JP2010126663A - フィルム用高密度ポリエチレン樹脂組成物 - Google Patents

フィルム用高密度ポリエチレン樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】フィルム製造工程では白粉の発生が解消でき、目ヤニの発生も解消でき、得られるフィルムは傷付き性が良好で被包装物に傷をつけにくい高密度ポリエチレン樹脂組成物を提供する。
【解決手段】密度0.940〜0.980g/cm3、MFR(190℃、21.18N)0.01〜10g/10分、Q値4〜40である高密度ポリエチレン100重量部と粒径20μm以上の粒子の体積の和が全粒子の総体積の5%以下であるタルク0.05〜1重量部とを含有することを特徴とするフィルム用高密度ポリエチレン樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、フィルム用高密度ポリエチレン樹脂組成物に関する。詳しくはフィルム製造の際に発生する白粉(粉ふき)を解消でき、さらに傷付き性に優れるフィルム用高密度ポリエチレン樹脂組成物およびそのインフレーションフィルムに関する。
インフレーション成形法は、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂等のポリオレフィン系樹脂を始めとする熱可塑性樹脂からなるフィルムの製造に幅広く利用されている。一般のインフレーション成形法では、押出機により溶融した熱可塑性樹脂を環状ダイから押出し、押出された溶融状態のチューブをダイ口径よりも大きく膨張させながらエアリング装置にて空気冷却する。次いで冷却固化されたチューブ状のフィルムを一対の安定板を用いて徐々にシート状に折り畳み、折り畳まれたフィルムの両端をトリミング装置にて切断して2枚のフィルムを得る。或いは、トリミングせずにチューブ状のフィルムとすることもできる。
インフレーション成形法により得られるフィルムは、その使用目的に応じて様々な熱可塑性樹脂が選択される。高密度ポリエチレンは、得られるフィルムがマット性のため、写真ネガフィルム包装のような用途に好んで用いられる。このような高密度ポリエチレンはインフレーション成形法により製造した場合、粉末状の樹脂に起因する白粉が安定板やピンチロールなどに付着してインフレーション製造装置を汚染するため、定期的な清掃が必要となり、生産性の低下や作業環境が悪化するばかりでなく、白粉がフィルム表面に付着し、高密度ポリエチレンフィルム製品中に混入して品質低下するという問題を抱えている。
従来からポリエチレンフィルム用樹脂に対し無機粉末を配合してフィルムのブロッキングを改善する手法は広く知られている。これはフィルム表面が平滑で透明性が良好となる比較的低密度の樹脂材料に適用されるものである。例えば、MFR0.01〜20、密度0.910〜0.940の、チーグラー系触媒を用いた共単量体含量1〜10重量%のエチレン共重合体にアンチブロッキング剤と不飽和及び飽和の脂肪酸アミドの併用(特許文献1)或いは、MFR0.3〜10、密度0.910〜0.940のチーグラー系触媒を用いた炭素数3〜18のα−オレフィン共重合体に高圧法の低密度ポリエチレン1〜40重量部に特定のフェノール系及びリン系の酸化防止剤を併用添加し、これにアンチブロッキング剤0.05〜1.0重量部と80℃以上の融点を持つ不飽和及び飽和の脂肪酸アミドの併用からなるフィルム成形用樹脂組成物(特許文献2)などが提案されている。ここに、アンチブロッキング剤として配合する無機粉末としてタルクも例示されているが何れもその目的はブロッキングの改善にあり、白粉の付着防止とは異なる。
白粉(粉ふき)を解消する方法としては、MFR0.01〜0.5の高密度ポリエチレン樹脂100重量部に対して、MFR0.05以上のポリエチレン樹脂0.2〜20重量部、ポリプロピレン樹脂0.01〜5重量部、及び平均粒径0.5〜30μmの無機物粉末0.01〜10重量部を配合してなるインフレ−ションフイルム成形用樹脂組成物が知られている(特許文献3、請求項3参照)。また、密度が0.938g/cm3以上の高密度ポリエチレン99.95〜90質量部に、超高分子量ポリエチレン0.05〜10質量部が配合されているインフレーション成形用樹脂組成物(特許文献4)等が提案されている。
