JP2018019051A - コンデンサの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】工業的有利に、コンデンサを製造できる方法を提供する。【解決手段】導電体層の原料溶液を霧化し、得られたミストをキャリアガスを用いて基体近傍まで搬送し、ついで基体近傍でミストを熱反応させて、基体上に導電体層を形成する。誘電体層又は絶縁体層の原料溶液を霧化し、得られたミストをキャリアガスを用いて基体近傍まで搬送し、ついで基体近傍でミストを熱反応させて、基体上に誘電体層又は絶縁体層を形成してコンデンサを作製する。【選択図】図5

Description

本発明は、新規なコンデンサの製造方法に関する。
パソコン等に使用される中央演算処理装置(CPU)に使用されるコンデンサは、電圧変動を抑え、高リップル(ripple)通過時の発熱を低くするために、高容量かつ低ESR(等価直列抵抗)であることが求められている。
一般に、アルミニウム固体電解コンデンサや、タンタル固体電解コンデンサが使用されている。
固体電解コンデンサは、弁作用金属または導電性酸化物からなる陽極体の表面に誘電体層、該誘電体層上に半導体層、導電体層を順次積層した固体電解コンデンサ素子を外装体で封口して作製される。陽極体の形状としては、表面層に微細の細孔を有する金属箔または導電性酸化物箔や、内部に微小な細孔を有する金属粉または導電性酸化物粉の焼結体がある。このような陽極体の微細な細孔表面にも誘電体層が形成され、細孔内の誘電体層上にも半導体層が積層される。半導体層として高電導率を有する有機半導体や無機半導体を使用することにより低ESRである固体電解コンデンサが作製されている。
また、固体電解コンデンサの導電体層を形成するため使用される導電性ペーストを改良して低ESRである固体電解コンデンサを作製する検討もなされている。例えば、特許文献1には、カーボン粉末と金属導電性粉末の二成分を含む組成物、特許文献2には、導電性ペースト層の金属導電性粒子を接合する導電性高分子層が開示されている。
しかしながら、昨今の電子機器は、従来のものよりさらに大きい電流を通過することが可能な、より低ESRである固体電解コンデンサを要求しているが、これに答えることが困難であった。また、上述の導電性ペーストを使用する固体電解コンデンサの製造方法は簡易な手法でなく、より経済性に優れた方法が求められていた。
特開2003−059338号公報 特開2003−203828号公報
本発明は、工業的有利にコンデンサを製造できる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、ミストCVD法を用いて、導電体層と誘電体層とを積層してコンデンサを製造した場合、他の方法に比べ、簡便かつ容易に優れたコンデンサ特性を有するコンデンサが得られることを見出し、このような製造方法が上記した従来の問題を一挙に解決できるものであることを知見した。
また、本発明者らは、上記知見を得た後、さらに検討を重ねて本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の発明に関する。
[1] 導電体層を積層する第1の工程及び誘電体層又は絶縁体層を積層する第2の工程を少なくとも含むコンデンサの製造方法であって、第1の工程又は第2の工程にミストCVD法を用いることを特徴とするコンデンサの製造方法。
[2] 第1の工程を、前記導電体層の原料溶液を霧化し、得られたミストをキャリアガスを用いて前記基体近傍まで搬送し、ついで前記基体近傍で前記ミストを熱反応させて、前記基体上に前記導電体層を形成することにより行う前記[1]記載の製造方法。
[3] 前記導電体層の原料溶液が、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、銅(Cu)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、鉛(Pb)、レニウム(Re)、チタン(Ti)、スズ(Sn)、ガリウム(Ga)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、ハフニウム(Hf)及びインジウム(In)から選ばれる1種または2種以上の金属を含む前記[2]記載の製造方法。
