JP2020113570A - 酸化物半導体膜、積層体及び酸化物半導体膜の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明に係る酸化物半導体膜は、ガリウムを主成分とし、入射光波長633nm、入射角45°の条件で、正反射率が15%以下である点に特徴を有している。一般に酸化物半導体膜は金属と酸素から構成されるが、本発明に係る酸化物半導体膜においては、金属はガリウムを主成分とするものである。ここでいう主成分とは、金属成分のうち50〜100%がガリウムであることを意味する。ガリウム以外の金属成分としては、例えば、鉄、インジウム、アルミニウム、バナジウム、チタン、クロム、ロジウム、イリジウム、ニッケル及びコバルトから選ばれる1種又は2種以上の金属を含んでもよい。
図2に、本発明に係る成膜方法に使用可能な成膜装置101の一例を示す。成膜装置101は、原料溶液をミスト化してミストを発生させるミスト化部120と、ミストを搬送するキャリアガスを供給するキャリアガス供給部130と、ミストを熱処理して基板上に成膜を行う成膜部140と、ミスト化部120と成膜部140とを接続し、キャリアガスによってミストが搬送される搬送部109とを有する。また、成膜装置101は、成膜装置101の全体又は一部を制御する制御部(図示なし)を備えることによって、その動作が制御されてもよい。
ミスト化部120では、原料溶液104aを調整し、前記原料溶液104aをミスト化してミストを発生させる。ミスト化手段は、原料溶液104aをミスト化できさえすれば特に限定されず、公知のミスト化手段であってよいが、超音波振動によるミスト化手段を用いることが好ましい。より安定してミスト化することができるためである。
原料溶液104aは、ミスト化が可能な材料を含んでいれば特に限定されず、無機材料であっても、有機材料であってもよい。金属又は金属化合物が好適に用いられ、ガリウム、鉄、インジウム、アルミニウム、バナジウム、チタン、クロム、ロジウム、ニッケル及びコバルトから選ばれる1種又は2種以上の金属を含むものを使用できる。
再び図2を参照する。キャリアガス供給部130は、キャリアガスを供給するキャリアガス源102aを有し、キャリアガス源102aから送り出されるキャリアガスの流量を調節するための流量調節弁103aを備えていてもよい。また、必要に応じて希釈用キャリアガスを供給する希釈用キャリアガス源102bや、希釈用キャリアガス源102bから送り出される希釈用キャリアガスの流量を調節するための流量調節弁103bを備えることもできる。
成膜部140では、ミストを加熱し熱反応を生じさせて、基板110の表面の一部又は全部に成膜を行う。成膜部140は、例えば、成膜室107を備え、成膜室107内には基板110が設置されており、該基板110を加熱するための加熱手段、例えばホットプレート108を備えることができる。ホットプレート108は、図2に示されるように成膜室107の外部に設けられていてもよいし、成膜室107の内部に設けられていてもよい。また、ホットプレート以外にも、基板が吸収し発熱可能な光等による加熱も可能である。また、成膜室107には、基板110へのミストの供給に影響を及ぼさない位置に、排ガスの排気口112が設けられている。なお、基板110を成膜室107の上面に設置するなどして、フェイスダウンとしてもよいし、基板110を成膜室107の底面に設置して、フェイスアップとしてもよい。
基板110は、成膜可能であり膜を支持できるものであれば特に限定されない。前記基板110の材料も、特に限定されず、公知の基板を用いることができ、有機化合物であってもよいし、無機化合物であってもよい。例えば、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、フッ素樹脂、鉄やアルミニウム、ステンレス鋼、金等の金属、シリコン、サファイア、石英、ガラス、酸化ガリウム等が挙げられるが、これに限られるものではない。前記基板の形状としては、どのような形状のものであってもよく、あらゆる形状に対して有効であり、例えば、平板や円板等の板状、繊維状、棒状、円柱状、角柱状、筒状、螺旋状、球状、リング状などが挙げられるが、本発明においては、板状の基板が好ましい。板状の基板の厚さは、特に限定されないが、好ましくは、10〜2000μmであり、より好ましくは50〜800μmである。基板が板状の場合、その面積は100mm2以上が好ましく、より好ましくは口径が2インチ(50mm)以上である。
搬送部109は、ミスト化部120と成膜部140とを接続する。搬送部109を介して、ミスト化部120のミスト発生源104から成膜部140の成膜室107へと、キャリアガスによってミストが搬送される。搬送部109は、例えば、供給管109aとすることができる。供給管109aとしては、例えば石英管や樹脂製のチューブなどを使用することができる。
次に、以下、図2を参照しながら、本発明に係る成膜方法の一例を説明する。
まず、原料溶液104aをミスト化部120のミスト発生源104内に収容し、基板110をホットプレート108上に直接又は成膜室107の壁を介して設置し、ホットプレート108を作動させる。