前記特許文献3の提案では、無機粉末として炭酸カルシウム、タルク、珪酸(シリカ)、珪酸塩等が例示され、実施例においてはシリカ、ゼオライト、炭酸カルシウムが用いられ、特にシリカが好ましいとされる(請求項4)。このような組成物を用いた場合、確かに白粉の解消には効果が認められるものの、無機粉末を配合しない高密度ポリエチレンに比べて傷付き性が大幅に悪化し、写真ネガフィルム等の内容物を傷つける懸念がある。
前記特許文献4の提案では、フィルムの粗面化と耐摩耗性の観点から特定の超高分子量ポリエチレンを用いるとされている。このような組成物は製造過程の混練、フィルム化の際の熱履歴によって劣化が生じるためか、得られるフィルムはフィッシュアイが増加して外観を損なう問題がある。
特開昭61−281143号公報 特開昭64−43546号公報 特開2000−319456号公報 特開2008−88248号公報
本発明は、フィルム製造工程では白粉の発生が解消でき、目ヤニの発生も解消でき、得られるフィルムは傷付き性が良好で被包装物に傷をつけにくい高密度ポリエチレン樹脂組成物を提供することを目的とする。
即ち、本発明の要旨は、密度0.940〜0.980g/cm3、MFR(190℃、21.18N)0.01〜10g/10分、Q値4〜40である高密度ポリエチレン100重量部と粒径20μm以上の粒子の体積の和が全粒子の総体積の5%以下であるタルク0.05〜1重量部とを含有することを特徴とするフィルム用高密度ポリエチレン樹脂組成物に存する。
また、本発明の他の要旨は、タルクの平均粒径が3〜15μmであることを特徴とする前記のフィルム用高密度ポリエチレン樹脂組成物に存する。
また、本発明の他の要旨は、必須成分としてポリプロピレン樹脂、超高分子量ポリエチレンを含有しないことを特徴とする前記のフィルム用高密度ポリエチレン樹脂組成物に存する。
また、本発明の他の要旨は、前記のいずれか1項に記載のフィルム用高密度ポリエチレン樹脂組成物からなるインフレーションフィルムに存する。
本発明のフィルム用高密度ポリエチレン樹脂組成物が優れた効果を奏するメカニズムは定かではないが、以下のように推定している。特定物性のタルク添加によって白粉が改善されるのは、フィルム表面にフィラー粒子が数多く点在することとなり、これに起因して摩擦相手との接触面積が小さくなるためと推定される。本発明のタルクはタルク特有の粒子形状(鱗片形)から凹凸が滑らかであり、フィラーの中で最も表面硬度が小さいこと、更に粗粒を除くことで白粉改良と被包装物への傷付き性が両立できたと考えられる。
本発明における高密度ポリエチレンは、密度が0.940〜0.980g/cm3、好ましくは0.942〜0.970g/cm3、より好ましくは0.944〜0.960g/cm3である。密度が0.940g/cm3未満では、剛性(腰)が低過ぎて高密度ポリエチレンフィルムとしての風合いに欠け、0.980g/cm3を越えると、フィルムの強度が著しく低下するため好ましくない。
ここで密度とは、ペレットを熱プレスして得られた2mm厚のプレスシートについて、JIS−K7112に準拠して測定したものである。詳しくは実施例で述べる。
本発明における高密度ポリエチレンは、MFRが0.01〜10g/10分、好ましくは0.02〜5g/10分、より好ましくは0.03〜2g/10分である。MFRが0.01g/10分未満では溶融粘度が高過ぎてフィルム加工時の押出負荷が大きく、フィルム表面に荒れ(シャークスキン)が発生したり、目ヤニの発生量が多くなったりするので好ましくない。10g/10分を越えると、インフレーション成形では溶融張力が低いために成形安定性が不良となりフィルム強度も低下するため好ましくない。ここで、MFRは、JIS−K7210に準拠して、190℃、21.18N荷重の条件で測定したときの値をいう。