[4] 第1の工程において用いられるキャリアガスが酸素又は不活性ガスである前記[2]又は[3]に記載の製造方法。
[5] 第1の工程における熱反応を、650℃以下の温度で行う前記[2]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6] 第2の工程を、前記誘電体層又は前記絶縁体層の原料溶液を霧化し、得られたミストをキャリアガスを用いて前記基体近傍まで搬送し、ついで前記基体近傍で前記ミストを熱反応させて、前記基体上に前記誘電体層又は前記絶縁体層を形成することにより行う前記[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7] 前記誘電体層又は前記絶縁体層の原料溶液が、バリウム(Ba)、チタン(Ti)、ストロンチウム(Sr)、ビスマス(Bi)、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、銅(Cu)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、タンタル(Ta)、鉛(Pb)及びインジウム(In)から選ばれる1種または2種以上の金属を含む前記[6]記載の製造方法。
[8] 第2の工程における熱反応を、不活性ガス又は還元ガスの雰囲気下で行う前記[6]又は[7]に記載の製造方法。
[9] 第2の工程における熱反応を、650℃以下の温度で行う前記[6]〜[8]のいずれかに記載の製造方法。
本発明の製造方法によれば工業的有利にコンデンサを製造できる。
本発明で用いられる成膜装置(ミストCVD)の概略構成図である。 実施例で用いた霧化・液滴化部を説明する図である。 図2における超音波振動子を説明する図である。 本実施例で用いた成膜装置(ミストCVD)の概略構成図である。 実施例で製作したコンデンサの模式的断面図である。
本発明のコンデンサの製造方法は、導電体層を積層する第1の工程及び誘電体層又は絶縁体層を積層する第2の工程を少なくとも含むコンデンサの製造方法であって、第1の工程又は第2の工程にミストCVD法を用いることを特長とする。第1の工程及び第2の工程のいずれか一方が、ミストCVD法を用いる場合には、他方はミストCVD法を用いる必要はないが、本発明においては、第1の工程及び第2の工程ともにミストCVD法を用いるのが、より工業的有利に積層できるので好ましい。
本発明においては、第1の工程を、前記導電体層の原料溶液を霧化し(霧化工程)、得られたミストをキャリアガスを用いて前記基体近傍まで搬送し(搬送工程)、ついで前記基体近傍で前記ミストを熱反応させて、前記基体上に前記導電体層を形成すること(導電体層形成工程)により行うのが好ましい。
(導電体層の原料溶液)
導電体層の原料溶液は、霧化または液滴化が可能な材料を含んでいれば特に限定されず、無機材料であっても、有機材料であってもよいが、本発明においては、導電体層の原料溶液が、金属を含むのが好ましい。前記金属は、金属単体であっても、金属化合物であってもよく、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されないが、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、銅(Cu)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、鉛(Pb)、レニウム(Re)、チタン(Ti)、スズ(Sn)、ガリウム(Ga)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ジルコニウム(Zr)及びインジウム(In)から選ばれる1種または2種以上の金属であるのが好ましい。
本発明においては、前記導電体層の原料溶液として、前記金属を錯体または塩の形態で有機溶媒または水に溶解または分散させたものを好適に用いることができる。錯体の形態としては、例えば、アセチルアセトナート錯体、カルボニル錯体、アンミン錯体、ヒドリド錯体などが挙げられる。塩の形態としては、例えば、有機金属塩(例えば金属酢酸塩、金属シュウ酸塩、金属クエン酸塩等)、硫化金属塩、硝化金属塩、リン酸化金属塩、ハロゲン化金属塩(例えば塩化金属塩、臭化金属塩、ヨウ化金属塩等)などが挙げられる。
