む熱可塑性樹脂を含むものである。組成物は、熱可塑性樹脂の主体が高密度ポリエチレン樹脂であることにより、不透明性に優れたゴミ袋を得ることができる。高密度ポリエチレンの含有量が過小であると、組成物により成形されたゴミ袋の不透明性が低くなり、強度が低下する傾向がある。よって、高密度ポリエチレンの構成樹脂全体の質量に対しての含有量は、50質量%以上含有することが好ましく、75質量%以上含有することがより好ましい。
熱可塑性樹脂としては、上述した高密度ポリエチレン樹脂に限られず、他の熱可塑性樹脂を1種以上混合してもよい。例えば、低密度ポリエチレン樹脂は、組成物の混練性を向上させ、ゴミ袋に柔軟性を持たせる点から好ましく用いられる。但し、低密度ポリエチレン樹脂の含有量が過大であると、組成物により得られたゴミ袋の不透明性が低くなり強度が低下する傾向がある。よって、低密度ポリエチレン樹脂の構成樹脂全体の質量に対する含有量は、50質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましい。
熱可塑性樹脂としては、高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂以外にも、中密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンなどのビニル樹脂、及び、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂などのほか、再生樹脂なども使用することができる。
なお、ポリエチレン樹脂はJIS K 6922で密度により分類される。当該分類において、密度が0.942g/cm以上のポリエチレンが高密度ポリエチレン(HDPE)とされ、密度が0.930g/cm以上0.942g/cm未満のポリエチレンが中密度ポリエチレン(MDPE)とされ、密度が0.910g/cm以上0.930g/cm未満のポリエチレンが低密度ポリエチレン(LDPE)とされる。また、本実施の形態において「密度」は、JIS K 6922に準じて測定される値を意味する。密度の測定方法として、具体的には、JIS K 6922に準じて、密度勾配管により密度を測定する方法がある。
また、熱可塑性樹脂のメルトマスフローレイトは、20.0g/10分以下であることが好ましく、10.0g/10分以下(8.0g/10分以下、5.0g/10分以下、3.0g/10分以下など)であることがより好ましく、1.0g/10分以下(0.9g/10分以下、0.8g/10分以下、0.7g/10分以下など)であることが更に好ましい。また、0.2g/10分以上(0.3g/10分以上、0.4g/10分以上、0.5g/10分以上、0.6g/10分以上など)であることが好ましい。熱可塑性樹脂のメルトマスフローレイトが20.0g/10分を超えると、延伸性が悪くなり、フィルムの成形性が不安定化する傾向がある。また、組成物のメルトマスフローレイトが0.2g/10分未満となると、混練性が悪化し、混錬装置へのトルクも大きくなり、成形性が悪くなる傾向がある。なお、成形の方式によって適正なメルトマスフローレイトを設定する。
メルトマスフローレイトは、溶融時の流動性を示す指標であり、JIS K 7210に準じて測定される値を意味する。メルトマスフローレイトの測定方法として、具体的には、JIS K 7210に準じて、メルトインデクサーにより、荷重21.18N、温度230℃の条件でメルトマスフローレイトを測定する方法がある。
なお、上述したゴミ袋用樹脂組成物においては、無機物粉末として、炭酸カルシウム以外にも、酸化チタン、シリカ、クレー、タルク、カオリン、水酸化アルミニウムなどを配合してもよい。組成物中の炭酸カルシウムなどの無機物粉末の組成物中の分散性を高めるために、これら無機物粉末の表面を予め常法に従い改質しておいてもよい。また、上述したゴミ袋用樹脂組成物においては、上述した炭酸カルシウム、高密度ポリエチレンを含む熱可塑性樹脂以外にも、補助剤として、色剤、滑剤、流動性改良材、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定剤などを配合してもよい。
上述したゴミ袋用樹脂組成物は、以下のようにしてフィルム状に成形され、ゴミ袋として加工される。まず、炭酸カルシウム、高密度ポリエチレンを含む熱可塑性樹脂からなる構成樹脂、補助剤などの各原料を準備し、これら材料を所定の配合率で混合、混練し、引き続き若しくは混合ペレットを得て、フィルム状に成形する。フィルムの厚みは、10μm〜80μm程度が好ましく、20〜50μm程度がより好ましい。成形方法としては、円筒形ダイが装着された成形機を用いるインフレーション方式、Tダイが装着された成形機を用いるTダイ方式、ブロー成形方式などの公知の方法が適用できる。