本発明における高密度ポリエチレンは、Q値[重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)]が4〜40であり、好ましくは6〜35であり、より好ましくは8〜30である。Q値が4未満では、高密度ポリエチレンフィルム特有のマット性が損なわれ、40を超えると発煙、目ヤニの量が増加し生産効率を低下させるので好ましくない。ここで、Q値は、以下の方法で測定したときの値をいう。
Q値は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で定義されるものである。GPC測定の詳細は実施例で述べる。
本発明において高密度ポリエチレンは、密度、MFR及びQ値が上記範囲にあるポリエチレンである限り、エチレン単独重合体でもエチレン・α−オレフィン共重合体であってもよい。エチレン・α−オレフィン共重合体とは、エチレンと一種以上のα−オレフィンとの共重合体である。α−オレフィンは炭素数が3〜20のものが好ましく、炭素数が3〜12のものがより好ましい。具体的にはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げられる。また、これらのα−オレフィンの含有量は、合計で通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下の範囲で選択される。
本発明におけるエチレン単独重合体又はエチレン・α−オレフィン共重合体は、例えば、従来公知の低圧重合またはチーグラー型触媒を用いた重合あるいはメタロセン触媒を用いた重合により得ることができる。
係る高密度ポリエチレンの市販品としては、例えば、日本ポリエチレン社製「ノバテックHD HF335」(密度0.949、MFR0.6、Q値12.2)、「ノバテックHD HF111K」(密度0.945、MFR0.05、Q値26.4)、プライムポリマー社製「ハイゼックス7000F」(密度0.952、MFR0.04、Q値27.4)、「ハイゼックス640UF」(密度0.947、MFR0.05,Q値20.4)が挙げられる。
本発明におけるタルクは、粒径20μm以上の粒子の体積の和が全粒子の総体積の5%以下であることが必要である。つまり、粒径20μm以上の粒子が全粒子の5体積%以下である。好ましくは3体積%以下であり、より好ましくは0.1〜1体積%である。粒径20μm以上の粒子の体積の和が全粒子の総体積の5%を越えると、被包装物に対する傷付き性が悪化し、好ましくない。
本発明におけるタルクは、好ましくは平均粒径(D50)が3〜16μmであり、より好ましくは5〜15μmである。平均粒径が上記範囲であると、タルクの凝集によるブツの発生を防ぐことができフィルム外観を悪化させることがない。上記の粒径及び粒度分布は、レーザー光回折散乱方式の粒度分布計を用いて測定したものであり、詳しくは実施例で述べる。
本発明におけるタルクは、所定の粒度分布及び必要に応じて所定の粒径を示すものであるが、本発明の要件を満足しないタルクに対して、粉砕、分級等を行うことによって調整することができる。例えば、粉砕方法としてグラインダー式、ボールミル式、衝突式などがあり、分級方法として、乾式の篩い分け分級、重力分級、慣性分級、遠心分級、または湿式の沈降分級、水力分級などがある。また、物性値の異なる数種のタルクを適宜に混合することにより、物性値を調整して使用することもできる。
本発明におけるタルクは、好ましくは比表面積が50,000cm2/g以上であり、より好ましくは60,000cm2/g以上である。比表面積が上記範囲であると、高密度ポリエチレン樹脂に無機充填剤を添加することによって一般的に生じる衝撃強度の低下が少ないという利点がある。比表面積は、BET法により測定したものである。
本発明におけるタルクは、化学組成でSiO2及びMgOの成分がそれぞれ58〜63重量%、30〜33重量%の範囲で、その他の成分が10重量%以下の高純度のタルク原石を原料とするものが好ましい。また、CuKα線を用いた粉末X線回折像において2θが32±1度の範囲内でのピーク強度がタルク(004)反射のピーク強度の10%未満であるものが好ましい。