また、前記導電体層の原料溶液には、ハロゲン化水素酸や酸化剤等の添加剤を混合してもよい。前記ハロゲン化水素酸としては、例えば、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸などが挙げられるが、中でも、臭化水素酸またはヨウ化水素酸が好ましい。前記酸化剤としては、例えば、過酸化水素(H)、過酸化ナトリウム(Na)、過酸化バリウム(BaO)、過酸化ベンゾイル(CCO)等の過酸化物、次亜塩素酸(HClO)、過塩素酸、硝酸、オゾン水、過酢酸やニトロベンゼン等の有機過酸化物などが挙げられる。
前記導電体層の原料溶液には、ドーパントが含まれていてもよい。前記ドーパントは、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されない。前記ドーパントとしては、例えば、スズ、ゲルマニウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、バナジウムまたはニオブなどが挙げられる。ドーパントの濃度は、通常、約1×1016/cm〜1×1022/cmであってもよいし、また、ドーパントの濃度を例えば約1×1017/cm以下の低濃度にしてもよい。また、さらに、本発明によれば、ドーパントを約1×1020/cm以上の高濃度で含有させてもよい。
(基体)
前記基体は、前記膜を支持できるものであれば特に限定されない。前記基体の材料も、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されず、公知の基体であってよく、有機化合物であってもよいし、無機化合物であってもよい。前記基体の形状としては、どのような形状のものであってもよく、あらゆる形状に対して有効であり、例えば、平板や円板等の板状、繊維状、棒状、円柱状、角柱状、筒状、螺旋状、球状、リング状などが挙げられるが、本発明においては、基板が好ましい。基板の厚さは、本発明においては特に限定されない。
前記基板は、板状であって、前記結晶膜の支持体となるものであれば特に限定されない。絶縁体基板であってもよいし、半導体基板であってもよいし、導電性基板であってもよいが、前記基板が、絶縁体基板であるのが好ましく、また、表面に金属膜を有する基板であるのも好ましい。前記基板としては、例えば、コランダム構造を有する基板材料を主成分として含む下地基板、またはβ−ガリア構造を有する基板材料を主成分として含む下地基板、六方晶構造を有する基板材料を主成分として含む下地基板などが挙げられる。ここで、「主成分」とは、前記特定の結晶構造を有する基板材料が、原子比で、基板材料の全成分に対し、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、更に好ましくは90%以上含まれることを意味し、100%であってもよいことを意味する。
基板材料は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されず、公知のものであってよい。前記のコランダム構造を有する基板材料としては、例えば、前記のコランダム構造を有する材料として例示したものと同じものなどが挙げられるが、本発明においては、α−Alまたはα−Gaが好ましい。そして、コランダム構造を有する基板材料を主成分とする下地基板としては、サファイア基板(好ましくはc面サファイア基板)や、α型酸化ガリウム基板などが好適な例として挙げられる。β−ガリア構造を有する基板材料を主成分とする下地基板としては、例えばβ−Ga基板、又はGaとAlとを含みAlが0wt%より多くかつ60wt%以下である混晶体基板などが挙げられる。また、六方晶構造を有する基板材料を主成分とする下地基板としては、例えば、SiC基板、ZnO基板、GaN基板などが挙げられる。なお、六方晶構造を有する基板材料を主成分とする下地基板上には、直接または別の層(例:緩衝層)を介して、各層を積層してもよい。
本発明においては、前記基体が、コランダム構造を有する基板材料を主成分とする下地基板であるのが好ましい。
(霧化工程)