上記のようにして得られた積層体において、基板と半導体膜とを分離して、単独の半導体膜を得ることもできる。例えば、積層体から基板を剥離してもよい。剥離方法は特に限定されず、公知の方法を採用できる。例えば、機械的衝撃を与えて剥離する方法、熱を加えて熱応力を利用して剥離する方法、超音波等の振動を加えて剥離する方法、中間層をエッチングして剥離する方法などが挙げられる。また、基板そのものをエッチングして溶解除去して単独の半導体膜とすることもできる。このようにして、自立した半導体膜を得ることができる。
本発明に係る半導体膜を半導体装置に適用し、電極を形成する場合、電極の形成方法は一般的な方法を用いることができる。すなわち、蒸着、スパッタ、CVD、めっきなどの他、樹脂等と一緒に接着させる印刷法など、特に限定されない。電極材料としては、Al、Ag、Ti、Pd、Au、Cu、Cr、Fe、W、Ta、Nb、Mn、Mo、Hf、Co、Zr、Sn、Pt、V、Ni、Ir、Zn、In、Ndなどの金属の他、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の金属酸化物導電膜、ポリアニリン、ポリチオフェン又はポリピロールなどの有機導電性化合物等、材料の種類を問わない。また、これらの2種以上の合金、混合物でもかまわない。電極の厚さは、1〜1000nmが好ましく、より好ましくは10〜500nmとすることができる。
上述の成膜方法に基づいて、ガリウムを主成分とする酸化物半導体膜として、コランダム構造を有する酸化ガリウム(以下、「α−Ga2O3」という)膜の成膜を行った。
上述のようにして得た原料溶液104aをミスト発生源104内に収容した。次に、基板110として4インチ(直径100mm)のc面サファイア基板を、成膜室107内でホットプレート108に隣接するように設置し、ホットプレート108を作動させて温度を500℃に昇温した。
基板温度変化ステップとして、成膜途中で12秒間加熱を停止させた後、加熱を再開し再び500℃とした以外は、実施例1と同じ条件で成膜、評価を行った。実施例2では、基板温度変化ステップ中、基板温度は495℃まで低下した。正反射率は9%であり、コンタクト抵抗は4mΩcm2と算出された。
基板温度変化ステップとして、成膜途中で60秒間加熱を停止させた後、加熱を再開し再び500℃とした以外は、実施例1と同じ条件で成膜、評価を行った。実施例3では、基板温度変化ステップ中、基板温度は475℃まで低下した。正反射率は7%であり、コンタクト抵抗は3mΩcm2と算出された。
基板温度変化ステップとして、成膜途中で12秒間加熱を停止させた後、加熱を再開させ再び500℃とする操作を3回実施した以外は、実施例1と同じ条件で成膜、評価を行った。実施例4では、基板温度変化ステップ中、基板温度は495℃まで低下した。正反射率は5%であり、コンタクト抵抗は1mΩcm2と算出された。
基板温度変化ステップを行わず、常時500℃となるように一定温度に加熱しながら成膜を行った以外は実施例1と同じ条件で成膜、評価を行った。得られた膜の表面を肉眼で観察したところ、光沢が認められた。正反射率は19%であった。また、コンタクト抵抗は95mΩcm2と算出された。
102b…希釈用キャリアガス源、 103a…流量調節弁、
103b…流量調節弁、 104…ミスト発生源、 104a…原料溶液、
105…容器、 105a…水、 106…超音波振動子、 107…成膜室、
108…ホットプレート、 109…搬送部、 109a…供給管、
110…基板、 112…排気口、 116…発振器、
120…ミスト化部、130…キャリアガス供給部、140…成膜部、
301…試料、302…光源、303…受光プローブ、304…入射光、
305…反射光、 306…入射角、307…反射角。
Claims (9)
- ガリウムを主成分とする酸化物半導体膜であって、
前記酸化物半導体膜の表面の正反射率が、入射光波長633nm、入射角45°の条件で、15%以下であることを特徴とする酸化物半導体膜。 - 前記酸化物半導体膜はコランダム構造を有するものであることを特徴とする請求項1に記載の酸化物半導体膜。
- 前記酸化物半導体膜の表面の面積が、100mm2以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の酸化物半導体膜。
- ガリウムを主成分とする酸化物半導体膜と基板の積層体であって、前記酸化物半導体膜の表面の正反射率が、入射光波長633nm、入射角45°の条件で、15%以下であることを特徴とする積層体。
- 前記酸化物半導体膜はコランダム構造を有することを特徴とする請求項4に記載の積層体。
- 前記酸化物半導体膜の表面の面積が、100mm2以上であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の積層体。
- 少なくともガリウムを含む原料溶液を霧化又は液滴化して生成されたミストを、キャリアガスを用いて搬送し、前記ミストを加熱して、基板上で前記ミストを熱反応させて成膜を行う酸化物半導体膜の製造方法であって、
前記成膜中に前記基板の温度を変化させることを特徴とする酸化物半導体膜の製造方法。 - 前記成膜中に前記基板の温度を5℃以上変化させることを特徴とする請求項7に記載の酸化物半導体膜の製造方法。
- 前記基板として、成膜面の面積が100mm2以上のものを用いることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の酸化物半導体膜の製造方法。
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