JP2018019598A - 車両制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】スイッチトリラクタンスモータを搭載した車両の発進性能を向上させることができる車両制御装置を提供する。
【解決手段】ロータおよびステータを有し、走行用の駆動源として車両に搭載されたスイッチトリラクタンスモータと、スイッチトリラクタンスモータの電流制御を行う制御部と、を備え、制御部は、車両を発進させる回転方向のトルクであって、かつ通常の電流制御で出力可能な最大トルクよりも大きなトルクをスイッチトリラクタンスモータに出力させる第二電流制御を実行する(ステップS70)。
【選択図】図7

Description

本発明は、車両制御装置に関する。
従来、駆動源としてスイッチトリラクタンスモータを搭載した車両が知られている。このような車両においてスイッチトリラクタンスモータを制御する技術として、例えば、特許文献1には、モータ(スイッチトリラクタンスモータ)の回転角度が目標回転角度に対して所定角度以内に近付いてからモータの回転速度を減速する際に、モータの電源電圧又は巻線温度(モータの駆動電流の流れにくさ)に応じて前記所定角度(減速開始点)を変更するモータ制御装置の技術が開示されている。
特開2012−90462号公報
スイッチトリラクタンスモータを目標回転角度で停止させる制御を行う場合、必ずしも目標とした回転角度でスイッチトリラクタンスモータが停止するとは限らない。また、停止後に外乱等によりスイッチトリラクタンスモータの停止位置が変化してしまい、発進時のスイッチトリラクタンスモータの回転角度が目標回転角度と異なっている可能性がある。スイッチトリラクタンスモータは、回転角度に応じて出力可能な最大トルクが異なる。このため、車両の発進時にスイッチトリラクタンスモータの回転角度が十分なトルクを出力することができない回転角度となっている場合、発進性能が低下してしまう可能性がある。
本発明の目的は、スイッチトリラクタンスモータを搭載した車両の発進性能を向上させることができる車両制御装置を提供することである。
本発明の車両制御装置は、ロータおよびステータを有し、走行用の駆動源として車両に搭載されたスイッチトリラクタンスモータと、前記スイッチトリラクタンスモータの電流制御を行う制御部と、を備え、前記制御部は、前記車両を発進させる回転方向のトルクであって、かつ通常の前記電流制御で出力可能な最大トルクよりも大きなトルクを前記スイッチトリラクタンスモータに出力させる第二電流制御を実行することを特徴とする。
上記車両制御装置は、第二電流制御によって通常の前記電流制御で出力可能な最大トルクよりも大きなトルクをスイッチトリラクタンスモータに出力させることにより、車両の発進性能を向上させることができる。
上記車両制御装置において、前記制御部は、前記第二電流制御の実行後に要求モータトルクが通常の前記電流制御で出力可能な最大トルク以下となった場合に、前記第二電流制御を終了させることが好ましい。
上記車両制御装置において、前記制御部は、前記車両を発進させる回転方向とは逆方向に前記ロータを回転させる第一電流制御を実行し、前記車両を発進させることができるトルクを出力可能な回転位置まで前記第一電流制御によって前記ロータが前記逆方向に回転した後で前記車両を発進させる回転方向に前記ロータを回転させる制御を実行することが好ましい。
上記車両制御装置は、第一電流制御によって車両を発進させることができるトルクを出力可能な回転位置までロータを逆回転させることにより、車両の発進性能を向上させることができる。
上記車両制御装置において、前記制御部は、前記第二電流制御の後に前記第一電流制御を実行することが好ましい。
上記車両制御装置は、第二電流制御を第一電流制御よりも優先して実行することで、発進応答性を高めて車両の発進性能を向上させることができる。
上記車両制御装置において、前記制御部は、前記第一電流制御において、前記スイッチトリラクタンスモータの励磁を停止して前記車両に作用する重力によって前記ロータを前記逆方向に回転させることが好ましい。
上記車両制御装置は、電力消費を抑制しつつロータを逆回転させることができ、車両の発進性能の向上と燃費の低減を両立することができる。
上記車両制御装置において、前記制御部は、前記第一電流制御において、前記スイッチトリラクタンスモータの励磁を所定期間停止しても前記ロータが前記逆方向に回転しない場合、前記スイッチトリラクタンスモータに前記逆方向のトルクを出力させて前記ロータを前記逆方向に回転させることが好ましい。
上記車両制御装置は、モータトルクによってロータの逆回転を促すことにより、ロータの回転位置を調節して車両の発進性能を向上させることができる。
上記車両制御装置において、前記制御部は、通常の前記電流制御で出力可能な最大トルクによって前記車両が発進しない場合であって、かつ前記車両の発進方向が登坂方向である場合、前記第一電流制御において、前記スイッチトリラクタンスモータに前記逆方向のトルクを出力させて前記ロータを前記逆方向に回転させることが好ましい。
上記車両制御装置は、モータトルクによってロータの逆回転を促すことにより発進応答性を向上させることができる。
本発明に係る車両制御装置は、車両を発進させる回転方向のトルクであって、かつ通常の電流制御で出力可能な最大トルクよりも大きなトルクをスイッチトリラクタンスモータに出力させる第二電流制御を実行する。本発明に係る車両制御装置によれば、第二電流制御によって通常の電流制御で出力可能な最大トルクよりも大きなトルクをスイッチトリラクタンスモータに出力させることで、車両の発進性能を向上させることができるという効果を奏する。
図1は、第1実施形態に係る車両の概略構成図である。 図2は、第1実施形態に係るスイッチトリラクタンスモータの要部断面図である。 図3は、第1実施形態に係る車両のブロック図である。 図4は、第一電流制御の説明図である。 図5は、登坂方向の発進を示す図である。 図6は、第二電流制御の説明図である。 図7は、第1実施形態に係る動作を示すフローチャートである。 図8は、第2実施形態に係る動作を示すフローチャートである。 図9は、第3実施形態に係る動作を示すフローチャートである。 図10は、各実施形態の第2変形例に係る車両の概略構成図である。