前記霧化工程は、原料溶液を調整し、前記原料溶液を霧化してミストを発生させる。前記金属の配合割合は、特に限定されないが、原料溶液全体に対して、0.0001mol/L〜20mol/Lが好ましい。霧化手段は、前記原料溶液を霧化できさえすれば特に限定されず、公知の霧化手段であってよいが、本発明においては、超音波を用いる霧化手段であるのが好ましい。前記ミストは、初速度がゼロで、空中に浮遊するものが好ましく、例えば、スプレーのように吹き付けるのではなく、空間に浮かびガスとして搬送することが可能なミストであるのがより好ましい。ミストの液滴サイズは、特に限定されず、数mm程度の液滴であってもよいが、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは1〜10μmである。
(搬送工程)
前記搬送工程では、前記キャリアガスによって前記ミストを前記基体へ搬送する。キャリアガスの種類としては、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されず、例えば、酸素、オゾン、窒素やアルゴン等の不活性ガス、または水素ガスやフォーミングガス等の還元ガスなどが好適な例として挙げられる。本発明においては、前記キャリアガスが、酸素又は不活性ガスであるのがより好ましい。また、キャリアガスの種類は1種類であってよいが、2種類以上であってもよく、キャリアガス濃度を変化させた希釈ガス(例えば10倍希釈ガス等)などを、第2のキャリアガスとしてさらに用いてもよい。また、キャリアガスの供給箇所も1箇所だけでなく、2箇所以上あってもよい。キャリアガスの流量は、特に限定されないが、反応炉内での線速(より具体的には、反応炉は高温になっており、環境に依存して変化してしまうため、室温を仮定して換算される線速)で、0.1m/s〜100m/sが好ましく、1m/s〜10m/sがより好ましい。
(導電体層形成工程)
成膜工程では、前記ミストを反応させて、前記基体表面の一部または全部に成膜する。前記反応は、前記ミストから膜が形成される反応であれば特に限定されないが、本発明においては、熱反応が好ましい。前記熱反応は、熱でもって前記ミストが反応すればそれでよく、反応条件等も本発明の目的を阻害しない限り特に限定されない。本工程においては、前記熱反応を、通常、溶媒の蒸発温度以上の温度で行うが、高すぎない温度以下が好ましく、650℃以下がより好ましい。また、熱反応は、本発明の目的を阻害しない限り、真空下、非酸素雰囲気下、還元ガス雰囲気下および酸素雰囲気下のいずれの雰囲気下で行われてもよく、また、大気圧下、加圧下および減圧下のいずれの条件下で行われてもよいが、本発明においては、大気圧下で行われるのが蒸発温度の計算が簡単になる等の点で好ましい。また、非酸素雰囲気下で行われるのも好ましく、不活性ガス又は還元ガスの雰囲気下で行われるのがより好ましい。なお、真空の場合には、蒸発温度を下げることができる。また、膜厚は成膜時間を調整することにより、設定することができる。
本発明においては、第2の工程を、前記誘電体層又は前記絶縁体層の原料溶液を霧化し(霧化工程)、得られたミストをキャリアガスを用いて前記基体近傍まで搬送し(搬送工程)、ついで前記基体近傍で前記ミストを熱反応させて、前記基体上に前記誘電体層又は前記絶縁体層を形成すること(誘電体層又は絶縁体層形成工程)により行うのが好ましい。なお、第2の工程において、基体、霧化工程、搬送工程並びに誘電体層又は絶縁体層形成工程は、前記の第1の工程における基体、霧化工程、搬送工程及び導電体層形成工程とそれぞれ同様であってよい。
(誘電体層又は絶縁体層の原料溶液)
誘電体層又は絶縁体層の原料溶液は、霧化または液滴化が可能な材料を含んでいれば特に限定されず、無機材料であっても、有機材料であってもよいが、本発明においては、誘電体層又は絶縁体層の原料溶液が、金属を含むのが好ましい。前記金属は、金属単体であっても、金属化合物であってもよく、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されないが、バリウム(Ba)、チタン(Ti)、ストロンチウム(Sr)、ビスマス(Bi)、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、銅(Cu)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、タンタル(Ta)、鉛(Pb)及びインジウム(In)から選ばれる1種または2種以上の金属であるのが好ましい。