本発明におけるタルクは、脱気されていたり、マスターバッチ化されていたりしてもよい。脱気は、公知の粉体脱気装置、粉体圧縮装置(例えば栗本鐵工製ローラ−コンパクタ)等で行うことができる。マスターバッチとしては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等に高濃度にタルクが充填されたものが挙げられる。
またタルクは樹脂との親和性を高めるため、その表面をトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のアルコール類、トリエチルアミン等のアルカノールアミン、オルガノポリシロキサン等の有機シリコーン系化合物、ステアリン酸等の高級脂肪酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩、ポリエチレンワックス、流動パラフィン等の炭化水素系滑剤、リジン、アルギニン等の塩基性アミノ酸、ポリグリセリンおよびそれらの誘導体、並びにシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等のカップリング剤から選ばれる少なくとも1種で処理しておくこともできる。
本発明のフィルム用高密度ポリエチレン樹脂組成物は、上記エチレン単独重合体又はエチレン・α−オレフィン共重合体100重量部と上記タルク0.05〜1重量部、好ましくは0.06〜0.7重量部、より好ましくは0.07〜0.5重量部とを含むものである。タルクが0.05重量部未満では、粉ふき防止効果が低下し、1重量部を超えると傷付き性が悪化するし、加工時に目ヤニ発生量が増加し加工性も低下する。
本発明のフィルム用高密度ポリエチレン樹脂組成物は、上記エチレン単独重合体又はエチレン・α−オレフィン共重合体と上記タルクの他に、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、それぞれ目的に応じて、樹脂用添加剤、例えば酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、粘着付与剤、帯電防止剤、スリップ剤、核剤、発泡剤、難燃剤、架橋剤、充填剤、着色剤等を配合することができる。
また、本発明の高密度ポリエチレン樹脂組成物には、他の樹脂成分、例えば高圧ラジカル法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンアクリル共重合体などのエチレン系共重合体、エチレン系ゴム、ポリプロピレン、プロピレン系共重合体、ポリスチレン、スチレン系共重合体等が配合されていてもよい。
本発明のフィルム用高密度ポリエチレン樹脂組成物は、上記エチレン単独重合体又はエチレン・α−オレフィン共重合体と上記タルクと、必要に応じて配合される各種の樹脂用添加剤及び樹脂成分をヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、タンブラー型ミキサー等を用いて混合して得ることができる。さらに一軸あるいは二軸押出機、ニーダー等で加熱混練し、ペレット化してもよい。
本発明のフィルム用高密度ポリエチレン樹脂組成物は、インフレーションフィルム成形機へ供給することによりインフレーションフィルムを製造することができる。複数の押出機が設けられたインフレーションフィルム成形機を用いて多層のインフレーションフィルムとしてもよい。この場合少なくとも一層は本発明のフィルム用樹脂組成物からなる層である。
本発明のインフレーションフィルムは他の基材と張り合わせて積層体とすることができる。他の基材層としては、紙、アルミニウム箔、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルムなどを使用することができる。
本発明のインフレーションフィルムは、ショッピングバッグ、レジ袋、水物包装、規格袋、クラフト内袋、養生フィルム、お絞り包装、写真ネガ包装、シーラントフィルム、新聞包装、雨傘袋などの用途に好適に用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
[物性測定方法]
(1)メルトフローレート(MFR):