以下に、本発明の実施形態に係る車両制御装置につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
[第1実施形態]
図1から図7を参照して、第1実施形態について説明する。本実施形態は、車両制御装置に関する。図1は、本発明の第1実施形態に係る車両の概略構成図、図2は、第1実施形態に係るスイッチトリラクタンスモータの要部断面図、図3は、第1実施形態に係る車両のブロック図、図4は、第一電流制御の説明図、図5は、登坂方向の発進を示す図、図6は、第二電流制御の説明図、図7は、第1実施形態に係る動作を示すフローチャートである。
図1に示すように、車両1は、車両制御装置100、車輪5、およびバッテリ20を含む。車両1は、4つの車輪5(左前輪5FL,右前輪5FR,左後輪5RL,および右後輪5RR)を有する。左右の後輪5RL,5RRは、駆動輪である。左右の前輪5FL,5FRは、従動輪である。本実施形態の車両制御装置100は、SRモータ(スイッチトリラクタンスモータ)2、およびECU4を含む。車両制御装置100は、更に位置検出部3を含んでいてもよい。
SRモータ2は、走行用の駆動源として車両1に搭載されている。SRモータ2は、バッテリ20と接続されている。SRモータ2は、バッテリ20から供給される電力をトルクに変換する電動機の機能、および伝達されるトルクを電力に変換してバッテリ20に充電する発電機の機能を有する。SRモータ2は、図2に示すように、ステータ21およびロータ22を有する。ステータ21は、車体に対して回転不能に固定されている。ステータ21は、円筒形状のステータ本体23を有する。ステータ本体23の内周面には、磁性体で構成された複数の突極24が設けられている。突極24は、ステータ本体23からステータ本体23の径方向の内側に向けて突出している。突極24は、周方向に沿って所定の間隔、例えば等間隔で配置されている。突極24には、それぞれコイル25が巻かれている。
ロータ22は、円筒形状のロータ本体26を有する。ロータ本体26の外周面には、磁性体で構成された複数の突極27が設けられている。突極27は、ロータ本体26からロータ本体26の径方向の外側に向けて突出している。突極27は、周方向に沿って所定の間隔、例えば等間隔で配置されている。ロータ22は、ステータ21の内方に、ステータ21の中心軸線とロータ22の中心軸線とを一致させて配置されている。ロータ22は、ステータ21に対して相対回転自在に軸受によって支持されている。
ステータ21において、ある突極24のコイル25に電流が流されると、その電流によって突極24とロータ22の突極27との間に発生する磁束により、突極24と突極27との間に吸引力Fが発生する。吸引力Fの周方向の成分Frは、ロータ22を回転させる回転力となる。SRモータ2は、各コイル25に対する通電タイミングおよび通電量を制御する制御回路を有する。制御回路は、ECU4からの指令に応じて各コイル25の通電制御を行う。ロータ22の回転位置に応じて通電するコイル25が適宜切り替えられることにより、ロータ22が回転駆動される。また、SRモータ2の出力トルクの指令値に応じて各コイル25の通電量が調節される。
図1に戻り、ロータ22の回転軸6は、デファレンシャルギヤ7と接続されている。デファレンシャルギヤ7は、左右の駆動軸8を介して後輪5RL,5RRと接続されている。ロータ22は、デファレンシャルギヤ7および駆動軸8を介して後輪5RL,5RRと機械的に連結されており、後輪5RL,5RRと連動して回転する。ロータ22の回転は、少なくともデファレンシャルギヤ7において減速されて後輪5RL,5RRに伝達される。位置検出部3は、ロータ22の回転位置を検出する。本実施形態の位置検出部3は、レゾルバであり、ロータ22の回転位置を高精度に検出することができる。
図3に示すように、ECU4は、位置検出部3、車速センサ9、勾配センサ10、アクセル開度センサ11、およびシフトポジションセンサ12と接続されている。車速センサ9は、車両1の走行速度を検出する。勾配センサ10は、車両前後方向の路面勾配を検出する。勾配センサ10は、例えば、水平方向に対する車両前後軸の傾斜角度を検出する加速度センサである。アクセル開度センサ11は、運転者によるアクセルペダルの踏み込み量を検出する。シフトポジションセンサ12は、シフトレバー等の操作入力部材に対する運転者のシフト操作を検出する。シフトポジションセンサ12は、例えば、シフトレバーのシフト位置を検出することによって、運転者によって要求されたシフトレンジを判断する。シフトレンジには、例えば、Dレンジを含む前進走行レンジ、後進走行(R)レンジ、中立レンジ、駐車レンジ等が含まれる。位置検出部3、車速センサ9、勾配センサ10、アクセル開度センサ11、およびシフトポジションセンサ12の検出結果を示す信号は、ECU4に出力される。
ECU4は、車両1を制御する制御部であり、例えば、電子制御ユニットである。ECU4は、運転者の加速操作に基づいて、車両1に対する運転者の加速要求量を算出する。本実施形態のECU4は、加速要求量の1つとして、要求加速度を算出する。要求加速度は、例えば、アクセル開度と車速から算出される。ECU4は、要求加速度からSRモータ2に対する要求トルクを算出する。なお、本実施形態において、トルクの値は、駆動軸8上のトルクに換算した値である。本実施形態の車両1は、SRモータ2を走行用の唯一の駆動源としている。従って、SRモータ2の出力トルクによって車両1の加速度を要求加速度に一致させるように、SRモータ2に対する要求トルクが決定される。以下の説明では、運転者の要求加速度に対応するSRモータ2に対する要求トルクを「要求モータトルク」とも称する。