本発明においては、前記誘電体層又は絶縁体層の原料溶液として、前記金属を錯体または塩の形態で有機溶媒または水に溶解または分散させたものを好適に用いることができる。錯体の形態としては、例えば、アセチルアセトナート錯体、カルボニル錯体、アンミン錯体、ヒドリド錯体などが挙げられる。塩の形態としては、例えば、有機金属塩(例えば金属酢酸塩、金属シュウ酸塩、金属クエン酸塩等)、硫化金属塩、硝化金属塩、リン酸化金属塩、ハロゲン化金属塩(例えば塩化金属塩、臭化金属塩、ヨウ化金属塩等)などが挙げられる。
また、前記誘電体層又は絶縁体層の原料溶液には、ハロゲン化水素酸や酸化剤等の添加剤を混合してもよい。前記ハロゲン化水素酸としては、例えば、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸などが挙げられるが、中でも、臭化水素酸またはヨウ化水素酸が好ましい。前記酸化剤としては、例えば、過酸化水素(H)、過酸化ナトリウム(Na)、過酸化バリウム(BaO)、過酸化ベンゾイル(CCO)等の過酸化物、次亜塩素酸(HClO)、過塩素酸、硝酸、オゾン水、過酢酸やニトロベンゼン等の有機過酸化物などが挙げられる。
前記誘電体層又は絶縁体層の原料溶液には、ドーパントが含まれていてもよい。前記ドーパントは、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されない。前記ドーパントとしては、例えば、スズ、ゲルマニウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、バナジウムまたはニオブなどが挙げられる。ドーパントの濃度は、通常、約1×1016/cm〜1×1022/cmであってもよいし、また、ドーパントの濃度を例えば約1×1017/cm以下の低濃度にしてもよい。また、さらに、本発明によれば、ドーパントを約1×1020/cm以上の高濃度で含有させてもよい。
導電体層並びに誘電体層又は絶縁体層の積層後、得られた積層体に電極等をスパッタリング等の公知の手段を用いて設けることにより、コンデンサを製造することができる。また、本発明においては、前記積層体上に、さらに積層してもよく、導電体層並びに誘電体層又は絶縁体層等を交互に繰り返して積層してもよい。かかる積層には、ミストCVD法を用いるのが、より工業的有利に積層でき、密着性等にも優れたものになるので好ましい。
以下、図面を用いて、本発明に好適に用いられる成膜装置1を説明する。成膜装置1は、キャリアガスを供給するキャリアガス源2aと、キャリアガス源2aから送り出されるキャリアガスの流量を調節するための流量調節弁3aと、キャリアガス(希釈)を供給するキャリアガス(希釈)源2bと、キャリアガス(希釈)源2bから送り出されるキャリアガス(希釈)の流量を調節するための流量調節弁3bと、原料溶液4aが収容されるミスト発生源4と、水5aが入れられる容器5と、容器5の底面に取り付けられた超音波振動子6と、成膜室7と、ミスト発生源4から成膜室7までをつなぐ石英製の供給管9と、成膜室7内に設置されたホットプレート8とを備えている。ホットプレート8上には、基板10が設置されている。
図2は、霧化・液滴化部を示している。原料溶液4aが収容されている容器からなるミスト発生源4が、水5aが収容されている容器5に、支持体(図示せず)を用いて収納されている。容器5の底部には、超音波振動子6が備え付けられており、超音波振動子6と発振器16とが接続されている。そして、発振器16を作動させると、超音波振動子6が振動し、水5aを介して、ミスト発生源4内に超音波が伝播し、原料溶液4aが霧化または液滴するように構成されている。
図3は、図2に示されている超音波振動子6を示している。超音波振動子6は、支持体6e上の円筒状の弾性体6d内に、円板状の圧電体素子6bが備え付けられており、圧電体素子6bの両面に電極6a、6cが設けられている。そして、電極に発振器を接続して発振周波数を変更すると、圧電振動子の厚さ方向の共振周波数及び径方向の共振周波数を持つ超音波が発生されるように構成されている。