JIS−K7210に準拠して、190℃、21.18N荷重の条件で測定した。
(2)密度:
ペレットを熱プレスして2mm厚のプレスシートを作成し、該シートを1000ml容量のビーカーに入れ蒸留水を満たし、時計皿で蓋をしてマントルヒーターで加熱した。蒸留水が沸騰してから60分間煮沸後、ビーカーを木製台の上に置き放冷した。この時60分煮沸後の沸騰蒸留水は500mlとし室温になるまでの時間は60分以下にならないように調整した。また、試験シートはビーカー及び水面に接しないように水中のほぼ中央部に浸漬した。シートを23℃、湿度50%の条件で16時間以上24時間以下アニーリングを行った後、縦横2mmになるように打ち抜き、試験温度23℃でJIS−K7112に準拠して測定した。
(3)分子量及びQ値:(GPC測定)
装置:ウォーターズ社製GPC 150C型
検出器:MIRAN 1A赤外分光光度計(測定波長、3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S 3本
[カラムの較正は、東ソー社製単分散ポリスチレン(A500,A2500,F1,F2,F4,F10,F20,F40,F288の各0.5mg/ml溶液)の測定を行い、溶出体積と分子量の対数値を2次式で近似した。また、試料の分子量は、ポリスチレンとポリエチレンの粘度式を用いてポリエチレンに換算した。ここでポリスチレンの粘度式の係数は、α=0.723、logK=−3.967であり、ポリエチレンは、α=0.723、logK=−3.407である。]
測定温度:140℃
注入量:0.2ml
濃度:20mg/10ml
溶媒:オルソジクロロベンゼン
流速:1.0ml/分
(4)粒径及び粒度分布:
レーザー光回折散乱方式の粒度分布計を用いる。その測定原理は、「粒子径計測技術(粉体工学会編、日刊工業新聞社、平成6年11月1日発行)」に基づくものである。測定機器としては、島津製作所製SALD−2200型を用いた。なお、測定する際、タルクの屈折率は装置付属の屈折率一覧表より1.60−0.10×iを選定し使用した(iは虚数を表す)。
この測定で得られるタルクの粒度分布は、横軸を粒子径とし、縦軸を粒径から算定した所定の粒径範囲の粒子の体積の和が全粒子の体積の総和に対する割合として示される。密度が粒子径に依存しないものとして、所定の粒径範囲の粒子重量の総重量に対する割合が求められる。
[使用原料]
以下の実施例及び比較例で使用した原料は下記の通りである。
なお、密度の単位はg/cm3、MFRの単位はg/10分であるが、以下の実施例を含め本文中では記載を省略した個所がある。
高密度ポリエチレン
HDPE−A:日本ポリエチレン社製高密度ポリエチレン「ノバテックHD HF335」
(密度0.949、MFR0.6、Q値12.2)
HDPE−B:日本ポリエチレン社製高密度ポリエチレン「ノバテックHD HF111K」
(密度0.945、MFR0.05、Q値26.4)
タルク充填剤
F1−a:富士タルク工業社製タルク「PKP−53」
(平均粒径(D50)17μm、粒径20μm以上の粒子の体積の和が全粒子の総体積の27.5%)
F1−b:下記の方法で調製した自製タルク
F1−aをJIS Z 8801に規定の試験用篩700#(目開き21μm)を使用して手篩で粗粒を篩分したもの。
(平均粒径(D50)14μm、粒径20μm以上の粒子の体積の和が全粒子の総体積の0.7%)
F1−c:下記の方法で調製した自製タルク
F1−aとF1−bを2.5:7.5の重量比率でポリ容器(袋)に入れ十分に混合したもの
(平均粒径(D50)14.8μm、粒径20μm以上の粒子の体積の和が全粒子の総体積の7.4%)
タルク以外の充填剤
F2:Celite社製珪藻土「ダイカライト」をJIS Z 8801に規定の試験用篩700#(目開き21μm)を使用して粗粒を篩分したもの。
(D50=6.4μm、粒径20μm以上の粒子の体積の和が全粒子の総体積の0.2%)
F3:Celite社製焼成珪藻土「SFSF」をJIS Z 8801に規定の試験用篩700#(目開き21μm)を使用して粗粒を篩分したもの。