ECU4は、要求モータトルクに基づいて、SRモータ2の電流制御を行う。本実施形態のECU4は、要求モータトルクおよび位置検出部3によって検出されたロータ22の回転位置に基づいて、各コイル25の通電量を決定し、決定した通電量をSRモータ2に指令する。SRモータ2の制御回路は、通電量の指令値に応じて、各コイル25の通電量を制御する。制御回路は、例えば、PWM(Pulse Width Modulation)制御により、バッテリ20から各コイル25に供給する電流値を制御する。
本実施形態では、SRモータ2のロータ22の回転方向を以下のように称する。
前進回転方向:車両1を車両前方に向けて駆動するモータトルクの方向
後進回転方向:車両1を車両後方に向けて駆動するモータトルクの方向
つまり、車両1が前進走行している(車両前方に向かう方向に走行している)場合のロータ22の回転方向が前進回転方向である。一方、車両1が後進走行している(車両後方に向かう方向に走行している)場合のロータ22の回転方向が後進回転方向である。
また、車両1の進行方向にかかわらず、運転者によって要求されている車両1の進行方向の駆動力を発生させるトルクの方向を「正方向」と称し、正方向と反対方向を「逆方向」と称する。例えば、運転者によって前進走行が要求されているときには、車両1に前進方向の駆動力を発生させるトルクの方向が正方向となり、車両1に後進方向の駆動力を発生させるトルクの方向が逆方向となる。一方、運転者によって後進走行が要求されているときには、車両1に後進方向の駆動力を発生させるトルクの方向が正方向となり、これと反対方向が逆方向となる。従って、停車状態において運転者によって前進方向への発進が要求されている場合、前進駆動力を発生させるトルクの方向がロータ22の正回転方向である。
図2に示すように、SRモータ2では、ステータ21の突極24とロータ22の突極27との吸引力Fの周方向の成分Frがロータ22の回転力となる。従って、突極24と突極27との周方向における相対位置に応じて、回転力の大きさが変化する。言い換えると、コイル25の通電量が同一であっても、ロータ22の回転位置に応じて発生するトルクの大きさが変化する。
図4には、SRモータ2の通常最大トルクTmax0とロータ22の回転位置との関係が示されている。図4において、横軸はロータ22の回転位置[°]、縦軸はSRモータ2の出力トルク[Nm]を示す。図4に示すように、通常最大トルクTmax0の大きさは、回転位置に応じて周期的に変化する。通常最大トルクTmax0は、SRモータ2の通常制御における許容範囲内の最大トルクである。通常制御は、SRモータ2に対する電流制御であって、後述する第一電流制御および第二電流制御以外の制御である。通常制御は、走行中に一般的に使われる最大電流値に基づいてなされる電流制御であり、例えば、SRモータ2やバッテリ20の耐久性を加味した最適な電流範囲で実行される制御である。通常制御では、SRモータ2に供給することが許容される最大電流値が予め定められている。以下の説明では、通常制御において許容される最大電流値を「通常最大電流値Imax0」と称する。通常最大トルクTmax0は、SRモータ2に通常最大電流値Imax0が供給された場合にSRモータ2が出力するトルクである。
図5に示すように坂路において登坂方向に発進する場合など、車両1を発進させるために必要なトルクが大きな値となる場合がある。上述したように、通常最大トルクTmax0はロータ22の回転位置に応じて異なる大きさであるため、停車したときのロータ22の回転位置によっては、通常最大トルクTmax0の大きさが発進のために必要なトルク(以下、単に「発進必要トルク」と称する。)の大きさを下回る可能性がある。例えば、ロータ22が図4に示す回転位置ω1(以下、「停止位置ω1」と称する。)で停止している場合、通常制御においてSRモータ2が出力することを許容されている最大トルクの大きさはT1であり、図4に図示した発進必要トルクの大きさを下回っている。
本実施形態の車両制御装置100は、以下に説明する第一電流制御および第二電流制御によってSRモータ2の出力可能なトルクを増加させ、車両1の発進性能を向上させる。
(第一電流制御)
図4を参照して、第一電流制御について説明する。第一電流制御は、車両1を登坂方向に発進させたい場合に、ロータ22を一時的に逆回転させる制御である。言い換えると、第一電流制御は、車両1を発進させる回転方向とは逆方向(逆回転方向)にロータ22を回転させる電流制御である。本実施形態の第一電流制御には、SRモータ2に逆回転方向のトルクを発生させることでSRモータ2を逆回転させる逆トルク出力制御、およびSRモータ2の励磁を行わずSRモータ2にトルクを発生させない状態として車両1に作用する重力によってSRモータ2を逆回転させる非通電制御が含まれる。車両1が前進している場合、車両1の前進に応じて、ロータ22の回転位置は前進回転方向(図4の右方向)に変化していく。ECU4は、車両1を前進方向に発進させる場合であって、停止位置ω1における通常最大トルクTmax0の大きさT1が発進必要トルクの大きさ未満である場合、第一電流制御によってロータ22を矢印Y1で示すように後進回転方向に回転させる。ロータ22の回転位置の変化によって、通常最大トルクTmax0の大きさが変化する。ECU4は、ロータ22の回転位置に応じた通常最大トルクTmax0の大きさが発進必要トルク以上となると、その回転位置で第一電流制御を終了して、SRモータ2に前進回転方向のトルクを発生させる制御を実行する。
例えば、第一電流制御によってロータ22の回転位置が位置ω2となったとする。位置ω2では、SRモータ2の出力トルクにおける許容範囲の最大値は、発進必要トルクよりも大きな値T2である。これにより、SRモータ2は、勾配等の走行抵抗トルクよりも大きなトルクを出力して車両1を発進させることができる。車両1が発進して走行し始めると、車両1の駆動系の各部における摩擦抵抗の値は、発進前の静摩擦による抵抗値から、動摩擦による抵抗値へと変化する。つまり、発進後の摩擦抵抗値(動摩擦抵抗値)の大きさは、停車していた場合の摩擦抵抗値(静摩擦抵抗値)の大きさよりも小さくなる。従って、発進後には、各回転位置におけるSRモータ2の通常最大トルクTmax0の大きさが走行抵抗トルクを上回り、SRモータ2によって継続して車両1を前進走行させることができる可能性が高い。