例えば、インフレーション方式は、溶融した組成物を円筒形ダイにより円筒状に押し出し、その中に空気を吹き込んで風船のようにふくらませ、これを二つに折りたたんで巻き取る工程により筒状のフィルムを成形する方式である。巻き取られた筒状のフィルムを、所望の長さで切り、開口部の一方をシールすることにより、ゴミ袋に加工することができる。上述したゴミ袋用樹脂組成物は、混練性に優れ、炭酸カルシウムが均一に分散されていることから、インフレーション方式による成形方法に適したものであり、インフレ―ション方式による成形方法によっても強度、不透明性に優れたゴミ袋を得ることができる。このような点から、インフレーション方式による成形方法が好ましく用いられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<試験例1>
[実施例1]
炭酸カルシウム(レーザー光散乱型粒度分布計で測定した個数平均粒径5.0μm、ステアリン酸表面処理)60質量%と、メルトマスフローレイトが0.3g/10分、分子量分布Mw/Mnが20.8である高密度ポリエチレン樹脂(HDPE1)40質量%と、炭酸カルシウム及び樹脂の合計量に対し2%のステアリン酸マグネシウムとを添加し、2軸の混練・押出成形評価試験装置((株)東洋精機製作所製)により、混練性を比較しながら、実施例1に樹脂組成物を調製した。混練温度230℃,スクリュー回転速度10rpmで混練した。運転が安定した後のトルク値(N・m)を測定し表1に示した。
[実施例2]
高密度ポリエチレンとして、メルトマスフローレイトが0.8g/10分、分子量分布Mw/Mnが7.7である高密度ポリエチレン樹脂(HDPE2)と、メルトマスフローレイトが0.4、分子量分布Mw/Mnが5.4である高密度ポリエチレン樹脂(HDPE3)とを1:1で混合した以外は、実施例1と同様の方法で実施例2に係る樹脂組成物を調製した。また、実施例2に係る樹脂組成物について、実施例1と同様の方法でトルク値(N・m)を測定し表1に示した。
Figure 2018021121
表1の結果からわかるように、メルトマスフローレイトが0.3g/10分以上であり、分子量分布が3以上である樹脂組成物を用いた実施例1及び実施例2では、トルクが低く安定しており、混練性も良好であった。特に、分子量分布が20以上と広分子量分布を示す樹脂組成物(HPDE1)を用いた実施例1では、混練性が極めて良好であった。
<試験例2>
炭酸カルシウム(レーザー光散乱型粒度分布計で測定した個数平均粒径5.0μm、表面処理無又は表面処理有)と、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE1又はHDPE2)とを下記の表2で示す配合比で、かつ、炭酸カルシウム及びポリエチレン樹脂の合計量に対し2%のステアリン酸マグネシウムとを添加し、2軸の混練・押出成形機(日立造船(株)社製)により、混練温度250℃,スクリュー径100mm、スクリュー回転速度100〜120rpmで混練した。成形後押出成形機に付属した延伸装置で1.8倍に延伸して、物性測定用の試料(実施例3〜実施例8)を作成した。各試料(実施例3〜実施例8)の測定結果を表2に示す。表中の破断点強度は、JIS C2151に基づいて測定した値である。表中の不透明性は、JIS P8149で測定し、透明性が高いものを×、透明性が低いものを〇とする。
Figure 2018021121
表2の結果からわかるように、上述した範囲のメルトマスフローレイト及び分子量分布を有する樹脂組成物よりなる成形体である実施例3〜実施例8の各試料は、炭酸カルシウムが60質量%、75質量%配合されていても、破断点強度に優れていた。特に、分子量分布が20以上と広分子量分布を示す樹脂組成物(HPDE1)を用いた実施例3,5,7)では、破断点強度が極めて良好であった。また、実施例3〜実施例8の各試料は、全て、不透明性に優れていた。このことから、ゴミ袋用樹脂組成物は、組成物全体の質量に対して30質量%以上の炭酸カルシウムと、分子量分布が5.0〜30.0でありかつ構成樹脂として高密度ポリエチレンを含む熱可塑性樹脂とを、含むことで、成形時の混練性及び不透明性のバランスに優れることがわかった。

Claims (6)

  1. 組成物全体の質量に対して30質量%以上の炭酸カルシウムと、分子量分布が5.0〜30.0でありかつ構成樹脂として高密度ポリエチレンを含む熱可塑性樹脂とを、含む、ゴミ袋用樹脂組成物。
  2. 前記熱可塑性樹脂は、構成樹脂として低密度ポリエチレンを更に含有する、請求項1に記載のゴミ袋用樹脂組成物。
  3. 前記熱可塑性樹脂のメルトマスフローレイトが1.0g/10分以下である、請求項2に記載のゴミ袋用樹脂組成物。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の樹脂組成物により形成されたゴミ袋。
  5. 請求項1から3のいずれかに記載の樹脂組成物を袋状に成形する工程を有するゴミ袋の製造方法。
  6. 前記工程は、インフレーション方式による成形を含む請求項5に記載のゴミ袋の製造方法。
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