(D50=3.5μm、粒径20μm以上の粒子の体積の和が全粒子の総体積の0.0%)
F4:水澤化学社製合成ゼオライト「JC50」をJIS Z 8801に規定の試験用篩700#(目開き21μm)を使用して粗粒を篩分したもの。
(D50=5μm、粒径20μm以上の粒子の体積の和が全粒子の総体積の0.0%)
F5:水澤化学社製合成ゼオライト「AMT100」をJIS Z 8801に規定の試験用篩700#(目開き21μm)を使用して粗粒を篩分したもの。(D50=7.2μm、粒径20μm以上の粒子の体積の和が全粒子の総体積の0.0%)
F6:綜研化学社製架橋ポリメチルメタアクリレート粒子「MR−10G」をJIS Z 8801に規定の試験用篩700#(目開き21μm)を使用して粗粒を篩分したもの。
(D50=8.9μm、粒径20μm以上の粒子の体積の和が全粒子の総体積の0.0%)
[フィルム評価]
(白粉付着度合)
インフレーションフィルム成形機「MK50Φ」(ダイ:75mmΦ、リップ:1.0mm)を使用して、フィルムを成形するに際して、ガイド板(内側)に黒模造紙を貼り、下記条件で1時間製膜後の黒模造紙への白粉付着状況を目視で確認して、次の基準で評価した。白粉付着度合は白粉発生量に対応するものと評価できる。
設定温度(℃):C1/150、C2/150、C3/150、H/160、H/180、D1/180、D2/180(Cはシリンダー、Hはヘッド、Dはダイを示す)
押出量:16kg/時、引取速度:20m/分、折径:290mm、BUR(ブローアップ比):2.5
目標厚み:25μm
白粉付着の評価基準
1.殆ど確認できない。
2.薄っすらと確認できる。
3.確認できる。
4.明確に確認できる。
5.多量に付着している。
(傷付き性)
低密度ポリエチレン樹脂(MFR:22、密度:0.918、日本ポリエチレン社製ノバテックLJ802)に黒顔料(カーボンブラック)を添加して厚み2mmの表面平滑な射出板を作成し、その表面に以下の条件で検体フィルムを擦らせて、試験前の射出板の光沢度と試験後の射出板の光沢度の差(Δグロス)を測定した。Δグロスの数値が小なるほど被包装物傷付き性が良いことを意味する。実用的にはΔグロスは30%未満、好ましくは20%未満、特に18%未満が好ましい。
試験機:HEIDON社製表面性試験機「14DR」
速度:6000mm/分
Δグロス(GLOSS)評価:村上色彩社製変角光沢計を用いて入射角60°で測定した。
測定方向:光源進行方向に対し傷進行方向を直角とした。
(加工性)
目ヤニ発生の促進試験条件である下記条件での150分間の押出成形後、ノズル部分の目ヤニ付着度合を目視で判定した。
押出成形機:ユニプラス社製「40Φモノフィラ成形機」
設定温度(℃):C1/200,C2/210、C3/210、H/220、D/220(Cはシリンダー、Hはヘッド、Dはダイを示す)
ノズル:1.0mm×5.0mm×10ホール
押出量:5.5kg/時
(フィルムの外観)
得られたフィルムで、ブツの有無を目視で確認した。ブツが認められないか、充填剤を配合していないフィルムと同程度以下のブツが認められるものを○、充填剤を配合していないフィルムを越えたブツが認められるものを×とした。
<実施例1>
高密度ポリエチレン(HDPE−A)100重量部に充填剤(F1−b)0.08重量部を加え、スーパーミキサーにて混合均質化した。次に、得られた混合物を同方向二軸押出機を使用し、下記の条件・方法にて溶融混練及びペレット化をして樹脂組成物のペレットを得た。得られた樹脂組成物について、前記した方法で評価を行った。結果を表1に示した。
[溶融混練の条件]
押出機:東芝機械社製TEM−35B
設定温度(℃):D1/160、C2〜C5/180、H/180(Cはシリンダー、Hはヘッド、Dはダイを示す)
押出量/15kg/時
[ペレット化の方法]
溶融状態のストランドを水槽にて冷却固化し、ペレタイズカッターにて連続的に引き取る。
<実施例2〜実施例6>、<比較例1〜比較例14>
高密度ポリエチレンと充填剤の種類および配合量を表1〜3に示す通りとして、実施例1と同様に溶融混練し、樹脂組成物のペレットを得た。得られた樹脂組成物について、前記した方法で評価を行った。結果を表1〜3に示した。