(第二電流制御)
図6を参照して、第二電流制御について説明する。第二電流制御は、許容範囲よりも大きなトルクをSRモータ2に一時的に出力させる制御である。言い換えると、第二電流制御は、通常最大電流値Imax0よりも大きな電流値をSRモータ2に一時的に供給して車両1を発進させる回転方向のトルクを発生させる制御である。図6には、通常最大トルクTmax0に加えて、第二最大トルクTmax2が示されている。ECU4は、SRモータ2が通常最大トルクTmax0を出力しても車両1を発進させることができない場合、一時的に最大電流値を通常最大電流値Imax0よりも大きな値に変更する。以下の説明では、第二電流制御においてSRモータ2に流れることを許容する最大電流値を、単に、第二最大電流値Imax2と称する。第二最大トルクTmax2は、第二最大電流値Imax2が通電された場合にSRモータ2が出力可能な最大トルクを示す。
第二最大電流値Imax2は、例えば、バッテリ20の温度や電圧などのバッテリ20の状態、およびコイル25の温度などのSRモータ2の状態に基づいて算出される。第二最大電流値Imax2は、一時的にSRモータ2に供給されたとしてもSRモータ2の耐久性に影響しない範囲で定められることが好ましい。図6において、停止位置ω1に対応する第二最大トルクTmax2の大きさT3は、発進必要トルクを上回る。つまり、通常許容されるよりも大きな電流値の電流がSRモータ2に供給されることで、モータトルクが増大し車両1を発進させることが可能となる。
図7を参照して、本実施形態の車両制御装置100による制御について説明する。図7に示す制御フローは、ECU4が作動している場合に実行されるものであり、例えば、運転者によって走行レンジが指示されている場合に実行される。この制御フローは、例えば、所定の間隔で繰り返し実行される。
ステップS10では、ECU4が、車速センサ9の検出結果等に基づいて車両1が停止しているか否かを判定する。ステップS10の判定の結果、車両1が停止していると肯定判定された場合(ステップS10−Y)にはステップS20へ進み、否定判定された場合(ステップS10−N)にはステップS40へ進む。
ステップS20では、ECU4が、発進必要トルクを導出する。本実施形態の発進必要トルクは、車両1を発進させることができるSRモータ2の出力トルク(必要トルク)である。本実施形態の車両1は、SRモータ2を唯一の駆動源として走行する。従って、発進必要トルクは、勾配抵抗等の走行抵抗に抗して車両1を進行方向に発進させるために必要とされるモータトルクである。ECU4は、例えば、車両1の車重と、車両1の乗車人数と、検出された路面の勾配の大きさに基づいて発進必要トルクを算出する。なお、路面の勾配に基づいて予め定められた値を発進必要トルクとしてもよい。ステップS20が実行されると、ステップS30に進む。
ステップS30では、ECU4が、通常制御で発進可能であるか否かを判定する。ECU4は、以下の条件が全て成立する場合にステップS30で否定判定する。
(1)車両1の進行方向が、登坂方向である。
(2)SRモータ2に対する要求モータトルクが、発進必要トルク以上である。
(3)発進必要トルクの大きさよりも、検出されたロータ22の回転位置に応じた通常最大トルクTmax0の大きさが小さい。
上記の条件について説明する。条件(1)が成立しない場合、車両1は平坦路において発進しようとしているか、または降坂方向に発進しようとしている。従って、通常制御によって車両1を発進させることが可能である。条件(2)が成立しない場合、運転者の加速操作に応じた要求モータトルクは、発進必要トルク未満である。つまり、SRモータ2に対して、車両1を発進させるために必要な大きさのトルクが要求されておらず、進行方向への走行開始が指示されていないといえる。なお、ECU4は、条件(2)が成立すると、タイマーによる停止時間の計測を開始する。計測される停止時間は、運転者による発進要求や加速要求が検出された時点からSRモータ2のロータ22が停止したままで経過した経過時間である。計測された停止時間は、後述するステップS80において参照される。
条件(3)について、通常制御において許容される通常最大トルクTmax0の大きさは、例えば、図4のマップを参照して算出される。ECU4は、図4のマップを参照して、位置検出部3によって検出された現在のロータ22の回転位置におけるSRモータ2の通常最大トルクTmax0の大きさを推定する。条件(3)が成立せず、現在の回転位置における通常最大トルクTmax0の大きさが発進必要トルクの大きさ以上である場合、通常制御によって車両1を発進させることが可能である。
ECU4は、上記の条件(1)から(3)の少なくとも何れか1つが成立しない場合には、ステップS30で肯定判定する。ステップS30の判定の結果、肯定判定がなされた場合(ステップS30−Y)にはステップS40に進み、否定判定された場合(ステップS30−N)にはステップS50へ進む。
ステップS40では、ECU4が通常制御を実行する。ECU4は、運転者による加速操作が検出されていれば、SRモータ2に対して、要求モータトルクを出力するよう指令する。ステップS40が実行されると、本制御フローは終了する。
ステップS50では、ECU4が、第二電流制御が実行可能であるか否かを判定する。ECU4は、バッテリ20の状態や、SRモータ2の状態に基づいて、許容範囲を超える大きさのモータトルクをSRモータ2から出力させることが可能か否かを判定する。ステップS50で肯定判定がなされた場合(ステップS50−Y)にはステップS60に進み、否定判定された場合(ステップS50−N)にはステップS80に進む。
ステップS60では、ECU4が、第二電流制御によって発進可能であるか否かを判定する。ECU4は、現在のSRモータ2の状態およびバッテリ20の状態に基づいて、第二電流制御においてSRモータ2に対して供給する最大電流値(第二最大電流値Imax2)を決定する。ECU4は、第二最大電流値Imax2が供給された場合に現在のロータ22の停止位置においてSRモータ2が出力する第二最大トルクTmax2を推定する。第二最大トルクTmax2の大きさが発進必要トルクの大きさ以上である場合、肯定判定(ステップS60−Y)されてステップS70に進む。否定判定された場合(ステップS60−N)にはステップS80に進む。