そして、図1に記載のとおり、原料溶液4aをミスト発生源4内に収容する。次に、基板10を用いて、ホットプレート8上に設置し、ホットプレート8を作動させて成膜室7内の温度を昇温させる。次に、流量調節弁3(3a、3b)を開いてキャリアガス源2(2a、2b)からキャリアガスを成膜室7内に供給し、成膜室7の雰囲気をキャリアガスで十分に置換した後、キャリアガスの流量と、キャリアガス(希釈)の流量とをそれぞれ調節する。次に、超音波振動子6を2.4MHzで振動させ、その振動を、水5aを通じて原料溶液4aに伝播させることによって、原料溶液4aを微粒子化させて原料微粒子4bを生成する。この原料微粒子4bが、キャリアガスによって成膜室7内に導入され、そして、大気圧下、成膜室7内でミストが熱反応して、基板10上に膜が形成する。なお、多層状にする場合には、原料溶液4aとして、第1の原料溶液と第2の原料溶液とを交互に使用することで、第1の層と第2の層とが交互となる多層構造を形成することができる。
本実施例では、図4に示すミストCVD装置19を用いた。ミストCVD装置19は、基板20を載置するサセプタ21と、キャリアガスを供給するキャリアガス供給手段22aと、キャリアガス供給手段22aから送り出されるキャリアガスの流量を調節するための流量調節弁23aと、キャリアガス(希釈)を供給するキャリアガス(希釈)供給手段22bと、キャリアガス(希釈)供給手段22bから送り出されるキャリアガスの流量を調節するための流量調節弁23bと、原料溶液24aが収容されるミスト発生源24と、水25aが入れられる容器25と、容器25の底面に取り付けられた超音波振動子26と、内径40mmの石英管からなる供給管27と、供給管27の周辺部に設置されたヒーター28と、熱反応後のミスト、液滴および排気ガスを排出する排気口29とを備えている。サセプタ21は、石英からなり、基板20を載置する面が水平面から傾斜している。成膜室となる供給管27とサセプタ21をどちらも石英で作製することにより、基板20上に形成される膜内に装置由来の不純物が混入することを抑制している。
2.原料溶液の作製
0.025mol/Lの臭化インジウム水溶液に、ガリウムに対するスズの原子比が1:0.01となるように塩化スズを添加し、これを原料溶液とした。
3.成膜準備
上記2.で得られた原料溶液24aをミスト発生源24内に収容した。次に、基板20として、サファイア基板をサセプタ21上に設置し、ヒーター28を作動させて成膜室27内の温度を500℃にまで昇温させた。次に、流量調節弁23a、23bを開いて、キャリアガス源であるキャリアガス供給手段22a、22bからキャリアガスを成膜室27内に供給し、成膜室27の雰囲気をキャリアガスで十分に置換した後、キャリアガスの流量を5.0L/minに、キャリアガス(希釈)の流量を0.5L/minにそれぞれ調節した。なお、キャリアガスとして窒素を用いた。
4.導電体層の形成
次に、超音波振動子26を2.4MHzで振動させ、その振動を、水25aを通じて原料溶液24aに伝播させることによって、原料溶液24aを微粒子化させて原料微粒子を生成した。この原料微粒子が、キャリアガスによって成膜室27内に導入され、大気圧下、500℃にて、成膜室27内でミストが反応して、基板20上に酸化インジウム膜が形成された。成膜時間は20分間であった。
5.コンデンサの作製
0.025mol/Lの臭化ガリウム水溶液に、ガリウムに対するゲルマニウムの原子比が0.04%となるように酸化ゲルマニウムを添加し、この際、臭化水素酸を体積比で10%を含有させ、これを誘電体層の原料溶液とした。
誘電体層の原料溶液24aをミスト発生源24内に収容した。次に、基板20として、上記4.で得られた基板付きの酸化インジウム膜をサセプタ21上に設置し、ヒーター28を作動させて成膜室27内の温度を500℃にまで昇温させた。次に、流量調節弁23a、23bを開いて、キャリアガス源であるキャリアガス供給手段22a、22bからキャリアガスを成膜室27内に供給し、成膜室27の雰囲気をキャリアガスで十分に置換した後、キャリアガスの流量を5.0L/minに、キャリアガス(希釈)の流量を0.5L/minにそれぞれ調節した。なお、キャリアガスとして酸素を用いた。
上記4.で得られた導電体層を用いて、導電層上に誘電体層を形成した。誘電体層の形成は、誘電体層の原料溶液を原料溶液24aとして用いて、超音波振動子26を2.4MHzで振動させ、その振動を、水25aを通じて原料溶液24aに伝播させることによって、原料溶液24aを微粒子化させて原料微粒子を生成した。この原料微粒子が、キャリアガスによって成膜室27内に導入され、大気圧下、500℃にて、成膜室27内でミストが反応して、基板20上に酸化インジウム膜が形成された。成膜時間は30分間であった。