[実施例と比較例の考察]
MFR=0.6、Q値=12.2の高密度ポリエチレン(HDPE−A)に、本発明の規定を満たすタルク(F1−b)を配合すると、配合量が0.04重量部(比較例2)から0.08重量部(実施例1)に増加する間で白粉の付着が急激に減少する現象が認められた。タルクの配合量をさらに増やしても白粉の付着は実用面を考慮しても顕著な変化はなかった。一方、傷つき性は、配合量0〜0.32重量部まではさほど大きな変化はなかったものの、1.2重量部ではΔグロスが52%となり著しく悪化した。(実施例1〜3、比較例1〜3参照)
20μm以上の粗粉が多いタルク(F1−a)並びに(F1−c)を用いると、白粉の発生は少ないものの、傷つき性は悪く、本発明の規定を満たすタルク(F1−b)を同量配合した場合と比較して、白粉の発生と傷つき性とのバランスは劣っていた。(実施例1、3、比較例4、5、6,7参照)
Figure 2010126663
MFR=0.6、Q値=12.2の高密度ポリエチレン(HDPE−A)を使用し、白粉改善効果と充填剤を添加する際に懸念される被包装物に対する傷付き性をより顕著に評価するため、充填剤添加量を濃度の高い実施例3に合わせてタルク以外の各種充填剤(F2〜F6)について確認を行った。評価した全ての充填剤に白粉改善効果が確認されたが、本発明の規定を満たすタルク(F1−b)を添加したものと比べ、被包装物傷付き性並びに目ヤニ発生度合が著しく劣った。(実施例3、比較例8〜12参照)
Figure 2010126663
MFR=0.6、Q値=12.2の高密度ポリエチレン(HDPE−A)の代わりに、MFR=0.05、Q値=26.4の高密度ポリエチレン(HDPE−B)を用いた結果を表3にまとめた。HDPE−BはHDPE−Aに比べて白粉付着度合が高かったが(比較例1、13)本発明の規定を満たすタルク(F1−b)を配合すると、HDPE−Aの時と同様、配合量が0.04重量部から0.08重量部に増加するに従い、白粉の付着が急激に減少する現象が認められた。しかしながらタルクの配合量をさらに増やしても白粉の付着は実用面を考慮しても顕著な変化はなかった。(比較例14、実施例4〜6参照)
Figure 2010126663

Claims (4)

  1. 密度0.940〜0.980g/cm3、MFR(190℃、21.18N)0.01〜10g/10分、Q値4〜40である高密度ポリエチレン100重量部と粒径20μm以上の粒子の体積の和が全粒子の総体積の5%以下であるタルク0.05〜1重量部とを含有することを特徴とするフィルム用高密度ポリエチレン樹脂組成物。
  2. タルクの平均粒径が3〜15μmであることを特徴とする請求項1に記載のフィルム用高密度ポリエチレン樹脂組成物。
  3. 必須成分としてポリプロピレン樹脂及び超高分子量ポリエチレンを含有しないことを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルム用高密度ポリエチレン樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィルム用高密度ポリエチレン樹脂組成物からなるインフレーションフィルム。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2013046562A1 (ja) * 2011-09-30 2015-03-26 出光ユニテック株式会社 形状保持テープ、ジッパーテープ、包装袋、形状保持テープの製造方法、及びジッパーテープの製造方法
JP2016084468A (ja) * 2014-10-28 2016-05-19 吉野化成株式会社 インフレーションフィルム組成物
JP2018021121A (ja) * 2016-08-03 2018-02-08 プロパテント株式会社 ゴミ袋用樹脂組成物、ゴミ袋及びゴミ袋の製造方法

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