ステップS70では、ECU4が、第二電流制御を実行する。ECU4は、SRモータ2に対する要求トルクを第二最大トルクTmax2以下の範囲で決定する。SRモータ2に対する要求トルクの大きさは、発進必要トルク以上、かつ要求モータトルク以下の範囲で定められることが好ましい。ただし、ロータ22が正回転方向に回転し始めるまでの間はSRモータ2に対する要求トルクの大きさを要求モータトルクの大きさよりも大きくしてもよい。ステップS70が実行されると、本制御フローは終了する。なお、ECU4は、ステップS70が実行されて車両1が発進した後に、要求モータトルクが通常最大トルクTmax0の値以下となった場合には、第二電流制御を終了して通常制御を開始する。
ステップS80では、ECU4が、ロータ22が閾値時間以上停止しているか否かを判定する。ECU4は、運転者による発進要求が検出された時点からのロータ22の停止時間(継続停止時間)が予め定められた閾値時間以上である場合、ステップS80で肯定判定(ステップS80−Y)してステップS130へ進む。ステップS80で否定判定された場合(ステップS80−N)にはステップS90へ進む。
ステップS90では、ECU4が、第一電流制御のうち、非通電制御を実行する。ECU4は、SRモータ2のコイル25に対する電流の供給を禁止してSRモータ2の励磁を停止した状態とする。励磁が停止されたSRモータ2は、何れの回転方向のトルクも発生せず、フリーな状態となる。車両1が傾斜路上にある場合、車両1には、重力による降坂方向の力が作用している。この降坂方向の力は、路面から車輪5を介してSRモータ2に伝達される。SRモータ2のロータ22に入力されるトルクの方向は、車両1を発進させる回転方向とは逆方向、言い換えると運転者によって要求されているトルクの方向とは逆方向(逆回転方向)である。路面から伝達された逆回転方向のトルクによって、ロータ22は逆回転方向に回転する。これにより、ロータ22の回転位置は変化し、回転位置の変化に応じてSRモータ2が出力可能な通常最大トルクTmax0の大きさが変化する。ステップS90が実行されると、ステップS100に進む。
ステップS100では、ECU4が、位置検出部3の検出結果に基づいてロータ22が停止しているか否かを判定する。ECU4は、例えば、ステップS100を実行する毎に位置検出部3からロータ22の回転位置を取得する。ECU4は、前回取得したロータ22の回転位置と、今回取得したロータ22の回転位置との差分の大きさが所定値以下である場合にステップS100で肯定判定する。ステップS100でロータ22が停止していると判定された場合(ステップS100−Y)にはステップS110に進み、否定判定された場合(ステップS100−N)にはステップS120に進む。
ステップS110では、ECU4が、タイマーによる停止時間のカウントを継続する。ステップS110が実行されると、ステップS20へ移行する。
ステップS120では、ECU4が、ロータ22の停止時間をリセットする。ロータ22が回転を開始したことで、停止時間は0にセットされる。ステップS120が実行されると、ステップS20へ移行する。
ステップS130では、ECU4が、第一電流制御のうち、逆トルクの出力を実行する。非通電制御(ステップS90)が実行されているにもかかわらずロータ22が閾値時間以上停止している(ステップS80−Y)場合、重力による力だけではロータ22が逆回転しない状況であると考えられる。こうした状況としては、例えば、車輪5が路面の凹部にはまった状態で車両1が停止している状況が挙げられる。ステップS130において、ECU4は、SRモータ2に逆回転方向のトルクを発生させてロータ22を逆回転方向に回転させる。SRモータ2によって発生させる逆トルクの大きさは、車両1の運転者等に違和感を与えない程度に小さなものであることが好ましい。登坂路においてロータ22を逆回転させようとする場合、ロータ22に対して既に重力による逆回転方向のトルクが作用している。このため、SRモータ2に発生させる逆トルクの大きさが小さくても、ロータ22の逆回転を開始させることができる可能性が高い。SRモータ2が発生する逆トルクの大きさは、例えば、重力に応じてロータ22に作用している逆トルクの大きさよりも小さいことが好ましい。また、SRモータ2が発生する逆トルクの大きさは、重力による逆トルクの大きさに対して所定の割合の大きさとされてもよい。一例として、所定の割合は数[%]とされてもよい。ステップS130が実行されると、ステップS20に進む。
第一電流制御(ステップS90,S130)が開始された後でステップS30が実行される場合、ステップS30では、改めてロータ22の回転位置が位置検出部3から取得される。ECU4は、新たに取得した回転位置に応じた通常最大トルクTmax0の大きさを算出する。ECU4は、上記(1)および(2)の条件が成立するか否かを判定すると共に、最新の通常最大トルクTmax0の大きさに基づいて、上記の条件(3)が成立するか否かを判断する。最新の通常最大トルクTmax0の大きさが発進必要トルクの大きさ以上であれば、条件(3)が不成立となり、ステップS30で肯定判定がなされる。その結果、それまで第一電流制御が実行されていた場合にはステップS40で第一電流制御が終了され、通常制御に復帰する。すなわち、ECU4は、ロータ22を逆回転させる電流制御(第一電流制御)を終了させ、SRモータ2に対する通常の電流制御を開始してモータトルクによって車両1を発進させる。
以上説明したように、本実施形態の車両制御装置100のECU4(制御部)は、車両1を発進させる場合に、SRモータ2が通常最大トルクTmax0(通常の電流制御で出力可能な最大トルク)を出力しても車両1が発進しない(ステップS30−N)場合、車両1を発進させる回転方向とは逆方向にロータ22を回転させる第一電流制御を実行する(ステップS90,S130)。