次に、スパッタリングにて電極33aとしてPtを、電極33bとしてチタンを成膜して、コンデンサを作製した。得られたコンデンサにつき、コンデンサとしての性能を確認するため、CV測定(周波数1MHz)を行い、キャリア密度とバリアハイトを使って、誘電率を算出した。その結果、誘電率は約10であった。この結果から得られたコンデンサは、コンデンサとして非常に良好であることがわかる。
本発明の製造方法は、コンデンサを工業的有利に製造することができ、電子部品・電気機器部品、光学・電子写真関連装置、工業部材などあらゆる分野に用いることができる。
1 成膜装置
2a キャリアガス源
2b キャリアガス(希釈)源
3a 流量調節弁
3b 流量調節弁
4 ミスト発生源
4a 原料溶液
4b 原料微粒子
5 容器
5a 水
6 超音波振動子
6a 電極
6b 圧電体素子
6c 電極
6d 弾性体
6e 支持体
7 成膜室
8 ホットプレート
9 供給管
10 基板
16 発振器
19 ミストCVD装置
20 基板
21 サセプタ
22a キャリアガス供給手段
22b キャリアガス(希釈)供給手段
23a 流量調節弁
23b 流量調節弁
24 ミスト発生源
24a 原料溶液
25 容器
25a 水
26 超音波振動子
27 供給管
28 ヒーター
29 排気口
30 基板
31 導電体層
32 誘電体層
33a 電極
33b 電極


Claims (9)

  1. 導電体層を積層する第1の工程及び誘電体層又は絶縁体層を積層する第2の工程を少なくとも含むコンデンサの製造方法であって、第1の工程又は第2の工程にミストCVD法を用いることを特徴とするコンデンサの製造方法。
  2. 第1の工程を、前記導電体層の原料溶液を霧化し、得られたミストをキャリアガスを用いて前記基体近傍まで搬送し、ついで前記基体近傍で前記ミストを熱反応させて、前記基体上に前記導電体層を形成することにより行う請求項1記載の製造方法。
  3. 前記導電体層の原料溶液が、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、銅(Cu)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、鉛(Pb)、レニウム(Re)、チタン(Ti)、スズ(Sn)、ガリウム(Ga)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、ハフニウム(Hf)及びインジウム(In)から選ばれる1種または2種以上の金属を含む請求項2記載の製造方法。
  4. 第1の工程において用いられるキャリアガスが酸素又は不活性ガスである請求項2又は3に記載の製造方法。
  5. 第1の工程における熱反応を、650℃以下の温度で行う請求項2〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 第2の工程を、前記誘電体層又は前記絶縁体層の原料溶液を霧化し、得られたミストをキャリアガスを用いて前記基体近傍まで搬送し、ついで前記基体近傍で前記ミストを熱反応させて、前記基体上に前記誘電体層又は前記絶縁体層を形成することにより行う請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 前記誘電体層又は前記絶縁体層の原料溶液が、バリウム(Ba)、チタン(Ti)、ストロンチウム(Sr)、ビスマス(Bi)、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、銅(Cu)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、タンタル(Ta)、鉛(Pb)及びインジウム(In)から選ばれる1種または2種以上の金属を含む請求項6記載の製造方法。
  8. 第2の工程における熱反応を、不活性ガス又は還元ガスの雰囲気下で行う請求項6又は7に記載の製造方法。
  9. 第2の工程における熱反応を、650℃以下の温度で行う請求項6〜8のいずれかに記載の製造方法。

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