ECU4は、第一電流制御を実行中に通常制御で発進可能(ステップS30−Y)と判定されると、ステップS40で第一電流制御を終了して通常制御を開始する。すなわち、ECU4は、ロータ22を逆回転させる電流制御(第一電流制御)を終了させ、運転者によって要求されている発進方向の駆動力を車両1に発生させるようにSRモータ2を制御する。つまり、ECU4は、車両1を発進させることができるトルクを出力可能な回転位置まで第一電流制御によってロータ22が逆方向に回転した後で車両1を発進させる回転方向(正回転方向)にロータ22を回転させる電流制御(通常制御)を実行する。
このように、本実施形態の車両制御装置100は、発進必要トルクを出力可能な回転位置まで第一電流制御によってロータ22を逆回転させることにより、車両1の発進性能を向上させることができる。
ここで、「車両1を発進させることができるトルクを出力可能な回転位置」は、通常最大トルクTmax0が発進必要トルク以上となる回転位置であることが好ましい。ただし、これに代えて、第二最大トルクTmax2が発進必要トルク以上となる回転位置が採用されてもよい。つまり、第一電流制御は、第二電流制御によって車両1が発進可能となる回転位置までロータ22を逆回転させる制御であってもよい。
ECU4は、第一電流制御によるロータ22の回転位置の変化量を最小とするように、ロータ22の目標回転位置を決定することが好ましい。例えば、第一電流制御によってロータ22を逆回転させている間に、通常制御および第二電流制御の何れかによって発進可能となれば、その時点で第一電流制御を終了して車両1を発進させることが好ましい。ECU4は、ロータ22の逆回転量の目標値を予め決定してもよい。例えば、第二電流制御による発進を可能とするために必要なロータ22の逆回転量が、通常制御による発進を可能とするために必要なロータ22の逆回転量よりも小さいと推定されたとする。この場合、第二電流制御による発進を可能とするような最小の逆回転量をロータ22の逆回転量の目標値として第一電流制御を実行することが好ましい。
本実施形態のECU4は、車両1を発進させる回転方向(正回転方向)のトルクであって、かつ通常の電流制御で出力可能な最大トルクよりも大きなトルクをSRモータ2に一時的に出力させる第二電流制御を実行可能である。ECU4は、SRモータ2の通常最大トルクTmax0(通常の電流制御で出力可能な最大トルク)によって車両1が発進しない(ステップS30−N)場合、第二電流制御を第一電流制御よりも優先して実行する。本実施形態では、第二電流制御を実行可能(ステップS50−Y)であり、かつ第二電流制御によって発進可能(ステップS60−Y)である場合、まず第二電流制御が実行されるように制御フローが構成されている。第二電流制御が実行できない場合、あるいは第二電流制御によっても車両1を発進させることができない場合には、第一電流制御が実行される。ECU4は、第二電流制御を第一電流制御よりも優先して実行することで、発進応答性を高めて車両1の発進性能を向上させる。
本実施形態のECU4は、第一電流制御において、SRモータ2の励磁を停止する(ステップS90)ことで車両1に作用する重力によってロータ22を逆回転方向に回転させる。登坂時など、モータトルクによって車両1を発進させることができない状況では、ロータ22に対して重力に起因する逆回転方向のトルクが作用している。この状況では、SRモータ2の励磁を停止することで、ロータ22を逆回転させることが可能である。よって、SRモータ2による電力消費を抑制しつつロータ22を逆回転させることができ、車両1の発進性能の向上と燃費の低減を両立することができる。
本実施形態のECU4は、第一電流制御において、SRモータ2の励磁を所定期間停止してもロータ22が逆回転方向に回転しない(ステップS80−Y)場合、SRモータ2に逆回転方向のトルクを出力させて(ステップS130)、ロータ22を逆回転方向に回転させる。ECU4は、モータトルクによってロータ22の逆回転を促すことにより、ロータ22の回転位置を調節して車両1の発進性能を向上させる。
本実施形態のECU4は、SRモータ2の通常最大トルクTmax0(通常の電流制御で出力可能な最大トルク)によって車両1が発進しない(ステップS30−N)場合であって、かつ車両1の発進方向が登坂方向である場合、第一電流制御において、SRモータ2に逆回転方向のトルクを出力させてロータ22を逆回転方向に回転させるようにしてもよい。ECU4は、ステップS50またはステップS60で否定判定されて第一電流制御を実行する場合、トルク低減制御(ステップS90)を実行することなく、逆トルク出力制御(ステップS130)を実行するようにしてもよい。登坂方向に発進する場合、車両1には重力による降坂方向の力が作用している。このため、運転者は、SRモータ2が逆トルクを出力したとしても違和感を覚えにくいと考えられる。ECU4は、逆トルク出力制御によってロータ22を逆回転させることで、発進応答性を向上させる。
本実施形態に係る車両制御装置100は、発進可能な勾配の最大値を増加させることができ、車両1の発進性能を向上させることができる。また、本実施形態に係る車両制御装置100は、通常制御によって発進可能か否かを予め判定して第一電流制御または第二電流制御を実行することで、発進必要トルクに対してモータトルクが不足する状態でSRモータ2を力行させ続ける無駄な励磁を抑制することができる。これにより、発進応答性の向上や、燃費の向上、SRモータ2の温度上昇に対する保護などが可能となる。
[第2実施形態]
図8を参照して、第2実施形態について説明する。第2実施形態については、上記第1実施形態で説明したものと同様の機能を有する構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。図8は、第2実施形態に係る動作を示すフローチャートである。第2実施形態において、上記第1実施形態と異なる点は、車両1が発進可能か否かを予測して実行する制御(通常制御、第一電流制御、第二電流制御)を選択するだけでなく、各制御を実行した結果ロータ22が実際に回転したか否かを判定して実行する制御を選択し直す点である。
例えば、発進時に段差に乗り上げる場合、車両1を発進させるためには、路面の勾配に応じた発進必要トルクよりも大きなトルクが必要とされることがある。こうした場合、路面の勾配に基づいて通常制御で発進可能と判断されて通常制御が開始されたとしても、実際には走行抵抗が大きすぎてSRモータ2が回転を開始できないことがある。本実施形態では、通常制御および第二電流制御を実行した結果として実際にロータ22が回転したか否かが判定される。通常制御によってロータ22が回転しない場合、第二電流制御によるトルクアップや、第一電流制御によるロータ22の逆回転が実行される。また、第二電流制御によってロータ22が回転しない場合、第一電流制御によるロータ22の逆回転が実行される。よって、本実施形態の発進制御によれば、発進時に段差に乗り上げる場合など走行抵抗が大きい状況において、適切な制御を選択して車両1の発進性能を向上させることができる。
図8を参照して、第2実施形態の制御について説明する。図8に示す制御フローにおいて、第1実施形態の制御(図7)と異なる点は、ステップS45、ステップS75およびステップS150からステップS230が追加されている点である。
図8のフローチャートにおいて、ステップS10からステップS40までは上記第1実施形態のステップS10からステップS40と同様である。ステップS30で否定判定された場合、上記第1実施形態のフローチャート(図7参照)のステップS50からステップS130と同じプロセスが実行される。第2実施形態では、ステップS40が実行されるとステップS45に進む。ステップS45では、ECU4が、位置検出部3の検出結果に基づいてロータ22が回転しているか否かを判定する。ステップS45で肯定判定された場合(ステップS45−Y)にはプロセスは終了し、否定判定された場合(ステップS45−N)にはステップS150に進む。
図8のステップS150は、上記第1実施形態のステップS50と同様である。ステップS160では、ECU4が、第二電流制御によって発進可能であるか否かを判定する。ステップS160において、ECU4は、第二電流制御によって現在の要求モータトルクを出力可能か否かを判定する。アクセル開度に応じた要求モータトルクの大きさが第二最大トルクTmax2の大きさを上回っている場合、第二電流制御によっても車両1を発進させることができないと考えられる。ECU4は、要求モータトルクの大きさが第二最大トルクTmax2の大きさ以下である場合、ステップS160で肯定判定(ステップS160−Y)してステップS170に進み、要求モータトルクの大きさが第二最大トルクTmax2の大きさを上回っている場合、ステップS160で否定判定(ステップS160−N)してステップS180に進む。
図8のステップS170において、ECU4は、第二電流制御を実行する。ステップS170の第二電流制御におけるSRモータ2に対する要求トルクの大きさは、運転者の加速操作に応じた要求モータトルクの大きさと同じであることが好ましい。第2実施形態では、ステップS170が実行されると、ステップS175に進む。ステップS175では、ECU4が、位置検出部3の検出結果に基づいてロータ22が回転しているか否かを判定する。ステップS175で肯定判定された場合(ステップS175−Y)には本制御フローは終了し、否定判定された場合(ステップS175−N)にはステップS180に進む。図8において、ステップS180からステップS230までは上記第1実施形態のステップS80からステップS130と同様である。すなわち、ロータ22が閾値時間以上停止していると肯定判定された場合(ステップS180−Y)、逆トルク出力制御(ステップS230)が実行される。ステップS180で否定判定された場合(ステップS180−N)にはステップS190で非通電制御が実行され、ロータ22が停止していると肯定判定された場合(ステップS200−Y)にはステップS210へ進んで停止時間のカウントが継続される。ステップS200で否定判定された場合(ステップS200−N)にはステップS220へ進んで停止時間がリセットされる。
[第3実施形態]
図9を参照して、第3実施形態について説明する。第3実施形態については、上記第1実施形態および第2実施形態で説明したものと同様の機能を有する構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。図9は、第3実施形態に係る動作を示すフローチャートである。第3実施形態のECU4は、通常制御で発進可能と判定されない場合(ステップS30−N)に、第二電流制御を実行することなく第一電流制御を実行する。更に、ECU4は、車両1を登坂方向に発進させる場合、トルク低減制御(ステップS90)を実行することなく、逆トルク出力制御(ステップS130)を実行する。
図9に示すように、本実施形態のフローチャートでは、第二電流制御に係るステップ(例えば、図7のステップS50乃至ステップS70)は設けられていない。図9のフローチャートにおいて、ステップS10からステップS40までは上記第1実施形態のステップS10からステップS40と同様である。ステップS30で否定判定がなされた場合、ステップS55に進み、登坂方向に発進するか否かがECU4によって判定される。ECU4は、勾配センサ10の検出結果に基づいて、車両1を登坂方向に発進させると肯定判定した場合(ステップS55−Y)はステップS130に進み、否定判定した場合(ステップS55−N)にはステップS80に進む。なお、ECU4は、車両1が登坂方向に発進しようとしている場合であって、路面の勾配の大きさが所定値以上である場合にステップS55で肯定判定してもよい。図9のフローチャートにおいて、ステップS80からステップS130までは上記第1実施形態のステップS80からステップS130と同様である。
以上説明したように、本実施形態のECU4は、通常最大トルクTmax0(通常の電流制御で出力可能な最大トルク)によって車両1が発進しない場合であって、かつ車両1の発進方向が登坂方向である(ステップS55−Y)場合、第一電流制御において、SRモータ2に逆回転方向のトルクを出力させてロータ22を逆回転方向に回転させる(ステップS130)。よって、運転者による発進要求があってから実際に車両1が発進するまでの応答性を向上させることができる。
[上記各実施形態の第1変形例]
上記第1実施形態乃至第3実施形態において、第一電流制御の2つの制御、および第二電流制御の優先順位は例示した順位には限定されない。例えば、第一電流制御が第二電流制御よりも優先的に実行されてもよく、第一電流制御においてトルク低減制御よりも逆トルク出力制御が優先的に実行されてもよい。
[上記各実施形態の第2変形例]
上記第1実施形態乃至第3実施形態において、適用対象の車両は例示した車両には限定されない。図10は、各実施形態の第2変形例に係る車両の概略構成図である。第2変形例に係る車両101において、上記各実施形態の車両1と異なる点は、前輪駆動源30を備える点である。前輪駆動源30は、エンジン31およびモータジェネレータ32を有する。エンジン31とモータジェネレータ32は、例えば、直列に接続されていても、遊星歯車機構等の差動機構を介して動力を分割可能なように接続されていてもよい。前輪駆動源30の出力軸は、変速機33を介してデファレンシャルギヤ34に接続されている。デファレンシャルギヤ34は、左右の駆動軸35を介して前輪5FL,5FRに接続されている。変速機33は、前輪駆動源30から前輪5FL,5FRまでの変速比を制御する。エンジン31、モータジェネレータ32、および変速機33は、ECU4によって制御される。
ECU4は、アクセル開度等から算出される要求駆動力に基づいて、前輪駆動源30の出力トルク、およびSRモータ2の出力トルクをそれぞれ決定する。従って、本変形例では、要求駆動力を発生させるトルクのうち、SRモータ2が分担するトルクが要求モータトルクとなる。
本変形例の車両101では、ECU4は、例えば、以下のようにして通常制御で発進可能であるか否かを判定する。上記第1実施形態(図7参照)を例に説明すると、ステップS30において、ECU4は、上記第1実施形態と同様にして、発進必要トルクを算出する。ECU4は、前輪駆動源30の許容範囲内の最大トルクTmax30、および検出されたロータ22の回転位置に応じたSRモータ2の通常最大トルクTmax0を算出する。ここで、最大トルクTmax30は、駆動軸35上のトルクに換算した値である。ECU4は、上記第1実施形態のステップS30において、条件(3)に代えて、下記の条件(4)を用いる。
(4)前輪駆動源30が最大トルクTmax30を出力し、かつSRモータ2が通常最大トルクTmax0を出力した場合の合計車輪トルクの大きさが、発進必要トルクの大きさよりも小さい。
ECU4は、条件(1)、(2)、および(4)が全て成立する場合にステップS30で否定判定する。
ECU4は、ステップS60において、SRモータ2が第二最大トルクTmax2を出力することで合計車輪トルクが発進必要トルク以上となる場合、第二電流制御によって発進可能である(ステップS60−Y)と判定することができる。
以上のように、SRモータ2の他にも駆動源が搭載されている車両101では、各駆動源が許容範囲内の最大トルクを出力しても車両1を発進させることができない場合、第一電流制御や第二電流制御が実行される。
上記の各実施形態および各変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
1 車両
2 SRモータ(スイッチトリラクタンスモータ)
3 位置検出部
4 ECU(制御部)
5 車輪
21 ステータ
22 ロータ
100 車両制御装置
Imax0 通常最大電流値
Imax2 第二最大電流値
Tmax0 通常最大トルク
Tmax2 第二最大トルク

Claims (7)

  1. ロータおよびステータを有し、走行用の駆動源として車両に搭載されたスイッチトリラクタンスモータと、
    前記スイッチトリラクタンスモータの電流制御を行う制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、前記車両を発進させる回転方向のトルクであって、かつ通常の前記電流制御で出力可能な最大トルクよりも大きなトルクを前記スイッチトリラクタンスモータに出力させる第二電流制御を実行する
    ことを特徴とする車両制御装置。
  2. 前記制御部は、前記第二電流制御の実行後に要求モータトルクが通常の前記電流制御で出力可能な最大トルク以下となった場合に、前記第二電流制御を終了させる
    請求項1に記載の車両制御装置。
  3. 前記制御部は、前記車両を発進させる回転方向とは逆方向に前記ロータを回転させる第一電流制御を実行し、前記車両を発進させることができるトルクを出力可能な回転位置まで前記第一電流制御によって前記ロータが前記逆方向に回転した後で前記車両を発進させる回転方向に前記ロータを回転させる制御を実行する
    請求項1または2に記載の車両制御装置。
  4. 前記制御部は、前記第二電流制御の後に前記第一電流制御を実行する
    請求項3に記載の車両制御装置。
  5. 前記制御部は、前記第一電流制御において、前記スイッチトリラクタンスモータの励磁を停止して前記車両に作用する重力によって前記ロータを前記逆方向に回転させる
    請求項3または4に記載の車両制御装置。
  6. 前記制御部は、前記第一電流制御において、前記スイッチトリラクタンスモータの励磁を所定期間停止しても前記ロータが前記逆方向に回転しない場合、前記スイッチトリラクタンスモータに前記逆方向のトルクを出力させて前記ロータを前記逆方向に回転させる
    請求項5に記載の車両制御装置。
  7. 前記制御部は、通常の前記電流制御で出力可能な最大トルクによって前記車両が発進しない場合であって、かつ前記車両の発進方向が登坂方向である場合、前記第一電流制御において、前記スイッチトリラクタンスモータに前記逆方向のトルクを出力させて前記ロータを前記逆方向に回転させる
    請求項3または4に記載の車両制御装置。
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